月刊『連合』

 

2014年10月号

目次
02
古賀伸明会長のフェスティナ・レンテ~東奔西走~
年収が高ければ過労死するような事態は
起きないとでもいうのだろうか
04
国民目線で考える
刑事司法制度改革の課題

 7月9日、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」は「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」として、重大事件(裁判員裁判対象事件、検察独自捜査事件)の「取調べ全過程の録音・録画」の義務化を答申した。
 議論の発端となったのは、2009年の郵便不正事件だ。厚生労働省の村木厚子雇用均等・児童家庭局長(当時)が、まったく身に覚えのない虚偽有印公文書作成容疑で逮捕・起訴され、無実を主張したことのみを理由に164日間もの長期にわたって勾留された。2010年9月、村木氏は裁判で無罪が確定したが、大阪地検特捜部の密室での取調べによる虚偽ストーリーへの誘導、担当検事による証拠改ざんの事実が明らかになり、刑事司法のあり方が大きく問われることになったのだ。
 ある日突然、その身に何が起きたのか。なぜ、取調べの可視化が必要なのか。特別部会では何が議論されたのか。村木厚子事務次官が率直に語ってくれた。

■特別インタビュー
村木厚子厚生労働省事務次官が語る
164日間の勾留と取調べ可視化への思い
村木厚子 厚生労働省事務次官
■日本の刑事司法と司法改革の残された課題
四宮 啓 國學院大学法科大学院教授、弁護士
■裁判員裁判から見えてきた刑事司法の課題
坂上暢幸 裁判員ネット理事
■法制審特別部会を振り返って
神津里季生 連合事務局長
14
REPORT
連合「東北の子ども応援わんぱくプロジェクト」
西野ゆかり 連合連帯活動局次長
16
座談会
職務発明に関する権利の法人帰属化は
発明のインセンティブを削ぎ、人材流出を招く
水町勇一郎 東京大学社会科学研究所教授
土肥一史 日本大学法学部教授、一橋大学名誉教授
土井由美子 連合経済政策局部長

 今年3月から、特許庁「産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会」で、職務発明制度見直しの検討が行われている。昨年6月に閣議決定された「日本再興戦略」を受けてのもので、最大の論点は、職務発明に関する権利を、「発明者たる労働者(従業者)」と「使用者(法人)」のどちらに帰属させるべきかだ。
 現行法(特許法35条)は、職務発明に関する権利は従業者に帰属することを前提に、「従業者は相当の対価の支払を受ける権利(対価請求権)を有する」としており、労使にバランスのとれた利害調整機能を果たしている。ところが、「企業のグローバル活動における経営上のリスクを軽減する観点から、法人帰属にすべき」という産業界の強い要望を受けて、今回の見直しの検討がスタートすることになった。連合は、「現行制度を維持すべき」との立場で審議に臨んでいるが、労使の主張は真っ向から対立する構図になっている。
 「法人帰属化」の何が問題なのか。小委員会としての論点整理を終え、議論が大詰めに向かう今、労働法を専門とする水町勇一郎教授、知的財産権を専門とする土肥一史教授の協力を得て、あらためて「働く者の立場」から主張すべきポイントを探った。

20
気になる数字、斜め読み[16]
鈴木不二一 働く文化ネット理事
21
ミンガラーバー![22]
自由で民主的な労働運動をミャンマーの地に
中嶋 滋 ITUCミャンマー事務局長
22
篠田教授の「労働文化」耕論[27]
篠田 徹 早稲田大学社会科学部教授
24
連合版 オトナの社会科見学[45]
日教組 静岡県教組 磐周支部
26
グローバル・リポート[44]
梓 陽子 ロシア関係ライター
28
全国でキラリ働き女子
つなが~る中![32]
今 里織さん
連合宮城 女性委員会 委員長
UAゼンセン 藤崎労働組合 書記次長
29
今月の表紙
そこに働く人がいた~近代化産業遺産を訪ねて~
表紙イラスト/龍神貴之
奈良ホテル(奈良市)