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労働相談Q&A

22.退職の自由
Q
退職したいのに、なかなか辞めさせてくれない。
A
労働者には「退職の自由」がある、辞めたいときは「退職届」を。
法律のポイント
雇用の期間に定めがないときは、解約(=退職)の申入れから2週間が経過すると雇用契約が終了する(民法第627条第1項)。
解説
退職の自由
  1. ① 期間の定めのない雇用の場合(民法第627条第1項)
     労働者には「退職の自由」がある。そのため、退職を希望する労働者は自由に退職することができ、退職の意思表示から2週間が経過すると雇用関係が終了(=退職)する。
  2. ② 期間の定めのある雇用の場合(民法第628条)
     労働者の「退職の自由」そのものが否定されている訳ではないが、労働者からの解約(=退職)の申入れについては「やむを得ない事由があるとき」に制限されている。この場合、退職の理由が「やむを得ない事由」に該当すると判断されるかどうかは個々の事例によるため注意が必要である。
     なお、1年を超える有期労働契約の場合で、契約の初日から1年を経過した日以降は、いつでも退職することができる(労基法第137条)。
  3. ③ 明示された労働条件と異なった場合(労基法第15条)
     労働契約の締結の際に示された労働条件が事実と異なる場合には、労働者は労働契約を即時解除できる。就業のために転居した労働者が、解除の日から14日以内に帰郷する場合、帰郷のための旅費を使用者は負担しなければならない。
退職に際しての損害賠償請求

 民法第628条で、「やむを得ない事由」が当事者の一方の過失で生じたときは、その相手方に対して損害賠償の責任を負うとしている点は要注意である。
 ただし、退職と損害の間に相当な因果関係が必要であることなどから、実際に損害賠償が認められるのは困難である。

「退職願」と「退職届」の違い

 退職の意思表示は「退職願」ではなく「退職届」とした方がよい。
 「退職願」:退職に使用者の承諾が必要と解釈される可能性がある。
 「退職届」:使用者の承諾は不要となり、「退職届」の提出から2週間が経過すると雇用関係が終了(=退職)となる。

  • ※内容証明郵便などを利用し、退職の意思表示をしたことを明確にしておくことも有用である。
<参照条文>

労基法第15条、第137条
民法第627条第1項、第628条

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