新型コロナウイルス感染症への連合の対応

2020年6月8日

※この記事は、連合が企画・編集する「月刊連合5・6月合併号(5月25日発行)」をWEB用に再編集したものです。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大には一定の歯止めがかかり始めているが、一方で雇用や暮らしへのダメージは深刻さを増している。

連合は、この危機をどうとらえ、どう行動するのか。

相原事務局長が特別メッセージを発した。

 

連合
相原事務局長

 

 

新型コロナウイルス感染症の猛威

結成30周年を迎えた連合。昨年秋以降、各地方連合会が主催する記念の催しの各会場には、感謝と笑顔が広がっていました。しかし、参集の皆さんの背後には新型コロナウイルスの影が静かに忍び寄っていました。

新年を迎え事態は一変します。

2月末に突如発表された、すべての小・中・高・特別支援学校等の一斉休校の影響は甚大でした。連合はいち早く、フリーランス等対象を定め、新型コロナ労働相談を随時展開しました。

労働相談の様子。 終日電話は鳴り止まず、解雇や契約解除、休業補償などに関する切実な相談が相次いだ

 

日々、積み上がる幅広い相談事例と応答事例。政府・関係省庁、与野党への緊急要請には、切迫した電話口の声、困難が滲むメールの内容が活かされました。経団連中西会長と連合神津会長のWEB対談を実施し、感染拡大防止に向けた労使の協力を確認しました。医療崩壊、生活崩壊を食い止める緊急対応を重ねること、そして、それらの動きを機動的にSNS発信していくことで、困難に直面する誰かの小さな道しるべとなればと思います。

 

全力で働く人をまもる

例年、東京代々木公園に4万人が結集するメーデー。100年を数える節目の本年の第91回メーデー中央大会は、WEB動画配信へと姿を変えました。4月29日の配信初日には、全国の感染者総数は、1万5000人に迫っていました。

メッセージ配信によるWEB開催とした第91回メーデー中央大会

 

政府の支援策は、困窮する皆さんに一刻も早く届かなくてはなりません。一層の制度拡充が必要な雇用調整助成金ですが、円滑な申請と迅速な支給がなければ役割を発揮しません。事業継続がギリギリの状態にある中小零細事業者には今の雇用調整助成金の申請負荷は大きく、手助けが必要です。連合はこの度、全国社労士会と連携、協力を確認しました。全国で申請のサポートにつなげます。雇用の糸を切らさない最重要の取り組み課題です。

私たちの健康と暮らしは、医療、介護など最前線の皆さんの使命感に、そして、地道な公務、インフラ、運輸、サービスの皆さんの対応に支えられています。連合は、感謝の気持ちを発信し続けます。それは、私たちは共にあることの証です。適切に人との接触機会を減らす行動も支え合いの一つの姿。社会の安定はつながりの再確認から。そう、「ソーシャルディスタンス」の徹底が意図することは、生身の人間同志が互いを遠ざけあうことではありません。

究極の不連続性

世界に究極の不連続性をもたらした未知のウイルス。社会の脆弱性を露呈させました。それは、医療にアクセスし難い所得階層の存在であり、ウイルスの所在さえ政治問題化させる大国間の覇権争いであり、医療従事者や感染者等へ向けられる心ない偏見の数々です。

これらはこの間、私たちが懸念してきた、分断と格差、ポピュリズムと広がる民主主義の危機、遠のく多様性ある社会を今一度思い起こさせるには十分すぎます。

一方、テクノロジーの活用に期待が高まるウイルスとの闘い。膨大な個人データを有すプラットフォーマーはその公益性が問われています。テクノロジーの強みを活かしつつ、社会の許容度を見出すプロセスは、パンデミック時代に通るべき民主主義の入り口と言えます。

「コロナウイルスに負けない」と国際社会が一致団結する意味は、元の日常への郷愁ではなく、立ち塞がる課題に向き合い解決するとの決意です。世界が一瞬のうちに共通体験した今こそ、人々の心に棲む弱さを戒め、社会の健全性を立て直し、前に進める日本の姿を発信すべきです。

政治を見つめる目 

大戦後最大の危機と称された今回の感染拡大。各国の国民は、追い込まれる厳しい日常から政治を見つめてきました。見つめる先には、政治リーダーのメッセージと対応があることは言うまでもありません。日本も例外ではありません。それらが信頼に値するものか否か、遠からず国民の様々な審判に委ねられることとなります。

なお、各国の感染状況の程度が、必ずしも政府への支持の低下に直結していない状況も忘れずにおきたいものです。信頼を育む社会づくりの布石です。

しぶとさの先に

欧米では、相当程度の感染者数と死亡者数を数えながら、いち早く経済の再開に踏み出し、日本でも、緊急事態宣言、休業要請の解除等が進んできました。

この間私たちは、新規感染者数、繁華街の人の減少率や遊戯場に並ぶ人の列、聞き慣れない治療薬名に至るまで、様々な情報に日々接してきました。長期戦への覚悟が必要と聞けば、いつまで自粛が続くのかと消沈し、緊急事態宣言解除を耳にすれば、手洗いの回数を減らす自分が見え隠れしたかもしれません。その中、多くの国民は、断片情報に振り回されず、確かな行動につなげる自分を見出す大事さを痛感したはずです。

仕事仲間と接する場で、友人との語らいの場で、遭遇する場面場面に相応しい行動を一連のものとして私たち自身がしぶとく社会に定着させる。しぶといウイルスの制圧の道は、雇用、生活、経済の安定へと続いています。それは、連合結成30周年の誓い。「私たちが未来を変える」というメッセージそのものです。

 

菅官房長官に「新型コロナウイルス感染症対策」における小中高校等の臨時休校などに関する緊急要請を実施(3月4日)

 

西村経済再生担当大臣に「新型コロナウイルス感染症拡大に対する総合的対策についての緊急提言」を手交(4月2日)

 

経団連の中西会長と神津会長がWEB会談を行い、感染拡大防止のための行動変容などを呼びかけた(4月20日)

 

連合ホームページ[新型コロナウイルスへの対応]にて随時情報発信中

※この記事は、連合が企画・編集する「月刊連合5・6月合併号」をWEB用に再編集したものです。