記者会見 2023年9月28日

 

連合記者会見

記者会見

芳野会長、清水事務局長(2023年9月28日)

連合記者会見全文
芳野会長

 大変お疲れ様でございます。本日も定例記者会見にご参加をいただきまして誠にありがとうございます。
 まず、今週はじめに政府から経済対策の5本柱が発表されました。連合としては2023春季生活闘争において実現した賃上げの流れを持続させ、物価を上回る所得の向上をはかることが重要であると認識をしております。そのためには、繰り返し訴えてきております労務費を含めた価格転嫁の進展を後押しする環境整備ですとか、非正規雇用労働者の正規化への加速など取り組まなければならない課題が多々あると認識しております。政府の各種会議にて連合としても意見を申し上げておりますので、耳を傾けていただきながら、この1年を正念場として取り組んでいきたいと考えております。あわせて、「年収の壁」への対策も提示をされましたが財源や公平性に問題があると思っております。また可処分所得にのみ焦点が当たり、そもそも社会保険の加入による給付の充実といったプラスの効果があることなど、制度への正しい理解を促進することが不足していると考えております。連合としては引き続き各種審議会での議論を重ねてまいりたいと思います。
 そして、矢田稚子さんの総理大臣補佐官への就任について前回の記者会見でもご質問をいただきました。事実関係として承知しているのは、政府から矢田さんの勤務先パナソニックに就任要請がなされたということです。その上で、連合としてこれまで同様運動方針や各種政策の実現に向けて毅然とした態度で政府に対応してまいりたいと思います。
 なお、本日で第17期の定例記者会見は最後となります。2年前に連合会長に就任をしまして、皆様に様々な場面でご取材をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。不慣れな点が多く十分にお答えすることができなかったところもあるかと思います。逆に皆様からのご質問を通して私としても多くの気づきを得ることができました。そして何より皆様のご取材により連合の認知度も向上したものと思っております。本当にありがとうございました。引き続き連合にご関心を寄せていただきますことをお願いするとともに、夜討ち朝駆けでのご取材をいただいている皆様のお姿を目の当たりにしまして、本当にご苦労されてるんだなということも気づきましたし、また子育てや介護と両立をしながらの記者さんの活動というものも私たち労働組合としても少しでも皆さんが記者の活動がやりやすくなるようにお手伝いができるところがあれば今後協力をさせていただきたいと思っております。ぜひとも体には気をつけていただきますようお願いを申し上げます。
 以上で簡単ですが冒頭の挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

清水事務局長

 今日の第25回の中央執行委員会でございますが、大きく2点について協議をいたしました。
 いわゆる日本版DBSに関する連合の対応について協議をいたしました。臨時国会での法案提出も当初言われておりましたが、法案の調整がつかないということで今臨時国会では提出されないとの報道もございますが、連合としての考え方を今日協議したところでございます。連合の基本的な考え方としては、こども基本法の理念のもと、子どもの最善の利益を実現する観点から安心・安全に教育・保育を受け生活できるための対策を講じることは極めて重要だということでございます。子どもの人権や尊厳を踏みにじる性犯罪・性暴力を許さない社会づくりを推進すべき、未然防止をはかる対策を強化するとともに、被害者も加害者も出さないための教育・研修の充実が必要であるということでございます。一方で、今回いわゆる報告書が出されましたが、その仕組みについては極めて問題となる点が含まれていることで十分な検討をすべきだと確認をいたしました。1つには国が性犯罪歴などの情報を提供する仕組みについては、職業選択の自由だけでなくプライバシー権など人権を侵害しかねないということが1点でございます。また、刑法の第34条の2の趣旨を踏まえるならば、個人情報保護の観点からも本人の申請に基づき本人が証明を受ける、そういった仕組みにすべきであるということでございます。また、対象となる事業者、あるいは対象者の対象となる犯罪の範囲拡大も非常に懸念されるという点がございます。有識者会議には、また、労働者の代表も含まれていない中での報告がされていることについて問題点として確認をしたところでございます。
 もう1点は、雇用保険制度の見直しに対する連合の考え方について確認をいたしました。この間、いわゆる骨太方針において雇用保険の適用拡大について検討する旨が明記をされています。また、「こども未来戦略方針」でも育児休業給付の給付率の引き上げであったり、あるいは育児の時間、育児時短の就業給付の創設であったり、あるいは新たな特別会計、いわゆる「こども金庫」の創設などについていろいろ明記をされています。雇用保険の財政運営については、コロナ禍の雇用調整助成金などの活用によって雇用保険の2事業の財源が枯渇していると、こういったことへの対応も必要であるとこの間言われているところであります。連合の基本的な考えとしては雇用保険制度の目的である、労働者の生活、雇用の安定や労働者の能力開発、福祉の増進について、そういった目的に沿って検討されるべきということで、雇用保険を財源とする各種施策の果たす役割は極めて大きいと。今後も非常時に臨機応変に対応可能な制度であることも重要です。財政基盤の強化についても急務であります。各論点に対しては雇用保険制度の本来の趣旨との整合性、あるいは給付と負担のバランスや効果、被保険者間の公平性の観点、財源のあり方などを踏まえて対応を進めてまいりたいと思います。各論点についての考え方については、お配りをしてます資料に、別紙のとおりございますのでご覧いただければと思います。 第25回の中執行委員会で大きく協議されたことについて2点報告をさせていただきます。私から以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(朝日新聞・マツイ氏)

 芳野会長にお聞きします。連合の定期大会に岸田総理が出席に向けて調整中と本日の官房長官会見で説明がありました。岸田総理が出席するとなると自民党政権の総理出席としては16年ぶりとなります。この点についてどのように受け止めていらっしゃるかお聞かせください。

A.(会長)

 連合にはまだ正式にお返事をいただいていませんのでコメントは差し控えたいと思いますが、総理がご出席、もしいただけるのであれば、連合としては2023春季生活闘争に続いて2024春季生活闘争そして再来年の春季生活闘争と、継続的な賃上げをしていかなければならないということと、労務費を含めた価格転嫁の強化ですとか、非正規雇用労働者の課題ですとか、労働者を取り巻く課題が多々ありますので、そういったことの政策をしっかりと政府として実現していただけるように、そんなことを期待しています。そういったことを連合の大会で言っていただけると非常にありがたいなと思います。

質疑応答[2]
Q.(NHK・タカハシ氏)

 関連して、岸田総理の大会への出席について伺いたいんですけれども、松野長官は今日の会見の中で「連合から総理に政府代表として臨席して挨拶してほしいと依頼を受けた」ということなんですが、事実関係としてそうなのか、総理に出席を依頼したのであれば狙い等あれば教えてください。

A.(会長)

 記者会見を見ていないので、どういう言い方をされたのかというのは分かりませんが、一般的には組織にご案内状を出すときにはおそらくトップのお名前を書くかと思いますので、これまで連合も政府代表で内閣総理大臣宛てに出しているかと思いますし、労働行政の代表者にもご案内状を出していますので、そういった点からそのようなお話をされたのではないかなと思います。

Q.(NHK・タカハシ氏)

 じゃあ今回特別に岸田総理大臣を招いたということではないということですか。

A.(会長)

 定期大会もそうですし、また新年交歓会ですとかメーデーですとか、そういう時には必ず政府代表そして労働行政代表にご招待状、ご案内状を出していますので、今までとおりの対応になっていると思います。

Q.(NHK・タカハシ氏)

 こうした矢田補佐官の就任ですとか岸田総理大臣の大会への出席ということで、連合と政府・与党との距離が近い、近さを指摘する声もありますが、こうした声についてどう思われるか、連合への影響等、何かありましたら教えてください。

A.(会長)

 まず、矢田さんの件については電機連合さんからご説明をいただき、そして今日の中央執行委員会の中でも連合の見解について構成組織・地方連合会の皆さんにご報告をしたところです。少しご説明させていただくと、矢田稚子さんについては、電機連合さんの役職ももうすでにおりているということですし、国民民主党さんの役職もおりているということで、所属企業の1社員であり1組合員になっているという中で、政府から会社のほうに要請があって、会社のほうからそういう話があり本人が了承されたと聞いています。ですので、これは企業の中でのことで、連合としてはそのことについてコメントを差し控えたいと思います。ただ、ご承知のとおり矢田稚子さんは組織内国会議員でもあったということもありますので、そういう点では皆さんからいろいろな憶測が出ているかと思いますが、連合としてはもう立場が変わっていますので一定の距離を置きたいと思いますし、政府の中枢に入っているわけですから、その辺のところで連合としては政府に対しても今までどおりの対応をしていくということで、私たちとしては「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、これまでとおり政府に対しても要請はしていきますし、主要政党にも同じように要請をしていくということで、連合が近づいてるかのような報道がありますが、まったく連合としては変わらない態度ということを申し上げておきたいと思います。

質疑応答[3]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 矢田さんの件、引き続き質問したいんですが、この連合の今日見解が出されてますね、今これ資料の中に入ってますけど。あんまりこういうのは、事務局長談話はもちろん頻繁に見ますけれども、連合としての見解が出されていて、しかもこれ何で今日の日付になってるんですか。つまり今日の日付になった理由は何かあるんですか。

A.(会長)

 今日の日付になったの今日の中央執行委員会で連合の見解を確認したので今日の日付になっています。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 それはそういう連合としての見解を出すべきだっていう意見があったんでしょうか。

A.(会長)

 そうですね。この間、地方連合会・構成組織のほうから本部に対して、見解を出してほしいということと、これからどう対応していけばいいのかということで、若干動揺があったのではないかと考えています。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 関連して。たぶん芳野さんが今説明されたことだと思うんですけれども、矢田さんの担当って雇用労働となっていて、今までの、例えば新資本実現会議における芳野会長のプレゼンなんかを聞いていると必ずしも岸田政権の雇用労働政策について連合が全面的に賛成しているわけではないというふうに受け止めていますけれども、その中でやっぱり矢田さんがその担当として入るということは、いろいろ影響があるんじゃないかというふうに思い、今日のコメントでも「実現に向けて毅然とした態度」っていうふうに書かれて、このへんの狙いというか意味合いはどのへんにあるんでしょうか。

A.(会長)

 矢田さんは、こちらが聞いてる限りでは、雇用・賃上げ担当と伺っています。もう政府の中枢に入られた方なので、矢田さんとしては政府の考え方に基づいてこれから仕事をされるかと思いますが、連合は連合の考え方がありますので、今までとおりそれが実現できるように政府をはじめ関係政党には要請を行っていくということかと思います。

質疑応答[4]
Q.(読売新聞・ソバタ氏)

 続いて矢田さんの件お伺いしたいんですけれども、矢田さんは雇用と賃上げ担当ということで、連合が掲げる政策と重なる部分が非常に多いかと思います。矢田さんが首相補佐官に就任したことによって連合の掲げる政策がより実現しやすくなるそういった期待があるかどうか教えてください。

A.(会長)

 それはやはり矢田さんもこれまで国会議員として一緒に連合とともに様々協力関係にありましたので、連合の考え方は理解されているのではないかと思います。ただ、もう立場が違っていますのであまりこちらから言うのもどうかと思いますが、連合の考え方はご理解いただいていると認識は持っています。その先は矢田さんのこれからの仕事に影響してくるかと思いますのでコメントは避けたいと思います。

Q.(読売新聞・ソバタ氏)

 もう1点、今日の中央執行委員会でこの見解を説明されたかと思うんですけれども、出席者の方から何か意見があったのかどうか教えていただけますか。

A.(会長)

 意見は何もなかったです。雰囲気的には、連合としての考え方を出したので皆さん納得というか、落ち着いたというか、そういう感じでした。

質疑応答[5]
Q.(時事通信・ミフネ氏)

 2問お伺いしたいんですけど、まず1問目、矢田さんの件に関連してなんですけれども、会長とも非常に懇意にされていると理解してるんですけれども、この矢田さんの補佐官の就任についてこれまで何かやり取りを矢田さんとされたのか、伺える範囲でお伺いできればと思います。

A.(会長)

 記憶では、14日の中央執行委員会の日の夜だったかと思いますが、電機さんのほうから矢田さんが私と話したがってるとお話があり、お断りする理由がないので電話で話をしています。任命の前日ですので、会社のほうから要職の話があってそれを受ける予定ですということで、もしかすると連合さんにも迷惑をかけるかもしれないというような話でやり取りをしています。

Q.(時事通信・ミフネ氏)

 話変わってなんですけれども、来週いよいよ定期大会を迎えますけれども、会長としても2期目に突入すると思うんですけれども、改めて意気込みをお伺いしたいのと、政治的には立憲と国民民主党の又裂きが続く中で与党との距離感なんていうのも指摘されていますけども、改めて政治的なところも含めてどう臨んでいくか、見解、意気込みをお伺いできればと思います。

A.(会長)

 まだ定期大会が終わっておらず、私も定期大会で信任されるかどうかというのもありますので、私としては会長就任以来、ジェンダー平等・多様性推進で、それを一丁目一番地で来たわけですが、まだまだ心残りのところがありますし、国際水準では労働界は劣っていますので、これを早く国際レベルにまずは労働界を持ってきたいと思いますし、政治の分野でも本当に世界から見ると日本はかなり差がついていますので、経済の分野もそうですが、政治の分野においてもあらゆるところで意思決定の場に女性が登用されるよう、ここは取り組みをさらに強化をしていきたいなと思っています。
 それから、春季生活闘争も非常に重要だと思っていまして、今年は加盟組合の皆さんの本当に真摯な労使の交渉によって30年ぶりの高水準ですが、でも実質賃金は上がっていませんし、非常に経営が厳しい企業もまだまだありますし、業界的にも回復途上のところもありますので、やはり来年再来年とこれが続くような、さらにその賃上げの機運を高めていくような、今年と同じことをやっていてはたぶん来年あまり意味がないと思いますので、今年と違う何か戦略というかそういったものも関係局と一緒に考えていき、賃金水準を上げて景気回復に持っていくということもありますし、特に今年少し心残りだったのは生活困窮者の課題で、とりわけひとり親家庭の問題ですが、地方連合会の皆さんが子ども食堂ですとかフードバンクですとか地域で顔の見える運動を様々展開していただいてるんですが、私としては現場に入っていきたいと思っていましたが、それが叶わなかったので、2年目はさらに現場にちゃんと足を踏み入れるように、もっと活動を、地域に活発にしていきたいなと思ってます。
 政治については、立憲民主党・国民民主党と連携をとっていくということがベースになりますので、引き続き、新体制になってもトップ懇を再開して意見交換をしていきますので、何とか地域の皆さんが闘いやすい環境と、私たちも政策を実現していくためにはそことの連携を強化していかなければいけませんので、引き続き模索していきたいと思ってます。

質疑応答[6]
Q.(シカタ氏)

 賃上げについて具体的な政策についてお聞きしたいんですが、来年の場合は特に中小が非常に重要になると思うんですが、それで今岸田首相のほうも賃上げ減税というんですけど中身を見ると非常に曖昧なままなんですよね。特にその中で賃上げ減税ですよね、この賃上げ減税についてですね、連合として具体的な中身を主張されていくのかどうかという点をお聞きしたいのと、それとあと賃上げ減税の問題も長い歴史があるんですが、一番の問題は使い勝手が悪いということで、使い勝手の悪さというのは要するに法人税を納めたら、中小の場合はね、使おうと思っても使えないという問題があるわけです。これは今年の中賃の公益側が中小について、賃上げ減税については赤字企業についても使えるような方策を考えるというのは、これは中賃の公益見解ですからね、一種の政府見解と見ていいわけで、そのあたりで赤字企業でも法人減税が使えることを連合として考えるのかどうか、新しい資本主義実現会議でもって、そういうことを主張されるのかどうかね、これは中小企業の経営者が一番熱望しているのは公正取引もありますけれど要するに社会保険の分を要するに軽減・減免を政府で持ってくれということが、一番中小企業の経営者は熱望してるわけで、中小にとっては即効性があるわけで、そのあたりを連合として主張されていくのかどうかお聞きしたいと思います。

A.(会長)

 来年の2024春季生活闘争についてはこれから担当局と専門委員会の中で議論を積み上げ、また構成組織の状況なども聞きながら方針を決めていきますので、そのことについてのコメントは控えたいと思います。
 それから、賃上げ減税使い勝手が悪いという認識は持っていまして、これについての今後の考え方については、仁平さんお願いします。

A.(仁平総合政策推進局長)

 政府としていろいろ、さらに今年見直しの、賃上げの減税について今項目で上がってるものですから、その中身も見てみたいと思っておりますが、基本的にシカタさん言われたとおり、なかなか、当然ながら法人税の減税のところでいけば法人税を納めているから減税ができるんであって、繰越控除を延ばしたからといって本当にそれが効果があるのかなというのは私も疑問を持ってます。社会保険料の使用者分の負担の軽減については、連合としてはあまりそういう議論はしたことはないです。以上です。

質疑応答[7]
Q.(読売新聞・ヒロセ氏)

 先ほどの回答にちょっと関連する部分はあるんですけれども、来年度の春闘に向けた方針として、要求の数字だとかはまたこれから議論していくものかと思うんですけれども、今後の議論に向けてどういった要素を特に重視する必要があるとお考えなのか、物価の要素とか、かなり大きいかと思うんですけれども、どういった要素を特に考慮して来年の春闘の方針を決めていきたいのかお考えを伺いたいと思います。また、今年度の春闘でもかなり賃上げ率は高かったというものの、先ほどまだ不満が残るという部分もおっしゃっていました。今年度についてはどのような点で特にまだまだ不十分な点があったとお考えなのか伺えますか。

A.(会長)

 まず、今年度の点については中小のところから価格転嫁が十分にできないというご意見をいただいていますので、そこをもう少しクリアにしていかなければいけないかなというところです。2024春季生活闘争については、これから議論がはじまりますので、コメントは控えたいと思いますが、先ほども申し上げたとおり、賃上げの機運を高めていくための施策は今年と同じことをやっては、たぶんなかなか盛り上がっていかないと思いますので、今年と違うやり方を考えていきたいと思っています。強化しなければいけないのは労務費を含めた価格転嫁の問題で、中小の皆さんがなかなか価格転嫁できないっておっしゃってるので、そこを連合として具体的にどうできるのかというのは担当局と相談しながら次の手を考えていきたいなと思います。

質疑応答[8]
Q.(NHK・シカノ氏)

 冒頭でも発言いただきました「年収の壁」の政府の対策について改めて伺います。冒頭でも今回の政府のパッケージについて財源や公平性に問題があるんじゃないかという会長のお言葉ありましたけれども、もう少し具体的に、今回106万と130万それぞれに対する政府の対応というのが出てきましたけれども、これに対する受け止めといいますか、どういったところが問題だというふうに捉えているのか、そしてまた今後抜本的な見直しが必要だと指摘される声もありますけれども、連合としてはどういったことを求めていくか改めてお願いいたします。

A.(事務局長)

 それについては私のほうからお答えしたいと思います。岸田首相が会見で106万の壁等について発言ございました。連合としては、いわゆる「壁」と言われるものが、表現がそれでいいのかということの根本の議論はあります。冒頭会長が申し上げたところでございますが、何らかの対策を講じて労働者が働き続けられる環境整備を行うことは重要であるということは、政府がそういうことを発言したことについては理解をしています。しかし、やはり今回のことについては暫定的な支援策であって、「壁」ということで言えば根本的な解消にはつながらないと。それどころか今回の対策が2025年の次期年金制度の改革までの一時的な措置で、社会保険料を雇用保険料で充当することについてはなかなか理解ができないというのが連合の考え方でございます。社会保険料を負担している者と、それから社会保険料を負担せずに給付を受ける労働者の間での不公平感、こういったものにならない制度とする必要がありますし、社会保険を歪める弥縫策を講じると見えるのではないのかというような形で、ちょっと厳しめに今回のことは見ています。また、今回労働側はもちろんそうですが、先日行われた労政審等においてもこのことについての発言が労働側からもあるいは経営者側からもありましたので、財源がはっきり確保できない中での、制度として決定しているかのような発言について、これについては控えてもらいたいと。やはり労政審になりに、あるいは各種の審議会等、そういったところでいわゆる三者構成、公労使の三者の構成の中でしっかり議論した上で作っていくものであると、そういった私たちの議論のところを飛ばしてああいった会見になったことについては極めて遺憾であるという考えを持っています。以上でございます。

質疑応答[9]
Q.(テレビ東京・カワサキ氏)

 芳野会長と清水事務局長、両方にお伺いいたします。矢田稚子さんの補佐官の起用に関してなんですけれども、様々憶測というところで、国民の連立ですとか、連合内の労組の分断を狙ったものであるといった報道もあると思うんですけれども、お二人としては政府・与党の今回の矢田補佐官の起用の狙いというのはどこにあるというふうに思われておりますでしょうか。

A.(会長)

 政府がやられたことですので連合としてはコメントを控えたいと思います。報道で「分断」というような言葉もありますが連合は決して分断はいたしません、ということだけは申し上げておきたいと思います。

A.(事務局長)

 会長のご発言のとおりだと思いますし、今日、連合としての見解を文書でお配りをしておりますので、そこに記載のとおりということでございます。

質疑応答[10]
Q.(毎日新聞・アベ氏)

 インボイス制度の導入についてお尋ねします。これまで連合さんとしては全体の制度の中で導入が考えられたほうがいいというご見解をされているかと思うんですけれども、先日、官邸前での反対集会に立憲の泉代表であったりとか国民民主の浜口議員が参加されたりなど立憲と国民民主はこれまで反対というスタイルを示していることで、連合と考え方が違うのではないかという指摘がされておりますけれども、改めて連合の考え方と立憲と国民と考え方にズレがあるのかについてお考え教えてください。

A.(事務局長)

 10月から導入で、それに向けて、制度導入に対して様々な声があることは連合としても承知をしております。導入を前提として特に中小企業や個人事業主の方たちが導入に円滑に入れるという形になかなかならないということでの声であろうかと思います。また、フリーランスや、様々な個人事業主の方たちの声をしっかりと聞いてほしいという、そういった声が連合のほうにも労働相談等含めてございますので、それらはしっかりと受け止めていきたいと思います。 この件に関してそれぞれの両党が党の中で、問題があるのではないかということで導入についても拙速に行うことなく、10月の導入についてもその当事者の声をしっかり聞いていく集会に参加をしていこうということでご参加をされたと考えておりますので、両党の考えに特に大きな違いはないと思いますけど。

Q.(毎日新聞・アベ氏)

 連合との違いは?

A.(会長)

 連合とですか。このことについて特に三者で詰めたことはございませんので、連合としてはこの間の申し上げてきたとおりでございます。

質疑応答[11]
Q.(時事通信・コムロ氏)

 春闘について芳野会長に伺います。先週、経団連の十倉会長が24年春闘について次回は4%を超えたいというふうな発言をしています。会見で少し発言は後退させておりますけれども、その経団連側の意欲についての会長の受け止めを教えてください。

A.(会長)

 意欲を示されたことについては連合としては非常にありがたいことです。ただ、私どもとしてはこれから構成組織と専門委員会と議論を続けていきますので、連合は連合として2024春季生活闘争の方針、また闘い方をこれから議論していきたいと思います。

質疑応答[12]
Q.(西日本新聞・イワタニ氏)

 よろしくお願いします。芳野会長にお伺いします。政治の話に戻って恐縮なんですが、立憲民主党と国民民主党との連携についてお伺いします。福岡など地域によっては地方連合を媒介として候補者擁立の調整がされているところも多々ありますが、国政の場というか、党全体を見るとやっぱり両党なかなかまだ協調できているとは言い難い状態だなと思います。立憲民主党さんのほうは市民連合を通じて共産党を含む他の党との候補者調整とかも模索されてますが、連合としてその支援している立憲民主党と国民民主党をつなぐ役割っていうのをどのように果たされていくお考えなのか、先ほど少しお話ありましたけどももう少し踏み込んだ具体的なお話、お考えなどが聞ければお聞かせください。

A.(会長)

 今の段階では来月からはじまるトップ懇の中で様々な意見交換をしていくことになるかと思います。

質疑応答[13]
Q.(東京新聞・ハタノ氏)

 芳野会長に年収の壁に関して1点伺えたらと思うんですが、先ほど清水事務局長から支援強化パッケージの問題点に関する発言はあったんですけれども、連合としては公的年金の第3号被保険者制度を廃止すべきという考えを検討中だと思うんですが、その点に関して芳野会長としてはこの第3号被保険者制度廃止して中立的な制度に変えていくべきという考え自体は現時点で変わりはないかどうか伺えないでしょうか。

A.(会長)

 前の記者会見の時にも申し上げたかと思いますが、その多くが女性になるかと思いますが、どういう人生の選択をするかによって、3号になったり2号になったり1号になったりというのは社会保障制度としてどうなのかと思っていますので、その性に中立的であって、どういう人生を歩んだとしても公平に公正になる制度の確立が必要ではないかと思います。前回の記者会見の時に申し上げたのは、例えば介護で仕事を辞めると言った時に結婚していれば第3号になりますが、結婚していなければ第1号になりますよね、そうやって多くの女性たち、男性も3号の方がいるかと思いますが多くが女性だと思いますが、そういうその人生の選択によって変わってしまうことがないように私は持っていくべきだと思います。

質疑応答[14]
Q.(日経新聞・セキモト氏)

 今回政府の経済対策が発表されました。それに関連してお伺いします。今日の連合の幹部会、会議の中でその経済対策への評価についてどのような発言ご意見があったのか具体的にもしご紹介できるものありましたら教えていただければと存じます。

A.(会長)

 今日はそういった議論はしてないです。

質疑応答[15]
Q.(日経新聞・ウラサキ氏)

 先ほど芳野会長からの春闘の関係で今年は中小から価格転嫁がしづらいという声が来ているという話があったんですけれども、来月いよいよ最低賃金が上がるという中で、そういった声、同じような声も連合に集まっているのかということと、あと春闘の前に今年度の段階でこういった賃上げと年収の壁も入ってくるんですけど、こういう最賃の対策について今後どのような考えをお持ちなのかっていうのをお聞かせ願えればと思います。

A.(会長)

 最低賃金を着実に引き上げていくことが非常に重要かと思っています。岸田総理のほうが全国加重平均で1,500円をめざす方針が打ち出されましたが、連合としては数字ありきということではなくて、水準ですとか引き上げ方について考え方を示すことが何より重要だと思っています。前回の記者会見の時にもご説明をさせていただきましたが、EU、イギリスの海外視察で最賃について見てきていますので、今報告書をまとめているところかと思いますが、そういったことも考えながら今後の対応について協議をしていきたいと思います。

質疑応答[16]
Q.(朝日新聞・マツイ氏)

 矢田稚子補佐官についての先ほど出された見解について芳野会長にお聞きします。先ほど、地方連合会からいろいろなお問い合わせがあって動揺があったのではないかというご発言がありましたが、これもう少し具体的にお伺いしたいんですが、つまり政府との関係性についてどう対応していったらいいのか地方連合会として困惑があるという、どんな動揺があったからこうしたものを出したのかというのが1点と、あとその見解の要旨の中で「与野党が互いに政策で切磋琢磨する政治体制の確立に向けた、政権交代可能な二大政党的体制をめざしている」というふうに書いてありますが、これはつまり国民民主党の連立入りは認められないという、その大きな2つの政党の塊があって二大政党制で交代する政治環境が望ましいと、連立入りはやっぱり認められないということを意図してこのように明記していらっしゃるのか、そのあたりもお聞かせください。

A.(会長)

 まず、直接事務局長が受けているので、そこは事務局長からお願いします。

A.(事務局長)

 動揺というか地方連合会から様々連絡をいただいていることについては、そもそも国民民主党の議員だった、ついこの間まで前議員ということでしたから、そういった方が入ることはそもそもどういうことですか、との内容です。その経過を知りたいということです。連合はそれに関わっているのか、あるいは相談があったのかとかということについて、また声としてはそういったことについて連合は止めるべきじゃないかという声とか、地方連合会の中にそのことをきちっと連合に問い質すとか、問い合わせて、きちんと回答をもらうべきだというような声や、あるいは矢田稚子さんはどういう形でこれから活躍されていくのか、そういったことについて連合は何か考えがあるのかとか、いろいろな声があって、そういったことについてであったと。それから、連合のほうから特段、報道が先に出て、執行委員会もその日、ちょうど報道があった次の日に記者会見は開いていますがこういった対応についてはお示しをしていなかったので、執行委員会でも何も出なかったですが、そういったことについては今後も出ないのかということが、この間、1週間まで行けませんけどありまして今回こういう形で話を見解ということでお出しをすることになったということでございます。

A.(会長)

 前回の記者会見の時にも申し上げているかと思いますが、与党と野党が緊張関係を持っていくことがとても重要だと考えています。その上では、野党としてしっかりと政府のやること与党のやることをチェックしていくことが非常に重要ですので、そういう意味では緊張感ある政治を連合がまず求めている中で、先ほどあったその国民民主の連立入りのお話もありましたが、私どもとしては連立入りはありえないと思っていますし、組織内候補者を抱えている4産別の皆さんともこの間様々な意見交換をしていますが、連合と同じ考え方を持っているということを申し上げておきたいと思います。

質疑応答[17]
Q.(NHK・ゴトウ氏)

 今日中央執行委員会の中で議題になっていた雇用保険についてちょっとお伺いしたいんですけれども、この中で雇用保険の適用拡大について伺いたいんですが、すべての労働者に対して雇用保険の適用を拡大すべきだということで述べていらっしゃると思うんですが、自己負担分もあるとは思うんですけどそういう中の負担の強いられる部分はあると思うんですがすべての人に対して雇用保険の適用を拡大すべきだというふうにしたところの見解とですね、あと雇用保険いろいろと今回政府の方針でもいろいろと上がってると思うんですけれども、連合としてここだけは譲れないっていうところを、どういうところを労政審のほうで伝えていくべきか、いこうと思っていらっしゃるか見解を伺えればと思います。

A.(事務局長)

 先ほど中央執行委員会での今日の議論ということでお話をしました。各論点についてはお読み取りくださいとお話をしましたが、いわゆる雇用保険の適用拡大については、ご指摘のとおり雇用の維持・安定の観点から、週の所定労働時間20時間を下回る労働時間で働く労働者への適用拡大をまず求めているということであります。なお、20時間未満で働く者の中には複数就労者も一定いて対象とすべきその週所定労働時間数について、副業や兼業時における失業の定義の検討だとか、高齢者に限定した「マルチジョブホルダー制度」の試行結果の検証も必要だということで、いくつか課題がありますが、私たちとすればまずはその所定労働時間のところで切られているというか制限があるところについて、まずは拡大を求めるということであります。それが最終的にはすべての労働者が安心して働けるように雇用保険の適用の中に含まれていくべきだと考えています。特にフリーターの、フリーランスの方たちなどが、そもそも労働者性が認められてないというところの課題がありますから、そういったこともしっかりと確認をしながら雇用保険について適用がすべての人に拡大していくことは大事だと考えているところでございます。以上でございます。

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