芳野会長、松浦会長代行、石上会長代行、清水事務局長(2025年1月6日)
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。年頭記者会見に足をお運びいただきまして誠にありがとうございます。昨年は定例記者会見をはじめ、連合の取り組みを数多くご取材をいただき本当にありがとうございました。本年も皆様にご関心を寄せていただけるよう取り組んでまいりますので、変わらぬお付き合いをお願いしたいと思います。
さて、能登半島地震から1年が経過をしました。秋には集中豪雨が発生し、仮設住宅に濁流が押し寄せるなど、甚大な被害がありました。被災地は未だ復旧・復興の途上にあり、共同通信社の調査では、復旧・復興が進んでいないと回答した割合が63%にのぼることが報じられたところでございます。年頭にあたり、一刻も早く被災された皆様が安心した生活を取り戻すことができるよう祈念をしております。なお、連合も被災地に寄り添い、様々な取り組みを進めてきましたが、その中でも被災地での性被害への対策として、緊急避妊薬のデリバリーの取り組みを進めております。現時点では具体的に運用された実績はなく、ひとまず安心しているところですけれども、このまま誰一人被害に遭うことなく、そして加害者も生み出さないことを期待しております。
いよいよ2025春季生活闘争における労使交渉がスタートをいたします。長い間賃金も物価も上がらないという社会的規範・ノルムが定着してきましたが、近年の賃上げの実現により「賃金は上がる」という新しい新たなノルムが芽生えつつあります。今次闘争はその流れを巡航軌道に乗せるための重要な取り組みとなります。連合一丸となって取り組んでまいりたいと思います。
昨年の第50回衆議院議員選挙により、与野党の勢力図に大きな変化が生じ、年末の臨時国会では野党が要望する政策に与党が歩み寄り実現するという場面がいくつかありました。まもなく通常国会が始まりますが、臨時国会で見られたような与野党の熟議が本格的に行われ、国民生活の実情に寄り添った、真に国民のための政治が行われることを期待したいと思います。その上で、立憲民主党・国民民主党には大きな塊の軸となって政権交代可能な体制を整えていただくよう引き続き働きかけていきたいと考えております。夏には参議院選挙も控えておりますので、対応方針を踏まえてしっかりと取り組んでまいります。
今年は戦後80年です。当時の実相を伝える方も減り、その役割は次の世代や、さらにはその先の世代に移っています。二度とあのような過ちは繰り返さないとの思いは、全世界で共有されているものと思っておりましたが、各地で悲惨な争いが繰り返されている現実もあります。先の大戦を経験した我が国における労働組合として、世界平和へどのように貢献していくべきなのか、節目の1年に改めて深く考え、行動に結びつけてまいりたいと思います。
結びに、本年も皆様にとって充実した1年となりますことと、厳しい取材活動の中でお体を大事にしていただき、ますますご健勝でありますよう祈念いたします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
時事通信のキダです。本年もよろしくお願いします。芳野会長に2点お伺いできればと思います。まず、冒頭発言にも関連して、ちょっと政治のお話なのですが、石破総理が1日のラジオ番組で、「大連立をする選択肢はあるだろう」という発言をしました。連合としては政権交代可能な二大政党的体制をめざす立場かと思いますが、発言の受け止めについてお聞かせください。
直接総理の発言について聞いたわけではありませんのでコメントは差し控えたいと思いますが、連合としては冒頭ご挨拶で触れたとおり、立憲民主党そして国民民主党を軸に大きな塊に向けて、現在、連合組織内議員懇談会を中心に議論を進めておりますので、連合としてはそこに期待をしていきたいと思っています。
もう1点、芳野会長にお伺いします。本日の新年交歓会ですけれど、石破総理は他の公務があるということで出席かないませんでしたが、林官房長官が出席されます。賃上げに向けた取り組みを含め、政府とどのような姿勢で向き合っていかれるのかお聞かせください。
2025春季生活闘争、これからいよいよ労使交渉がスタートいたします。連合の方針については、この間の記者会見でも申し上げてまいりましたけれども、今年は中小・小規模事業者がどれだけ賃上げができるかということがポイントになってくるかと思いますので、やはり政府にはその環境整備について期待をしたいと思います。そして、連合の立場からしますと、労働組合のあるところがやはり賃上げ額、率とも高い結果を生み出していますので、連合としては労働組合の無い職場の皆さんにどれだけ波及ができるかということになりますので、政策的には引き続き、労務費を含めた価格転嫁の取り組みについて強化をしていきたいと思っていますし、また、下請法の改正なども動きが出てきておりますので、そうした環境整備について期待をしていきたいと思います。
朝日新聞のマツイです。参院選についてお聞きします。立憲と国民を軸に大きな塊をというご発言でしたが、参院選での一人区の候補者調整について、立憲民主党は前向きな姿勢を示している一方で、国民民主党は一人区をそれほど重点を置いているというわけではなく、比例区中心ということもあって、一人区での予備選にはあまり意味がないということを主張しています。なかなか両党で一人区の、特に予備選をめぐっては考えに差異があるわけですけれども、その2つの党の協力に向けて、連合としては今後どのように働きかけを強めていくお考えでしょうか。
トップ懇談会を開催していますので、その中で、連合としては引き続きになりますが、立憲・国民の中で候補者調整をしていただきたいということを引き続き申し上げていくということになるかと思います。
テレビ東京のオノと申します。労働者の生活に大きく関わる日本経済の今年の見通しをどういうふうに見られているか、芳野会長にお伺いしたいのですが、先ほど賃上げの話にもございましたが、この2025年の日本経済、これは楽観されて、経済成長が進むというお考えなのか、懸念されている点はあるのか、少し漠然とした質問になって恐縮ですけれども、芳野会長から見ました今年1年間の日本経済、どのような見通しで、どのような懸念点などあるのか、お考えをお聞かせください。
物価高が止まっていませんので非常に懸念が多い年になるのではないかということですが、それ以上に春季生活闘争で賃上げが実現できれば、私たちの生活も良くなっていくかと思いますので、まずは2025春季生活闘争を昨年以上の結果を出していくということと、とりわけ中小・小規模事業所の賃上げ実現に向けて力を注いでいきたいと考えております。
賃上げが、ある程度、中小を含めた賃上げが3年目のノルムとして定着するかというのは、やはり日本経済の成功の鍵というふうなご理解でしょうか。
はい、それは非常に大きいと考えておりますので、地方版政労使会議もこの1月から2月にかけて47都道府県で開催をされる予定になっていますので、それぞれの地域の中で実情を話し合いながら、課題を共有化し、賃上げに向けた取り組みを強化してほしいと期待を寄せています。
日刊工業新聞のカンザキと申します。賃上げに関して芳野会長にお願いしたいんですけど、今の時点で経営側から25年の賃上げに関する発言がいくつか出ておりますけれども、こうしたものをどのように受け止めていらっしゃるのか。あと、明日もおそらくですね、経済3団体の賀詞交歓ありますので、ここでも前向きな発言が少し出てくるのかなと思っておりますけれども、このあたりの期待感と、あとですね、年末に日商が発表した調査によると25年度に賃上げ予定している中小企業が48.5%と、その中で、3%以上の引上げ…消費者物価と比較しても損失ないレベルでの引上げを予定しているところが半数に迫るというような調査が発表されたんですけれども、これをどのように見ていらっしゃるのか。昨年は春闘の前の会見で「ワクワクしている」という表現されたかと記憶しているんですけども、どんな心持ちで今いらっしゃるのか、ちょっとこの辺りを教えてください。
1点目何でしたっけ、今の「ワクワク」で忘れちゃいました。
経営側の賃上げに対する発言がパラパラ出ていることについてどんなふうにお感じになっているのか。
これから賃金改定交渉は始まっていきますので、私たち労働組合としては賃上げに向けてさまざま根拠、それからそこで働いている人たちの気持ちだとかモチベーションを上げていくだとか、様々な根拠をもとにこれから交渉を始めていくかと思いますが、やはり最終的に決断をするのは経営者側ですので、そういう意味ではこの間の経営者の皆さんの発言というものは期待をしたいと思います。そして、それぞれ日々の労働組合の取り組みの中で、自社の経営がどうなっているのか、見通しがどうなのかということは労使協議の中で確認をしているかと思いますので、具体的な要求というのはこれから加盟組合の中で議論をしながら決めていくかと思いますけれども、やはりこの賃上げの流れというのは2024から2025にやはり引き継いでいくということがとても重要ですし、連合としては昨年以上の結果が出るということに期待をしていきたいと思います。
それから、2つ目の日商の件ですけれども、ご承知のとおり中小・小規模事業者は組織化が遅れていますので、連合としては労働組合のない中小・小規模事業者のところにどれだけ波及できるのかということがあるかと思いますけれども、繰り返しになりますが、労務費を含めた価格転嫁がどのくらいできるかということが、中小・小規模事業者の結果に結びついていくかと思いますので、波及効果を狙ってしっかりと取り組んでいくということと、やはり中小になりますと、人手不足の課題も含めて、やはり地場の水準ですとか同業他社の水準というものを重視していくかと思いますので、連合が持ち合わせているデータ的なものについては、しっかりと公表しながら、地場の形成に向けて進んでいくように取り組んでいきたいと思います。
心持ちというか…
心持ちですか。去年「ワクワク」だったんですね。今年はどうでしょうか、今年も「ワクワク」にしておきたいと思います。
朝日新聞のキタガワです。日鉄によるUSスチールの買収計画の禁止に関連してお伺いしたいんですが、これ自体個社の事案ということでお答えしづらいと思うので、この事案を通じてアメリカの通商政策の変化みたいなものについてお伺いしたいんですけれども、すなわちこうした事例が保護主義的な色合いを強くしているのではないかというような見方もあるわけですけれども、会長はアメリカの通商政策の変容みたいなものを感じていらっしゃるかということとですね、2点目として、近々トランプ政権が発足するわけですけれども、これについてもさらなる保護主義的な性格というのが強まるのではないかという見方もあるわけですけれども、今後トランプ政権の政策が世界経済ですとか、日本の経済や雇用などに影響を及ぼし得るのかどうか、この辺りについて会長のお考えをお伺いできればと思います。
これからのことですのでコメントは差し控えたいと思いますけれども、連合としては注視をしていきたいと思いますし、ITUCの場ではAFL-CIOと連携を取っていますので、アメリカの経済についてはITUCを通じながら様々な意見交換はしていきたいと思います。
日本経済新聞のマツイです。芳野会長に2つお願いします。25春闘については中小の賃上げが重要で、特に価格転嫁が鍵を握るということを重ねて強調していらっしゃいました。連合としても、構成組織に対して自主行動計画の策定を促したり、チェックリストを活用したり、価格転嫁の促進ということを力を入れていらっしゃいます。現時点で価格転嫁の機運醸成がどの程度進んだというふうに評価をされますか。先ほど期待を示されていた政府の側面支援に対する評価もお願いします。
これから交渉の中で、連合としては、自社の取り組みがどうなっているのかということを再確認していくということが重要になってくるかと思いますので、そこに期待をしたいと思いますが、昨年2024春季生活闘争が終わった時点では、やはり中小・小規模事業者のところではなかなか労務費を含めた価格転嫁までは行ってないという報告が上がってきていますので、今年はさらにその現場の実態というものに踏み込んで、それぞれの加盟組合のところで議論をしてほしいと思います。
あと、もう1つお願いします。すでに公表されている産別組織の要求方針についてなんですが、前年と同水準の連合の要求と比較すると、かなり高い水準を打ち出すところが多くなっています。こういう現状をどんなふうにご覧になりますか。企業間の賃上げ格差が拡大するのではないかという懸念も持つんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
連合の要求はまさしく5%「以上」としていますので、良いところは要求をして労使交渉でしっかりと結果を出してほしいと思いますし、やはり上に引っ張っていっていただければ、底上げにも寄与していくかと思いますので、そこに期待をしたいと思います。
日本経済新聞のイダです。本年もよろしくお願いいたします。ちょっと細かな個別の話で恐縮なんですが、1点お伺いいたします。雇用保険に関連してです。新型コロナウイルスが感染していた時に、雇用調整助成金、雇調金の支払いに充てるために、失業保険から雇用保険の2事業に2.9兆円借りたというものが、年末の厚労大臣と財務大臣の折衝で2.9兆円のうち1兆円を免除しますというのも決定されました。まあ、そのこと自体というよりは、このように本来その景気が変わって変動した時に雇用を守るために使うはずの雇調金というのが、例えばコロナであったりとか、直近の能登半島であったりとか、その労使で積み立てた雇用保険の財政が、ある意味便利に国によって使われているという現状があると思うんですけども、こうした現状に対して会長はどのように考えられているのか、本来であれば一般財源でやるべきものだということなのか、それでも一定程度その役割というのはあるというふうにお考えなのか、そこの認識を伺ってもよろしいでしょうか。
連合の中でこの件についてはまだ議論をしていないので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
現代労研のハヤカワと申します。エネルギー基本計画について連合のお考えをお伺いしたいんですけれども、エネルギー基本計画、従来記載がありました原子力への依存を可能な限り減らしていくという方向から、積極的に活用していくという流れに変わってきております。これは最終的には原発に依存しない社会をめざすという、連合のエネルギー政策とはちょっとと言いますか、だいぶ方向が違うようになってきていると思うんですが、特に清水事務局長は連合エネルギー政策のプロジェクト策定のときに日教組のメンバーとして入っておられましたけれども、別に清水さんからでなくても結構ですけれども、連合のエネルギー政策と現在の政府のエネルギー基本計画との関係でどういうご見解かというのをちょっと伺いたいと思います。
エネルギー基本計画については、連合はそこに直接参画をしていませんので、議論については承知をしているところはありますけれども、その中でいわゆる原案の中に、エネルギーの安定供給と脱炭素を両立するという観点から再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないという、バランスの取れた電源構成をめざすということが記載されているように承知をしています。連合との部分ですが、2012年に連合としての基本的なエネルギーについての方針を出しています。そこから文言としては特に変更はございませんので、連合として何らか計画について言及するものがあるのであれば、連合の中で議論をしていきたいと。現段階はそういったことでございます。
日本労働ペンクラブのマエダと申します。よろしくお願いいたします。外国人労働の関係でございますが、昨年6月に出入国管理法が改正になりまして、これから82万人特定技能の方を入れるというようなことで、外国人の労働に頼るという雇用不足の現状がございますが、連合といたしまして、これから外国人労働につきましてどのようなお考えかお聞かせ願いたいと思います。
法律の改正含めて、具体の法律の施行にはまだまだ時間がございますので、現状について過不足の部分について連合としてはしっかりと担当庁とも話をしていきたいと思います。この間、連合として要請させていただいているのは、外国人の雇用に関わる政策について、改正された法律においてもですね、監理団体の十分な対応ができていないという、そういった声が上がってきていますので、それについてきちっと対応するようにということであります。特に、移動が可能だという判断もできることになりましたが、監理団体が1社というか1つしか持っていない監理団体がたくさんありますので、そこではなかなか移動ができないという声も上がっています。それともう1つは特定技能に広げていくということに方向としては出ていますが、連合としては、日本の雇用されている日本人の方を含めて、地域や雇用状況、産業別も含めて、状況をしっかりと検証した上で、拡大していくことについては議論すべきだということで、安易に業種を広げていくことについては私たちとしては懸念があるということをこの間申し上げているところでございます。実際の政策施行までの期間ですね、今申し上げたようなことを含めて、政府あるいは機構等も含めて申し入れをこの間もしておりますが、続けてやっていきたいと思っております。
日経新聞のオオサワです。芳野会長に伺います。今年もよろしくお願いします。まず1点目、選択的夫婦別姓に関して伺います。立憲民主党の野田代表は、通常国会で党として議員立法を提出して、通常国会での実現をめざすということを改めて表明されました。公明党も含めて、少数与党という状況で選択的夫婦別姓の実現に前向きな勢力が過半数になりそうな勢いになっていますが、改めて通常国会で国会に求める対応を教えてください。
連合としては主要政党に対して政策要請を行っていますので、そこでしっかりと触れていくということになるかと思いますし、昨年、幹事長に重点政策の要請をしたときに、私は出席をしておりましたけれども、その時にも選択的夫婦別氏制度については直接申し入れをさせていただいていますので、今後の取り組みについて期待をしたいと思います。すでにこの件については多くの働く女性たちの活躍の場にとっては阻害要因の1つになっているかと思いますので、法改正というのは早急にやってほしいなと思います。
ありがとうございます。もう1点、別件で、節目なので任期に関連して伺います。年が明けて今年2期目の最終年になるかと思うんですけれども、任期向かえるところまで残りの抱負とですね、この間のご自身の取り組みの振り返りとですね、また、その先への思いももしあればお伺いしたい。
抱負といえばですね、まず私が就任した時に「連合運動のすべてにジェンダー平等の視点を入れていく」ということを申し上げ、様々な機会を捉えてこのことについて発信をしてまいりました。その結果、進んでいるかどうかということを考えますと、連合本部の女性役員比率は4割を超えていますので、一定程度成果が出たかなと思いますが、大会ですとか中央委員会といった意思決定の場への女性の参画というのは進むどころかちょっと後退をしていますので、ここはネジを巻いていかなければいけないなと考えています。その意味では、今日前に座っていますが、私たちがしっかりとこのことを構成組織また地方連合会に対して働きかけを強めていくということになるかと思います。そして、2025春季生活闘争、昨年は33年ぶりの高水準に終わりましたけれども、そこで浮かれることなく、今年はさらにその上をめざしていきたいと思いますので、これはそれぞれの加盟組合の労使交渉に期待をしていくということになるかと思いますが、連合としては精一杯後方支援をしていきたいと思います。そして、もう1つは、昨年連合としてははじめて被災地における緊急避妊薬のデリバリーの取り組みができました。これは本当にマスコミの皆さんも含めて、連合に関わる多くの皆さんのご意見・アドバイスがあってこの取り組みができたということで、おそらく連合結成して以降はじめての取り組みになったのではないかと思いますが、まさしくこういった取り組みが連合の役割の1つでもあると考えていますので、そういった取り組みも残りの期間やっていきたいなと、考えながらやっていきたいなと思います。
共同通信のヤマザキです。本年もよろしくお願いします。芳野会長に伺います。少数与党の中で、本予算について立憲民主党の野田代表も年頭記者会見で、必ずしも反対ということではないというような「与党がどれだけ降りてくるか」だというような話もされています。本予算に野党側が賛成することについて、こういう少数与党の中での対応については、どのように会長としてお考えでしょうか。
今の状況からしますと、やはり緊張感のある政治体制になったということは非常にいい方向に向かっているのではないかと思っています。その上で、本予算に賛成するかどうかというのはそれぞれの政党が判断することかと思いますので、政党の中でしっかりと議論をしながら結果に結びつけていければいいのではないかと思います。
月刊ファクタのミヤジマです。元旦の会長の挨拶の中に「組織率の低下が止まらない」と、これ1つやっぱり問われますね。その後、「労働組合は時代遅れでないか」と書いておられますね。結局、去年のことを考えると、ビラをまいたりポスターを貼るよりもSNSをやれば世の中が変わるような、そういうムーブメントがあって、国民民主党であれ、来たわけですね。すると労働組合運動とSNSというものについて、今、X(旧ツイッター)ぐらいしか見えませんけど、芳野会長これどうするか、それによってやっぱり組織率が上がるような取り組みってないのか、それを伺いたい。同じく松浦代行はまさにUAゼンセンさんですから、500も組合があって100万人という人がいるわけですよね、そういう人たちに対して、それほどXとかも含めてあんまりYouTubeもやってるように見えないんですけど、女性のそちらも素敵な方が出てきておられるわけですけど、やっぱりその辺も含めて労働組合運動とSNS、それはどういう相性なのか伺いたい。同じく石上さんも、そういう地方自治体の面的には日本全国をカバーしているわけですけどね、何か世の中を変えるときに今までのデモやビラまきは流行らないけどSNSで労働組合運動というのが興隆する可能性ということについて、ぜひ去年を振り返って、今年参議院選挙もあるわけですよね、その辺も会長と両代行に伺いたいと思います。
まず、連合の立場からしますと、非常に連合は発信力が弱いということはもともと言われていまして、ここは頭の痛い問題ではあるんですけれども、SNSの活用について連合の中でも検討していますので、今後どのように発信をしていくのかということを考えていきたいと思います。
UAゼンセンは組織拡大は進んではいるということでありますけれど、SNSの活用というのはですね、まあいろいろあれこれやってみて、なかなかうまくいかないというのが実態的にあると思います。ただ、結構長い期間取り組んできましたカスタマーハラスメントの問題、これはあるオーストラリアの商業の組合がやっている動画を見てですね、我々もやってみようということでやって、多くのマスコミで取り上げていただいたんですが、UAゼンセンチャンネルというのがあってですね、そこに動画載せているんですけど、閲覧が3万なんぼぐらいなんですね。流通業界だけで110万人組合員がいるのに3万なんぼしか見てないんです。ここらへんの難しさというところがどう乗り越えていけるのか、各産別が自分たちの活動を組合員にそういう形で伝えることができれば、今度は連合のことだって伝えることができる、というところは、私はそういう連動性を持ちながら産別も組合員とどうやって直に情報を伝えることができるか、いろんな機関紙なんかもどんどんネット化していますので、そういうものは使っているんですが、やっぱり皆さんが見ていただくというところのきっかけづくりがまだまだできていない、というところは課題だと認識しています。
今、松浦会長代行が言われたとおり、産別としては組合員に向かって様々な発信をしておりますけれども、なかなかそれが1人1人の組合員に伝わっているかというとですね、なかなか難しいというところがあると思います。ただ一方、どうしても我々が取り組むのがやはり、後っていうかですね、世の中で流行った後になる、それが実は結局追いついていないという面があると思うんですね。SNSも時代とともにというか、数年ごとに大きく変化をしていくので、これに労働組合が全部対応できるのかっていうのは非常に難しいところがあるなと思っております。その意味では、やはり基本は1人1人の組合員と話をするということだと思うんですけれども、そこも含めて、これからの取り組み、SNSを無視しているわけでもなく、実際に担当者もいて毎日苦労しながら取り組んでおりますが、そういった意味ではなかなか難しい状況だなと思います。
先ほど申し上げた動画ですが、あるインフルエンサーが取り上げてくれて、何十万も見てくれています。UAゼンセンのチャンネルは3万人しか見てない。
朝日新聞のフジサキです。芳野会長にお伺いできればと思います。先ほどのカンザキさんの質問に重なる部分があるんですけれども、去年の春闘すごく高い数字が出て、労働組合の皆さんのご努力がご尽力が大きかったと思うんですけれども、でも世間ではやっぱり経営者の声もすごく大きく見えてしまった部分があったかなと思うんですね。その点において、今年の春闘では労働組合が牽引したりとか主体となってどういうような春闘を展開していきたいと思われているか、もしお考えがあれば改めてお聞かせいただけますでしょうか。
加盟組合がそれぞれ交渉をしていきますので、連合としては交渉を見守りつつということですけれども、連合本部の役割としてはどれだけ波及ができるのか、賃上げのムードを高めていけるのかどうなのかというところが、連合としての役割かと思いますので、昨年は地方版政労使会議という施策を打ち出しましたけれども、今年は今年でまた違った戦略について現在検討中ですので、それが実現できればということかと思います。今の時点ではまだ申し上げることはできませんのでご容赦いただきたいと思います。
朝日新聞のカタダです。関連して地方版政労使会議でお伺いしたいんですけども、そのやり方を見ると、厚労省が知事の出席を求めたりとか名称を統一したりとか、24春闘と比べるとやり方がややバージョンアップしているような印象なんですけども、その、やり方を今回変えている、見直しているという受け止めと、また地方版政労使会議の期待を、賃上げの期待をお願いします。
昨年、1月から3月にかけて地方版政労使会議が開催をすることができ、連合としても地方連合会を通じて、どのようなメンバーでどのような形で開催できたのかということをヒアリングを行いました。非常に急遽の取り組みであったわけなんですけれども、濃淡があったというところで、本来の地方版政労使会議の目的をもう一度明確にしつつ、地方に周知徹底していく必要性があるということが分かりましたので、政労使意見交換のときに、地方版政労使会議のやり方、メンバー、目的について、もう一度周知をしてほしいという要請をしたところ、厚労省を中心に動いてくださいましたので、当初の目的どおりの開催になるのではないかということを期待しています。やはりこれからは地方がどれだけ活性化していけるのかということが1つの大きなポイントかと思いますので、この地方版政労使会議を通じて、先ほども申し上げましたけれども、それぞれの地域の実情を共有化しながら、地域の発展、また人手不足や少子化対策などについてもしっかりと議論をしていただきたいと思います。
すみません、たびたび恐縮です。ちょっとパレスチナ情勢について見解を伺いたいと思うんですけれども、連合はかつてロシアの、今も続いていますけれども、ウクライナ侵攻についてはですね、速やかに非常に厳しい批判の事務局長談話を出されました。パレスチナ、ガザ地区の状況を見ますと、女性、子どもばかりではなくて医療関係者やジャーナリストも多くがそのイスラエルの爆撃によって殺されると、国際刑事裁判所からネタニヤフ首相の逮捕状が出るというような状況になっておりますけれども、すでに何か見解出されたことはあったのかもしれませんけれども、この情勢についてどのようにお考えなのかということと、もう1つ、連合の見解もそうなんですけれども、ITUCはじめですね国際労働運動の中でどういう見解なり取り組みなど、連合で掌握されている部分がありましたら教えていただきたいと思います。
ロシアのウクライナ侵攻、そしてガザ地区の紛争についてですね、事務局長談話を出したとおりでございますが、連合としては恒久平和の実現というのが結成以来の連合のスタンスでございますから、国際的なところで今お話あったとおりITUC等の中で、このことについて議論をしながら対応しているというところでございます。それぞれの地域での紛争が、その地域だけにとどまらず、今回のイスラエル、パレスチナの問題が周りの国であったりとか、あるいは中東地域、そして様々な世界各国への様々な影響が出ているということから言うと、地域紛争として見過ごすことなく、世界の恒久平和に向けて取り組んでいく必要があると考えています。連合としては、ITUCという労働組合の中での国際労働運動の中でのことが1点、もう1つは政府そして外務省にこういったことについて要請行動を行っております。そういう形を通して、まさに今年、会長のほうからも冒頭挨拶の中でありましたが、敗戦、戦後80年ということを含めて、核兵器の廃絶と恒久平和の実現ということについて、引き続き連合として取り組んでいきたいと思っております。
ミヤジマです。松浦代行と石上代行に伺いたいんですけど、やっぱりこの10年の中で今年は参議院選挙、春闘もありますけど、現場でですね、たくさんの組合員がおられる組織ですけど、政治的な上げ潮感というのはどういう感じなのか。やっぱりこの10年の中でも、やっぱり勝負ということになっているのかね、現場の感じでどんな感じなのか、そこを伺いたいんですけど、どれぐらいの上げ潮感でしょうか。
どうなんでしょうかね、正直言って私どもが一番危惧をしているのは、根拠のない安心感みたいなものが職場に広がらないかいうところは一番危惧をしているところです。なんだか分からないけど議席増えたんだから大丈夫でしょうみたいなことが広がらないようにしなきゃいけないというのが、私どもが一番危惧しているところだし、やはり今の政治状況で言うと、何がどうひっくり返るのか分からない状況でありますので、とにかく今年年頭の永島会長の挨拶でも、しっかりと一言に根を張って活動していかなきゃいけないという話をしていたところであります。なんとなく、そういう、私どもが主に相対するのは組合役員なんですけど、そこのところで上げ潮感という感じよりは、なんとなくふわっとした安心感みたいなものが少しあるような気がしていて、それを危惧している、そんなところですね。
そうですね、私が今感じているのは、今の政治情勢を経験していない役員、今、単組や地方でやっている30代40代の役員というのは民主党政権を経験しておりませんので、この政治情勢というのはそこからはじめての情勢だと思っています。その意味では私が本部の役員としては民主党政権を経験した最後の人間でありまして、政権が、情勢が、変わることで何が起きるのかということについて実感がないという意味では、今年の通常国会からのこの期間の中でどういった成果が出せるのかということだと思うんですね。やっぱり情勢が変わると、政策が、政治が変わっていくのかということを見せられるのかどうか、これは野党全体としての課題でもあると思うんですが、そういった取り組みがこれから一番のポイントなんじゃないか、先ほど言われた上げ潮になっていくとすれば、そういう実感が組合員に見えるのか、ということだと思います。