記者会見 2025年10月23日

 

連合記者会見

記者会見 2025年10月23日

芳野会長、神保事務局長(2025年10月23日)

連合記者会見全文
芳野会長

 大変お疲れさまでございます。本日もご取材をいただきまして誠にありがとうございます。先日は第19回定期大会をご取材いただきました。重ねて御礼を申し上げます。引き続き連合運動の前進に努めてまいりますので、ご関心をお寄せいただきますようお願いをいたします。
 さて、本日は2026春季生活闘争基本構想を確認いたしました。9月末に「未来づくり春闘評価委員会報告」を公表し、評価委員会の先生方から様々にご指摘をいただいたところでございます。その中でも最も大きな指摘としては「決してデフレに戻さない」「ノーモア・デフレマインドを掲げて26闘争を正念場と位置づけて取り組みをしなさい」ことだと受け止めております。それを受けて次期闘争では最低ラインとして、全体の賃上げ率は5%以上、中小企業は6%、有期・短時間は7%と、5、6、7と引上げ率を並べて訴えていくことを確認いたしました。そして、数値を掲げるだけではなく、その実現にこだわり、賃上げノルムの確立に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、一昨日の臨時国会で高市新総理が選出をされたことについて一言申し上げたいと思います。まずは高市新総理の御就任に祝意を表しますとともに、日本の憲政史上はじめての女性の総理大臣の誕生という歴史的な結果に、日本のジェンダーギャップが解消されることにつながることを期待しております。また、石破前総理におかれましては、厳しい環境の中、国政の舵取りをされてこられたことに敬意を表したいと思います。とりわけ、16年ぶりとなる政労会見の再開をはじめ、春季生活闘争に関連した中央・地方での政労使会議の開催や、取適法の整備など、労働者の処遇改善に向けた環境整備にご尽力をいただき、感謝を申し上げます。高市総理におかれましても、引き続き賃上げをはじめとする労働者の処遇改善にご尽力をお願いしたいと存じます。とりわけ、労働時間の規制緩和については労働者の命と健康に直接関わる問題であり、いまだに過労死・過労自死が散見される実態から目を背け、長時間労働を積み重ねれば生産性が上がるかのような言説に惑わされることなく、すべての働く者の幸せを追求していただくようお願いをしたいと思います。
 以上、簡単ではありますけれども冒頭の挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

神保事務局長

 私のほうから中央執行委員会の概要についてお伝えを申し上げます。まず、私はじめて参加させていただきますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、この中央執行委員会では、10月1日以降の我々の主な活動の取り組みを報告し共有をした後に、重要項目について協議をしてきたと、こういうところでございます。
 1点目は「2026年度予算編成等に関する対応について」です。今、様々な課題が山積している中で、我々の政策実現に向けて予算編成に対する考え方をまとめた上で、これからの取り組みに生かしていこうということの共有をはかったということでございます。とりわけ、現下の課題としては、物価高に対する対応ということで、そのような視点を強く持ってこの予算編成等に臨んでまいりたいということと、賃上げの環境整備についても言及したところでございます。
 それと、今ほど会長からもありましたけれども、「2026春季生活構想基本構想」について協議をしたところでございます。この点については、今を取り巻く情勢の確認、これまでの過年度の経過であったり、あるいはこれからの重点課題として我々が取り組むべきものを確認した後に、先ほど申し上げました3%、5%、そして7%といったところを確認したところでございます。
 それと、大会を経て、改選期ということでございますので、メンバーが大幅に入れ替わった部分もございますので、各種委員、あるいは我々の登録している審議会メンバーの交代等々、体制面での確認をしてきたというところでございます。私からは以上です。

質疑応答[1]
Q.(NHK・オオノ氏)

 NHKのオオノと言います。お世話になります。芳野会長に2点お伺いします。1つずつ答えていただけると幸いです。1点目が春闘の件なんですが、実質賃金が、以前基本構想にもいただいていますが、2年連続で5%台の賃上げが実現したものの実質賃金は今マイナスの状況が続いています。その中で、同じ「5%以上」という数字を今回掲げられていると思うんですけど、それについてどのようなお考えでいるのか、実際来年ですね、実質賃金これでプラスになるのかという懸念はあると思うんです。そのあたりはどのようなお考えなのかお聞かせください。お願いします。

A.(会長)

 この間もご説明をさせていただいているかと思いますけれども、賃上げというのは1年で終わるということではありませんので、着実に5%以上を積み重ねていくということがとても重要だと思います。そして、スローガンでもありましたけれども、賃上げが当たり前の社会をつくっていくということをしっかりと全国隅々にまで定着させていくということも連合の役割かと思いますので、5%以上をめざしていくということと、2025の時も重点の1つにしましたけれども、中小・小規模事業所がまだまだ低いということもありますし格差も広がってきていますので、先ほど挨拶に、5、6、7と触れましたけれども、そういったことをしっかりと取り組み強化してまいりたいと考えております。

Q.(NHK・オオノ氏)

 ありがとうございます。これも、続けていく、継続して実現にこだわっていくといったところで、会議をこれまでされていると思うんですけど「足りない」「もっと増やしたほうがいい」というようなお声もあったんでしょうか。その、5%じゃなくてもっと高いパーセンテージを示したほうがいいといったお話もあったんでしょうか。

A.(会長)

 それは、それぞれ産業ごとに考え方があるかと思いますけれども、連合としては5%「以上」ですので、好調な産業は5%にこだわらず、もっと上をめざしていただきたいと思います。

Q.(NHK・オオノ氏)

 ありがとうございます。2点目の質問に移らせていただきます。先ほど冒頭でもお話いただいたと思うんですけれども、高市新総裁が厚生労働大臣に、働き方改革をめぐって労働時間規制の緩和を検討するように指示があったという発言が昨日あったんです。それについて、もう少し詳しくお考えをお聞かせ願いたく思っています。2019年に労基法とかも改正されて、少しずつ定着される中でワークライフバランスなどの実現などに向けて取り組まれたと思います。このへんを含めて、今どのような状況にあると考えられているのかと、今後どうしていくべきなのかなど、お考えをお聞かせ願えたら幸いです。

A.(会長)

 現状を見てみますと、過労死等がなくなっていない状況を踏まえれば、過労死等ゼロとワークライフバランスの実現を目的とする「働き方改革」はまだ道半ばであるという認識を持っています。現行の時間外労働の上限規制が過労死ラインギリギリの水準であることからすれば、これを緩和することはあってはならないし、「働き方改革」の趣旨に反するような規制緩和を促す指示書が出されたということであれば、これまでの長時間労働是正の取り組みに逆行するものであり、これは看過できないという連合のスタンスです。労働時間規制は、労働者の命と健康を守る重要な規制であるという考え方のもと、従業員の選択労使合意があっても下回ることができない最低基準であると考えております。また、そもそも労使の交渉力等に大きな差がある中で、すべての労働者が自らの真意に基づき自由に働き方を選ぶことができるのかどうかという点については、強い疑念を覚えております。私たち連合としては、労働者の命と健康を守る視点とともに、家族ですとか友人、地域で過ごすという豊かな生活時間を保障するという観点でいえば、むしろ上限規制のさらなる縮減こそ必要ではないかと思います。そして、もう一方違う視点からいきますと、かなり前に「生活残業」という言葉も一般的に言われていたかと思いますが、賃上げを確実に実現させて残業しなくてもいい賃金水準になれば、もっともっと安心して働き続けられる、仕事と生活を調和しながら働き続けられる環境整備ができると思います。今、人手不足もありますし、小さいお子さんを抱えて働いていたり、介護を抱えて働いていたり、そうした人たちのことを考えてみれば、まさしく労働時間を短くしていくということは、今の環境の中ではとても重要なことだと思いますので、どういった状況にあったとしても仕事と生活というものを両立できる、そして安心して働き続けられる環境整備というのはとても重要ですので、そういう中での時間管理というのはとても重要だと思います。

質疑応答[2]
Q.(日経新聞・シマイ氏)

 日経新聞のシマイと申します。芳野会長にお伺いします。今の流れに続けて労働時間規制の緩和についてなんですけれども、やはり一応高市総理の指示書でも、労働者の、従業員の意思にということを一応かなり強調していたと思うんですけれども、実際、労働組合の立場から見て、この「従業員の意思」先ほども申し上げていましたけど、現実、実行可能性というか実効性というのはどう見られているのかというのと、あと、今まさに労政審のほうで議論されているところもありますけれども、こういうふうに政権のテーマというふうになってくると、今後何かさらにこの労政審での議論に踏み込んで、まさに裁量労働制とか他の、上限規制に加えていろんなテーマも議論されているところではありますけれども、何らかちょっと連合として労政審の枠を超えて何かやられる考えがあるのかお聞かせください。

A.(会長)

 まず「労働者の意思」という視点について言えば、企業の中では労働者一人一人は非常に弱い立場でありますので、それぞれの主張が本当に労使間で対等に主張が通るのかといえば、これは労働者の主張というのは、常に弱い立場にあるということを考えると、これは非常に難しいのではないかと思います。それと2つ目のご質問ですけれども、今労政審で議論をされていますので、連合としては考え方がもうすでにまとまっていますので、労政審の議論を見守っていくということになるかと思いますが、この審議が進んでいく中で、場面場面でもしかすると何か行動を考えるかもしれませんが、今の段階では審議中ですのでそれを見守りたいと思います。

質疑応答[3]
Q.(NHK・ササキ氏)

 NHKのササキと申します。よろしくお願いします。芳野会長に伺います。冒頭ありました高市内閣の発足についてなんですけども、ジェンダーギャップの解消につながることを期待されるということですが、他にありましたらお伺いできますと幸いです。
 あとですね、今回総理大臣指名選挙で公明党が離脱して政権交代の可能性というのもあった中だと思うんですけれども、その中で立憲民主・国民民主で投票先がまとまらなかったと、この点についてどうお考えかもお聞かせください。

A.(会長)

 挨拶と少し重複するかもしれませんけれども、憲政史上はじめて女性が総理になったということは非常に意義深いと思っています。この間、国会の中もそうですし、社会も、男性中心いわゆる男性稼ぎ主中心のこの日本社会が築き上げられてきていますので、ここで女性がトップになったということは、これから男女というよりも一人一人に着目をした政策に変えていただくということを期待したいと思います。この間の男性中心の習慣ですとか慣行ですとか、そういったものを是正していただきたいと思いますし、とりわけこの間連合も特に力を入れてきました女性の人権の問題である選択的夫婦別氏制度などは、前回国会の中で継続審議になっていますけれども、女性の人権そして多くの女性たちが社会生活の中で非常に不利益を被ったり、活動しにくいという声が非常に大きくなってきていますので、こういった部分についてはこれからの審議の中でしっかりと通していただきたい、そういったことに期待をしたいと思います。

Q.(NHK・ササキ氏)

 総理大臣指名選挙のことも。

A.(会長)

 2つ目の質問ですね、これは政党が考えることですので、連合としてはコメントは差し控えたいと思います。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 朝日新聞のサワジです。会長でも事務局長でもどちらでも構わないんですけれども、労働時間の規制緩和について、高市首相の指示とは別に、労政審の中では、経団連側は「過半数組合がある企業に限って」の緩和という、かなりそういったような主張もされているんですけれども、過半数組合があるところに限っての緩和という点についてはどういうふうにお考えですか。

A.(会長)

 連合としては過半数組合があるないに関わらず、労働者の視点で見れば、労働者の命と健康を守っていくということでは規制は強化していくべきだと思います。

質疑応答[5]
Q.(シカタ氏)

 先ほどの質問とも重なるかもしれませんが、去年と据え置きの水準について、ちょっと深掘りして質問したいと思うんですが、5%でね、会長のほうは要するに連合とすれば5%をめざして中小の格差があるということなんですが、実は5%の中身を見ると去年と一緒で物価ミニマムなわけですよ。物価は今度連合の場合は2.4%という試算をしているらしいですが、去年の場合は2.8%だったんですけれど、開けてみれば3.2%になり、今度の場合は2.4%ですけれど、だから3%はほぼ物価に近い要求です。ということは、これは物価ミニマムで、1%のベアも生産性向上の1%も入っていないんです。そういう点から見れば、来年は会長は「正念場」と言い、期待の大きい春闘で、ベア1%ない中で「以上」というのを付けているからいいと、それで、「力のある産別はもっと上げていい」というのは、ナショナルセンターの連合とすれば物価ミニマムじゃなくて、政府や財界が言っているように物価プラス1%をミニマムにして「以上」というね、それ以上力のあるところは要求をしていくという、そういうスタンスに立つべきではないかと思うんですが、その中身について果たして1%が入らない要求でいいのかどうか、そのあたりについて意見をお聞きしたいと思います。

A.(会長)

 今回の基本構想の中では実質賃金を1%上昇軌道に確実に載せることに、「こだわる」と入れていますので、そこを周知していきたいと思いますし、また、政府は物価を2%に安定させると言っていますので、労使は5%以上の賃上げを持続させ、実質賃金1%上昇をノルムとすることが求められていると思いますので、2026闘争としてはこの考え方でいきたいと思います。

質疑応答[6]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 毎日新聞のトウカイリンです。すみません、3つほどあります。
 1つは言葉のニュアンスの問題なので確認したいんですけれども、さっき過労死・過労自死のことをおっしゃった中で「散見される」というお言葉を使ったんですけれども、人それぞれイメージがあるのでどんなニュアンスなのか、どう考えても過去最悪を更新しているわけで、増えこそすれ減ってはいないという状況なんですけれども、「散見される」ってまばらにあるとかまれにあるとか、そんなふうにも取れるし、あるいは、いっぱいそこらへんにあるから「散見」という意味だというのもあると思うので、どんなニュアンスなのかというのがまず1点。
 もう1つですね、5、6、7という要求というのはよく分かったんですけども、実質賃金、その5%要求する中で上がっていくというのは、そういうお考えだというのは分かったんですけども、この5、6、7の中で実質賃金を本当に上向きにさせていくためにはどこに連合として力を入れるべきなのか、5、6、7の中でですね。特にここを集中的にやらなきゃならないんじゃないかとか考えていないのかということをお尋ねしたい。
 あと最後です。同じく昨日の首相の指示の中で、副業・兼業の拡大というのを進める、検討するというのも入っているんですけれども、副業・兼業の拡大というのは労働時間の短縮につながるのか、あるいは賃金上昇につながるのか、すごく意地悪く見れば「賃金はもう上げないから、副業・兼業で稼げ」というふうにも読めるわけですよね。この副業・兼業を促進するっていうのを連合としてどのように見ているのか。以上、3点お願いします。

A.(会長)

 まず、1点目のニュアンスの問題なんですけれども、過労死・過労自死は増加傾向にあるという認識を持っています。増加しているという認識です。
 それから2つ目が、実質賃金が上がらないという中でどこに力を入れていくのかということですけれども、2025もそうでしたけれども、中小・小規模事業所のところが大手と比べて格差が、若干は縮まったんですけれども、まだ低い状況にありますので、ここは力を入れていきたいと考えています。その上で、1月1日から取適法が改正されますので、これをきちっと職場に周知していくということが非常に大事ですし、これから新政権に求めていきたいと思いますが、地方版政労使会議が非常に賃上げに向けて、各地方からの声では効果的だということも聞いていますので、これも来年引き続き開催できるように連合としては働きかけ、この地方版政労使の中で取適法も周知をしていくということをやっていきたいと思います。
 3つ目は、冨髙さんのほうから。

A.(冨髙副事務局長)

 労働法制を担当しております冨髙でございます。副業・兼業についてどのように捉えているかということでございますけれども、これは労政審の中でも資料出ておりましたけれども、実態としては、生活費補填のためにやむを得ず副業・兼業される方が多いのではないかという実態も出ておりまして、そういうことを考えると、当然のことながら長時間労働になりやすいという懸念を我々としては持っております。そのため慎重であるべきと捉えているところでございます。以上です。

質疑応答[7]
Q.(朝日新聞・キタガワ氏)

 朝日新聞のキタガワです。芳野会長に2点お伺いしたいんですけれども、まず1点目なんですが、春闘に関してですね、昨年の要求水準とトータルとしては維持されているわけですけれども実質賃金としてはマイナスが続いているような状況があります。このような状況で数値目標を上げていかないと、実質賃金の回復につながらないですとか、ひいては国内消費の低迷なんかにつながってしまうんではないかという、そういった危機感みたいなのを会長ご自身お持ちなのかどうか、まずお伺いできますか。

A.(会長)

 今回の基本構想も各構成組織の状況等を勘案した上で数字は出しているということを申し上げておきたいと思います。そして、繰り返しになりますが、5%「以上」ですので好調なところは昨年以上を求めていくべきだと思いますし、連合としてはどれだけ賃上げが必要なのかという機運の醸成をしていくことがとても重要かと思いますので、今までと違う取り組みの中で労働組合のない職場で働く人たちの賃上げが実現できるように、そういったところにも力を入れていきたいと思います。

Q.(朝日新聞・キタガワ氏)

 もう1点が、高市首相による労働時間規制の緩和に関する検討を行うということの指示ですけれども、当然、80時間、100時間といった上限規制をどうするかというのも論点になり得ると思うんですけれども、裁量労働制ですとか高プロ(高度プロフェッショナル制度)とか、労働時間規制に関してはいろんなシナリオというのが考えられると思うんですけれども、連合としては今後政権がどういった部分を特にシナリオとして打ってくるというふうに考えていらっしゃるのか、また、それに対して連合としてどういうふうに対応していこうというふうに考えていらっしゃるのか、今後の見通しを教えてください。

A.(会長)

 まず、連合としては、今の労政審で様々議論していますが方針を確認しているということを1つ申し上げておきたいと思います。そして、どういったことが政府から出てくるのかということはこれからのことになりますので、この時点ではコメントは避けたいと思いますが、繰り返しになりますけれども、今、労政審で議論が進んでいますのでそれを見守っていきたいと思います。

質疑応答[8]
Q.(月刊ファクタ・ミヤジマ氏)

 月刊ファクタのミヤジマです。芳野さんは労働界のトップを4年やっていて、高市さんはここずっと初の女性総理になると言われていた方ですが、お二人のパーソナルな関係で接点というんでしょうか、それはどの程度あったのかなと。だから、おめでとうというか、祝意を表してましたけどね、それが1点。
 それから、石破さんはどっちかというとややリベラルな自民党のリーダーだったと思うし、高市さんは明らかにタカ派ですね、公明党は中道なんですよね、維新は自民党より右なんですよね、この組み合わせは明らかに右にシフトしているから、会長が言っている夫婦別氏とか、それから(女性)閣僚ももう少し増えると思ったけど2人ですよね、やっぱりそれはそれで祝意と別に右寄りにシフトしてしまっていることをどう見るのかと、あわせてやっぱりジェンダーの鬼としてはちょっと残念なんじゃないかと思うんですけど、そこを伺いたい。

A.(会長)

 内閣府の審議会で、男女共同参画審議会だったかと思いますが、男女共同参画の担当では高市さんはなかったと思いますけれども、課題の答弁者として高市大臣がご出席されたときに名刺交換はしています。あとは、私が出ている審議会では当時高市大臣は担当ではなかったので、その時1回だけ名刺交換をしたということだけです。それから、総裁選の時には、若手ですとか女性の登用5人以上だったか、そのようなことをおっしゃっていたので非常に期待をしていましたが、フタを開けてみるとお二人ということで、石破政権の時とあまり人数変わっていないので非常にその部分については残念で仕方がなかったということです。これからの政策の中でも、先ほど別氏の話をしましたけれども、この間、ご本人のご主張を聞いていますと、連合とは少し違った考え方ですので、こちらとしては政策要請の中でしっかりとお伝えしていきたいと思いますし、公明党さんが政権から脱退されて、別氏などは同じような考え方を持っていらっしゃいますので一緒に活動できたらいいなという、反面そちらのほうの期待も持っているということです。

Q.(月刊ファクタ・ミヤジマ氏)

 あと1点は、やっぱり瞬間風速かもしれませんけど高い支持率があって、やっぱり読売さんのを見ると、若い人、20代、30代は15%だったのが80%と。これはやっぱりある意味で世の中の若年層の右傾化というんでしょうか、それはある程度私もその通りだと思うんですけどね、そうすると結果的にやっぱりなかなか組合員に入ってもらえないという状況は、基本的にそういう人たちが右のほうに寄っていっているのがあるんだろうと思うんです。世の中のある種の右傾化というんでしょうか、それについて神保さんにも伺いたいんだけど、やっぱり労働界の代表である連合としては何か危機感というんですかね、そういう嫌な感じというのがあるのかどうか、神保さんに聞いてみましょうかね。

A.(事務局長)

 なかなか出番がなかったのでお作りいただいたのかなと思って感謝します。、右傾化ということのみならず、やっぱり今時代が大きな転換期の中で、特にコロナ禍を経て、若年層のみならず組合員あるいは国民の意識もだいぶ変わってきているんだろうなと思うんですね。また、そういった変化の中なので労働組合としてもいかにその変化に対応していくかというのは問われているんだと思うんです。我々この大会で組織拡大を重点課題に挙げていますけれども、そこにはそういう危機感と、そして、それを果たすためには我々が魅力ある組織になったりとか、そういった参加型の組織、そういったところに変われるかどうかというのが問われていると思うんですね。今の政治のお話から来ましたけれども、我々としてもそういう時代の変化にいかに対応してこの組織を維持発展させていくかというのが大きなテーマだと思いますので、今いただいた視点も参考にさせていただきながら、これから取り組んでまいりたいと思っています。

A.(会長)

 私からも一言。右傾化というよりも、連合は本当に若者と女性に人気がないんです。ここをどうしていこうかなと頭を悩ませているところです。その中の1つに、連合は何でも反対しているような、いつも拳を突き上げているようなイメージを持たれているようなので、連合としてはイメージ戦略をもっときちっとやっていかなきゃいけないと思っています。それから、職場の組合員も、右から左という言い方がいいかどうかは別にして、さまざまな考え方を持っている人たちが世代関係なくたくさんいるということと、私たちは執行部と職場の組合員さんとが対話を通じながら民主的手続きにおいてさまざまな活動をしているということを考えるならば、決して組合員は離れていっているのではないと思います。それを信じたいと思っています。もし、離れていっているとするならば、考え方というよりは、職場の組合活動、お世話役活動的なところが少し弱くなってきていて、組合員の皆さんが組合に入っているメリットというものを感じられなくなってきてしまっていて離れていってしまっているのではないかと思いますので、日頃の丁寧な活動の積み重ねによって執行部と組合との距離感が縮まってくると思いますし、期待される組合活動になればそれだけ参加者が増えてくると思いますので、そういう日々の地道な活動をもう一度見直していくことというのも大事ではないかなと思います。

質疑応答[9]
Q.(モリ氏)

 フリーの記者のモリです。先ほどですね、会長は「組合があってもなくても労働時間の規制緩和はいけない」とおっしゃいましたけれども、労働時間の規制緩和もいろんな形があり得ると思うんですね、協議すれば。しかし、労働組合が会社側と交渉すると結局押し切られちゃって、経営が有利な緩和をされてしまうというご認識ですか。「労働組合があってもなくてもダメだ」というのはそういうふうに聞こえるんですが。

A.(会長)

 法律でしっかりと縛りをかけていく、すべての労働者のために法律で縛りをかけていくということはとても重要なことですので、これは労政審の中でしっかりと連合としては主張していきます。ただ、職場の労使のやりとりの中で、さまざま労働時間だけではなくて、いろんな制度などもそうですけれども、使用者と労働者の立場関係を考えると労働者は弱い立場にあるので、だからこそ労働組合があれば会社との協議交渉によって様々な職場の処遇改善できますけれども、労働組合がない人たちは1人でいくら使用者に言ってもなかなかそれは通りませんので、法律でしっかりと規制していくということはとても重要なことだと思います。

Q.(モリ氏)

 そうすると、組合があればいろんな緩和についてですね、ある程度協議することは、可能というのかな、できるということですか。

A.(会長)

 組合があっても規制は強化していきます。

Q.(モリ氏)

 規制は強化。緩和じゃなくて。

A.(会長)

 規制は厳しくしていく。緩和はさせない。

Q.(モリ氏)

 もう1つ、アメリカにホワイトカラーエグゼンプションってありますね。これについてはどうお考えでしょうか。要するにホワイトカラーが労働時間の規制から外れると。エグゼンプトしてやりたいだけ仕事するという制度はどうお考えでしょうか。

A.(事務局長)

 すべてにおいて共通すると思うんですけれども、この上限規制で言えば、過労死ギリギリの水準であるという認識のもとに立っていますと。ですから、規制緩和というのには毅然とした態度で臨みたいというのがこれまでの我々の考え方の根底にあるということですね。

質疑応答[10]
Q.(毎日新聞・タナベ氏)

 毎日新聞のタナベです。高市総理に関してなんですけれども、この規制緩和検討とはまた別にですね、ワークライフバランスについても考慮しないで働くと。ご自身の決意表明ということだと思うんですけれども、こういうトップの方のご自身の決意表明であっても、そういうことの発言というものの影響ですね、これはあってよいものなのか、それとも何かやっぱり労働者への影響があってこれは慎むべきものなのか、いろんな議論があると思いますけど、どのようにお考えでしょうか。

A.(会長)

 トップの方のご発言というのは非常に影響力があると思います。この間、ワークライフバランス重視で来ていますし、どこの職場であっても労働時間の短縮を進めてきたりだとか、働き方も在宅勤務をしたりだとか、今回、改正育児・介護休業法なども、育児を担う人たち、介護を担う人たちが安心して働き続けられるように取り組みが強化されてきていることからすると、高市総理の総裁選の時の発言ですけれども、あの発言というのは非常に時代に逆行していることだと思いますし、非常に残念だと思いました。

質疑応答[11]
Q.(ブルームバーグニュース・ヨコヤマ氏)

 ブルームバーグニュースのヨコヤマと申します。2026春闘の基本構想案の中にも言及がありますトランプ関税の影響について教えていただきたいんですけれども、自動車業界ですとか鉄鋼業界、毎年牽引役になっているかと思います。現時点ですけれども、賃上げへの影響をどの程度懸念されているか教えていただけますでしょうか。

A.(会長)

 構成産別にもご確認いただきたいと思いますが、連合としてはデフレに戻さないというマインドチェンジが必要であると考えています。そのために賃上げノルムを確立することをめざしているということを申し上げておきたいと思います。そして、それをどうやったらできるのか皆で知恵を絞っていきたいと思います。

質疑応答[12]
Q.(労働新聞社・オカダ氏)

 労働新聞社のオカダと申します。2026春闘の中小組合の要求のところで、「3年前の賃金水準と比べ9%以上(過去3年分の物価上昇率)増えていない場合は、その回復についても求めていく」というのがあると思うんですけども、これは企業の総人件費に対して9%以上、に関して9%以上というところなのか、1人当たり平均というところなのか、それとも従業員1人たりとも9%以上になっていないというのはダメだということなのか、いわゆる企業の評価制度ですとか、そういったところで昨年より…3年前より賃金が下がっている方というのはいらっしゃると思うんですけども、そういうところも踏まえての9%以上になっている人が1人もいないようにという意味なのか、みたいなところをお伺いしたい。その後ですね、配分に関しての表現もあると思うんですけれども、このあたり、いわゆる最近の職務型の人事制度とか踏まえて、今後に関してのお考えをお伺いできますでしょうか。お願いします。

A.(会長)

 仁平さんのほうから。

A.(仁平総合政策推進局長)

 読んでいただければいいと思うんですけれども、③のところは、人件費の話をしているわけではありません。それぞれの賃金実態を、要は所定内の賃金実態をきちっと組合で分析をしてほしいと。その上で、3年間で十分上がっていないということについて是正を求めていく必要があるんじゃないかということでございます。そういう意味では、答えは賃金カーブがどれくらい引き上がっているのかといったことをここでは書いております。あと、配分交渉の話ですね、ここについても連合として「こういう配分がいい」ということを言っているわけではございません。それぞれの課題なども点検していただきながら、要はここで言いたいのは、平均の原資をとって終わりじゃありませんと、1人1人の賃金がどうなっていくのか、まさにこの賃金カーブのありようについて労働組合として関与することが大事だということを書いております。以上です。

質疑応答[13]
Q.(時事通信・オオツカ氏)

 時事通信のオオツカと申します。野党の首班指名をめぐる動きについての質問が先にありまして、「政党がお考えになること」というお話でしたけれども、連合としてはこれまでやはり支援政党である立憲民主党と国民民主党が与党に代わるような大きな塊となってほしいという方針だったかと思います。そもそも、与党と野党の枠組みも今回新しく変わったわけですけれども、引き続きこういう方針は変わらないのかというのを教えてほしいです。

A.(会長)

 立憲民主党と国民民主党は支援政党ではなく連携政党です。首班指名の関係は先ほども申し上げたとおり、それは政党が考えることですので連合としてコメントは控えたいと思います。連合の考え方としては、与野党が切磋琢磨する熟議の国会をめざしている中で、その野党が大きな塊になって与野党がきちっと議論できるような、そういう関係性を二大政党的と、「的」と言っているんですが、そういう方針を今は持っているということです。

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