2023春季生活闘争 第1回回答集計結果記者会見

 

連合記者会見

2023春季生活闘争 第1回回答集計結果記者会見

芳野会長・松浦会長代行・金子副会長・酒向副会長・安藤副会長・難波副会長・清水事務局長・仁平総合政策推進局長(2023年3月17日)

芳野会長

 大変お忙しい中、多くの方にご参加をいただきましてありがとうございます。感謝を申し上げたいというふうに思います。今日は5つの部門別共闘連絡会議の代表者も同席をしておりますのでよろしくお願いいたします。
 昨日16日になりますが3日間のヤマ場を終えた段階で回答引き出し状況について中央闘争委員長としてのコメントを公表いたしました。本日も配布しておりますので、そちらのほうもご覧いただきたいというふうに思います。まずは多くの組合で回答を引き出していただいたこと、そして交渉に真摯に応じていただいた経営側にも敬意を表したいというふうに思います。物価高は数十年ぶりの状況ですけれども、国際的に見劣りする賃金水準ですとか、企業規模間・雇用形態間・男女間の賃金格差が縮小しないこと、賃金水準の上昇が労働生産性の伸びに劣ることなど、従来からの課題をしっかり認識していただいた上で要求交渉に臨んでいただけたというふうに考えております。昨年に続き、要求に対して満額あるいは要求を超える回答を得た組合が非常に今回は多かったという状況です。結果として第1回回答集計時点で、比較可能な2013闘争以降、賃上げ分も定昇相当込みも最も高い結果となりました。物価高が組合員の生活を直撃する中で組合が職場の現状をしっかりと踏まえた要求を出したのに応えて、会社側も企業の中長期の発展を見据えて「人への投資」の観点から真摯かつ有意義な交渉が行われたことこそ意味があるというふうに考えております。有期・短時間などの働き方の労働者についても、率でフルタイム組合員をさらに上回る回答が示されたこともその1つの表れではないかというふうに考えております。闘争方針で、GDPも賃金も物価も安定的に上昇する経済へとステージを転換し、望ましい未来をつくっていくことを掲げました。この2023闘争がそのターニングポイントであると申し上げてきましたが、本日の結果はその実現に向けた最初の一歩になり得るというふうに考えております。これから回答を引き出していく組合、さらに社会全体にこの良い流れをつなげていくことが、先行した組合、構成組織、そして連合の役割であるというふうに考えております。精一杯引き続きサポートしていきたいというふうに考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

仁平総合政策推進局長

 お手元にプレスリリースということでご覧いただきたいと思っております。司会からもございましたが本日の10時時点第1回の回答集計を行いました。平均方式で回答を引き出した組合805組合の加重平均11,844円、3.80%ということでございます。比較可能な、会長からございましたけど、2013年以降では額・率とも最も高い結果ということになっております。もうちょっと長いスパンでということで、4ページをご覧いただきたいと思っております。正確に集計の仕方とかも違いがありますんで厳密な比較ということにはなりませんが、このように3%台に突入するということでは、4ページの上のほうでございますが、94年の時が3.11ということ、最終集計でございますが、ですので94年以来30年ぶりの3%台ということかなと思っております。次のページでございますが、有期・短時間・契約労働者の時給ということについても、回答組合数それと上げ幅とも連合として把握している中で最高の数字になっているということが今日段階でございます。以上です。

金子副会長(金属共闘連絡会議)

 はい、お疲れ様です。金属共闘連絡会議の代表を務めてます自動車総連の金子です。 簡単に申し上げますが、金属部門では3月15日の集中回答日に向けて各構成組織が精力的に交渉を追い込んでまいりまして、結果ですね、本年は回答を待たずに回答を示す、そういった労使が非常にたくさんあったというこういった展開でありました。そうした中で我々としては各産別の連携をこれまで以上に密にはかることによって相乗効果を発揮することができたんではないかというふうに思っております。結果ですね、今日お配りしている集計結果を、ちょっと精緻に計算してないんですけれども、今年の交渉対象である57組合すべてで賃金引き上げ・賃金改善を獲得をしております。賃上げ額も、ちょっと精緻には分かりませんが、8,000円を超える水準で現在のところ数字が上がっているんじゃないかというふうに思います。昨年が2,000円を割るぐらいですので4倍近い引き上げになっているということであります。さらに言うと、2014年、久しぶりにこの統一的な改善分の取り組みやり始めた以降としては最高の高い水準になっているということでございます。また、これも大変異例なんですけれども、57のうちざっと数えると46の組合が満額回答を引き出しているんじゃないかということでありますので、約8割以上がこういった状況になっているということであります。で、結果ここまでの報告なんですが、これからですね、これから満額か否かということは関わらずですね、ここから続く中小がこうした良い流れをどう引き継いで波及させていくかというのが重要だというふうに思っております。そしてさらにはこれは金属部門だけに関わらずですね、この連合台で働く仲間すべての仲間たちに波及させられるかどうかというのが肝要だというふうに思っております。当然これから続く各組合はこうした先行組合の結果をしっかり踏まえて真摯に徹底的に根気強くですね、要求額にこだわった取り組みを進めていただきたいというふうに思っておりますが、金属部門としても今後に続く中堅中小の取り組みをしっかりサポートするべく産別と連携を図りながら取り組んでまいりたいというふうに思いますし、さらにはいわゆる交渉環境を整える意味も含めて、課題に上がっている価格転嫁の取り組みを一歩でも二歩でも前に進めていくべく関係先と連携をはかりながら取り組みを進めていきたいというふうに思っております。こうした取り組みによって組合員の生活の安心・安定感はもちろんのこと、日本の強みである現場力・競争力を高めて、ひいては日本経済の好転につながるものだというふうに思っておりますので、引き続きこういった観点から金属部門としても引き続き社会的役割を果たしていきたいというふうに思っております。以上になります。

酒向副会長(化学・食品・製造等共闘連絡会議)

 はい、化学・食品・製造等共闘連絡会議の代表を務めさせていただいておりますJEC連合の酒向でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 私どもの共闘連絡会議は、UAゼンセンさんの製造産業部門、またJEC連合、フード連合、ゴム連合、紙パ連合、印刷労連、セラミックス連合という組織の共闘連絡会議というふうになっております。それぞれの産別におきまして、連合方針をベースに要求方針を固めて闘いに挑んでおります。この産業ですね、企業業績等は非常に業種によってばらつきがあるもので、やはりエネルギー価格の高騰や原材料価格の高騰でどちらかというと業績は増収減益になるところが多くあります。特に第4クォーターに入りまして少し業績が落ち込んでおります。また、価格転嫁が進むかどうかといったところでも不透明感もある中で、また一方では将来的な人手不足感が非常に強いものですから、人材獲得への強い危機感を抱えながら労使で交渉を行ったというのが実態だというふうに思います。そういった中で本日の資料にもございますけれども、積極的に交渉する中で賃金が、賃上げだけの獲得金額を確認しますと、本日の資料にもありますように8,037円というのがですね、この共闘連絡会議の数字になっておりまして、昨年が2,318円ですので明らかに賃上げが多く獲得できているというところでございます。先ほどもございましたが、やっぱり満額回答や満額回答に近い回答も多く出されておりますし、中には満額回答を上回る回答も引き出されております。またどうしてもベアが獲得できなかったケースでありましても、その分をインフレ一時金という形で獲得するような動きも出ております。冒頭申し上げましたように、やはり人手不足感がある中での交渉でございましたので、初任給を引き上げるということにこだわることについてもかなり話し合いが行われてたというような様子でございます。また、今後中小での交渉というのが本格化していくわけですけれども、やはり大手のほうで獲得してきました流れをより良い形で引き継ぎながらですね、結びつけていきたいというふうに思っているところでございます。また、賃上げだけにどうしてもこう焦点が当たりがちなんですけども、同時に企業内最賃や働き方改革等ですね、労働条件の向上につきましても地道に交渉しながらそれぞれ実績を上げているといったような状況になっております。繰り返しますが、多くの組合で満額回答が出されておりまして、賃上げの機運が産業全体に大いに盛り上がってきているというふうに認識をしています。これから交渉が本格化します中小の組合につなげていくことと、この賃上げの流れを次年度以降も続けていくということが大変重要だと思っておりますので、私どもの共闘連絡会議の中でその認識をしっかりと共有をしながらこれから前に進んでいきたいというふうに思っているところでございます。私からは以上でございます。

松浦会長代行(流通・サービス・金融共闘連絡会議)

 はい、流通・サービス・金融共闘連絡会議の松浦でございます。それぞれにご報告を各組織からいただいてますのでその関係をご報告をいたしたいというふうに思います。 UAゼンセンについては流通関係・サービス関係合わせておよそ100組合がこの間妥結をしております。賃金引き上げ分が明確なところで言うと、ざっくり言うと、およそ3%前後といったところでございまして、体系維持分込みで申し上げると、流通関係が4.36、サービス関係が5.27というふうなことで、そういう意味では今の物価上昇、それから「人への投資」ということも含めて反映された結果ではないかというふうに思っております。また、連合の中でもパートについて大きくこのUAゼンセンが占めておりますが、パートタイムについても91組合がすでに妥結をしておりまして、おおよそ60円強、5.90%というふうな形で妥結が進んでいるということで、いわゆるパートタイマー等の格差是正ということについても大きく前進ができたのではないかと思っております。それから生保労連さんですが、報告いただいてますのは、営業職員については10組合中8組合が収束をしているということで、営業職員に対する手当の増額等の賃金改善に関する回答を引き出していると。それから内勤の職員については15組合中3組合が収束ということで、収束したところは月例給与のベースアップ、臨給における水準確保向上との回答が引き出されたということでございます。
 それから損保労連さんについては、今回8年ぶりに業界統一での賃金改善を求める産別方針を立てたというところでございまして、全層を対象に3%程度のベースアップ要求を掲げたということでございます。目下の交渉中ということですが、すでに複数の組合で組合要求を満たす会社回答を引き出しているということで、おおむね順調に進んでいるということでございますし、中小に関してはいわゆるホールディングス・グループに属する単組間の連携強化といった中で支援を行っているということを報告いただいております。
 それから全労金さんについては3月23日が回答日ということでございますが、これもすでに14組合中2組合が満額回答が示されているというふうなご報告をいただいたところでございます。
 それからサービス連合さんでございますが、非常にホテル関係厳しい状況の中で、回復していくと人手不足というところがございます。今回1%以上の要求ということでやられておりまして、まだ合意に至った組合はわずかではありますが、合意だったところはいずれもその1%を上回る実質的な賃金改善に合意をしたということでございます。以上です。

安藤副会長(インフラ・公益共闘連絡会議)

 インフラ・公益共闘連絡会議の代表でございます情報労連の安藤です。当共闘連絡会議はインフラ事業など民間で働く仲間だけではなく、公務で働く仲間が多く結集しておりますが、現時点ではインフラ事業を中心とした説明となることをあらかじめご了承いただきたいというふうに思います。
 まず、賃上げについてでございますが、インフラ産業はとりわけ政府の政策や事業構造の変化で、脱炭素に向けた対応、エネルギー市場の先行き不透明さなどによって、各事業者を取り巻く経営環境は、厳しさ、不透明さが増している状況でございます。経営側も慎重姿勢ではありますが、物価高のもとでの生活保障や若年層を中心とした人材確保の必要性、組合員のモチベーション向上、さらには社会に対する責任を労使で共有したことなどによって賃金改善を引き出した組合が複数あります。回答を引き出しに至ってない組合でも要求額は昨年を上回る水準となっておりまして、例年以上にベアにこだわった早期かつ実効ある解決に向けて現在交渉を進めているところでございます。通信事業も電気代高騰や通信料金値下げの影響で増収減益基調、これが通信建設各社にも波及して減益基調と現在なっているわけでございますが、情報サービス業は産業としては好調ということでございますけども、人手不足などの状況になっておりまして、賃上げは昨年に続き有額回答、物価上昇分に対する手当という形で引き出した組合も複数あります。この勢いがこの後に続くことを期待しているところでございます。次に有期・短時間・契約等で働く者の処遇改善については、通信事業者が、通信事業がメインとなりますけども正社員の改定率と同等、あるいは上回る回答を得ている組合が複数あります。これまではできていなかった有期・契約労働者の賃金改善を引き出したとの報告も受けております。
 ヘルスケア産業もこの共闘連絡会議の仲間になっておりますが、新型コロナウイルスの感染症への対応で病院など経営が非常に厳しくなっているのはご存知かというふうに思いますが、賃上げ要求に対しても現時点ではゼロ回答というところでございます。現在粘り強く交渉を続けており、賃金はもちろんのこと、働き方の改善もめざしているという報告を受けております。現時点において回答を引き出した組合はまだまだ限られており、これから要求を提出する部門・組合がありますが、インフラ・公益部門としては先行組合が引き出した回答を中小組合に波及させ前進回答を引き出すためにも、それぞれの構成組織で個々の交渉を強力にサポートしていきたいと思います。この春闘の流れを人事院さらには人事委員会勧告を通じて公務で働く者への波及もできるよう今後の労使交渉においても力強く取り組みを進めていきたいと思います。私からは以上でございます。

難波副会長(交通・運輸共闘連絡会議)

 交通・運輸共闘連絡会議の運輸労連の難波と申します。よろしくお願いします。交通・運輸は、人流・物流ということで産別で10産別で構成をしてます。
 まず人流部門から。極めてコロナ禍で非常に厳しい経営状況が続いていましたが、ご案内のように人流回復基調にある中でということで今年の四半期が3期ぶりの黒字化を達成した等々で、お渡した資料にもあるとおり、まず鉄軌、JRさんについてはベースアップ満額獲得、民鉄についてはまだ数字は出てきていませんが、おおむねベースアップを含めた賃金改善がはかられたといったような報告をいただいているところであります。タクシーについてはまだこれからということではあるんですが、1社、1単組解決をしておりまして、そこからの報告をご紹介をいたします。車椅子乗降を担当した乗務員に対して1回あたり500円の介助手当の支給を決定したといった報告を今いただいているところであります。航空関係についても、これも資料にあるとおり航空連合加盟の48労組賃上げ要求を実施し17労組が回答へ、そのうちの16単組は賃上げ水準以上の回答を得たということで、人流部門につきましてはまだタクシー・ハイタク・バスについては鋭意交渉中ではありますが、それ以外については好調な交渉の状況が続いているということであります。
 続いて物流です。物流については、ご覧になっているとおり非常に厳しい会社との交渉が続いています。運輸労連とすれば、大手12単組ありますが、7単組が解決をしましたが満額回答はゼロということであります。ただ、対前年対比2.7%516円、加重でありますが、増額を果たしたというところで一定程度の成果は得たんだろうということではありますが、現下の2023春季生活闘争の他の産別、私たち荷主企業の産別の企業の春闘交渉の状況からしますと産業間格差がさらに拡大をしていくんだろうと。かつての2割長く働きながらも2割低い年収が、今2割低かったのが1割から1割5分ということで短縮をしてきたんですが、この2023春季生活闘争を通してさらに賃金格差・産業間格差が拡大をしていくという危惧を持って来年「2024問題」に臨んでいきたいというふうに思ってます。よろしくお願いします。以上です。

質疑応答[1]
Q.(NHK・テラシマ氏)

 お疲れ様です。NHKのテラシマと申します。本日はありがとうございました。連合の芳野会長に2点質問です。今回3.8%ですごく高い数字だということですけれども、その一方で1月の消費者物価指数は4%を超えるという状況で、そうした状況を鑑みてこの数字を今連合さんとしてどのように捉えているかっていうことを1点お伺いしたいのと、先ほどのコメントの中で、2023年闘争がターニングポイントであると、最初の第一歩というふうにおっしゃっていましたが、この第一歩をですね、今後も継続させていくためにはどういったことが必要で、連合さんとしてどのように取り組んでいくおつもりなのかっていうところを教えてください。よろしくお願いします。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。まず、今のこの状況ですけれども、連合が方針を決め、その後加盟組合が要求を掲げ、そして交渉をした結果ですので、この結果を受け止めるということです。この間も申し上げてきましたけれども、賃上げというのは今年で終わるわけではありませんので、今年の状況を来年にもつなげていくということと、つなげていくことをやはり経営側の皆さんにもご理解をいただきたいというふうに思います。
 そして、今後の継続なんですが、大手はほぼほぼ回答が出揃っていますがここから中小の交渉が本格化をしていきますので、気を抜くことなく中小の取り組みに対して連合としてはサポートをしていきたいというふうに思います。具体的に何ができるかということなんですが、やはり情報公開が必要ですので今の情報を幅広くお知らせし、この流れを止めないようにしていきたいということと、引き続き労務費を含めた価格転嫁の取り組みについて発信をしていきたいというふうに思います。

質疑応答[2]
Q.(ブルームバーグニュース・ヨコヤマ氏)

 ありがとうございます。ブルームバーグニュースのヨコヤマと申します。2点質問ございます。1点目なんですけれども、データに関することですので仁平様にお伺いするのがよろしいでしょうか。こちら比較可能な数字は2013年以来の賃上げになるかと思うんですけれども、こちらの表で見た時に、入手可能な数字で見ると1993年以来30年ぶりの引き上げ幅ということでお間違えないでしょうかというのがまず1点と、2点目は先ほどの質問にも関連して芳野様にお伺いしたいんですけれども、1月の段階ですと5%を目指していくといったようなことをおっしゃってたかと思うんですが、今回ちょっと現段階ではその数字に足りていないと、こちらの結果を受けてちょっと物足りないなとかそういったようなお気持ちがあればぜひお伺いしたいんですけれども。

A.(仁平総合政策推進局長)

 じゃあ私のほうから技術的な話、4ページのところはおっしゃるように集計対象とかあるいはその集計時点において違いはあるんですけど、おっしゃっていただいたようにここの数字が時系列で見た時に連合として把握できる時系列のものですから、この数字を使っていただいてよろしいかと思います。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。ご指摘のように連合の目標としては5%程度ということの目標を設定をしましたが、それ以降加盟組合の中でそれぞれの自社の状況等を鑑みながら要求を決め交渉した結果ですので、その結果を受け止めたいというふうに思います。多くのところが満額もしくは満額以上を引き出したということは非常に良い流れを作ってくれているというふうに考えています。

質疑応答[3]
Q.(共同通信・タカノ氏)

 共同通信のタカノです。本日はありがとうございます。引き続き芳野会長にお伺いしたいんですけれども、3.8%、近年非常に高い数字だと思うんですけれども、改めてこれだけの賃上げが実現した要因をどのように考えていらっしゃるのか教えてください。
 あともう1点ですね、ちょっと漠然とした質問で恐縮なんですけれども、価格転嫁については最終的には消費者の理解も必要かと思うんですけれども、現段階で世間にはどのくらいそういった価格転嫁が必要なんだっていう意識が浸透したというふうにお考えか教えてください。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。おそらくそれぞれの交渉の中で、先行きの見通しですとか急激な物価に対応していくというようなこともおそらく交渉の中では言っていたかというふうに思いますし、また人手不足の問題もあるかというふうに思いますので、職場の様々な課題について経営側も理解を示したということではないかなというふうに思います。
 それから価格転嫁で、確かに消費者の立場からすると物があがるということに対して非常に抵抗感があるというのは事実だというふうに思うんですが、やはりその製品には製品の適正な価格というものがありますので、やはりそれをみんなで認め合い、その上で労務費も転嫁して適正な取引をしていくということを訴えていくということが必要ではないかというふうに思いますので、この間も記者会見等で様々発言をさせていただいていますけれども、引き続き連合としては発信をしていきたいというふうに思いますし、構成組織また加盟組合の中でもそういった考え方を浸透していただけるようにしていきたいというふうに思います。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・ミウラ氏)

 朝日新聞のミウラと申します。芳野会長に3点伺いたいと思います。まず1点目が、これから中小企業の交渉が本格化していくかと思います。今日の中央会との懇談でも厳しい指摘があったというお話もありましたけれども、改めて中小企業の賃上げに向けてどのように取り組んでいくのか、このままちょっと大手ばかりが賃上げが進んで中小がなかなか進まないと格差も広がってしまうかなと思うんですが、ちょっと今後の中小の賃上げに向けた考えをお聞かせいただきたいというのが1点です。
 2点目については先ほどから労務費の価格転嫁というお話を強調されてますけれども、労務費の価格転嫁の現状の認識と、労務費の価格転嫁を進めていくためにはどういうことが必要だとお考えになっているかを伺いたいというのが2点目です。
 3点目がですね、労働組合の組織率が2割を切っている中で組合のない企業にも波及をさせていかなければいけないというのは常々おっしゃっていたかと思うんですが、今回の3.8%という数字も1つの指標になるかと思うんですけれども、どのような波及効果をめざしていくのか、どのように波及させていくのか、このあたりをちょっと伺いたいというのが3点目です。よろしくお願いいたします。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。まずは各構成組織のサポートが必要になってくるかというふうに思います1つは。連合が直接中小の皆さんと個別に対応するということは組織上できないですので、構成組織の皆さんと連携をはかりながら、構成組織の中でこれから交渉に向けていく加盟組合のサポートお願いしていくということになるかというふうに思います。その意味では連合と構成組織と連携をはかっていきたいというふうに思います。
 それから2つ目なんですが、現状の認識としては今日の前段の会議でもそうだったんですけれども、やはり中小のところからするとなかなか価格転嫁が進んでいないという声を聞いていますし、今日の会議の中でもやはり原資も足りなければなかなかその価格転嫁もその発注先に理解してもらえないという意見もいただきましたので、引き続き我々連合としては加盟組合の交渉の中で自社がどうなっているのかという点検を地道に重ねてほしいなというふうに思います。労務費を含めた価格転嫁がどれくらいできているかというのはこれから検証が必要になってくるかというふうに思います。これは2022春季生活闘争の時から構成取引・価格転嫁の課題について連合としては強化をし今年はさらに強化をしていくということで申し上げてきましたけれども、すぐに解決できる問題ではないというふうに認識をしていますので、加盟組合の中での自社の点検活動を地道に重ねていくということも1つではないかなというふうに思います。それから、これからの波及、連合以外のところに対する波及なんですが、1つにはマスコミの皆さんにもお願いしたいんですけれども、これで春闘終わってないので、引き続き4月以降も春闘の課題をぜひ取り上げていただきたいなというふうに思うんですが、連合としては4月に入ってからも中小共闘のところで意見交換をするということもありますし、また、まだ具体的にはなっていませんが今年はデモをやったり集会をやったりという対面での活動もしましたので、そういった何か外に向けてアピールできるような活動についても考えていきたいというふうに思います。

質疑応答[5]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 毎日新聞のトウカイリンです。ちょっとざっくりした話なんで仁平さんがいいのかなと思うんですけども、これだけその3.8%云々という形で高く上がっているという形の流れの中で、ちょっと数字としては難しいかもしれないんですけども、要するに総額人件費は拡大する方向に進んでいるのか、いわゆる内転人件費の考え方から言えばですね、この間ずっと下がってきて内転してこずに総額人件費が縮む一方だったわけですよね、その縮む一方だった総額人件費を増やす方向に向かうのか、というのがまずその1点ですね、ごめんなさいあともう1点、結果を見てるとですね、これは各担当の方がよろしいのかと思いますけど、結果見ていると運輸とか医療介護というこの間大変苦労してきた産別のが上がっていないと、非常に腑に落ちないと言ったらおかしいんですけど、このコロナ禍で本当物流を支え医療を支えたところが上がってないというね、これはちょっと、ごめんなさい僕が納得できないというのもおかしいんですけども、やっぱり非常に不合理なものを感じるんですけども、部門の方々何で上がらないのかも含めてですね、ちょっと伺えればと思います。

A.(仁平総合政策推進局長)

 最初のところの質問でありますけど、人件費の動向についてはまたデータも含めてチェックはかけたいとは思っているんですが、ただのこの間の言動など聞いてますとやっぱり「人への投資」なんだっていう話で動き出しているっていう事はやっぱり大きいんじゃないかなという気はいたします。特に今季の決算などを見ると増収減益っていう感じが強いのかなって気はしますけど、その中でやはりこう内転原資分もありますけど、かなりベースアップ含めて積むわけですから、それなりの人件費の増にはなるんだろうなというふうには思ってます。あのチェックはしていきたいというふうに思っております。

A.(難波副会長)

 とりわけ物流、トラック運輸部門です。今年は5.5%13,700円要求を統一要求としましたけれども、やはり価格転嫁が進んでないということが最大の要因だと思ってます。価格転嫁については昨年から荷主企業さんに対しては様々な形申し入れしてますし、標準的な運賃を国が2018年に策定をしまして、2020年から来年の3月末まで標準的な運賃に基づきながら価格転嫁を求めて、運賃料金の改定を求めていこうということで今取り組んではいるんですけども、6万社の事業者のうちの約50%しかその標準的な運賃を届け出ていないという実態の中でなかなか価格転嫁が進まないということがやっぱ最大の要因だと思ってます。ただ、いずれにしましても私たち「2024年問題」の中で時間外の労働時間管理が大転換はかってまいりますので、今のままで言うと物流が現行のたぶん25%ぐらい運べなくなる実態も目の前に迫ってますので、まずは人を集めるために何をしたらいいかということで、もう一度価格転嫁を各企業に対して求めていくようにこれから発信をしていきたいと思っています。以上です。

A.(松浦会長代行)

 医療介護は誰が担当かよくわかりませんが、介護はうちなので。介護はまずまだ上がってないという結論はないです。満額以上の回答出ているところはちょっと出てきたりしてますので、医療も介護もやっぱり社会保険の内枠の世界なので、やっぱり社会保険そのものがどうなのかというところの問題意識はあります。やっぱりそこで働く人たちの賃上げができる状況を作っていくというのは社会保険制度の関係も含めて考えなきゃいけないというところはあると思います。
 病院関係は私まだちょっとよく…まだ数字出ているとか聞いていないので、そこもちょっとよくわかりませんが病院関係はなかなか厳しいんじゃないんですか。(安藤副会長へ)

A.(安藤副会長)

 ヘルスケア労協のところの報告が一部しかまだ報告を受けていませんので全体的な把握はまだということなんですが、その一部の報告を受けているところでは、やっぱりコロナの影響でまだ患者さんとかが戻ってきていないというような状況の報告を受けております。したがってこれは全体的にこれからも続いて春闘を取り組んでいる最中でございますので、そういったところがこう全体的に見えてきた時にこういうところの今後の対策をどうしていくかっていう部分は考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。以上です。

質疑応答[6]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 朝日新聞のサワジと言います。1点目は難波さんにお伺いしたいんですけれども、先ほどから何回か出ている「2024年問題」については今期の春闘の中で労使協議の中でどういうムードになってるのか、先ほどおっしゃったように「2024年問題」を考えると人を集めるためには賃上げ必要だというふうに自然になると思うんですけれども、なかなかそれが実現していないっていうのはこれは価格転嫁って先ほどおっしゃってましたけど、どういうふうに議論されたのかもう少し詳しく教えてください。
 2点目は、これは芳野会長かあるいは仁平さんでも構わないんですけれども、一昨日の政労使会議で最低賃金について岸田首相が発言しています。改めて見ると結構面白くて、加重平均1,000円というのは今年の物価状況を考えるとそうなのかなというふうに思うんですけれども、もう1つ、夏以降にその1,000円を達成した後についてその見直す議論をするってことをおっしゃってるんですね。で、今でもその全協の中で議論されてますけれども、もうちょっとこれはハイレベルの議論を想定しているのかなってちょっと思ったんですが、そのへんの受け止めと、あとそれについて連合としてはどういうふうに考えるのかという点について、会長でもあるいは仁平さんでもどちらでも構いませんけれどもお願いします。

A.(難波副会長)

 価格転嫁ということは業界団体と一緒になってやってます。業界団体は業界団体として経団連の会員でもありますので、それぞれ経済団体に対して発信をしていくということと、労働組合は労働組合としてまずはその労働組合の中で価格転嫁をまず会社に求めていこうということが1つと、あともう1つ多重構造の関係もあって昨年の発表の中の11分の5が実は物流でした。で、物流の多重構造の中で言いますと、やはり元請け、いわゆる元請けというのは業界の中の元請け、大手が元請けで、下請けにまた運送会社が何社かくっついていくんですけども、真のお客さんから価格転嫁ができていたとしても元請けの事業者が下払いに回してなかったということもありましたので、まだだから運輸労連の中の418単組に対してはこれはだから大手であっても中小中堅であっても元請けになる可能性があるのが運送業界ですから、もう一度自分の会社の中の下払いの状況をしっかり把握をするようにといった今指示を出してます。ですから外側に対してと、あと内側に対してと、両面で価格転嫁に対してしっかりと求めていくことが1つと、あと「2024年問題」に向けては、これは単組は申し上げませんが変形労働制を解いてノーマルの労働時間管理に変えていこうというところがあります。ですから、それに相当の資金が原資がかかるものですから、その原資は今回の賃金には織り込めてないんでそのことが今回の賃金交渉の妥結結果に反映できてないという実態もあるということを申し上げたいと思います。以上です。

A.(仁平総合政策推進局長)

 最低賃金の関係は私からお答えさせていただきたいと思います。もうご案内のとおり、今全員協議会をやっている最中でして、まあそういう意味でそこの議論と並行かなっていう気はしておりますが、私も先日の会議の議事録は見させていただきました。で、ポスト1,000円に向けた議論が必要だっていうのはこれは連合もずっと言っている話で全協の中でも求めている話、連合は「誰でも1,000円」ですけど、政府が言っているのは加重平均1,000円で、1,000円達成したら終わりじゃないでしょっていうのはずっと言っていることであります。政府としてどの場で進めていくつもりなのかというのは私にたぶん聞かれても難しくて、ただ労使ともここは一致している話は労使がいる場で参画する場で決めるべきであろうということはこれは一致して、また全協の答申とか取りまとめが出た時にもオープンになると思いますけど、そこは一致しているんじゃないかなと思ってます。

質疑応答[7]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 ファクタのミヤジマです。安倍政権時代は「官製春闘」という屈辱的な言葉がありまして、去年あたりはやはりトヨタが引っ張るというかそういう感じでしたが、今回はやはり3月15日の政労使会議を含めて、まあ政労使でタイアップで、ある種の賃上げのムード作りにある程度成功したという意識があられるか、もちろんそれは十分ではないけれどもやはり景気と同じように賃上げもある種のムード作りにある程度成功したと、そういうことも言えるのかどうかですね、ここの3番目に政労使の話が書いておられますけど、芳野会長としては今回の春闘どんなふうにネーミングしますか。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。ネーミングは考えておりませんが今年をターニングポイントの年にしたいというのはずっと申し上げていますので、まだ中小がこれから本格化していきますので賃上げのムード作りがあったかないかというと、ここからが本番だというふうに思っていますので、まだまだこの流れを止めることなく連合としては引き続き取り組みをサポートしていきたいというふうに思います。

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