芳野会長、清水事務局長(2024年9月20日)
大変お疲れさまでございます。本日も定例記者会見にご参加いただきまして誠にありがとうございます。
はじめに、去る9月2日に元連合会長の髙木剛さんがご逝去されました。慎んで哀悼の意を表したいと思います。髙木顧問におかれましては、2005年から2009年にかけて第5代の連合会長を務められました。会長在任中は、デフレ経済の進行に加え、リーマンショックにも直面しましたが、働く者、生活者の雇用と生活を守るため、ご尽力をされました。また、連合発足以来の悲願であった民主党政権の発足にも奔走されました。この度の訃報に接し、悲しみの念に絶えません。会長在任中をはじめ、生前は報道各社、メディアの皆様には大変お世話になりました。故人に代わり、私の立場からも皆様のご厚情に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
さて、連合は来月の中央委員会をはさみ、第18期の運動の後半に入ります。この1年間は、2024春季生活闘争での大幅な賃上げの実現や、能登半島地震への対応など、大きな取り組みが続きました。皆様には、都度、連合の取り組みを報じていただき、本当にありがとうございました。連合の認知度が低迷し、組織率も減少するなど、連合を取り巻く情勢は厳しさを増しているところですが、「働くことを軸とする安心社会」の構築をめざし、これからも地道に取り組みを進めてまいりますので、引き続きのご関心を寄せていただきますと幸いです。
最後に、立憲民主党の代表選と自民党の総裁選が大詰めを迎えております。それぞれの論戦を見ますと、活発に政策論争が行われているように報じられており、候補者それぞれの考えが国民にも可視化されているのではないかと思います。自民党総裁選では、解雇規制の緩和や「解雇の金銭救済制度」など、働く者に大きな影響を与える政策について、候補者が意見表明をされておりますので、この記者会見の後になりますが、解雇規制に関する緊急学習会を開催いたします。ぜひ、皆さまにもご参加いただき、理解を深めていただく機会としていただければと思います。なお、この後の学習会を予定している解雇規制に関する動きですが、ルール緩和の必要性もなければ「解雇の金銭救済制度」の導入も全く必要ないというものです。日本経済の立て直しの文脈で表明されているのかもしれませんが、労働力人口が減少し、慢性的な人手不足に陥りつつある中で、必要なことは、労働者が安心して能力を発揮し働くことができる社会のはずです。働く者の立場を不安定にさせる解雇が真っ先に論じられる姿勢は不安を煽り、かえって労働意欲を低減させることにつながります。これ以上のコメントは差し控えますが、働く者、生活者に寄り添った政策につながるような論戦を期待したいと思います。
以上、冒頭のご挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
はい、それでは、冒頭会長からありましたとおり、10月から第18期の後半の1年になりますので、そこでの活動計画ということで、2025年度の活動計画案について、8月は素案ということで出させていただきましたが、今日、案として中央執行委員会として確認をいたしました。最終的には10月3日の第93回中央委員会で、案として提案をし決定を見ていきたいということでございます。このことが1点でございます。
次に、女性活躍推進法の改正に対する連合の考え方について、ご協議をいただき確認をいただいたところでございます。女性活躍推進法については、時限立法としてできたわけでございますが、2026年3月で10年の期限を過ぎると、そういったことを含めてですね、この間、男女の賃金の差異の情報公開の義務化であったりとか、あるいはこの間の日本のジェンダーギャップ指数が相変わらず低位、世界最低クラスにあること、そういった状況の中で取り組みの加速が必要だという連合としての考えでございます。厚労省は有識者による検討会議を立ち上げて、8月8日に報告書を取りまとめていますけれども、女性活躍推進法を10年間延長すること、男女の賃金の差異の公表義務を101人以上の企業へ拡大すること、女性管理職の比率の開示を必須とすること、男女の性差に応じた健康支援をすること、こういった方向性について評価できると考えております。いずれにしても、女性の人権確保の視点が不可欠だということ、そして、目標の進捗が大変遅れているということで、遅れているというよりも、ほど遠いというような捉えをしております。より実効性のある内容に見直して加速することが必要だと考えています。また性別役割分担意識の払拭であったり、そういったことについてもしっかりと取り組んでいく必要があるということでご確認をいただいたところでございます。
続いて、ハラスメント対策強化に向けた連合の考え方についてもご協議をいただきました。いわゆるセクハラ、マタハラ、あるいはケアハラ、そしてパワハラ、こういったものについては事業主にハラスメントの防止措置を講じる、そういった義務付けがございますけれども、カスハラについては、「望ましい取組」として雇用管理上の配慮が記載される、そういった旨で止まっております。こういったカスハラに対する課題の認知が今広まってきております。カスハラの防止条例が、自治体では協議をされ成立をしようという状況でございます。厚労省も先ほどの8月8日の検討会で報告書を出しておりますけれども、職場のハラスメントは許されるものではないということについて、法律で明確にすること、あるいは「望ましい取組」に留まっているカスハラ対策や求職者に対するセクハラ等を含めて、事業主に措置義務とすることが必要ではないかと、こういったことで議論をし、連合としての考え方についてご確認をいただいたところでございます。
次に、第50回の衆議院選挙の対応方針について、今回は案ということで確認をいたしました。立憲民主党の代表選挙が9月23日、また自民党の総裁選挙が9月27日という、そういった日程でございます。10月1日には臨時国会が開催するという方向で日程が調整されているようにお伺いをしております。11月10日や、あるいは11月17日という日にちにプラスしてですね、10月27日の総選挙についても取り沙汰されている状況でございますので、今日の案の確認をもって、連合としては体制を整えたいということで、今日確認をいただきました。連合としては、立憲民主党・国民民主党に、両党が納得する形で国の根幹に関わる政策で合意する、そういったことが必要だということで、最終的に何か一定の合意に至るよう、連合として引き続き連合出身議員政治懇談会の協力を得ながら働きかけを行っていきたいと思っておりますが、総選挙までにはなかなかまとめるのはちょっと難しい状況かなということも懸念をしているところでございます。
また、衆議院選挙の対応方針として、この間決めてきたとおりでございますが、当面する国政選挙に臨む連合のスタンスに掲げた「与党を過半数割れに追い込み、今の政治をリセットする」と、この掲げたこれまでのスタンスに変更はなく、今日確認をしたところでございます。そして、小選挙区においては、連合推薦候補者の全員当選をめざすということを改めて今日確認をしたところでございます。現在、289の小選挙区のうち公認・内定をしている方、現職も含みますが、立憲民主党で193名と、国民民主党で39名と、12の小選挙区で両党が競合しているということであります。引き続き、両党で定数465の過半数を超える候補者の擁立と、可能な限りの候補者調整を求めてまいりたいということで、今日確認をいたしました。立憲民主党と国民民主党が、他党や会派と行う候補者調整については尊重するという今までのスタンスは変わりません。ただし、めざす社会が異なる政党等からの支援とは別であります。これも変更ございません。繰り返しになりますが、連合として容認できるのはあくまでも選挙戦術上の候補者調整までということでございます。今日は、皆さんにお配りした資料の中にありますが、特筆して共産党に関わって一定程度の文章を載せてございますので、それについてもお読み取りいただければと思います。これは、各地方連合会や構成組織の中から「なぜ共産党が連合の方針と合わないのか、なぜ支援できないのか」ということについて分かりやすく説明をしてほしいということの要望があったことについて、記載をさせていただいたところでございます。
また、第27回参議院選挙、来年の7月予定されている参議院選挙の追補版についても今日確認をしていただきました。次期参議院選挙が1年以内に迫ってまいりましたので、先行して手続きを進めてきました連合出身議員政治懇談会の、改選を迎える現職議員、元議員、新人議員、その擁立の推薦作業が一定程度を目処がつきましたので、今日からですね、全面的な推薦を、選挙区含めて受け付けていきたいということを今日確認したところでございます。
もう1点は、第50回衆議院選挙の候補者の予定者の推薦を今日も行いました。6地方連合会から6名、累計42地方連合会から164名の推薦を確認したところでございます。
もう1点は、この間、凍結となっておりました候補予定者の推薦の取消しについて決定をいたしました。当該地方連合会から申請がありました。具体的には、連合京都から前原誠司さんの推薦取消しの部分が上がりましたので、連合京都からの申請に基づき、推薦を取消したということでございます。その確認をいただいたところでございます。
そして最後に、先ほど会長からもありましたように、解雇規制に関する緊急学習会を開催するということで、多くの構成組織、地方連合会に、急遽ではありますが、ご参加をお願いしたところでございます。ぜひ、この後のご取材を含めてマスコミの皆さんにもオープンにしてございますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
日本経済新聞社のスズキです。自民党総裁選について2点お伺いいたします。選択的夫婦別姓について、候補の1人である小泉進次郎氏が関連法案の国会提出を言及しています。従来から選択的夫婦別姓の導入を求めてきた連合会長としての所感をお聞かせください。また、解雇規制の緩和についても小泉氏など複数の候補が言及していますが、この点についてもお考えをお聞かせください。
まず、選択的夫婦別氏制度についてですけれども、これは1日も早く実現をしてほしいと考えています。多くの女性が氏を変えている実態があるかと思いますが、基本的にこれは人権の問題だと思っておりますけれども、働いている女性は特に非常に今不都合があるということと、グローバル化の中で海外に行くときなども、氏が違うということで現地でのトラブルも発生しているということも聞いています。「選択的」ですので、すべての方たちが別氏にするということではなく、「選択的」ですので、これは1日も早く実現をしてほしいと私自身は思っています。
それから、自民党の総裁選での解雇規制の緩和ですが、候補者がどういった文脈で述べているのかということについて正確にはわかりませんけれども、連合としては解雇規制を緩和する必要は全くないと考えています。労働移動の観点から解雇規制緩和の必要性が論じられているようですけれども、労働者には職業選択の自由というものが認められているかと思いますし、今でも自らの意思で辞職し労働移動ができる制度になっています。そして、成長産業への移動が解雇規制緩和で実現するのかということが非常に理解しがたいと思います。そして、日本の解雇規制ですけれども、世界的に見ても厳しくないという認識を持っています。OECDの調査でも、日本は雇用保護が弱い国とされており、立法事実がどこにも見当たらないということです。
朝日新聞のサワジです。引き続き解雇規制について連合の見解をお伺いしたいんですが、1点目は、整理解雇ルールについて言及している小泉さんは、解雇規制の「緩和」ではないと「見直し」であるというふうにおっしゃっていますが、その点についての連合としての見解が1点と、それから、整理解雇法理については、かつて労働基準法の18条の2に解雇権濫用法理が入るときに、むしろ、その4要件を、4要件ないし4要素を、立法化することを連合は求めていたはずで、今回、小泉さんは第2要件だけ言及していますが、むしろこの議論に乗っかって、かつて連合が主張していたように整理解雇法理の実定法化を求めると、そういったような議論を起こすようなお考えはないのでしょうか。以上、2点お願いします。
まず1点目で、見直しについても必要ないと考えています。
4要件、今、サワジさんがおっしゃったとおりですね、当時、4要件について法制化する必要があるのではないかということを主張してきたことは事実でございます。その後、いわゆる解雇の、特に整理解雇等に関わったところについて、さまざまな制度の中で達成できているというふうに連合としては考えていますので、直ちに法制化というのは、今の段階では考えていないです。それよりも、労働審判制度であるとか、そういった制度が的確に運用される、そういったことをまず進めるべきではないのかということでございます。
選択的夫婦別氏のところで、今、女性活躍が非常に騒がれていますけれども、この選択的夫婦別氏制度の観点から考えると、やはり氏が変わるということは女性活躍の阻害にも当たっていると判断しています。
朝日新聞のマツイです。芳野会長にお伺いします。立憲の代表選が終盤を迎えていますけれども、これまでの論戦の中で、各候補者が他の野党との協力について、国民民主党とは4候補皆揃って協力をということを打ち出す一方で、例えば野田候補は維新とも協力を視野にした発言をされています。一方、枝野候補はどこかの政党との協力をメインにするのではなく、自ら自分たちで立つべきだということを言っています。こうしたそれぞれの候補の主張をどのように見ていらっしゃるのかということと、新代表が間もなく選出されますけれども、その新代表には他の野党とどのような形で向き合うことを望みますか。
連合としてはもう考え方がすでに固まっていますので、それを理解いただくということで、またトップ懇の日程調整も現在行われていますので、新代表が決まった時には改めて連合の考え方についてお伝えをするということになるかと思います。
NHKの記者のヒラヤマと申します。芳野会長に伺いたいんですが、解雇規制の緩和の関係ですね、河野さんが解雇の金銭解決の部分について主張してまして、解雇の金銭解決は専門家によっては、労働者側からの申立てでこういった制度があるというのは選択肢の1つとして、むしろ労働者側にとっても良いことではないかという意見もありますけれども、それも踏まえて、やっぱり見直しはしないべきだという立場をこれからも保持する、しようというところなんでしょうか。それについて伺いたいなと思います。
「解雇の金銭救済制度」についても、代表選挙の中で述べられている方がいらっしゃいますが、どういった文脈で述べられているのか非常に不明ですけれども、「解雇の金銭救済制度」の導入は全く必要ないという考え方です。「金銭救済」は一般的に労働者の選択肢を増やすという文脈で語られることが多いかと思いますけれども、労働者側は制度導入を全く求めていないと考えています。解雇が無効であれば、労働者は雇用が継続をしていますけれども、一方で解決金さえ払えば解雇できるルールとは一体誰のためなのかということが疑問ですし、不当解雇を正当化しかねない制度は労働者には必要ないと考えています。労働者保護のためには不当解雇の撲滅こそがあるべきであり、「金銭救済制度」の導入ではないと考えています。
手短に2問いいですか。日経新聞のハンザワと申します。芳野会長にお聞きします。金銭解決制度ですね、労働者側は誰も求めていないとおっしゃってますが、これはきちんとアンケートとかですね、ヒアリングをしてらっしゃるんでしょうか、最近とかですね、数年前とかじゃなくて。いわゆる若い人たちは転職とかをどんどんするような時代になって、一方で若い人だけじゃなくて、中小企業でいわゆるクビにされるですね、不当な解雇も結構あると。そういう中で、選択肢という意味で、労働審判よりですね、もうちょっと高い金額になるかもしれないという、そういう意見もある中で、本当に労働側が求めていないのか。それはきちんと聞いたんでしょうか。
自発的に労働移動することについて連合としては否定するものではありませんので、そこはご理解いただきたいと思います。労働者からの訴えに限定しているということで、一見労働者の救済に資するような制度に見えるかもしれませんが、実際に導入されれば、裁判になった場合の解決金の水準を1つの目安にしながら、使用者側から示談を持ちかけるケースなどが横行し、リストラや退職勧奨の手段として使われる恐れがあると考えています。また、将来的に使用者からの申立ても認められる可能性もあるのではないかと思います。こういった懸念の多い制度を導入する必要は全くないというふうに考えていて、むしろ、先ほども触れましたけれども、髙木元会長が多大なる尽力をして創設をした労働審判などの現行の労働紛争解決システムの活用を促すことで、労働者保護をはかる取り組みを進めていくことのほうが先決ではないかと考えています。
アンケートとか含めて、直近で聞いてるとか、そういうわけではないってことですね。
アンケートは実施してないです。
2つ目で、これ解雇規制の話とちょっと離れるというか、近いんですけども、自民党総裁選の議論の中では解雇規制に関しては見直しについていろいろな意見ありますね、慎重論、反対論もあると。一方で労働市場改革というところには、皆さんですね、候補者はやるべきだと。あと、いわゆる円滑な労働移動というのは必要だというようなことをおっしゃっている方が多いですね、転職したい人にどんどんできるように。で、この円滑な労働移動に対する連合さんの見解をちょっと改めてお聞きしたいんですけども、いわゆる経労委報告への見解とか拝見すると、いわゆる労働移動の促進を目的化してるんじゃないかとかですね、やや慎重な印象があるんですね労働移動に対する、新しい資本主義会議でも円滑な労働移動ってことはあると思うですけれども、人手不足の中で必要だと思うんですけれども、改めて連合さんは労働移動ということについて、円滑な労働移動を政策として進めていくということに対してどうお考えなのか、賛成するのか、それとも慎重なのか、その理由も含めて教えてください。
産業構造の変化の中で労働移動が発生するとするならば、まず企業の中でのリスキリングなどを進めて、企業の中での配置転換などで対応するべきだというのが1つあります。そして、先ほども申し上げたように、自発的な労働移動については何も否定していませんので、ここのところは本人の意思ということになるかと思います。そして、もう一方で、リスキリングと学び直しというものも出ていますけれども、リスキリングをしたことによって、例えば技術・技能を身につけた場合、それがしっかりと次の職場で発揮することができるという保証があればいいわけですが、今の時点ではそういった保証もありませんので、労働移動したくなるような、まず魅力ある産業を国が作っていくということが先ではないかなと思います。
毎日新聞、タナベです。共産党との関係のくだりなんですけれども、今の立憲代表選の各候補者の発言の中で、共産党、このスタンスと照らし合わせて、何かその会長なり事務局長なり、気になること、ちょっとこれはスタンスを超えてるんではないかとか、そういったくだりがまずあるかどうか、そのへんお聞かせください。
共産党とのことですか。そんなに違いはないかと思います。
それともう1点ですね、今回、共産党との関係というのを加えて書いているということですけれども、これはやっぱり連合の中だったり、もしくは周辺の支援している人たちとかの間で、「なぜ共産党とやってはいけないんだ」とか、そのへんのご意見があったりするので、改めてということでしょうか。
地方連合会や構成組織から、特にやはり若手の方から、「どうして同じような主張の部分もあるのに一緒にやれないのか」とか、そういったことについて説明をする分かりやすい説明文章があるといいということがあって、それに応えてきたものであります。そもそも私たちが連合結成以来積み上げてきたことを一定まとめたということですので、今回のことで言えば、プラスしたと言えば、特に野党共闘とか市民連合の部分について「なぜ市民連合の皆さんはダメなのか」という声に対しては、少し現実的な、この間の選挙での市民連合とのあり方が、やはり連合の求めているものをちょっと逸脱している部分があってですね、そういったところについて書き加えたところがありますが、その前段の二段落については、この間、結成以来ずっと言ってきていることなので、改めて、役員の皆さん、そして若手の皆さんにも分かるように文章にさせてもらったということであります。
朝日新聞のキタガワです。芳野会長に賃金関係のことで2問お伺いしたいんですけれども、1点目なんですけれども、6月分7月分の毎月勤労統計で実質賃金が2ヶ月連続でプラスになってきているような状況だと思うんですけれども、これに関して一定程度実賃金がずっとマイナスが続いてきたわけですけども、プラスが定着してきたというふうに見ていらっしゃるのか、一時的と見ていらっしゃるのか、今後の賃金の推移などについても併せてお伺いできればと思います。
まず、6月7月で実質賃金がプラスに働いたということは安堵しておりますが、6月7月というのは、いわゆるボーナスが出る月に該当しますので、その影響が大きかったのではないかなと思います。これから先なんですけれども、実態が出てきますので期待はしておりますけれども、やはり物価高が続いていますので、まだまだ賃金はもっと上昇させないといけないなという認識を持っています。
2点目なんですけれども、10月の中央委員会を経て、来年の春闘、2025年の春闘に向けての議論も本格化してくるかと思うんですけれども、今年の結果が、連合が当初方針として掲げていた5%以上という方針でしたが、要求・回答ともにこれを大きく超えるような水準だったわけですけれども、このような状況ですとか、今さらに賃金高めていかなければならないというふうなご発言もありましたけれども、こういった状況、足元の状況も踏まえて、今後どういった議論が考えていかれるのか、さらに目標なんかも高めていく必要があるとお考えかどうか、この点についてお伺いでいけばと思います。
加盟組合の役員の皆さんの努力で、33年ぶりの高水準が今回達成できたということについて非常に安堵しているわけなんですけれども、2025春季生活闘争についてはこれから議論を始めていきますので、今日の時点ではコメントを控えたいと思います。2024の時も申し上げましたけれども、やはり中小・小規模事業所をどれだけ底上げができるかということが2025もポイントになるかと思いますし、とりわけ地方の中小・小規模事業者は本当に疲弊してきていますので、そのためには今年も強化をした価格転嫁の取り組みについて、さらに職場に周知をしなければいけないと思いますし、今年はじめて実施できた地方版政労使会議なども活用しながら、賃上げの機運を2025に持続していくように、2024から2025に継続していくように、取り組みは強化していきたいと思います。
シカタといいますが、解雇規制について清水事務局長も含めてお聞きしたいんですが、先ほどの答弁でですね、先ほどの答弁で、解雇規制の4要件で、4要件ですね、解雇規制の4要件、そのうち、ある議員、ある自民党の議員に2項目目の解雇回避努力を見直せばいいという意見があるんですが、その4要件の中で、事務局長は「その後、論議があって達成できている」ということを言われたんですが、達成ね、要するに法案化する必要はないんだと、達成できているからと、言われたんですけれど、どういうことを含めて達成と言われているのかね、これ論議経過からいくと、たぶん今論議があって条文では「客観的・合理的理由がない解雇は無効」という権利濫用説になっているわけで、しかし、客観的・合理的理由という中身については何もないわけです。だから、裁判とかなんとかでね、客観的・合理的理由について争いがあるわけですが、この4要件を法制化の論議があった中で、達成できているというのは、どの部分を指して達成と言われたのか、その中身をお聞きしたいのが第1点です。
それから、あとは解雇の金銭解決については、現行法でも解雇の規制については、例えば産前産後休暇とかですね、労災の終わった後の解雇とかですね、あるいは不当労働行為に係る解雇とか、だいたい13か14の解雇の規制はあるわけですよ。もし金銭解決を認めると、そういう出産とか産前産後とかね、労災の後の終わったこともね、首を切ってもね、金を払えばできるということなんですよ。ということは、今ある規制がもう全部なくなって、首切り自由社会になる可能性があるわけですよ。そういう点からいけば、そういう、何ていうのかな、解雇金銭解決について、金を出せば済むんだったら、現行の雇用保障規定を台無しにするという、そういうこともあるわけで、そういう点で言うと芳野会長言われた不当解雇を許さないということあるんですけど、もうちょっと、そういう、要するに現行ある組合活動家を切るとかなんとか含めてね、何でもできるということについては、もうちょっと警鐘を乱打する必要があるのではないかという気がしますし、そのあたりどう思われているのかということと、それから、転職ですよね、転職の問題については、アンケートをするというような意見がありましたけれど、厚生労働省の実態からいくとね、転職希望といっても、実際見ると働く人間の10数パーセントぐらいしか転職をしたいということはあまりなくて、しかも、転職した場合に処遇が上がるかどうかという点から見れば、転職して処遇が上がるのは10パーセントぐらいなんですよ。ということは、日本の場合は外部労働市場が整っていないから、首切られてよそに行った場合は、結局、賃金が下がるケースが多いわけですよ。そういう点からいけば、もうちょっと外部労働市場をどうするかというのも含めてですね、その転職の問題とかね、アンケートの実態がそういう、そんなに多くないし、移っても賃金が上がる労働者は少ないというあたりを含めて、もうちょっと転職についてはチェックを厳しくしていく必要もあるんではないかと思いますが、で、審議会の論議なんか聞いていると、言ってみれば、解雇した場合は、現職復帰ですよね、明記するべきだというのがありながら、日本の場合は無効が決まってもそのあと職場に戻すということはどこもないんですよ。だから、厚生労働省の議会なんかでは、むしろ、首切りでそうするんだったら無効の場合は職場に戻すという、そういう権利を明白に書くべきではないかという弁護士もいるわけです。そのあたりを含めてですね、要するにこの解雇自由とか、それから転職の問題については、連合は反対ですけれど、もうちょっと厳しく対応をされるべきじゃないかと思うんですけれども、そのあたりを含めて、会長と、清水事務局長にはその達成できている中身は何を指して言われているのか、そのあたりを含めてお聞きしたいと思います。
今のお話は、特に後半お話しされたことはまさにその通りだと思いますので、連合としてはそういったことも含めて今日も緊急学習会を展開するものでございます。まず、「達成」という言葉が適切だったかどうか別としてですね、いわゆる4要件、これについてしっかり示されて、そしてこのことを法制化というのは確かに連合としても議論はありました。で、その後、やはり裁判例で積み上げて、こういったことは不当の扱いですよということの、やっぱりその裁判の判決の例が積み上がっていますから、そのことで十分対応できるんじゃないか。それから、先ほども言いましたが、その後にできた労働審判制度、この辺りもしっかりと機能することで十分やれると私は思っています。達成というのは、そういった意味で発言をさせてもらいましたが、もう1点、現在も最後は金銭で解決しているじゃないかと、だったら制度を入れて、より高い額でまとまるような形が、それも選ぶものの1つじゃないかというご意見があることも分かります。ただ、私はやっぱりそういうことを入れることによって、低きに低きに、悪いほう悪いほうに使われてしまう。残念ながら日本の労働法制の部分を見ると、やはり悪しきに使われるという例のほうが多いですから、私たちとすれば、規制緩和の必要性はまったくないということで、私はそういう意味で発言させていただきました。
冒頭の挨拶の中でも触れましたけれども、ルールの緩和ですとか、「解雇の金銭救済制度」の導入、両方とも全く必要ないということですので、今回、緊急学習会も開催をするということです。それから、転職による処遇というお話がありましたけれども、先ほど言った、「魅力ある産業」という中には、自発的に転職をする、そして転職をした後やはり処遇が改善されてなければ意味がありませんので、そういったことも国の施策でやっていく必要性があるのではないかなと思います。
日経新聞のマツイです。芳野会長に2つお願いします。解雇規制の必要性というのが政治的な議論になっているのは、産業構造の変化が加速して企業の新陳代謝が求められる中で、企業にとっても働き手にとっても、終身雇用が限界に達しつつあるという認識があるんじゃないかなというふうに思います。今なお終身雇用が標準となっている日本の働き方の現状について肯定的に評価されますか。
終身雇用は決して悪いものではないと思いますし、安心して安定的に働き続けられるっていうことは労働者にとってプラスなことだと思います。それと、自分の働いている職場が好きだとか、一緒に働いている仲間が好きだとか、それってすごく私は大事なことだと思いますので、1つの会社で長く働き続けられるというのはとても素晴らしいことではないかなと思います。
それとも関連するんですけど、先ほど、政府が労働移動を後押しするのであれば、魅力ある産業を国が作るべきとおっしゃいましたが、ヨーロッパですと、労組が経営側に協力して職業訓練などを実施することで労働移動が生まれて、それがスタートアップの勃興につながるといったことが起きているんですけれど、新しい産業の育成に果たす労組の役割について会長はどんなふうにご覧になりますか。
日本の場合には、やはり企業内組合ですので、それぞれの企業ごとで職業訓練を行う、大手などはやっているかもしれませんが、1つの企業、労働組合でやっていくというのは非常に難しいのではないかなと思います。産別によっては横断的にやっているところもあるか、そういうところもあるかもしれないですし、企業ごとに人事交流などで技能・技術を高めているところもあるかと思います。そういう中で、今後の労働組合の役割という点については、課題としてこれから連合全体として考えていく必要性があるかもしれませんけれども、やはり私たちとしては1人1人の労働者の能力と意欲、パフォーマンスが上がる環境づくりというものは、きちっとやっていかなければいけないと思いますので、そういったことについては施策として国に求めていくというのは今後も続けていく必要性があるかなと。
共同通信のヤマザキです。推薦候補の取り消しについての、前原誠司さんのところなんですけれども、8月27日に連合京都に対して状況説明があって、その結果取り消したということですけど、どういう説明があって取り消しに至ったのかご説明いただけますでしょうか。
1つは、維新と合流されることについて協議をされているということについての説明がございました。そのことについて、そういった協議をされるということについては、私たちとすれば「教育無償化を実現する会」のその形であればですが、新しくそういった合流ということについてであれば、そもそも方針とやはり違うということになりますので、そのことが1点。
もう1点は、総選挙が近づいてきましたから、連合京都とすれば、京都の選挙区6つですかありますが、そこに連合京都の推薦する候補者がいるわけですね。かつて前原さんは当然一緒に応援をしていたわけですけれども、「その方たちに対してどういう態度を取られますか」といったときにですね、そこに維新の候補が出られれば、それは維新の候補を応援するというお考えなので、それではとても推薦はできませんということで、基本的な考え方、対応が違う政党と連携しようとしている、そういったことの部分は推薦できないことがありますというスタンス、決めてきたスタンスにやはりそぐわないということで、連合京都から推薦取り消しの申請が上がってきたということでございます。その2点です。
ファクタのミヤジマと言います。1週間後に、43歳の総裁総理になる方が決まる可能性があるわけですね。そういう中で、この方が言っている労働市場改革が、1年以内に決着しないといけない言ってるんですけど、まあ、いろいろ彼が言っていることを会長は聞かれて、どれぐらい腑に落ちるというかですね、私は半分ぐらいしか何をやりたい人なのかっていうのはよくわからない。ここのところをまず伺いたい。例えば、この人が総理になると、おそらく1年以内ですから、労働市場改革と、これの委員会を作ってね、じゃあ連合のトップに来てほしいと、こういう話になるんでしょうけど、それは別にしても、要するに本当に分かって議論してるのかなというか、率直に言って危ないというか、要するに彼が改革したいって、1年でやるって言ってるわけですけど、連合はこれやる必要ないってはっきり言ってるわけですよね。まったくだから平行線なわけですよね。だけど、もともと彼が言っていること自体が理解できないようなところがあるんですけど、じっくり小泉さんに話を聞かないといけないと思うか、お話にならないと思うか、率直な感想を伺いたい。
どういった文脈で述べられているのか正確には分かりませんのでコメントは非常に難しいんですが、この間の発言を聞いていますと、いろいろなことが少しごちゃごちゃになっているのかなと思いますので、ご発言をきちっと整理していただくということが必要ではないかということが1つと、対話がなければこちらの考え方もお伝えすることはできませんので、機会があれば、連合の考え方、そして労働者・生活者としての視点に対する考え方などもお話はしたいと思います。
いささか乱暴だという感じはいたしませんか。
乱暴だとは思います。
朝日新聞のニシオと言います。今の質問のところに関連するんですけれど、解雇の金銭解決のほうは比較的議論の蓄積があった上での、っていうことなんですけれど、4要件のほうはそういったものはそもそもないでしょうし、1年で決着っていうところは乱暴だという、プロセスに対してもそう感じているという、今のご発言でよかったのかというのが1点と、もう1つは、退職所得課税に関してはですね、これは確かに同じ会社に長く勤めたほうが有利な制度で、退職金も無い中、若い人の転職も増えている中で、働き方に中立的な制度への移行を求める連合の立場からはどういうようなお考えかお聞かせください。
繰り返しになりますけれども、どういう文脈で発言されているのかがわからないので、そこはきちっと整理をされた上で、こちらも対話していきたいと思います。
退職所得課税の関係はまた事務的なところでお答えを詳しくはさせていただきたいと思います。連合としては、勤続年数に関わらず、勤続1年あたりの退職所得控除の金額を一定にしていこうという大きな方針は税制改革の政策の中では掲げているところでありますが、より詳しいところはまた事務局にお問い合わせいただければと思います。
労働法制全般に関わって、今、厚生労働省でも検討会を開いて様々な労働法制のあり方について議論しています。そもそも、そういう議論の中で労働移動についても様々な議論が出始めているという中で、今回の総裁選での発言になっているのかなと思いますが、今、候補の方が何をおっしゃってもですね、最終的にはしっかりと国会で議論される、特に今回のような9人の方が様々なことをおっしゃっていますので、そのことが法律に関わることがあれば、まさに衆参の議会で、国会で話し合われることであるので、今、議論がたくさんこういうふうになっていることは、私はよいことだと思います。本当にそれを受けて衆参の議員の皆さん、総選挙をやれば新しい議員の皆さんがですね、真摯に議論される、そういったことが私たち労働者・生活者にとっても素晴らしいことだと思いますし、そういった意味で選挙にも臨んでいきたいなと思っています。以上です。