2021春季生活闘争 第2回回答集計結果記者会見

 

連合記者会見

2021春季生活闘争 第2回回答集計結果記者会見

神津会長・相原事務局長・石田副事務局長・冨田総合政策推進局長(2021年3月26日)

連合記者会見全文
神津会長

 今日も対面とWebの併用方式でありますが、ご参集いただいたことに感謝を申し上げます。詳しい内容については後ほど冨田総合局長のほうからご説明をさせていただきます。私はかいつまんで、私なりにポイントと思しきところについてお話をさせていただきたいと思います。
 第2回の集計ですが、第1回の集計のときに申し上げたような、交渉当事者の大変な努力の結果がこの第2回の集計時点においても引き継がれているというふうに思います。これは昨年との対比で、この数字が低いことは事実ですが、このコロナ禍の足元において、私としては、よくこういう状況の中で交渉を重ねてこの回答を引き出している、と実感としても思っています。率としては、賃金の引き上げについて1.81%で、これは前回の数字を上回ってほしいなという願望も込めて申し上げたんですが、上回るということにまでは至らなかったわけですが、1回目の1.81を、奇しくも同じ数字で維持をしているということであります。2014年からの賃上げの流れの中で、昨年は前回集計を、1回目の集計を2回目が上回ったということでありますので、今後の推移を含めて、通常は、どうしても後続の比較的中小が多いところの数字は回を重ねるごとに下に行ってしまうというのが通例ですけれども、この1回目、2回目において何とかこれを維持しているという、このことは今後にさらに引き継いでいきたいということも思いとして述べておきたいと思います。それと、分配構造の転換ということを打ち出している中で、300人未満の数字が1.86で、やはり中小が大手を上回るという傾向はさらに際立ってあるということだと思いますし、また数字として集計の形では今回はお示ししていませんけれども、有期・短時間・契約等の労働者の個別の生データをお出ししていますが、その後の回答状況を見ても、もちろんばらつきがありますが、いわゆる正社員の賃金アップ率を上回る単価アップ率を引き出しているところもかなりあるということは見ていただけるかと思います。そういった状況で、回答を引き出している組合の数が、これは昨年同時期をむしろ上回っているということでもありますので、ここのところはそういった意味でコロナの影響がある中でもこれだけの回答を得ているということでありますし、今日は賃金に絞ったところでの交渉集計状況についての報告でありますけども、実際のところは様々な働き方全般におよぶところの交渉も展開をしているわけでありますから、そういったところも含めて改めて交渉当事者の努力には私の立場からも敬意を表しておきたいと思っています。そのことを申し上げて私のほうからの冒頭の一言といたします。よろしくお願いします。

冨田総合政策推進局長

 冨田でございます。皆様方のお手元に第2回集計結果のプレスリリースをお配りしているかと思いますので、まずこちらをお手元にご用意いただき、1枚めくっていただいた回答集計のところをご覧いただきたいと思います。今日は平均賃金のみの集計となっておりますのでそちらだけになりますが、まず①のところの全体の数字ですが、今ほど会長の神津からありました通り、全体では5,515円、率にして1.81%ということで、第1回集計を維持する形となっております。それから、その下の300人未満のところですが、額で4,737円、率で1.86%ということで、昨年対比につきましては記載の通りですけれども、こちらも第1回集計との対比でいきますと0.02%のプラス増となっております。それから、その下の「参考」とあります「賃上げ分が明確に分かる組合」の集計になりますけれども、こちらは全体では5,936円、賃上げ分にして1,655円、率で0.56%ということで、こちらは昨年対比で248円、0.11ポイントの増となっております。こちらも第1回集計との対比でいきますと、率は前回が0.55%でありましたので0.01ポイントの、1回目の集計からは増となっております。それから全体を見渡していただきますと、300人未満のところのその下にあります99人以下、一番規模の小さいところが、率にして賃上げ分で0.66%ということで、こちらは昨年を0.04ポイント上回る、そして前回対比で見るとこちらのほうは0.09ポイントの、ごめんなさい0.10ポイントのマイナスとなってございます。それから、次のページめくっていただきますと要求集計を、今回の最新の集計を出させていただいております。額にして7,969円、率にして2.76%ということで、昨年対比は真ん中の表の通りでありますが、前回対比でいきますと率にして0.02ポイント増となっております。組合数にしては551組合増となっております。それから、回答の引き出しにつきまして次のページにグラフを入れさせていただいております。次のページの下段のグラフのところに2013年以降の第2回集計結果の推移を入れておりますので、こちらを対比でご覧をいただきたいと思いますが、特徴的なところは20年の3月19日と21年の3月26日を比べていただきますと、第2回集計においては2年連続で中小組合の賃上げ率が全体を上回る結果となっております。それから、最後に「回答速報」のNo.6有期・短時間・契約等の労働者の賃金のところをご覧いただきたいと思います。こちらはそれぞれの各単組が引き出した回答の生データですが、回答日をご覧いただきまして、18日以降のデータが前回の第1回集計でお示ししたものからの更新分となります。全体見ていただきますと、2%を上回る、もしくは5%に届くような賃上げの回答の引き出しがなされておりますので、冒頭申し上げました通り、この有期・短時間の回答引き出しが一般労働者を上回るような傾向というのが続いているものというふうに受け止めていただければと思います。回答の中身について私からは以上です。

質疑応答[1]
Q.(朝日新聞・サトウ氏)

 朝日新聞のサトウです。今日はありがとうございます。中小が非常に健闘しているという状況はよくわかりましたが、それは要因として何が今現時点で考えられるのか、交渉の現場で例えば例年にはない取り組み、工夫とかが見られたとか、そういう特徴があれば教えてください。
 あと2点目は会長へのご質問ですが、今回の結果で1.81維持したということですけれども、元々連合として掲げていた旗というのは定昇2(%)、賃上げ2(%)で合計4(%)だったわけです。今回の結果1.81ということで、まだ途中段階ではありますが、非常に乖離も見られているのかなと思います、連合の目標からすると。確かにコロナの影響があったとはいえ、会長が今回始まる前には先進諸国との比較を引き合いに出されて、全然日本の賃金は低いということを主張されておりました。その点踏まえると、現場の奮闘を水差すつもりではないのですが、この状況に対しては会長としては先ほど冒頭では賃上げの流れを維持しているということなんですが、それ以上にその中身についてもう少し詳しくお話聞かせていただきたい。ありていに言うとこの結果で満足しているのかどうかというところをちょっと率直にお聞かせください。

A.(会長)

 2点目を今お答えしたいと思うので、1点目は冨田さんのほうから後でお願いします。
 連合として掲げている旗との対比で、数値が違うのはもうおっしゃる通りなので、したがって我々の掲げた方針の考え方からしても、それは満足ということにはやっぱりならないです。ただ逆風の中で、交渉当事者の努力については、私は率直に、そこは評価したいということです。それで、そうするとそこの間にそのギャップっていうのはどういうことなのかということなのですけれども、一言でいうと、政労使で考え方をしっかりと合わせてこの春季交渉の時期に臨むというのが今のいわゆる世の中の「春闘」において非常に重要なことだと思うのです。これはデフレをどうやって脱却するかという、60年を超える「春闘」の歴史の中でもこれまでにない取り組みなので、したがって2013年・14年の秋には政府の肝いりで政労使会議というものが持たれて、認識を合わせたということなのですが、結局ネジを巻く力がその時のものの慣性で、あとはそれに頼ってしまっているというんですか、やっぱり都度都度ネジ巻いていかないと、この種のものは社会全体がそういう認識を強く持って、とりわけ直接の政労使、社会対話の下ではじめてそういう社会的な認識が醸成されるということだと思うのですが、そこのところの途中途中のネジの巻き方がやっぱり弱い、ということはあると思います。ただ私どももあまり他力本願的な物言いで終始するというわけにいきませんので、交渉はもうそれぞれの交渉単位で精いっぱいのことをやってきているということでありますし、それともうひとつやっぱり要求と回答の乖離というのはある意味で付き物みたいなところがあるんですね、交渉ことなので。ただ我々決して高めのボールを、折り代を最初からカウントしてやるというような、そういう運動体とは思っていませんので、本当の意味で経済の好循環に結びつけるためには2+2の4が必要だ、ということからすると、やっぱりそういう社会全体の認識情勢というものがないと、やっぱり要求と回答の間の乖離というものはどうしても大きくなってしまう。そういった傾向も否めないのではないのかなというふうに思っています。

A.(冨田総合政策推進局長)

 1点目のご質問についてお答えしたいと思います。昨年と今年と比べて何かこう交渉のやり方ですとか何かその対話の仕方を変えたというようなご報告は特段を受けてはいないのですけれども、各それぞれの皆さんからの交渉状況などをお伺いすると、やはり今年1年で、やはりこの厳しいコロナ禍乗り切っていくためには例年以上に労使の対話の回数が非常に多かったということもあって、それらに対する組合員の努力や頑張りなどについてはやはり一定程度お互いが理解した上で要求を出し交渉のテーブルについているということですから、経営サイドのほうも回答を出すならば早く回答を出して、さらなるこのコロナ禍に対し乗り切るための体制を作っていきたいというような思いが、それぞれのところから構成組織の皆さんのお話を聞いていると、経営のご判断にあるというふうに聞いておりますので、そうしたことが今回の結果につながっているのではないかというふうに受け止めております。

質疑応答[2]
Q.(日刊工業新聞・ナワオカ氏)

 日刊工業新聞のナワオカと申します。中小が大手を上回るということもあると思うのですが、逆風の中いろんな頑張りがという要因もあろうかと思いますけれど、例えば1つ人手不足、こういう雇用過剰ではあるんですけれど、特に地方の中小企業で人手が足らないという中で「厳しい中でも賃上げを」というような声もちらほら聞こえるのですが、実際の労使交渉の中でそういう声とか、そういったものが連合さんのほうに上がっていたらちょっとご紹介いただきたいんですが。

A.(会長)

 交渉における声ということで私直接的に接しているということではないのですが、おっしゃっておられるような要因というのは、私はあると思います。分配構造の転換ということを我々としては強く主張し、そして生産性の向上がないとやっぱり原資が生まれない、ということも片や事実だと思うのです。そういう中にあっても、例えば日商の三村会頭も、要するに「防衛のために賃上げが必要」だという言い方を、まあそういう中小が大手を上回ることが必要だということを我々が特に強く主張しているそういった段階で、それは昨年であり、あるいは一昨年でありということですけども、要するに「企業として存続していくために必要な賃上げ」だというようなことをおっしゃった経過があります。だからそれは一方で生産性も上げて取引価格も上げてという取引慣行の是正も相まってということが必要なことになってきますが、しかしやっぱり人材を確保するというのは企業にとって生命線なので、そのニーズがあることは、今の足元においてもそれはあると思います。今コロナの問題一色みたいな形になっていますけれども、そういう潜在的なニーズが依然として強くあるということは事実ですし、業種業態によってこのコロナの影響の出方が違うこともご承知の通りでありますが、まさにですから、そういう意味で負の影響はないというところであるとか、あるいはむしろそういうその産業業種としてのニーズが高まっているというところもありますので、そういったところにおいてはなお一層のこと今こそ人材を確保しなきゃいけないと、そういうニーズが、全体の数字で薄まってしまっていますけれども、驚くような賃上げを、僕らが驚いてはいけないのだけども、かなり水準の高い賃上げが結果として出ているところというのは、そうやって人材を確保したいというそういうニーズが数字に結びついているということではないかなと思います。

質疑応答[3]
Q.(朝日新聞・サトウ氏)

 すいません今の質問に関連しますが、例年にない賃上げを獲得したようなケースというのは出ているんですか、現時点で。先ほど冒頭でNo.6で5%とか出ているとおっしゃっていましたけど、例えば例年にないぐらいというか初めてぐらいの数字を叩き出しているような会社というところは出ているんですか。

A.(冨田総合政策推進局長)

 はい、ありがとうございます。それは有期・短時間の中でという…(記者・中小と非正規)…中小と非正規、あのこちらに出ているのはそれぞれの個別の数字のものになりますので、それは年年あるので、ちょっと今ぱっと見ただけで昨年に比較して大きな数字がどの事例に当たるのかというのがなかなか難しいのですが、我々が個別の名前を聞いているわけではないのですが、中小企業の要求に対して非常に大きな1万円を超える額での要求に対して回答が出たというような事例などは聞いておりまして、ここなどを聞いてみますと、やはりコロナ禍の中で非常に短い時間の、就業できる時間も制限のある中で、要は時間当たりの生産性が上がったことに対する、経営のほうがそれに応えたというような事例が出たりですとか、あとはやはりeコマースの部分ですとか、事例もいくつか、前回もご報告あったかと思いますけれどもドラッグストアですとか総合家電みたいなところはむしろこの間の頑張りに非常に経営側が前向きに応えたいというようなこともあって例年以上に大きな金額の引き出しにつながっているという事例などは伺っているところです。

A.(会長)

 関連して申し上げると、さっきのご質問にも関わるのですけど、やっぱりかつて長いこと「中小って大手を上回れないよな」とか、あるいは「グループの中では子会社は親企業を上回れないよな」みたいな、我々から言うと悪しき常識と言いますか、悪しき慣行というか、やっぱりそれが長いこと続いていたわけです。だけど「それは違うよね」っていうのがここ数年の、私はこれ大きな特徴だと思うので、それは何も我々だけではない、答えを出すほうもそれは「決してそういうことじゃないね」ということだし、やっぱり本当の意味でニーズがあって、成果も上がっていて生産性も上がっているということであれば、さらに発展するためにそこはむしろそういうコロナの状況であっても、どうやって先につなげていくのかという意味で積極的な賃上げをしているという企業が、かつてに比べて相当目立ってあるということは事実だと思います。

質疑応答[4]
Q.(労働新聞・ヒラノ氏)

 労働新聞のヒラノです。賃上げから少し離れてしまうのですけど、この春闘の中で「つながらない権利」というものを要求して獲得したケースというのは伺っていらっしゃるでしょうか。

A.(冨田総合政策推進局長)

 労働時間に関する個別の集計については、次回行うことになっているのですが、申し訳ありません私どもが設定した、報告を求めた項目では「つながらない権利」を調査項目にしてないものですから、ちょっとご報告が入ってくるかどうかは今の段階では不明です。具体的な取り組みの中身に対して個別ご報告を求める回が、6月4日公表のタイミングでは報告があればお示しできるかというふうに思いますので、今しばらくお待ちをいただければと思います。

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