記者会見 2025年9月11日

 

連合記者会見

記者会見

芳野会長、清水事務局長(2025年9月11日)

連合記者会見全文
芳野会長

 大変お疲れさまでございます。本日も定例記者会見にご参加いただきましてありがとうございます。
 先月の定例記者会見でもいくつかご質問いただきましたが、先週末にすべての都道府県で最低賃金額が答申をされました。全国加重平均は1,121円となり、最低額の県でも1,000円を超え、連合が長い間めざしてきました「どこでも誰でも時給1000円」に到達することを感慨深く思いますと同時に、審議に関わった公労使すべての皆様の真摯なご対応に心から敬意を表したいと思います。地域ごとの金額水準の発効日のばらつきなどについては、前回の記者会見で皆様からもご質問やご指摘などをいただき、一定程度対話させていただきましたので改めて触れることはいたしませんが、世界から見ても低い水準にある日本の賃金水準を少しでも上げていくことの必要性は論をまたないと思います。労働者がその努力に報いてくれると実感してもらえるような賃金水準を確保できるように、春季生活闘争とあわせて来年以降もしっかりと取り組んでいきたいと思います。
 次に、今週はじめに石破総理が辞意を表明されたことについて触れたいと思います。こちらについても、前回の記者会見で、その時点での状況を踏まえたご質問をいただいたところですけれども、石破総理におかれましては、この間、政府として賃上げに向けた様々な環境整備を主導していただいたと思っております。すべての働く者の賃上げを実現していくためには、政府の協力は欠かせず、政労使の意見交換や地方版政労使会議、あるいは政労会見の場面において、連合の主張にも耳を傾けていただき誠意あるご対応をいただきました。春季生活闘争では適切な価格転嫁による適正取引が重要であることにも共感していただき、下請法の改正も実現をいたしました。改めて感謝申し上げたいと思います。ただ、一方で、選択的夫婦別氏制度の導入について、総理のリーダーシップを期待していましたが、それを果たすことができなかったことは非常に残念であると思っております。いずれにしても、今後新たな政権の枠組みをめぐって与野党の動きが活発になってくるかというふうに思いますが、連合としてはこれまで通り、立憲民主党・国民民主党と連携して政策実現を最優先に進めてまいる所存でございます。
 以上、簡単ではありますけれども冒頭の挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

清水事務局長

 それでは、まず「新加盟組織の承認について」お諮りをいたしました。医薬化粧品産業労働組合連合会、略称で薬粧連合と申しますが、そこから9月2日付で友好参加組織として加盟の申し出がございましたので、連合規約規則に基づき、10月の第19回定期大会で加盟を承認する旨、中央執行委員会として確認をいただきました。
 続いて、「連合『組織拡大プラン2030』フェーズⅡの策定について(素案)」を今日提起させていただいております。そもそも「組織拡大プラン2030」は、2020年10月から2030年9月までの10年間の長期プランを立てたわけでございます。そして、2025年、中間年である2025年9月までをフェーズⅠとして、中間総括を行ったということであります。それを踏まえて、フェーズⅡ、残りの5年間の策定を行うということを今日ご説明させていただきました。フェーズⅠの総括、中間のまとめについては、800万を中間目標に掲げて、その延長線上に1000万を見据えて、3つの柱を立てて取り組んでまいりました。10年間で徹底的に組織拡大にこだわる拡大実績を上積みしていくんだと、そして組合員の減少に歯止めをかけるんだということが1点目。2点目は構成組織・地方連合会自ら目標を設定して、その必達に向けて全力で取り組むということであります。3つ目は、人財を含めた体制の強化を重点的に取り組むということで、この間、オルガナイザーの確保であるとか、育成であるとか、そういったことに取り組んでまいりました。今後はそれをもとに、フェーズⅡを今日素案として提起させていただきましたが、組織の垣根を越えて、みんなで考え行動すると、組織拡大と強化を両輪で進めようということを大きな目標に掲げて、主にはこれまでの3つの取り組みをさらに、まだ中間でございますので、その徹底をはかっていこうということが基本でございます。まだ素案の段階でございますので、今日はその部分を確認したところでございます。
 続いて、「重要経済安保情報保護活用法の施行を踏まえた労働組合の取り組み」について、ご確認いただきました。ご案内のように、重要経済安保情報保護活用法が5月に施行されましたが、連合は提供された重要経済安保情報の適切な管理と情報漏洩の防止、そして個人情報の過剰な収集や逸脱した利用の禁止などについて、労使双方が法を理解した上で適切な運用がなされるよう、職場における労働組合への取り組み方針を今日案としてご提示してご確認をいただいたところでございます。いずれにしても、職場においてかなり細かいことが懸念をされることがありますので、しっかりと労使の取り組みの方針に位置づけるべきということを提起をしたところでございます。内容は資料をお読み取りいただければと思います。
 続いて、「働く者のための『労働基準関係法制』実現に向けた連合の考え方(補強)」および当面の取り組み(その2)について」ということで確認をいたしました。これについては、この間も既に提示をしておりますけれども、今回は補強として、特に1点目は労働時間の規制に関して、それをしっかり守るべきだということ。それから集団的労使関係、これのあり方について、連合として再度考え方を強化・補強したところでございます。具体的には、お配りしました資料の中に参考資料として労働条件分科会における議論の状況ということで、時間外・休日労働の上限規制から過半数代表制まで表にしたものがございますので、労働側の主張のところが連合の考え方でございますから、使用者側と比べていただければと思っております。現在このことが議論されていますので、この方針に則って論議を進めていきたいと考えるところでございます。
 続いて、「労働政策審議会労災保険部会への対応」ということについて確認をいただいたところでございます。これについても、労災保険法の見直しに向けた連合の考え方これについて確認をいただき、特に労災保険の適用であるとか、あるいは給付であるとか、徴収などについて、様々な連合の考え方を整理したところでございます。それに基づいての確認を今日お願いをしたところでございます。
 もう1点は「第27回参議院選挙の取り組みのまとめ(素案②)」ということで、今回はじめてこの素案に基づいて、構成組織・地方連合会に意見聴取をしますので、今日、中央執行委員会ではじめて文言として確認したということでございます。内容については資料を読み取りいただければと思いますが、「闘いの振り返りと課題」ということで、1点は衆参両院での与党過半数割を達成できたことは一定評価できるものの、必ずしも連合が期待する結果につながらなかった部分もあったということでまとめております。また、連合推薦候補者全員の勝利とならなかったこと、特に比例代表で1名の落選を許したことは痛恨の極みであると、組合員の意識を踏まえた政治活動への取り組み方の検討が必要だということでまとめております。また、一人区では連合そして立憲民主党・国民民主党が力を合わせて結果を得たというところがあったということ、また立憲民主党は党勢拡大につながらなかった事実を重く受け止めるべきであるということ、また、SNSがかなり話題に上りましたが、SNS戦略がこれまで以上に重視されると、今後も重要性を増すことが確実視される中、偽情報であるとか、誹謗中傷対策は急ぎ国会で検討されるべきということでまとめたところでございます。これからの政治に求めるものとして、連合の考え方と取り組みを5点にわたってまとめて記載をしておりますが、特に公平・公正な情報のもとで投票権を行使できる環境整備、選挙に関する環境整備が必要だろうということを記載もしております。また、もう1点は政治の安定のためにも、中間団体である労働組合の存在と活動が重要だといったことについてまとめたところでございます。今日のこの素案②というのが、はじめて構成組織・地方連合会に意見照会のために本日付で下ろされますので、最終案は10月1日の次の中央執行委員会で決めたいと思っております。
 最後に「2026~2027年度運動方針(案)について」、今日大会に提案する運動方針が確認できました。これまでの文言について、特段変更することはございませんでしたが、今日の資料に付属資料がついていると思います。運動方針に沿って4点にわたって組織体制を見直すということで、具体的な組織体制が、現在と変更したものがどうなったかということで付属資料に載せてございますので、それを見ていただければと思います。いよいよ定期大会が近づきましたので、定期大会のさまざまな役割であるとか、採決の仕方であるとか、代議員の参加の仕方であるとか、そういったことも今日確認をいたしました。
 私からは以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 朝日新聞のサワジです。3点あります。1点目は、任期を迎える役員人事について、中身についてはお伺いしませんが、これ役せんが決めることなので、ロジの点だけ確認したいんですが、役せんが決めた案は中執に上がってくると思うんですけれども、今日まで上がってこないというところを見ると、次回が10月1日ですかね、これだとすると今の立候補の期限とスケジュール的に間に合わないかと思うんですが、今後その中執での扱い、例えば臨時の中執を開くのか、あるいは立候補期間を変更するのか、スケジュール感だけ教えてください。それが1点目。
 それから2点目が、これは本当は前回お伺いすべきだったんですけれども、今度の定期大会で提案される運動方針の推進分野-2、政治のところなんですけれども、先ほど会長は立憲・国民との連携というふうにおっしゃったんですが、前回出された資料の赤と青の修正のところを見ると、連携する政党に所属する議員を中心にというところが削られていて、この言葉は次の大会の運動方針からバサッとなくなり、むしろ連合出身議員政治懇談会を活動の軸とするというふうにちょっと書きぶりが変わっていて、さらに言うと、政権交代であるとか二大政党的という言葉が、チラッと残ってはいるんですけれども、頭のところからも落ちていて、かなり従来の主張からすると変わっているように見える、これはおそらく現実に対応してのことだと思うんですけれども、この辺はどういうふうに受け止めたらいいのか、当面はしばらく今の政治状況を考えて二大政党的なものはすぐには実現できないということで少し変えているのか、その辺のお考えを教えてください。
 あと3点目が、薬粧連合の扱いなんですが、これについては薬粧連合さんが従来から連合への加盟を希望していたわけですけれども、薬粧連合さんができたときの経緯があってゼンセンさんが反対していたわけですね。これが今回こういうことになったのは、ゼンセンさんの考え方が何か変わったのか、対応が変わったのか教えてください。

A.(会長)

 まず1つ目の関係ですけれども、役員推せん委員会マターではありますけれども、緊急の中央執行委員会が開催される方向だと思います。

A.(事務局長)

 運動方針の政治、推進分野-2のところでございますが、今回は2年の運動方針でございますので、2年の中で大きな国政選挙は基本終わっているので、そういったことを踏まえて今のような表現になっていますが、連合の政治方針の基本は変わっていません。ですから、二大政党的体制を求めることであるとか、2党に分かれてはいますけれども連合が政策制度として協力できる、立憲民主党・国民民主党と連携していくことは変わっていません。この間ですね、両党に分かれている中で連合の出身議員が中心になって様々な法案のことであったりとか、それから共通する考え方であるとか、そういったところを随分動いていただいて、なので、連合とすれば、そういった出身議員政治懇談会を軸にしながら両党との関係を詰めていくと、そういう意味で今のような文言になっているということです。様々な議員の方がいらっしゃるので、それよりも連合出身の議員を軸にするということ、そういう意味でこうした表現になっていると。何かを別に削ったということではなくて、より現実的な、またご意見の中には確かに地方連合会であったりとか政治センターとかそういったところで、直ちに二大政党的な体制って無理なんじゃないのかということで、もう少し現実的な書き方をしたほうがいいんじゃないのか、様々な意見をいただいた中で、今のような形に落ち着いたということであります。
 それから、薬粧連合につきましては、ご指摘のとおり、もう7年、8年前ですかに加盟申請が一度上がりましたが、今ご指摘があったとおり、薬粧連合を構成している組合の中に、UAゼンセンそれからJEC連合、そこから出られて薬粧連合を作られた経緯がありました。もともと所属していたUAゼンセン、特にUAゼンセンが多かったので、UAゼンセンと2者の話し合いを大事にしてほしいという両方の意向もあって、この間、大変時間はかかりましたが2者で話をして、そして医薬化粧品の産別、特にパンデミックなども受けて、製薬の問題であるとか、あるいは今たくさんの薬品の販売のサプライチェーンがありますけど、そこで働く人であるとか、薬品の供給であるとか、そういったことについて、連合としてしっかりとした政策を打てる必要があるということで、薬粧連合も入りつつ、UAゼンセンにも残っていますし、双方の執行委員会でこれまでの間の様々な経過について確認をされたうえで今回の加盟申請が提出され、当然、UAゼンセンについてもそのことはご理解のうえで上がってきたという経過でございます。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 追加で確認したいんですけど、臨時の中執が開かれるというのは、私の記憶の限り、ここ14、15年で働き方改革関連法案に対する対応をめぐって札幌でやったぐらいなんですけど、過去、人事をめぐって、人事の報告を受ける、了承をするためにこういう形で臨時の中央執行委員会を開く、中執を開くというのはこれまでなかったでしょうか、あったでしょうか。

A.(会長)

 4年前に。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 4年前の時もそうでしたっけ、4年前の時もそうか、あの時もお二人の時も、あの時も臨時でやったんでしたっけ。そっかそっか、すみません、私の記憶違いで。

A.(事務局長)

 臨時でやったりですね、1時間待っていただいたりとか、いろんなことがありました。4年前です。

質疑応答[2]
Q.(NHK・イワタ氏)

 NHKのイワタと申します。芳野会長にお伺いしたいと思います。立憲民主党の党の新執行部が今日発足しまして、幹事長には安住予算委員長、それから政調会長には当選2回の本庄知史さんが起用されるなど若手の登用も見られましたが、立民のこの新執行部の顔ぶれが決まったことに対する受け止めをまず伺いたいのと、野党第1党に引き続きどういうことを望んでいくか、お考えを伺えますでしょうか。

A.(会長)

 まだ、立憲民主党からご報告をいただいていませんのでコメントは避けたいと思いますけれども、連合としては対話重視で引き続き連携を取っていきたいと考えています。そして、求めることは、連合としては政策を実現していくということですので、引き続き連合の政策実現に向けてトップ懇談会含め、組織内議員の皆様もいますので、連携を密にしながら取り組み強化していきたいと思います。

Q.(NHK・イワタ氏)

 ありがとうございます。もう1点別件で、冒頭に石破総理の辞任のことについては触れていらっしゃいましたけれども、自民党の総裁選挙が今月22日に告示されて、来月4日に投開票という日程が決まっていますけれども、政策実現を求める連合の立場としては、野党側からは政治空白が起きていて国会が滞っている指摘もある中で、与党側に対してこういう事態を招いていることについてどう受け止めていらっしゃるかということと、総裁選挙を通じて自民党・政府側にどういうことを求めていきたいというふうにお考えでしょうか。

A.(会長)

 今の政治状況を考えてみますと、熟議の国会は引き続きしていただきたいと思いますし、物価高で非常に大変な思いをしている労働者・生活者の皆さんたくさんいますので、1日も早く国会を開いていただき政治空白というものを回避していただきたいと思います。

質疑応答[3]
Q.(シカタ氏)

 シカタと言いますが、来春闘の構想、方向について会長の見解をお聞きしたいんですが、産別大会が終わりまして、それで、僕が取材している限りでは去年よりも新たな変化が出てきているというような感じがするんです。それは、トランプ関税の問題、トランプ関税について、例えば金属労協、それからゼンセンですね、これまでのように、言ってみれば実質賃金の確保だとか、成果の公正配分とか、人材確保とか、格差是正とか入っているんですけれど、それに加えて外需依存型の脆弱な日本経済から内需中心の底堅い経済転換に向けて、26春闘で賃上げを頑張ろうという、そういうのが付加されてるんですね。例えばゼンセンの場合は、自律型、自分で律する経済、自律型経済、要するにトランプ関税なんかに左右されないというのを含めてだと思うんですが、自律型経済をめざすと入ってましてね。そのあたりの情勢分析について、会長としてどういう感想を持たれて、連合としての春闘の情勢分析や情勢報告が入ると思いますけれど、そういう産別の動向も若干考慮されたような形で方針を立てるのかどうかという、その方向性をお聞きしたいのが1点と、第2点は、内需中心型の春闘といった場合は、これは個人消費マインドの強化というのが非常に大事になるわけで、この間を見ると、やっぱり連合が34年ぶりに頑張ったんだけれど、開けてみれば実質賃金マイナスで、7月もやっぱり所定内ではマイナスなんですよね。ということは、やっぱり内需型春闘という形になれば、かなりその実質賃金、生活向上にもつながる獲得が必要だと思うので、会長にお聞きしたいのは、連合の要求はこの2年間、物価が3%であれば、ベアは3%という物価ミニマム要求だったんですが、来年の場合は物価プラスアルファと言いますか、物価プラス生活向上とか、GDP1%とか、そういう物価ミニマムから要求を変えられるような方向で検討されるのかどうか、この2点について、もし見解聞けたら、よろしくお願いします。

A.(会長)

 2026春季生活闘争の方針についてはこれから議論がはじまっていくかと思いますので、まずは例年通り各構成産別の動向を確認していくということになるかと思います。来週19日に「未来づくり春闘」評価委員会の報告シンポジウムもありますけれども、その報告を見てみますと2026春闘は非常に大事だということが書かれています。そのことを鑑みますと、この2年間5%台の賃上げが継続していますので、これは死守しなければならないという認識を持っています。そして、もう一方で物価が安定していくということも政府には求めていきたいと思います。ご指摘の通り、実質賃金マイナスが続いていますので、これをプラスに持っていくということは非常に大事ですし、ご指摘のとおり消費になかなか回ってこない、これは生活者・労働者が少し生活が豊かに、豊かにというか生活が楽になったという、何か実感が湧いてこないとなかなか消費に回っていかないかと思いますので、マインドを変えていくということも大事ですし、そのためには価格転嫁、労務費を含む価格転嫁の取り組みも強化していきたいと思います。改正法も1月1日に施行されますので、これ連合としても徹底的に職場に周知していきたいと思います。もう1つは、この間も申し上げてきているんですが、私たちは労働者であり、一方で生活者であって、両方の立場があると思うんですね、そういう意味では、物や製品には適正な価格があるということも周知していかなければ、物が安くなるということは私たちの労務費も上がっていかないということもありますので、そういったマインドのところも2026春季生活闘争の時には、マインドを変えていくということも取り組みの大きな1つの柱ではないかなと思います。

質疑応答[4]
Q.(トリイ氏)

 フリーのトリイと申します。自民党の総裁選挙というのが実施されますけれども、有力な小泉進次郎は、解雇規制の緩和、労働規制の緩和を去年の総裁選挙で主張しております。これについて、また維新は解雇の金銭解決というものを「維新八策」に明記しています。小泉進次郎さんが総理総裁になると、自民・公明と維新の連立拡大ということも一部で報道されています。派遣労働や外国人労働の拡大といった、いわゆる雇用崩壊、雇用の不安定ということについても今進んでまいります。労働関係法制の論議ともいろいろと関係すると思いますけれども、連合としてはどういう対応とか、どういう発信というものをされるかについてお伺いいたします。

A.(会長)

 まず、総裁選の関係につきましては、これは自民党サイドの話ですので、連合としてコメントは差し控えたいと思います。

質疑応答[5]
Q.(朝日新聞・ミナミ氏)

 朝日新聞のミナミと申します。2点あるんですけれども、1点目が自民党の総裁選をめぐって、すでに立候補を表明している候補者から、国民民主党などの具体名を挙げて連立を検討したいという声が上がっている状況があります。以前、芳野会長は立憲と国民の連立入り、与党連立はあり得ないとおっしゃっていたと思うんですが、改めてこうした状況で国民民主党や立憲民主党がどう対応していくことを求めていらっしゃるか、お伺いします。

A.(会長)

 繰り返しになるかもしれませんけれども、連合としては立憲民主党・国民民主党と連携をして政策実現をしていくということは変わりませんので、引き続き連携強化していきたいと思います。いずれにしても、政権の枠組みに入っていくということは連合としてはあり得ないという考え方は曲げられないと思います。

Q.(朝日新聞・ミナミ氏)

 ありがとうございます。2点目なんですが、参院選の総括についてなんですけれども、以前報道されていた原案ですと、立憲民主党に関して「党存続の危機」という表現が使われていたと思うのですが、今日の資料だと「危機的状況」というふうに表現がちょっと緩やかになっているかなと思うんですが、この表現が変わった理由を話せる範囲で教えていただければと思います。

A.(会長)

 報道に出てしまったのはたたき台で、議論の途中のものが出てしまったということについて非常に遺憾に思っています。たたき台から様々な意見を積み重ねて、当然、たたき台って変わっていくものですし、今の時点ではそうした表現はなくなっているということをお伝えしたいと思います。

質疑応答[6]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 月刊ファクタのミヤジマです。参院選の取り組みのまとめですが、いわゆる、もう今NHKでも参政党が野党第1党の政党支持率なわけですけどね、いわゆる今のこの多党化現象みたいなものについて、どういう議論になっているのかということが1点です。
 それから、結局欧州での移民政策の失敗で極右が出てきたようなのが、世界同時右派革命みたいなことになっているというぐらいの世界なんですけど、日本は10年ぐらい遅れていると思うんですけど、従来のどんなレベルで外国人労働者を適正に入れているかというのは、やっぱり参政党の問題提起でもう一度議論してみる必要があるようなテーマにも見えるんですけど、そういう問題ですね、その辺をどういうふうにご覧になるのか、あるいは少しは話を聞いてみようというのか、全くその排外主義だということで排除するのか、その辺について。でも、僕は労働組合の若い人が今のままだと、たぶん立憲的な考え方だと、若い人が労働組合に入ってくるのかなという感じもするんですけど、どういうふうに移民政策とか、連合は本当に労働者の立場で考えていくのか、お伺いしたいんですけど。

A.(事務局長)

 参議院選挙の取りまとめについて、新興政党というような書き方をして一定書かせてもらいましたけれども、外国人政策のことで言えば、連合とすれば多文化共生が基本であって、今実際問題、日本にも240万人からの方が既に働いていらっしゃると。特定技能、そしてこれから様々就労の部分も広がっていく、そういったことを考えれば、外国人の労働あるいは政策というか、働くだけじゃなくて住むことも含めて、また家族帯同の場合には、これからはそういった部分の就労の部分の子どもたちへの保障であるとか、一市民としての生活であるとか、そういったことを日本国としてはしっかりと考えていく必要があると思っています。外国人政策で様々私も見させてもらいましたけれども、外国人が不当に厚遇されているとか、書かれていることについて少し事実と違うなというところがあったりとか、そういったことにSNSでだいぶ影響されて、見る人が若い方が多いのですから、危惧しているところはあります。今後、国会の中で、外国人の規制問題であるとか、確かに土地の所有を際限なく広げることはどうなんだとか、これは参政党が躍進、伸びる前から、そういったことは国会でも議論されていましたので、国民から選ばれた議員として、また公の政党としてしっかりと議論に加わっていく。どのような発言になっていくのか、どのような政策を打たれるのか、そういったものを連合としてはしっかりと見極めていきたいと思っています。対話云々のことは、連合としては様々な方たちの意見はずっと聞いていますけれども、まずは党の政策なり何なりをしっかり見ていく必要があると思いますし、労働組合の連合から言えば、例えば公務員もちゃんとやってない公務員はみんなクビにするみたいな、そういった報道があることとか、私もよく読んでないですが、そういったのがあることを聞いたりすると、しっかりとまずは書かれているものとか、主張とか、そういったものをはっきりと私たちが捉えて分析する必要があると思っています。多文化共生とか、そういったことは基本の話でありますし、人権であったり、そして日本という国がこれから外国の方、移民政策の是非の話ではなく、どのように現在も生活されている方、そして日本に就労を求めてくる方もたくさんいるわけで、育成就労か、様々なこれまでの就労のあり方についても、まだまだ十分でないところありますけれども、そういった方たちと一緒になってやっていくこと、労働人口が減っていくことは事実ですから、そういった議論をしっかりやっていくことは必要だと思います。また、連合もこの参議院のまとめは、いろいろな構成組織、それから地方連合会の声を聞いて、私たちとしてはまとめていますが、現在連合として選挙に関わったアンケートを今まとめているところでございます。12月ぐらいまでちょっとかかりますがそのこと、それから構成組織もそれぞれアンケートを取っていて、今日政治センターなどでも、そういったところについてお互いに共有しあっています。今回6%、若い方たちの投票率が伸びたということですけれども、連合の中でも今まで選挙に行ってなかった方がはじめて行ってどこに投票したのか、あるいは今まで立憲や国民に投票していた方が参政党に投票した方もいるかもしれませんが、それはなぜだったのかとか、そういったことを組合員の合意をしっかりと分析すること、そしてそれぞれの産業別労働組合や単組がアンケートを取っていますから、そういったものを今回は少し時間をかけてしっかり分析した上で、私たちの政策について、私は間違いのない政策だと思っているんですが、十分に響いていないとか、届いていないとかって、そういうことがどこにやっぱり原因があるのか、書き方の問題なのか、政策そのものなのか、組合員から、消費税に対するさまざまなご意見も今回はありました。そういったことをしっかりと分析をして、新しい19期の2年間で整えて、そして国政選挙があるかどうか分かりませんが、当面、統一地方選挙からはじまる次の衆議院・参議院に向けて体制をしっかりと整えていく、そんなことを考えているところです。以上です。

Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 一言だけ、いわゆる労働者の適正な受け入れ、あるいは移民の問題について、こういう問題にやっぱり労働組合の団体のトップである連合が向き合っているということを示すことが、やっぱり若い世代に対しても、その部分をするわけじゃなくて、そういう意味では連合には研究所もあるわけですから、そういう問題について改めて、単に多文化共生だということであったら、それを理想としてやったヨーロッパの現状というのはこれからどんどん明るくなると思いますけど、そういうものを研究したりするような考えというのはないのかどうかと思うんですけど、そこはどうお考えなんでしょう。

A.(事務局長)

 現段階で研究しているという状況はありませんけれども、確かにご指摘のように連合総研とか様々ございますので、そういった中で来年度以降どんな研究をするとか、連合からの委託とか、いろんなことを話し合ったりはしてますから、そういった中でぜひそういうことということであれば、研究のテーマにもなろうかと思いますが。
 手が挙がってます。冨髙さんからお願いします。

A.(冨髙総合政策推進局長)

 外国人労働政策担当の冨髙でございます。今、基本的には清水事務局長から申し上げたとおりでございますけれども、今まで我々外国人労働については、受け入れとか、在留資格ごとに広げていくというようなことで、国民的な議論がされてきていないと、そういったことが今回の差別とかそういったところにつながっているのではないかということもございまして、内部でも連合としてしっかりとそういった部分について検討すべきであるというような声をいただいておりますので、今回、運動方針の中に労働政策だけではなくて社会保障も含めた外国人の労働者全般に対する考え方というところを整理していこうということを書かせていただいておりますので、来期以降のところでそこの部分をしっかりと発信をしていきたいと考えております。以上です。

質疑応答[7]
Q.(日経新聞・オオサワ氏)

 日経新聞のオオサワです。芳野会長に伺います。首相指名選挙について伺います。石破総理の退陣表明に伴って自民党総裁選が終わった後には臨時国会で首相指名選挙がある見込みです。先ほども立民と国民の枠組みが離れることは容認できないという趣旨のお話で、そういう中で、少数与党の状況で立民・国民中心の政権交代という機運がなかなか広がりを欠いているというのも事実だと思うんですけれども、政策実現を求めて支えている立場からして、どのように首相指名選挙に期待、どうご覧になっているか教えてください。

A.(会長)

 連合としてはどなたになっても対話重視で対応していきたいと思います。この間、先ほども挨拶で触れましたけれども、地方版政労使も含めて政労使会議ですとか、政労会見ですとか、賃上げそして生活者のための政策について話し合う場ができてきていますので、それも引き続きやっていただきたいという要請をしていきたいと思いますし、何よりも政策実現していくことが連合としての役割だと思いますので、対話できる関係性を、どなたがなったとしても作っていきたいと思います。

Q.(日経新聞・オオサワ氏)

 先ほど立憲民主党の執行部人事の話がありましたけれども、野田代表が人事の位置づけについて、政権を取りに行く位置づけとおっしゃっていました。そういう意味で、首相指名選挙に向けて立憲民主党に期待することを教えてください。

A.(会長)

 立憲民主党はこの前の選挙では、なかなか野党第1党ということであっても横ばいという状況で、有権者に響く政策が伝わらなかったということがあるかと思うんですが、連合としては連携政党ですので引き続き立憲民主党には期待を持っていきたいと思います。

質疑応答[8]
Q.(朝日新聞・キタガワ氏)

 朝日新聞のキタガワです。2点お伺いしたいんですが、まず1点目なんですが、役せんに関して、中身については結構なんですけれども、告示がされてもなお現状報告が中執にも上がってきていないような状況で、ここは緊急の委員会を開かれるということではありますけれども、まず現状、告示されてもなおかつまとまっていない状況について外形的にどういうふうに見ていらっしゃるのか。4年前なんかもかなり人事難航した末に芳野さんが会長になられたわけですけれども、連合のこういう人事が難航するような状況というのを、どういうところに背景があるというふうに見ていらっしゃるかお伺いできますでしょうか。

A.(会長)

 役員推せん委員会の中でどのような議論になっているのか私自身は分かりませんので、それは役せんにお任せするしかないかと思います。

Q.(朝日新聞・キタガワ氏)

 もう1点が、未来づくり春闘の報告書を拝見していると、将来予測などを踏まえ要求基準に入れるような提案とか、これまでの春闘の考え方とはかなり違う考え方が提言としてあると思うんですね。この報告書の位置付けというのをどういうふうに捉えればよいのか、今後、実務的にもこういうのを入れていくとなると、労使関係とかも含めてなかなかすんなりいくようなものなのかどうなのかちょっと分かりませんけれども、この報告書の位置付けをどう考え、今後の春闘にどう活かしていくのかについてお聞かせください。

A.(会長)

 シンポジウムの後に記者会見もありますので、そちらでまた質問していただければと思いますが、連合としてはこの間春季生活闘争を取り組んでくる中で、第三者から客観的にご指摘をいただくということも必要だろうということで、今回評価委員会で議論をしていただいています。今回の取りまとめについては、2026春季生活闘争の考え方をまとめていくときにぜひ参考にしていきたいと思いますし、今までにない物価高が続いてきたということで、予測不能な環境に来てしまったということもありますので、そういう状況の中で私たちはどう賃金改定を取り組んでいくのかということも、しっかり考えていく時期に来ているかと思いますので、今回の評価委員会の取りまとめというのは大いに参考にしていただきながら、2026春季生活闘争の方針に取り入れていくということがとても重要ではないかなと思います。

RENGO-TV
連合記者会見
ツイキャス・あつまれ!ユニオンスクエア~毎月05日はれんごうの日~
アニメーション・PR動画
主な活動に関する動画
ワークルール動画
年金のしくみ