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労働相談Q&A

24.有期労働契約の雇止め
Q
有期労働契約を反復更新してきたが、次回の更新はないと言われた。
A
雇止めには、解雇権濫用法理が適用される場合がある。
法律のポイント
期間の定めのある労働契約(有期労働契約)であっても、更新を繰り返して期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているような場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇権濫用法理(労契法第16条)が類推適用される場合がある。
解説
黙示の更新

 有期労働契約は、期間が満了すれば契約が終了するものだが、期間満了後も労働者が働き続け、使用者もこれに異議を述べなかった場合には、黙示の更新があったものとされ、同一の労働条件での契約が締結されたものと推定される(民法第629条第1項)。

雇止め法理(解雇権濫用法理の類推適用)

 契約の形式が有期労働契約であっても、契約が期間の定めのない労働契約と実質的に異ならない状態で存在していた場合や、業務内容の恒常性や当事者の言動・認識、契約更新の状況などから、労働者が雇用継続を期待することに合理性があると認められる場合には、解雇権濫用法理が類推適用される。この場合、雇止めに、客観的合理的理由と社会的相当性が認められない場合は、契約が更新されたのと同様の法律関係が生じるとされている(労契法第19条)。
 なお、法律では、契約期間満了までの間に労働者が更新の申込みをした場合と、契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の申込みをした場合の雇止めの無効性を想定しているが、労働者からの「申込み」はできるだけ明確な形(書面など)で行っておくことが望ましい。また、雇止め後に争う場合には、団体交渉の申入れや労働審判の申立て等は早期に行い、労働者の意思表示を「遅滞なく」行っておく方がよい。

雇止めに関する基準

 雇止めを巡るトラブルが多いことから、使用者が講ずべき措置について厚生労働大臣が基準を定めている(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準)。

[雇止めの予告]
 使用者は、①雇入れの日から1年を超えて継続勤務している場合、②3回以上更新されている場合には、有期労働契約を更新しないようにするときは、少なくとも、契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない(基準第1条)。

[雇止めの理由の明示]
 労働者が更新しない(更新しなかった)理由について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なく交付しなければならない(基準第2条)。

[契約期間の配慮]
 使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態およびその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない(基準第3条)。

<参照条文>

労契法第16条、 第19条、 民法第629条第1項

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