労働相談

 

労働相談Q&A

18.高度プロフェッショナル制度
Q
会社から「あなたは高プロ制度の対象者だから、残業代は出さない」と言われた。
A
高プロ制度の適用は、労働者本人の同意なく、会社が一方的にすることはできない。
法律のポイント
高度プロフェッショナル制度(以下「高プロ制度」)は、職務の範囲が明確な高度専門職で高所得者を対象として、労働時間、休憩、休日・深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする制度(労基法第41条の2)
解説
高プロ制度

 「高度の専門的知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務」のうち省令で定める5業務を対象として、年収1,075万円以上かつ職務が明確に定められている労働者について、事業場の労使委員会における決議(対象業務、健康管理時間の把握、休日確保、健康・福祉確保措置等の10項目)や労基署への決議の届出、書面による本人同意の取得といった手続きを経ることにより、労基法の労働時間、休憩、休日・深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする制度である。

労使委員会

 次の事項(対象業務、対象労働者の範囲、健康管理時間の把握方法、健康福祉確保措置、同意の撤回手続き等)を、委員の5分の4以上の多数により決議する必要がある。 ①対象業務、②対象労働者の範囲、③健康管理時間の把握、④休日の確保、⑤選択的措置、⑥健康・福祉確保措置、⑦同意の撤回に関する手続き、⑧苦情処理措置、⑨不利益取扱いの禁止、⑩その他厚生労働省令で定める事項

  • ※決議とその有効期間の定めは再度決議しない限り更新されない。
  • ※労使委員会は、少なくとも6カ月に1回、労基署への定期報告時に開催。
対象業務

 「高度の専門的知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務」のうち省令で定める次の5業務。
 ①金融商品の開発業務、②金融商品のディーリング業務、③アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)、④コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言の業務)、⑤研究開発業務

  • ※対象業務は、部署が所掌する業務全体ではなく、対象となる労働者に従事させることとする業務。対象業務の語句(例:研究、開発)に対応する語句をその名称に含む部署(例:研究開発部)において行われる業務の全てが対象業務に該当するものではなく、対象労働者が従事する業務で判断。
     業務に従事する時間に関して使用者から具体的指示を受けて行うものは対象外。

[例]①出勤時間の指定等始業・終業時間や深夜・休日労働等労働時間に関する業務命令や指示、②労働者の働く時間帯の選択や時間配分に関する裁量を失わせるような成果・業務量の要求や納期・期限の設定、③特定の日時を指定して会議に出席することを一方的に義務付けること、④作業工程、作業手順等の日々のスケジュールに関する指示

  • ※使用者が労働者に対し業務の開始時に当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示すことや、中途において経過の報告を受けつつこれらの基本的事項について所要の変更の指示をすることは可能。
  • ※対象業務以外の業務を決議しても労働時間規制等の適用除外の効果は生じない。
  • ※使用者が労働時間に関わる働き方についての業務命令や指示(実質的に労働者の裁量を奪うものを含む)を行ったときから、労働時間規制等の適用除外の効果は生じず、法定労働時間・割増賃金等を適用。
対象労働者
  • 使用者との間の合意に基づき職務が明確に定められており、1年間に支払われると見込まれる賃金額が1,075万円以上の労働者。
  • 支払われると見込まれる賃金には、個別の労働契約または就業規則等において、あらかじめ具体的な額をもって支払われることが約束されている賃金が含まれ、あらかじめ支払額が確定していないもの(成果に応じた賞与、転居によって変動する通勤手当、扶養人数によって変動する家族手当等)は含まれない。
  • 対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則であり、対象業務以外の業務にも常態として従事する者は対象外。
健康管理時間にもとづく健康確保措置等
  • 健康管理時間の把握:使用者は、客観的な方法等(タイムカードやパソコンの使用時間の記録等)によって健康管理時間(事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間)を把握。自己申告による把握は、事業場外にいて勤怠システムにログイン・ログオフできないような例外的な場合に限定。
    • ※健康管理時間の記録について、使用者は、対象労働者からの求めがあれば、開示する必要がある。
    • ※健康管理時間を把握していない場合、労働時間規制等の適用除外の効果は生じず、法定労働時間・割増賃金等を適用。
  • 休日の確保:年間104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日確保を義務化。
    • ※労基法による年次有給休暇の年5日の時季指定義務は対象労働者も対象。
    • ※休日確保が不可能と確定したときから、労働時間規制等の適用除外の効果は生じず、法定労働時間・割増賃金等を適用。
  • 選択的健康管理措置(以下「選択的措置」):次のいずれかを実施。
    ①勤務間インターバルの確保かつ深夜業の制限、②1カ月または3カ月あたりの健康管理時間の上限措置、③2週間連続の休日、④臨時の健康診断
    • ※選択的措置を実際に講じていない場合は、労働時間規制等の適用除外の効果は生じず、法定労働時間・割増賃金等を適用。
  • 健康管理時間の状況に応じた健康確保措置(以下「健康・福祉確保措置」):次のいずれかを実施。 ①選択的措置のうち当該措置として決議したもの以外の措置、②医師の面接指導、③ 代償休日または特別な休暇の付与、④心とからだの相談窓口の設置、⑤配置転換、⑥ 産業医の助言指導に基づく保健指導
    • ※健康・福祉確保措置の未実施は、行政指導の対象。
    • ※1週間あたりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間が1カ月あたり100時間を超えた者に対する医師の面接指導の義務がある(面接指導の義務の対象外のものから申出があった場合の面接指導は努力義務)。
    • ※休日確保、選択的措置、健康・福祉確保措置の実施状況は、6カ月以内ごとに労基署に報告。
本人同意と撤回

 使用者は、対象労働者に高プロ制度を適用するには、決議に従い、対象労働者本人の同意を得なければならない。
 本人同意を得る時期・方法を決議で明らかにしたうえで、対象労働者本人にあらかじめ次の事項を書面で明示。
 ①制度の概要、②労使委員会の決議の内容、③同意した場合に適用される賃金制度・評価制度、④同意しなかった場合の配置および処遇並びに同意しなかったことに対する不利益取扱いは行ってはならないこと、⑤同意の撤回ができることおよび同意の撤回に対する不利益取扱いは行ってはならないこと
 その上で、①制度が適用される旨、②少なくとも支払われる賃金の額、③同意の対象期間を明記した書面(同意書)に、対象労働者が署名する形で同意を取得。
※少なくとも支払われる賃金の額は、求められる水準を達成できない場合でも全額支払われ、業績や成果・成績、休暇や休業の取得等を理由とした減額は不可。制度の対象とすることで賃金が減らないようにすることが必要。
 また、職務の範囲に関して、①業務の内容、②責任の程度(職位等)、③求められる水準(成果)を明記した書面(職務記述書)に、対象労働者が署名する形で同意を取得。
※無期労働契約または1年以上の有期労働契約の労働者は1年ごとに確認・更新することや、対象期間終了ごとに必要に応じて評価制度・賃金制度を見直し、本人同意を取得することが適当であるとされている。
 なお、対象労働者は、いつでも同意を撤回できる。

  • ※使用者による一方的な本人同意の解除はできない。
  • ※同意撤回の申出時から労働時間規制等の適用除外の効果は生じず、法定労働時間・割増賃金等を適用。
  • ※不同意および同意撤回を理由とした不利益取扱いを禁止。
罰則

 対象労働者で、健康管理時間が省令で定めた時間(週40時間を超えた場合におけるその超えた時間が月100時間)を超えた労働者に対し、医師による面接指導を行わなかった場合は、50万円以下の罰金。

<参照条文>

労基法第41条の2、労基法施行規則第34条の2
安衛法第66条の8の4、第120条、安衛則第52条の7の4
労働基準法第41条の2第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針(平成31年厚生労働省告示第88号)

<巻末資料>

改正法関係(労働基準法、労働安全衛生法)の罰則について

労働相談
よくある労働相談Q&Aコーナー
なんでも労働相談ホットライン
労働相談メール受付
労働相談集計報告