労災保険は、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」の「業務災害」に適用されます(労働者災害補償保険法第7条)。「業務上」には、「業務遂行性」と「業務起因性」の双方が必要です。
まず、業務遂行性について、このケースでは、組合員が工場で作業中であり、労働者が労働契約に基づく事業主の支配・管理下にありますので、「業務遂行性があるもの」と判断されます。
問題は「業務起因性」の判断です。「業務起因性」とは、業務または業務行為を含めて労働者が労働関係に基づき事業主の支配・管理下にあること(業務遂行性)に伴う危険が現実化したものと経験則上認められることをいいますが、一般的に天災地変は不可抗力的に発生するものであって業務起因性が認められないとされてきました。ところが、阪神大震災のケースでは、①被災労働者が、作業方法、作業環境、事業場施設の状況等からみて危険環境下にあることにより被災したものと認められる場合には、業務上の災害として取り扱う、②業務上外等の判断に当たっては、天災地変による災害については業務起因性等がないとの予断をもって処理することのないよう特に留意する等の通達(平成7年1月30日付事務連絡第4号)が出ており、今回の東北地方太平洋沖地震においても同様の判断を行うこととする通達(平成23年3月11日付基労保発0311第9号「東北地方太平洋沖地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務処理について」)が出ています。
尚、労災保険給付を請求する際に「事業主証明」「診療担当者の証明」が必要となりますが、今回の震災により証明が困難な場合、証明がなくても請求書を受け付けることとする通達も出ています。詳細は各都道府県労働局にお問い合わせください。
詳細は、厚生労働省ホームページ「東北地方太平洋沖地震と労災保険Q&A」をご参照ください。
労災保険の適用及び手続の概要は、A1で説明した通りです。
まず、業務遂行性について、今回のケースでは労働者が労働契約に基づく事業主の支配・管理下にありますので、「業務遂行性があるもの」と判断されます。
問題は「業務起因性」の判断です。「業務起因性」とは、業務または業務行為を含めて労働者が労働関係に基づき事業主の支配・管理下にあること(業務遂行性)に伴う危険が現実化したものと経験則上認められることをいいますが、一般的に私的行為、恣意的行為については、天災地変と同様、業務起因性が認められません。
しかし、避難する行為は、現場監督者の指示の有無、自治体による警報の有無に拘わらず、「業務遂行中」に生じた危険な事態に対応するため、単なる私的行為又は恣意的行為と異なり合理的な行為、すなわち業務に付随した行為とみなされ、私的行為又は恣意的行為と認められない限り、業務起因性が認められる可能性があります。
詳細は、厚生労働省ホームページ 「東北地方太平洋沖地震と労災保険Q&A」をご参照ください。
●労基法26条の休業手当
労働条件の最低基準を定める労働基準法第26条では、企業側の都合で休業させた場合には、労働者に休業手当を支払い、一定の収入を補償する必要があることが定められています。今回の震災に際して、厚生労働省は、「計画停電時の休業手当が実施される場合の労働基準法第26条の取扱いについて」(平成23年3月15日基監発0315第1号)を出しています。
この通達では、①計画停電による停電時間帯の休業は、「事業主の責めに帰すべき休業」には該当せず、労働基準法26条の休業手当の支払いをしなくても労動基準法違反にはならない、②計画停電による停電時間帯以外の休業には、原則として、休業手当の支払いが必要である、③ただし、計画停電の時間帯以外の時間を含めて休業することが、他の手段の可能性、使用者として休業回避のための具体的努力などを総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるときには、事業主の責めに帰すべき休業とはならない、としています。
これはあくまでも労働条件の最低基準を定める労働基準法上の取扱です。労働協約や就業規則などで、出勤扱いとしたり手当を支払うことを別途定めている場合には、取扱が異なります。賃金や手当の支払いを定めているにもかかわらず支払わない場合は賃金等の不払いとなり、減額すれば労働条件の不利益変更となります。
特別の定めや労使慣行もない場合、労働組合としては、台風などの風水害の場合の取扱いやほかの労働組合の事例も参考に、賃金・休業手当を支払う取り決めを労使で結ぶことが必要です。
連合傘下の組合においては、今回の計画停電による営業時間の短縮や遅刻・早期退社等についても、休業手当ではなく所定の出勤扱いとして賃金を全額支払う取り決めをしている組合もあります。今回のように予め停電が想定される場合などにおいては、計画停電による休業は全て休業手当を支払うことを協約化するなど、労使で協議していく必要があります。
●計画停電時間帯以外の休業
また、計画停電時間帯以外の休業は、原則として、事業主の責めに帰すべき事由による休業となるため、民法536条2項による100%の賃金補償か、少なくとも労基法26条の休業手当の支払いかの適用が求められます。計画停電の対象区域外での、事業者の判断による休業についても同様です。
●雇用調整助成金の確認も
なお、休業の実施等により労働者の雇用の維持を図った事業主に対して休業手当等の一部を助成する雇用調整助成金は、労働基準法26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業にあたるか否かを問わず、事業主が休業手当を支払う場合には対象となります。今回の震災を受けて、計画停電の実施を受けて事業活動が縮小した場合も、雇用調整助成金の対象となる「経済上の理由」とされています。
民法上の原則では、債権者(使用者)の責に帰すべき事由(「故意、過失または信義則上これと同視すべき場合」)により労働義務を履行できなくなった場合は、労働者は反対給付である賃金全額の請求権を失わないとされています(民法536条2項)。Q4にあるように「会社から自宅待機を命じられた」場合は、一般的には債権者(使用者)の判断で労務の受領を拒否している(勤労の意志があるにもかかわらず自宅待機させられている)と解釈できるので、賃金の全額を請求できると考えられます。
<民法第536条2項>
「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の責任を免れたことによって利益を得たときには、これを債権者に償還しなければならない。」
また、労働保護法としての労働基準法では、使用者の責に帰すべき事由により、労働者を休業させた場合、会社はその期間について休業手当(最低でも賃金の60%)を支払う義務があります(労働基準法第26条)。なお、労基法の休業手当は、労働者の最低限の生活を保障するという趣旨の規定であり、これを支払わないと使用者は30万円以下の罰金に処せられるとともに、付加金の支払いを命じられることがあります。
<労働基準法第26条>
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない
労基法26条にいう「使用者の責に帰すべき事由」とは、使用者側に起因する経営管理上の障害であって、経営者として不可抗力を主張できないすべての場合を指しており、民法536条2項の概念より広く解釈されています。Q4のように「会社から自宅待機を命じられた」場合は、「使用者の責に帰すべき事由」による休業にも該当するでしょう。
なお、上記はあくまでも一般的な解釈であり、労働協約や就業規則などで別途定められた場合は取扱いが異なります。また、今回のように予め停電が予想される場合等においては、特別休暇とするなど、その取扱いを労使で協議していく必要があります。
まずはハローワークにご相談ください。
今回の地震では、厚生労働省が雇用保険の失業給付について下記のような特例措置を設けています。
特例措置の利用に当たっては、原則として、事業主から交付される、上記①の場合は「休業票」、上記②の場合は「離職票」をハローワークに持参することが必要ですが、事業所から「休業票」や「離職票」を受け取れる状態にない場合は、ハローワークで相談に応じています。
交通の途絶や遠隔地への避難などにより居住地を管轄するハローワークに来所できないときは、来所可能なハローワークで失業給付の受給手続きをすることができます。
なお、制度の利用にあたっては注意する点があります。この特例措置制度を利用して雇用保険を受給した方については、受給後に再び雇用保険被保険者資格を取得した場合、今回の災害に伴う休業や一時的離職の前の雇用保険の被保険者であった期間は被保険者期間に通算されません。制度の利用に当たってはご注意ください。
詳細は、厚生労働省ホームページ「雇用保険失業給付の特例措置について」をご参照ください。
派遣先が直接被災した場合は、雇用保険の特例措置の対象になります。
今回の震災によって派遣先の事業所や現場が直接被害を受けたことで、派遣での就業が休止または継続不能になった場合は、激甚災害法が定める雇用保険の特例措置の対象になり、離職していなくても失業給付を受けることができます(Q5・A5参照)。
地震発生当初は、派遣や請負労働者のように事業所と就業場所が異なる場合、事業所(派遣会社)が営業休止・営業不能にならないと雇用保険の特例措置が適用されないという相談が連合に寄せられました。そこで、今回の被害の重大さを踏まえた連合の要請を受けて、厚生労働省が全国の労働局に通知しています。
「激甚災害時における特例措置に係る事業所の取扱いについて」(2011年3月18日 職業安定局雇用保険課)
雇用保険の失業手当の特例措置(激甚災害と指定されたことに伴い、事業所が直接的な被害を受け、賃金が支払われない場合、実際に離職していなくとも雇用保険の失業手当を支給できる)について、就業場所が、請負現場や労働者派遣事業の派遣先である労働者も対象となることを明確化
雇用保険受給の相談や手続きは、原則として居住地を管轄するハローワークで行いますが、この度の震災で被災された方の場合は、他のハローワークでも行うことができます(2012年3月10日まで)。
なお、派遣元(派遣会社)が営業を続けている場合は、雇用保険の手続きをする前に、別の就業先を確保してもらうようにしてください。
「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第137号)
では、派遣契約の期間満了前に派遣労働者の責めによらない事由で派遣契約が解除された場合は、新たな就業機会の確保をはかること、それができない場合には休業措置と休業手当を支払うこと、やむを得ず解雇しなければならない場合でも、労働基準法や労働契約法を守ることが定められています。
「通勤災害」とは「労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡」と定義されています(労災保険法第7条1項2号)。また、「通勤」とは、「労働者が、就業に関し、以下に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除く」とされています(労災保険法第7条2項)。
Q7のケースは、業務に就くために「工場」へ「通勤」する途中の事故であり、往復行為が業務と密接な関連性をもって行われている(就業関連性がある)と判断できます。
今回の移動は、上記①「住居と就業の場所との間の往復」のケースにあてはまります。
「工場」は、業務を開始し、または終了する「就業の場所」であると理解できます。
「住居」とは、一般的には労働者が現実に居住し、日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点を言います。ただ、「自然現象等の不可抗力的な事情により、一時的に通常の住居以外の場所に宿泊するような場合には、やむを得ない事情で就業のために一時的に居住を移していると認められるので、当該場所を住居と認めてさしつかえない。」(昭48・11・22基発644号)とされており、避難所も、「住居」とみなされます。
次に「合理的な経路及び方法」ですが、定義は「当該住居と就業の場所との間を往復する場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路および手段」となっていますが、必ずしも1つの経路や方法に限定されるわけではありません。震災前とは異なる経路で、自転車で通勤する場合、震災前に会社に申請している内容とは異なる通勤経路・方法であるものの、利用した経路・方法が一般に考えられるものであれば「合理的な経路及び方法」となります。
労働基準法26条では、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合は、平均賃金の6割以上の休業手当の支払いを使用者に義務付けています。ただし、Q6のような、天災地変などの不可抗力により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、休業した場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」には当たらないと考えられます(Q3・A3、Q4・A4参照)。
もちろん、これは労働条件の最低基準を定める労働基準法の取扱いです。労働協約や就業規則で別途、賃金や休業手当等について定めている場合は取扱いが異なります。労働組合としては、労使協議で休業手当等の支払を求めることが大切です。
●雇用調整助成金の活用
今回の震災を受けて、雇用調整助成金の支給対象・要件が緩和され、東北地方太平洋沖地震被害に伴う経済上の理由で事業活動が縮小した場合についても利用することができるようになっています。
具体的には、「最近3か月の生産量、売上高等がその直前の3か月又は前年同期と比べ5%以上減少している雇用保険適用事業所の事業主」が対象となります。さらに、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県のうち災害救助法適用地域に所在する事業所の場合には、「最近1か月」に要件が緩和されています。
雇用調整助成金制度は、事業主が休業させる労働者に対して支払う賃金や休業手当について、中小企業ではその5分の4、大企業ではその3分の2を助成するものです(上限は日額7,505円)。こうした制度も活用し、労使で雇用の維持と休業時の賃金保障に取り組むことが必要です。
今回の震災に関連した制度の活用事例としては、①従業員が出勤できない、原材料の入手や製品の搬出ができない、来客が無い等のため事業活動が縮小した場合、②事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復が不可能であり生産量が減少した場合、③避難指示など法令上の制限が解除された後においても、風評被害により観光客が減少したり、農産物の売り上げが減少した場合、④計画停電の実施を受けて、事業活動が縮小した場合などが挙げられています。
雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動が縮小している場合が対象となります。上に掲げた①~④はあくまでも例示であり、「経済上の理由による事業活動の縮小」はこれに限られるものではなく、個別に判断されるものです。取り組みにあたっては、ハローワークで制度の仕組みについて確認し、ご相談下さい。
●失業給付の特例
また、今回の震災は激甚災害法の激甚災害に指定され、震災による事業所の損壊等により、賃金支払いを受けられない労働者に対して失業手当を支給する特例が設けられています(Q5・A5参照)。ただし、注意が必要なのは、この制度の適用を受けると、それまでの被保険者期間は通算されずにリセットされ、復職した場合には被保険者期間がゼロから始まる点です。
有期労働契約については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの中途での解雇はできないとされています(労働契約法17条)。
<労働契約法第17条1項>
「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」
この「やむを得ない事由」については、厚生労働省から行政解釈が出されており、「法第17条第1項の『やむを得ない事由』があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、契約期間は労働者及び使用者が合意により決定したものであり、遵守されるべきものであることから、『やむを得ない事由』があると認められる場合は、解雇権濫用法理における『客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である』と認められる場合よりも狭いと解されるものであること」(平成20.1.23 基発0123004号「労働契約法の施行について」)とされています。つまり、有期労働契約の中途解除(解雇)については、期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されます。
Q9の場合は、震災の影響とはいえ、主要な取引先のうちの1社との取引が難しくなるというもので、契約期間が満了するまでの間に労働者を解雇する「やむを得ない事由」があるとまではいえないと考えられます。なお、この場合、解雇は無効となり、解雇後期間が経過してしまった場合は、少なくとも、その期間に支払われるはずだった賃金相当額を使用者は労働者に支払う義務があります。
労働者が勤務先に対して有する未払いの賃金などの賃金債権(退職金規程があるときには退職金を含む)は「先取特権」として保護され(民法308条、306条)、倒産手続の中では優先的に保護する規定が定められています。下記の未払い賃金の立替払制度と雇用保険の失業給付の受給手続き(Q5・A5参照)を参考にしてください。
未払い賃金立替払制度の活用
勤務していた会社が倒産し、賃金が支払われないまま退職した場合には、「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃確法)に基づき、国から未払い賃金の立替払いを受けられる制度があります。これは、労災保険制度の社会復帰等促進事業の1つです。
立替払いを受けることができるのは、①1年以上事業活動を行っていた事業者が倒産した場合で、かつ、②労働者が倒産について裁判所への申立て等又は労働基準監督署への認定申請が行われた日の6ヶ月前の日から2年の間に退職した場合です。
事業者の倒産という要件については、破産、特別清算、民事再生、会社更生の法律上の倒産はもちろんのこと、中小企業については、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない状態である場合にも、事実上の倒産として要件を満たすこととなります。この場合には、労働基準監督署長の認定が必要となりますので、労働基準監督署に認定の申請を行って下さい。
なお、今回の震災を受けて、被災地域における労働者等の事情を踏まえた対応として、申請に必要な書類の簡略化等について、厚生労働省が下記の通知を出しています。
平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う未払賃金の立替払事業の運営について(基発0323第4号/2011.3.23)
立替払いの対象となる未払い賃金は、労働者の退職日の6ヶ月前の日から立替払い請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職金です。ボーナスや解雇予告手当、実費弁償としての旅費等は含まれません。また、未払い賃金の総額が2万円未満の場合には対象とはなりません。
立替払いが受けられる額は、未払い賃金額の8割です。ただし、退職日の年齢が30歳未満の場合には上限88万円、30歳以上45歳未満の場合には上限176万円、45歳以上の場合には上限296万円と上限額が設けられています。
未払い賃金立替払制度についての手続きの詳細やご相談については、最寄りの労働基準監督署または独立行政法人・労働者健康福祉機構にお問い合わせください。
労働契約法では、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権を濫用したものとして無効であると定められています(労働契約法16条)。
震災を理由とする解雇についても、震災に乗じた「便乗解雇」は許されません。
Q11のような場合は、人員削減のための整理解雇であると考えられます。このような整理解雇についても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、権利の濫用として無効になります。整理解雇の場合は、具体的には、①人員削減の必要性、②解雇回避の努力、③解雇対象者の人選基準の合理性、④労働組合等との協議や労働者への説明など手続の妥当性の4つの要件(整理解雇の四要件)を満たす必要があります。
以下、この整理解雇の4要件について、もう少し詳しく説明します。
解雇や労働の問題で、ご質問やお困りのことがあれば、
「連合なんでも労働相談ダイヤル フリーダイヤル 0120-154-052」にお電話下さい。
一人でも入れる労働組合の紹介や、労働組合づくりのお手伝いもします。
労働基準法では、労働者を解雇しようとする場合は、使用者は30日以上前に解雇の予告をするか、予告できない場合は平均賃金30日分以上の解雇予告手当を支払わなくてはならない、と定められています(労働基準法第20条)。
ただし、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に、労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告や解雇予告手当の支払は不要とされています。
この「天災事変その他やむを得ない事由」とは、天災事変のほか、天災事変に準ずる程度の不可抗力によるもので、かつ、突発的な事由を意味し、経営者として必要な措置をとっても通常いかんともし難いような状況にある場合を意味するとされています。また、「事業の継続が不可能になる」とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合を意味するとされています。
<労働基準法第20条>
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなくてはならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合はこの限りではない。」
Q12の場合は、震災の影響とはいえ、会社の建物にも少しの破損があったというものであり、「天災事変のやむを得ない事由」により、「経営者として必要な措置をとっても通常いかんともし難いような状況にある場合」「事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合」とまではいえないと考えられます。震災の影響があったからといって、解雇予告や解雇予告手当が自動的に不要になるわけではありません。
なお、労働基準法第20条のただし書きは、あくまでも解雇予告や解雇予告手当の問題であり、解雇が法的に有効なのか無効なのかとは、必ずしも直結しません。「震災だから」ということだけで解雇が有効になるものではありません(Q11・A11参照)。
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