2021春季生活闘争 第1回回答集計結果記者会見

 

連合記者会見

2021春季生活闘争 第1回回答集計結果記者会見

神津会長・高倉副会長・酒向副会長・松浦副会長・坂田副会長・難波副会長・石田副事務局長・冨田総合政策推進局長(2021年3月19日)

連合記者会見全文
神津会長

 対面とオンライン、併用の形です。それぞれ多くの方にご参加いただきました。感謝申し上げたいと思います。第1のヤマ場についての集計結果ということでありまして、詳しくはまた後ほど。そして今日はそれぞれの共闘連絡会議の代表者も同席をさせていただいておりますので、また細かいニュアンスを含め、ぜひそちらのほうをお聞きいただきたいと思います。総括的にということで昨日段階での私のほうからのコメントも改めてお手元にお渡しをしていますので、そちらをご参照いただきたいと思います。私のほうからこの第1のヤマ場を捉えてのコメントということで、やはりコロナの影響が大きくのしかかる中で、やはり私としては、今日それぞれの代表者こちらに参っておりますけれども、やっぱり交渉当事者のこの苦労というのは並大抵のものじゃなかったと思います。そういった中で引き出した回答というのは、私はものすごく価値のあるものだと思っています。この間、何としてもこの2014年以来の賃上げの流れを断ち切るようなことがあってはならないということ、そして特に昨年から強調しておる分配構造の転換、この流れもむしろこれはよりしっかりとしたものにしていかなければならない。そのことに、私は、しっかりと交渉当事者の努力が形を伴って成果として得たというふうに思っています。今日は第1回目の集計ということでありますので、昨年も、全体集計の平均の数字は第2回目が第1回目を上回るという、これまでになかった傾向を出していますので、今日のこの内容も、規模の小さいところが大企業の賃上げ率を上回っている、あるいは有期・短時間・契約等労働者の単価のアップ率が、いわゆる正社員のそれを上回っているという、そういう傾向を維持していますので、全体の平均の数字は、これはさすがにコロナの影響の下での経済実勢を少なからず反映した数字ということではあるのですが、しかし先ほど申し上げたような賃上げの流れを断ち切らない、そのことにとことんこだわった上での交渉結果の集積だというふうに、私としては受け止めているということを申し上げておきたいと思います。あまり冒頭に時間を使ってしまうといけないので、私のほうからはとりあえず以上とさせていただきます。よろしくお願いします。

冨田総合政策推進局長

 総合政策推進局長の冨田です。皆様方に第1回の集計結果についてのプレスリリースお配りをしておりますので、そちらの2ページ目をお開きいただきたいと思います。まず最初に、一番最初の1.のところに月例賃金の賃上げを掲載してございます。①平均賃金方式での回答引き出しについては、額で5,563円、率で1.81%となり、対昨年比では記載のとおり、額で278円減、率で0.10ポイント減という結果になってございます。ただ一方で真ん中の表をご覧いただきますと、こちらが「賃上げ分が明確にわかる組合の集計」でありますが、こちらは額で6,607円、率で2.20%ということで、昨年同時期を上回る回答を引き出してございます。あわせてご確認をいただきたいのが、①にお戻りをいただきまして、真ん中の箱の中に99人以下の結果がありますが、99人以下の引き上げ率をご覧いただきますと、1.86%ということで一番規模の小さいところが一番高い引き上げ額を出しておりますし、真ん中のところに見ていただきますと、99人以下が2.25%ということで、すべての規模の中で一番高い賃上げを引き出しているということですので、こちらをご確認いただきたいと思います。それから3ページ目のところには、有期・短時間・契約等労働者の賃上げを入れてございます。時給ベースで加重平均では24.61円となりました。冒頭、先ほど会長の神津が申し上げました「正社員を上回る高い率」というのは、昨年の時給とこの賃上げ幅を割っていただくと参考値としての賃上げ率出てきますが、概算で2.38%ということですから、一般の組合員を上回る回答が引き出されているということになります。それからご参考までになりますが、4ページ目のところには今回までに要求を出した組合の集計値も入れてございます。平均賃金方式では額で7,988円、率で2.74%、第1回の要求集計の時のご報告が、率で2.6%でありましたので、この時点では最初の要求を上回る要求が進んでいるということもあわせてご報告させていただきたいと思います。私からは以上です。

高倉副会長(金属共闘連絡会議)

 金属共闘連絡会議の高倉です。よろしくお願いいたします。我々金属ものづくり産業ですけれども、第4次産業革命、デジタル化とか最近DXというような言われ方をされていますけど、大きな変革期にあった。その時にコロナの影響も重なって、企業戦略さらには我々の働き方など大きな今変化点を迎えております。金属共闘連絡会議としましては、日本経済の復興を金属産業がけん引していくためにも、産業・企業の競争力を向上させるための最大の源泉、これは働く人でありますから、「人への投資」を実現すべく強固な共闘体制のもとで今次闘争を強力に推進をしてまいりました。交渉の経過でありますが、組合からは賃上げを基軸とした「人への投資」を実現し、「底上げ」「格差是正」および日本の基幹産業にふさわしい賃金水準確立の必要性を主張し、めざすべき賃金水準への到達に向けた精力的な交渉協議を重ねてまいりました。経営側からは、産業・企業を取り巻く環境の激変や、コロナ禍の中で各企業の施策に協力をして業績回復に懸命に努めてきた組合員への感謝が示され、「人への投資」の必要性、このことは認識をするとしながらも、先行き不透明感から、とりわけ賃金改善に対しては極めて慎重な姿勢に終始したことから、交渉は回答指定日ギリギリまでもつれ込みました。組合といたしましては様々な課題が山積をし先行き不透明感の強い中だからこそ、我が国経済を個人消費がリードして底支えする強固なものへと転換することが必要であり、賃金改善を基軸とする「人への投資」が不可欠である、この認識に立って労使の果たすべき社会的役割と責任を実現していくことを訴え続けてまいりました。
 先行組合の回答状況および受け止めを申し上げます。賃上げにつきましては、回答を引き出した51組合のうち32組合が賃金改善分を獲得しており、厳しい交渉環境の中で金属部門としての共闘の相乗効果が発揮できたというふうに思います。金属産業にふさわしい賃金水準の実現に向けて、継続的な賃上げの獲得にこだわりを持って交渉を行った結果であり、不透明感が強い中においても、先ほど神津会長の思いがありましたけども、賃上げの流れを継続させる、人への流れ、「人への投資」の流れを途切れさせることなく継続することができたと思っています。要求額を組合規模別で見てみますと、総じて規模の小さい組合ほど高くなっており、中堅・中小労組がめざす賃金水準を掲げ、「底上げ」「格差是正」に積極的に取り組む流れが定着をしてきているというふうに判断をいたします。今後回答引き出しを行う中堅・中小組合においても賃上げにこだわり、要求した全組合での賃上げの獲得と、大手を上回る引き上げをめざして、「底上げ」「格差是正」を実現していきたいと思っております。企業内最低賃金協定について触れます。現時点で24組合が引き上げ、月額の引き上げ額の平均は1,213円となっています。企業内最低賃金の引き上げは、特定最低賃金を通じて、組合員のみならず金属産業で働く未組織の労働者、そして正規雇用で働く労働者の賃金の底上げにも寄与しておりますので、労働組合としての社会的責任を果たすものだというふうに思っています。今後、交渉協議で決定する組合においても、企業内最低賃金協定の締結の拡大と水準の引き上げに向けて強力に取り組んでいきたいと思っています。一時金については31組合が回答を引き出し、平均は年間4.94ヶ月というふうになっており、業績回復に向けた協力・努力に報いる最大限の回答を引き出していると判断をしております。その他、働き方の見直しや非正規雇用で働く労働者の労働諸条件の改善などにつきましても前進がはかられております。最後になりますが、今後、金属産業を支えている中小企業の回答引き出しが続きますが、賃金水準や人材の確保、育成、競争力強化など、それぞれの労使が抱える課題を積極的に議論し、めざすべき賃金水準に向けて積極的な賃上げ獲得をめざした取り組みを、金属共闘体制を強化をしながら進めてまいりたいと思っております。以上であります。

酒向副会長(化学・食品・製造等共闘連絡会議)

 ご紹介いただきました、化学・食品・製造等共闘連絡会議を代表してコメントさせていただきます、JEC連合の酒向でございます。どうぞよろしくお願いいたします。この共闘連絡会議は、UAゼンセンの製造産業部門ならびにJEC連合の石油エネルギー、化学産業全般ほか、フード連合、ゴム連合、紙パ連合、印刷労連、セラミックス連合という産別の皆さんの中での共闘連絡会議となっております。賃上げ要求におきましては、最低到達水準や年齢別の到達目標を設定し、絶対水準の引き上げならびに規模間や雇用形態間の格差の是正をそれぞれの産別の中で、春闘方針として掲げて闘いを進めております。業種の状況といたしましては、少しばらつきはあるものの総じてやはり業績の見方とか先行きの見通しについて厳しい見方がなされております。特に繊維部門や石油部門、化学関係でいきますと素材関係、あと化粧品ならびに外食用の食品やゴム製品などが非常に今厳しい状況であるということでございます。そういった影響もございまして、残念ながら要求段階で賃金の引き上げを断念するケースも、残念ながら昨年に比べて増加をしております。例えば私どもJEC連合におきましても、有額の賃上げの要求をしているところが現段階では62ということで、昨年の段階では91ございましたので、そういった部分は残念ながら下回っているという状況でございます。交渉におきましては、コロナの関係もありまして、有額回答なのかゼロなのかという熾烈な協議がされておりまして、例年よりも少し交渉が長期化しているところもあります。そういった中で、できるだけ前年比を下回らないように、この2014年から続く賃上げの流れを止めないようにということで必死にみんなで頑張って交渉している状況でございます。
 回答の状況といたしましては、賃金改善におきましては、残念ながら昨年に比べて半分ぐらいの実績という形に残念ながらなっているという状況でございます。一方では中小の交渉などはこれから本格化していくわけですけれども、要求の根拠をしっかりと作り上げる中では大幅なベースアップを獲得したような事例もございますので、格差是正につきましても一定の前進が見られるところだというふうにも認識しております。また賃金の引き上げが非常に厳しい中ではございますが、企業内最賃や労働時間や休日などの長時間労働対策ならびにテレワークの関連の手当てとか制度について、ならびに同一労働同一賃金や高齢者雇用、一部では同性婚の社内認定制度の設置とか、そういった部分で、様々な賃上げ以外の労働諸条件の改善にも積極的に取り組んでおります。最後になりますが、今後中小も含め交渉が本格化していくわけでございますが、冒頭申し上げましたように、できる限り前年からの流れを止めないように、皆でしっかりと心を据えて、引き続き交渉に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。以上です。

松浦副会長(流通・サービス・金融共闘連絡会議)

 流通・サービス・金融共闘を代表して現状況についてコメントを申し上げたいと思います。流通・サービス・金融という幅広い業種の中ではありますが、やはりサービスに関わる業種ということでいえば、例えばホテルであるとかレジャーであるとか、それから外食であったりというふうなところでは、大変やっぱりこの新型コロナの影響で相当に深刻な影響を受けているという業種でありますし、金融関係も決して今いい状況ではないという環境があります。一方でいわゆる「巣ごもり」といわれる消費ということでいえば、食品スーパーであったり、家電量販であったり、そういった小売りの世界ではまあまあ堅調な業種もありますし、ただ一方外出自粛なので、服とか靴とかが全然売れないので総合スーパーは必ずしもいいわけではない、トータルすれば、どちらかと言うと専門店的なところのほうが比較的良いと、そんな環境でございます。そういう中で今次交渉を進めてまいりました。実は私どもの共闘連絡会議の中では、第1のヤマ場で交渉を終えるという組合はそう多くありません。今聞いている中では生保労連の中でいくつか交渉が進んでいるという話を聞いていますが、少し特徴的なのは、やはり生保労連の中ではテレワークに関して様々な制度改善が進んでいるというふうな話を聞いているところでございます。各種手当とか、テレワークの環境、そういった部分で取り組みが進められたというふうに承っております。この第1のヤマ場でやっぱり多くの組合が取り組んでいるのは、私の出身のUAゼンセンということになるわけでございます。UAゼンセンについては、先ほど申し上げた小売りの関係、それからホテルだとか外食だとかというサービスの関係があるわけで、ここはもうやはり色濃くこの今の環境というものが出ているというふうに思っています。少なくとも、特別に深刻な業種、これはちょっと別に置きながらも、それぞれ影響があっても前年の数字にこだわっていこうと、先ほどJEC連合の酒向さんからもUAゼンセンの製造含めて前年並みという部分にこだわってやっていくと、これはUAゼンセンとしてもそういうことでやってきたわけでありますし、まあ悪くないところはやっぱり上積みをめざそうということでやってきました。そういう意味で、食品スーパーであったり、総合スーパーも頑張りましたし、それからいわゆる専門店、家電量販だとかという、それからドラッグ、チェーンドラッグといったところもそれぞれ鋭意交渉に取り組みまして、正社員としてはこういった業種を中心に流通関係では前年を上回るという形で妥結が今のところ進んだというところであります。これは正社員の話でありまして、パートタイマーについてはやっぱり一つ大きな去年との環境の違いというのは最低賃金の引き上げの幅が随分とやはり去年とは違っているということであります。当然各地域の地賃の引き上がり方というところは各企業のパートの時給設定には大きな影響があると。これは張り付いているというわけではなくて、やはり採用を含めた、地域の中での優位性を保つということでいえば、その影響があるということでございます。ここがまあ発射台と言いますか、土台と言いますか、最低賃金のほうが大きく上がっていないという環境がございました。そういう意味では、それプラス交渉で上げていく部分ということになりますので、今回そこは非常に昨年並みとか昨年を超えるというのは難しい環境、その中でしかしながら、店先で、売り場で顧客にこういうコロナの環境の中で様々な変化に対応しながら事業活動に貢献をしてきたと、これは正社員であってもパートタイマーであってもまったく同じである。そういう中で、このパートタイマーの時給に関しても、少なくとも正社員程度あるいはそれ以上のやっぱり賃上げをする必要があるというスタンスで取り組んでまいったところであります。今、連合集計の中でもこの私どものグループのパートの時給が大きく反映をされているかというふうに思っております。その成果という形で現れたのかなというふうに思っておりますし、UAゼンセンの流通小売業の集計としても、正社員を、昨年までほどの差はないにせよ、正社員を上回る形でのこのパートの時給の引き上げが進んでいると、そんな状況をご報告しておきたいと思います。以上です。

坂田副会長(インフラ・公益共闘連絡会議)

 インフラ・公益共闘連絡会議の坂田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうから当部門におけます現時点での回答状況につきましてご説明ご報告を申し上げたいと思います。当部門におきましてはインフラ産業など民間で働く仲間の皆さんをはじめ、公務で働く仲間の皆さんが多く結集しておりますけれども、現時点におきましてはインフラ産業を中心とした説明になるということをあらかじめご了承いただければというふうに思います。まずはじめに賃上げについてでございます。インフラ産業におきましてはコロナ禍において社会的機能を維持するために非常に業務負荷が高まっている職場が数多くございます。また、産業・企業ごとに置かれた状況に大きな格差と言いますか、違いが見られますけれども、コロナの影響が限定的な産業・企業がある一方で、収益悪化あるいは事業の先行きが見通せないなど大変厳しい経営環境に置かれているところも少なくありません。こうした中しっかりと労使交渉を重ね、ほとんどの組合で定期昇給分を確保しております。また、情報通信、通信設備建設、そして電力の一部におきましては賃金改善原資を獲得しております。特に情報通信、通信設備建設におきましては概ね昨年と同水準の原資を確保しております。加えまして、初任給改定に取り組み、学歴別初任給の引き上げを獲得した組合もございます。次に有期短時間契約等で働く者の処遇改善についてでございます。有期契約労働者の一時金を要求し、満額で妥結したところ、あるいは同一労働同一賃金の観点から、有期契約労働者等の処遇改善となる手当あるいは休暇等の制度改定を検討するといった前向きな回答を引き出したところも多く見られます。次に働き方の見直しについてでございます。長時間労働の是正におきましては、勤務間インターバル制度の導入あるいは総時間労働の短縮に向けた前進回答を引き出した組合がございます。また、60歳以降の雇用と処遇におきましては、定年を60歳から65歳に引き上げ、さらに70歳までの継続雇用制度の導入を引き出した組合もございます。さらにテレワークの導入あるいは制度の見直しにおきましては、在宅勤務費用として1日200円を企業が負担する制度の実施、あるいはテレワークの導入に向けた環境整備等の回答を引き出した労働組合もございます。以上、現時点におきます回答引き出した組合はごく限られているわけでございますけれども、まだ交渉中あるいはこれから要求を提出する部門、組合もあります。インフラ・公益部門といたしましては、先行組合が引き出したこうした回答をこれから交渉が本格化していく中小組合に波及をさせ、前向きな回答につなげていくために、それぞれ構成組織の皆さんと連携し強力にサポートしてまいりたいと考えております。また今次春闘の成果を、人事院・人事委員会勧告を通じて公務で働く仲間の皆さんに波及するよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。私からは以上でございます。

難波副会長(交通・運輸共闘連絡会議)

 最後になりますが、交通・運輸共闘連絡会議、運輸労連の難波と申します。交通・運輸共闘連絡会議は、人流と物流という2つの大きなカテゴリーに分かれています。やはりそれぞれ新型コロナウイルス感染禍で、人あるいはモノの移動の制限をかけられた関係で非常に大きな影響を受けています。とりわけ人流部門につきましては、ご案内のように人の移動制限で、非常に大きな打撃を受けているというところもあります。また物流につきましては、先ほど松浦会長からお話ありましたが、巣ごもり需要によるeコマースの拡大によって大きく業績を伸ばした企業がある一方で、やはり製造現場の製造数量の減少等によって、いわゆる私ども「荷種」という言い方をしていますが、取り扱い貨物によってはトラックに積む荷物が蒸発をしたという業者も多くあります。その中で、少し各モードごとでお話ししたいと思います。まず鉄道関係です。JRにつきましては、JR3社、東海、東日本、貨物については、ベースアップゼロ、定期昇給実施で妥結をしたというふうに聞いています。JR北海道は今日、今交渉中ということですが、西日本と九州についてはまだ回答の目処が立たないということで、来週以降ということであります。ただ、臨時給与につきましてはJR東海のみ回答がありましたが、やはり新年度の収支計画の黒字化が見通せない中で臨時給与の回答が示せないという状況が続いているということであります。私鉄につきましては、大手14組合の回答は引き出すことができたということです。多くの組合で定期昇給の実施が確保確認できたということで大きな成果という評価をしているところであります。航空につきましては、月例賃金の定期昇給制度は制度通りに実施をすることが確認できましたが、こちらもやはり一時金の水準回答については新年度の収支見通しが出せない中で示すことができないということで継続協議となったということを聞いています。バス、ハイタク、タクシーについては、まだ回答が全く出されてないという状況の中で、来週以降になりますけども、とりわけ中小労使においては団体交渉も組めずに春闘交渉は非常に厳しいという報告を受けています。物流、トラック、私ども運輸労連でありますが、申し上げたようにeコマースを中心とした宅配では過去最高の取り扱いを示す等々ありますが、業界全体とすれば減収減益基調で動いています。ただ、支出の減、コスト削減であったり内製化によりまして、業績については上方修正をかけたということから、昨年に比べて解決の金額については減少していますけれども、ほぼ昨年並みに近い数値で解決をしたところが多く出ています。したがって受け取めとしましては、人流分野についてはまず定昇制度を確保する維持をするということに加えて、やはり最大のテーマは雇用の確保に最善を尽くすこと。物流分野につきましては、やはり人材不足ということもありますので、人材不足対策としての賃金・労働条件の引き上げに向けて引き続き粘り強く労使交渉に臨んでいこうと、こういうことを確認をした上で、これからスタートする中小・中堅労組の交渉のサポートに入っていこうということで確認をしてまいりました。以上です。

質疑応答[1]
Q.(日本経済新聞・マツイ氏)

 日本経済新聞のマツイです。神津会長に伺いたいことがありまして、メインテーマの賃金交渉については各労組とも非常に健闘されたんじゃないかというふうに思うんですけども、今回コロナ禍ということでテレワークの普及とか働き方を大きく転換するというところがあって、そういう働き方全体について議論したりとか人事評価の仕組みとかですね、そういうことを労使交渉の中でお話し合いになる大きなチャンスだったと思うんですけど、これについては今春闘で議論の進捗はどういうふうにあったと評価をされますか。それがまず神津会長にまず1つと、それから高倉さんにもぜひ伺いたいんですけれども、以前から自動車総連では上げ幅から絶対額への転換ということをおっしゃっていて、先日の会見でも定昇とか昇給昇格制度とか、そういう制度の根幹まで議論が追いつかないので議論の仕組みを変えたとおっしゃっていたと思うんですね。神津会長に伺ったのと同じことなんですけど、今回の春闘でそういう働き方とかそういう全体像を議論するということは出来たかどうかということについてお考えを伺いたい。

A.(会長)

 まず1点目についてですけども、今回のみならず賃金をはじめとした多岐にわたる労働条件について、特にここにおいでの代表者に関わる組織においては、労使でしっかりと話し合ってきているということであります。私どもとしてやっぱり、賃金にはこだわりは持ちながら、ということなので、どうしてもそこが目立ってしまうということではあるのですが、実際には幅広く話し合いをやってきているということですし、ご指摘いただいたように今年の場合は特にテレワーク、これについてはおそらくほとんどの労使で具体的な話し合いを、これまでも行なってきているし、とりわけこの春季交渉の時期にはそれを取り扱っているところが相当あったと思います。先ほどのそれぞれの報告の中でも触れられたところもありますし、数字としての集計はまだ行なえている段階ではありませんけども感触としてはかなり回答の中でもそこに触れられている、具体的に手当てであるとか、あるいは労働時間の問題についての話し合い、ルール化というようなことも一部にはあろうかと思いますし、そこは今年の交渉の特徴であることは事実だと思います。

A.(高倉副会長)

 自動車として要求の考え方を上げ幅から水準を重視したという、これはもう説明しません。なんでかと言ったら、もうすでにいろんなところで説明していますので。ですからどういう論議がされたのかという中には当然、要するに制度これしっかりとしないといかんなということで、これはその場でできる話じゃありませんから、通年を通して労使検討委員会などを作ってしっかり論議していこうというような、今後に向けた良い論議ができている。それと今回は特に、先ほど私申しました通り、自動車でいくと「CASE(ケース)」「MaaS(マース)」に代表されるような、電動化、自動化という非常に大きな、100年に一度の大変革期を迎えているときにコロナも来ましたので、働き方など大きく変わっています。それで、カーボンニュートラルという、これが菅総理になってカーボンニュートラルがドーンと前面に出てきましたけれど、自動車の場合は今言った電動化ということがもうすでにずっと取り組んでいますから、その議論が加速したという面もあるのですけれども、どういうふうに事業が変わっていくのかということで、働く人たちは非常に将来に向けて不安を持っています。特にサプライヤーの方なんかは、例えば電気自動車になることによって無くなる部品というのが相当数あるわけです。じゃあそれを作っているところは、会社は、「ちょっと俺たち仕事無くなるのか」みたいな不安を持ちながら仕事をしてますから、そういったことに対して経営がやっぱり将来ビジョンをしっかり提示する。ですから今後いろんな変化に対して、経営として働く者に対して何を期待するのか、逆に働く者は経営に対して何を期待するのか、そういったことを正面からぶつけ合って論議をしている。ですから私は本当に良い論議が今回できた、その結果が回答として現れているということだと思っています。

質疑応答[2]
Q.(労働ジャーナル・シカタ氏)

 2点お聞きしたいです。1つは回答の水準と中身について、あとは共闘のあり方についてお聞きしたいと思います。それで回答は、真ん中の表見るようにいわゆる賃上げ分が去年よりも262円プラスしているというあたりは、我々から見れば、厳しいと言いながらプラスで来ているというのは結構、と思うのですが、ただ中身を見ると去年より組合数減っているんです。特に大手の場合は去年133が今年は99組合で、そういう点では労組のベアについて大手のほうが、断念しているというのか、そういう傾向も言えるのではないかと思うのですが。それでこのベアの、262円・0.11、この水準は、今の実質賃金を見ると11か月間連続低下して、物価も下がるけれど賃金もそれ以上に下がっているという、そのあたりから見れば、かなり水準とすれば厳しい水準といえるのではないかと思いますが、そのあたりの評価をお聞きしたいというのが第1点。それから回答の中身については、皆さん一斉に、定昇に加えて賃金改善を共通して言われているわけですが、春闘に大きい影響を与える有力なところは、言ってみれば中身を公にしなくて、それで連合は苦労して定昇プラス2%程度というのを決めたわけですけれど、結果的に見れば賃金構造維持分だけで満額獲得というそういう評価も一部に流れているわけです。そういう点から見れば、連合が苦労して要求して、定昇プラス2%というところは回答評価としてもきっちり一本筋を通しておくことが必要ではないかと思うのですが、そのあたりについての見解をお聞きしたいと思います。
 第2点は共闘のあり方ですが、これまで連合はいつも金属大手が出たときには、本部で会長・事務局長が記者会見をして一定のコメントを出されていたわけですが、今年の場合はそれがなくなって、今日のように5共闘の幹部が揃い踏みで第1回回答をされているというあたりの経過というのをお聞きしたいし、その背景に、神津会長もいわれるように構造変化とか雇用構造変化で業績格差が出たりする中で、従来のようなパターンセッターでそれに追いつくというような方式ではなくて、全部で賃金の相場形成をはかっていくんだということを言われていましたけれど、そういう言ってみれば5共闘が揃い踏みをして相場形成を波及し底上げをしていくのか、そういう1つの表れとして今日の会見を受け止めていいのかどうか、その2点についてお聞きしたいと思います。

A.(会長)

 前後しますけれど2点目のほうから先に行くと、形式はもうこの形で例年やっていると思います。趣旨としてはシカタさんもおっしゃったように、やっぱりこれも相乗効果なので、確かにかつてのいわゆる「春闘」スタイルですと、相場形成役がドーンと出て、ほぼそれに準拠していくみたいな、それは当時は物価上昇が前提としてあったインフレ型の「春闘」だったので、今デフレの深い闇をどうやって脱却するかというときには、それぞれが力を発揮して相乗効果でいこうということだと思いますので、そこはシカタさんがおっしゃったような趣旨というふうに受け止めていただいていいと思います。だけどやっぱり第1のヤマ場で今日代表者が出てきているところは、やっぱりそうは言っても、分配構造の転換というときに土台がしっかりしてないとスタートできないので、「スタートで躓いちゃいかんね」ということで大変な苦労しながら今日この場に臨んできているということだと思います。
 それから1点目のところは、今回の集計でもってどこまでのことが言えるのかというのは、もうちょっと時間が必要かなと思います。ただその上で、特に賃金統計としてのいろんな数値は構成組織と連合とはずっとこうつながってやってきているので、そのことに支障を来しているっていうふうに私は思ってないのですが、構成組織ごとにそのいろんな経緯の中で何に重点を置いていくのかというときに、ご指摘のような形に今なっているというのは、一部に、それぞれごとにそれはスタンスが違いますので、そこはそういうことだと思うんです。それで今何が必要かと言うと、さっき高倉会長が話をしたように、分配構造の転換ということであり絶対額重視だと、こういうことなのです。したがって、やっぱり世の中には定期昇給とか賃金カーブの維持ができてないところというのはまだ残念ながらわんさと残っているのです。そういうところに対して、絶対水準であるとかトータルの数字で、「Aさん、Bさん、やっぱりこのぐらい賃金は上がっているんだ」ということを、むしろそこを目立たせたいということで、そこに重点を置いているというふうに見ていただきたいなというふうに思います。

質疑応答[3]
Q.(NHK・ミヤザキ氏)

 NHKのミヤザキと申します。お疲れさまです。今後のことでお聞きしたいんですけど、神津会長にお願いいたします。今現段階でということですが、去年よりもさらに下がって率として1.81というところで、今後、先ほど会長のご発言がありましたが、去年もここから上がるパターンもあると、一概に大企業と中小企業で違う傾向もあるというふうにおっしゃっていましたけども、今後の見通しとして全体としてはどういうところに落ち着くのかというふうなところ、まだ言える範囲で全然構わないですが、また2%という数字が去年の最終的な結果だったと思うんですけども、そこに届くかどうかということの見通しと、それに向けて今後中小企業も始まっていきますが、連合としてもどういうふうな姿勢でまた今後も取り組んでいきたいかということをお願いいたします。

A.(会長)

 正直言ってですね、確たる見通しを持っているわけではないのです。だいたいこの何年間、何十年間こうやっている中で、さっき申し上げたように、そもそもインフレの時代の「春闘」、いわゆる「春闘」においては、やっぱり先頭グループがとにかくダントツに高い水準を出して、したがって賃金集計上はその後はだんだんやっぱり落ちていってしまうのが通例だったんですがも、分配構造の転換が必要だと、格差の拡大に歯止めをかけなきゃいけないということの中で、昨年は第2回目の集計が1回目より上回ったということなので、これは少なからず願望を含めてですけども、今年もそういう形で行ってほしいな、なんとか引き出していこうじゃないかと、そういうことです。したがって、これそもそも予断を持って本当は語れる話じゃないんですけども、特に今回の場合、幅がものすごくあるんです。これはコロナで影響の出方というのが産業・業種によってかなり偏っているので、そういうことになってるわけです。ですから、これは予断を持って語れないというのはそういう部分も含めて、実はそういうことがあるんだけども、しかしやっぱり先頭列車のこのグループが、けん引をしていく、ただけん引をしていくだけじゃなくて、その後の列車も自らの駆動力を持って進んでいくんだという時に、私としてはやっぱり今申し上げたようなことをぜひとも後続にも望みたいし、それはやっぱり分配構造の転換という時に、そのことが実現するかどうかというのは非常に大きな意味を持つというふうに思っています。

質疑応答[4]
Q.(労働新聞・ヒラノ氏)

 労働新聞のヒラノです。神津会長にお伺いします。これまで連合の中では取引の適正化ということを強く訴えてこられたと思います。昨年にはパートナーシップ構築宣言もスタートしたと思います。こういった取引の適正化というところが生きてきたと感じるところがございましたらお願いします。

A.(会長)

 先ほど来申し上げているように、中小の賃上げ率が大手を上回るという傾向は今回もこの第1回目の集計でも明らかになっていますので。まだまだ不十分だと思うんです、それは世の中を見渡してみたらもう少しやっぱり取引の適正化といいますか、それはまだ道半ばだと思いますけれども、しかし運動として積み重ねていることがやっぱりこういう集計結果にもつながっているというふうに思いますし、先ほど申し上げたここから先の集計結果にさらにそこのところが反映されていくことを私としては強く望んでいます。

質疑応答[5]
Q.(朝日新聞・サトウ氏)

 今日はありがとうございました。朝日新聞のサトウです。まず簡単なほうからお聞きしたいのですけど、この今回の結果の1.81ですが、これっていうのは定昇込みですけど純粋ないわゆるベースアップ部分というか、その賃金改善部分というのはどれぐらいの割合なのかということ、ちょっと事務的なご質問ですが。それと2点目は神津会長にですが、今回の春闘でいろいろ各方面から春闘の意義についての意見とか考えとかも出て、一部では形骸化しているのではないかという声もございました。春闘のあり方を見直すということについては今現時点ではどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

A.(会長)

 1点目のところはですね、まさにそれがわかる組合とそうでないところということで、わかるところを抽出しているのがこの中段のところということですので、もし補足あれば冨田さんのほうで。

A.(冨田総合政策推進局長)

 中段のところをご覧いただきますと、「定昇込み計」とそれからもう1段下がったところに「賃上げ分」と書かれているかと思いますので、ここのところに0.55%の引き上げということですから、賃上げに該当する部分が、今のご質問にお答えすると賃上げに該当する部分は「賃上げ分」と書かれたところの1,685円、引き上げ率にして0.55%となります。

A.(会長)

 それで2点目については、私はその形骸化というのは全く当たらないと思っていて、冒頭申し述べたようにこういう大変な状況の中で交渉当事者は、これは労使共に、これは大変な議論しているんです。したがって、そのことを私自身もそういう世界をくぐってきた人間ですので、むしろ中身は年々充実しているのではないかと思うんです。問題はそういうことができている世界とそうでない世界が、ますます差が広がってしまうんです。だから私ら連合という組織は自分たちがそうやって充実していればそれでいいっていうことで済ましてはいけないと、そういう組織ですから、したがって分配構造の転換ということをまず自分たちの組織の中で実現をして、そのことを世の中にどうアピールし波及させていくかということだと思っていますので、したがってその重点の置き方とか、いわゆるその春季生活闘争の姿形はもちろん変化はしていっていますが、変化のさせ方というのは今私が申し上げたようなことだと思っています。

質疑応答[6]
Q.(共同通信・タケオ氏)

 共同通信のタケオと言います。よろしくお願いします。冨田さんにまず1つお伺いしたいのが、この1.81という今回の集計ですが、第1回集計の結果の数字としてはどれぐらいの低さという、何年以来に1.8%台とか言えるでしょうか、いうことと、あと2点目ですけど、会長にお伺いしたほうがいいのか、3ページ目の有期・短時間いわゆる非正規の方の数字ですが、昨年第1回目で初めて30円台乗ったという数字が今回また20円台に落ちてしまって、正社員も業種によってコロナの影響が色濃く出ているとは思うんですけれども、やはり非正規におけるこの影響の出方というのは深刻に捉えていらっしゃいますでしょうか。お願いします。

A.(会長)

 2点目を先に申し上げると、これやっぱりあれですよね、いわゆるその最低賃金、国の、これが昨年ああいう形で「目安示さず」からスタートしたわけです。それで各地方連合会が頑張って地域別最賃は3円上げたりとか2円上げたりとかいう努力はあったわけですが、これ昨年までとは様変わりになってしまったので、やっぱりこの影響は否めなかったと思います。ですからそういう中にあってもこれだけ引き上げたというのは、私らからすれば手前味噌な言い方かもしれないけれども、本当にやっぱり交渉の努力の賜物だと思っています。

A.(冨田総合政策推進局長)

 申し訳ありません。今ちょっとファイルがどこかに行ってしまったので後ほどお答えさせていただきたいと思います。申し訳ありません。

質疑応答[7]
Q.(日本経済新聞・マツイ氏)

 高倉さんにさっきちょっと質問しかけて、今春闘で具体的に何かその働き方とかあるいは人事評価の仕組みとか、自動車でも基幹労連でも、具体的にどういうイシューで議論の進捗あったと評価をされていますか。

A.(高倉副会長)

 ちょっと個別の話はここですると大変なので。要するにカーボンニュートラルとか働き方とか、人事制度とかいろんなことが、個社によって課題とか状況は違うわけですから、ちょっとそれを具体的にというと、あれだったらもう総連に来てください。お話しします、個別に。

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