連合結成30周年に向けたプロジェクト

2018年4月17日

「行不由徑」は、「行くに徑に由らず」と読みます。論語にある言葉で、「裏道や小道などを通らず、常に正道を行く」という意味です。連合は2019年11月に結成30周年を迎えます。ここに至るまでの連合運動は、決して平坦ではありませんでしたが、働く者の幸せの道をまっすぐに進んできました。そして、これからも正道を歩んでいかねばなりません。

このコーナーでは、これまでの連合運動を振り返りながら、次の時代を考え、連合が歩むべき正道とは何かを考えたいと思います。

 

次の飛躍へ 確かな一歩を

「次の飛躍へ 確かな一歩を」、これは昨年10月に開催した連合第15回定期大会で確認したスローガンです。

連合が結成された1989年は、ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦構造に終わりを告げた年でした。一方で1985年のプラザ合意を契機とする円高不況対策としての金融緩和がバブル経済を生み出し、その崩壊によってその後の長期にわたる経済の低迷、デフレを招くこととなりました。社会が底割れの様相を見せる中で格差への不満、雇用や社会保障の将来への不安も高まりました。こうした中で連合は、あるべき社会の姿を構想しながら、働く者の代表として政策実現のために行動してきました。

今、わが国では、超少子高齢化が進み、雇用や社会保障、地域経済に大きな影響が出始めています。グローバル化もいっそう進んでいます。第4次産業革命と言われる大きな構造転換も起こっています。連合がこれからどのような道を選択するかが問われています。

労働運動は駅伝競走のようなもので、次のランナーにタスキをしっかりと引き継いでいかなければなりません。大会のスローガンには、これまでに連合運動が歩んできた道を振り返り、現下の課題や求められているものを再認識しながら、次の時代の飛躍に向けた構えをつくろうとする気概が込められています。

この連載の1回目は、連合結成30周年に向けて進めているプロジェクトについて紹介することにしましょう。

 

連合2035ビジョン

連合は、2010年12月にめざすべき社会像として「働くことを軸とする安心社会」を提起しました。「働くことを軸とする安心社会」とは、「働くことに最も重要な価値をおき、誰もが公正な労働条件のもとに多様な働き方を通じて社会に参加でき、社会的・経済的に自立することを軸とし、それを相互に支え合い、自己実現に挑戦できるセーフティネットが組み込まれている活力あふれる参加型の社会」です。概ね2020年までに実現することを念頭においています。

「連合2035ビジョン」は、これに続く2020年以降のあるべき社会像を示すものと位置づけられています。連合は2016年に「人口減少・超少子高齢社会ビジョン」検討委員会を立ち上げ、昨年9月に中間報告をまとめました。現在、組織討議を踏まえ意見を集約しているところです。今年6月には最終報告を取りまとめる予定です。この最終報告をベースに、「連合2035ビジョン」の策定作業を進め、来年10月の第16回定期大会に提起する予定です。

 

連合運動強化特別委員会

連合運動というのは、連合本部だけの運動ではありません。共通目標に向かって連合本部、構成組織、地方連合会が一体的に進めていくものです。しかし、運動の資源(組織・財政)には限界があります。この限られた運動資源を有効的、かつ持続性のあるものにして次世代に引き継いでいかねばなりません。そのためには、連合運動の「重点化」と「選択と集中」という議論も避けて通ることはできません。

連合運動は多岐にわたっています。連合本部は以下の7つの運動領域をカバーしています。①組織拡大の環境づくり、②政策・制度の立案と実現、③平和・連帯活動、社会貢献、④政治活動、⑤国際労働運動、⑥人材育成・労働教育、⑦男女平等参画の推進です。

また地方連合会は5つの活動分野を担っています。①組織拡大、②中小・地場組合への支援、③政策・制度実現、④地域における社会参加活動、⑤政治活動。さらに、地域協議会がそれを具現化する活動を行っています。

連合は、「運動方針」を受けて、「連合運動強化特別委員会」(以下、「特別委」といいます)の設置を確認しました。「特別委」は3月からスタートします。この「特別委」では連合活動の中で、①将来に向けて重点化していくものは何か、②連合本部、構成組織、地方連合会・地域協議会の中で、活動の重複や役割の整理が必要なものは何か、③連合の組合員が、地方連合会や地域協議会の活動に今よりもいっそう関わりを強めるためにはどうすればよいか、などについて検討します。

 

「支え合い・助け合い運動基盤」の仕組みづくり

連合が掲げる「働くことを軸とする安心社会」の実現のためには、「連合が働く人を支え、働く人が社会を支え、支えられた人が働く」という仕組みづくりが必要です。こうした「支え合い・助け合い」の仕組みづくりを検討するために、2016年に「支え合い・助け合い運動基盤研究会」を立ち上げ、昨年7月に「報告書」が示されました。そこでは①情報機器と新技術を活用し、組合員も含めた社会の一人ひとりが参加するきっかけとなる問題解決の受け皿(不満や不安を受け止め、解決に導く仕組み)により、「働く人たちの悩みを全方位に解決する立場」を実践する連合の真の姿を可視化して発信する、②連合が提起する「支え合い・助け合い運動」の取り組みへの関心と関与を高めていく、と提起されています。

これをどのように具体化していくかを、連合組織委員会のもとに、「支え合い・助け合い推進小委員会」(仮称)を設置して、検討を進めることにしています。