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労働相談Q&A

28.労働者派遣と派遣元・派遣先の責任
Q
派遣契約の労働時間内に業務が終わらなかったため、派遣先で残業を命じられた。
A
派遣先での時間外労働には要件が求められ、要件を欠く場合には命じられない。
法律のポイント
派遣先が派遣労働者に時間外労働をさせる場合には、①派遣元における36協定の締結・届出、②派遣元就業規則におけるその旨の記載、③雇用契約に際し明示された就業条件にその旨の条項があること、④派遣元・派遣先間の派遣契約にその旨の規定があること、が要件となる。
解説
派遣元・派遣先の責任

 労働者派遣法では派遣労働者保護のため、派遣元・派遣先に対して、様々な責任を定めている。
 労働時間の枠組みの設定は派遣先が行うが、派遣先が派遣労働者に時間外労働や休日労働を行わせるためには、派遣元が36協定の締結・届出を行い、労働者へ周知することが必要である。

【派遣元会社が責任を負う主な事項】 【派遣先会社が責任を負う主な事項】
(労働者派遣法第44条~第47条の2)
<労基法>
  • 労働契約
  • 賃金(時間外等の割増賃金を含む)
  • 変形労働時間の定め、時間外・休日労働の協定の締結・届出
  • 年次有給休暇
  • 産前産後休業
  • 災害補償
  • 就業規則 等
<労基法>
  • 労働時間、休憩、休日、深夜業の管理
  • 育児時間の管理
  • 生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置 等
<安衛法>
  • 一般的健康管理(定期健康診断等)の ための衛生管理体制
  • 雇入れ時安全衛生教育 等
<雇用機会均等法>
  • 妊娠・出産等を理由とする解雇その他 不利益取扱いの禁止
  • セクハラに関する雇用管理上の措置  等
<安衛法>
  • 安全衛生管理体制(一般的健康管理を 除く)
  • 労働者の危険または健康障害を防止す る措置 等
<雇用機会均等法>
  • 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
  • セクハラに関する雇用管理上の措置 等
派遣元の講ずべき主な措置 派遣元の講ずべき主な措置
  1. 有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置
  2. 均衡を考慮した待遇の確保のための措置
  3. 派遣労働者等の福祉の増進
  4. 適正な派遣就業の確保
  5. 待遇に関する事項等の説明
  6. 派遣労働者であることの明示等
  7. 派遣労働者に係る雇用制限の禁止
  8. 就業条件等の明示
  9. 労働者派遣に関する料金の額の明示
  10. 派遣先への通知
  11. 派遣受入期間の制限の適切な運用
  12. 派遣先及び派遣労働者に対する派遣停止の通知
  13. 日雇労働者についての労働者派遣の禁止
  14. 離職した労働者についての労働者派遣の禁止
  15. 派遣元責任者の選任
  16. 派遣元管理台帳
  17. 性・年齢による差別的な取扱いの禁止等
  18. 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
  • (1)派遣労働者の雇用の安定を図るための配慮
  • (2)労働・社会保険の適用の促進
  • (3)個人情報の保護
  • (4)派遣労働者を特定することを目的とする行為に対する協力の禁止等(紹介予定派遣を除く)
  • (5)紹介予定派遣
  • (6)情報の提供(マージン率や教育訓練等) 等
  1. 労働者派遣契約に関する措置
  2. 適正な派遣就業の確保
  3. 派遣受入期間の制限の適切な運用
  4. 派遣受入期間の設定方法等
  5. 派遣労働者への労働契約の申込み義務
  6. 派遣労働者の雇用の努力義務
  7. 離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止
  8. 派遣先責任者の選任
  9. 派遣先管理台帳
  10. 派遣労働者を特定することを目的とする行為の制限
  11. 性別・年齢による差別取扱いの禁止
  12. 派遣先が講ずべき措置に関する指針
  • (1)派遣労働者の雇用の安定を図るための配慮
  • (2)労働・社会保険の適用促進
  • (3)雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストへの派遣労働者の受け入れ
  • (4)安全衛生に係る措置
  • (5)紹介予定派遣 等
雇用契約の締結

 派遣労働者は派遣元と雇用契約を結ぶ。その際は、派遣元は派遣労働者に労働条件を書面で明示し、交付しなければならない。また、労働者派遣法では、派遣元は派遣労働者に派遣先での就業条件を書面で明示し、交付しなければならない。この場合、厚生労働省モデルに従った書面交付が法令上義務付けられている。
 派遣労働者は書面で明示された契約内容以外の仕事を指示されてもそれに応じる義務はなく、その場合は派遣元を通じて派遣先に是正を求めるべきである。また、契約内容と実際の労働条件が異なっていれば、派遣元との雇用契約を即時に解除できる(労基法第15条第2項)。

労働条件(派遣労働者の「同一労働同一賃金」)

 労働者派遣法では、派遣労働者と、派遣先の正社員との間で不合理な待遇差を禁止する規定(均等・均衡待遇)が設けられており、2018年の労働者派遣法改正でこれが強化された。特に重要なものとしては、派遣先が派遣先の正社員の待遇情報を派遣会社に提供し、その情報を元に派遣会社は派遣労働者の待遇を、派遣先の正社員と均等・均衡のとれた内容にすることが義務化されたこと(労働者派遣法第30条の3「派遣先均等・均衡方式」)。例外的に、派遣会社と派遣会社の過半数労働組合(もしくは過半数代表者)との間で、派遣労働者の待遇改善に関する労使協定を締結して、その協定に基づく待遇決定も認められるが(労働者派遣法第30条の4「労使協定方式」)、協定が守られていない場合は、原則の派遣先均等・均衡方式に戻る。(※パート・有期雇用労働者の「同一労働同一賃金」

<参照条文>

労基法第15条第2項
労働者派遣法第30条の3、第30条の4

モデル就業条件明示書

【参考】派遣事業の健全化

 これまで労働者派遣事業は、特定労働者派遣事業(常用型派遣のみ。届出制)と一般労働者派遣事業(常用型+登録型、または登録型派遣のみ。許可制)に分かれていた。
 2015年の改正労働者派遣法(2015年9月30日施行)では、労働者派遣事業の健全な育成を図るため、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業との区別は廃止され、すべての労働者派遣事業者が許可制となった(※)。

  • ※旧法上(2015年改正前)の特定労働者派遣事業には、許可制への移行に際して経過措置 (3年間)あり。
  • ※小規模派遣元事業主には暫定的な配慮措置あり
    • ・常時雇用している派遣労働者が10人以下である中小企業事業主 (基準資産額:1,000 万円、現預金額:800万円) (当分の間)
    • ・常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業事業主 (基準資産額:500万円、現預金額:400万円) (施行後3年間)
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