労働・賃金・雇用

 

賃金の通貨払いについて

 賃金の支払い方法について、労働基準法第24条では、「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めています。また、第2項において、「毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定めており、これを賃金支払いの5原則といいます。

 賃金の「通貨払い」とは、現金で支払うことです。しかし、多くの人は、銀行振込や証券総合口座への振込により、賃金を受け取っています。振込により支払う方法は、通貨払い原則の例外になります。

 例外の方法については、労働基準法施行規則第7条の2において、銀行口座と証券総合口座が定められています。また、労働者からの同意を得た場合にのみ、例外方法にて支払うことが可能となります。

 現在、政府は「成長戦略フォローアップ」(2020年7月17日閣議決定)等において、この通貨払いの原則の例外に、資金移動業者(※i)の口座への支払いを追加することについて、早期の制度化を目指しています。

 しかし、資金移動業者については、資金保全、利用者保護、監督・指導の観点から、下記のような懸念があります。

資金移動業者とは、銀行以外の業者で、送金や振込といった為替取引を行うことのできる業者を指します(登録制)。資金移動業者は、100万円以下であれば、コンビニ、インターネット、スマートフォンなどで国内外に送金・振込することが可能です。
資金移動業における懸念点
  • ① 資金移動業者が破綻した場合、供託による資金保全の義務が課されているとはいえ、払戻までに長期間かかる。
  • ② 供託にはタイムラグがあり、資金保全不足の懸念がある。
  • ③ 資金移動業者は許可制ではなく、登録制であり、登録要件さえ満たせば、どのような業者でも資金移動業が可能である。
  • ④ 銀行における預金者保護法のような共通の保護規定はなく、不正利用があった場合の保護等については、各資金移動業者により異なり、保護が十分ではない。
  • ⑤ 資金移動業者には銀行のように専業義務は課されておらず、業務範囲は無制限で可能であるが、監督官庁である金融庁が監督指導できるのは資金移動業に限られる。そのため、本体業務が危うくなった際、資金移動業にも大きな影響が及ぶことが懸念される。
  • ⑥ 決済利用に伴う個人情報データの保護・取扱いについての検討が十分行われていない。
  • ⑦ 資金移動業は口座への資金の滞留を前提としておらず、滞留資金または滞留防止に関する検討が十分なされていない。

 連合は、従来から、賃金という労働者にとって非常に重要な債権の支払い方法については、その確実な支払いを確保するためにも、労働基準法第24条が定める賃金支払いの原則を堅持し、資金移動業者が開設する口座への賃金支払いは認められないと主張しています。

検討の動向