「青少年雇用促進法案」の早期成立で若者が活躍できる環境整備を!
連合では、どのようなスタンスで若者雇用対策に取り組んでいるのか。青少年雇用促進法案をどのように評価するのか。村上陽子連合非正規労働センター総合局長に聞いた。
■若者が良質な就労機会を得るためのルール作り
若者の雇用の不安定化は深刻だ。学校卒業後に初めて就いた仕事が非正規雇用である若者の割合は39・8%、不本意に非正規で働いている者の割合は、25〜34歳で26・4%に上る。また、その雇用を取り巻く現状にも、就職活動の複雑化、ミスマッチによる早期離職、長時間労働やパワハラなどさまざまな課題がある。若者が働き続けられる環境整備が早急に求められている。
こうした中で、「『日本再興戦略』改訂 2014」に「未来を創る若者の雇用・育成のための総合的対策の推進」が盛り込まれたことから、昨年9月から労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会で法整備を含めた検討がスタートした。
審議に当たって、連合は昨年10月に「若年者雇用対策に関する当面の対応について」を確認し、すべての若者に良質な就労機会を実現するため、「働く力をつける」「働く場とむすぶ」「働き続けられる」、「働く場をつくる」の観点から対策を求めていくこととした。また、連合の「なんでも労働相談ダイヤル」に求人時や採用時の労働条件と実際の労働条件が異なるトラブルの相談が数多く寄せられていたことから、11月に「求人票・求人広告トラブルの改善に向けた連合の考え方」を確認し、労働基準法第15条に「労働条件の明示」の内容について「事実と相違するものであってはならない」旨を規定すること、「労働条件の明示」の方法について「書面の交付」を明文化することなどを求めていくことを決めた。
■審議会で「今どきの若者は甘えている」の声はゼロ
こうした取り組み方針を踏まえて、審議会においては、「若者の正規雇用化の促進」、「働き続けられる環境の整備」、「就職活動時における適切な情報提供」、「求人時の労働条件と実態が異なるトラブルへの対応」、「ニートや中退者の就労支援強化」、「労働教育の推進」、「インターンシップの実態把握」などを強く求めてきた。
今回の審議において印象的だったのは、「若い人たちのために働き続けられる環境をつくろう」という問題意識が経営側の代表でもある使用者委員を含めて共有されていたことだ。
私は、2012年の「雇用戦略対話 若者雇用ワーキンググループ(若者雇用)」にも参加したが、そこで語られた「今どきの若者は甘えている」といった意見は、今回まったく出なかった。これまでの若者雇用対策の流れを考えると、非常に大きな変化だと思う。労政審の報告は、今年1月23日に取りまとめられたが、連合の主張は概ね反映されており、その方向性を前向きに評価している。
■より実効性を高める国会審議を
法案は要綱の取りまとめを経て、青少年雇用促進法案として国会に提出されるが、早期の成立により具体的な対策が動き出すようにしたい。
国会審議においては、①提供する職場情報は企業に一定の選択を認め限定的であること、②提供の義務は学生の求めに応じてとされていることなどについて、より実効性を高める議論を働きかけていきたい。
また、並行して連合独自の取り組みとして、学生向けの寄付講座や就職活動応援セミナー、「なんでも労働相談ダイヤル」などの活動に取り組み、トータルに若者がいきいきと働き続けられる社会づくりを推進していきたい。
ぜひ、職場や地域で法案内容の周知をはかり、早期成立に向けた動きとともに職場環境の改善にも取り組んでいただきたい。
村上陽子
連合非正規労働センター総合局長
※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2015年4月号」記事をWeb用に編集したものです。「月刊連合」の定期購読や電子書籍での購読についてはこちらをご覧ください。