コロナ禍の労働相談~働く人々に何がおきているのか~

2021年4月1日

連合は2月24・25日に「全国一斉集中労働相談ホットライン〜雇用SOS ちょっと待った!その解雇・雇止め〜」と「36(サブロク)の日」の労働時間をテーマに集中労働相談を行った。緊急事態宣言が延長される中、全国で536件と多くの相談が寄せられ、コロナ禍の影響は依然深刻である。

小中高の臨時休校要請、緊急事態宣言など、コロナ禍で働く人々の環境が大きく変わったこの1年。2020年の連合への労働相談は前年の1.4倍に増えた。今、働く人々に何が起こっているのか。労働相談の最前線で奮闘する久保啓子フェアワーク推進センター局長に聞いた。

─コロナ関連の相談はいつ頃からどのような相談が?

小中高の臨時休校要請が起因となり、3月は「解雇・退職強要・契約打切」、4、5月は「休業補償」に関する相談が一番に。子どもだけの留守番は不安。でもその頃はまだ行政から休業補償のあり方が明確に出ていない。自己都合で休むと休業補償が出ない。正規雇用と非正規雇用への対応にも格差がある。休校で改めて家事・育児の女性への偏りが浮き彫りとなる中、初期から今に至るまで非正規雇用で働く女性への影響が大きい。

─5月に解雇(見込み)が、6月には労働相談が急増

もともと労働契約の更新月が多い3、6、9、12月は相談も増加しやすい。しかし、この時期に限らず、女性の相談が男性を上回っていたのが今年の特徴だ。雇用でまず手をつけられるのは非正規雇用。そこに女性が多い。また、今回一番打撃を受けた対人サービスの職場にも女性が多い。こうした背景がコロナ禍で持ちこたえられなかったサービス業や中小企業の解雇に影響し、相談が増えた。

─年間では前年に引き続き「パワハラ・嫌がらせ」がトップ

実は「解雇・退職強要・契約打切」とほぼ僅差。しかも密接な関係にある。自己都合退職にさせようとする。辞めざるを得ない状況に追い込まれる。最近の特徴として、「解雇・退職強要・契約打切」につなげる「パワハラ・嫌がらせ」が目立つ。また、医療・福祉の業界でもハラスメントが多い。使用者側も働く側もストレスが溜まっている。職場のコミュニケーション不足も深刻だ。

─この1年を振り返って

やはり労働相談がある職場には労働組合がないところが多い。労働組合があればコロナ禍でも休業補償のルール化、安全衛生対策、雇用の確保、テレワーク制度の導入など労使対等な立場で話し合える。労働相談では、相談者の問題解決はもちろんのこと、より良い職場にむけた労働組合づくり、そして、より良い社会にむけた政策・制度の実現につなげていくことが重要だ。今後も連合の強みを活かした労働相談対応を行っていきたい。

※この記事は、連合が企画・編集する「月刊連合4月」をWEB用に再編集したものです。