記者会見 2022年1月

 

連合記者会見

1月定例記者会見

芳野会長、清水事務局長、村上副事務局長、仁平総合政策推進局長(2022年1月20日)

連合記者会見全文
芳野会長

 大変お疲れさまでございます。1月5日に新年交歓会で記者会見を行いましたが、早いもので2022年を迎えもう20日が経ってしまいました。本日はじめてお会いする方もいらっしゃるかと思いますので、少し遅くなりましたが謹んで新年のご挨拶を申し上げたいと思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします。また、マスコミの皆様方にはご多忙の中、連合の新年交歓会にご来席いただき誠にありがとうございました。今年1年間も様々な課題に立ち向かっていかなければならないと思いますが、力を合わせて一歩一歩運動の前進に努めてまいりたいと思っておりますので、変わらぬご協力ご支援をお願いしたいと思います。
 今年の新年交歓会以降、今年は総理のご来席もあり多く報道がされました。その中で立憲民主党・国民民主党両代表の来賓挨拶が今年はなかったという報道がなされております。連合は結成以来、ILOが確立している政労使の三者構成原則から、(例年の)新年交歓会において、連合は労働者代表として政府と使用者の代表をお招きし、ご挨拶をいただいています。そして各政党等の代表者の皆様には鏡開きにてご紹介をしています。今年は総理のご来席という、9年ぶりのご来席ということもあると思いますが、改めて連合としての考え方をお示しさせていただきたいと思います。
 まもなく2022春季生活闘争が本格化をいたします。ご案内の通り連合は年末、連合白書を提示し、そして一昨日18日に経団連は経労委報告を公表いたしました。連合の見解等についてはすでに事務局長談話として出しております。構成産別、また中央委員会等々で今後機関会議を開催し、産別の方針を決定、そしてそれに基づく加盟組合の要求方針の作成、そして決定という運びになっていくかというふうに思います。今年の春季生活闘争は、まずは経済成長による業績の後追いということではなく、コロナ後の世界、5年後10年後の日本社会の未来を見据えて、将来の活力の原動力となるような「人への投資」を労働組合として積極的に求めていくということ、2つ目としては連合のすべての組合が賃上げに取り組むということ、最後に3つ目になりますが「みんなの春闘」で社会全体の底上げ・底支え・格差是正の流れを強く求め、基本スタンスにそれぞれの置かれた状況を踏まえ最大限に努力していきたいと思っています。足元ではオミクロン株の感染拡大ですとか、原油、資源価格の上昇など、先行き不透明感を増す要因も出てきていますが、労使で徹底した議論を重ねながら粘り強い交渉をしていきたいと思っています。来週26日の朝には恒例の連合と経団連との意見交換の場も設定をしています。ここからがメディアの報道も盛んになってくるのではないかというふうに思います。コロナ禍の状況であり私どもにとって非常にやりにくいことも事実ではありますが、コロナ禍を理由にされるということは避けられないかもしれませんけれども、連合としては覚悟を決めながら連合の考え方をしっかり貫いていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

清水事務局長

 第4回の中央執行委員会で主な協議事項として確認をいただいた点について述べます。1月17日に開会した第208通常国会における法案対応案についてご協議をいただきました。2022年度予算、税制改正、雇用保険法等改正を最重点法案とし、計8本の法案に対する連合としての現時点での判断についてご確認をいただきました。また終了後に第2回の中央闘争委員会を開催して、2022春季生活闘争に関わって至近の情勢について、経団連の2022年度版経営労働政策特別委員会報告・経労委報告に対する連合見解、当面の闘い方、当面の日程などについてご確認をいただきました。この件についてはこの後担当の仁平総合政策推進局長からご説明をさせていただきます。私からは以上でございます。

仁平総合政策推進局長

 別紙のほうで中闘の確認事項を配らせていただいております。ポイントかいつまんでご紹介させていただきたいと思います。別紙の1をご覧いただきたいと思います。5ページにございます。第6波の、日本も真っ只中でございますが、昨年に引き続きのコロナ禍の春闘ということで、コロナ禍の経済回復、この国際比較を少し補足の資料として今回別紙で付けております。ポイントを申し上げますと、上の実質GDPと個人消費のところが、新型コロナの感染状況と、コロナ対策で打っている政府の経済対策の規模などを比較しますと日本は悪くないと思いますが、ご覧の通り実質GDPの推移でいきますと2020年4月~6月、どこの国も落ち込んでおりますがここのマイナスというのは中ぐらいですが、足元の回復状況は一番悪いという感じであります。その主な要因は個人消費の動きかなと見ております。その背景の1つとして、下にグラフを書いてございます。賃金の諸外国と、コロナ禍での諸外国と日本の賃金の動きということでございます。他の国は賃金が対前年プラス、少し見にくいですが伸び率で見ますと水面上で動いているのに対し、日本は水面下ということで動いているということ、それともう1つ物価の関係です。国際的にも上昇局面にございます。日本においても9月以降プラスに転じておりますが、物価は上がって賃金が伸びないとするとコロナ禍の経済回復はさらに遠のくということで、資料を付けております。次の別紙の2が昨日発表いたしました連合総研のシミュレーションの改定でございまして、これも実は1か月ほど例年より早めさせてこのタイミングの発表で調整をさせていただきました。会長からございましたが、別紙3は昨日公表いたしました連合の経労委に対する見解で、説明は割愛いたしますが質問などあれば後ほど答えさせていただきたいと思っております。本文のほうで、ポイントとしては、日程関係で2つほど申し上げておきたいと思っております。これも会長と被るのですが、2ページのところでございます。4.ですが、経団連との懇談会、1月26で確認をいたしました。それとポツの2つ目で、2.3の集会、WEBとリアルとの併用で開催しようと思っていましたが、この状況の中でWEBでの無観客での開催に切り替えたいということで確認を本日させていただきました。ただ取材については、会場にマスコミの皆さんには来ていただけるように手配をしておりますので、ぜひとも取材等お願いしたいと思います。以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(NHK・ヨシダ氏)

 NHKのヨシダと申します。会長に春季生活闘争のことについて改めて伺わせてください。一昨日ですが経団連のほうで経労委報告がありまして、このことに関して連合からも事前にコメントが出ている状況かと思いますが、改めて経労委報告について評価できる点、あるいは連合の方針と相違している点、今年の春闘で改めて強調したい点、この3点がどこなのか会長にご説明をお願いいたします。

A.(会長)

 まず報告の中で、連合としては2022春季生活闘争への見解として基本的な考え方において経団連と共通している部分は多いという判断をしています。また、「人への投資」の重要性についても認識を共有とし、「多様な人材一人ひとりが持てる能力を最大限発揮して活躍することこそが、企業の成長の原動力であり起爆剤となる」というふうにしていますが、一方で個々の企業に適した対応をすることが現実的とするなど、ミクロの視点にとどまり日本全体の経済から考えるといったマクロの視点が欠如しているのではないかというふうに考えます。また、人材が最も重要な経営資源とするならば社会インフラの整備に丸投げすることではなく、不安定雇用の拡大と中間層の収縮、貧困ですとか価格差の拡大などコロナ以前から積み重なってきた分配のゆがみにメスを入れ、企業としてスキルアップと処遇改善を強化すべきではないかというふうに考えています。また、経団連はSDGsの掲げる持続可能性と包摂性を踏まえ、誰もが多様な才能を発揮できる社会、安心して暮らし挑戦できる社会をめざしているはずであり、社会全体を見渡し国民生活全体を向上させるために指導性を発揮していただいきたいというふうに考えています。

Q.(NHK・ヨシダ氏)

 補足で伺いたいのですが、特に賃上げの部分について相違があるのかなというふうに感じておりまして、連合としては月例賃金の改善にこだわるというスタンスかと思うんですけれども、このベースアップの部分について、ベースアップのところについては改めてですね経労委報告の内容を受けて会長としてどのようにお考えになっているでしょうか。

A.(会長)

 私としては、連合方針が決まっていますので、連合の方針に基づいて構成組織が方針を立て、そして加盟組合についてもしっかりと方針を立てながら要求を出し交渉してほしいというふうに考えています。すべての組合が要求を出して交渉をしていただきたいということです。

質疑応答[2]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 3点ありまして、最初の2点はぜひ会長にお願いしたいんですが、1つは雇用保険法についてですけれども、年が変わって部会の報告がまとまりました。それで、労使ともにかなり反対意見が付くという形でまとまっていて、今日の資料でも法案に対する対応として修正を求めるというふうになってますね。具体的な取組みとして国庫負担の問題と、それから新しく提案されている繰入制度について言及されていますけれども、これは具体的に法案の中の修正、法案自体の修正を強く求めていくということなのか、あるいは付帯決議のレベルなのか、そのへんの踏み込み方とそれから法案全体の評価について改めて会長の見解をお聞かせください。
 2点目が、今日の資料に入っているベルコ事件の札幌高裁の話ですね。これ珍しく連合が、連合本部自体が支援している裁判闘争だったと思うんですけれども、これが和解の方向になったということについて連合としてはどういうふうに評価されるのか。
 3点目は細かいことなので仁平さんでも構わないんですけど、今年の2022の連合白書、昨年までと比べて何か特徴とか新しく言及しているところがあったら教えてください。以上3点お願いします。

A.(会長)

 まず1点目は、法案修正を求めていくということになるかというふうに思います。それとベルコについては、現在詳細を詰めている段階ですので、詳細については今日は控えさせていただきたいと思います。

A.(仁平総合政策推進局長)

 白書について、本日参考資料で配らせていただいております。従来との違いという意味では、まず見た目、表紙は組合の人に描いてもらいみんなの参加型で作っており、非常にシンプルなものとさせていただきました。総論のところですが、従来全体に関わる認識とその後に春季生活闘争に関わる考え方の解説みたいにしていましたが、今年は全部一気通貫させていただきました。まさに中期的な視点で今の課題を、なぜこういうことになっているのかということから説き起こし、我々として「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けてやはり運動を進めていくんだ、その中で2022の春季生活闘争の意義役割というのはこういうところにあるということで、書きぶりといいますか全体の流れを作らせていただいたというのが1つの特徴です。もう1つの特徴は、コラムのところです。UAゼンセン、JAM、損保労連ですが、連合の取り組みのみならずやはり実際に運動をしているこういう構成組織の取り組み、先進的な取り組みについて運動面を特に強調して紹介させていただいたというのは今回はじめてだと思います。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 雇用保険のところで確認ですけど、その法案の修正を求めるというのは、本則、国庫負担の法則のところについて修正を求めていく、そういう理解ですか。

A.(事務局長)

 本則のところは雇用保険部会でもずっと主張をしてきました。その部分について法案としては報告を受けて法案要綱が作られていますので、基本的には部会に参加をしてきましたので、そういう立場でいうとなかなか修正は難しいというふうには思っています。ただし、予算あるいは法改正については、国会での、いわゆる立法府の仕事でございますから、こういった部会での話があったこと、それぞれ私たちだけでなく使用者側からも意見があったこと、そういったことをきちっと国会での議論に付していただき最終的に法案についての是非について、私たちとすれば修正する必要があるだろうという主張をして参りたいと思っています。

質疑応答[3]
Q.(東京新聞・アツミ氏)

 会長に1点だけ伺います。冒頭お話ありました「みんなの春闘」で格差の流れをということで、再三おっしゃってると思うんですけど、賃金統計見ますと、男女の差、雇用形態間の差、企業規模の差、その3つとも相変わらずすごい大きな差が残り続けているかと思います。連合として取り組み続けていらっしゃったと思うんですけど、これまで何がその格差是正にとって足りなかったのか。今回新会長をなられて何を新たにできるのか。この格差是正について、この3つの格差についてもう少し詳しく伺えればと思います。

A.(会長)

 まず雇用形態間の格差については正規・非正規のところだというふうに思いますが、やはりその価値に見合って、働きの価値に見合った処遇になっているのかということを職場の中で点検してほしいと考えています。そのベースになるのは同一労働同一賃金のところになるかと思います。それから企業間の格差についてはこれまでも申し上げている通り、やはり今非常に原油の高騰ですとか、資源の高騰で非常にその価格転嫁をしていくことが難しくなってきているとは思いますが、そこをやらない限り格差は縮まっていかないというふうに思いますので、これは中小の経営者の皆さんとも共有化できるかと思います。公正取引の関係をしっかりと取り組んでいくということと、政府にも引き続き投げかけていきたいというふうに考えています。それから、もう1つ男女間の賃金格差についてはこれまでも申し上げてきた通り、何が要因になっているのかということの分析をそれぞれの加盟組合の中でやっていただきたいというふうに考えています。職種・仕事に偏りがあるのかだとか、教育プログラムの中で何か差があるの無いのかとか、無いとは思いますが制度上育児休業制度を取ることによって不利益扱いは無いというふうになっているかと思いますが、やはり子育てに関わっていたりだとか介護に関わっていたりだとか、そういうことがあると若干昇進昇格に影響が出ていたりということもありますので、そうした細かい分析をしていくことで是正に結びつけていければと考えています。

質疑応答[4]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 会長に何点かお願いします。1点目ですけども、中小の、JAM出身の会長にたぶん思い入れ強いと思いますけども、中小の春季生活闘争要求なんですけども、ここのところもうずっと10,500円という形で今回もそうですよね。そういう中で格差開いてきているという現実はもちろんあるわけで、どういうふうに打開していくのかと。同じ要求を毎年毎年この部分では見ているので、どういうふうに打開していくつもりなのかということをまず1つお伺いしたいです。
 あとはもう1つ、経労委報告の中で、特にここがというわけではないんですけども、その経労委報告も含めてジョブ型雇用というものを進めたいという経営側の意向というのがちょっとかなり出てきていると思うんですけども、日立さんなんかもジョブ型に移行すると。その評価内容なんかを公表するというような報道も一部にあるんですけども、このジョブ型雇用について会長はどうお考えになるのか、どういうジョブ型雇用がいいのか、あるいはジョブ型雇用は好ましくないのか、あ、ジョブ型賃金ですね、ごめんなさい、好ましくないのか等含めて、会長はどのようにお考えになっているのかと。これは例えばその正規と非正規の間でも同じなんですけども、そのジョブ型という形で職種で賃金決まるような形にしながら、非正規は別よ、というようなことを考えているような節もありますんでね、そういうのも含めてどう思うかっていうのをお聞かせください。

A.(会長)

 まず中小の部分ですが、これまでも申し上げている通り、まず第一義的には経営状況がどうであれ要求をしっかりと出していき、企業と交渉していくというところが非常に重要だというふうに思います。この間どうしても買いたたきですとか、そういったことによってなかなか賃上げもできない、また経営状況も非常に厳しいというふうにいわれていますが、今年の春季生活闘争においては連合としてすべての組合が要求を出し会社と交渉していくということを掲げていますので、まず第1段階としては格差を縮めていくためにはまず要求書を出して交渉していくということです。そして連合は未来に向けての春季生活闘争という考え方も持っていますので、5年後10年後も見据えた話し合いをスタートしてほしいというふうに考えています。
 それからジョブ型については、これから連合の中でも具体的に議論をしていく必要性はあるのかなと考えていますが、いわゆる、職場の中で職務というものが明確になっているのかどうなのかというところから整理していく必要があるのではないかと思います。その上で、ジョブ型の働き方が本当に人への投資につながっていくのかですとか、職務の切り分けがきちっとできるのかだとか、そういうことを慎重に見極めていく必要性があるのかなというふうに考えています。

質疑応答[5]
Q.(シカタ氏)

 労働ジャーナリストのシカタといいます。経労委報告とそれから連合の対応についてお聞きしたいんですが、今年の1つの特徴はベアとか賃上げをしながら同時に総合的処遇改善、経労委報告では「にもかかわらず」という表現でまだその賃上げを重視してるのかというような表現もあったわけです。今年の1つの特徴だと思うんです。賃上げとそれから総合的処遇改善をやれといいながら、トピックのところを見ると、実はその総合的処遇改善も賃上げの中に入れようとしている合算をさせようとしているわけです。これはいってみれば付加価値の多様化という形で、ところが付加価値の中でこれまで経団連がいってきたのは人件費と総合的処遇改善は別なんだという形でいってきたのが今度の場合はその言葉がなくなって、要するに賃金とそれから総合的処遇改善を合算していくというようなこともトピックに書いているわけです。これは連合の例えばトヨタをはじめ、大手の組合・産別あるいは電機もそういう傾向は出てきているわけですが、大手のところでそういう傾向が強まってきて経労委報告も最近は労働組合もそういう動きをしているということがあるわけで、このあたりは、いってみれば連合が出している月例賃金重視という方向と異なるし、春季生活闘争の相場がわからなくなってくるという問題もあるわけです。そのあたりで連合としてそういうことにどう対応されるのか、もしそういう産別や単組が出てきた場合どういう措置を取られるのかということを1つお聞きしたいところです。もうひとつ、これは交渉のあり方で、97年から日経連の時からですが自社型賃金決定というのは非常に出してきているわけです。今年はもうさらに自社型賃金決定から自社型雇用システムまで広げてきて、日本の場合は企業別組合をベースにした、そこのところを大事にした処遇とか賃金とかというものを出そうとしてきているわけで、これも要するに大手の産別の中では産別自決とか単組自決という名前で公然と方針化されてきているわけです。そういうふうなことに対して連合としてどういうチェックをかけていくのかということをお聞きしたいし、もしこれが広がっていけば、構成組織とか連合の春季生活闘争の空洞化にもつながっていくわけです。そういうあたりについて、そういう自社型賃金決定とか、それから自社型雇用システムなんて、日本型雇用システムではなくて自社型雇用システムというところまできたということについて、どう対応されて、そういう単組や構成組織に対してどういう対応を取られるかというこの2点についてお聞きしたいと思います。

A.(仁平総合政策推進局長)

 見解のほうで少し書いてまして、やはり月例とのこの違いといいますか、その強調しているところの違いは見解のところ、10ページに書いてありまして、改めて恐縮ですが一番下のところでございます。ご指摘のように月例賃金だけでなく云々と書いておりまして、ただ連合としては最も基本的な労働条件の月例にこだわるんだということ、それはなぜかといえば、今回2022年で我々めざしたいのは直近でいうとその賃上げの広がりでありまして、これも何回かご説明してますけど、直近で一番賃金改善分が取れたのが2018年です。2021年でいくと1,200組合くらいまで減っているものですから、そこの波及を広げていくというのが今回の大きなテーマなので、なんでもいいですといっちてしまったら波及しないと思っています。そういう意味で連合はなぜ月例にこだわるのか、それにこだわって闘争を進めるのかということなんだと思います。もう1つおっしゃっていた、言葉の使い方も含めて私も今回すごく違和感が持ったのが、この自社型、自社型雇用システム、これは個別企業の人事賃金制度の話をしているのか、雇用慣行を含めた労働市場全体の話をしているのか、ごちゃ混ぜに話をしているのではないかと思ってまして、先ほどトウカイリンさんも少し触れていただきましたが、賃金の話なのか雇用システム全体の話なのか、混同させるような記述について私は懸念があるなというふうに思っております。もう1つ、連合の中での情報の共有ということなんですが、これも闘争方針の中で既に情報の共有はしっかりやりましょうと、こういうふうに書いてみました「格差是正や社会的な賃金相場の形成に向けた情報共有をはかる」というふうにしておりまして、共闘連絡会議でこの情報交換も今週の頭からはじめたところです。12月に決めた中闘の確認事項の中では、連合として中核組合の賃金カーブ維持分、賃金水準、それと代表銘柄・中堅銘柄の水準について連合として集約し公表するというふうにもう確認していることですし、あと賃上げの要求回答集計についてもこれまで通り産別とどういうふうに公表するのかというのはやりとりをしていきたいと思っておりますので、連合としてはしっかりと情報の集約・発信をしていくということかなと思っています。

質疑応答[6]
Q.(朝日新聞・キハラ氏)

 芳野会長に伺います。立憲民主党との関係について伺います。泉新代表が就任された以降ですね、芳野会長は泉さんに直接連合の考え方をお伝えするというふうなことをおっしゃっていたと思います。現状どうなのかということと、また見通しがあればということ、加えて、改めてですが共産党との関係においてどういった連合の考え方をお伝えすることになるのか、つもりがあるのか教えてください。

A.(会長)

 今日の時点ではまだ泉代表とはお会いをしていません。日程調整をしまして来週お会いすることになりましたので、その場で連合の考え方をお伝えする予定になっています。その中では、これまでも申し上げた通り共産党との共闘はありえないという考え方を持っていますので、改めてそれをお伝えします。また、立憲民主党さんの中でも総選挙のとりまとめを現在やっているかというふうに思いますので、それができた段階で説明もいただこうかなというふうに考えています。

Q.(朝日新聞・キハラ氏)

 日取りは、差し支えなければ、決まってるんですか。

A.(川島政治センター事務局長)

 今、芳野会長のほうから立憲民主党の泉代表との面談について日程調整をしたというお話をいたしましたが、実は私ども事務方でその調整をまだしている最中でございまして、誠に申し訳ございません、私のほうから誤った情報の伝え方をしたことについてお詫び申し上げますとともに、この件については日程調整を引き続き行うということについてご連絡申し上げます。どうも失礼いたしました。

Q.(朝日新聞・キハラ氏)

 泉さんこの前NHKの番組だったと思うんですけど、共産党との関係については立憲民主党の政権を構成する政党に共産党は想定していないっていうことをおっしゃったんですね。まあ閣外からの協力みたいな、この前の衆院選であったいろんな発言を念頭に置いたものと思われますけれども、この泉さんの発言の何かご評価、お感じになっていることがあれば教えてください。

A.(会長)

 直接話をしてから評価はさせていただきたいと思います。

質疑応答[7]
Q.(朝日新聞・フジサキ氏)

 春季生活闘争の話に戻らせていただくんですけれども、この春季生活闘争に向けた政策っていうのも、政策ですね、施策っていうのが打ち出されてきて中小企業の価格転嫁などもう出てきてると思うんですけれども、一方で賃上げ税制っていうのも続いてまして、これがどれだけ有効か分からないという指摘もある中で続いている状況があります。この政府の賃上げに向けた施策っていうのをどう評価されているか、中でもこの賃上げ税制施策をどうご覧になっているかをお聞かせいただけますでしょうか。

A.(会長)

 まず価格転嫁の問題については、おそらく一企業内では解決できないなかなか難しい状況にあると思いますので、公正取引の関係含めしっかりと価格転嫁できるような環境整備について政府に求めていきたいと考えています。それから、賃上げ税制について今回改正が入りますが、先ほどもどなたかのご発言にあったように賃金、平均賃金97年をピークに一向に上がってこなかったということを考えると、やはりその賃上げ税制がそんなに期待するほど成果が上がってないのではないかということも判断としてできるかというふうに思います。中小企業のところがやはりどれだけ賃上げできるかということがポイントになってくるかというふうに思いますが、赤字企業ですとこれ結局意味をなさないのでそういう点ではまあ無いよりはあったほうがいいかもしれませんが、制度としては中途半端というか、もう少し違うやり方もあるのではないかなというふうに…

Q.(朝日新聞・フジサキ氏)

 その例えばその違うやり方っていうのだったらどういうやり方が望ましい…賃上げに向けて政策として打ち出してもらうとしたら、もっとこういう施策があったほうがいいとか、そういうものがありますか。

A.(仁平総合政策推進局長)

 少し答えがすれ違うかもしれませんが、先ほどの私の説明と被るのですが、実は2022年で何をやりたいかというと賃上げの広がりを作りたい。何が一番広がるのか、要するに、今までですと大手がどうしても中心で賃上げをしていて、それをどう広げていくかってことをしないと格差是正というのは広がらないわけでありまして、それの環境整備に何が一番効くのか政策的に、という観点なんだと思います。そういう意味で賃上げ税制は今までもあったし、それは今まで使っていたところもほぼ企業の確か数パーセントだったと、効きがそういうことだということだと思います。それから比べると、例えばそのパートナーシップ構築宣言とか、その直接的ではないかも知れませんが、付加価値の適正化みたいなことも含めて、より広いところの賃上げ環境の整備になるということは大事かなと思っています。実は見解の中でも、経労委報告の中でも経団連自身も実は今回触れてまして、中小企業の製造業は90年代以降価格転嫁を行えないことによって実質労働生産性の伸びが打ち消されてしまっているということが確認できるところまで踏み込んでいまして、積極的にここも経団連として大企業に呼び掛けていくと、それが役割なんだといってるので、例えばそういうことをちゃんと一歩進める、組合としても闘争方針の中に書いていますし、そういうことをやるということも1つ大事なことなんだと思います。確か入札とか優遇される部分も確かあったのかなと思います。

Q.(朝日新聞・フジサキ氏)

 連合としてそういうふうに底上げに舵を切っていくというところは読み取れる部分があるんですけども、そのために政府としてもっとこういうことをやって欲しいとか、そういう政府に対して具体的に求めていくことっていうのがあるのか、それともやっぱりこれはもう労使関係のことだから政府に求めるものはないんだっていうのも1つのスタンスだと思うんですけど、その点ちょっと伺いたかったんですけど。
 その労使関係なので別に政府や政策として求めることはないんだっていう考え方も1つですし、また一方で底上げに舵を切っていくっていう今回の春季生活闘争というのは読み取れるので、もっとこういったものを全体、連合がナショナルセンターとして幅広く求めていくならこういうものももっと必要なんじゃないかっていう提起もあり得ると思うので、そういう観点で、ちょっとお伺いしたんですけど。

A.(仁平総合政策推進局長)

 先ほどと重なってしまうかもしれませんが、そういう意味では直接賃金は労使交渉で決めるものなので、直接的に決めるとなると人事院とか人事委員会勧告はちゃんとやってくださいねっていうのはありますし、というのはありますが基本的には労使関係で決まるものだと思いますので、それをしやすくする環境をぜひ整えてもらいたいと思うし、賃上げ、その人材確保の話も含めて実際に賃上げしたい労使は中小で結構あります。ただやると、それをもって価格を引き下げられたら、みたいな、その賃上げしやすい雰囲気の醸成とかということは政府としてもいってもらえると、それはやりやすくなるのではないかなという気はしますけど。

Q.(朝日新聞・フジサキ氏)

 最後に1点、会長にお伺いしたいんですけれども、先ほど97年をピークに日本の賃金が上がってませんっていうふうにおっしゃってたんですけど、それに対する連合としても責任みたいなものはどういうふうに考えられているか。この間、もちろん政労使交渉で決めていくものですし、前こういった質問が出たときにそれぞれの単組は頑張っているというお話ではあったんですけども、ただ一方でそういった役割が期待される連合本部、連合として、今こういった賃金がなかなか上がらない状況というところについてどういうふうに考えられているか。

A.(会長)

 毎年毎年、構成組織もしくは加盟組合が真剣に賃金改定について考え、要求書を出し交渉した結果、まあそれがなかなかこう要求に届かなかったという結果になっている、それがまあ続いてきたということだと思うんですが、それはそれぞれの現場で一生懸命やっていることですので、そのことについて連合が加盟組合でやってきたことに対してコメントをするということは差し控えたいというふうに思いますが、やはり連合としても要求を掲げそれを構成組織の皆さんに理解いただいて方針にしていただいてますので、成果が出なかったということについてはその年年で反省をし、次の年につなげてきたということがありますので、今後もそういう形でやっていくというふうに思います。

質疑応答[8]
Q.(産経新聞・オオハシ氏)

 会長にお伺いします。今日、国民民主党と都民ファーストの会の代表幹事長間で、1回目の、今後の協力に向けた協議というものが行われました。今後その協議がどう進むかは分からないんですが、国民民主党は維新の会との協力ということも重視しており、第三極の結集みたいなところが注目になってくるんですが、連合としては維新の会との関係については慎重な見方を会長は示されておりますが、今後、改めてになりますが維新との関係についてどのような可能性があるかお願いします。

A.(会長)

 党が決めることですので基本的には。そのことについて連合が何か介入というか、口を挟むということではないというふうに思います。維新の会との関係については、労働法制をはじめとして連合としての考え方が違いますので、その点について慎重に見極めていく必要性があるかなというふうに考えています。

質疑応答[9]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 月刊誌のファクタのミヤジマです。今日の資料のⅢ.の中にあって、「子どもを育てやすい国」と、こういうアンケートをやられるとはいいことだと思います。これは女性のはじめての会長である芳野さんがこういう問題意識でこういう調査やるのかなと、そういうことなのか、それでその一方で私が疑問なのは今回の法案の中でいわゆる「こども家庭庁」っていうのがあります。これについて、これって労働環境、働く人の環境と一体化した問題だから、実はこれは政党とか抜きにしまして、連合として、あるいは女性会長としてもっと関心を持って、少なくともここに書いてある連合の確認というのは私には何をいってるのかわからなくて、格差って子どもに現れるわけだし、働く環境がよくならないとこの問題はなくならないわけだから、まさに自民党を代表する女性の大臣である野田さんのところに芳野さんが意見に行くような、そういう問題じゃないかと思うんですけど、ご自身この「こども家庭庁」ですね、総理大臣直属のそういう組織ができること自体どのように受け止めておられるのか。これは連合の意見じゃなくて、ご自身としてどんなふうに思っているのか伺いたいですね。

A.(会長)

 まず「こども家庭庁」と「家庭」と入っていることについて私自身としては疑問を持っています。というのは、いろいろな理由があってなかなか家庭で育つことが難しいお子さんたちもいますので、やはりその子ども中心に施策を考えていく必要性があるのかなというふうに考えています。今後についてはさまざま連合の中での取り組みで各省庁とも様々な意見交換をしていきます。今後政党とも意見交換をしていきますので、その中でより良いものにしていきたいというふうに考えています。

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