7月9日、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」は「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」として、重大事件(裁判員裁判対象事件、検察独自捜査事件)の「取調べ全過程の録音・録画」の義務化を答申した。
議論の発端となったのは、2009年の郵便不正事件だ。厚生労働省の村木厚子雇用均等・児童家庭局長(当時)が、まったく身に覚えのない虚偽有印公文書作成容疑で逮捕・起訴され、無実を主張したことのみを理由に164日間もの長期にわたって勾留された。2010年9月、村木氏は裁判で無罪が確定したが、大阪地検特捜部の密室での取調べによる虚偽ストーリーへの誘導、担当検事による証拠改ざんの事実が明らかになり、刑事司法のあり方が大きく問われることになったのだ。
ある日突然、その身に何が起きたのか。なぜ、取調べの可視化が必要なのか。特別部会では何が議論されたのか。村木厚子事務次官が率直に語ってくれた。
今年3月から、特許庁「産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会」で、職務発明制度見直しの検討が行われている。昨年6月に閣議決定された「日本再興戦略」を受けてのもので、最大の論点は、職務発明に関する権利を、「発明者たる労働者(従業者)」と「使用者(法人)」のどちらに帰属させるべきかだ。
現行法(特許法35条)は、職務発明に関する権利は従業者に帰属することを前提に、「従業者は相当の対価の支払を受ける権利(対価請求権)を有する」としており、労使にバランスのとれた利害調整機能を果たしている。ところが、「企業のグローバル活動における経営上のリスクを軽減する観点から、法人帰属にすべき」という産業界の強い要望を受けて、今回の見直しの検討がスタートすることになった。連合は、「現行制度を維持すべき」との立場で審議に臨んでいるが、労使の主張は真っ向から対立する構図になっている。
「法人帰属化」の何が問題なのか。小委員会としての論点整理を終え、議論が大詰めに向かう今、労働法を専門とする水町勇一郎教授、知的財産権を専門とする土肥一史教授の協力を得て、あらためて「働く者の立場」から主張すべきポイントを探った。