記者会見 2016年5月

 

連合記者会見

5月定例記者会見

神津会長・山根木総合局長(2016年5月19日)

連合記者会見全文
神津会長

 それぞれ大変お疲れさまです。
 私のほうからは3つ申し上げておきたいと思います。1つは、お手元にも直近のニュースが配布されたところですけれども、熊本地震に係る対応であります。メーデーにおきましても挨拶の冒頭で触れさせていただきましたが、その後も多くの方々が避難を余儀なくされる状況が続いています。1万人近い方々がまだそういった状態にあるということです。連合としてもカンパ金を広く募り、また直近でボランティアの派遣も今現在現地に50人の仲間が対応しているということ、あるいは政策面で労働組合ならではということで、ニーズを拾い上げて、いろいろな形での要請行動といった取り組みを行っていることをご報告しておきたいと思います。
 2点目は春季生活闘争の中間取りまとめについて、最終的な確認は6月2日の中央委員会になりますが、中央執行委員会としてこれで議案としようという内容を確認しております。集計状況とともに後ほど話があろうかと思います。話が半分変わって恐縮ですが、昨日も国会の党首討論で民進党・岡田代表から、経済政策の失敗ということをかなり厳しく追求をされていますが、経済状況も、春季生活闘争、労使交渉を続けていく中においては厳しい状況がいっそう募っておるということだと思いますし、またいろいろな突発的な問題も含めて非常に逆風の話も多い中で、まだ3割ぐらいの組合が要求はしているものの回答は得ていないということです。これは例年中小を中心に交渉は引き続くということでありますので、そこはしっかりと後続部隊の取り組みを私どもとしても支え、注視をしていきたいと思います。そういった状況の中ではありますが、目下のところ、一昨年去年とははっきりと違った傾向は出ていると思います。それは「底上げ春闘」だということに特段の力を込めて取り組んできた、そのことが表れていることに他ならないと思います。3割がまだということですから、まだまだそこはしっかりと見守っていかなければなりませんが、その残り3割に対しても、今現在の新しい傾向そのものが後続部隊の支援ということでもありますし、少し気の早い話ではありますが来年再来年にもつなげていかないといけないということでありますから、そういった少し先を見据えた課題の抽出も行っているということを申し上げておきたいと思います。
 3つ目は政治に関わる事柄で、今朝ほど民進党になりまして初めての民進党・連合との意見交換会を行いました。これはこれまで旧民主党との間で行ってきた意見交換会の形をそのまま踏襲して行ったわけです。冒頭の挨拶なり、終わったあとのいわゆるぶらさがり会見も含めて、この中にも多くの方々に取材していただいたと思いますので全て同じことを申し上げることは省かせていただくことはご理解いただきたいと思います。政策の面で強調して申し上げたわけですが、折りしも昨日「ニッポン一億総活躍プラン(案)」の打ち出しがされました。かねてより新三本の矢、GDP600兆円なども含めて、いろいろ打ち出すことは聞こえは良いが実現可能性含めて本当のところどこまでの事なのかという疑念は、はっきり申し上げて、より強まったと言わざるを得ないと思っています。項目自体はそれぞれできればそれに越したことはない、良いことだというタイトルが列挙されるわけですが、昨日の石原大臣のぶらさがり会見での「消費税の増税を予定通りやることが前提ですよね」ということからすると、おそらく(消費税増税の)先送りが避けられないのではないかという雰囲気がかなり強まっている中でいったいどうするつもりなのか。いろいろ項目は掲げるが消費増税先送りになったら結局は有効な施策打てませんということではないのかということが疑念として強い、そういう図式にはまってしまっている。経済政策や異次元の金融緩和ということ自体がもう手詰まりになっていることが世の中に明らかになっていますから、これでは無理して吊り上げた株価が低迷するのは当たり前だということですし、本来、社会保障と税の一体改革を実現することがこれすなわち経済対策だと私は思うのですが、そのことが両方ともに手詰まりになる、そういった危険性に今陥っているということをあらためて強く感じていると申し上げておきたいと思います。

山根木総合局長

 山根木です。よろしくお願いします。
 私のほうから報告をさせていただきます。お手元にカラーコピーをしている「連合災害救援ニュース」というものが、ナンバー1からナンバー7までございます。ざっと私のほうから説明をさせていただきながら適宜ニュースを見ていただければと思います。
 今、会長からございましたが、震災があった直後の月曜日4月18日になりますが、連合本部に神津会長を本部長、逢見事務局長を統括責任者とする対策救援本部を設置をいたしました。以降さまざまな対応をしてきております。やはり最初にわれわれ連合が行うべきは仲間の被害状況、仲間の安否でございます。お手元にA4の2つ折の数的被害状況というものをお配りをしているかと思いますが、見ていただきますと、被災可能性のある県内にある組合で被災を確認したのが例えば385組合ですとか、幸いに亡くなられた方はいませんでしたがご家族で亡くなられた方が10名いたりですとか、組合事務所の被害を受けているのが221だとか、まずは労働組合の状況を連合として確認をしたということでございます。
 加えて義援金として送るべきカンパ活動と、それからボランティア活動、これについて展開をしております。カンパ活動につきましては、これもお手元にお配りしておりますが、5月13日の1次集約の段階で1,528万8,351円集まっております。2次集約は6月に入ってからでありますが、5月29日に神津会長が熊本県県知事に義援金という形でお渡しする予定です。東日本大震災のときは8億円を超えるカンパ金が集まっております。今回まだこの段階では1,500万程度でありますが1ケタ超えるぐらいの義援金を熊本県にお渡しできると考えております。
 それからボランティアでございますが、これもご案内のとおり阪神淡路大震災がボランティア元年と言われて以降、こうした震災の際にはいわゆる自衛隊だとか警察だとか、そういうものに加えて民間のボランティアというのが復興再生に大きく貢献しているということでございますが、連合としても阪神淡路以来いろんな形でやってきておりますし、特に5年前の東日本大震災ではのべ3万5千ということで、政府から民間最大の数だったということを後ほど確認いただいておりますが、東北の沿岸部でひたすらガレキを片付け、ひたすら津波で汚れた家を片付け対応してまいりました。この熊本地震においても極力早く対応しようということでボランティアを送っておりますが、ニュースのナンバー5でございます。ページ数で言うと10ページでございますが、5月4日に第1陣が熊本に入っています。われわれ連合ボランティアは、山鹿といって熊本県の最北にある比較的余震の少ない、地震の被害の少ない、より安全ということでありますが、そこにベースキャンプを設置いたしまして現在熊本東のボランティアセンターで活動しております。それから、報道等でも益城の被害がかなり大きいということで来週からは団を2つに分けまして益城町にも対応しようと考えています。これもご案内のとおりですけれども、連休中にたくさんいたボランティアも連休明けると本当にいなくなってまして、例えば熊本東なんかでは連休明け月曜日が何と民間ボランティアがゼロだったということで、連合ボランティアが現地の人間含めて30数人いただけでありますが、本当に組織的かつ一般のボランティアの少ない平日の活動を、さらに言うと自立自足自給の形でやれるというのが最大のわれわれの価値だと思っております。6月いっぱいまで第9陣まで展開する予定でありまして、そうすると延べで言うと2000名を超えるボランティアがこの熊本に入るということになります。微力ではありますが、組織的ということで言うとおそらく民間でも最大クラスの活動ができると思います。全国の仲間を熊本に送り出し、しっかりと熊本の復旧に貢献をしていきたいと考えております。今後もさまざまな形でこの情報発信していきますし、連合のホームページではこのニュースを載せておりますので是非ご注目いただければと思います。私からは以上です。

質疑応答[1]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 中間まとめの評価についてうかがいたい。3ページの真ん中に企業規模間格差の是正につなげたと評価されていて、その根拠として昨年と比べた時の下げ幅が、大企業より中小のほうが下げ幅が小さかったということを根拠にして規模間是正が達成しえたと評価されているが、実際下げ幅自体は下がってはいるものの結果から見ると300人未満は1.86で300人以上が2.04なので、これをもって規模間是正につながったというのは、やや評価しすぎではないか。

A.(会長)

 先刻ご承知の話ではあるけれども、下げ幅と言っても賃上げの水準が下がってるわけですから、賃金を上げているわけで、前にもこの場で申し上げていますけれども、足元の物価上昇がゼロだとか、あるいは月次でみるともうマイナスになってしまっている。こんな中で幅は小さいとは言え、ベアを含んだところの賃上げが実現できてるというのは今まで無かったことなので。もちろん要求したところの水準に比べれば満足とは言えない、それは事実ではありますけれども、やっぱりそこのところが中間まとめの中でもまず3年続けて賃上げを持続させたということはしっかり見た上での内容だと思っていますので、もちろん数字のパーセント自体がこれで日本経済浮揚すると言えるほどのものでないことも事実ですけど、ただどうやってこの傾向を、まず賃上げということを持続していくかということですし、繰り返しになりますが、一昨年去年とははっきり違った傾向が現れておりますので、これをどうやってさらに幅を縮めていくか。元々は幅が無かったわけですから、やっぱりそちらに持っていくということに向けた今の動きだと見ていただきたいと思います。

質疑応答[2]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 非正規の賃上げ、一定は出来たと会長からご報告ありましたけれども、その非正規の賃上げの結果を含めて、今後の最低賃金の審議にどのようにこの結果をつなげていくのか。安倍首相が3%で1000円という、2023年ですか、遠大な計画を話していますが、連合としてはこの春闘で勝ち得た結果も含めて今年の最賃はどのように取り組んでいくのか教えてください。

A.(会長)

 一億総活躍の関係の談話も出させていただいて、その中にも記載していたと思いますが、一億総活躍では3%ずつで加重平均で1000円という内容が上がっているようですが、そもそもまず1000円という政府としての目標で言えば、これはかつて民主党政権のときに出している内容です。今さら何か初めてそういう目標を出したような掲げ方というのもいかがなものかと思いますし、私どもが談話で出しているように、これでも年収は、今の2000時間のようなことでやったとしても200万という話ですから。私どもが言っているのはまずは誰でも1000円ということですから、最低限そこに向けてのスタンスをもって臨んでいくことだと思っています。

質疑応答[3]
Q.(フリー・モリ氏)

 話はまったく変わりますが、最近の三菱自動車、スズキの燃費の不正。それからまだ尾は引いてますが東芝の不正経理とか、企業の不正がずいぶん大きなものがあって、これは雇用にも波及しています。地域の問題にもなっている。これは第一義的には経営の問題ですが、職場をつかんでいる労働組合にも責任が幾分かあるのではないかと思うのですが、会長はどう受け止めておられるのか。また組合としても何か対応しなくてはいけないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

A.(会長)

 まず組合としてはそれぞれのパートナーの労働組合が当然のことながら対応していると思います。おっしゃった事との関係で言えば、当然コンプライアンスの問題も労使で話し合う中の主要な項目の1つですから、ただいわゆる賃金とか労働条件を話し合う団体交渉とはまた性格の違う場で行われることでもあり、やはり経営のほうが何か隠そうと思うとそこを究明できるかというと、枠組みとしてなかなかそれはつらいのは事実だと思います。ただこれは当該の労働組合からすれば忸怩たる思いがあることは間違いないと思います。なぜそういったことが生じたかという、企業風土も含めて掘り下げていかないと本当の意味での問題解決にはならないことは間違いないと思います。あとは、いただいた話を少し広げ過ぎてしまうかもしれないけど、今回春闘で底上げ底上げと言ってることだとか、あるいは中小企業にとって公正取引が同時に実現していかないといけないとか、あるいはコンプライアンス云々の話ではないにしてもサプライチェーンの中でしっかりと付加価値を分配させていこうという話にも、私は通じる話だと思っていて、悪しき常識をそのままにするのではなくて、それはそれぞれの立場立場でおかしいということは声を上げるということに持っていかないとやっぱり本当の意味での問題解決には行かないのではないかと。これはある意味労使というだけの枠組みの話ではないですけど、性格が違う話だけど実は通底している話ではないかと思います。ちょっと話広げすぎました。

質疑応答[4]
Q.(NHK・モリタ氏)

 会長に今朝のぶらさがりでも言及していただいて、消費税の関連で4党が来年4月の引き上げ反対合意という話がありましたが、連合は増税は必要との立場だったかと思いますが、今回岡田代表が提案している2年先送りにすべきとか、その間赤字国債を当てるべきとか、こういった提案についての是非はいかがお考えか。

A.(会長)

 昨日党首討論をテレビ中継で見ながら、これは私としての受け止めですが、岡田代表が党首討論でまず言ったことは3党合意をきちんと進めることが本来だということなんです。社会保障と税の一体改革。私なりの受け止めですから一言一句同じではありませんが、3党合意を進めることができないということにおいてまさに経済運営の失敗で極めて責任が大きいということがご発言の一番の主旨だと思うんです。したがって、今の足元の状況を見たら、消費増税はどうしても景気の上ではマイナスのインパクトを与えることは避けられませんから、そういう中での提案ということでしょうし、先送りせざるを得ない状況であっても、元々社会保障…民主党政権のときに子ども子育ても1つの柱として加えたわけです…まさに子ども子育ての問題とか、昨日の発言では高齢者の対応にしても一時金で3万円配ればいいという問題ではないですから。構造的な問題として社会保障に対して改革していかなくてはいけないわけですから、そこまで先送りするということは、冒頭のひと言の中でも申し上げましたが、こちらも手詰まりあちらも手詰まりにするということですから、これは経済もそういった不安な状況をさらに強めるということになると国民は将来に向かってお金使おうということにならないですから、そういうことも考え合わせてのああいう提案であったと受け止めています。

質疑応答[5]
Q.(日刊工業新聞・ヤギサワ氏)

 さきほどの自動車の件、今度三菱自動車が日産の傘下に入って再建するという方向ですが、そうなるとゴーンさんの下ですから三菱自動車側のリストラが考えられますが、それの対応はお考えか。

A.(会長)

 具体的な内容をしっかり見定めないことには私の立場からあまり軽々に物を言えないと思いますが、ただ日産の、今から考えるとずいぶん前になりますが、ああいう形で再編しゴーンさんがトップになって、確かにかなりの改革を進めてきたということはあると思います。ただ基本的には労使関係の中で、何をどういうふうに改革していくのかということは労働組合との議論の中でしっかりと納得できるものを徹底的に話し合う中で見定めてきたということだと思いますので、そのことは今回もきちっとした労使関係の中で展開されるものであると、トータルでは私は見ています。

Q.(日刊工業新聞・ヤギサワ氏)

 今度、化学総連が連合からの脱退を意思表示していますが、対応と感想は。

A.(会長)

 これは中央執行委員会において最終的な報告ということでは来月になると思います。ただ状況としてそのことが避けられそうもないということでもありましたので一定の議論は行ってきていますが、節目としては5月いっぱいと認識していますので、そういう意味ではまだ事実が確定していませんので、コメントは次回にさせていただきたいと思います。

質疑応答[6]
Q.(朝日新聞・キタガワ氏)

 冒頭の会長のご発言の中で、ベースアップについて来年再来年への課題を抽出しているところだというお話ですが、いま消費増税がどうなるかとか、いろいろ経済状況などもどうなるかということはあると思いますが、現下の経済状況を踏まえた上で4年連続ベースアップを求めていけるような状況なのかどうか、中小、非正規の底上げをどういうふうに今後進めていけばいいのかという意味で現時点でのお考えをうかがえれば。

A.(会長)

 先ほどやりとりさせていただいた内容とも大いに関わりますが、やはりどうやって持続させていくかということです。そして底上げということで、格差を縮小させてきましたから、このことはむしろもっと縮小させていかなければいけない。これはやはり来年も再来年も続けていかなければいけないと思います。経済状況そのものは、申し上げたとおり非常に思わしくないです。だからこそ消費増税も本来のステージに政権は乗せられないのだろうということですから。したがって、先ほどもご指摘のあったように、幅そのものはもっと上に行くべきだと私どももそう思いますが、大事なことはベースアップを含めての持続ということなり格差をより縮小させることだと思っていますので、国債の信任が破綻するようなとんでもないことにならない限りはこれはやっていかなければならないと思います。

質疑応答[7]
Q.(労働新聞・フクモト氏)

 先週の東京地裁の定年後の再雇用の賃下げは違法という判決ですが、連合の受け止めは?

A.(会長)

 内容をもう少し精査していく必要はあると思いますが、労働契約法の20条を適用して再雇用は有期雇用であるということにおいて不合理な差は駄目ですと、こういう内容としては初めてだと思いますので十分精査しながら踏まえていく必要はあると思います。賃金体系だとか、賃金のあり方、処遇のあり方がそもそもどうなっているのかということも含めて内容をしっかりと把握していく必要があると思っています。

Q.(労働新聞・フクモト氏)

 少なくとも現時点で前向きにとらえているということでもないのですね?

A.(会長)

 いや、前向きかどうかということで言えば、それは労働契約法の20条というのがそれこそ同一労働同一賃金の議論がかまびすしいわけですが、これはそもそも私どもの主張も踏まえられて法改正された内容ですから、そういうことで判例が積み重ねられていかないと世の中に法の趣旨が広がっていきませんから、そういう意味ではその1つのケースだということで、即前向きかどうかと言われれば内容をもうちょっと見極めないといけないのではないかと思います。

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