記者会見 2022年12月

 

連合記者会見

記者会見 2022年12月

芳野会長、安永副事務局長、村上副事務局長、仁平総合政策推進局長(2022年12月15日)

連合記者会見全文

(※聞き取れない部分、不明な部分には「●」を使っています)

芳野会長

 年の瀬の大変慌ただしい中、記者会見にご参加をいただきまして誠にありがとうございます。今年も残すところあとわずかとなりました。先週はワールドカップでの日本代表チームの熱戦で大変盛り上がり、選手の皆さんの一生懸命な姿に、諦めずに戦い続ける熱い気持ちをいただいたのではないかと思います。私自身も、これから迎える春季生活闘争を最後まで諦めずに闘い抜けるよう気持ちを新たにしたところでございます。
 12月1日の中央委員会では春季生活闘争の基本方針を確認いたしました。本格的な取り組みがスタートをしております。中央委員会後には「賃上げ実現・くらし支援 あしたを変える連合緊急アクション」のキックオフとして新橋駅前での街宣行動を行いました。街頭での訴えは3年ぶりであり、道行く皆様が足を止めて聞いてくださり、興味深げに眺めてくださる姿を見て、街へ出て思いを訴えることの大切さを改めて実感をしたところでございます。春季生活闘争は労働組合だけの取り組みと受け止められがちですが、そうではなく社会全体に対する取り組みであり、世の中に対して連合の考えを伝えることの重要性を改めて認識をいたしました。
 また、先月になりますが、月刊「連合」の新年号の対談で日大の理事長になられた林真理子さんとお会いをいたしました。様々な課題を抱えた組織の改革を進められておられますが、女性の理事長としてのご苦労が多々あることをお伺いいたしました。女性のトップ同士、より良い組織づくりのためにお互いに切磋琢磨していけると共感をするところもございました。詳しくはぜひ月刊「連合」の新年号をご覧いただきたいと思います。
 また、中央委員会では女性の参加率、全体の女性参加率が21.2%でしたが、中央委員に限りますと14.1%であり、まだまだ意思決定の場に女性の参画が非常に少ないということがわかりましたので、今日の中央執行委員会では構成組織・地方連合会の皆様にさらなるこの取り組みについてお願いをしたところでございます。
 そして、国際関係について少し触れたいと思います。ITUC本部によりますと、この間報道されていますEU議会議員や関係者に対する汚職疑惑に関わって、ITUCのルカ・ビセンティーニ書記長が今月9日に逮捕され、ベルギー司法当局による取調べを受けたということです。尋問を受けたのち、書記長は48時間後の11日に釈放をされています。なお、起訴はされていないということです。現段階ではこれ以上のことは連合としては掌握をしておりません。ITUCとしては、来週21日になりますが、臨時執行委員会を開催して状況説明をするとしていますので、そこでの説明を待ちたいと思います。連合としては、ITUCの郷野会長を支え、汚職を許さず、ITUCの信頼回復に向けた取り組みを積極的に進めていきたいと思います。
 年内の記者会見、今日が最後となります。今年もあっという間に1年が経過をしました。皆様のご理解とご協力に改めて感謝を申し上げたいと思います。2023闘争に向けて年末年始は十分に英気を養い、新たな気持ちで新年を迎えたいと思います。新年が皆様にとって実りの多い1年となることをお祈りし、冒頭の挨拶に代えさせていただきたいと思います。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

安永副事務局長

 私から本日の第15回中央執行委員会における決定事項などにつきまして特徴的なものについて申し上げたいと思います。 まず協議事項、ピンク色の合紙以降ですが、31ページ、資料2-4重点分野-2「外国人労働者の受入れ政策に関する連合の考え方の補強」でございます。連合は2004年に当面の考え方を確認して以降、動向を踏まえた考え方を示してきましたが、外国人技能実習制度の見直しの検討開始を捉えて、人権や処遇、労働条件等の問題が起こっていること、特定技能や他の在留資格の課題を踏まえて、外国人労働者の受け入れ政策に関する連合の考え方を補強いたしました。基本的な考え方としては3点、ローマ数字Ⅱ.の「連合の考え方」にありますように、1つ目が、すべての外国人労働者の権利を保障すべきというものであり、人権を尊重し、労働基本権、日本人との同等の賃金、労働時間、その他の労働条件や安全衛生、社会・労働保険の適用を確保すべきであります。外国人労働者を単なる「労働力」としてではなくて「市民」「住民」として受入れ、社会的インフラの利用の権利も保障すべきという考え方でございます。2つ目が、受入れ対象は「専門的・技術的分野」の外国人とすべきというものであり、産業にイノベーションをもたらし、国内雇用や労働条件に良い影響を与えるものとすべきという考え方でございます。3つ目が、就労可能な在留資格の安易な拡大を行うべきでなく、総合的かつ国民的議論が必要というものであり、国内雇用や労働条件への悪影響、外国人労働者の権利の保障の観点からも安易かつなし崩し的な受入れは行うべきではありません。労働力不足に対して、外国人労働者の受入れは抜本的な解消策にはなり得ません。優先すべきは非正規雇用や若者雇用の問題、希望する誰もが安心して働くことが可能な環境整備の方でございます。その上で、37ページ以降の課題、それぞれ私どもが課題と思っていることについて記述をいたしておりますが、その内容を認識しつつ、総合的かつ国民的な議論を行うべきとしております。
 次に、39ページ、資料の2-5重点分野-2「2023年度最低賃金取り組み方針」でございます。春季生活闘争等で得た成果を法定最低賃金の引き上げにつなげて、すべての働く者の労働条件向上に波及させるため一丸となって取り組む方針でございます。地域別最低賃金については、全国加重平均1,000円への到達が近づいてはいますが、連合としては「誰もが時給1,000円」到達を目標としており、40ページの表にありますとおり、1,000円に達していない、到達していない44道府県は1,000円以上を、到達している3都府県については高卒初任給との均衡、連合リビングウェイジを勘案した水準への到達をめざします。なお、2)の「地域間格差の是正」に向けて、にあるようにC・Dランクの底上げにこだわってまいります。ランク制度のあり方の議論にあたっては、格差の縮小につながる抜本的見直しを求めてまいります。41ページにありますが、特定(産業別)最低賃金につきましては労働条件の向上または事業の公正競争をより高いレベルで確保し、産業ごとの企業横断的な最低賃金水準を決定するという重要な役割は果たしておりまして、枠組みの堅持、水準引き上げ新設に取り組んでまいります。同時に、その基礎となる企業内最低賃金協定の締結、引き上げの取り組みを強化してまいります。
 私からは以上でございます。

仁平総合政策推進局長

 別紙の方になりますが、確認事項をお配りしております。直近の動きで、GDPや短観、あるいは物価等の数字について様々な動きがございますので、簡単に共有した上で、次のページでございますが、1つは「当面の闘い方」の2.でございますが、本年の1つの特徴といたしまして、5つの共闘連絡会、従来1月下旬くらいの開催が多かったわけでございますが、前倒しで精力的に開催をしているというところでございます。それと、5.これは12月1日すでに中央委員会の後で代表者会議ご覧になっていただいた皆様方もいらっしゃるかと思いますが、改めて闘争期間としての確認もいたしました。ヤマ場については3月14日から16日ということで確認をいたしました。以上です。

質疑応答[1]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 街頭で3年ぶりの活動ということで、来年はやはりコロナの有事から平時に戻していくということだと思うんですが、すると、今も(司会から質問の際のマスク着用について)マスクをしたらいいとおっしゃったけど、これだけの広さがあったら、私は芳野会長のそちらの人がマスクをしている必要があるのかどうかと、ある意味でやはり政府や組合や、そういう団体はノーマスクというか、そういうことも考えないといけないと思うんですが、分科会に連合の方も出ておられると思いますけどね、平時に戻すということではどういう議論になっているのか、実際、組合運動ってマスクをしてて本当にできるのかって私は思うんですけど、もちろん無謀なこと言う気はないんですけど、そういうことはどういうふうなお考えに、例えば賀詞交歓会とかこれからいろいろあるわけですけど、それはやらないと思いますけど、その辺も含めてどんなふうに平時に戻すかそこについてお考えがあれば伺いたいです。

A.(会長)

 私の方から。まだ具体的に連合の中ではマスクについて議論はしていないということです。ただやはりここに来てコロナの感染症が広がりを見せていますし、また濃厚接触者も増えていることを考えますと、もう少しマスクをし、お互いに感染リスクを減らしていくことの対策が必要ではないかと考えております。

質疑応答[2]
Q.(毎日新聞・ヨシナガ氏)

 芳野会長、仁平さんにお伺いしたほうがいいのかなと思うんですけども、これまで産別の会見、春闘の会見、各産別やってますけれども、そこでも出るのがこれだけ日本の賃金上がらなかった原因として、もちろんデフレがずっと続いたとかいろんな様々な要因があるんですが、労働組合の、やはり及び腰の要求、労働組合の取り組み方として、賃上げに向かうその運動がそこまで活発ではなかったんではないかと、反省というか、どういう取り組みがなされれば良かったかという振り返りとともに、今回ですね、1つ今年の春闘は違うんだということで芳野会長もおっしゃられていますけれども、皆さんおっしゃられてますが、それを踏まえた上でこれまでとは違った、より強硬なというか、より力強い取り組みという意味で何かお考えがあるかどうかお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

A.(仁平総合政策推進局長)

 連合としてはこの間の議論も皆さん方にオープンにさせていただいて、ご覧いただいている通りだと思いますが、2014年以降そういう意味では連合全体で取り組むようになって、緩やかですが、名目賃金は緩やかに上昇してまいりました。格差の縮小も、これも緩やかですけど前進してきました。ただ、やはり今年去年との違いという意味では実質ベースで見ると働く者の生活が苦しくなっているということは非常に問題だと思っておりますし、そういう意味でその根っこにある日本全体で見た時の生産性と実質賃金の乖離みたいな話は非常にこの2、30年間振り返ってみると、日本の賃金決定の根本的な問題としてあると思っております。そういうものを共有しつつ、2022で、これは経営側とも含めて、日本の生産性なり賃金を持続的に上げていくキーを握っているのは「人への投資」なんだということで、これについては話が噛み合ったと思っております。足元の苦しくなっている状況も含めてしっかりと労使で話をして「人への投資」をこれまで以上にしっかりとやっていくことを意思固めして、交渉にみんな臨んでいくということで、これ早めに今年も議論させていただいて、去年とは違ったような数字も含めて、連合の目標を踏まえ、それぞれの産別で今ご議論が進んでいるんだろうと思っておりまして、そういう意味では、要求段階も見てみないとわかりませんが、去年とは、2022までとはまた違った結果を、みんなで心合わせをしながら成果を出していきたいなと思っている次第でございます。

A.(会長)

 私の方から補足をさせていただきたいと思います。これまでの賃上げ結果につきましてはその都度その都度構成組織また加盟組合が真剣に議論をした結果ですので、そのことについての言及は避けたいというふうに思います。そして、2023春季生活闘争についてはこの間「ターニングポイントである」という言い方をしてまいりました。コロナ禍、物価高、円安、今三重苦にあるということで、これまでと違う行動をしていかなければならない中で「連合緊急アクション」を展開していくと、春季生活闘争と合わせてやっていくことで12月1日にキックオフをしています。今まで以上にその価格転嫁、公正取引の問題に対して強力的に進めていかなければならないと思っています。その意味では今事務方の中で協議中ですが、どうしても春季生活闘争となると何かこう労使が敵対的になっていると見られがちですが、労使はお互いに対等な立場であって、やはり目的は一緒だと思いますので、今のこの難局を乗り切るためにはやはり労使が、もしくは政労使が一体的になって取り組みを強化していかなければならないと思いますし、春季生活闘争でいうと労働組合のあるところは会社と交渉ができますが、圧倒的大多数のところに労働組合が無いことを考えますと、その労働組合の無いところについては、その環境整備が必要になりますので、この「緊急アクション」の中で今までと違う取り組みと言いますか、現在考えているところです。事務方の方で今詰めているところです。

質疑応答[3]
Q.(日経新聞・マツイ氏)

 2つ芳野会長にお願いしたいんですけれども、先月末に東京都の労働委員会がウーバーイーツの料理宅配員の労働組合法上の労働者性を認める判断を示しました。日本では同種の法的判断は初めてです。この判断に対する所感と、あとその雇われない働き手の組織化に対するお考えをお聞かせください。
 もう1つは、デジタル化が加速する中で政府が「学び直し」いわゆる「リスキリング」に力を入れています。2023の春の労使交渉でも交渉テーマとなる産業とか企業とかというのが出てきそうです。政府の「リスキリング」の●●(マイク接触音)には成長産業への労働移動を後押しするという含意があると思うんですけれども、改めてリスキリングに対する会長の評価をお願いします。

A.(会長)

 1つ目は、今回東京都の労働委員会は2022年11月25日に配達パートナーは労働組合法上の労働者に当たると解することが相当であると判断するとともに、会社を同法上の責任を負う使用者に当たるとし、誠実に団体交渉に応じるべきという全面勝訴とも言える命令を下したと連合としては判断をしています。今後の連合とウーバーイーツユニオンとの関係に触れたいと思いますが、連合としては2020年の5月の第8回中央執行委員会で曖昧な雇用で働く就業者の法的保護に対する連合の考え方を踏まえた社会的セーフティネットの強化に向け、ウーバーイーツユニオンへの支援を行うことを確認し、それ以降継続的に支援を行ってきています。この間、ウーバーイーツユニオンの定例会に参加をし、就業状況の把握ですとか組織拡大などについて意見交換を行うなどを連合としては支援をしてきたという状況です。連合に加盟しているかどうかということですが、ウーバーイーツユニオンは現在連合には加盟に至っていないという状況です。
 それから、「リスキリング」の関係ですが、まず「学び直し」は非常に重要なことだと思いますが、労働移動についてはやはり労働者自らが選択をすることが大前提になるかと思います。また、本人からの移動が大前提ですが、その移動するためには魅力的な産業の確保が必要になってくるかと思いますので、そこも併せてやっていく必要があるのではないかと考えています。

Q.(日経新聞・マツイ氏)

 ウーバーイーツユニオン、まだ連合に加盟していないということですけれども、彼らですね、労働者性が認められたとはいえ雇用者とはだいぶその位置づけが違うというところあると思うんですけど、そういう雇われない働き手の組織化ということについて、この先のですね、についてもちょっと一言お願いできますか。

A.(河野総合組織局長)

 今、連合としましてはWor-Q(ワーク)という、フリーランスの皆さんと緩やかにつながろうというサイトを運営しておりまして、その関係からまずは会員ということで取り組んでおります。最終的には今全国ユニオンとAmazon配達員組合の組織化も支援をさせていただいております。先ほどウーバーイーツのお話がありましたが、労働組合を結成して団交を申し入れするとしても、結果的に地労委でこのような結果が出ても、会社側がなかなかそこに応じていただけないと。これは過去、ベルコの闘争の時も同じことになっておりますが、今の現行法令の中で、労働組合を結成し、そして団交に応じていただくとかそういったことが、どのような形でしていくことができるのか、このあたりを今模索しているところであります。結論申し上げますと、組織化につきましては最終的に個人事業主または曖昧な雇用で働く皆さんの組織化につなげていきたいと考えております。以上です。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 先ほど安永さんが説明された外国人労働者の受入れ政策の部分なんですけれども、今日の資料は「補強」となってますが、この「補強」というのは2004年の10月と比較して何か変わったところがあるってことでしょうか。おそらくこの時には特定技能はなかったのでそこの部分なのかもしれませんが、その何を補強したのかっていうところ、例えばその技能実習制度についても何か書きぶりなり評価の仕方が変わっているのであれば、そこの変化の部分を教えてください。
 それと同じくこの件について、特定技能について制度の見直しをはかるべきであるという書きぶりになっているんですが、これは具体的にどこをどう変えていくべきだという考え方なんでしょうか。その下にいくつかありますけど、このことを言ってるのか、ちょっと具体的にどこをどういうふうに変えていくという考えなのか教えてください。

A.(村上副事務局長)

 まず、外国人労働者政策の補強の何を補強したのかということですが、2017年に外国人労働者の考え方を作っておりますので、それを補強したというところです。どこを補強、具体的な補強点ということですが、例えばその33ページからが「個別論点」についてというところであります。元々、その日本人と同等報酬とは言ってはおりましたが、より強く書いているとか、あとその④のところ、「就職・転職、キャリア形成への支援」といったところは追記をしているところです。また「在留資格ごとの論点」では、34ページに1つ目は外国人技能実習制度を、また35ページでは特定技能について記載をしております。技能実習制度について廃止をということを言っているわけではなくて、どんな制度であっても外国人の方が適正な労働条件で働けることですとか、人権を保障されるといったことが重要だというところで、そのあたりの課題を記載しています。35ページの特定技能制度については、その制度創設のところから、どういった分野でどのぐらいの方を受け入れていくのかということについて、業所管省庁が主導して、どこにも審議会とかにかけずに決まっていくというプロセスがありまして、そのプロセスの透明性を確保していくことが必要だということで記載をしているところです。以上です。

質疑応答[5]
Q.(朝日新聞・ミウラ氏)

 まず冒頭説明のあった最低賃金について伺いたいんですけれども、先ほどお示しいただいた方針案の中の39ページのところで「2023年度は『全国加重平均1,000円』は確実に到達した上で」というような表現がされているかなというふうに思います。こういった表現をされた狙いをちょっと教えていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

A.(仁平総合政策推進局長)

 今年の夏の審議で、結果として全国加重平均で961円まで来ております。そういう意味で、2010年雇用戦略対話でセットいたしました全国平均1,000円が目前になってきましたものですから、それを確実にクリアして、連合の目標というのは「誰でも1,000円」ということでございますから、今最低でいきますと、ここの45ページ、例えばリビングウェイジ、生活できる賃金を考えた時、例えば沖縄でも1,050円必要だということでございまして、ただ今沖縄の最低賃金の水準は853円ですので、1,000円をめざしてしっかりそこはやっていきたいということで、政府の加重平均1,000円が達成されたから終わりではないということも含めて連合の目標を追求していきたいということで、今年こういう書きぶりをさせていただいた次第です。

Q.(朝日新聞・ミウラ氏)

 確認ですけど、昨年はなかった表現という理解でよろしいんですね。

A.(仁平総合政策推進局長)

 はい、表現ぶりは若干違うかもしれないですが、こういう「確実に達成した上で」というのは今年がはじめてだと思います。

Q.(朝日新聞・ミウラ氏)

 あともう1点伺いたいと思います。全く別の話題になってしまうんですが、先の臨時国会でフリーランス新法、政府が提出予定だったと思うんですが、結果的に見送りになってしまいました。こちらについて連合としての受け止めというのを教えていただきたいなというふうに思います。

A.(会長)

 連合は成立をこの間求めてきましたが、今回それができなかったことは非常に残念です。そのフリーランスに関する取引の適正化のための法整備をはかることは、就業者保護に資するものと考えていますので、安全衛生の確保ですとか仲介業者に対する規制などを含め、次期通常国会ではしっかりと就業者保護の観点から議論をしてほしいと思いますし、労働者性の早急な見直しは必須であると考えています。

質疑応答[6]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 何点かお願いします。まず最初に芳野会長にですね、あの今日の中闘で案として出された、直近の物価の動きとか詳しく書かれているんですけども、物価的に9月30日、これは日経さんの指数を使ったみたいですけども、9月30日時点で3.1%、食料品のやつが、12月1日には6.3%に増えていると、大変まあその物価という面で言えば、特にその食料品という人の口に入るものがすごく上がっているという状況があるんですけども、この現状をどう受け止めているのか、あるいは何かこの現状で春闘での何か思いが変わるかというところを、受け止めていいです、どう受け止めるかというのを1つ教えていただきたいです。
 その他にあと外国人の政策に関して、先ほど村上さんのほうから説明あって、ごめんなさい、僕、2017年のやつよく理解してないかもしれないのでお尋ねしたいんですけども、まあ新しい補強の中では高度人材を含む専門的な技術部門も受け入れ等で、その人権保障等も含めてですけれども、それはよく理解したんですけども、実際にその例えば技能実習生なんかで言えば、農業であるとか繊維産業であるとか、そういった高度人材と言われる部分ではないところでたくさんの方が実際やってるわけですけれども、それらの方々についてはこのままその研修制度、先ほど廃止を求めるものではないとおっしゃってたんで、このまま研修制度を、要するに使ってやっていくんだと理解してよろしいのか、もしそうであるとするならば、今の研修制度の中でどこを、何をちゃんとしなければならないのか、要するに今の研修制度は、世界、先進国の中では奴隷制度だという批判を受けており、公正競争ではないという批判も起きています。それで、もう実習生を使わないというふうに言っている大企業も出てきています。世界的な公正競争の中でこのように見られている制度を温存するという裏にはどのような連合としての考え方があるのかというのを教えていただきたいと思います。
 あとこれも会長にちょっと所見を伺いたいんですけども、労災制度ですね、労災制度で労災が認定された場合、その認定された会社が不服を申請できるという制度を厚生労働省はスタートさせようとしているようですが、労災被害者当事者からは労災保険を申請することが、気軽にできなくなると言うとおかしいですが、その労災を申請するのに相当決意がいるような形の制度になってしまうのではないのかと、ひっくり返された場合のことを考えると怖くてできないというような声も出てます。この制度について連合はどのようにお考えなのかということをお聞かせください。以上、多岐にわたってすいません。

A.(会長)

 まず現在物価が上がってる状況について、連合にも生活困窮のご意見は沢山来ています。また連合としてこの間お付き合いのある子育て支援をしているNPOキッズドアさんがやった調査なども拝見をさせていただいています。連合としては、直近ではこの春季生活闘争の中でしっかりと賃上げを獲得していくことが必要ではないかと思いますし、また「連合緊急アクション」の中で生活困窮家庭に対して何かできることがあるのかないのかも併せて検討していますので、これから運動の取り組みをしていきたいと思います。

A.(村上副事務局長)

 まず外国人労働者の関係ですが、先ほど技能実習制度について廃止を求めているものではないと申し上げましたが、それはこのままの姿で残せばいいと申し上げているわけでもございません。技能実習制度は、もう課題が多いことは明らかでありますので改善をしていかなければならないと、ただそれが特定技能にすべて寄せていけば課題が解決するのかということで言えばそうではないということで、その両者をそれぞれやはり検証していかなくてはならないのではないかと、どういった制度を作っていけばよりその人権が保障されるような働き方が可能なのかということをやはり検討していかなければならないのではないかと考えております。特定技能で言えば、あまり受入れが進んでいないところもありますが、受入れが進んでいけばまた同じような課題が出てくる懸念もございますので、そういったことを十分踏まえて検討していくべきではないかと思っております。
 それから労災は、判決の話、高裁判決の話でしょうか。それとも厚労省の検討会の話でしょうか。

Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 高裁判決を受けての…●※マイクを使っていないため聞き取れず

A.(村上副事務局長)

 高裁の判決にしても、その厚労省の検討会の報告についても、今週13日に事務局長談話を出しておりますのでそちらもご覧いただければと思いますが、特に高裁判決は大変遺憾だと思っておりまして、労災保険の給付はそもそも被災した労働者の救済のためにあるわけで、それを事業主が、メリット制が適用されるからといって支給決定を取り消すような訴えをできることを、原告適格を認めるということは問題だと考えております。そのメリット制についてどうするかということはまた別の政策課題だと思っております。以上です。

Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 声明のほうは読んでまして、まあだから芳野会長の意見を聞きたかったんですけども。それとは別にその外国人労働者の問題で、今の説明で大方理解はできたんですけども、ただその要するに特定技能の方に関しては多分永住権も含めた形での、要するに移住を含めた形での権利保障のことをちょっと言われてたと思うんですけども、それは言ってないということですかね。要するにその3年でもう帰ってくださいという研修制度を続ける、片やずっと居てもいいという特別永住ということがあるとすれば、連合の中でその特定技能より高度技能に対するものと、人手不足が顕在化している、人手が足りない部門の外国人労働者について何らかの違いがある、何らかの差をつけなければならないと考えているのかというのをお聞かせください。

A.(村上副事務局長)

 特定技能も別に永住ということではないと認識しておりまして現在の制度は、いずれにしても移民という話ではないと聞いて理解をしております。ですから本当に移民政策をとっていくのかどうか、そういうことについての議論が必要ではないかと思っております。労働力として必要だから来ていただくだけではなくて、一旦来られましたらその方々は生活者でありますので、そういったインフラもきちんと整備していく必要があるという中で、そういった覚悟を持って受入れを進めていくのかどうか、そこを、そのことこそ議論を進めるべきであって、単純に今人手がいないから何とかしてほしいということだけの議論ではないと考えております。ですから技能実習か特定技能かだけの課題ではないのではないかということを申し上げているところです。そのようなスタンスで私どもとしては臨んでいきたいと考えております。

質疑応答[7]
Q.(シカタ氏)

 芳野会長に1点お聞きしたいんですが、JC回答についてお聞きしたい、金属労協、自動車とか電機入ってる、芳野会長もこのまえ協議会で挨拶をされたんですが、JCが決めた要求はですね、平均30万と見ると6,000円というのは2%の水準で、要求段階から実質賃金のマイナス要求になっているわけです。それをどう受け止められているかというのが第1点です。
 それから第2点目はですね、これは芳野会長もかなり勇気ある発言されたと思って聞いてたんですが、挨拶の時にJCに対して5%の賃上げの実現のけん引役をしてもらいたいということをおっしゃられたわけで、かなり踏み込んだ僕は発言だと思ったんですが、要するに2%しか決めてない組織に5%のけん引役になってもらいたいというね、そのあたりの意味合いを、どういう真意だったのか含めてお聞きしたいと思います。よろしく。

A.(会長)

 JCMはJCMの中で議論をされて決定をされているかと思いますので、そのことについて連合が何か申し上げることは避けたいと思いますが、やはり連合としては方針で5%程度という方針を固めましたので、このあとJCMの産別もしくはその加盟組合が要求を決めていくと思いますので、限りなく連合の方針に近い要求を立てていただきたいと、そこに期待をしたいと思います。

質疑応答[8]
Q.(日経新聞・オオサワ氏)

 芳野会長に、政府が近く閣議決定する防衛3文書について伺います。防衛費のGDP比2%への増額という明記が入るのとともに、増額分の税収の多くに法人税が充てられるという案が自民党税調内で検討が進んでいます。この2つについて芳野会長のお考えを教えてください。

A.(会長)

 まず、国民の命と暮らし、そしてその雇用、社会経済活動に関わるだけにやはり政府としては国民に対して説明材料をしっかりと示すことと、国会における与野党による十分な議論がなされるべきだと思っています。そして、税目ですとかその金額が先行していますけれども、まずはその必要性ですとか妥当性について国会・国民への説明があってしかるべきではないかと思います。やはり政府の説明責任、それから国会での丁寧な議論を連合として求めたいと思います。

Q.(日経新聞・オオサワ氏)

 与野党の議論というところがありましたが、特に反撃能力の保有のところで言うと連合が支持している立憲民主党と国民民主党の中でも考え方に少し開きがあるようにも見えます。今後、防衛政策の転換というところに対応していく中で、連合としては両党との関係も含めてですね、どういうふうな姿勢で捉えていきたいとお考えでしょうか。

A.(会長)

 連合としては防衛についてこれまでも都度逐一議論はしてきていない中で、連合の政治方針の中で整理をしています。今後ですがトップ懇などもやっていますので立憲・国民の考え方を聞きながらというふうになるかなと思います。

質疑応答[9]
Q.(朝日新聞・キハラ氏)

 端的に伺います。芳野会長、国民民主党との関係ですけれども、今月初めに国民民主党が連立入りするんじゃないかという報道が一部流れました。まずこの報道をご覧になってどう思われたか、また国民民主党が連立入りする、自公政権に入るということは連合として許容しうるのかまず教えてください。

A.(会長)

 その報道が出た時に関係者の皆さんから連絡がありましたが、関係者すべてが否定をしていますので、それを受け止めるという形になるかと思います。

Q.(朝日新聞・キハラ氏)

 連合として許容できるかどうかという点はいかがですか。

A.(会長)

 今の段階では許容できないということになります。関係者が否定してますので。

Q.(朝日新聞・キハラ氏)

 わかりました。もう1点だけ。統一地方選とかですね、まああの国政選挙も来るわけですけれど、こういった報道が出てしまったということも踏まえてですね、改めてですけれど連合として立憲民主党・国民民主党とどういう関係を持ちながら各種選挙に臨んでいくことが望ましいというふうに考えられておられるか教えてください。

A.(会長)

 まず報道については、私のところに誤報であるという連絡が幹事長のほうから来ましたので、それを信じる、受け止めることになるかと思います。それから、立憲民主党・国民民主党とは選挙方針の中で連携していくことが確認をされていますので、それも地域の中でもそれを引き続きということになるかと思います。

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