あれから10年~被災地支援の記録~

2021年3月11日

全日本海員組合

国際(外航)や国内の海運・旅客船事業、水産や港湾の海事産業で働く船員と、それらの分野で働く船員以外の労働者で組織する産業別単一労働組合。東京港区六本木に本部を置き、全国24カ所に地方支部と支部、6カ所の事務所を持つほか、マニラ・ハイフォン・天津・ジャカルタに海外代表部、ロンドンに欧州事務所を開設し、活動を行っている。

船員のノウハウを支援に生かす

2011年3月11日、立川さんは東京・六本木の海員ビルにいました。14時46分、東日本大震災が発生。組合ではその日のうちに対策本部が立ち上がり、全国の各支部に救援物資を要請。物資輸送のために支援船の派遣も決め、函館に所属する中型のイカ釣り漁船『幸雄丸』(184トン)をチャーター。3月末には三陸の各港に支援物資を届けました。

この迅速な動きができた要因は、「阪神・淡路大震災のときに組合として初めて支援船を出して、物資を神戸に運び入れた経験が生きたと思います」と立川さん。船の利点は、大型トラック数十台分にもなる貨物を一度に運べる輸送力と、陸路が寸断され孤立した場所へも行けること。離島の支援にもその強みが生かされました。「船乗りは荷の扱いに慣れています。効率よく荷下ろしするためにはどう積んだらいいかを知っている。阪神・淡路大震災のときも物資の集荷場に船員が配置される等、応用がきくノウハウを持っていると思います」。物資輸送のあとは、震災で船を失った漁業者の生活再建支援を国に働きかけるなど、被災地支援を続けました。

これまでの経験から、南海トラフ地震などを見据え「自治体でも、陸路が寸断されたときのために、船舶による輸送を想定しています。また、港に津波からの避難所を整備することも進んでいます。あとはそのときの状況も踏まえて、いかに知恵を絞って動くかだと思います」。

※この記事は、連合が企画・編集する「月刊連合3月」をWEB用に再編集したものです。