記者会見 2023年8月

 

連合記者会見

記者会見

芳野会長、清水事務局長(2023年8月24日)

連合記者会見全文
芳野会長

 大変お疲れ様でございます。残暑厳しい中、本日も定例記者会見にご参加いただきまして誠にありがとうございます。記者の皆様におかれましても、暑い中でのご取材が続いているかと思います。くれぐれも体調にはご注意いただきたいと思いますし、今月は台風6号、7号の被害もあったように自然災害も多発しておりますので、業務中の安全確保などにもお気をつけていただければと思います。
 さて、本日の中央執行委員会では来季の運動方針案について議論をいたしました。2019年度からスタートした3期6年の改革パッケージの2期目を終え、3期目となる来季からの2年間を展望しながら、これまでの取り組みを振り返りながら、まとめの2年間となるよう連合全体で努力してまいりたいと思います。
 また、先週ですが、都道府県別の最低賃金額がまとまりました。中央最低賃金審議会の示した目安額を上回る地域もあり、過去最大の引き上げ額となる全国加重平均1,004円となりましたことは、2023春季生活闘争でも触れてきましたとおり、労働組合に加入していない方々も含めて、すべての働く方に賃上げの効果を行き届かせるということに資する結果であると受け止めております。ただ、連合としては「誰でも1000円」を目標にしていますので、引き続きそれに向かって努力してまいりたいと思います。
 以上、簡単ですが冒頭の挨拶にさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

清水事務局長

 第23回の中央執行委員会でございますが、今、会長の冒頭挨拶にもありましたが、10月の定期大会に向けての2024~25年度の運動方針について案を決定させていただきました。前回の中央執行委員会では素案で皆様方にお示しをいたしましたが、そこから、構成組織・地方連合会等の意見を踏まえて、また中央執行委員会での、中央の常任執行委員会での意見も踏まえながら、若干の解説や文言修正をしたところございますが、素案から大きく構成等含めて変更になっているところはございません。最終的な案として(次回中執で確認し)、これを定期大会にかけていくということでございますので、お読み取りいただければと思っております。
 もう1つ、参議院の徳島県・高知県の選出の議員の、10月22日ですか、補欠選挙が行われる方向で日程が設定されるかと思いますが、それに伴っての候補の予定者について推薦決定をさせていただきました。また、第50回衆議院選挙の候補予定者につきましても、前回の執行委員会から推薦をはじめましたが、前回の8名の方に引き続き今日27名の方を地方連合会などの推薦に基づいて決定をしました。合わせて35名の衆議院選挙に向けての候補者を決定したということでございます。
 もう1つは、連合の当面の対応方針とか、連合の考え方で、1点は皆さんにもお配りしてあるとところでございますが、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランスの制度等の法制化に対する連合の考え方と当面の対応についてお諮りをしたところでございます。
 もう1点は、ビジネスと人権に関する連合の考え方、これについてまとめたところでございます。この間、執行部内にPTを作りまして構成組織等のご意見も聞きながら、ビジネスと人権に関する連合の考え方を今回まとめましたので、それについてご確認をいただいたところでございます。
 それと、2024の春季生活闘争に向けて中央討論集会を開催することを今回決定いたしましたので、ぜひ皆様方にもご参加をいただければと思います。今日の配布資料の中にもございますが、10月30日に浦安において行いたいということで、2024の春季生活闘争の中央討論集会でございます。引き続きの来年再来年に向けての賃金引き上げに向けて、連合としての方針等について議論するところでございますので、皆さんにもご案内しますのでぜひご参加いただければと思います。中央執行委員会については主な事項は以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(読売新聞・ソバタ氏)

 芳野会長と清水事務局長それぞれにお伺いします。先ほど役せんのほうから次期も推薦するという方針が公表されましたけれども、その受け止めと2期目どういったことをやっていきたいか意気込み教えてください。

A.(会長)

 今日、役員推せん委員会の考え方が示されましたので、これから立候補を募ってという段階になっていくかと思いますが、引き続き私としては慎重に判断をしていきたいと思います。ただ、この間様々なやり取りをさせていただいている中で、2年弱になりますけれども連合運動の取り組みについて、社会対話ですとか、今年の高水準の賃上げですとか、様々この間の取り組みに対する評価をいただいていますので、そうしたいただいた評価をもとに考えていきたいと思います。
 来期については、大会以降運動方針が決定されますので、その運動方針を着実に実行していくことになるかと思います。

A.(事務局長)

 今日、役員推せん委員会のほうからそういった形で報告を受けまして、来期もということでございますので、まずはこの間2年間会長とともに取り組んでまいりましたが引き続き会長を支えながら頑張っていきたいと思っていることが1点でございます。
 それから、連合は6年間の改革のパッケージを組んで、その最終の2年間がこの次の期にあたりますので、その6年間のまとめと、それからさらにその次につながる形での組織体制のあり方、そういったものについて与えられた課題がありますので、それを着実に進めていきたいということであります。
 あともう1つは、今回、1つは組織人員が700万を割ったという報道もしていただいて、その時にも質問を受けましたが、組織の拡大というのは重要な課題でございますので、構成組織・地方連合会とともにそういったことについてしっかりと取り組んでいきたいということ、それから衆議院選挙がありますし、その後には参議院選挙への準備も入りますので、この間の衆議院・参議院の選挙あるいは統一予選なども踏まえた上で、そういった選挙にしっかりと臨んでいきたいと考えております。組織の拡大については、今までのフリーランスであるとか、連合に組織しきれてない部分、そういったところについても整理をしながら、800万そして1000万連合をめざすのが連合の方針でございますので、そういった形に少しでも追いつけるように体制整えたいと思ってます。以上でございます。

Q.(読売新聞・ソバタ氏)

 もう1点芳野会長にお伺いしますけれども、国政の場では連合が支援する立憲民主党と国民民主党が分かれている状況で、次期衆院選に向けて連携がなかなか難しい状況続いていますけれども、改めまして会長としてどのように取り組んでいくのか教えてください。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。連合としては引き続き立憲民主党・国民民主党との対話を大切にしながら一緒に闘える環境を作っていくということを引き続きめざしていくということになるかと思います。

質疑応答[2]
Q.(日経新聞・マツイ氏)

 芳野会長にお願いします。冒頭お話にも出ましたけれど地域別最低賃金が出揃いました。全国平均が1,000円を超えて、すべての都道府県で過去最大の上げ幅となりました。一方、国際的に見るとまだまだ低い水準です。連合ではかねて誰もが1,000円という目標を挙げていらっしゃいましたけど、すでに東京を含め8都道府県についてはもう1,000円を超えています。最低賃金の引き上げ目標について、連合として新しい目標とかそういったことを掲げられる予定というのはありますでしょうか。

A.(会長)

 今年の改定ではCランクを中心に目安額を大きく上回る引き上げが行われ、格差縮小につながる取り組みができたことは連合として評価をしたいと思っています。連合としてはやはり地域間格差を縮小しながら「誰でも1000円」を1日も早く実現することが重要だと考えておりますので、政府においても今後の最低賃金引き上げ方針について議論を開始すべきだと考えていますし、連合の中でも次の目標については検討を進めていきたいと考えています。
 ちょっと補足で、連合の目標で1,000円というお話をしましたが、目標について検討するタイミングもありますので、今日の執行委員会でも確認をされていますが、来月海外調査なども踏まえて専門委員会などで検討していきたいと思います。具体的な目標設定については、よく検討する必要があるという段階です。

質疑応答[3]
Q.(時事通信・タカハシ氏)

 私も会長に1問お願いいたします。役員推せん委員会の関係なんですけども、先ほど会長お答えの中で慎重に判断したいというお言葉だったかと思います。ちょっと「慎重に」というと後ろ向きというか、そういうようにも読み取れるもので活字にすると、「前向きに」検討されるということでよろしいでしょうか。ごめんなさい。

A.(会長)

 前向きです、はい。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 ちょっと細かいことなので仁平さんがいらっしゃったら仁平さんで全然構わないんですけども、最賃の地賃の審議の状況について今日出されてる資料を見ると、先ほど会長がおっしゃったようにCランクを、Cランクもほとんど目安をかなり大幅に上回っていますが、ほとんど使用者側が反対と。で、日にちを見てもかなり後ろのほうで決まっているという状況があったと思うんですけれども、全体的な傾向で構わないんですけれども、やはり今年のその特にCランクでのその公益側はやっぱりその物価をかなり意識して、どういう状況でこういうふうになったのかっていうあたりをもう少し詳しく説明していただけるとありがたいです。

A.(仁平総合政策推進局長)

 私も地方の審議を1個1個丹念に見ているわけではないので、個別の課題はそれぞれの審議会で、また地方連合会に取材していただいたらいいとは思っていますが、ただサワジさん言われるように、特に我々こだわったのはやっぱり地域間格差の是正ということが、目安終わった段階の談話でも出させていただきましたけど、そこにこだわりましたので、特に相対的に800円台の地賃であるところの都道府県については、地方連合会の審議会の委員も含めて十分こだわってこれは審議をさせていただいたんだと思っておりますし、そのことに対して公益委員の皆さんあるいは地方の一部の経営者の皆さん方も考えなきゃいけないんじゃないかということで、非常に今年は例年にない議論をしていただいたんじゃないかなと思ってます。その分、時期についてかなりお盆明けも含めて時間を要したということかなと思っております。以上でございます。

質疑応答[5]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 今の件について、最賃の件で、仁平さんのほうでお答えいただければ。それが1つと清水さん1個あります。あと、できれば芳野さんに答えてもらいたいと思います。はい最賃の件でですね。えっと最賃の件なんですけども、そのABCランクというですね、4つから3つに組み直して初めての今年だったんですけども、早くもBとCの間で逆転現象が起きていると。Bの自治体はCが抜くというのは現状があるんですけども、このランク分けというのはやっぱり今本当に必要なのかなと。先ほど仁平さんも地域間格差の是正にすごいこだわったということをおっしゃってたんで、そうであるのであればもうこのランク分けとかが都道府県ごとにやってること自体のその見直しという方向には向かわないのかなという、ちょっとご意見を伺いたいということです。
 あと最賃の新たな目標について、海外事情も含めてですね、慎重に検討していきたいというふうに芳野会長おっしゃってたんですけども、政府の新しい資本主義の会議でも新たな最賃の目標を立てたいような雰囲気なんですけども、そこにたぶん挑むことになられると思うんですけども、やっぱりそういうものを作るのであれば明確な部分が必要と思うんですけども、それはこれからという理解なのか、今内々にお考えがあるのであればお聞かせ願えればと思います。
 あと、清水さんに1個。さっきの組織化の件で、組織拡大ですね、組織拡大の件で、未組織労働者と一緒にフリーランスという言葉も挙げられたんですけども、確かに連合はフリーランスの件でいろいろ支援の会議を開いたり、いろいろ取り組みやってるんですけども、フリーランスを連合に組織化するという話はちょっと聞いたことがなかったので、フリーランスも労働者として連合に組織していくというお考えがあるということでよろしいのかという、以上お願いします。

A.(仁平総合政策推進局長)

 最初にいただいた件ですけど、これは目安制度も含めて今の法律の中でやっていくという意味では、今年の春はじめて4ランク制について手を付けられたことがやはり談話でも出してますけど非常に大事なポイントだと思っています。ですから今の目安制度の中では全員一致で見直さなきゃいけないので、ここについて手が付けられたということが最初の一歩なんだろうというふうに思っておりまして、本格的にそこをやるとすれば法改正も含めていろいろ考えなきゃいけないので、そのタイミングということは今後また状況などを見ながら検討していく必要があるかなと思っております。

A.(会長)

 新たな目標についてはこれから議論になっていきますので、先ほども申し上げた通り、海外調査などもやりながら決めていきますので、私としてはやはり国際水準から見劣りしないように早く持っていくことが必要ではないかと考え方は持ってます。

A.(事務局長)

 組織拡大についてですが、まずいわゆる非正規で働いている派遣の方あるいは有期の方、あるいはパートのところ、このところはまず第一に連合もこの間センターを作ったりしてやってきてますので、まずはそこであります。もう1つは、曖昧な雇用で働いているという、その中にはフリーランスの方もいらっしゃいますし、どう見ても労働者として認めるべきであろうという、そういった形についてこのあいだフリーランス新法も成立しましたが、連合としてはやはり労働者性について労政審等で議論が1985年以来開かれていませんので、そういったところで議論すべきだということを私たちは主張してます。そういった形に持っていく中で、当然労働者として、また労働者になるならないとは別としてこの間もWor-Qのサポートセンターを作ったりとかそういったことで、また来年の運動方針の中でもいわゆるフェアワーク推進局の中に大きくそういった形のWor-Qサポートセンターも組み入れて少し見直しをはかっていこうと思っています。流れとしてはまずは非正規で働く人たち、そして曖昧な雇用の人たちの労働者性の課題も含めながら組織化していきたいと考えています。ただ、かなり時間はかかると思いますけど。以上です。

質疑応答[6]
Q.(朝日新聞・マツイ氏)

 国民民主党の代表選について芳野会長にお聞きします。玉木代表は選挙戦の中でも政策の実現のためには、時には自民党との協力も必要だという考えを示していらっしゃいます。一方で前原候補は政権交代のためにはやはり野党がまとまる必要があると。で、立憲だけではなくて維新との協力も進めるべきだというお考えを発信されています。それぞれ玉木候補・前原候補のそうしたお考えについて連合としてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

A.(会長)

 それぞれのお考えについて連合が何かコメントするということは避けたいと思いますが、かねてから連合としては代表選挙について候補者1人に絞られるのではなくてきちっと選挙ができるような形が整って、そして国民民主党の代表選挙について有権者の皆さんが関心を持てるようにしていただいたほうがいいと思っていましたので、その意味では代表選挙が行われるということでよかったなと思ってます。コメントについては控えたいと思います。

質疑応答[7]
Q.(日本テレビ・クレモト氏)

 関連して国民民主党の代表選について芳野会長に伺います。前原候補について、前原候補は政策本位での野党結集をめざしていると思うんですが、同時にAll for Allとしてベーシックサービスの充実をめざすともしています。この考え方自体は以前野党結集の旗印になる可能性もあった標語だと思うんですが、改めて連合の会長としてどのように評価していらっしゃいますでしょうか。

A.(会長)

 連合は前原代表代行が民進党時代に井手英策教授のもとに掲げたAll for Allに共感し、それ以降その実現をめざしています。以降、国政選挙の取りまとめでもそのスタンスは連合としては明記をしてきたということです。また過日、連合フォーラムの総会の中でも、2018年2月の設立総会以来となりましたが井手教授にご臨席を賜り基調講演などもいただいています。連合としてはどちらの候補がというコメントは控えたいと思いますが、All for Allに共感しているという事実は申し述べておきたいと思います。

質疑応答[8]
Q.(産経新聞・マツモト氏)

 芳野会長にお伺いします。今後の国政選挙に向けた取り組みです。直近の国政選挙である昨年の参院選では産別の組織内候補が軒並み得票を減らすという結果になりました。こういった状況の背景をどのように分析しているかと、そういった状況をどう打開していくかという点についてお考えをお聞かせください。

A.(会長)

 一般論となるかと思いますが、昨年の選挙の時のタイミングはやはりコロナ禍ということもあって、職場の中で対面の活動ができなかったということが非常に大きかったのではないかと思っています。それと前回の選挙だけではありませんが、やはりその日々の組合活動の中で労働組合と政治との関係について日々学習していくことがとても重要だと思っていて、選挙の時だけ何かこう行動を起こすということではやはり皆さん理解・納得することが難しいですので、課題が沢山ある中での日常活動にはなりますが、そういうところでしっかりと組合員と組合とが共有化しながら学習していくという日々の活動が重要ではないかなと思います。この延長線上に結果としてやはり得票率が上がっていくのではないかなと思います。

Q.(産経新聞・マツモト氏)

 関連しますけれども、組織率の低下というのはもう近年連合さんに限った話ではなくどこの労働組合でも問題になっているかと思いますが、組織率の低下についてはどのように克服策を見出していこうとお考えでしょうか。

A.(会長)

 何回か前の記者会見の時にも申し上げたかと思いますが、まず実態として今のそれぞれの加盟組織の組合員の実態がおそらく逆ピラミッド型になっていると思います。なので、その定年退職者を含めて自然減というのはこれからまあ続いていくんだろうなと思います。そしてもう1つは、新しい人たちをどういうふうに取り込んでいくかということで、ユニオンショップ協定を結んでいるところなどは新入社員の皆さんがそのまま組合員になっていくということかと思いますが、オープンショップのところはいかにその労働組合のメリットというものを周知していけるかということになりますので、それもある意味組織強化という部分になるかもしれませんが、そうした地道な活動が必要ではないかと思います。それともう1つ、先ほど事務局長もフリーランスの話が出ていましたが、同じ職場で働いている、今までもやってますが非正規雇用で働く方の人たちを組合員化していくだとか、連合としてはフリーランスの方たちを組織化していくだとか、そういったことが連合での取り組みと、また産業別組織・加盟組合での取り組みとそれぞれ取り組みの仕方があるかと思いますが、連合には組織化プランがありますので、それに向けてそれぞれの立場が着実に実行していくということになるのではないかなと思います。

質疑応答[9]
Q.(共同通信・タカノ氏)

 会長にお伺いしたいんですけれども、ちょっと2点あるんですが、最初の役せんの関係は前向きに検討されるということだったんですが、ちょっとこれまで2年弱の取り組みで一番力を入れて成果だとご自身で思っていらっしゃるところと、まだ足りてないと思うところがあれば教えていただきたいと思います。
 あと、すいません。それとまた全然別の関係なんですけれども、大阪関西万博の建設手続きがちょっと停滞している問題で、日本国際博覧会協会が工事に従事する建設労働者は来春からの残業規制の対象外とするように政府に要望しているということが明らかになってます。この動きに関する連合としての見解、対応方針などあれば教えてください。

A.(会長)

 まず1点目の成果の部分ですが、私の考え方として評価というのは自分でするものではなくて皆さんが評価されるものだと思っています。その中でもこの2年弱やってきて、すごく皆さんにご協力いただいたなというのは、ジェンダー平等・多様性推進の関係で、構成組織であっても地方連合会であっても挨拶の中に必ずジェンダー平等・多様性推進の課題が入っているということもありますし、加盟組合のところでは着実に女性役員が増えてきたということも前進していることだと思いますので、そういう意味ではすごく構成組織・地方連合会の皆さんにご理解とご協力をいただいて関心が高まったというところについては前期と今期の違いではないかなと思っています。
 それから春季生活闘争も高水準ということですが、これについては連合としては賃上げしやすい環境を作っていくことが私たちの役割であって、その加盟組合の労使が真摯に交渉をした結果としての結果ですので、そこはそれぞれの加盟組合の皆さんに感謝をしたいと思います。ただ、中小のところがまだまだきちっとした対応が取れていませんので、価格転嫁・公正取引の課題について連合としては取り組みを強化していかなければいけないと思っています。なので、結果として高水準ではあったものの運動としてはまだ足りてないと思っています。
 それから、政労使の意見交換会が実現できたというのは、やはり国際会議に出るようになって社会対話の重要を身にしみて分かっていましたので、それが今年3月15日に実現できたのは私の中では非常に大きかったことです。
 大阪万博の件、働き方改革における時間外労働の上限規制について、その労働者の健康確保とワーク・ライフ・バランスの改善を目的に設けられたということですので、万博という国際的な行事であることを理由として、労働者の命と健康を損なう恐れがある上限規制の適用を除外するということはあってはならないと考えています。このような考え方に基づいて、この間の連合としての取り組みですが、労政審においても労働側委員から適用除外はあってはならない旨の発信をしています。構成組織なども連合大阪とともに連携をはかって今活動しているところですし、あと先月、先々月になりますかね、厚生労働大臣に重点要請を行いましたので、そういったところでも連合としては連合の考え方を申し上げていますので、引き続き連合としては取り組み強化していきたいと思います。それと私理事になっているので理事会の場でも機会があればそういったことはしっかりチェックしながらやっていきたいと思います。

質疑応答[10]
Q.(時事通信・ミフネ氏)

 芳野会長にお伺いします。先日、立憲民主党の岡田幹事長が岩手県知事選の応援演説で共産党の小池書記局長と共に街頭演説を行いました。岡田幹事長は、これは候補者陣営の判断で小池氏の飛び入りが認められたもので、たまたま同じ日だったというふうに説明しているんですけども、また今後の国政選挙だとか首長選で同様の対応を行うかについても、どういうことができるか話し合わなければならないと含みを持たせているような発言をしています。共産党と接近しているような印象も否めないんですけど、こうした協力についてどう思うか受け止めをお伺いできればと思います。

A.(会長)

 共産党に対する連合の考え方は明確になっていますので、それを引き続き立憲民主党のほうには申し上げていくということになるかと思います。今回の岡田幹事長の対応についてはマスコミベースですけれども「たまたま」ということでしたので、そうだったんだろうなということで、そのことについてのコメントは差し控えたいと思います。

質疑応答[11]
Q.(朝日新聞・ニシオ氏)

 芳野会長に役せんの関連でお尋ねします。芳野さんがJUKIの労組委員長を兼職していることについて、地方や関連団体の催しの出席に支障が出ているのではないかとか、すべての労働者を代表する立場としての自覚と時間の確保のためにも専従するべきではないかという意見もあると思います。芳野会長自身はこういった指摘に対してどう受け止めているのかっていうのを1つ教えてもらいたいのと、もう1つが来期についても賃上げの継続っていうのが非常に重要だと思うのですが、そのことの重要性とか連合会長に求められる指導力っていうのはどういうふうに考えているのかっていう点についてお聞かせいただければと思います。

A.(会長)

 まず1点目について、一般論としてですが、連合会長だけではなく産別トップも同じだと思いますが会長職になればやはりいろんなことが入ってきて重なるということはあると思いますので、出席できたりできなかったりがあると思います。そういう中で今回の議論でどういう議論があったかということは、私は承知をしておりませんが、報道ベースの中で見ている限りそういうことであれば具体的にいつ何があってたのかということを事務局に対してちゃんと私は聞かなければいけないかなと思います。それから兼務のことについては、私は私の事情をお話した上での役員推せん委員会の判断ですので、もしそれがダメということであれば専任の方がやられればいいのではないかなと私は思っています。付け加えて言うならば私の場合には実体論を話しているわけで、おそらく役せん委員会の中では連合会長のあるべき姿みたいなものが話されたのではないかなと思いますが、今、加盟組合においても構成組織においても役員のなり手というのが非常に難しくなってきているという事実があります。地方連合会なども定数割れをしているところがあって、なかなか構成組織から送ってもらえないという実情もあるということを考えると、これからの役員の在り方は連合として早く考えていかなければいけないと思います。そうなるとその兼務の問題も含めてのあるべき姿も検討していけばいいのではないかなと思っているのと、もう1つはこれまで私が女性参画・男女平等参画を進めていく中で、労働組合って当事者性だと思っていて、子育て中であったり、介護を抱えていたり、そういうその当事者が入ることのほうが課題より明確になって課題解決のスピードが私は上がると思っています。だとするならば、そういう人たちが入りやすい環境を作っていかないと、そうじゃない人たちばかりの集まりになってしまうと議論も活性化していかないですし、本当に困ってる人たちの声を拾い上げていくということが難しくなると思いますので、共働き世帯も増えてきていますし、小さいお子さんを抱えながら子育てをやりたいという男性も今増えてきているので、どういう境遇であっても組合活動ができるようにしていくことが、これからの新しい時代、前例踏襲ではなく、新しい時代の組合活動ではないかなと思うので、そういうのは様々議論していけば何が正解ってことはないと思うので、それをもう議論していけばいいじゃないかなと思ってます。
 賃上げも難しい質問です。連合としては、これも内々に話してたことですが、連合も「まとめ」を出してしまうとなんかもう賃上げ終わったという感じになるので、12月ぐらいから来年の方針議論になるとそこからまた賃上げみたいになっていくので、とにかく年間通して「賃上げ、賃上げ、賃上げ」と言っていかなければならないよねというのも1つありましたが、これから継続をしていくということでの私の役割としては、どこまでできるかというのはありますが、やはり価格転嫁・公正取引のところをただただそれが必要だということではなく、それを進めるための何かこう具体的な策、こちらからちゃんと政府なり企業側に提案できるような具体策を、できるかできないか別にしてちょっと考えていかないと、ただやってくださいだけでは進まないなと思っていますので、担当局とはもう一段深掘りした取り組みをしたいですねという話はしています。あとは、盛り上がるように引き続き発信力強化していきたいと思います。皆さんも報道してください。よろしくお願いします。

質疑応答[12]
Q.(NHK・シカノ氏)

 芳野会長にお伺いいたします。ちょっと今日の出来事で恐縮なんですけれども、今日1時に東京電力の福島第一原発の処理水が、ALPS処理水が海洋に放出されました。この決定と今日の放出についてですね、地元からは漁業者などからは懸念や反対という声も上がっていますけれども、今回のこの政府の決定および海洋放出ということについて受け止め、連合としてのお考えありましたらお願いいたします。

A.(会長)

 処理水の海洋放出について、科学的なデータに基づいて国が責任を持って安全性を判断するべきだとえています。今日の放出開始はそのような判断のもとで行われたと連合としては考えています。その上で、その風評被害防止に向けて引き続き国内外への情報発信を行うということと、地元住民それから特に漁業・農業従事者の理解が得られるようにこれまで以上に皆さんに寄り添って丁寧に説明を尽くしていただきたいと思っています。連合としては7月に行った復興庁への政策要請において風評被害対策を徹底するように訴えたということです。

質疑応答[13]
Q.(西日本新聞・イワタニ氏)

 芳野会長に2問お聞かせいただければと思います。先ほどから成果として政労使会議の実現っていう点を触れられていましたが、今後の賃上げの継続に向けて改めてその政労使会議、もう一度開かれるお考えだとか、もう1つは政労会見のほうの実施について政府に働きかけていくお考えがあるのかというのがまず1つ。
 もう1つは、一方で芳野会長のこれまでの活動、自民党とか岸田政権との距離感について、政権寄りだとか自民党寄りだというような批判的なご意見もありますが、この距離感について改めて会長の今のお考えと来期に向けて、この今のその距離感というものを変えていくお考えなのかどうか、そこも含めて教えてください。

A.(会長)

 政労使の意見交換について、私としては来年も引き続きできればという希望は持っています。あわせて、今年ははじめてということで1回でしたが、チャンスがあれば年に何回かやらせていただければなという希望は持っています。ただこれは相手があることなので実現できるかどうかというのはありますが、賃上げに向けては来年もやりたいと思っていますので政府に対して要請はしていきたいと思います。それから政労会見のほうは今事務局長のほうで具体的な日程を詰めているところですので、こちらも大会控えてますから新体制になってからとなるかなと思います。
 それから自民党との距離感ですが、よく近づいてるとかいろいろ言われていますけれども、前任から比べると全然距離感変わってないと思いますし、まだまだ足りてないと私は思っています。すごくいろいろご指摘をいただきますが、私は一度も自民党を支援するとは言っていませんので、連合としては自民党であれ政府であれ、やはり対話ができる関係性を作っておかないとこちらの政策についてもご理解いただくということができませんので、そういう対話ができる環境というものを引き続き整理をしておきたいと思っています。ですので来年以降も縮まるとか遠のくとかそういうことではなくて、話ができる関係性は保っていきたいと思います。

質疑応答[14]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 まずはおめでとうございます。お二人が2年前ですね、今の要職に着くということは想定してなかったと思うんですよね。だからゼロからのスタートだったと。しかも事務局長が会長になったわけじゃないから最初のスタートは私はかつてない最弱の執行部のスタートだと思ったんですけど、そういう中で正直言って私はよくやったなと、よくもったなと、自分を少し褒めてあげたいというぐらいだと思うんですけど、そこの感想と、逆に2期目はまさにこの最弱じゃなくなるわけですからもう少し強力な何かそれができるという思いがあるのか、そこをちょっと伺いたいですね。

A.(会長)

 「よくやったな」というふうには自分では思ってないんですが、本当に事務局長をはじめ連合の事務局の皆さんもそうですが、構成組織・地方連合会もそうですけれども、本当に多くの皆さんに支えていただいて協力をいただいたなというのが率直な感想です。やはり今まで副会長やっていましたが、実際に会長になりますと情報量も全然違いますし、今まで自分がやってきた分野以上にしっかり勉強しないとなかなかついていけないというところも沢山あるので、そういう意味では本当に事務局の皆さんには支えていただいてやっと2年経つというところです。おそらくいろいろあるとは思いますけれども想定外で私たちも会長・事務局長になりましたが、なんとかマイナスにはならない活動ができたのではないかなと思っています。
 来期については、そうですね、運動方針を着実に進めていくということと、やはりスピード化の時代で特に生活困窮世帯すごく増えてますし、今で言うとやはり夏休みでひとり親家庭などは子どものお昼を、給食がなくなった子どものお昼どうしようかということで、地方連合会などはフードバンクですとか子ども食堂ですとか地域でそういう活動をしていて、どんどんどんどん困窮家庭が深刻になってきていると思います。そういう対応に対して、やっぱり連合ってスピード感持って動かなきゃいけないと思うんですが、どうしても民主的手続きを取りながら私たちの行動をしていくというステップを踏んでいるんですけれども、あまりにもそこにこだわってると取り残されていくと思いますので、なんかもう少しスピードを上げて取り組めるような仕組みと言いますか、なんかそういうことをしていかないとちょっと世の中から遅れてっちゃうかなと思っているので、来期はスピード感を持って今っていう時に今行動できるようなことが必要ではないかなと思ってます。

質疑応答[15]
Q.(シカタ氏)

 運動方針に関わることです。運動に取り組む単組と地方の関係で、芳野会長が出前対話活動されてますよね。これについて、この狙いといつからはじめられて、今どういう状況になっているのか、その中で特に連合運動強化についての意見とかですね、あるいは組合の産別・地方が困っていることで訴えられたことで印象に残っているところがあれば教えていただきたいと思います。

A.(会長)

 出前対話の目的は、なかなか連合の機関会議だけでは構成組織ですとか地方連合会が抱えている課題などを聞く機会がなかなかないということもあって、こちらから出向いてそれぞれのところから課題をお聞きするということでスタートをしていますが、スタートしたのが何月、今年に入ってからです。とても印象的なのは、地方連合会も今までやってきた構成組織もすべてのところでジェンダー平等・多様性推進が課題に上がっていて、女性の活躍についてアドバイスが欲しいということをすごく言われますので、そういう点では、人材不足と合わせて労働組合の中での女性活躍ということをそれぞれが考えはじめていただいたということは良かったかなと思っています。それと、産別などは産業によってすごく課題が違いますので一概にこれということは言えないですけど、共通して言えるのはやはり人材不足とジェンダー平等・多様性推進というところかと思います。

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