労働相談

 

労働相談Q&A

15.変形労働時間制
Q
「うちの会社は変形労働時間制だから」と、仕事量に応じて勤務時間がその都度指示される。
A
変形労働時間制の採用・実施にあたっては要件が定められている。
法律のポイント
使用者が業務の都合によって任意に勤務時間を変更することはできない。
解説
種類と特色など

 変形労働時間制には、①1カ月変形制、②1年変形制、③1週間変形制の3種類があり、それぞれ対象事業場、対象労働者、労働時間の限度等および手続き(就業規則への記載、労使協定の締結など)が定められている。③の対象事業は30人未満の小売業、旅館および飲食店業に限られている。
 なお、週法定44時間の特例のもとに1カ月変形制を採用することはできるが、1年変形制および1週間変形制を採用する場合にはこの特例の適用はないから注意を要する。

時間外労働となる時間

 変形労働時間制のもとにおいて時間外労働となる時間は、それぞれの変形制における総所定労働時間を超えて労働した時間であり、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働した場合でも時間外労働とならない。

特別な配慮

 変形労働時間制による場合においては、以下の者についてはそれらの者が必要とする時間を確保できるような配慮が求められている。

  1. ① 育児を行う者
  2. ② 老人等の介護を行う者
  3. ③ 職業訓練又は教育を受ける者
  4. ④ その他特別な配慮を要する者
フレックスタイム制の清算期間
 2019年4月より、清算期間の上限が延長(1カ月→3カ月)された(労基法第32条の3)。清算期間が1カ月を超え3カ月以内の場合は、フレックスタイム制にかかる労使協定の届出が必要となる(届出がない場合は30万円以下の罰金)。
 また、週平均50時間を超えた場合はその月ごとに超えた時間に対する割増賃金の支払い、清算期間の途中での退職など清算期間より労働させた期間が短い場合は労働時間の週平均40時間を超えた時間に対して割増賃金の支払いが必要である。
 加えて、対象労働者の過重労働防止等の観点から、以下のとおり通達で明記されている(平成30年9月7日基発0907第1号)。
  • 労働時間が各月で週平均50時間を超えないようにする。
  • 週平均50時間を超える労働時間について月60時間を超えた時間外労働に対しては5割以上の割増賃金の支払いが必要であり、労働者に対して医師による面接指導の実施が必要。
  • 使用者は、週40時間の労働に加え時間外労働が月80時間を超えた労働者に対して、超えた時間に関する情報を通知しなければならない。
  • 使用者は、労働者が各月の時間外労働時間を把握しにくくなることが懸念されるため、労働者に対して各月の労働時間数の実績を通知などすることが望ましい。
<参照条文>

労基法第32条、第37条、労基法施行規則第12条
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)

3種類の変形労働時間制一覧
項目 1カ月変形制 1年変形制 1週間変形制
制度の特色等 対象事業場 制限なし 制限なし 労働者 30 人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店に限る
対象労働者
  1. ① 請求のあった妊産婦は除く
  2. ② 満15歳以上18歳未満の者は1週48時間、1日8時間を超えない範囲内で適用可
  1. ① 同左
  2. ② 同左
  3. ③ 一般職の地方公務員は除く
  1. ① 同左
  2. ② 満15歳以上18歳未満の者は適用不可
  3. ③ 同左
特色
  • *1カ月以内の変形期間で労働時間のやりくりできる
  • *1日、1週の所定労働時間の上限規制がない
  • *1年以内の変形期間で労働時間のやりくりができる(3カ月、6カ月などの変形制も可)
  • *業務の繁閑に合わせて週ごとに異なる形の労働時間制を編成できる
  • *他の変形制のように各日の始業・終業時刻を就業規則に記載する必要はなく、従業員に通知すれば足りる
実施に適している事業場
  • *月内、週内において業務の繁閑が著しい事業場
  • *特定の日や週に集中的な業務処理が求められる事業場
  • * 年間を通じて業務の繁閑が著しい事業場
  • *年間105日以上の所定休日があるが時期の偏っている事業場(週平均40時間制の実現可)
上記の事業場に限られる
労働時間の限度等 1日の労働時間の制限 なし 10時間 10時間
1週の労働時間の制限 なし 52時間
3カ月超の時は、週48時間を超える週は連続3週以内、3カ月ごとに3回以内とする
40時間
対象期間中の週平均労働時間の限度 40時間(特例事業場は44時間) 40時間 −
休憩時間 法定通りの取扱い 同佐 同左
休日 4週に4日 1週に1日 4週に4日
手続き 就業規則への記載 どちらかが必要 必要 必要なし
労使協定の締結・届出 どちらかが必要 必要 必要

注 1年変形制における下記労働者についての1日、1週の労働時間の限度は次のとおりとなっている。

  • * 積雪地域の建設業の屋外労働者等:対象期間の区分なく、1日10時間、1週52時間
  • *タクシー業の隔日勤務者:1日については対象期間の区分なく16時間、1週については上記の表と同じ
労働相談
よくある労働相談Q&Aコーナー
なんでも労働相談ホットライン
労働相談メール受付
労働相談集計報告