大学生にインタビュー! 今若者が考えることとは

2015年8月27日

連合寄付講座in同志社大学
卒業生が4人の受講生に突撃インタビュー!

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連合が、みずから労働教育に携わろうとスタートした「連合寄付講座」。講義を受ける学生たちに、その思いは届いているのだろうか。開講から8年目を迎える同志社大学で連合寄付講座「働くということ─現代の労働組合─」(前期)を受講する、4人の学生の皆さんがインタビューに答えてくれた。

─なぜ、寄付講座を受講したの?

連合寄付講座は、全学共通の教養教育科目ですべての学部の学生が受講できるんですが、社会学部産業関係学科では、準必修の授業科目になっているんです。

産業関係学科では大量の文献を読まされるのですが、文献だけではわからないことも…。寄付講座では実際に現場で働いている人のお話を聞けるのが魅力ですね。

学生が働いている人の話を聞く機会って実はあまりないんです。寄付講座があって良かったと思います。

資料がたくさん配られるのもうれしい。授業の密度が濃くて講義についていくのが大変な面もありますが、勉強になります。

 

働きがいや幸せのために

─受講して、労働組合に対するイメージは変わった?

労働組合って何か労働問題が起きた時に解決してくれるところだと思っていたんですが、それだけじゃないんですね。職場で働く人たちの働きがいや幸せのために日々活動されていると知り感動しました。

産業関係学科でも、労働組合=「春闘・賃上げ」のイメージしかない学生が大多数。でも、この講義を受けることで、労働組合が普段から働く人のことを第一に考え、組合員のささいな悩みにも耳を傾け、労働条件・労働環境改善への地道な活動をしていることが伝わると思います。

実は受講するまでナショナルセンター連合のことを知らなかったんです。企業内の労働組合だけでなく、産業別組織や連合があり、すべての働く人の生活・労働条件の改善に取り組んでいることを知り、その活動範囲の広さに驚きました。

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社会人にも労働教育が必要

─寄付講座、労働教育は役に立つ?

自分や周りの人たちの働く権利や労働環境を守る「武器」になります。ブラックバイトが問題になっていますが、僕自身、バイトの労働条件に気を配るようになったし、友人の相談にも乗れるようになりました。

学生はもちろん、社会人にも労働教育が必要だと思います。私は社会人入学で、大学卒業後に契約社員として3年ほど働いた経験があります。その会社には、労働組合があって、私も組合員だったのですが、よくわからないまま役員選挙で投票したりしていました。たぶん、周りの人も労働組合や労働法についてちゃんと理解していなかったと思います。

就活セミナーなどでの働く人の話は、どうしても企業のP‌Rが含まれていて、本当に知りたいことは聞けない。寄付講座では、働く側の視点から本質的な話を聞くことができたので、就職先を選ぶときの自分なりの基準が明確になりました。

同志社大学は、文系と理系でキャンパスが分かれているんですが、理系学部から連合寄付講座を受講しにきている学生もいます。「来年就職活動なので実際に働く人がどんな思いでいるのか知りたいから」と。就職活動をきっかけに労働教育に興味を持つ人がもっと増えてほしいですね。労働教育が一般的になり、就活生が十分な知識を持って就職活動をするようになれば、企業側の対応も変わるのではと期待しています。

 

政治を身近な話題に

─18歳選挙権が成立したけど、若者の投票率の低さをどう思う?

政治や選挙は自分の生活に直結しているはずなのに、その実感がないという人が周りに多いですね。若者が投票に行かないのは、たぶん選挙について「知らない、分からない、興味もない」から。

投票率が低い原因の一つは、中高の「公民」の授業。暗記させられるばかりで「何のために選挙を行うのか」「何のために国民は選挙権を持っているのか」という本質の部分を全然教えられていないからだと思います。

やはり労働教育と同じように、選挙について実践的に学べる主権者教育があるとうれしいですね。わからないままだと、どんどん投票から足が遠のいてしまうから。

大人が自分の子どもや身近な若者に対してもっと積極的に政治について話題にすることも大事だと思います。大人が選挙に行く姿を見せることで若者も行きやすくなる。若者が選挙に行かなかったら、結局、有権者が多く投票率も高い年上世代の意見が採用されてしまう。でも、将来を支えていくのは若者世代。「自分たちが投票しなければ!」という主体的な意識を持てるような教育が必要だと思います。

 

~インタビューを終えて~

「寄付講座を受けたことで、就職先企業を選ぶ基準が自分なりに明確になった」。その言葉が印象に残っている。私は3年前に同大を卒業したO‌Gだが、学生時代に寄付講座を受講していたら、もっと違った視点で新卒時の就活に取り組めたに違いない。
また、選挙権の話では「大人の若者離れ」に気付かされた。まず、今できることとして、身近な大人が若者に対し、職場や家庭で投票に関して声掛けを行うことが大切ではないか。「知らないことの怖さ」も痛感した。
知らないままだと興味を持てず自身を守るための行動もとれない。広報・教育局の一員として、「教育」の大切さ、奥深さを再確認することができた。学生の皆さん、ありがとうございました。
[インタビュアー・報告]  境 友梨子連合広報・教育局職員(同志社大学OG)

 

■連合寄付講座とは?
「労働組合の役割、労働活動の意義」について発信するとともに、「働くうえでの課題」を理解し、その課題解決に向けて考える力を養うことを目的に大学の正規の授業として開設。2005年4月より日本女子大学でスタートし、現在、同志社大学、一橋大学、埼玉大学、法政大学で開講(運営は教育文化協会)。また、地方連合会主催の地方版連合寄付講座は、岩手大学、山形大学、首都大学東京、福井県立大学、三重大学、滋賀大学、山口大学、佐賀大学、長崎大学、大分大学、沖縄大学で開講。

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2015年8月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。「月刊連合」の定期購読や電子書籍での購読についてはこちらをご覧ください。

8月号