2017春季生活闘争 第2回回答集計結果記者会見

 

連合記者会見

2017春季生活闘争 第2回回答集計結果記者会見

神津会長・逢見事務局長・安永副事務局長・須田総合労働局長(2017年3月24日)

連合記者会見全文

(※聞き取れない部分、不明な部分には「●」を使っています)

神津会長

 それぞれお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。今日は第2回の回答の集計結果という事であります。先週が第1先行組合いわゆる集中回答日という事で第1のヤマ場、そして今週が第2先行グループの集計を終えたところでの状況です。
 第1先行グループは先週の段階でも申し上げたように、全体で見ると、底上げ春闘という事で昨年来旗を掲げて進めている中で「月例賃金」「底上げ」そして「持続性」という事にこだわりを持って進めてきたという事の1つの傾向は基本的には維持をしているのではないかと思います。キーワードが4つあると申し上げたもう1つの「広がり」というところに関わって、特に中小のところで要求をしている組合の数が昨年より増えています。そして、回答の引き出しを前倒しに進めている組合の数も増えています。そういった事の中で広がりについても、まだまだ始まったばかりではありますが一定の手ごたえはあるのかなと、昨年との対比のという事ですね、言えるのではないかと思います。一方で広がりを見せれば見せるほど数字的には少し下方に引っ張られるという傾向は否めません。したがって、そこのところを今後どのように「底上げ」にこだわりを持ちながら、なんとか一昨年と昨年との間で格差の拡大を反転をさせたその傾向を維持をしていきたいという事であろうかと思います。そういった意味でさらにこれから息の長い取り組みになりますが注目をいただきたいと思います。また、もう1つ今回の春季生活闘争の中での特徴という事も申し上げました。決してこれは月例賃金という事だけでなく、様々な形での、働き方改革というような言い方もされていますが、インターバル規制であるとかそういった部分においても昨年との対比でもそこのところは明確にいろいろな特徴が出ていると思っています。そこらの集約についてはさらにこの次のタイミングになろうかと思いますが、その事も含めて先週の段階での状況を引き継いでいるという事ではないかと思っています。
 私のほうからは以上とさせていただきます。

須田総合局長

 どうもご苦労さまです。 先ほどの総括表を見ていただきたいのですが、つくりを若干変えました。見づらいのかなと思いまして。まず一番上にあるのが、今回は平均だけですけれども、総括表という事で対前年同時期との比較を付けております。その下に、全体の中で賃上げ分が明確にわかる組合の内訳を記載しております。このうちの昨年との同一組合との比較、ちょっと下が字が小さくてすみませんが、参考2のほうの上段が今回の集計結果です。それに対応する同一組合の昨年の結果を下に入れて、その差については一番下の欄に入れているという事で、対比が明確になるように作り変えておりますので、その点1点ご利用いただきたいと思います。
 総括表に戻っていただきまして、今回1243組合、177万6千人分の集計結果が6224円、率で2.05という事で第1回の時は2.06でしたので0.01ポイント下がっているという状況です。なお前回は773組合でしたので相当数この1週間で回答を引き出しているという状況にあります。昨年との比較で言いますと、昨年同時期との比較で60組合増えています。そのうち300人未満のところが、会長からありましたように、60のうち43組合は300人未満ですので、中小が3月決着に向けた前倒しの取り組みを進めていただいているというふうに見ております。こうした数字をグラフ化したのが最後のページですけれども、左側の折れ線グラフ、14年、15年、16年の最終集計結果です。下に数字が出ておりますので、例えば16年、全体は2.0だったと、この時の中小の賃上げ率は1.81という事で、15年の反省を踏まえて16年、底上げ、格差是正という取り組みを16年からやったわけですが、今段階、第1回の時は全体も中小も2.06と同率でしたが、今回全体は2.05、中小は2.0という状況になっております。右側に棒グラフと点線の折れ線グラフ的なものがあると思いますが、ここに数字が出ておりますが、今年の3月23日段階の中小組合の回答引き出し数657というのは組合数です。昨年の同時期は614組合だったと。この差の分だけさっき言いました、前倒しで頑張っていただいていると。その分、たぶん構成差と水準差と両方入っていると思いますが、若干中小のほうが全体より下回っているという状況になっていると思います。あくまで23日の輪切りの結果での数字ですので、3月末以降毎月末6月までやっていきますので、取り組み経過を注視していただければと思います。
 私のほうは以上です。

質疑応答[1]
Q.(共同通信・カワムラ氏)

 会長に1点確認ですが、今日の集計結果を見ても基本的に良い傾向が出ていると評価できるというお考えでよろしいのでしょうか。

A.(会長)

 そうですね、まあ交渉ごとですので、要求との対比で言えばそれぞれの組合において不満が残るところもあるでしょうし、そういう意味ではもちろんの事、万々歳というわけにはいきませんけれども、いろいろ不安要素も取り沙汰される中で昨年手にすることが出来た傾向を今のところ持続をさせているという意味ではそれぞれが頑張って得た回答の集積だというふうに思っています。

質疑応答[2]
Q.(読売新聞・フクモリ氏)

 会長に中小組合の件で評価を教えていただきたい。前回2.06%という事で、300人以上と並んでいたんですが、今回は2.00という事で、2%は維持していますが差が出てしまったというところですが、このあたりどう評価されているのか。落ちてきたと見るのか、それともまだ2%を保っているので中小は頑張っていると見るのか。またその要因について教えてください。

A.(会長)

 もう少し見極めないとそこは本当の意味では評価できないと思っていまして、冒頭申し述べたように、広がりは去年よりは持っていると思います、回答の組合数は増えていますので。その事がどういうふうに影響したのか、していないのか、という事はこの後もうしばらくの集計の状況を見てみないとはっきりした形では言えないのかなと思います。願わくは、やはり前倒しで回答を得ているという事の影響なので、それはだけど最終的に下がってしまう傾向が前に来たという事で、この後もう少し維持をして、終わってみたところの傾向で言えば昨年と変わらないとか、あるいは昨年よりもさらに格差の圧縮が出来たという事につながる事を切に望んでいますが、そこはもうちょっと見てみないとわからないと思います。

質疑応答[3]
Q.(朝日新聞・ニエカワ氏)

 先ほどの質問ともかぶるのですが、冒頭で、広がりを見せたら数字的には下方に引っ張られるのは否めないという発言がありましたが、このへんをもう少し詳しく聞かせていただきたい。

A.(会長)

 一概には言えないのですが、例えば定昇すら出来ていなかっただとか、あるいは定昇はなんとかやれていたけれどもベースアップまでは出来ていなかった、というところが戦列に入ってきてくれているとすれば、いきなり他と同じぐらいのレベルのベースアップというところにはなかなか一挙には行かないという事もあるのかなと、推測も含めてなんですが、そういう事であるとこういう平均値の水準を下方に引っ張るという事はあり得るかなと思います。ただ、やはり何が大事かと言ったら、今まで出来なかったところが出来るようになるという事の意味合いがはるかに大きいですから、それはやはりその事も含めて、これからもう少し精査は必要ですが、我々としては本当の意味での評価はそういう事も含めてやっていきたいと思います。

(記者)
 今のところで「広がり」を見るというと、数値で見るときのポイント、どこに力点を置けばよいのでしょうか。

(会長)
 第一義的には組合の数という事だと思います。だから、要求したくても出来なかったところが要求にはこぎつけたという事が当然あると思いますので、その事が結果にいきなり良い水準で結びつけばいいわけですが、なかなかそうならない事も現実にはあると思います。底上げ春闘だと言っている事の「広がり」というのは、さらに言えばこれは世の中全体なので、組合がないところも、という事ではあるのですが、そのためにはやはり私らがどれだけこの点においてアピールできるか、少なくとも労働組合があるところでこれだけ広がったと言える事がまず必要だと思いますので、その事に向かって全体で頑張ってるという事だと思っています。

(記者)
 「広がり」という面で言うと、今回答している組合が去年に比べて増えているという事は広がりという意味で評価できると。

(会長)
 今のところですけどね、はい。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・イシカワ氏)

(プレスリリースの)概要の4項目目に業種別の回答は次回からという事ですが、ひと言だけ内需型産業が牽引しているという事が書かれていますが、このへんもうちょっと詳しく言及していただく事は可能でしょうか。

A.(須田総合局長)

 先週も申し上げましたが、例えば15日の報道でも金属の大手という見方が多かったわけですが、それに対して食品加工、あるいは流通のところは昨年を上回る回答を引き出しているというのが今段階で把握できている状況にあります。ほかのいわゆる第3次産業はまだ交渉を継続中のところもありますので、そこも含めて月末には1回整理をしたいと思っております。

質疑応答[5]
Q.(日刊工業新聞・ヤギサワ氏)

 たしかに賃上げ率、パーセンテージでは健闘していると思いますが、絶対額で定昇込みの賃上げが300人以上が6277円、300未満が5052円、約1200円の差があるのですが、これについてどう評価しますか。私個人的にはだいぶ開いているような感じがしますが。

A.(会長)

 それは金額見れば一目瞭然なので、そこをどうやってキャッチアップしていくかという事ですし、さらに言えば今ある絶対水準そのものが差があるわけでしょうから、それをキャッチアップするためには本当は数字が逆じゃなきゃいかんというぐらいの事だと思っています。それは課題認識としてはそういう事はありますし、したがって私どもの春季生活闘争の方針も絶対額重視という事を掲げていますので、やはり向かうべきはそこだと、それはご指摘の通りだと思います。まず、そこに向かうためには少なくとも率でキャッチアップしなくてはいかんというのが現状の姿だと思っています。

質疑応答[6]
Q.(月刊誌ファクタ・ミヤジマ氏)

 週明けに予算成立しますが、久々に国内政治が非常に深刻な状況にも見えますが、今後の景気や春闘のこれからに何か暗い影がさすというか、そういう懸念をお持ちになっているかどうか。なかなかトンネル抜けられないような政治状況だと思いますがどうでしょうか。

A.(会長)

 日本の経済自身は、いろいろ問題抱えていますし将来不安がある事も事実なんですが、ただ昔から比べるとかなり、そこのところの力がどうなっているかはありますが、基本的には厚みのある経済だと思いますので、これは私の持論みたいなものですがあまりジタバタするという事じゃないと思っているんです。ただやはりデフレがこれだけ長く続いて、賃上げが目に見えない時代が長く続きましたから、少なくとも賃金は上がるものだという常識を取り戻す、それを実現するためには粘り強くという事だと思いますし、それはなんとかやっていかなくてはいけないし、いろいろ政治不安があってもそこに影響を受けずに進めていかなきゃならないと思います。政治の状況はご指摘の通りですから、モヤモヤとした感じが依然としてどこまで続くのかという感じですから、この事がさらに政治不信を募らせるという側面での心配はありますけれども、着実な姿の日本経済という事を本当の意味で取り戻す歩みは影響されずに進めていかないといけないと思います。一方で、GDP600兆円とかいう話は私はちょっと違うのではないかと、これはずっと思っているんですけれども、あるべき形の着実な歩みは進めていかなきゃいかんという思いです。

質疑応答[7]
Q.(労働ジャーナル・シカタ氏)

 細かい話ですが、須田さんにお聞きしたい。一番下のところ、定昇で、わずかですが大企業、中小企業問わず下がってきて、300から999人のところは52円増えているという事で、ベアからいけば100から299人のところが13円で頑張って見えるんですが、定期昇給のところで下がるというのは今はじめて気が付いたんだけれど、労務構成の変化があるというのは、僕もある大手ではこの1年に1400円ぐらい総額人件費で平均賃金が下がってきている傾向があるのですが、こういう点で、定期昇給で下がっているのは労務構成の変化で、若返っているというのか、あるいは勤続年数が短い人が増えてきたのか、このあたりどう見られているのか。今後、中小の場合は、先行しているところは良い中小で、後になるほど厳しい中小が増えるから、だんだん下がるのをどう跳ね除けるかが課題だと思いますが、中小にしても定期昇給が下がって労務構成が変化して、人手不足も言われますが、どう見られますか。わずかな傾向ですが。

A.(須田総合局長)

 まず一般論でいくと労務構成差という事で、今回集計している同一組合の詳細の平均年齢だとか勤続とか見ていませんので、一般論で言えばそういう事だと。連合が毎年出しています賃金レポートというのがありますけど、これは厚労省の賃金センサスをベースに見ていますが、いわゆる団塊の世代が抜けてから定昇相当分の財源は減っているという傾向にここ数年なっていますので、いま団塊ジュニアが50歳代になっていますから、この世代が抜けていくともっとこの定昇相当分の原資は、本当に内転しているのかというぐらい変化していくのかなと、いうふうには見ていますが、今回の集計で具体的に労務構成差、勤続年数差がどうかという詳細までの分析はちょっと難しいという事ですので、これは一般論としてお答えさせていただきます。

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