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労働相談Q&A

8.休業中の賃金
Q
改装期間中は出勤しなくてよいと言われ、賃金が支払われなかった。
A
使用者の都合による休業の場合は、休業手当の支払を要する。
法律のポイント
使用者の責に帰すべき事由により休業する場合は、休業期間中は少なくとも平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない(労基法第26条)。全額請求できる場合もある(民法第536条第2項)。
解説
休業とは

 労基法第26条による休業とは、労働契約上労働義務がある時間について、労働者が労働できなくなることで、集団的休業、個々人の休業もある。また、丸1日の休業だけでなく、1労働日の所定労働時間の一部のみの休業もある。

平均賃金とは

 労基法上の平均賃金とは、算定事由発生日以前3カ月間にその労働者に支払われた賃金の総額(残業代や通勤手当を含む)を、その期間中の総日数で除した金額を原則としている。なお、日給・時給制などの場合の最低保障、現物給与、算定期間から除くべき期間・日数・賃金など、その取扱いが労基法施行規則・告示により詳細に定められている(労基法第12条)。

休業中の賃金請求権

<休業の帰責事由が労使ともにないとき>
 天災事変などの不可抗力に該当する場合等、労働者は休業中の賃金の請求権はないが、就業規則、労働協約等の定めに従うことになる。

<休業の帰責事由が使用者にあるとき>
 民法第536条第2項により、使用者の「責めに帰すべき事由」がある休業の場合には、労働者は休業中の賃金を全額請求できる。
 労基法第26条は労働者の最低生活保障のための規定であり、使用者の民事上の賃金支払義務を減額する趣旨ではない。ここにいう「責めに帰すべき事由」は、天災事変などの不可抗力に該当しない限りこれに含まれ、機械の検査、原材料の欠乏、流通機構の不円滑による資材入手難、監督官庁の勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金・資材の獲得困難、また自治体の休業要請などで休業した場合でも、使用者は休業手当を支払わなければならない。

休業期間中の所定休日

休業期間中に含まれる所定休日は休業手当を支払うべき日数から除かれる。

所定労働時間より短い場合の取扱い

<月給制の場合> ※休憩時間は含まないものとする。

① 平日8時間労働で土曜日に4時間労働がある場合の土曜日の休業
 週のある日の所定労働時間が短く定められていても、その日の休業手当は平均賃金の1日分の60%以上の額でなければならない(平均賃金は、直近3か月の賃金を暦日数で割り日額を算出する。労基法第12条)。

例)平日フルタイム、土曜日半日労働で平均賃金が1日7,000円となる場合、休業手当は4,200円(7,000円×60%)となり、平日に休んでも、土曜日に休んでも、休業手当は1日4,200円となる。

② 半日休業や1日の一部の休業
 半日や1日の一部のみ休業した場合にも、その日1日分について休業手当(平均賃金の60%以上)を支払うことを要するので、現実に労働した時間に対して支払われる賃金が休業手当に満たない場合には、その差額の支払いを要する(昭27・8・7基収第3445号通達)。

例)1日8時間労働、4時間の休業命令、1日の平均賃金が8,000円(時間単価1,000円)の場合
本来の労働時間8時間
労働時間6時間 休業命令による休業4時間

※この日の労働時間は4時間のため、4,000円の賃金が発生するが、本来の休業手当は1日の60%(8,000円×60%=4,800円)であるため、加えて差額(4,800円−4,000円=800円)の支払いが必要となる。

例)1日8時間労働、2時間の休業命令、1日の平均賃金が8,000円(時間単価1,000円)の場合
本来の労働時間8時間
労働時間6時間 休業2時間

※この日の労働時間は6時間のため、賃金は6,000円となり、1日辺りの60%(8,000円×60%=4,800円)を上回るため、2時間休業分の支払いは必要ない。

③ 健診結果にもとづく休業・時間労働
 安衛法第66条による健康診断の結果にもとづいて、休業あるいは短時間労働を命じられた場合には、それが不当な取り扱いでない限り、休業手当支払いの問題は生じない(通常の病欠扱い)。

<日給制、週給制の場合>※休憩時間は含まないものとする。
 休業手当は日割りで計算するため、平均賃金を実際の労働日数で割った1日辺りの賃金の60%の休業手当の支払いが必要。日によって労働時間が違う場合でも、平均賃金を労働日数で割ったものが休業手当の算定基準となる。

例)時給1,000円で、1か月(4週)の週2日労働(月8日勤務)、火曜日は8時間労働、木曜日は4時間労働の場合

1,000円×((8時間+4時間)×4週)÷8日=6,000円/日 ※算定基準
6,000円×60%=3,600円 ※3,600円が1日辺りの休業手当となる。

休業中の賃金未払いへの対処

① 不況を理由とした生産調整のための休業の多くは(一時帰休、自宅待機などと呼ばれたりする)、民法第536条第2項の債権者の帰責事由ある休業なので、賃金全額を請求すべきである。民事上も6割支給すればよいと誤解している企業もあるので、是正させること。ただし、労働組合があって休業手当と同じ平均賃金の6割の賃金支払義務しか認めない労働協約が締結されている場合もあるので、注意する。
 なお、使用者が休業に係る手当を支払ったものとして、国から雇用保険法の雇用安定事業(雇用保険法第62条第1項第1号)である雇用調整助成金(同法施行規則第102条の3)の支給を受けている場合がある。その場合は支払原資があることになる。

② 使用者に帰責事由のない休業であっても、労働災害による場合は労災保険法の休業補償給付等の支給を受けられるし、労働災害でない私傷病による場合には健康保険法の傷病手当金(健保法第45条)の支給を受けられるので、アドバイスすること。

※裁判所に休業中の未払賃金請求の提訴をするときに、労基法第26条の休業手当の未払があるときは、その未払休業手当額と同額の付加金も請求でき(労基法第114条)、付加金について判決確定の日の翌日から法定利率による遅延損害金を請求できる。

罰則

労基法第26条違反は30万円以下の罰金。

<参照条文>

労基法第12条、 第26条、第114条、 第120条
労基法施行規則第3条、第4条昭24労告5号
民法第536条第2項

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