労働・賃金・雇用

 

過労死(過労死等ゼロに向けた取り組み)

労働時間ルールを守り、過労死等ゼロの職場に

 毎年、多くの過労死・過労自殺等が労働災害として申請されており、過労死等ゼロに向けた取り組みの徹底は喫緊の課題です。過労死等が発生しやすい職場は長時間労働とともに過大なノルマやハラスメントも多い職場であると言われています。

 長時間労働による疲労は心の余裕を無くし、ハラスメントを引き起こしやすくなります。そういう観点からすれば、誰でもハラスメントの加害者になりうる可能性もあると言えます。 長時間労働を削減し、心にゆとりを持てる職場環境づくりを進めつつ、ハラスメント防止対策を実施することでより快適で誰もが安心して働き続けることができる職場を実現することが大切です。

過労死等防止にむけた国内の動き

 政府は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において、長時間労働の削減に向けた取り組み、過重労働による健康障害の防止、メンタルヘルスや、ハラスメント防止等の過労死等防止対策について、さらなる推進をはかっていくことを掲げています。直近の変更(2021年7月)では、勤務間インターバル制度の数値目標が引き上げられ、テレワークなど多様な働き方への対策なども盛り込まれました。また、長時間労働削減の観点から週60時間以上の雇用者割合を5%以下にするなど、より厳しい前提条件を追加することで、過労死等の防止にむけて一歩進んだ内容となりました。

「過労死等防止のための対策に関する大綱」(2021年7月)の数値目標
  数値目標 進捗状況
長時間労働の削減 ○週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下(2025年まで) 8.9%
(2022年)
勤務間インターバル制度 ○制度を知らない企業の割合を5%未満(2025年まで) 17.1%
(2022年)
○制度導入企業の割合を15%以上(2025年まで)
※いずれも労働者30人以上の企業
※特に、勤務間インターバル制度の導入率が低い中小企業への導入に向けた取組を推進する。
5.8%
(2022年)
年次有給休暇の取得率 ○取得率を70%以上(2025年まで)
※特に取得日数ゼロの者の解消に向けて取り組む
58.3%
(2022年)
メンタルヘルス対策 ○対策に取り組む事業場の割合を80%以上(2027年まで 59.2%
(2021年)
相談先の整備 ○仕事上の不安、悩み、ストレスについて、職場に相談先がある労働者の割合を90%以上(2022年まで 70.3%
(2021年)
ストレスチェックの活用 ○ストレスチェック結果を集団分析して活用した事業場の割合を60%以上(2022年まで 63.2%
(2021年)

POINT!

ストレスチェックの結果を「集団分析」することが重要です。(集団分析は努力義務)
ストレスチェックで労働者個人の状態をとらえた上で、職場の環境についても踏み込んだ改善が必要な場合があります。
労災の認定基準が改正されました

 2021年9月には、脳・心臓疾患の労災認定基準の改正がされ、過労死ライン(注)に達していない労働時間でも、心理的・身体的負荷を加えて総合的に判断がされるようになりました。実際に2022年の調査では、時間外労働60~80時間未満での労災認定件数が約1.7倍に増加しています。
 また、2023年9月から心理的負荷による精神障害の労災認定基準が改正され、カスタマーハラスメントや感染症等の病気や事故の危険性が高い業務が与える心理的負荷を評価対象に追加することが、明記されました。

(注)過労死ライン:労災認定基準で過労死を認定する時間外労働時間(1カ月100時間、2~6カ月80時間)

労働組合に求められること

 このように、過労死等をなくすためには、行政(国・地方公共団体)や企業の取り組みに加え、労働組合の役割がとても重要です。
 連合では、職場から過労死等を出さないために、労働時間に関するルールの徹底などの過重労働対策を推進しています。各職場においても、労働者の健康確保を徹底するために長時間労働の削減に向けて様々な取り組みを進めましょう。

過労死等の防止にむけた、連合の取り組み

 過労死等防止対策推進法では、過労死等を防止することの重要性について国民の関心と理解を深めるため、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定めています。連合でも、長時間労働の是正や「過労死等ゼロ」の実現をめざして、11月の過労死等防止啓発月間にあわせて、周知・啓発の取り組みを行っています。

1.過労死等の防止に向けた周知・意識啓発媒体の作成

① 過労死等防止啓発月間チラシの作成

② チェックリスト

 「こころ」も「からだ」も元気でいるために、チェックリストを活用して、定期的に自分の状態を確認してみましょう。

 そして、無理や我慢を重ね、心身に不調をきたす前に、「こころ」や「からだ」を休ませましょう。
 過労死等が発生した職場は同じように働く仲間にもリスクが高い働き方が存在しているかもしれません。
 過重労働の悩みを一人で抱えずに、職場の仲間や家族、労働組合などに相談をしてみましょう。

 この機会にあなた自身や職場の仲間、ご家族のことを見つめ直してみませんか?
 厚生労働省「働く人のこころの耳」https://kokoro.mhlw.go.jpなどのサイトもチェックしてみましょう。

2.過労死等防止を広く呼びかける街宣活動など

 連合では、この他にも、2023年の「過労死等防止啓発月間」にあわせ、全国一斉行動・一斉発信やSNS等での情報発信など、過労死等防止に向けた取り組みを広く呼びかける様々な活動を実施します。

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