月刊『連合』

 

2015年8月号

目次
02
古賀伸明会長のフェスティナ・レンテ~東奔西走~
安保法案までも強行採決の暴挙に出たことは
極めて遺憾であり、強く抗議する
04
18歳選挙権成立!
どうアプローチすればいいの?
主権者教育×労働教育
■18歳のリアル
連合インターネット緊急調査から(2015年7月実施)

 6月17日、選挙権年齢を「18歳以上」とする改正公職選挙法が成立。来年夏の参議院選挙から適用され、10代の約240万人が新たに有権者となる。
 今18歳前後の若者が生まれたのは、1990年代後半。非正規雇用が急増し、格差社会への転換期となった頃だ。学校生活や進路選択を通じて、格差や貧困、雇用の劣化を身近に感じている世代ともいえる。日本が抱える問題を解決していくためにも、若い世代の声をしっかり政治に反映させることは重要だ。あるいは、異論を封殺するような現在の政治状況において、18歳選挙権は、その流れを変える一つの転機になりうるかもしれない。大人たちはどう働きかけるべきか。「主権者教育」と「労働教育」という2つの観点からアプローチを考える。

06
■18歳選挙権と主権者教育
与良正男 毎日新聞専門編集委員

 選挙権年齢の変更は、女性参政権が実現した1945年改正以来実に70年ぶりとなる。18歳選挙権の成立をどう受け止めればいいのか。求められる主権者教育とは何か。毎日新聞の与良正男専門編集委員に聞いた。

08
■労働教育と労働組合の役割
藤村博之 法政大学経営大学院教授

 昨年11月、連合が18歳~25歳の若者を対象に実施した「学校教育における『労働教育』に関する調査」。約6割が「働いていて困った」経験があるが、そのうち4割は、困ったことへの対応を「何もしなかった」と回答。これまで、学校で「職場のトラブルや不利益な取扱」への対処について学んだ経験があるのはわずか3割で、「働く上での権利・義務を学校教育でもっと学びたかった」という回答が7割を超えた。
 法政大学経営大学院の藤村博之教授は、「若者が声を上げられないのは、知識や判断力不足に加え、大人がモノを言う姿を見せていないからだ」と指摘する。

10
■受験生に問われる格差社会
大堀精一 月刊『学研・進学情報』監修

 大学進学率が5割を超える今、18歳の若者の2人に1人は「受験生」でもある。大学入試で課される「小論文」では、グローバル化にともなう雇用の劣化、格差・貧困の拡大、地域社会の衰退などの社会問題が数多く取り上げられているという。入試小論文を通して、生徒たちはどんな社会の現実に向き合っているのか。長年にわたってその動向を分析してきた『学研・進学情報』監修の大堀精一氏に聞いた。

12
■実践 労働組合のアプローチ
・連合寄付講座in同志社大学

 連合が、みずから労働教育に携わろうとスタートした「連合寄付講座」。講座を受ける学生たちに、その想いは届いているだろうか。開講から8年目を迎える同志社大学で連合寄付講座「働くということ-現代の労働組合ー」(前期)を受講する、4人の学生の皆さんがインタビューに答えてくれた。


・古賀会長と学生との対話集会

 「連合 古賀会長と学生との対話集会|ぶつけてアナタの不安~」が7月2日、東京で開催された。コメンテーターとして宮本太郎中央大学教授と首藤若菜立教大学准教授が参加。「就活の課題」「ブラック企業問題」などをテーマに、率直なディスカッションが繰り広げられた。

14
■連合の取り組み
木村裕士 連合副事務局長

 連合は、労働教育の推進について、政策要請を行うだけでなく、みずから大学での連合寄付講座、高校での出張講座、小中学生向けの学習教材制作などに取り組んでくた。さらにその拡充に向けて、現在「教育活動および労働教育を推進するための連合指針」を策定中だという。18歳選挙権をどう受け止め、若い世代にどうアプローチしていくのか。木村裕士副事務局長に聞いた。

15
What is JILAF?
ジラフって何してるの?[3]
公益財団法人 国際労働財団(JILAF)

 JILAFは1989年の設立以来、アジアに置ける最貧国の一つであるネパールにおいて、自由で民主的な労働運動の発展を通じた社会・経済開発をめざし、ネパールのナショナルセンターの一つであるネパール労働組合会議(NTUC)と連携し、さまざまな事業を展開してきました。
 4月25日11時56分、ネパール中部ゴルカ郡の深さ15kmを震源としたマグニチュード7.8の大地震が発生し、ネパール各地が深刻な被害に見舞われました。JILAFは7月4~9日にかけて、首都カトマンズを中心とした現地の被災状況調査を行うとともに、日本の労働関係団体などから支援金をNTUCへ直接お届けしました。今回は緊急にネパール大地震発生から2カ月後の状況について報告します。

16
福島第一原子力発電所 現場視察報告

 6月11日、厚生労働省・労働制作審議会安全衛生分科会の労働者代表(連合推薦)が東京電力福島第一原子力発電所(以下、「福島第一原発」)を訪問した。今回の訪問は、福島第一原発の事故処理の現場最前線における労働安全衛生の状況を踏まえ、対応が必要な事項については今後の労働政策審議会等で対応していくことを目的としたものであり、福島第一原発構内の見学、および労働組合役員との意見交換を機会を得たものである。

18
神津里季生事務局長の どまんなか直球勝負!
この危機を止められるのは世論の力しかない
20
気になる数字、斜め読み[25]
鈴木不二一 働く文化ネット理事
21
ミンガラーバー![32]
自由で民主的な労働運動をミャンマーの地に
中嶋 滋 ITUCミャンマー事務局長
22
篠田教授の「労働文化」耕論[36]
篠田 徹 早稲田大学社会科学総合学術院教授
24
連合版 オトナの社会科見学[54]
情報労連 KDDI労働組合 KDDIエンジニアリング支部
26
グローバル・リポート[54]
板坂真季 ミャンマー在住ジャーナリスト

 第二次世界大戦中、日本軍による「インバール作戦」が展開され、過酷な戦場となったミャンマー。餓死や病死を含め10万人以上もの日本兵が命を落としたという。各地には多数の戦没者慰霊碑が建てられ、旧首都のヤンゴン郊外にある日本人墓地にも多くの旧日本兵が眠っている。戦後70年を迎える今もそれらを日々清め、参拝者に線香を手渡ししているのは、侵略された側であるミャンマーの人々だ。

28
全国でキラリ働き女子
つなが~る中![42]
宇井直美さん
連合東京 東部ブロック地協 議長代行
JP労組 東京地方本部 執行委員(取材日現在)
29
今月の表紙
幸・せ・さ・が・し
「夏休み」
「第8回 連合・ILEC 幸せさがし文化展」入選(秀作)
撮影/宮沢千春さん