記者会見 2024年10月18日

 

連合記者会見

記者会見

芳野会長、清水事務局長(2024年10月18日)

連合記者会見全文
芳野会長

 お疲れ様でございます。本日も定例記者会見にご参加をいただきまして誠にありがとうございます。
 はじめに、連合の平和集会で被爆体験をお伝えいただいている日本被団協がノーベル平和賞を受賞されることになりました。心より祝意を表したいと思います。来年は戦後80周年となります。連合もしっかりと平和の取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 次に、先月下旬に能登半島で豪雨災害が発生をいたしました。犠牲になられた方に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。連合は能登半島地震のボランティア活動の経験を生かし、豪雨災害に対しましても10月13日から輪島市で連合救援ボランティアを展開中でございます。被災地の皆様のお力になれるよう取り組んでまいります。また、本日、能登半島地震に関して、被災地での性被害対策としての緊急避妊薬のデリバリーのチラシを配布させていただいております。準備が整い、稼働し始めましたので、改めて皆様にもご紹介をさせていただきました。このような取り組みを広く知っていただくことが、性被害の抑止にもつながると思っておりますので、ぜひ皆様からもご周知いただければありがたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 すでに報道も出ておりますが、本日の中央執行委員会で、2025春季生活闘争基本構想が確認をされました。2024闘争では、5%以上の賃上げが実現し、賃金は上がるということを実感できたことから、賃金、経済、物価を安定した巡航軌道に乗せ、デフレへ逆戻りさせないように取り組んでまいりたいと思っております。
 最後に、総選挙についてです。選挙期間の真っ只中でもありますので、連合推薦候補者全員の当選をめざして最後まで粘り強く戦うという決意のみ申し上げて冒頭のご挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

清水事務局長

 それでは本日の中央執行委員会でございますが、非常に多岐にわたりまして連合としてはご確認をいただいたことがございます。かいつまんで報告をさせていただきたいと思います。
 まず、「公平・連帯・納得」の税制改革に向けた2025年度の税制改正への対応ということでございます。これについては、税による所得再分配制度機能の強化、燃料価格高騰への対策、また、物価上昇にともなう所得税の課税最低限の引き上げ、退職所得課税の見直し、子ども・子育て支援に関する税制の見直し、そして自動車関連諸税の軽減・簡素化など9項目にわたって、確認をしていただきました。こののち、官邸や財務省あるいは各政党への来年度に向けての要請行動に入ってまいるということで、本日確認をいただいたところでございます。
 続いて、働き方などに中立的な社会保険制度に対する連合の考え方について、確認をいただきました。また、その確認に基づいて、公的年金制度の見直しに対する連合の対応について、その2ということであわせて確認をしたところでございます。まず、第1点目の働き方などに中立的な社会保険制度に対する連合の考え方ですが、これは9月27日まで組織討議を行っていただきました。組織討議の結果、27の組織から意見が寄せられました。主にいただいた項目は、全被用者への被用者保険の完全適用について、それからもう1点については、第3号被保険者制度の廃止にともなう意見ということで、今申し上げたように9月27日までにいただいた意見を踏まえて最終的に今日の中央執行委員会でご確認いただいたところでございます。地方からの意見を含めまして、全体として地方連合会・構成組織の意見から大きく7点にわたって、これまでの文章に若干文言を付け加え、修文をし、今日決定に至ったということでございます。詳しくは、配信をしております資料等にも、アンダーライン等も引いてございますので、そこをご参照いただければと思っております。
 続いて、それに伴う年金部会の検討事項に対する連合の考え方、これは、今後、年金部会で具体的な議論が行われますから、それに向けて、連合の考え方に若干今日の決定を受けて修文を加える部分です。修文したのは1箇所だけでございますので、そう大きな変更はございませんでした。
 続いての項目として、成長志向型カーボンプライシング構想に基づく「排出量取引制度」に対する連合の考え方について、今日ご協議いただきました。これから様々な議論が始まりますので、具体的な検討の視点に対して対応の方針を決めたところでございます。基本的な考え方については、成長指向型カーボンプライシングについて具体的な制度設計がこれからになりますが、それに向けて、S+3Eを前提とし、産業の競争力の確保することのみならず、私たちがずっと主張している公正な移行の考え方を踏まえた上で、雇用や賃金などへの負の影響を最小限にとどめる。そのための脱炭素移行コスト、これについては特定の産業だけが請け負うのではなく、便宜を享受する国民全体で広く負担する、こういった基本に基づいて丁寧な議論を今後積んでいく、そういったことに基づいて今日細かい部分について説明をし、中央執行委員会でご確認をいただいたところでございます。これに基づいて対応してまいりたいと思います。
 2025春季生活闘争の基本構想、先ほど会長から冒頭にあったとおりでございます。これについては、昨日すでにマスコミの皆さんには事前の説明もしているところでございますが、今日それに基づいていわゆる3点の基本スタンスですね、「みんなの賃上げでみんなの生活を向上させ、新たなステージを定着させよう」、それから「『働くことを軸とする安心社会』に向け、格差是正と分配構造の転換に取り組もう」、そして3つ目として「『みんなの春闘』で労働組合に集う仲間を増やし、集団的労使関係を広げよう」、こうした3つの基本的なスタンスに基づき、取り組みに向けた基盤的な整備としては、やはりサプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配、そして適正な価格転嫁、適正取引、こういったものを引き続き求めていこうということでございます。また、賃金要求については、国際的にはまだまだ見劣りする日本の賃金水準、これを中期的に引き上げていくんだということで、現在問題になっている、人への投資、人手不足を含めた、経済的な人への投資、また、さまざまな社会の中にある格差、こういったものに取り組むべきだと。また、昨日もすいぶん質問いただいたようですが、賃上げの原資の、初任者からベテラン層までの配分の仕方について、こういったことについても労使でしっかりと協議をし、全ての人の生活向上をめざす必要があるということについて、方針として基本構想を確認したところでございます。賃金の要求指標のパッケージについても、経済社会の新たなステージを定着させるべく全力で賃上げに取り組み、社会全体への波及をめざすということで、具体的な全体の賃上げの目安としては賃上げ分の3%以上、定昇相当分、いわゆる賃金カーブの維持相当分にあたる2%を含めた5%以上と、その実現をめざすとしたところでございます。また、中小組合の取り組みとしては、賃金指標パッケージの目標に格差是正分1%以上加えた6%以上・1万8000円以上をめざすとする、ということでございます。雇用形態間の格差税制の取り組みについては、2024年の最低賃金が5.1%の向上となりましたので、そうしたことも踏まえて地域別最低賃金の引き上げ率については、今年を上回る賃金引き上げに取り組んでまいりたいと考えております。企業内の最低賃金協定については50円アップの時給1250円以上をめざすということでございます。経験5年相当で時給1400円以上をめざすというようなことの具体的な数値を確認したところでございます。闘争の進め方としては、賃上げの流れを社会の隅々に浸透させ、新たなステージをわが国に定着させるべく、共闘体制を構築して進めていこうということを確認いたしました。今後につきましては、11月1日に2025春季生活闘争・中央討論集会を経て、11月28日の中央委員会で、2025の闘争方針を確認してまいりたいと考えております。
 続いて、連合「ジェンダー平等推進計画」フェーズ2について、ご協議をいただきました。2021年に策定をしました「ジェンダー平等推進計画」フェーズ1がこの9月に終了いたしました。2030年9月30日までの残りの6年間をフェーズ2ということで、この推進計画について、今日案として提案をさせていただきました。特にこの間、それぞれの地方連合会・構成組織から意見をいただき、数値目標についてですね、日本の労働力人口に占める女性の割合は約45%、また、人口全体に占める割合は当然約51%と、そういったことを当然意識しながら、女性組合員比率の低い組織であっても、いわゆる決定に影響力のあるクリティカル・マス30%をめざし、労働組合における男女平等参画の取り組みを進めることが重要だということについて、特段追記をいたしまして、フェーズ2の案を確認したところでございます。1と2は継続しているものでございますので、一体として捉えて、引き続き、Change(チェンジ)・Challenge(チャレンジ)・Movement(ムーヴメント)、これを運動として推進してまいりたいと思っています。トップリーダー自らがメッセージを発信することの重要性、また女性役員の育成選出をめざした研修を行うことや、選ばれた後の役員選出後、フォローをしっかりしていくこと、推進目標として、執行機関への女性参画率を最終的には世界的によく言われている50%をめざしましょうということでございます。11月28日の第94回中央委員会で最終的な決定をいただくという方向でございます。
 続いてご確認いただきましたのが、現在公示をされてすでに選挙期間に入っておりますが、第50回衆議院選挙の候補者の推薦がございました。今日、3地方連合会3名の推薦を決定し、1名推薦の取り消しがございましたので、現在、46都道府県の46地方連合会から204名の方が現在、衆議院選挙で戦っておられます。その最終的な推薦確認をご確認いただいたところでございます。 最後に、来年の7月に予定をされております第27回参議院選挙でございますが、これの候補予定者の推薦も行いました。今日は選挙区で5地方連合会から4名の方の推薦をいただきまして、累計全国比例が構成組織9名、選挙区について7地方連合会6名ということで、今日段階を確認したところでございます。
 以上、多岐にわたりましたが、本日の中央執行委員会での協議事項についてご説明いたしました。以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(日本経済新聞・イダ氏)

 日本経済新聞のイダと申します。よろしくお願いします。25年春闘の基本構想のところで2点、会長にお伺いいたします。25年春闘では、中小の賃上げのところですね、全体に1%は上乗せをして6%ということで、全体よりも高い目標を掲げられるわけですけれども、この中小のほうをより高く目標にした意義と、狙いとかですね、そこの部分、会長どのようにお考えになっているのかというのが1点と、あともう1点、昨年の24春闘の時にも、要求の段階では中小も5.9%ほぼ6%に近い要求をしているわけで、単純にその6%という要求をしただけではなかなか、昨年の時点で4.45%なので、なかなかその目標が遠いようにも感じるんですが、その6%を達成していくために具体的にどのような施策が必要になるのか、また組合としてどのような闘争をする方針なのか、その点もお願いいたします。

A.(会長)

 今年の2024春季生活闘争の結果を見ますと、ご承知のとおり、やはり大手と中小・小規模事業所の格差が広がったという中では、2025闘争ではその格差是正をしっかりと行っていきたいということが狙いとしてあります。そのために、今回中小のところは1%高い6%という目標を掲げましたけれども、これをじゃあどのように達成していくのかということは、2024に続いて、労務費を含めた価格転嫁というものが非常に重要になってくるかと思いますので、連合としては、チェックリスト等もありますので、もう一度加盟組合に対して自社の取引関係がどうなっているのか、また、労使交渉の中でもその価格転嫁についてしっかりと議論をしていただきたいと思います。それと、もう1つは、今年、地方版政労使会議を開催することができましたので、これをしっかりと定着をさせていきたいと考えています。昨年は、11月の政労使意見交換会の時に連合からの要請を受けて、1月から3月にかけて地方版政労使会議が開催をすることができましたけれども、47都道府県で開催できたとはいえ、どうしても濃淡があって、こちらの意図するような開催の仕方ではなかったところもありますので、2025についてはもう一度目的を明確にし、そしてそこに集う方々もしっかりと政労使というメンバーで、目的に合った会議体にして、地方そして中小小規模事業所の賃上げにつながるような意見交換をしていくということを求めていきたいと思っています。

質疑応答[2]
Q.(テレビ東京・オノ氏)

 テレビ東京のオノと申します。芳野会長に改めてお伺いします。今回の5%以上という目標なんですが、今年と同じ目標になっています。今年は5%以上という目標に対し5.1%と目標を超える非常に高い回答が得られたわけですが、それであれば今年はもっと要求を引き上げるのもいいのではないかという意見もあったかと思いますが、そこでこの5.0以上という形で、今年と同じ目標にしたその狙いというのを改めて芳野会長からお伺いしたいと思います。

A.(会長)

 数字的には5%以上ということで2024闘争と2025闘争と数字的には同じになりますけれども、やはり連合としては継続的な賃上げが非常に重要だと考えています。その上で、今年「巡航軌道」という言葉を使っていますけれども、今後、経済に関して、いろいろあるかもしれませんが、連合としては5%以上の賃上げを今後も着実に継続してつなげていくということが非常に大事だと考えています。数字的には同じですけれども、これから構成組織そして加盟組合が要求を作っていく上では、それぞれの企業の経営状況がどういう状況にあるのかということで、昨年よりも上回るような要求を設定していただければいいかと思いますし、連合としては着実に上げていくと、継続して上げていくというところに狙いを定めているということです。

質疑応答[3]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 朝日新聞のサワジです。社会保険の件で確認したいんですけど、もし佐保さんがいらっしゃったら佐保さんでも構わないんですが、1つは8月の中執に出た案ですと、第1段階から完全廃止まで5年程度というふうになっていたと思うんですけれども、今日の資料を見るとこれが10年程度という形で伸びていると、ここは倍になったんだというふうに理解していいのか。あと、その理由も念のため教えてください。それから、今後の年金部会での対応なんですけれども、別紙を見ると「完全廃止を求めていく」とだけ書かれていて、具体的なところまでの主張はここには盛り込まれていないんですけど、当面審議会のほうでは廃止ということを何らかの形で示していくことを連合としてはめざすと、まずはそこだというふうに今日打ち出したんだというふうに理解していいのか、以上2点お願いします。

A.(会長)

 1点目は佐保さんがいますので佐保さんお願いします。2点目は、年金部会の考え方の中に「廃止」という文言を盛り込んでいくという考え方です。

A.(佐保総合政策推進局長)

 社会保障を担当します佐保でございます。1点目の質問に対しお答えします。組織討議の中では、第1段階では「5年程度」としておりましたが、これにつきまして組織の中のご意見で、「移行までの期間が短すぎるのではないか」という意見も頂戴をいたしておりました。そういったことから、移行期間を「10年程度」ということで設定をさせていただきました。なお、「程度」と申しますのは、年金部会の議論で、いつのタイミングで年金部会の議論になるかというのもありますし、法律の改正、それから施行日といったものも関係してまいりますので、10年程度という期間を設けさせていただくと考えております。以上です。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・キタガワ氏)

 朝日新聞のキタガワです。春闘関係で会長に2点お伺いします。1点はですね、基本構想で「新たなステージを定着させる」というふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、これは回答としてどの程度の水準を引き出せれば、これは新たなステージになったというふうに言えるのか、というふうなことが1点とですね、もう1点は、今年の春闘は労使でともに賃上げを訴えるというような異例の展開になったかと思うんですけれども、来年の春闘に向けて経営側の姿勢について、対してどのように期待をされるのか、すでに一部の企業ではサントリーですとかノジマなんかが7%の賃上げを発表されているようなケースもありますけれども、経営側の姿勢について会長のお考えをお伺いします。

A.(会長)

 今の段階では、方針として5%以上という目標を掲げていますので、2025以降、この5%以上を継続してきちっと賃金も上がる、そして物価も上がる、そして経済もさらに回っていくという、その好循環をめざしていきたいということですので、これをめざしていくということになります。そして、2024の時には、政労使の意見交換会が3回ほど実施することができたんですけれども、2025についても政労使の意見交換は続けたいと考えていますので、引き続き要請をしていきたいと思いますし、岸田総理の時に政労会見も「前向きに検討する」ということでご回答いただいているんですけれども、未だにまだ実現できていませんので、政労会見について再開できるように、それも併せて求めていきたいと思います。まだまだ賃上げが定着したとは言える状況にはないですし、33年ぶりの高水準で結果が出たとはいえ実質賃金はなかなか上がっていないということもありますので、やはりまだまだ政労使が同じ方向を向いて、賃上げに向けて考え方を揃えながらしっかりと取り組んでいくということは必要だと思っていますので、今年についても求めていきたいと思います。

質疑応答[5]
Q.(共同通信・オオノ氏)

 共同通信のオオノと言います。会長に伺いたいんですが、3号の廃止に関して、改めて意義と狙いに関してと、一方で追加されている就労環境の整備だったりとか支援策についても盛り込まれていますけれども、廃止に伴って影響を受ける方へどういった支援が求められるかについても改めてお伺わせてください。

A.(会長)

 3号廃止については、多方面からさまざまな意見が出てきたということがあります。1つはやはり社会保障制度というのは、どういう立場、どういう人生を歩んだとしても、制度としては公正・平等であるべきだと思っています。そしてこの社会保障制度は、今ももちろん大事なんですが、私たちの将来のことですので、将来に向かってどれだけ公正・平等にできるかということがあります。そういう意味では、何回か前の記者会見の時にも申し上げましたけれども、第3号というのは多くが女性であって、女性のその生き方によって1号になったり3号になったりということがありますので、そういう点ではどういう生き方を選択しても公正・平等であるべきだということが、制度としては一方であります。もう1つは、社会保障制度は非常に難しいので、きちっと理解・納得しているという方は非常に少ないのではないかと思いますので、連合としては制度の内容を皆さんに分かりやすくお伝えしていくということが非常に重要だと思っていますし、今の超少子高齢社会を考えますと労働力も不足をしていますし、社会保障も担い手が減ってきてしまいますので、そういう意味ではみんなで負担をしながら将来きちっと受け取れるものを受け取っていくという環境整備というのはとても重要ではないかと思っています。

質疑応答[6]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 毎日新聞のトウカイリンです。よろしくお願いします。芳野会長にやっぱり春闘のことなんですけども、1点確認で1点は教えてほしい話です。先ほどのですね、朝日の質問だと思いますけども、それへの回答の中で、5%以上これが2025年以降も継続することで好循環をめざすということをおっしゃってたんですけども、これは5%以上という前提がつくんでしょうか、それとも賃上げは継続するという意味なんでしょうか。5%以上を来年度以降もずっとやっていくという意味なのかどうかの確認をしたいというのが1点と、もう1点が、これは会長が就任以来こだわっているところだと思うんですけども、男女の賃金格差の是正の問題です。毎年聞いてるんですけども、会長のほうからは実態の把握ということでご回答いただいているんですけれども、そろそろもう実態は把握できたのかなというのがありまして、実態が把握できているのであれば、連合内でどのような賃金格差があると理解していて、それを具体的にどういうふうに変えていくのか、賃金格差の現状がもし把握できているのであれば教えてください。

A.(会長)

 まず、1点目ですけれども、今の段階としては、5%以上の賃上げを継続的に今後も継続していくということが重要だということを申し上げておきたいと思います。その上で、また来年再来年の時に状況がどういうふうに変わっていくかということもありますので、目標値については、その都度協議検討ということになりますけれども、今の段階としては5%以上の賃上げを継続していくということがとても重要だという考え方です。
 それから2つ目の男女間賃金格差、これはジェンダー平等推進委員会で毎回議論をしていますけれども、男女雇用機会均等法ができる前は男女別の賃金表でしたが、男女雇用機会均等法ができてから、男女同一の賃金表になってから非常に格差が見えにくくなっているというのはあります。連合としては「プロット図を使いながら、男女がどのように分布されているのかという実態把握をしてください」と、その上で「なぜ女性たちが、多くの女性たちがプロットで下に位置づけられているのかということを個別に見てください」と、それが実態把握として連合として申し上げていることです。1つは職務による違いがあるかと思います。均等法ができて女性の職域拡大というものはできましたけれども、まだまだ職務というところに着目をすると男女で差があります。例えば、営業職とは言っても、外回りは男性で内勤が女性という違いがあったりですとか、そういったことまで深く踏み込んでいく必要性があるかと思いますので、実態把握の中ではそういったことも取り入れていきたいと思います。もう1つは、育児休業を取るとその後なかなか昇格ができないという声も聞いています。法律上は、育児休業を取得したことによる不利益取扱いの禁止というものは盛り込まれていますけれども、現実としては、育児休業復帰明け、原職復帰もしくは原職相当職に復帰をするというふうになっていても、一旦は復帰しても1ヶ月後にどこか転勤になるとか、遠い事業所に移動になるとか、意外とそういったことも、多くではありませんけれども、やはり見受けられることもありますので、一人一人丁寧にそれぞれの組合が、育児休業取得者のその後の働き方をきちっと検証していくということも必要ではないかと思います。

Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 ということは、今のそういうところに問題があるというのは把握できたけれども、実態としてそれがどういう割合であるかとか、あるいはそれをどう改善していこうかということは、まだこれからということでよろしいんでしょうか。

A.(会長)

 割合までは非常に難しいかと思いますが、連合としてはそういう実態をきちっと構成組織・加盟組合に点検をしてほしいということを、こちらからお願いをするということになるかと思います。

質疑応答[7]
Q.(シカタ氏)

 シカタと言いますが、要求の中身に、水準についてお聞きしたいんですが、5%という中身はベアでいけば3%ですよね、今年と一緒で、ベア3%ということは、この資料でもいろいろあるようにほぼ物価は2.45とか2.5と見られているわけですけれど、実際に行けばベア3%ということは物価ミニマムの要求なわけですよ、ということはね、満額取ってもやっと目減り賃金を防ぐだけの水準で、生活向上とか、ここに掲げている分配構造の歪み是正というのは全然足りないという水準なわけですよ。そういう点でね、ナショナルセンターの要求とすれば、少なくとも目減り賃金を防ぐと、これはここにいろいろあるように物価分ですよね、ここにある定期昇給、それからここにあるように格差是正、これは中小にも関わると思いますけれど、これに加えてここに見られるように実質経済成長率1%とかね、それから物価を上回る可処分所得とかいう形でありますけれど、やっぱし連合が重視されている生産性向上運動の構成配分についてはですね、連合もいろいろ1%に出してるわけですから、そういう点では物価分プラス生産性を成果配分の1%いうのを乗せるべきではないかと思うんですが、なぜ、実質経済成長率というのか公正配分の1%を要求に乗せてないのかね、総合的に勘案ということは言われてますけどね、総合的勘案というのは連合の場合、定昇を入れ、それから物価を入れ、格差是正の項目がきちんと入っているわけですよ。どうして、言ってみれば物価の、実質経済成長率1%をカウントしないのか、その理由をお聞きしたいと思うんです。総合的判断ではなくて、なぜ入れないかという理由をお聞きしたいと思います。

A.(会長)

 仁平さんいいですか。

Q.(シカタ氏)

 すいません、これは春闘リーダーの会長の意見をお聞きしたいんですが。

A.(会長)

 仁平さんの後に私から。

A.(仁平総合政策推進局長)

 資料82ページ見ていただいて、脚注にも書いてございますが、いろんな見方があると思いますけど、連合としては過年度物価上昇を大体2.5%ぐらいだなと見ております。そうした中で、今年はやっぱりすべての働く人の生活を持続的に向上させていくというのが大きな目標ですので、最低限3%分はしっかりと要求していただくと。その上で、去年もそうですけど、各産業の状況なども踏まえながら、それ以上の要求を多くの産別がしていただいたんだと思っております。ここについては今年も積極的にやっていただけるものと思っております。実際に要求集計、それぞれの企業に出した要求集計のトータルで見ますと、去年も5.9%ぐらいになっていたと思っておりますので、そういうものも期待しながら今後のそれぞれの要求づくりなどを見守ってまいりたいと思っております。

A.(会長)

 5%以上ですので、2024闘争の要求水準を上回る要求を、それぞれ構成組織・加盟組合が、今年を上回る目標を設定をしていくということにまずは期待をしたいと思います。その上で、連合としては2024で格差が広がったという反省がありますので、中小・小規模事業所がどれだけ底上げできるかということが日本全体の賃金の底上げにつながっていきますので、2025については、中小・小規模事業所の底上げのところに力を入れていきたいということです。

Q.(シカタ氏)

 要するに、ベア3%ということで、その上に産別は頑張ってほしいということなんですが、要するに連合の要求というのは非常に影響が大きいわけで、そういう点ではスタンダードの要求として、連合として上乗せは産別に任せるのではなくて、連合としてきっちり実質賃金を確保した、要するに目減り賃金は防ぐと、その上に生産性向上というのか実質経済成長率が求めていくというのがナショナルセンターの要求としてスタンダードな要求になっていくと思うんですけれど、要するにそのベアだけは最低限にして、その上は産別にという、そういうことではなくて連合としてきっちり目減り賃金にプラスして経済成長率を要求していくというのはナショナルセンターのスタンダードとして検討されていいのではないかと思いますけれど、改めてまた。

A.(会長)

 そういったことも含めてこの間議論してきています。

質疑応答[8]
Q.(毎日新聞・ウダガワ氏)

 毎日新聞のウダガワと申します。3号について、1点確認と、1点は会長にお伺いしたいんですけれども、まず、内容の基本的な確認なんですけれども、被扶養の基準を130万から55万に下げた上で、その上で第1段階のプロセスという理解で良いのか、つまり第1段階出てくる3号というのは被扶養は55万という家庭という理解をしていいのかというのを確認したいのと、あとですね、3号廃止という見解とここまでのプロセスを、連合としてまとめるというか正式に決定するのははじめてだと思うんですけれども、ここまで踏み込んだ理由は先ほどおっしゃっていたところだと思うんですけど、踏み込めた背景と言いますか、それはリーダーシップの問題なのか、社会情勢…先ほど労働力不足ということもありましたけど、社会情勢なのか、そのあたり分析あればお伺いできればと思います。

A.(佐保総合政策推進局長)

 2点お伺いになったと思いますので、1点目について佐保からお答えさせていただきます。被扶養者の部分、55万円というところにつきましては、かねてから連合の政策・制度 要求と提言の中で盛り込んでおりました。ここにつきましては、3号被保険者というよりは被扶養者の定義の部分でございまして、被扶養者の定義というところで捉えていただければというふうに思っております。以上です。

A.(会長)

 2点目についてですけれども、振り返ってみると、バブルが崩壊した92年、93年ぐらいから片働き世帯よりも共働き世帯のほうが増えてきているということを考えると、私としては、その時点でやはり税・社会保障も片働き世帯がモデルではなく共働き世帯モデルに変えていく必要性があったのではないかと思いますし、当時の女性役員たちは第3号廃止についても、その頃からずっと考えていたということはあります。ただし、労働組合の意思決定の場というのは男性が非常に多いということで、なかなか女性役員の声が届かなかったという実態はあるかと思います。ここに来て、もう共働き世帯が主流ですし、先ほども申したように超少子高齢社会ということもあって、負担と給付の公平性なども考えたときにバランスが崩れていますから、そういった点も含めてやはり第3号廃止というのはこのタイミングで行う必要性があるのではないかということで、強く主張をしてきたということがあるかと思います。

質疑応答[9]
Q.(朝日新聞・フジサキ氏)

 朝日新聞のフジサキです。2点お伺いしたいんですけれども会長に、ちょっと毛色が違うので1点目からお伺いします。1つ目が、先ほど会長は政労会見について言及されてたと思うんですけれども、それは連合にとってどういう意味合いがあるものなのか、改めて会長のご認識、お考えがあればお聞かせいただけますでしょうか。

A.(会長)

 これまでの政労会見の再開という位置づけで考えていますが、やはりトップ同士がきちっと対話をするということは非常に大きいと考えていますので、その意味で連合の政策実現に向けて対話重視をしたいということがあります。

Q.(朝日新聞・フジサキ氏)

 ありがとうございます。2点目がですね、中小企業の春闘についてお伺いしたいんですけれども、中小企業にとって、先ほどおっしゃっていたように労務費の転嫁とか価値を認めるということは非常に重要だと思うんですけれども、産業によっては形態とか海外との競争環境というのも違う部分があろうかと思います。幅広い中小企業を巻き込むために、他にどんなことが発信が必要だと思われるか、また日本全体を見れば労働組合がそもそも無い中小企業もまだたくさんある中で、春闘期間に連合が発信できることとして労働組合を広げていくということもあろうかと思うんですけど、そこらへんお考えがあればお聞かせください。

A.(会長)

 繰り返しになるかもしれませんが、労務費を含めた価格転嫁の取り組みというのは非常に重要だということと、あとやはり個別企業労使の取り組みには限界が来ているということも2024春闘の時にちょっと触れましたけれども、下請法の改正なども必要だと考えています。それともう1つは、消費者マインドも私はすごく大事だと思っていて、「いいものには相応の値がつく」ということを私たち消費者の立場からも一人一人が認めていくということも、2025のときには発信をしていきたいと思っています。どうしても消費者の立場からすれば、いいものを安く買いたいというのは誰もが思うことなんですが、やはり物には適正な価格がありますし、それを作っている人たちの価値を下げて、安くするということは、価値を下げてしまうことになりますので、そこも訴えていきたいと思います。それから、2024春闘のときに明らかになったのは、やはり労働組合があるところのほうが賃上げできているということも明らかになったわけですね。ご承知のとおり、中小・小規模事業所には労働組合が非常に少ないということがありますので、今回の方針の中にも組織化も触れていますし、この2025春季生活闘争を通じて組織化をしながら、中小小規模事業所の賃上げにも寄与できるようにしていきたいと考えています。

質疑応答[10]
Q.(月刊FACTA・ミヤジマ氏)

 月刊ファクタのミヤジマです。これまで芳野会長は、立憲共産というレッテルが、地方連合会あるいは現場の士気を落としてパワーダウンだったとおっしゃっていた。今回、共産が大量擁立したことによって事実上の立憲共産のレッテルというのは剥がれたと、そうじゃない場所も一部東京ですとかあるようですけどね、でも、そういうふうにお考えになっているのか、そうお考えになっているとしたら、やはり今回は立憲が30、40増えるかもしれないような情勢で、やはり現場がフルパワーになっているというか、やはり燃えていると。今日の中執でもそういう話が出なかったらおかしいんじゃないかと私は思うんですけど、やはり率直にレッテルが剥がれて、やる気満々になっていると、これが伺いたい。

A.(会長)

 共産党に関する考え方というのは、私が会長になってから変わったわけではなく、この間もずっと一貫していますので、そのことについてはご理解をいただきたいと思いますし、連合としては推薦候補者全員当選に向けて、地域そして構成組織も今必死になって取り組んでいますので、選挙のことについて、今、期間中ということもありますのでコメントは差し控えたいと思います。全員当選に向けて頑張ります。

Q.(月刊FACTA・ミヤジマ氏)

 以前は海江田代表あたりにですね、古賀会長が最終日に新宿で演説に立ったりですね、やっぱりそういう象徴的な動きもあったんですけど、やっぱりこれ10年間かかって立憲を含めてを落ちてきたわけですけど、すごいチャンスなわけですよね、参議院も含めて、するといわゆる芳野さんであれ、清水さんであれ、どっかでそういうスイッチが入って出番があるというようなですね、選挙の運動に応援というのは、そういうことっていうのは全くその視野には入らない、そういうこともありえないようなものなんでしょうか。

A.(会長)

 初日からもう私たち選挙応援に入ってます。これからも入る予定がありますので、頑張ります。

質疑応答[11]
Q.(北海道新聞・イトウ氏)

 北海道新聞のイトウと申します。芳野会長に2点、よろしくお願いします。衆院選についてで、全国の小選挙区で野党各党が候補者を出したことで、与野党一騎打ちの構図になったのが52選挙区と小規模にとどまったことについての受け止めと、また、政治の信頼を取り戻さなければならない今の局面で、候補者調整など各党間の選挙協力をもっと進めるべきだったかどうか、お考えをお願いします。
 あと、最低賃金についても今一緒にしゃべっちゃって大丈夫ですか。最低賃金もちょっとお伺いしたくて、現在、衆院選で多くの党が、時期などについてばらつきはあるんですが、時給1500円への引き上げを訴えています。こうした引き上げについて積極的に議論されていることへの受け止めと、また一方で最低賃金というのは公労使で構成する審議会で話し合って決めるものと思いますが、こうした政治主導の引き上げについて、連合としてどう考えなのか教えてください。

A.(会長)

 まず1点目については、この間、連合としては立憲民主党・国民民主党と歩調を合わせてやってきていますので、選挙期間中ということもあってコメントは避けたいと思いますが、繰り返しになるとおり、連合推薦候補者全員当選に向けて頑張っていきたいと思います。
 あと、最賃についてですけれども、連合の考え方をもうお示ししていますので、連合としてはその考え方に基づいて取り組みを強化していくということと、やはり最賃は三者構成の審議会がありますので、そこでしっかりと議論していくというスタンスに変わりはないということです。

RENGO-TV
連合記者会見
ツイキャス・あつまれ!ユニオンスクエア~毎月05日はれんごうの日~
アニメーション・PR動画
主な活動に関する動画
ワークルール動画
年金のしくみ