変形労働時間制には、①1カ月変形制、②1年変形制、③1週間変形制の3種類があり、それぞれ対象事業場、対象労働者、労働時間の限度等および手続き(就業規則への記載、労使協定の締結など)が定められている。③の対象事業は30人未満の小売業、旅館および飲食店業に限られている。
なお、週法定44時間の特例のもとに1カ月変形制を採用することはできるが、1年変形制および1週間変形制を採用する場合にはこの特例の適用はないから注意を要する。
変形労働時間制のもとにおいて時間外労働となる時間は、それぞれの変形制における総所定労働時間を超えて労働した時間であり、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働した場合でも時間外労働とならない。
変形労働時間制による場合においては、以下の者についてはそれらの者が必要とする時間を確保できるような配慮が求められている。
労基法第32条、第37条、労基法施行規則第12条
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発第1号)
項目 | 1カ月変形制 | 1年変形制 | 1週間変形制 | |
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制度の特色等 | 対象事業場 | 制限なし | 制限なし | 労働者 30 人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店に限る |
対象労働者 |
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特色 |
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実施に適している事業場 |
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上記の事業場に限られる | |
労働時間の限度等 | 1日の労働時間の制限 | なし | 10時間 | 10時間 |
1週の労働時間の制限 | なし | 52時間 3カ月超の時は、週48時間を超える週は連続3週以内、3カ月ごとに3回以内とする |
40時間 | |
対象期間中の週平均労働時間の限度 | 40時間(特例事業場は44時間) | 40時間 | − | |
休憩時間 | 法定通りの取扱い | 同佐 | 同左 | |
休日 | 4週に4日 | 1週に1日 | 4週に4日 | |
手続き | 就業規則への記載 | どちらかが必要 | 必要 | 必要なし |
労使協定の締結・届出 | どちらかが必要 | 必要 | 必要 |
注 1年変形制における下記労働者についての1日、1週の労働時間の限度は次のとおりとなっている。