グローバル化が進展する中、企業は国境を超えて事業活動(ビジネス)を展開し、サプライチェーンを拡大させてきた。しかし、その現場で児童労働などの人権侵害や環境破壊が生じていることが指摘され、国連は2011 年に「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択。企業の「人権を尊重する責任」を明記し、各企業がサプライチェーンの「人権デュー・ディリジェンス(人権リスクの把握と対策)」を実施することを提唱。これを受けて各国で行動計画の策定や法整備が行われ、日本でも2020年10月に「ビジネスと人権に関する行動計画」、さらに今年9 月に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が策定された。
どう人権リスクを把握し、人権侵害を防いでいくのか。企業活動の最も重要なステークホルダーである労働組合の役割は何か。労使で取り組む「ビジネスと人権」をテーマに、経団連の長谷川知子常務理事と連合の安河内賢弘副会長が意見を交わした。
過労死等ゼロをめざして、2014年11月に施行された「過労死等防止対策推進法」は、過労死等防止対策推進協議会の設置、「大綱」の策定、「過労死等防止啓発月間(毎年11月)」を定めている。連合も、「月間」にあわせた周知・啓発、 労働相談、「働き方改革」の定着に向けた社会的な運動などに取り組んでいる。
過労死・過労自殺をめぐる現状や、過労死等ゼロに向けて労働組合に期待する役割など、協議会の専門委員も務める戎野淑子立正大学教授に聞いた。
連合は9月14日、オンラインで「『職場から始めよう運動』取り組み事例シンポジウム」を開催。開会あいさつ、首藤若菜立教大学教授(本誌連載中)の講演の後、山根木晴久連合副事務局長の進行で、今後さらなる強化が求められる「組合づくり・組合加入」の事例について報告を受け、意見交換を行った。