労働・賃金・雇用

 

過労死(過労死等ゼロに向けた取り組み)

労働時間ルールを守り、過労死等ゼロの職場に

 毎年、多くの過労死・過労自殺等が労働災害として申請されており、過労死等ゼロに向けた取り組みの徹底は喫緊の課題です。過労死等が発生しやすい職場は長時間労働とともに過大なノルマやハラスメントも多い職場であると言われています。

 長時間労働による疲労は心の余裕を無くし、ハラスメントを引き起こしやすくなります。そうした観点からすれば、誰でもハラスメントの加害者になりうる可能性もあると言えます。 長時間労働を削減し、心にゆとりを持てる職場環境づくりを進めつつ、ハラスメント防止対策を実施することでより快適で誰もが安心して働き続けることができる職場を実現することが大切です。

過労死等防止にむけた国内の動き

 政府は、2024年8月に新たな「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を策定しました。新たな大綱では、過労死等防止対策推進法がスタートして10年の節目を迎えたことを踏まえ、時間外労働の上限規制の遵守徹底、勤務間インターバル制度のさらなる導入促進、過労死等の再発防止指導やフリーランス等対策の強化、カスタマーハラスメント等のハラスメント対策の一層の充実化など、過労死等の防止にむけて一歩進んだ内容となりました。

 数値目標については、引き続き達成に向けて取り組むこととされましたが、長時間労働の是正に向けては、特に長時間労働者の割合が高い重点業種(自動車運転者や医師など)に対する取り組みを強化することが明記されました。

「過労死等防止のための対策に関する大綱」(2024年8月)の数値目標
  数値目標 進捗状況
長時間労働の削減 ○週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下(2028年まで)
特に、重点業種等のうち週労働時間60時間以上の雇用者の割合が高いもの(※)について重点的に取組を推進する。
8.4%
(2023年)
勤務間インターバル制度 ○制度を知らない企業の割合を5%未満(2028年まで)  19.2%
(2023年)
○制度導入企業の割合を15%以上(2028年まで)
※いずれも労働者30人以上の企業
※特に、勤務間インターバル制度の導入率が低い中小企業への導入に向けた取組を推進する。
6.9%
(2023年)
年次有給休暇の取得率 ○取得率を70%以上(2028年まで)
※特に取得日数ゼロの者の解消に向けて取り組む
62.1%
(2022年)
メンタルヘルス対策 ○対策に取り組む事業場の割合を80%以上(2027年まで) 63.4%
(2022年)
〇自分の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み又はストレスがあるとする労働者の割合を50%未満(2027年まで)
82.2%
(2022年)
なお、前大綱の数値目標であった「仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者割合」(目標:90%以上)についても継続的に注視する。 79.8%
(2022年)
ストレスチェックの活用 〇労働者数50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合を50%以上(2027年まで) 32.3%
(2022年)

(※)自動車運転従事者、教職員、外食産業、医療、建設業、メディアなど

POINT!

ストレスチェックの結果を「集団分析」することが重要です。(集団分析は努力義務)
ストレスチェックで労働者個人の状態をとらえた上で、職場の環境についても踏み込んだ改善が必要な場合があります。

(参考)ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等(厚生労働省)

労災の認定基準について

 心理的負荷による精神障害の労災認定基準は2023年9月に改正され、カスタマーハラスメントや感染症等の病気や事故の危険性が高い業務が与える心理的負荷が評価対象に追加されています。

 また、脳・心臓疾患の労災認定基準も2021年9月に改正され、過労死ライン(注)に達していない労働時間でも、心理的・身体的負荷を含めて総合的に判断がされるようになっています。

(注)過労死ライン:労災認定基準で過労死を認定する時間外労働時間(1カ月100時間、2~6カ月80時間)

労働組合に求められること

 過労死等をなくすためには、行政(国・地方公共団体)や企業における取り組みも重要ですが、働く仲間の声を直接聞くことができ、職場の実態を熟知している「労働組合」の役割がとても重要です。
 連合では、職場から過労死等を出さないために、労働時間に関するルールの徹底などの過重労働対策を推進しています。各職場においても、労働者の健康確保を徹底するために長時間労働の削減に向けて様々な取り組みを進めましょう。

過労死等の防止にむけた、連合の取り組み

 過労死等防止対策推進法では、過労死等を防止することの重要性について国民の関心と理解を深めるため、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定めています。連合でも、長時間労働の是正や「過労死等ゼロ」の実現をめざして、11月の過労死等防止啓発月間にあわせて、周知・啓発の取り組みを行っています。

1.過労死等の防止に向けた周知・意識啓発媒体の作成

① 過労死等防止啓発月間チラシの作成

② チェックリスト

 「こころ」も「からだ」も元気でいるために、チェックリストを活用して、定期的に自分の状態を確認してみましょう。

 そして、無理や我慢を重ね、心身に不調をきたす前に、「こころ」や「からだ」を休ませましょう。
 過重労働の悩みを一人で抱えずに、職場の仲間や家族、労働組合などに相談をしてみましょう。

 この機会にあなた自身や職場の仲間、ご家族のことを見つめ直してみませんか?
 厚生労働省「働く人のこころの耳」https://kokoro.mhlw.go.jpなどのサイトもチェックしてみましょう。

2.過労死等防止を広く呼びかける街宣活動など

 連合では、この他にも、2024年の「過労死等防止啓発月間」にあわせ、全国一斉行動・一斉発信やSNS等での情報発信など、過労死等防止に向けた取り組みを広く呼びかける様々な活動を実施します。

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春闘(春季生活闘争)
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