2023春季生活闘争 第3回回答集計結果記者会見

 

連合記者会見

2023春季生活闘争 第3回回答集計結果記者会見

芳野会長・松浦会長代行・金子副会長・酒向副会長・安藤副会長・難波副会長・清水事務局長・仁平総合政策推進局長(2023年4月5日)

(※聞き取れない部分、不明な部分には「●」を使っています)

芳野会長

 本日も多くの方にご参加いただきまして誠にありがとうございます。感謝を申し上げます。3月17日の第1回回答集計結果に関する記者会見と同様5つの部門別共闘連絡会議の代表者も同席をさせていただいております。この後、仁平総合局長から3月末時点の集計結果を報告してもらいますが、回答は依然高い水準を保っています。それも、賃上げ要求、妥結とも昨年より早いペースで進んでいる中での結果であり、交渉にあたっている各組合執行部の皆様の努力の賜物だとまずは感謝を申し上げたいというふうに思います。
 このタイミングの集計には中堅中小組合が引き出した回答が増えてきていますが、その中にあって定昇相当込み賃上げ計も賃上げ分も中小組合の率が前回3月24日公表分の結果を上回ったのは特筆していただきたいと思います。中小組合のご健闘に敬意を表すところでございます。有期・短時間などの働き方の労働者についても、フルタイム組合員を上回る回答が示されました。3月末時点では2017闘争以来7年連続であり、雇用形態間格差是正の取り組みが進んでいることを示すものです。物価は若干落ち着きを見せてきたものの依然水準は高く、それも生鮮食料品やエネルギー価格が高めで、労働者家計への影響は大きく、また企業経営にも困難をもたらしています。加えて、国際的に見劣りする賃金水準や企業規模間、雇用形態間、男女間の賃金格差が縮小しないこと、賃金水準の上昇が労働生産性の伸びに劣ることなど、従来からの課題をしっかり認識いただいた上で要求交渉に臨んでいただけたと考えております。連合として、これから回答を引き出していく組合、さらには社会全体にこの良い流れをつなげていくサポートをすることが、この後重要であるというふうに考えております。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

仁平総合政策推進局長

 お手元にプレスリリースを配っていると思うのでご覧いただきたいと思っております。
 めくっていただいて3ページでございます。平均賃上げのところが一番最初に①で載っておりますけど、回答組合数2,484組合、前回の3月24日の第2回集計の時点では、口頭で申し上げますけど、1,290組合ですからほぼ倍になったという感じでございます。ちなみに昨年の最終集計の組合数が約5,000組合くらいでございますので、本日段階で組合数で言うと、ほぼ半分くらいの集計になっているということでございます。平均賃上げ全体では3.70%でございます。先月の第2回集計から若干下がっているということです。状況が厳しい産業も集計の中に入ってきている、こういう感じかなと思ってます。一方その下の欄ですけど、300人未満の中小については3.42%、会長からも申し上げましたが、先月の第2回の集計の時が3.39でしたから、若干ではございますが上がっているということでございます。もうご案内のとおりだと思いますけど、今週公表された日銀の短観などを見ますと価格転嫁の状況、収益の状況など中小のほうが大手より厳しいというのが数字でも出てきているわけでありますが、その中でも中小は健闘していると言っていいんじゃないかなと思っております。
 次4ページでございますが、有期・短時間・契約労働者のところです。時給の欄をご覧いただきますと、回答引き出し190組合で58.7円ということで、表に記載してませんけど、率で換算いたします5.5%ということになっております。フルタイム労働者の賃上げ率を比較していただきますと率で上回っているということでございます。次のページ、5ページ、妥結の進捗状況ということでございますが、表の中ほどの欄、要求提出組合の妥結済みというところのを見ていただきますと、細かくて恐縮ですが、要求提出組合の54%が妥結に回っているということです。昨年の同時期を見ていただきますと50.4%ということでしたから、昨年より進捗が早い感じなのかなと。先月の記者会見では、回答組合は昨年より多いものの妥結に回っていない組合も相当ありますというお話をさせていただきましたが、3月月内決着に向けて皆頑張って交渉したという、そういう結果なのかなというふうに思っております。その下、賃金改善分獲得組合も当然ながら増えております。
 次6ページでございますが、上のほうのグラフでございます。連合結成以来の賃上げの推移をグラフにしておりますが、そういう意味では正確な比較というわけでありません。大きなトレンドを見ていただくということでは良いかというふうに思います。賃上げを全体で取り組むようになった2014年以降でございますが、そこの賃上げ率がほぼ、上限ありますけど2%台で推移してきたということを考えますと、今年はやっぱり一段高いレベルで、ほぼ30年ぶりの水準ということかなと思います。 以降、細かな集計つけておりますが、1点だけ触れておきたいと思います。23ページ、24ページに、今年初めてでありますけど、初任給の集計もつけております。高卒、大卒とも3%台の高い伸びということになっております。これも手元のデータで正確な比較のデータは持ち合わせていないところでありますが、たぶんバブル期以来の高い伸び率かなと思っております。かいつまんででありますが以上です。

金子副会長(金属共闘連絡会議)

 金属部門代表の金子です。よろしくお願いします。まず金属部門で申し上げると、3月15日の集中回答日以降ですね、要求に沿った賃上げの獲得をめざし中堅中小を中心に今日まで取り組んで参ったところであります。3月末までの状況で申し上げると、だいたい要求した組合の半数近くが引き出しをしており、これペースで言うと例年と同様というような認識をしております。で、回答を引き出した組合のうち約8割の組合がいわゆる賃金改善分を獲得をしております。この割合は2014年、この改善分の取り組みを統一的にやり始め…直近でですね、やり始めた2014年以降で言うと最も高い水準ということになっています。ちなみに300人未満の組合を見てもですね、7割を超える組合が賃上げを獲得しているという状況にあります。賃上げ額ですね、これちょっと加重か単純かで集計の仕方で異なりますけれども、単純平均で数字で言うと5,647円ということで、これも2014年以降で最も高い水準ということになっております。また、賃金改善分と合わせていわゆる定昇分ですね、賃金構造維持分も含めた要求獲得をしておりまして、これで言うと、加重平均になりますけども11,632円ということで、前年から5,390円上回っているということになっています。連合の集計によると加重平均値で約4%、両方合わせてですね、という水準になっているということです。そういうことで、ここまでの賃上げの取り組みの状況を見ますと例年に比べて、かなりその高さの面、そして獲得している組合の広がりの面、双方でこれまでにない波及が見られるという認識をしているところにあります。これも金属部門の共闘、連合台での共闘のもとに、賃金にこだわって精力的にここまで取り組み交渉を丹念に行ってきた各構成組織の尽力の賜物ではないかというふうに思っております。あわせて、ここまでのところまでですが、組合員の生活の安定、安心感、そして金属産業の現場力・競争力を高めるという、そして日本経済を好転させる契機となる様々な点においてですね、一定の役割を果たせてきているではないかというふうに思っております。今後はこれをさらに中小または様々な業種の構成組織の成果につなげていく、または、あわせて組合でない例えば非正規で働く仲間たち、さらには組合のない企業、仕入れ先さん、そういったところまで波及させていくように最後まで努めてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。以上です。

酒向副会長(化学・食品・製造等共闘連絡会議)

 化学・食品・製造等共闘連絡会議を代表いたしましてご説明をさせていただきます。JEC連合の酒向でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 化学・食品・製造等共闘連絡会議はUAゼンセンの製造産業部門、JEC連合、フード連合、ゴム連合、紙パ連合、セラミックス連合、印刷労連の7つの産別の集計となっております。現段階では、定期昇給相当分とベースアップの合計額でいきますと、回答額として12,250円ということで、昨年比で5,156円の増加という形になっております。UAゼンセンさんの製造産業部門の賃上げ額の単純でいきますと10,109円弱、JEC連合のほうでいきますと加重平均で15,664円、フード連合の賃上げ額加重平均で11,833円、ゴム連合で7,056円、紙パ連合で8,879円、セラミックス連合で8,899円ということで、それぞれ業種によって多少の違いはあるんですけれども、明らかに昨年より増額をした賃上げというふうになっております。また、特徴といたしまして、賃上げを獲得した数のほうも明らかに増加しておりまして、例えばJEC連合ですと31から56、フード連合ですと43から81ということになっております。また、特徴といたしまして、人手不足に対応するために多くの企業で初任給の引き上げというのがされているというのが大きな特徴となっております。また、有期・短時間・契約等で働く方々の改善につきましても、それぞれ幅がございますが、時給にして50円から70円の賃上げがなされております。また、企業内最低賃金の引き上げについても積極的にそれぞれの産別で取り組みが進められております。また、賃金だけにどうしても注目されがちなんですけども、今期の春季生活改善の中では働き方の改善にもそれぞれの組織において取り組んでおりまして、労働時間の是正ということで所定内労働時間の短縮や時間外労働の削減、勤務間インターバルの導入とかですね、フレックスタイムのコアタイムを撤廃するとか、時間単位年休を導入する、また年休の、年次有給休暇の付与日数の増加とか、積立年休制度の使途の拡大、リモートワーク等にそれぞれ改善の取り組みを進めております。また、その他ですね、やっぱりその労使交渉の中で人材育成の強化にしっかり取り組んでいくというようなことも、労使協議の中でも協議がされております。
 最後になりますけれども、今後中小を中心に交渉が本格化していくところも多くありますけども、格差是正に向けまして業種内におけます強い共闘の効果を引き続き発揮しながらですね、先行組合が獲得いたしました良い流れを引き継いで、社会全体に広げていけるよう取り組んでいきたいというふうに思ってます。また、今回の賃上げの流れを、今年だけに限らず来年以降も継続することが重要だと思っておりますので、引き続き気を引き締めて取り組んでいきたいというふうに思っております。私のほうからは以上とさせていただきます。

松浦会長代行(流通・サービス・金融共闘連絡会議)

 流通・サービス・金融共闘会議の状況について報告をいたします。
 まず、UAゼンセンでは流通部門と総合サービス部門はこれに該当すると思いますが、流通部門については146組合が妥結、総合サービス部門については100組合が妥結ということで、賃上げの率で申し上げれば、流通は4.04、総合サービスが4.59ということで、いずれも4%超えの数字になっています。賃金引き上げ分が明確な組合で見ましても、流通部門は2.56、総合サービス部門が2.51ということで、2.5%超えという形での賃上げ、順調に進んできていると、これは正社員の状況。それから、UAゼンセンはパートの組合員たくさんいらっしゃいますので、パートの状況で申し上げれば、これは流通と総合サービス込みでございますが、177組合およそ60万人近くの妥結ができておりまして、59.2円、5.68%という、物価上昇分も上回る形での妥結ということになっております。
 それから自治労さんに関しましては、いわゆる民間病院の関係がこちらに属します。というところで、今回答は昨年よりもやはりプラスではあるけれど、十分大きな引き上げというふうにはちょっと言えないというふうなところの苦しさが見えているようでございます。いくつか回答1万円台のところもあるが、ということで、今の回答状況で言えばおおよそ6,000円弱、妥結まで行ったところで言うと6,000円台の半ばというふうな形でのことで、昨年比で言うとおよそ2,000円弱ぐらいのプラスということでございます。まだ引き続き粘り強く交渉を進めると。
 それから生保労連さんでございますが、こちらは営業職員と内勤職員に分かれておりまして、営業職員については10組合中8組合が収束、内勤職員については15組合中7組合が収束ということでございますが、いずれも月例給与のベースアップや、それから営業職員は月例給与という形ではなくて手当の増額であったり特別支給金といった形で実質的な収入の向上という形での回答を引き出している、内勤職員は月例給与その他臨給も含めてということですが、賃金改善に関する回答を引き出したとでございます。
 それから損保労連さんについてはですね、前回も申し上げましたが、8年ぶりで業界統一で3%程度のベースアップ要求を掲げて交渉されていると、まだ目下交渉中ということですが、すでに複数の組合で組合要求を満たす会社回答を引き出しているということで、おおむね順調に進んでいるということでございます。また損保労連さんに関しては中小組合への対応として、特にホールディングス内での単組間の連携強化に向けた支援などを行なっていると、こういうことでございます。
 それからサービス連合さん、ホテル関係中心というところでなかなか厳しい状況がありましたけれど、今、回復途上ということで1%以上の実質的な賃金改善を要求ということでございますが、順次今回答が出始めているということで、ベースアップや例年以上の賃金改善原資の確保などに合意する加盟組合が目立って出てきています、ということでございます。また、有期の組合員に関しても1%以上の賃金改善に取り組んでいるというところで、これもベースアップを含む賃金改善に合意した組合が多くなってきているということでございます。
 それから全労金さんについては、14組合で要求を行い、13組合でベアに対して有額回答、1,500円から10,000円、幅はありますけれど引き出しているということでございます。1組合、月例賃金の改善につながらなかった組合については一時金での増額を含めて、年収ベースではすべての組合で改善が実現できていると、有期についても先ほどあった13組合は月例賃金の改善2,500円から8,000円、それ以外の月例賃金が上げられなかったところも一時金での引き上げという形で対応ができているということでございます。
 それから労済労連さんについては、9組合すべての組合で回答を引き出して妥結をしたということでございます。9組合中7組合が賃上げ要求を行って、3組合で若年層是正を含めて一定の有額回答を引き出したということでございます。あと、有期についても、労済労連さん7組合中5組合が要求を行い、うち2組合では有額回答を引き出したという途中経過でございます。私からは以上です。

安藤副会長(インフラ・公益共闘連絡会議)

 インフラ・公益共闘連絡会議の代表しております情報労連の安藤でございます。当共闘連絡会議は、インフラ事業などで民間で働く仲間だけではなく、公務で働く仲間が多く結集しているというところでございます。前回3月17日の会見に引き続きましてインフラ事業を中心とした説明となることをあらかじめご了承いただきたいというふうに思います。
 まず賃上げについてでございますが、多くの組合におきまして、暮らしを支えるインフラ事業の持続性・継続性の確保に向けて、その必要性を労使双方が認識しながら交渉を進めることができたと考えております。具体的には若年層を中心とした人材確保に向けた賃金改善を引き出した組合もありますし、回答を受けた組合の9割が賃金改善について前進回答を引き出した構成組織もございました。また、高騰する物価への対応の必要性を労使で共有し、企業業績にばらつきがある中でも満額回答を含めて賃金改善やインフラ手当などを引き出すことができた組合も複数あったと報告を聞いております。
 次に企業内最低賃金協定については、月額・時間額ともに引き上げをすることができた、新規で協定化を引き出すことができた、との報告も受けております。また、最低到達目標や中期目標の達成に向けて前進回答を引き出している組合も複数ありました。
 最後に働き方の改善関係では、ワークライフバランスの実現に向けて、育児、介護、看護制度、男女共同参画、仕事と治療の両立支援などと合わせて、家庭や地域への参画、メンタル面も含めた心身のリフレッシュなど、様々な角度から要求を行い、複数の組合で前進的な回答を引き出したというところでございます。
 最後にインフラ公益部門といたしましては、先行組合が引き出しました回答を、現時点で精力的に交渉を続ける仲間と、またこの春闘の流れを人事院・人事委員会勧告を通じて公務で働く者への波及もできるよう、今後の労使交渉においても力強く取り組みを進めていきたいというふうに思います。私からは以上となります。

難波副会長(交通・運輸共闘連絡会議)

 交通・運輸共闘連絡会議の運輸労連の難波でございます。私のほうから報告いたします。
 交通・運輸共闘連絡会議は陸海空の人流・物流部門から成り立ってまして、まずは海です。海については、内航部隊につきましては3%以上の賃金改善で解決をしたということと、外航のほうはまだ交渉中ということで報告が上がってきておりません。ただ、海運についても人材不足ということがありますので、精力的に交渉しようといったような報告を受けてます。
 続いて空。空につきましては、49労組が要求書を掲げ、すでに48労組において交渉が終了し解決をしたということです。月例賃金に関しては、ほとんどの労組で満額回答が得られたということ、ただ一時金ですとか賞与については、全回一括で要求をしたんだけどもこれからの経営状況がまだ不透明ということで、夏季のみといった回答もあるといったような報告もいただいてます。またし賃金面におきましては、定年延長、あるいは育児、治療と仕事の両立に関するものや、生理休暇に関する取り組みについて前向きな回答を得ているということで報告をいただいてます。
 続いて陸です。陸については、まず鉄道です。民鉄につきましては、こちらも少し数字がいただいてないんですが、多くの組合でコロナ前の水準に回復をしたということと、物価高・物価上昇を加味して賃金改善がはかれたといったようなこと、あるいは初任給についても多くの組合で改善をはかれたといった報告をいただいてます。続いてJRです。JR主要7社につきましては、賃金額については様々ありますけども、主要7社すべてにおいてベアの獲得ができたといった報告、中小についてはJRグループの中小労組につきましては現在まだ89単組中10単組のみの妥結ということではありますけども、この主要7社のベア額を上回る回答を得た組合もあるといった報告を受けています。
 続いてもう1つの陸上部門であるタクシーです。タクシーにつきましては、まだ18単組しか妥結しておりませんので、例年6月末ぐらいまで解決が延びるということもありますから、これからがスタートということになるかと思いますけれども、やはりタクシー運賃改定申請が、全国8割以上地域で運賃改定の動きがあるんですが、やはり単純に考えていくと新運賃で歩合の割合が変わらなければ手取りが増えるんですけども、事業者においては歩合割合を下げると、引き下げるといったような動きもあるということはありますので、春闘交渉ではこの運賃の改定を機に労働分配率を改悪しないといったことはまず確認をした上で交渉を進めていきたいと、こういった報告を受けています。
 最後はトラック、物流の関係です。物流につきましては、やはり今週末が中小のヤマ場になっております関係もありますが、妥結した179組合のうち80.4%が前年同額以上を確保したということで、とりわけ999人以下のいわゆる中堅中小の組合で前年を上回る妥結結果を得たということです。ただ、満額回答については非常に少ないといったようなことでありますので、また今週末のいわゆる中小を中心とした第2のヤマ場に向けて今精力的に対応しているということの報告をしたいと思います。以上であります。

質疑応答[1]
Q.(テレビ東京・オノ氏)

 テレビ東京のオノと申します。芳野会長にお伺いします。改めてですが、この3回目の集計の段階で、中小企業が大きく出始めた段階で、第1次の時には業績の良い中小企業が回答しているのかなというふうにも感じたんですが、この段階でもまだこの高い水準を維持していることについて、正直に端的に評価としてどの程度のものとお考えなのかとですね、なぜこの高水準が実現できているのか、そのことについてどう考えたのか、さらにこれ人員確保のための防御的な賃上げという側面もあるとは思うんですが、これですね来年以降もこの高水準っていうのが中小企業において維持できるのか、そこについてのお考えをお聞かせください。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。中堅中小組合まだ交渉していますし、おそらく5月まで続くかというふうに思いますので、交渉中ということもあってコメントを差し控えたいというふうに思いますが、この段階で高水準が続いているということはそれぞれの加盟組合の執行部が、やはり自社の状況、また今ご指摘あったように人手不足等も含め、様々な点で会社との交渉によって引き出している結果ではないかというふうに思います。で、やはりこれから来年に向けてということですけれども、人手不足もそうですし、中小がやはり賃上げを含めていかないと経済の回復にも回っていかないかというふうに思いますので、この流れというのは、今までも何度も申し上げているんですが、賃上げは1年で終わるものではなくて継続をしていかないと意味がありませんので、来年にもつなげていきたいというふうに考えております。

Q.(テレビ東京・オノ氏)

 すみません、来年以降の話についてなんですが、卵が先か鶏が先かという話にもなると思うんですが、中小企業は労働分配率も高く、また、大企業と違ってなかなか利益が出しづらい構造になっているかと思うんですが、その中でどうすれば、どういうことを経営者側に求めていきたいのか、賃金をこの高水準に上げるために経営者側に何を求めるのか、さらに労働者としてはどういったことをやっていかなきゃいけないとお考えでしょうか。

A.(会長)

 やはり今の物価高を考えますと、私たちの生活を考えた時には賃上げが必要ですので、そういったことも繰り返しになるかというふうに思いますし、また労務費を含めた価格転嫁の課題についても、今年もかなり連合としては力を入れて発信をしておりましたけれども、これはこの時だけではなく年間通じて改善をしていけるように連合としても引き続き発信をしていきたいというふうに思います。この間も価格転嫁の課題については指摘をしておりますけれども、今日も中小組合の集会をやりましたけれども、やはり地方含めて中小組合からするとなかなか価格転嫁ができていないという声をいただいていますので、引き続き現場の声を聞きながら具体的に次の手立てとして何が連合としてできるのかということも考えていきたいというふうに思います。

質疑応答[2]
Q.(読売新聞・●イシムラ氏)

 読売新聞の●イシムラと申します。1点目、芳野会長に。今のお話でも持続性っていう話が出てきたところで、物価上昇率のところで予測されていたことがあるけれども伸びが若干鈍化し始めてきているというところで、ここからまたさらに本格化するその労使交渉で、さらには来年以降また来年春闘もっていうところ、このへんの今年の物価、高水準の賃上げってやっぱりその物価上昇というところが大きな側面だったと思うんですけど、これが鈍化することによる影響っていうのはどうなんでしょうかという、この見立てを教えていただきたいのが1点目。
 あと2点目、今ちらっと出てきた価格転嫁のところなんですけど、もう一段価格転嫁を進めるためにはどうすればいいかということ、金子さんにお伺いする●●●…●●●どうでしょうか。ちょっとわからないので申し訳ないんですけれども。2点目、適する方に●●●(お答えいただければ?)すみません、よろしくお願いします。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。現在交渉をしている中小組合、それからこれから本格化するところも、すでに要求が決まっている中での交渉ですので要求獲得に向けて引き続き努力をしていただくということになるかというふうに思いますが、来年は来年でまた議論をしていきますので、今年共闘連絡会議の中でそれぞれ部門ごとに現場の状況を加味しながら議論をしていただきましたので、そこの会議をまた強化していくということと、あと価格転嫁の取り組みについて繰り返しになりますけれども、次の段階として連合は何ができるのかということを様々な場面で議論をしていきたいというふうに思います。

A.(金子副会長)

 金属部門の代表として、金属の見える景色の中で申し上げますが、価格転嫁をしていくためにはそれぞれのサプライチェーン全体の中で各企業というか、各組織が自分ごととしてしっかり捉えて実践していくということに尽きると思うんです。労働組合としてはそれを各経営者の方に強く訴えて、それをこう適正取引と言いますか、これまでの商慣習を見直していくというような、このマインドと実行力につなげていくということに尽力をしていくことかなというふうに思ってます。ちなみに金属、自動車で言うとですね、自動車部品工業会で言うと、その襟を正す活動ということでサプライチェーンの1つではありますけれども、受注側であるけれども自らも発注側であるということを構成企業、加盟している企業それぞれに言うことによって、できることをやっていこうというような取り組みにもまさにやってまして、そこに自動車総連だとか、あとJAMも協力しながら、広くそういったことをマインド形成をしていると。そういうことで、原材料価格がなんとなく進んできて、エネルギーについてもこのスキームが出来上がってきて、次は労務費も含めたこの価格転嫁と言いますか商慣習の是正というか見直しというか、そういったところにこうしっかり着実に進めていくということだと思います。で、来年以降で考えると、価格転嫁されるとなんか賃上げされると思われがちですけど、そもそものそれが土台にあった上でそれぞれの企業競争力をしっかり付けていくっていう次のステップに早く移っていかなきゃいけないと思ってますので。ちょっと余計なことを言っちゃいました、そういうふうに思っています。

質疑応答[3]
Q.(労働ペンクラブ・シカタ氏)

 先ほども報告がありましたけれど、ゼンセンの場合はだいたい3割は実質賃金ね●●●前回から見ても今のところ2%ちょっとぐらいでほぼ実質賃金確保●●●、この今日発表されたベアが●6,330円(6,130円?)、2.16では、連合が掲げた、落ち込んでいく実質賃金の確保も、それから世界から遅れた水準確保も、分配構造の歪みというのは●●●、それから見てもいずれも課題は残していると思うので、その中で産別ではね、結構、ゼンセンはほぼ3割は目減り賃金をさせないという取り組みをしているということなんですが、その●●●(総括と?)、もう1点会長は妥結権を持っているわけですが、今年ですね組合の3割ぐらいが実質賃金確保するときに会長として、もうちょっと粘れと、妥結承認はしないと、いうようなことも去年なんかと比べれば増えたのかどうなのか、その実状もお聞きしたいと思います、よろしく。

A.(松浦会長代行)

 UAゼンセンのご質問でございますので。 やはりその前段の最初の大手の交渉というところでは、賃金引き上げ分もおよそ3%ぐらいというふうな形で進んできた、これを後にいかにつなげていくかというところで中堅中小の交渉に3月末まで入ってきたというところの中でですね、ある意味で言うと企業のやっぱり置かれた実態から見た時にどうなのか、それはやっぱり今年はやっぱり3%近く、やっぱり回答してもらわないといかんよなと、この企業はほぼ満額に近い回答してもらわなきゃいかんよなっていう企業もあるし、やはり先ほどあったような特にやっぱり製造業のサプライチェーンの中でなかなか原燃料価格の上昇というのが十分に価格転嫁できない、できていないというところについてはですね、例えば去年は200円、300円しかベアできなかったけど今年は3,000円のベアですと、これは1%って言えば低いのかもしれないけれど、しかしながらその企業からすれば十分努力したって言えるんではないかというふうなところを重ね合わせながら判断をしていくという状況に、やっぱり3月の末時点で置かれたというところですよね。その結果の平均値がこういう数字になり、まあ2%強と3%には満たないというふうな状況の平均値になっている。ただ、これについてはやっぱりそうした企業が来年に向けてどういうふうに手を打っていくのかというところをしっかり見ていかなければならない。まさに今年だけで終わる話ではないというふうに思っています。

質疑応答[4]
Q.(日経新聞・マツイ氏)

 日経新聞のマツイです。芳野会長にお願いします。ベア率で言うと昨年比で4倍ということで非常に高い獲得になりました。各単組が奮闘された結果かと思います。一方で、ここまで劇的に状況が変わると、改めて昨年までの賃上げ水準の低さというのを感じなくもないかなという気がします。春闘の賃上げメカニズムというのが再稼働し始めたこの節目で、改めてその過去30年間なぜ賃金が上がらなかったのか、なぜ労使交渉は機能しなかったのかということについて、会長のお考えをお願いします。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。毎年毎年それぞれ状況が違うかというふうに思いますし、構成産別もそうですし、加盟組合もその年々の状況に応じて要求を決め、その要求に対して交渉した結果ということだというふうに思いますので、過去のことについてコメントは控えたいというふうに思いますが、組合の交渉が機能していなかったという認識は持っていません。それぞれのところで頑張って回答を引き出してきたかというふうに思いますので、その結果ではないかというふうに思います。で、今年については、やはりもう経済が回っていかないと、これは使用者側もそうですし労働界もそうだというふうに思いますが、やはり経済回していかなきゃいけないということもありますし、物価高もありますし、また、どんどんどんどん良い人材が海外に流れていってしまっているという人材不足、それから人材の活躍の場は国内から失われているという様々な状況の中で、今年はしっかりと国内を景気回復を回していくということいろんなことを考えての要求と妥結の結果ということだというふうに思いますので、昨年までは昨年まででそれぞれの結果を尊重したいというふうに思いますし、今年は今年で大手も中小も今のところ頑張って努力をした結果が今出ているということですので、これから4月5月中小の交渉に向けてはそこに波及していけるように、そして労働組合のない職場にもこれが波及していくように連合としては努力をしていきたいというふうに思いますし、来年以降にもこの流れを引き続き続けていきたいというふうにも考えています。

質疑応答[5]
Q.(朝日新聞・ミウラ氏)

 朝日新聞のミウラと申します。3点伺いたいと思います。 まず1点目なんですけれども、仁平さんに伺いたいんですが、先ほどの冒頭の説明の中でも300人未満の組合について第2回の集計よりも数字が高くなったというご説明あったかなというふうに思うんですけれども、その要因についてどのように見られているのかというのをちょっと教えていただきたいというのが1点目です。よろしくお願いします。
 で、まとめて申し上げるとですね、2点目は難波委員長に伺いたいんですが、前回の会見の時には物流の状況が大変厳しい状況だというふうにおっしゃってたかというふうに思います。先ほどもちょっとご説明いただいたんですけれども、その状況がどう変わったのかというところをもう少しちょっと伺えたら嬉しいなというふうに思います。変わってないのかもしれないですけども、そこも含めて教えていただけたら嬉しいなと思います。3点目は芳野会長に伺いたいんですけれども、今後中小企業の労使交渉が本格化している中で、ご自身も中小企業のご出身だと思うんですけれども、そういったご自身の交渉のご経験だったり、また今も単組の委員長もされているので春闘交渉も関わられているのかどうかちょっとわかんないですけれども、改めて中小企業の労使交渉の難しさってどういうところにあると思われてるのかだったり、逆にこういったことが大切だというお考えとかが、ご自身のご経験からあればお話いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

A.(仁平総合政策推進局長)

 プレスリリースの3枚目をちょっとご覧いただくと、細かな数字で恐縮ですけど、また定性的な背景などについては今後担当者会議とか専門委員会などで個別の事情もちょっと聞かないといけないなとは思っておりますが、なので現時点で私がこうじゃないかと思ってることちょっとお話しさせていただくと、ここの平均賃上げのところを見ていただきますと、300人未満、今年1,528組合であります。で、昨年同時期ですと1,366組合ってことで、実はやっぱりより多くの組合が回答を引き出した上で、なおかつ第2回の集計から率としては、額としては下がってるんですけど、率としては若干ですけど挽回したっていうのはやはりまさに現場の交渉できちっと積み上げの交渉も含めてしっかりやらなきゃいけないということがやはり浸透したってことだと思います。で、この間も皆さん方の、マスコミの皆さんからのご意見にあるとおり、決して余裕があるから中小ができたというわけじゃなくて、苦しい企業も含めてそれは人材確保を定着の話もあるでしょうが、苦しい中でもそういう労使として選択をしながら出した答えということなので、私は中小が健闘しているんじゃないかと申し上げた次第です。

A.(難波副会長)

 運輸労連の難波です。厳しさについては見方が2通りあると思っています。1つはまずは単組ごとで見ていくと去年よりも賃金改善できていますので、今実際に在籍している組合員にとっては非常に良い状況は続いているというふうに思っています。先ほど価格転嫁のお話もありましたけども、私たちのところも、ある企業さんに個別に入っているところがありまして、そこは2年前が賃上げ50円これが今は500円、今年が賃金改善で約5,000円の賃金改善ができました。これはやはり価格転嫁の意識がお客様にも浸透した結果ということだと思ってます。ただ、そうは言っても今ほどそれぞれ4つの分野の皆さんからお話あったように、これは私たちトラックにとってみればお客様企業です。お客様企業のそれぞれの組合員の方の賃金が上昇していることに対応して、ここではトラックなんだけども、トラックの今回の賃金交渉の結果とすれば非常に開きが大きくあります。「2024年問題」に向けて今のトラックとドライバーの数で言うと、時間外の上限規制が入りますから、運べるものの数は減っていくということは間違いなくありますし、また離職者も増えている状況の中で、やっぱりトラックとすれば今の物流の維持をするためには、物流量の維持をするためには、今以上に2024春闘では賃金の引き上げをしていってトラックの魅力を高めていってトラックドライバーの定着あるいは新たに獲得をしていくということが必要ですから、そういった意味ではまだ厳しさは相当あるということでありますので、単組としての在職している組合員とすればということで、両面からお話をしました。以上です。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。3つ目のご質問にお答えしたいというふうに思います。処遇改善って新しい年度にどれだけ処遇改善を組み込むことができるかということになるかというふうに思いますので、それぞれの交渉単位の中で労使の信頼関係と言いますか労使関係がいろいろありますのでそれぞれだとはいうふうに思いますけれども、やはり自社の計画見通しがどうなっているのかという中で、自分たちの賃金水準が同業他社と比較してどうなのかとか、世間水準として比較してどうなのかとか、どのくらいに持っていくべきなのかということがとても大事だというふうに思いますし、また、生活もありますので自分たちの生活を向上させていくためにっていうこともあるかというふうに思います。そういう中では、組合員さんたちの生活実態を会社に訴えていくということもあるかというふうに思いますが、やはりそうは言っても、企業側からすれば原資は限られているだとか、無い袖は振れないというような経営の皆さんもいらっしゃるかというふうに思うんですが、やはりそういう中では何がネックになってるのかということも交渉の中では具体的に話し合っていくということが必要かというふうに思うんです。で、今年は特にやはり価格転嫁、価格転嫁の問題と、それと労働者の立場で考えるのか消費者の立場で考えるのかということもあるかというふうに思うんですが、やはり製品には物の価値というものがあるので、やはりその適正な価格というものをやはり労使で追い求めていくということもとても大事なことではないかなというふうに思っています。やはり賃金というのは新年度に向けて生み出していくものですので、やはり労働者側も企業に対して経営計画を達成するための努力を怠らないということもありますし、その結果として処遇の改善をしてもらうということもありますので、そういうことを交渉の中で様々議論をしていただければいいのではないかなというふうに思います。

質疑応答[6]
Q.(北海道新聞・ホンゴウ氏)

 北海道新聞のホンゴウと申します。芳野会長に質問です。他の産別でも昨日とか今日に同じような質問があったんですけれども、労働組合があったからこそ今回の賃上げが実現しているんだというような発言が他でもあったかと思うんですけども、今回、特に今年の物価高の中で連合が果たした、社会に対して果たした役割は、まだ途中なんですけれどもこれまでの段階でどうだったか、そして組合の組織率が低下してる中でその連合の存在感が低下してるって言われてる中で、今年は連合の存在感は上がったんでしょうか。

A.(会長)

 ありがとうございます。とても難しい質問なんですが、やはり労働組合があるからこそ会社に要求書を提出してまず交渉ができるということが労働組合としての最大のメリットだというふうに思います。組合がなければ要求書を提出することも難しいと思いますし、したからといって会社が乗ってくるかと言ったら、おそらく労働組合がなければ労使交渉できませんので、やはり組合があるっていうことのメリットはまずそういうところだというふうに思います。
 連合の存在感がどこまでというのは私たちが判断することではなく皆さんが判断することではないかなというふうに思うんですが、やはり2014以来成果が出てるっていうことが、連合の役割というのは今の段階では発揮できているのではないかというふうに思います。これを組合のないところまで連合としては波及をさせていきたいというふうに考えていますので、今連合が掲げて…掲げているというか出している数字については幅広くやはりお知らせをしていきたいというふうに思いますし、それぞれの産別加盟組合のところでも、例えばグループ会社だとか関連のところで労働組合のない企業がたくさんあるかというふうに思いますので、そういったところにも情報公開をしながら波及させていくということもこれから必要ではないかなというふうに思います。

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