「高度の専門的知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務」のうち省令で定める5業務を対象として、年収1,075万円以上かつ職務が明確に定められている労働者について、事業場の労使委員会における決議(対象業務、健康管理時間の把握、休日確保、健康・福祉確保措置等の10項目)や労基署への決議の届出、書面による本人同意の取得といった手続きを経ることにより、労基法の労働時間、休憩、休日・深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする制度である。
次の事項(対象業務、対象労働者の範囲、健康管理時間の把握方法、健康福祉確保措置、同意の撤回手続き等)を、委員の5分の4以上の多数により決議する必要がある。 ①対象業務、②対象労働者の範囲、③健康管理時間の把握、④休日の確保、⑤選択的措置、⑥健康・福祉確保措置、⑦同意の撤回に関する手続き、⑧苦情処理措置、⑨不利益取扱いの禁止、⑩その他厚生労働省令で定める事項
「高度の専門的知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務」のうち省令で定める次の5業務。
①金融商品の開発業務、②金融商品のディーリング業務、③アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)、④コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言の業務)、⑤研究開発業務
[例]①出勤時間の指定等始業・終業時間や深夜・休日労働等労働時間に関する業務命令や指示、②労働者の働く時間帯の選択や時間配分に関する裁量を失わせるような成果・業務量の要求や納期・期限の設定、③特定の日時を指定して会議に出席することを一方的に義務付けること、④作業工程、作業手順等の日々のスケジュールに関する指示
使用者は、対象労働者に高プロ制度を適用するには、決議に従い、対象労働者本人の同意を得なければならない。
本人同意を得る時期・方法を決議で明らかにしたうえで、対象労働者本人にあらかじめ次の事項を書面で明示。
①制度の概要、②労使委員会の決議の内容、③同意した場合に適用される賃金制度・評価制度、④同意しなかった場合の配置および処遇並びに同意しなかったことに対する不利益取扱いは行ってはならないこと、⑤同意の撤回ができることおよび同意の撤回に対する不利益取扱いは行ってはならないこと
その上で、①制度が適用される旨、②少なくとも支払われる賃金の額、③同意の対象期間を明記した書面(同意書)に、対象労働者が署名する形で同意を取得。
※少なくとも支払われる賃金の額は、求められる水準を達成できない場合でも全額支払われ、業績や成果・成績、休暇や休業の取得等を理由とした減額は不可。制度の対象とすることで賃金が減らないようにすることが必要。
また、職務の範囲に関して、①業務の内容、②責任の程度(職位等)、③求められる水準(成果)を明記した書面(職務記述書)に、対象労働者が署名する形で同意を取得。
※無期労働契約または1年以上の有期労働契約の労働者は1年ごとに確認・更新することや、対象期間終了ごとに必要に応じて評価制度・賃金制度を見直し、本人同意を取得することが適当であるとされている。
なお、対象労働者は、いつでも同意を撤回できる。
対象労働者で、健康管理時間が省令で定めた時間(週40時間を超えた場合におけるその超えた時間が月100時間)を超えた労働者に対し、医師による面接指導を行わなかった場合は、50万円以下の罰金。
労基法第41条の2、労基法施行規則第34条の2
安衛法第66条の8の4、第120条、安衛則第52条の7の4
労働基準法第41条の2第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針(平成31年厚生労働省告示第88号)
改正法関係(労働基準法、労働安全衛生法)の罰則について