記者会見 2020年11月

 

連合記者会見

11月定例記者会見

神津会長・相原事務局長(2020年11月19日)

連合記者会見全文
神津会長

 今日も多くの方にお越しいただきました。感謝申し上げたいと思います。
 足元、新型コロナウイルスの感染が大変拡大をしてしまっているというのはもうご承知のとおりであります。これは本当になんとか防いで乗り越えていかなければいけないということだと思いますし、私どもとしてはこの間の対策として、検査の数を拡大して、しかるべくその症状に応じて医療的な対応を図る、その体制が本当の意味でどこまでできているのかということが、正面から問われていることですし、非常に深刻な状況を迎えているのではないかと思います。これはもう非常にあいまいな状況をそのまま残してしまっていることが禍根を残さないように、とにかく足元からできることをしっかりと政府そして各自治体が取り組んでいかなければいけません。私どももそのことにはしっかりと協力していくということに尽きると思っています。そして緊急的対応ということで雇用の問題、雇用調整助成金、これは特例措置も含めて、これはしかるべく継続延長していかなければならないことはもう当然のことだと思っています。そして産業状況、非常に影響の出方の偏りがありますので、そういう中で、非常に重たい影響を受けている産業に対してはすでに政府も支援の手を差し伸べていると思いますが、これも引き続きそこのところはしっかりとやっていただきたいということを我々も申し述べているということをこの場でもご紹介しておきたいと思います。ただこの緊急対応の繰り返しだけでは、本当の意味で将来を展望することは出来ないというふうに思います。すでにあったわが国の抱える問題、これが、その弱いところが露呈をしているというのもご承知のとおりであります。これを克服してこそはじめてアフターコロナを展望できるということだと思います。私どもとして、これは新しい立憲民主党との間で共有をしてきています、命と暮らしを守るニューノーマルというのもまさにそのことを基礎に置いた考え方であると思っています。具体的なことは様々ありますが、私どもとして最近特に主張しているのは、雇用のセーフティネットで、このセーフティネットも今申し上げた雇用調整助成金であるとか、あるいは失業給付といった、そういった側面だけでは不十分でありまして、やはり再就職のマッチングということを、給付を継続させながら、教育訓練、人材育成といったこととの合わせ技で、この1つのパッケージとしてそういった枠組みを国の責任においてしっかりと作る必要があるということだと思っています。いわば北欧型のそういう第2のセーフティネットの構築が、この際実行に移すことが必要だということだと思っています。そして今日の中央執行委員会の議案との関係で申し上げれば、12月1日の中央委員会で決定をする予定の春季生活闘争方針(案)であります。賃上げをはじめとした労働条件の向上と、そして生産性向上の実現によって経済の好循環でつなげていくという、この歩みを止めることはあってはならないと思います。これは万が一、ここでまた急ブレーキ、ストップというようなことになれば、これはコロナの克服にも重大な影響を及ぼすというふうに思います。これは基本構想そして春季生活闘争の討論集会で議論を重ねてきました。確かに、経済状況が厳しいことは事実です。そして先ほど申し上げたように、個々の産業実態かなり影響の出方も偏りがあります。そういったことも織り込んだ上で議論に議論を重ね、しかし連合としてはこの旗は掲げ続けなければならない、あるいは今までのところはやはり少なからず連合の中に留まっているこの賃上げの流れを日本全体のものにしていかなければならないと思います。格差の是正を日本全体のものにしていかなければならないということを考えれば、むしろこれからこそ力を込めてこの旗を掲げていかなければならないということで、今日の議案の確定ということで見ていただきたいと思います。これは当然のことながら私ども労働組合だけが力を込めても、最後は交渉事でありますから、経営側、使用者側の認識がある程度一致をしなければなりませんし、そして政労使三者で日本の経済社会のあり方を、この認識を一致させる下で最終的なこの成果配分にどうつなげていくのかということにそのポイントがあるというふうに思います。そういう意味では昨日行われたパートナーシップ構築の推進会議、連合からは相原事務局長が出席をしていますが、この内容は非常に大事だというふうに思っています。まさにその格差を是正していくために中小企業が生産性向上と賃上げ、この好循環を作っていくために、連合が発信しているところの付加価値の適正分配、1つのサプライチェーンの中で付加価値を適正分配するということに、基本的には同じ考え方に沿ったものだと思っています。パートナーシップの構築宣言を行う企業の輪がもっと広がって、これはある意味社会の中で当たり前のものだということですし、この事に関わっているビジネスの最前線で対応している人たちが、このことを常識として考えるというぐらいのことにならないと本物にならないと思いますので、ぜひこの内容は、連合の方針の中でも非常に重要なものだということを述べていますが、それぞれの皆さん方にもぜひここのところは注目をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 私のほうからの冒頭の発言は以上とさせていただきます。

相原事務局長

 いま神津会長からありましたとおり、本日の中央執行委員会、表紙の協議事項の8.2021春季生活闘争の方針案として12月1日の中央委員会に提起する内容を中央執行委員会として確認を賜りました。その他、政策課題として2021年度税制改正、マイナンバー、協会けんぽ、60歳以降の高齢期における雇用処遇、さらには育児介護休業制度の見直し等々について幅広く論議をし、方向感について意見交換をしたところです。あわせて組織拡大に向けた2030プラン、具体的な目標数値を定めて取り組みを幅広く進めていこうということでも確認をさせていただきました。なお確認事項の2.にありますとおり、新しい取り組みとして毎月5日を「連合の日」として連合アクションの運動展開、これに向けての具体的内容を確認させていただきました。
 私のほうから以上です。

質疑応答[1]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 朝日新聞のサワジです。大きく2点ありまして、1つが春闘方針ですが、ざっと見たところ討論集会の時と比べて変更になっているところでは、6ページの上から3番目のパラグラフで「したがって~」というところで、「底上げ」というのが入っているのと、あとは右の7ページの底上げのところで「それぞれの産業における最大限の「底上げ」に取り組むことで」というフレーズが入っていますが、ここは討論集会の時とは変わっていると思います。この辺に込めた意味合いっていうのがどういうところにあるのかというのを会長か事務局長から説明していただければと思います。
 あと2点目が、社民党が先日事実上分裂しました。連合傘下の産別の中の地方組織の中には社民党を支持している組織もあると思いますが、今回の社民党の分裂について会長としてはどういうふうに受け止めていらっしゃるのか教えてください。以上2点お願いします。

A.(会長)

 順不同になりますが、社民党については、特に連合として何かコメントを出すというようなこととは思っていません。最後に少しそのような形で議論が1つにまとまらなかったというのは、多分当事者の皆さん方からすると残念なことだったのではないかなというふうに推察をします。元々その社会党からの歴史ということの振り返りも、そういう意味では報道でもかなりされています。その後、社民党ということになり、あるいは民主党にかなりのところが引き継がれてきたという歴史を踏まえれば、今回野党のほうで1つの大きな塊を作るということが政治の世界の選択肢を有権者に示すことに繋がると、そういった思いを共有して、1つ合流につながるということについては、これは非常に前向きに受け止めたいというふうに思っています。やはり私どもからすると、これは特に西欧、ヨーロッパの社会民主主義には私たちも非常に見習うべきところがあると思っています。そういう意味ではその社会民主主義を基礎とする政党として、今まだ完結した形と私は思っていませんが、新しい合流新党の立憲民主党が、日本においてはそういった包摂とか多様性とかそういうことを尊重する社会民主主義の考え方を取り込んだ政党としてさらに強まっていくことが必要だと思っていますので、そういう中で考え方を共有する方々が合流するということについては、それは前向きに見ておきたいと思います。
 それから、春季生活闘争の方針についてですが、1点目のところは私もよく把握していないので、場合によっては事務局長から補足してもらえばと思いますが、2点目のところのそれぞれの産業で精一杯やっていこうという表現ですが、ここは先ほど申し上げたように今回コロナの問題で実際のところ産業状況かなり偏りがあるのは事実なわけです。ただこれも先ほど申し上げたとおり、そういうことを乗り越えて連合としては、こういった方針を引き続き今までの考え方を堅持して打ち出していこうということです。ただ現実に、構成組織なりその中での単組段階でも1つ1つのところにおいてはとてもじゃないけど賃上げ大変だと、まず雇用の問題、あるいはとにかく産業、企業が残っていくために、乗り越えていくために、何をしなければいけないかということが優先課題というところもこれは少なからず、大きな課題を抱えているところもありますので、そういったところも包含しながら、しかし1つの方針として表現していくためにここのところはかなり議論をしながらこの表現に至ったということで見ていただきたいと思います。

A.(事務局長)

 6ページの下のほうですか、上から2つ目のパラグラフ、したがって、2021闘争においても、「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組みの考え方云々です。パッケージでももちろん上げてますし、(1)の月例賃金をゴシックで上げている通りの3点セットですから、そこをもう1回補強し、整理しました。

質疑応答[2]
Q.(NHK・ミヤザキ氏)

 NHKのミヤザキと申します。今のところに関連して、春季生活闘争の底上げ、賃上げのところについてですが、会長の冒頭の発言でも産業ごとに偏りがあって難しい状況ではあるけども乗り越えなきゃいけないと、旗を掲げ続けなきゃいけないというふうにおっしゃった。一方でやはり難しいという意見というのはずっとあったと思うんですが、そこをあえてやはり掲げなきゃいけない、あとまた2%という数字を掲げたというところはどういう判断とか根拠でおっしゃっているんでしょうか。

A.(会長)

 2%ということは、これ都度都度毎年、数字も掲げていますのでこれどうしていくのかということは問われるわけですが、これは私なりの表現ですが、この数字自体を上げたり下げたりすると、そのことで私たちが意図していないメッセージと受け取られかねないというところがあるので、この数字自体を上げたり下げたりするというのはなかなか難しいことだと私は思っています。それで、基本的にはなぜ数字掲げるかということでいえば、マクロ経済との関係を私どもとしては1つ重視をするということは当然のことだと思ってまして、冒頭も申し上げたように、これは社会全体として一体どういうふうに考えていくのか、あるいは政労使としてどう考えるのかということが非常に重要だと思っています。したがって、これは要するにここで、先ほど申し上げた表現でいえばストップしたり、急停車してしまうということになると、経済全体を冷やして、ある意味取り返しのつかないことになってしまう恐れが、私はあると思っていますので、そういった意味でもトータルでどういう経済の回し方をしていくのかということを考えたときに、こういう数字は必要なんだろうということでこの数字を置いているということで見ていただきたいと思います。

質疑応答[3]
Q.(産経新聞・ヒラオ氏)

 産経新聞ヒラオです。偏りがあるということですが、実際に例えば航空だとか鉄道だというところの労連や単組からはどういった意見があるのか。かなり置いていかれているのではないかという恐怖もあると思うのですが、ここに対する配慮だとか調整だとかはどういうふうに進んでいるのでしょうか。

A.(会長)

 そうですね、あんまり置いて行かれているというような感じを、今の断面で思っておられるというふうに私は思っていませんが、連合での議論に出て来られる方々というのは、今申し上げたようにマクロとの関係ですとか、経済の好循環にどうつなげていくかだとか、そういう、一定の見識を持って議論に臨んで来られてますから、むしろ自分たちはこういう状況だけども連合全体としてやるべきだというようなことをおっしゃっていただいたということも、私も間接的に聞いてますので、そういう中でのスタンスの持ち方だというふうに思っています。ただこれは個々の実際に働いている方々、組合員からしてみると、それは心中穏やかならざるところがあるのはある意味当たり前です。しかし、今の状況をどう乗り越えてそして将来に向かっていくのかということでいえば、それは同じ視点を持ちながら進んで行きたいと思いますし、先ほど申し上げた中で雇用のセーフティネットということを構築するということは、働いている一人一人の人間からしての安心感を担保するということにもつながるので、私はこういう賃上げとか労働条件の向上ということにも実は深く関わるものだというふうに思っていますので、そういった意味での理解も全体に広げていきたいなというふうに思っています。

質疑応答[4]
Q.(読売新聞・サトウ氏)

 読売新聞のサトウと申します。最初のお話で触れられた雇用のところについてお伺いいたします。失業率とかはそこまで高くなっていない状況ですが、一方で上場企業の中で早期希望退職みたいなものを募る動きが凄い広がってきていると思います。この動きが見えないところで多分上場企業以外のところにも出てきているのではないかと思いますが、こういった流れについてどういうふうに受け止められているか教えてください。

A.(会長)

 ご指摘のように、失業率自体は3%ということで止まっていますが、これは雇用調整助成金ならびに特例措置があるからここにとどまっているということに他ならないと思いますし、また一方ではそういう希望退職であるとか、様々な雇用対策というものが打たれていることも事実だと思います。ただこれは平常時においても産業企業において状況というのは様々ですから、平常時においても部分的に希望退職が講じられるというようなケースもあります。私どもとしては、やはり雇用というのは安定的であることが望ましいのは当然の話でありますので、したがって私は先ほど雇用のセーフティネット、第2のセーフティネットが必要だというのは何もコロナだからということだけの話ではなくて、平常時からそういうセーフティネットを張るということが大事なことだと思っています。ですから、伝統的には我々日本の労働観というのは1つのところで一生懸命働く、まさに「一所」懸命ですが、長期安定雇用というものが1つのスタンダードとしてこの間、高度成長期を典型として、この間ずっと真ん中のところが来ていますが、ただ一方で目を転じればいわゆるその有期雇用、あるいはパート、派遣など多様な働き方が20年間で2割が4割になった。あるいは近年においてはフリーランス、あるいは事業主だといわれながら実際には労働者性をどう見ても持っているいわゆる曖昧な雇用がかなり拡大してきているということもあわせもって考えますと、やはりおっしゃったように、失業率3%という数字だけではとても語れない雇用の状況があると思います。したがってセーフティネットの枠組みをしっかり作るべきだというふうに思います。

質疑応答[5]
Q.(時事通信・ミズタニ氏)

 時事通信のミズタニです。よろしくお願い致します。先日、連合傘下の自動車総連の傘下にあるトヨタ労組が、与党との連携を検討していくと、政策実現のために、一部報道がございました。この報道について連合執行部の中でどのように情報というか共有されているか報告されているかということと、連合としては立憲民主党、国民民主党と政策協定を結んだ上で支援していくという方針は明確にしているわけですが、この選挙の方針に何らかこの動きが影響を与えるものなのか、会長のご認識を伺えればと思います。よろしくお願いします。

A.(会長)

 選挙の方針への影響というのは全くありません。それから自動車総連が出されたコメントについては私も拝見しましたので、ある意味でそういう意味で共有されているというふうにいっていいかと思いますし、またそこでの表現も含めていえば、取り立てて騒ぐような話とは全く思っていません。ご承知のように私ども連合も政府政党、政党というのは当然与党も含めて、政策要請をこれは連合結成以来31年間やってきていますので、それは自民党に対してもしかるべく連合の政策、自動車総連なり全トヨタ労連ということでいえばその産業政策についていろんな要請をするというのは別に何のおかしいこともない話だと思います。実際に産業別組織なり、単組あるいは企業連段階でどういった取り組みしているかというかというのは様々だと思います。自民党との関係も様々だと思いますが、連合としては今申し上げたような取り組みをもう長年にわたってしてきていますから、違和感もありませんし何か大騒ぎするという話だとは全く思っていません。

質疑応答[6]
Q.(フリー・モリ氏)

 フリーの記者のモリと申します。先ほどの会長おっしゃったように産業企業を守らざるを得ないというところがあるわけで、来年この2%の賃上げを実現するとなると、そういうところは賃上げどころではありませんから、要するに賃上げどころではないところはこの賃上げができないだろうと、そうすると、どこの産業産別が引っ張るのでしょうか。この2%程度の賃上げを実現するためにはどこかがかなり大幅な賃上げをはからないと平均2%の賃上げは可能ではないと思います。ですから、どういう産業どういう産別が来年はリードすべきだとお考えなのか伺いたいのですが。

A.(会長)

 あまり数字の遊びをするつもりはありません。マクロ経済との関係で数字を上げたり下げたりはできないということは、先ほど私の存念として申し上げたとおりですし、結局これ自分たちだけのためにやっている春季生活闘争ではありませんので、経済社会どう回していくのかということです。したがって、これは経営者、使用者がどう考えるのかということ抜きに交渉というのは成り立ちませんし、私は政労使でしっかりと考え方、認識を共有していくということが不可欠だと思っていますので、そういう意味でいうとその底上げ、底支え、格差是正といっているところの「底支え」であるとか「格差是正」というところにさらに力点を置いていかなければいけないと思っています。その従来パターンの繰り返しで、どこかが引っ張って、それについていくみたいな発想ではなかなか本当の意味でブレイクスルーできないということだと思っています。もちろん現実には交渉のゾーンがあって、最初にしっかりした回答を引き出すというところが出てこないと、その後がそれを土台にするということが成り立たないということもありますので、それは様々な産業に私は期待したいというふうに思っていますので、この場で「どこに」なんていうことをいうような、そういう性格のものではないというふうに思っています。

質疑応答[7]
Q.(日本経済新聞・マツイ氏)

 日本経済新聞のマツイです。冒頭のプレゼンにも雇用調整助成金とか失業給付とか、そういった政策だけでは不十分だとおっしゃいまして、その再就職のマッチングの仕組みを作る必要があるという言及がありましたが、雇用の流動性を高め、雇用を維持しつつ雇用の流動性を高めるということの必要性というのはコロナ以前からいわれてたと思うのですが、そのために具体的にどういう仕組みが有効だというふうにお考えなのでしょうか。北欧型の第2のセーフティネットというふうにおっしゃったんですが、もう少し具体的にお願いできればと思います。

A.(会長)

 民主党政権のときに作った給付をしながら職業訓練をしていくという仕組みがあります。それで、これがまだいろんな制約もあるのでしょうから、なかなかそんなに広がりを持っているわけでもありません。それで、一般によく知られていて誰もが利用できるというそういうものになっていませんが、私は1つの目というのはこの時にあったと思います。ただ、いかんせんその民主党政権自体が、ああいう形でバラバラになってしまったということですので、その先がつながっていないのですが、1つはそのことも頭に置いていくということは選択肢としてあるのかなと思います。私も何度も北欧型といってますが1から10まで全てわかっているわけではないので、そこのところはもう少し掘り下げていく必要があると思いますが、ただ間違いなくあるのは、これ政府だけではなくて、労働組合もそれから使用者側も少なからずマンパワーも含めて力を出し合って、そういう枠組みを作っています。それがないとただでさえ借金財政で、加えて60兆円も借金をプラスして、だけどもう今は使うお金は使わなければいけないので仕方が無いですが、しかし私はこの雇用のセーフティネットというのも、今持っている力をどうやって全体で包含していくのか、例えば産業雇用安定センターというところがすでにそういう再就職のマッチングという事業を手広くやっていますので、ただそこに全部を被せて全部やってくれというのもこれも実現可能性として無理な話です。それと個々に産業の中でそういうマッチングをやっているところもあります。あるいはUAゼンセンのように産別台でそういったところに力を入れているところもありますから、すでにそのようにやっているところ、やれるところの資源をどうやって全体で組み合わせていくのか、あるいは今ネット社会ですから、そういう求人情報だってもう少し全体で共有するようなそういう仕組づくりということが、必要ではないのかなというふうに思っています。

Q.(日本経済新聞・マツイ氏)

 もう1つだけ、今春の春闘では賃金と並んでジョブ型雇用の導入についてもテーマになる労働組合もあるのではないかと思います。何度かこの場でも伺っていますが、ジョブ型雇用というのは会長は大したことじゃないと以前おっしゃっていたと思いますが、今もお考え変わりありませんでしょうか。

A.(会長)

 大したことではないというか、同床異夢に陥りかねないので、議論するのは別に全然構わないし、ある部分きちんとした議論をやったほうがいいと思いますが、定義をはっきりさせてしっかりと議論をしていくことが必要だと思います。ですから個別の労使関係しっかりしているところは、当然のことながらそこでいってるジョブ型とはどういう意味なのかということを前提条件として、話し合いの前提、土台として定義付けることはなければ話にならないでしょうから、だからそこはそれぞれごとにしっかり話し合いして、必要であれば制度の改定も含めてやっていったらいいと思います。だけど問題なのは、そういうことがなくて、もう労働組合もなくて、世の中の何となくジョブ型といったら、あなたの仕事はこういうことで給料はこれなんだからもう金輪際上げませんみたいな、そんなことに使われたらとんでもない話なので、しっかりした労使関係の下にきちんとした話し合いをするということがなければ、あまりその単に世の中の何となしの雰囲気に乗っかってジョブ型ジョブ型ということはむしろ避けるべきではないのかなと、こんなふうに思っています。

質疑応答[8]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 ファクタのミヤジマです。連合が支援されている立憲民主党の枝野代表は、コロナの3波拡大は完全な人災だとそうおっしゃってますが、神津さん、相原さん、これ完全な人災と思われますか。ここで書いてある、観光、飲食、鉄道、航空含めて、一番ギリギリのところはGo Toで助かっている面もあります。それが1点です、人災なのか。
 それともう1点は、ここの書いてある、観光、飲食、鉄道、航空などの特定業種、従業員数でいったらたぶん日本の従業者の3割ぐらいいると思いますが、ここで働いてる人で来年の春季生活闘争で給料が上がると思ってる人は、私は皆無だと思いますが、そういう人たちにとって雇用であり、雇用不安をどうしてくれるかということが最大の関心だから、本来次の春季生活闘争というのはそういう特定業種については一にも二にも雇用、これも政官労使ですか、一体となって雇用を守るというのが1つあって、やっぱり雇用水準の追求というのはもちろん来ますが、まずやはり困っている3割ぐらいの労働者に対して、なんとか雇用を守るというのが本来の連合のスタンスじゃないと納得できないような気がするのですけど、そのへんはどうなんでしょうか。皆さんいってる質問もそういうことだと思うんですけどどうですか。

A.(会長)

 2つ目のほうから行きますと、雇用を守るということはもう大前提で基本中の基本ですから、このこととあわせて春季生活闘争の旗を掲げているということはいうまでもないと思っています。要するに、雇用と賃上げは二者択一じゃないということを、社会全体がしっかりと認識する必要があると思います。それは要するにデフレの20年間において、雇用も極めて厳しい、そして先ほど申し上げた多様な働き方といえば聞こえは良いけれども、実際には不安定かつ低処遇の雇用が大幅に増えてしまったわけです。それで、そういう雇用の劣化とともに平均賃金も低下の一途でした。ですから私たちはこれを逆に回していかなければいけないというふうに思っています。それで、その中において今年の春季生活闘争、コロナの状況をどう受け止めていくのかということにおいて、おっしゃられたようにエッセンシャルワーカーの方々の頑張りというのは、これに対してどういうふうに私たちがメッセージを送るのかということであって、この連合の組織の中においても見えない感染リスクと戦いながら第一線で本当にこの深刻な時期においても働いてきた人たちが数多くいらっしゃるわけです。その方々は、一方で処遇条件が低い方々も総体的に見ていらっしゃるわけで、それをどうやって底支えしていくのか、あるいは格差是正をはかっていくのかということはむしろ強化していかなければならないというふうに思います。ここで賃上げの旗を下げてしまってはもうその方々に会わせる顔がないというのが私どもの心情だというふうに思っています。したがってそれをまた社会全体にどう広げていくのかということにおいて、先ほど申し上げたように、これは使用者団体、経営者団体、政府、そういったところと考え方を合わせないと今後の経済社会の展望が開けないということに他ならないと思っています。
 それから1点目、政府のコロナ対策がいかがかということでいえば、枝野代表がそのおっしゃった文脈自体私が今承知しないので何ともいえませんが、しかしそういう表現に当たるようなことになりかねない、そういう危険性はあるというふうに思っています。これは冒頭申し上げたように、あれほどPCR検査が受けられる人の数を増やさなければいけないといっていたのに、現実にはいろんなネックがあるのでしょう、縦割りの弊害がそこに作用していることも想像されます。だけど本当の意味で、検査を受けるべき、あるいは不安を抱えている方々に、その検査をしっかりと拡大しなければいけないと思います。それが出来ていない中で足元こうやって事実が先行して、感染期が来てしまったということですから、これ後手後手に回っているというふうに私は見えてしまいます。したがってそのことはもう今からでも、とにかくやれることをしっかりやってもらわないといけないということだと思います。これは世論調査を見ても、出だしのところでは政府の対策に対してかなり厳しい反応がありましたが、ここ最近の世論調査では、政府もよくやっているじゃないかという比率のほうが上回っています。こんなことに甘えていたら本当に取り返しのつかないことになるというふうに私は思います。

質疑応答[9]
Q.(朝日新聞・サトウ氏)

 朝日新聞のサトウです。質問というか2点確認です。1点目、春季生活闘争の賃金要求の部分ですが、昨年は合計で4%みたいな「4%」という数字がありましたが、今年はその4という数字入れてないのは、それは先ほど縷々会長がご説明したとおり、幅を持たせるというか、そういう狙いがあるのかということと、もう1点が今エッセンシャルワーカーのお話が出ましたが、最終的に数字自体はマクロ経済との関係で変なメッセージになってほしくないという思いがあるということなので、まあ2%になりましたが、数字を入れたということ自体については、これは最終的な決め手というのは今おっしゃったエッセンシャルワーカーであったりとか中小企業の方々の格差是正だったりとか、そういったところがあったという理解でよろしいでしょうか。

A.(会長)

 まず1点目のほうは、正直いって私もそんなに、ご指摘受けるまで「そうだったかな」ぐらいの話なので、まあ要するに2と2を足せば4だねという、それで、それはだいたい世の中で統計、結果どうだったか、2%行ったか行かないかみたいな、その時の数字というのはご承知のようにいわゆる定昇のところも入っていますので、ですからそれは2+2の4だという認識は引き続き持っていますし、それはもう連合の傘下においては状況の厳しいところにおいても、基本的なその賃金制度上における賃金カーブの維持だとか、あるいは定昇に相当するところというのは、これは何としても取らなければいけないということに変わりはないと思っています。
 それからマクロとの関係で「2」ということを申し上げましたが、今回というか前回から、底上げ、底支え、格差是正というのは定義付けを今回の方針でもしてきています。より強い思いとしては、これだけ2014年から引き続いてずっとやってきているにも関わらず、世の中全体にどこまで広がっているのかということを考えたときに、そもそもの処遇条件が低いところとか、働いていることの価値に見合った水準になってないというところにおいて、何とかそこは引き上げていかなければいけないということの思いはより一層強くなっているというふうに見ていただきたいと思います。ですから数字の2というところだけ見るとなかなかそれはストレートには伝わらないかもしれませんが、むしろだからそこはおっしゃっていただいたように、そういう思いも含めてこういう賃上げ要求の考え方をまとめているということであります。

質疑応答[10]
Q.(西日本新聞社・カワグチ氏)

 西日本新聞社のカワグチと申します。立憲民主党さんと国民民主党さんとの政策協定について、時期の目処いつ頃と考えていらっしゃるかということと、前回の10月の会見で神津会長は両党が国会の開会に向けてどういう力合わせをしていくかを見定めたいとおっしゃっていましたが、臨時国会が開会して、野党ヒアリングでありますとか憲法審査会への対応ですとか、どちらかというと両党離れていってるような印象もありますが、この力合わせというのを今どのように見てらっしゃるかについてお願いいたします。

A.(会長)

 国会における力合わせ、協力関係というのは、必ずしも報道されるのは違ったところばかりで報道されるので、そこは目立っているのでしょうが、実際にはいろんな協力をしながらやっているというふうに私は認識していますので、そこについてそれ以上のことは無いのですが、政策協定ということになるとこれは当然総選挙、要するに解散という事実があってのことなので、そのことを見据えてというのがこれまでもタイミング的にはそういうタイミングを見据えた上で政策協定を結んでいますから、一方で中央執行委員会という機関確認はある意味持ち回りということもこれまではそういう例もありますので、臨機応変にやっていくということになると思います。そのことに向けての力合わせということでいえば、やはり選挙区において、その漁夫の利を得させないようなことの調整というのは少しずつ進んではいますが、まだ完結したわけでもありませんし、まだ空白のところにどこのどういう人を立てるのかということももう少し見定めながら、そしていずれも新しくできた党ということですから、まだ流動的な要素もあるとすればそういった状況も見据えた上で政策協定ということにつながっていくのだろうというふうに思っています。

RENGO-TV
連合記者会見
ツイキャス・あつまれ!ユニオンスクエア~毎月05日はれんごうの日~
アニメーション・PR動画
主な活動に関する動画
ワークルール動画
年金のしくみ