今年8月、公的年金の「財政検証」が公表された。5年ごとに人口や経済の動向を反映して年金財政の見通しを作成し、その健全性を検証するというもので、これを受けて社会保障審議会年金部会では2020年制度改革に向けた議論が本格化している。
私たちの老後や、万が一の生活を支える大事な年金。少子高齢化・長寿化、働き方の多様化が進む中で、誰もが安心できる年金制度を維持するには何が必要なのか。一緒に考えてみよう。
■働いているのに国民年金に入っている人はどれくらい?
■なぜ、働いているのに厚生年金に入れないの?
■国民年金と厚生年金ではこんなに違うんです。
■そもそも今のままの年金で生活できるの?
■しかも!受け取る年金は減るの!?
■どうしたら受け取る年金を増やせるの?
■連合の取り組み
生活保障機能の強化と持続可能性の向上に向けて
佐保昌一 連合総合政策推進局長
厚生労働省は8月27日に、公的年金の2019年財政検証を公表した。検証結果(6つのうちのケースⅣ)では、モデル世帯の基礎年金の給付水準が2019年に対して、2040年には約22%低下、2053年には約36%低下するとの見通しも示された。財政検証を踏まえ、団塊ジュニア世代が高齢化する2035年を見据えて、公的年金の生活保障機能の強化と持続可能性の向上に向けた制度改正は喫緊の課題だ。
財政検証では、厚生年金のさらなる適用拡大により、給付水準の上昇と年金財政の安定化が可能となることが明らかとなった。雇用形態や企業規模等の違いにより厚生年金に適用されないのは不合理であるため、すべての労働者に厚生年金を適用させる方向で検討を行うべきだ。具体的には、企業規模や勤務期間等の条件を撤廃するとともに、個人事業所(士業、飲食サービス業等)への適用拡大が必要だ。
また、基礎年金の給付改善は急務であり、厚生年金の適用拡大とともに厚生年金財政からの拠出方法を見直して基礎年金の財政を強化することが必要だ。検討にあたっては、被保険者や受給者等における公平性や納得性を十分に踏まえる必要があると考える。
現在、社会保障審議会年金部会にて議論が行われており、委員として意見反映に努めている。すべての人が安心してくらせる年金の実現のためには、厚生年金を含む社会保険のさらなる適用拡大と基礎年金の給付改善等による公的年金の機能強化が急務だ。
連合は、将来世代を含むすべての人が安心してくらし続けられる真の皆年金の実現に向け、社会全体に対して連合の考え方を訴えかけ世論喚起をはかるとともに、構成組織・地方連合会と一体となった取り組みを全力で進めていく。
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※この記事は、連合が企画・編集をしている「月刊連合12月合併号」をWEB用に再編集したものです。