労働災害をなくし、労働者の安全と健康を確保し、安心して働ける環境をつくるためには、政府・事業者・労働者それぞれが役割を果たすことが重要です。
政府は、2018年4月~2022年3月の5ヶ年を対象とする「第13次労働災害防止計画(通称:13次防)」をつくりました。個別業種における労働災害や、業務上疾病の発生状況に応じた対策の重点化などが盛り込まれたこの計画では、「働くことで生命が脅かされたり、健康が損なわれたりするようなことは、本来あってはならない」という意識を関係者すべてが共有し、責任ある行動を取ることが求められています。
また、事業者は法令順守を徹底し、職場内の労働安全衛生活動を通じて労働災害をなくしていくことが求められています。
一方、労働者自身も職場の安全・健康の確保に取り組み、事業者による労働安全衛生活動に主体的に参加していくことが大切です。さらに、労働組合も政労使の連携を通じて、職場の労働安全衛生水準を向上させ、安全文化をつくっていく必要があります。
厚生労働省が2019年5月に発表した「平成30年事故の型別労働災害発生状況(確定値)」によると、2018年の労働災害による死亡者数は909人(対前年比7.1%減)であり、過去最少となった一方、休業4日以上の死傷者数は127,329人(対前年比5.7%増)と3年連続で増加しました。第13次労働災害防止計画では、2017年比で、労働災害による死亡者数を15%以上、休業4日以上の死傷者数を5%以上減少させることを目標としています。第13次労働災害防止計画の目標達成のためには、死亡者数については毎年15人以上、死傷者数は毎年1,000人近くのペースで減少させる必要があり、労災防止対策の更なる強化が求められています。
連合は、政府の「第13次労働災害防止計画」を受け、労働組合自ら労働安全衛生対策をさらに進めるため、「連合 労働安全衛生取り組み指針(2018~2022年度)」をつくりました。 この指針には、職場での事故や労働災害の防止だけでなく、メンタルヘルス対策の強化(パワハラ・セクハラ対策、ストレスチェック実施、自殺予防対策など)、長時間・過重労働の見直し、安全衛生マネジメントシステムの普及なども盛り込んでおり、職場で直面する様々な労働安全衛生に関する課題の解決に向けて、労働組合が積極的に取り組んでいくよう呼びかけています。