不思議だらけの軽減税率。出前のえび天そばはどうなる?

2016年2月10日

事務局長

金持ちに恩恵「キャビアの矛盾」 

政府・与党が決めた消費税の軽減税率は、まったく奇妙なものです。
欧州諸国はすでに15〜20%の消費税が導入されています。こうした国々では食料品に軽減税率が適用されていますが、さまざまな問題を抱えています。よく言われるのは「キャビアの矛盾」というものです。パンのような基礎的食料だけでなく、キャビア(チョウザメの卵)のような高級食材にも軽減税率が適用されてしまうため、金持ちが結果的に恩恵を被るという矛盾です。

日本でもこうした矛盾は起こります。グラムいくらの豚コマ肉も、A5ランクの牛ステーキ肉も同様に軽減税率が適用されます。結果、恩恵を多く受けるのは金持ち層ということになります。

食料品は一律軽減税率を適用させるようですが、外食は一般税率になるそうです。そうなると、家で松阪牛などのブランド牛ですき焼きパーティーをやっても、その食材は軽減税率、一方、牛丼チェーンで並盛り380円の牛丼を食べたら一般税率になります。低所得者対策にならないことは明らかです。
外食の定義は、椅子に座って食事ができることだそうです。持ち帰りは加工食品と見なして軽減税率になるそうです。だから、立って食べるのは軽減税率です。ヨーロッパで問題になっているのは、ハンバーガーショップの店内で食べると税率が高くなるので、歩道で食べる人が多いことです。そのため、ごみが散らかってハンバーガーショップの近所から苦情が出ているそうです。日本もそうなるかもしれません。

 

手間もコストもかかるのに出前なら軽減税率

立ち食いそば屋で、一部カウンターに座席があるところは税率をどう区別するのですかね。屋台のおでん屋で食事をする場合も椅子があれば一般税率です。これからはビールケースを椅子代わりにする店が増えそうですね。高速道路のサービスエリアで、ホットドッグを買ってフードコートで座って食べると一般税率ということになります。きっとサービスエリアの外で食べる人が増えるでしょう。この際、行儀の良い悪いは考えていられませんから。野球場で、売店でビールを買って観客席で飲むのは軽減税率、スタンドで販売員から直接ビールを買うのは一般税率になるって、なんかおかしいですね。もっとわからないのは、出前を頼むと軽減税率になることです。どう考えても、出前のほうが手間もコストもかかっているのに。

 

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客 おたくの天ぷらそばは、確かエビ天が2本入っていたと思うけど、出前で届いた天ぷらそばは、エビ天が1本しか入ってなかったよ。何かの間違いじゃないかい。

店主 へぇ、間違いじゃありません。出前は軽減税率になりますので、天ぷらのほうも軽減しておきました。

 

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2016年2月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。「月刊連合」の定期購読や電子書籍での購読についてはこちらをご覧ください。

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