パートやアルバイトで働く人たち、フリーランスを含む曖昧な雇用で働く人たち、外国人労働者、若年労働者など、同じ職場で働く仲間であることは変わりないのに、同じ仕事内容なのに正社員よりも賃金が低い、セーフティネットが脆弱あるいはほとんどない、ハラスメントや人権侵害などに悩んでいる、といった課題を抱えながら働いている人がたくさんいます。
こうした課題を解決し、誰もが安心して働き、くらすことが出来なければ、経済の安定や公平な社会は実現しません。そのためにも、どのような働き方であれ、当たり前に生活していけるだけの賃金や報酬・労働条件や就業環境・セーフティネットの充実が求められています。
連合は、2007年10月に、「非正規労働センター」を設置し、パートやアルバイト、契約や派遣で働く人たちの処遇改善や安定雇用、諸制度の見直しに向けた取り組みを展開しました。2019年には、「非正規労働センター」を発展的に解消、対象とする労働者の幅を広げ、若年雇用、障がい者や高齢者、外国人労働者の課題などにも取り組むこととし、「フェアワーク推進センター」を設置しました。
また、2023年には、フリーランスを支える取り組み「Wor-Q(ワーク)」を進めていた「Wor-Qサポートセンター」と「フェアワーク推進センター」を統合、「フェアワーク推進局」として、パートやアルバイトで働く人たち、フリーランスを含む曖昧な雇用で働く人たち、外国人労働者、若年労働者、障がい者雇用などのための「フェアワーク」実現のための取り組みを進めています。
雇用形態や就業形態に関係なく、誰もが生き生きと働くことが出来る環境をめざすべく、取り組みの幅が広がってきています。
「職場から始めよう運動」とは、「同じ職場・同じ地域でパートやアルバイトで働く人たちや、障がい者、外国人労働者、LGBTQなどの人たちが抱えている問題を、自らにつながる課題として捉え、その改善のために何ができるかを考え、具体的なアクションにつなげていく」取り組みのことをいいます。
これまで連合は、パートやアルバイトなどで働く人たちや、障がい者、外国人労働者、LGBTQなどの人たちに関わる政策の実現に取り組んできました。これらの人たちの雇用環境や生活実態を踏まえると、処遇改善や雇用安定とあわせて、ワークルール教育、さらには連合・労働組合の役割などを伝える運動を、それぞれの職場や地域において拡げていくことも重要です。そして、その運動の拡がりによって運動との両輪となる政策の実現に繋げていくことができると考えます。
連合は、こうした運動を強化し拡げていくことを目的に、組織化(組合づくり)や処遇改善、「地域に根ざした運動」を先行して実践している事例を分かりやすく紹介した「『職場から始めよう運動』取り組み事例集」を作成しています。
フリーランスなど曖昧な雇用で働く人が急速に広がる昨今、従来の労働関係法令の保護の対象とならずセーフティネットが脆弱であることや、実態としては労働法適用対象である「労働者」に該当する働き方をしているのに、「業務委託・請負」の契約形式がとられフリーランスとして扱われる事例などは深刻な課題です。
2024年11月施行の、「フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」によって、業務委託事業者と業務受託事業者(いわゆるフリーランス)の取引の適正化、権利保護や就労環境改善に向けた整備も進んできていますが、十分な実効性を確保するための取り組みが必要です。
連合は、誰もが公正な労働条件のもと、多様な働き方を通じて社会に参加し、社会的・経済的に自立することができる社会をめざしています。フリーランスとして働く皆さんも同じ働く仲間として支えていくため、フリーランスで働く人と連合がゆるやかにつながることができるネットワーク会員制度を展開しているほか、フリーランスの方々が加入できる共済制度の運用、フリーランスの方々に役立つ情報提供などに取り組んでいます。
フリーランスを取り巻く脆弱なセーフティネットの改善を求める声を背景に、安心して働くことのできる環境整備に向け、2024年11月からフリーランス法が施行されます。それに合わせて、これまで建設業の一人親方などの一部の業種・職種に限られていた労災保険の特別加入制度について、フリーランス法に規定された特定受託事業者も新たな枠組みの特別加入団体を通じて加入が可能となります。
連合は、すべての働く仲間の「必ずそばにいる存在」として、社会的な役割を発揮する観点から、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、労災保険特別加入団体「連合フリーランス労災保険センター」を設立し、法律の施行と同時に運営を開始することとしました。
連合フリーランス労災保険センターは、「Wor-Q」の取り組みと連携しながら、フリーランスで働く人たちのセーフティネット機能の拡大・充実をめざし、労災保険の特別加入制度を広く認知するための取り組みと、加入促進に向けた活動を展開します。また、フリーランスで働く人たちの安全・衛生に関する意識の向上を図るための施策を実施することで、より安心して働ける環境を整えていきます。