年頭記者会見 2024年1月5日

 

連合記者会見

年頭記者会見

芳野会長、松浦会長代行、石上会長代行、清水事務局長(2024年1月5日)

連合記者会見全文
芳野会長

 お疲れさまでございます。年頭記者会見に足をお運びいただきまして誠にありがとうございます。昨年中は定例記者会見をはじめ、連合の様々な取り組みをご取材いただき本当にありがとうございました。本年も引き続き皆様にご関心を寄せていただき、たくさん取り上げていただけるよう取り組んでまいりますので変わらぬお付き合いをお願いしたいと思います。 はじめに、1月1日に発生しました能登地震においてお亡くなりになられた皆様に心からお悔みを申し上げます。多くの方が負傷され、建物の倒壊やインフラの損壊など甚大な被害が発生をしております。あわせてお見舞いを申し上げます。現時点における連合としての見解につきましては、昨日会長声明を発出しておりますので、そちらをご確認いただければと存じます。その上で、安否の分からない方がまだいらっしゃるとのことですので、一刻も早い救出を切に願っておりますし、被災地の復旧・復興に向けて関係各所のご尽力をお願いしたいと思います。このような状況を踏まえ、本日開催予定の新年交歓会につきましては新年互礼会とし、プログラムなど大幅に変更して開催することといたします。詳細につきましては事務局にお尋ねいただきますようお願いいたします。
 さて、年が明けて2024春季生活闘争の具体的交渉が本格的にスタートをいたします。日本が長く続いたデフレから本当に脱却することができるか否か、その鍵は2024春季生活闘争で賃上げが実現するかどうかにあります。2023闘争では30年ぶりの高水準の賃上げが実現をしました。2年連続かつ前年をさらに上回る水準で賃上げが実現するということがとても大事です。まさに正念場となります。2024春季生活闘争は、価格転嫁、価格交渉、環境整備がキーワードです。それぞれの主体がやるべきことをやるという強い意思を持って取り組んでほしいと思います。連合としても機運醸成に向けて最大限に努力をしてまいります。
 労働組合があることによって賃上げが実現しやすくなるということが明らかになっています。その意味では昨年末に公表されました労働組合の組織率の低下は深刻に受け止めなければなりません。連合としては組織拡大プラン2030の達成に向けて地道に努力してまいります。組織化は職場の労働相談をきっかけに行われることが多いわけですが、課題が解決された後も労働組合が存在していくことが重要です。労働組合は単なる労使紛争処理関係ではなく、自分たちの働く環境をより良くするために働く者が協力して主体性を持ってチャレンジする場です。労働組合の価値をしっかりと伝えることにも力を尽くしていきたいと思います。ウクライナ問題、中東問題をはじめ、世界が不安定な状況が継続をしています。特に暴力や抑圧による人権侵害には断固として反対し続けなければなりません。平和なくして労働運動なしという普遍的な価値も引き続き訴えて参りたいと思います。
 結びに、皆さまのますますのご健勝を祈念いたします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

質疑応答[1]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 地震の影響についてどういうふうにご覧になってるのか確認したいんですが、東証の株価は今日・昨日に比べると戻してるようですけれども、この地震の影響が春闘に何らかあるのかどうか、そのへんの現在の見通しについて会長にお聞かせ、教えてください。 あと、せっかくの機会なので、松浦さんと石上さん、それぞれ例えば流通関係の組合が今回の地震でどのくらい影響を受けてるのかとか、あるいは自治体労働者がどんな状況になってるのかってあたり、どんなふうな情報を今の段階で把握されてるのか、分かってる範囲で教えていただければと思います。

A.(会長)

 現在、被災地の状況について地方連合を通じて確認をしているところでございます。おそらく2月から3月にかけて春季生活闘争について具体的な交渉が進んでいくかと思いますが、被災地についてはまず復旧・復興が最優先だというふうに認識をしています。その上で、やはり春季生活闘争は2月3月で終わるのではなく4月5月も中小が続いていきますので、交渉がそのタイミングでできなかったとしても、復旧・復興を優先し、その後に労使でしっかりと処遇改善に向けた協議が再開をされることに期待をしたいと思います。

A.(松浦会長代行)

 UAゼンセンとしての状況ということで、能登半島の特に先端の方向に向けてはあまり私どもの店舗が多くあるわけではありません。また、事業所もあまり、本当に一番甚大であったところには大きな事業所はないというところではありますが、やはり流通関係、数店舗で被災をしているという状況は今のところまだ集約途中ですが、そういう情報は入っています。人的被害については今のところ報告は入っていないという状況であります。また、石川県だけではなくて富山の沿岸部あたりも液状化等々あるようで、あちらのほうは繊維の産地も多くありますので、そちらのほうの影響、いつ操業が再開できるかというところも注目をして見ていかなければいけないと思っています。

A.(石上会長代行)

 私は自治労という立場で、2日から現地の情報を把握しようと動いていますが、新潟と富山についてはほぼ把握をし、組合員の人命に対する影響はなかったということで聞いております。石川については、全容がまだ把握できていないという状況で、単組にも問い合わせをしていますが、本当に能登の一番先端のほうからは、ほぼ返事が返ってこない状況です。元旦から、職員、市町村職員、県の職員含めて、大変な状況になっているのではないかなと思ってます。ただ、病院から一部メールが入りまして、その中身で言えば断水と電気が通っていないことで病院の運営がかなり厳しい状況になっていて、そこに多くの怪我人や、あと生命のその状況が分からない人たちが運ばれてくるというような状況で、かなり混乱をしているということです。現状、陸上でもそこに行くことができませんので、我々としても掴み切っていないというのが実態です。

質疑応答[2]
Q.(ブルームバーグ・ヨコヤマ氏)

 芳野会長にお伺いします。2024春闘では昨年よりもさらに高い目標を掲げているということで認識しているんですけれども、現時点で昨年と比べてどの程度手応えを感じていらっしゃいますでしょうか。お答えいただければ幸いです。

A.(会長)

 これから加盟組合の要求が決まり、2月3月で交渉に入ってきますので、手応えということであればもう少し先になってくるのかと思います。ただ、今回、1月2月に地方版の政労使会議が開催されることになりました。2024春季生活闘争は中小がどれだけ賃上げができるのかということと、地方の中小がどのくらいできるのかということがポイントになるかと思いますので、この政労使会議を通じながら、人手不足も含め、労務費を含めた価格転嫁の取り組みができるということを期待し、2月から、中小ですと4月5月ぐらいまで交渉が続くかと思いますので、そこに期待をしたいと思います。

質疑応答[3]
Q.(NHK・ゴトウ氏)

 芳野会長にお伺いしたいんですけれども、先ほどの地震の関係のご質問に続いてちょっと関連してなんですけれども、連合全体としては5%の賃上げを求めていくっていうことですけれども、これ被災地に関してもそこは継続して求めていくっていうことなのかっていう認識でよろしいのかっていうところと、もう1点、あと今後機運醸成に向けた行動が行われると思うんですけれども、そういったところに地震の影響って何か出てくる可能性っていうのはあるんでしょうか。この2点をお伺いできればと思います。

A.(会長)

 連合の目標は5%以上となっていますので、その目標に対して構成組織が目標を掲げ、そしてそこの加盟組合がこれから具体的な目標を定めていくかと思います。連合としては現時点では目標を変えていませんので、そこに期待をしたいと思いますが、現場現場によってそれぞれいろんな状況がありますので、その状況判断を連合としては尊重していきたいと思います。

質疑応答[4]
Q.(テレビ東京・オガワ氏)

 今おっしゃっていた5%以上の目標ということだったんですけれども、それを達成するために機運醸成、具体的にはどんなことを連合さんとしてはしていきたいというのがあるか教えてください。

A.(会長)

 1つ目には先ほど申し上げた地方版の政労使会議があるかと思います。そこの議論と言いますか、賃上げに向けての心あわせに期待をしたいということが1つ。それと「連合アクション」ということで街宣行動や集会等も予定をしておりますので、そこで労働組合のない職場の皆様にも今回の賃上げが波及できるように機運の醸成に向けて取り組みを強化していきたいと思います。

Q.(テレビ東京・オガワ氏)

 ちなみに、賃上げが30年ぶりの水準で前回は達成されたということなんですけれども、現状まだそれが行き届いていない業界や業種などの課題となっているところがあれば教えてください。

A.(会長)

 今言われているのは建設業ですとか運輸業ですとか、人手不足感も含めて非常に厳しいということが言われています。また、中には2023赤字で、見通しが立たなかったという個別の組合もあるかと思いますので、春季生活闘争は1年単位ではなく継続していくことが非常に重要かと思います。2023なかなか難しかったところについては2024に期待をしたいと思いますし、賃上げだけではなく、まだ難しい状況であれば、処遇改善に向けて労使で議論をしてほしいと思いますし、2025に続くような協議も期待をしたいと思います。

質疑応答[5]
Q.(共同通信・タカノ氏)

 2点あるんですけれども、1つ目は物価高の影響を大きく受けている方々への取り組みについて伺いたいんですが、昨年末、各地で支援団体の食料配布など行われていましたけれども、そこでは仕事はあるけれども生活が厳しい、貧しいという方が多く並ばれていたというようなことを聞いております。連合としてはこういったワーキングプアと言えるような方々の所得向上に向けて、春闘の中で、あるいは通年通してでもですね、どのように取り組んでいかれるおつもりかお考えを会長にお願いします。

A.(会長)

 まず、地域の取り組みについては地方連合会との連携が非常に重要かと思います。地域によってはフードバンクですとか、こども食堂ですとか、地域に根ざした活動を展開していただいています。その上で、ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、地方版政労使会議の中でそれぞれの地域の実情についてそれぞれが共有化していくことが非常に重要かと思いますので、そこに期待をしたいと思います。その上で、その機運の醸成というものが非常に重要ですし、労務費を含めた価格転嫁というものが中小・零細企業のところでどのくらいできるのかということが重要かと思いますので、大手企業の調達部門にまで落とし込んで、しっかりと取り組みを強化していただきたいと思いますし、労働組合サイドからも交渉の中で自社がどういう取り組みをしているのかということをチェックしていただきたいと思います。

Q.(共同通信・タカノ氏)

 震災の関係なんですけれども、声明の中で政府への要請活動もしていくということだったんですけれども、雇調金の活用とかですね、具体的にもし想定されてるものがあれば伺えますでしょうか。

A.(会長)

 現在、被災地と連携を取りながら状況を把握してるところですので、それが一定程度できたところで具体的な取り組みについて検討していきたいと思います。ちなみに連合本部の中で対策本部を設置いたしましたので、この対策本部を中心にこれから具体的に連合本部として、また地方連合会と連携する中で、具体的に何ができるのかということも話し合っていきたいと思います。

質疑応答[6]
Q.(読売新聞・ソバタ氏)

 この後の互礼会に岸田総理がお越しになるかと思いますが、3年連続ということで、会長の受け止めをお願いいたします。

A.(会長)

 このような状況の中でお越しいただけるということについて、感謝をまずはしたいと思います。その中で、国際水準である政労使の対話というものが今重要視されている中で、政府代表として総理がお越しになることについては、連合としては評価させていただきたいと思います。

Q.(読売新聞・ソバタ氏)

 政治分野に関して、年頭の記者会見なのでお伺いするんですけれども、連合は政権交代可能な二大政党的体制めざされてるかと思いますけれども、現状、立憲民主党と国民民主党に分かれている状況です。会長としてこのような現状をどのように見ておられるかと、この二大政党的体制の実現に向けて連合としてどう行動していくのか教えてください。

A.(会長)

 連合としては立憲民主党・国民民主党と連携を取っていくということで、引き続きトップ懇を含めて様々な課題について共有化をはかっていきたいと思います。私としては大きな塊というものは諦めていませんので、対話を通じながら模索を引き続きしていくということかと思います。ただ、今、政府の状況がああいう状況ですので…自民党と言っていいかもしれませんが、ある意味野党としてはチャンスといえばチャンスですので、国民からの政治に対する信頼回復に向けて野党がしっかりしていくことは国民が期待をしているところだと思います。そういったことも含めて両党と共有化しながら模索をしていきたい思います。

質疑応答[7]
Q.(朝日新聞・カタダ氏)

 中小企業の価格転嫁について会長に伺います。取材しておりますと、原材料費の転嫁はできているものの労務費の転嫁はやっぱり難しいというような声が大きい中でですね、政府の指針が出るなどしておりますけども、そういった連合から各組合への指示であったりとか、取り組みで考えてることがあれば教えてください。

A.(会長)

 連合としましては、ガイドラインを職場にどれだけ落とし込めていけるかということになるかと思いますので、構成組織を通じて職場への徹底をお願いしたいということと、あと政府と言いますか、公取委に対しては地方でなかなかこの取り組みの内容が周知できていないとことも漏れ聞いていますので、説明会を含めて地方の中でこれがしっかりと落とし込めるような取り組みを強化してほしいと思います。

質疑応答[8]
Q.(時事通信・ミフネ氏)

 2点お伺いしたいんですけれども、1点目が芳野会長が先月の記者会見で、市民連合が仲介した共産党との会合について立憲民主党に対して参加しないよう求めていたことについてなんですけれども、岡田幹事長は今後も参加する意思を表明されています。今後も構成組織や組合員に不安が広がる可能性も否定できないと思うんですけれども、受け止めをお伺いできればと思います。

A.(会長)

 連合としては引き続き連合の考え方をお伝えしていくということになるかと思います。

Q.(時事通信・ミフネ氏)

 最近、立憲民主党の泉代表が他の野党と一致できる政策を実現するための、いわゆる「ミッション型内閣」というものの必要性を提唱しているんですけれども、昨日の記者会見では泉代表は維新も連立のメンバーに入り得るというようなことも言及されています。維新との連立は連合として受け入れられるのかどうか、その点含めお考えをお伺いできればと思います。

A.(会長)

 連合の方針からすると非常に厳しい判断になるかと思います。

質疑応答[9]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 今年の春闘はやっぱり異次元の、マーケットを含めて注目を集める歴史的な春闘だと。まあまあご存知のようにマイナス金利とリンクしてるわけですね。これは、芳野さんあるいはゼンセンの松浦さんに伺うんですけど、結局7年間この異常なことをやったおかげで非常に円安になって輸入物価が上がって、いま実質金利はマイナスですよね。そういうこと含めて、しかし労働組合として、さっき政労使とおっしゃったけど、このマイナス金利、これ以上続けていいものなのかどうか、やはりこれだけやっぱり賃金上がっても実質金利下がる、要するに諸物価上がってますね、そのへんも含めてこのマイナス金利の問題っていうものについてですね、芳野会長、実際小売のところのゼンセンの松浦さん、どういうふうにお考えになるのか、率直に伺いたいんです。

A.(会長)

 非常に難しい判断かというふうに思いますが、連合としては2024春季生活闘争に向けてしっかりと取り組みを強化し成果を出していくということが第一義的にあるのかなというふうに思います。

A.(松浦会長代行)

 私はいつもUAゼンセンの中では物価上昇がすなわち悪だというふうに捉え続けることが果たしていいのかという話もさせていただいていますが、健全な物価上昇でないといけない。今は完全にコストプッシュ型いわゆる輸入物価が上がっているということで為替が大きく影響しているということなので、これは健全な物価上昇とは言えないということなので、それは逆に健全な物価上昇にしていくということはやっぱり円安は是正をされなければいけないということだと思います。この円安の原因は日本の金利の問題があるというところで、いいのか悪いのかは別にして日銀は賃上げの結果を大変重視しているという言い方をしているということで言えば、やはりマイナス金利から出口を見出していくためにも賃上げが必要だというのが道筋なんだろうと思っていますので、これを社会的な共通認識にしながら、賃上げをすることによって円安が解消に向かっていくというところに繋げていくということも、この賃上げの意味合いをより積極的なものにしていくのではないかなと思っています。

Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 3月以降の集中日の回答とか考えますとね、その情報の出し方というのが、結構いわゆるマーケットとリンクしちゃって、これは実は異次元だと思うんです今までないような、やはりそれぐらい異常なことしてるわけですからこれまで、やっぱり非常に難しい局面にあると思うんですが、そういう意味で政労使あるいは日銀も含めてどういう、情報の出し方含めましてね、やはりかなり慎重に、しかもある程度何かコミュニケーションのある形で、金融当局含めましてね、僕はそれぐらいの実は3月4月なんだろうと、それぐらいの責任があるし、それは逆に言うと賃上げがそれだけ注目されると、そのへんについて何かお考えがあれば、かなり大きな節目になると私は実は思っていますけど、そのへんどう考えでしょうか。

A.(会長)

 まず共闘連絡会議の議論を充実させていくということは1つあるかと思います。その上で、やはりそれぞれの業界の状況を共有していく、それから情報提供していくということも1つあるかもしれません。

A.(松浦会長代行)

 そういう意味では、こんなに賃上げの結果が注目される年はない、私の経験上もないと思っていますし、この賃上げの動向というものがいろんな政策面も含めて影響を与えると思っています。今回は、より高く、より広く、賃上げを実現していくというところ、一部の大企業だけが賃上げするのではなくて全体に賃上げが進むということが重要でありますし、そういう意味では大手に限らず中小の企業経営者も含めて、これからのビジネスモデルを本当に考えなければいけない、そういうタイミングの賃上げだと思っていますので、いろいろなことを私たちも、賃上げだけではなくて、こういうことも必要だ、ああいうことも必要だというところも重ね合わせながら、いろんなところで意見を表明していくことが必要だろうと思います。

質疑応答[10]
Q.(日経新聞・マツイ氏)

 芳野会長と松浦さんにお願いしたいんですけども、イオンが今春ですね、24春闘でパート時給について平均7%の賃上げを行うという方針を固めました。春闘全体への波及についてどういう期待をされるのかということと、あと経営の判断としてはかなり早いタイミングになりましたけれど、そのことに対するお考えもお願いします。

A.(会長)

 連合本部としては個別の加盟組合の取り組みについて何かコメントをするということは控えたいと思いますが、イオンの動きが全体的に良い意味で波及することは期待したいなと思います。

A.(松浦会長代行)

 今回の発表はイオングループの労使としてということでありますので、あえて申し上げればイオングループの個社の要求交渉結果というものは一定の時期に行われて個々に発表がされるということだということはまず前提として申し上げておきたいと思います。その上で、今回のイオングループの発表については、労使関係の中できちんと話がされて、労働組合側もこういうグループの方針で確認をしたという内容でありますので、そういう意味ではいろんな労使関係の中で企業が発表される場合もありますが、私としては、労働組合ときちんと意思疎通をした上でいろんな発表をしていただくほうが望ましいのかなと思っています。そういう意味では今回はきちんと労使関係の中で整理をされて発表されたということと、やはり昨年もイオンの賃上げが流通業界にとっては大変大きく影響したと思っていますし、特に今人材不足、パートさんもなかなか集まらないという中で、今回のイオングループの発表というものが、特に流通関係、これはサービス関係も含まれるかもしれませんが、パートの人材を多く活用しておられる企業にとっては、プラスの影響があるのではないかと思っています。時期については、事前にイオングループ労連から私のほうにはこういう時期に出しますという話はいただいておりました。全体の影響を考えた時に早めに出したいということでありましたので、それは了承したという次第であります。

質疑応答[11]
Q.(モリ氏)

 芳野会長にお尋ねしますけれども、最近、昨年以上に経営者の賃上げ意欲が大勢で、今のイオンも含めて7%8%やるとか、今日も証券会社ですけども、若手について16%ですか、やるっていうのも出てますね。それから、初任給がほぼ軒並み上げてるような感じなんですけどね、この若手及び初任給を上げることについて会長はどう見ておられるのか。これ今後の賃上げへの影響もあるでしょうし、それから賃金体系への影響もあると思うんですね。どう見ておられて、組合としてはどう対応していくべきなのか、もっと初任給を上げろというふうに動くべきなのか、初任給はあんまり交渉してないと思うんですけども、その辺ちょっとお尋ねしたいんですが。

A.(会長)

 やはり企業が活性化していくためには若い人たちの活躍というものが非常に大きいのではないかと思います。その意味では、日本の賃金、世界に比べて非常に低いですので、若い人たちが海外に出てしまっている実態を考えれば、初任給を上げていくというのは必要かと思います。その上で、労働組合があるところは初任給が上がればもちろんその賃金体系見ていきますから、是正もかけていくかと思いますので、それは労使の中で実在者の賃金カーブを見ながら是正をかけていくということは必要ではないかと思いますし、そうした取り組みに期待をしたいと思います。その上で、全体的にベアを獲得して水準を上げていくということがとても重要ではないかと思います。

Q.(モリ氏)

 3月の一斉回答、第一陣ですね主要組合の、これはもうあれでしょうね、今のもうすでに経営側の経団連の会長も、賃上げ賃上げなんて、何かどっちが組合かわかんないようなこと言ってるんですけども、会長としてはどうでしょう、もう基準で挙げておられる5%以上、ベアとして3%以上、これはもう必達であると3月の第一陣は、これは必ず守ってほしいとお考えでしょうか。

A.(会長)

 連合の目標は5%以上ですので、そこに期待をしたいと思います。

質疑応答[12]
Q.(日経新聞・ハンザワ氏)

 松浦さんにちょっとお尋ねしたいんですけれども、いわゆる賃上げと物価の高循環にきっちり乗るかどうかっていうのは本当に重要な局面だと思います。基本的にはその賃上げ、物価も適正に労務費は転嫁して上がっていかなきゃいけない。ただその流通のほうで、サービスは少し上がってきてますけど、小売のほうですね、スーパーとかでやっぱりこう物価高を配慮して値下げをする、PB(プライベートブランド)を増やす、実質的に上がっていかないとかですね、そういった動きも一部で見られます。このあたりはどう、労働者として難しいと思うんですけどね、その生活者を代表する立場でもありますけども、やっぱり適正な価格上昇っていうのは必要だと思うんですけど、このあたり小売の会社の経営戦略に対してどう注文というか、ご意見があるか、ちょっとお聞かせいただけますか。

A.(松浦会長代行)

 多くの方はご存知の通り、特に日経さんはご存じだと思いますが、プライベートブランドは当然一般的なメーカーブランドのものを販売するよりは、いわゆるそれで商売ができるような例えばその量であったり時期であったり、そういったものを工夫しながらメーカーさんにとっても利益が出るような形で、値段を一定の高さに抑えるという形を取っておられると私は承知をしています。ですから、今まさにその価格転嫁の指針が示されている、そういうことを無視するような形であってはいけないと思っていますし、多くの小売さんもそのことは認識をしておられると考えています。その上で、物価上昇と納入される企業さんがしっかり利益を出されるということと、それで物価を一定程度に抑えるということと、その三者のバランスみたいなものの中で価格が決まっていくというところだろうと思っていますので、当然各企業にとってみれば、製造メーカーからしても最大限合理的なものの作り方をして、それが売り値は抑えつつも利益が十分出ていくという形でやっていくのが理想像だと思っています。とにかく何でも値段上げればいいんだということにもならないと思いますし、まだまだいわゆる賃上げ、物価上昇を上回る賃上げというものが浸透していない状況でありますので、小売さんの経営者の皆さんも社会全般の賃上げがどうかというところも見ながら価格戦略も考えておられると思います。こうしたものがどのように回転をして好循環に結びついていくかということだろうと思います。なかなか簡単には言えませんが、そういうことじゃないかなと思います。

質疑応答[13]
Q.(NHK・シカノ氏)

 先ほども少しご発言いただいたかと思うんですけれども、今の政治の状況について、立憲民主党の泉代表ですとか国民民主党の玉木代表から、自民党の派閥の政治資金を巡る問題を受けて、野党間での協力ですとか、連携して政府・与党に対して対峙していくべきだという趣旨の発言が野党各党から出ていますけれども、こうした発言を会長としてはどのように受け止められているかというところをまず改めて伺わせてください。

A.(会長)

 連合としては、繰り返しになりますが立憲民主党・国民民主党と連携を取っていくという上で、政党が判断することについて連合としてはコメントを控えたいと思いますが、連合としては考え方がもう明確になっていますので、それを引き続きお伝えをしていくということになるかと思います。

Q.(NHK・シカノ氏)

 重ねてすいません、恐縮なんですけど先ほど泉代表が唱えている「ミッション型内閣」に関連して、日本維新の会については非常に厳しい姿勢というような言葉がありましたけども、これはどういった、もう少し、どういった理由でその厳しい姿勢という言葉を使われたのか、もう少し背景お願いできますでしょうか。

A.(会長)

 まず泉代表がおっしゃったことについてご本人から直接説明を受けていないので、そのことについてのコメントは控えたいと思いますし、連合の政治方針について、どこと連携をしていくのかということは明確になっていますので、その意味で維新との関係性については厳しい判断になるかと思います。

質疑応答[14]
Q.(東洋経済・クロサキ氏)

 先ほど松浦会長代行がイオンの賃上げについておっしゃられたことに関連してお伺いしたいんですが、先ほど別の質問でもありましたように、いま経営者がどんどん賃上げ、自社の賃上げについて発表されているものと、そのイオンでは労使の協議の上でグループとしての方針を出されたと、これやっぱり位置付けとして、または波及度としても違うものだというふうに受け止めでしょうか。イオンがそういうことが可能だった背景というのもお伺いできれば幸いです。

A.(松浦会長代行)

 先に後ろのほうのご質問から申し上げれば、イオンはグループの労働協約を統一化していくという作業をずっとこの数年間してきたというところにもとづいて、昨年から今年にかけてはグループ全体としての方針をまず出すという形で進めてこられたというのが背景でありますし、業界の中での位置付けからしても率先して賃上げを進める方向に出していくというところは、労働組合側からもそのような考え方で経営とも同じ目線でやってこられたということだと思っています。
 いろんなパターンがあると思います。私もすべてのパターンを知ってるわけではなくて、他産別さんのパターンはあまり存じ上げないですが、中には直前に組合に対してこういう発表するからという話だけ持ってこられるケースもあったりします。それは組合のほうとしてはなかなか受け止めに困ることがあるのですね。これは個別の組合、労使関係内部の話になるかもしれまませんが、「組合はちゃんと交渉してるのか」という話になるわけです。そういう意味では組合ときちんと話し合いをした結果こういう方針でいくんだという形にしていただくのが、これからの労使関係、個々の労使関係にとっても良いことだと思っています。経営者がこの数字をというふうに言われたからには、たぶんそういう回答をされるのでしょうが、やはりその後の労使関係であったり、組合員の組合に対する信頼とか頼りがいとか、そういうところにも影響しかねない。昔は、組合が無いがごときに振る舞って、むしろ組合の力を弱くするようなことも昔はあったと聞いておりますが、今はそういうつもりではないんだと思っております。どうせ発表されるのであれば組合としっかり話し合いをして、こういう数字で出しましょうという形でやっていただくのが、その後の労使関係にとっても良いことだと思っています。

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