2024春季生活闘争 第2回回答集計結果記者会見

 

連合記者会見

2024春季生活闘争 第2回回答集計結果記者会見

芳野会長・清水事務局長・村上副事務局長・仁平総合政策推進局長(2024年3月22日)

芳野会長

 大変お疲れさまでございます。本日も多くの方にご参加をいただきまして誠にありがとうございます。感謝を申し上げます。
 第1回回答集計から1週間が経過いたしました。依然引き出した回答は高い水準を維持しています。第1回に続き今回も、比較可能な2013闘争以降では、全体も、規模も、賃上げ分も、定昇相当込み賃上げ分も、すべて最も高くなっております。多くの組合において粘り強く交渉を行っていただいた結果であり、交渉に携わっているすべての労使に敬意を表したいと思います。この勢いを、中小組合や、組合のない職場へ波及させていきたいと考えています。構成組織・地方連合会とともに中小組合の賃上げに向けた機運醸成に注力をしていきます。4月5日には「4.5中小組合支援共闘推進集会」、4月18日には「みんなで賃上げ4.18地場中小支援緊急集会」の開催を予定しています。引き続き積極的にご取材をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。今回は有期・短時間などの働き方をなさっている方の賃金集計はしておりませんが、この賃上げの流れが雇用形態を越えて維持され、さらに広がっていくよう、連合本部としてもしっかり見ていきたいと思います。
 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

仁平総合政策推進局長

 それではお手元のプレスリリースの2ページ目をご覧いただきたいと思います。会長からもございましたが、今回一番数の多い平均賃金方式の一番上の表を見ていただきますと、組合数が1,446組合、第1回の集計の時が700組合台でしたから、ほぼ倍になっています。人員にしますと190万人台でこれも第1回から50万人くらい増えています。定昇込みの率でありますけど5.25%ということで、第1回が5.28ということですので若干下がっていますけど、ほぼほぼ水準は維持されています。300人未満のところも見ていただきますと4.50ということで、第1回の時が4.42でしたから、若干ここについては前回の第1回から上がっています。全体のところについては、集計の対象組合も増えて、前回はヤマ場の週でしたので割と産業の偏りもあったわけでありますが、今週に入りまして様々な産業も集計の中に入ってくるということで、産業を越えて高い賃上げが波及しているということが1つ確認できるじゃないかと思っています。中小もご覧のとおり健闘しているわけでありますが、これについては来週3月末決着というところで交渉しているところも多々ございますので、来週の状況を見つつ次回4月4日の集計で中小へどれくらい広がりがあるのかといったことについては改めて確認していく必要があると思っております。私からは以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(東洋経済・クロサキ氏)

 東洋経済のクロサキと申します。今300人未満のところについて、4.2から上がっている、で、産業の偏りが、というところだったんですけども、もう少し詳しく、なんでこう上がる…その産業が広がることが上がる理由になったのかということをご説明いただけますでしょうか。

A.(仁平総合政策推進局長)

 はい、クロサキさんありがとうございます。2つのことを申し上げましたが、全体の水準のところについては産業の広がりも含めて確認ができますねって話と、中小のところについては産業が広がったから水準が若干上がったというよりは、やっぱり組合数も含めて中小のところが集計をしてみた結果として、やはり一定程度、前回よりは健闘した組合が増えて、回答の引き出しの組合数も含めて、昨年と比べてみても上がっているということで、、これまでに回答を引き出したところについてはしっかりと健闘しているということなんじゃないかと思っております。

質疑応答[2]
Q.(テレビ東京・オノ氏)

 テレビ東京のオノと申します。芳野会長にお伺いします。今回、特に先ほども質問ありましたとおり、中小で、前回よりも上がっている、大体初回よりかは下がってしまうと思っていたんですが、相当驚きの結果だと思います。今の現状で、中小を含めて去年を超える賃上げ、このことについて見通しがどのようになってきたのか、去年を超えるようなような傾向になっていると判断されているのか、そこについてのご見解をお願いします。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。中小・小規模事業所の交渉は、3月末もしくは4月いっぱいぐらいまでかかっていくと思いますので、この水準を維持していければと期待を持っているということです。今年は、それぞれ真摯な労使交渉が行われたということはもちろんなんですが、やはり企業の持続的な成長ですとか、人への投資、とりわけ中小においては人手不足感が非常に強くなっていますので、そういったことも含めて結果に結びついてるのではないかと考えております。

Q.(テレビ東京・オノ氏)

 すいません、そのことについて。ですと、今のところ、いわゆる中小で、はっきりとした取引での利益を上げて賃上げができてるというよりも、むしろ人手不足におけるいわゆる防御的な防衛的な賃上げという側面が強いとお考えでしょうか。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。想像の範囲で言ってはいけないかもしれませんが、この間現場の話を聞いていますと、連合としては労務費を含めた価格転嫁が中小の賃上げには必要だということはこの間申し上げてきました。で、「材料費までは含むことができるけれども、やはり労務費までは」という声を非常に多く聞いていますので、これまでよりは改善はされているものの、まだまだ労務費含めた価格転嫁については道半ばではないかと考えております。

質疑応答[3]
Q.(NHK・ミヤザキ氏)

 NHKのミヤザキと申します。芳野会長にお伺いします。2点ほど、1つは今と関連するところで、中小のっていうところですが。全体と比べると0.75ポイントぐらい開きがあるものの前回よりも上がっているっていうところで、連合がずっと掲げてきた持続的な賃上げとか好循環っていうところにも結びつくものだと判断されるかどうかっていうことが1点。
 あと2点目、これ今の会見でお答えになることかどうかちょっと分からないんですが、今週、日銀で大規模な金融緩和の変更っていうことも決まりました。今回の、春闘というのは今後も中小で続いていくって話もありましたが、こういった決定、変更とかですね、そういったところが今後の影響、労使交渉もですし、働く方、労働者の方に対する影響みたいなところというのは連合としてどういうふうに捉えていらっしゃるか、お願いいたします。よろしく。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。まず1点目については、持続的な賃上げに結びつけていきたいと考えております。先ほども申し上げたようにまだ交渉継続中ですので、連合としては、地方連合会・構成組織とともに中小・小規模事業者のサポートをしていきたいと思います。 2つ目のご質問ですけれども、日銀が考えることかと思いますので、連合としてはコメントを避けたいと思います。

質疑応答[4]
Q.(シカタ氏)

 シカタと言いますが、中小のほうでお聞きしたいのが、前回よりも160円ぐらいアップして、率でも0.16アップしているんですが、この3.15っていうのを見ると過年度の物価が3.1というのがあって、で、300人未満も現時点では実質賃金確保と健闘しているわけですが、これからどうなるか、「これから」と皆さん言われているのではっきりしたことは言えないと思うんですが、ここにあるように2015年以降で最も高いという2015年がいくらであったのか、300人未満のベアね、それから今年の争点である中小が実質賃金確保するかというあたりでね、この0.05%どうなるかっていう話なんだけれど、そのあたりを含めてね、どう、そのなんていうのかな、中小に実質賃金ね、要するに3.1ですよね、3.1をキープさせていくのかっていうのは大きい評価のポイントになると思うんですが、ちょっとそのあたり見解をお聞きしたいと思います。

A.(仁平総合政策推進局長)

 シカタさん、私からお答えしてもよろしいでしょうか。はい、先ほども申し上げたとおり、まだ組合数も少ないんで、ここまでのところは確かに賃上げ分が明確に分かる組合が3.15ということでご指摘のとおりなんだろうと思って、この辺は今後もよく見ていかなきゃいけないと思っております。本日ちょうど2月分の消費者物価も公表されまして、2月で2.8だったですかね、年度ベースでもほぼほぼそれくらいな感じなんだろうなとは思っていまして、そういう意味ではそこも1つの、毎勤統計で見る実質賃金の反転があり得るのかどうかといったことは大事なポイントだと思っておりますんで、今後も統計等を見ていきたいと思っております。会長も申し上げているとおり、われわれは今交渉中でありますし、組合のないところも含めて、あるいは夏の最低賃金なども含めて、しっかりとみんなに賃上げが広がるような運動としてやっていかなければいけないと思っております。

Q.(シカタ氏)

 2015年の300人未満のベアは?

A.(仁平総合政策推進局長)

 ちょっと手元ですぐ出てこないので、後で見てお答えしたいと思います。

質疑応答[5]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 毎日新聞トウカイリンです。よろしくお願いします。今回の集計に入ってないんで、ちょっと感触をお尋ねしたいんですけども、その非正規の部分ですね、前回UAさんを中心に大企業の非正規って言ったらおかしいですけども、イオングループのような大きなところが高く上げてきたっていうことで非正規が全体を上回るというような形でこう雰囲気出ていたんですけども、そういうUAさんなんかの大きなところが終わって、中小も含めて非正規がいると思うんですけども、非正規に取り組んでいるところの反応っていうのは今のところどんな反応なんでしょうか。全く見えない状況でしょうか、それともちょっと来てるなっていう感じがするんでしょうか。感触をちょっと教えてください。

A.(仁平総合政策推進局長)

 はい、トウカイリンさん、私からお答えしたいと思いますけど、これもなかなかデータが十分ないので何とも言えないところはあるんですけど、回答速報で実は時給などの追加分も公表しているので、そちらもご覧いただけたらと思っています。集計はしていないんですけど。そういう意味では前回も、組合数も、なおかつ時給の賃上げの率も、両方過去最高であり6%台の時給の引き上げということになっておるので、それはUAさんの流通・外食というところが中心だと思っているんですけど、そこにウエイトがありますが、そういう流れっていうのは、そういう意味ではトウカイリンさんが言われるように、しっかりと広がりもあるんではないかと思っております。

質疑応答[6]
Q.(朝日新聞・キタザワ氏)

 朝日新聞のキタザワです。2点伺いたいんですが、まず1点目なんですけれども、初回集計の段階に比べて集計組合数が、初回の時点では前年に比べて下回っているような状況があったと思うんですが、今回の集計では前年を上回っていて特に300人未満での組合数がかなり増えていると思うんですけども、このあたり今週に入っての労使交渉などがかなり一気に加速したようにも見えますが、このあたりについて芳野会長に組合の労使交渉の現状など足元の状況も含めてお伺いできればと思います。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。おそらく大手も中小も今年の春季生活闘争については、やはり経済回復も含め、また人手不足の解消ですとか、様々な要因を考え、2024春季生活闘争についてはしっかりと成果を出していくということについて、労使での取り組みが非常に現場の中では共有化されてきたのではないかと思っています。この間も連合としては労働組合があるからこそ会社に要求書を出して交渉ができるんだということを申し上げてきたんですけれども、そうした取り組みが増えてきたということももちろんですし、しっかりと回答を出していくという労使の取り組みも今まで以上に成果を上げてきたのではないかと思います。やはり回答集計ってその都度を締めていきますので若干そこで前後が発生してくるということはあると思いますが、現時点ではやはり回答も増えていますし、結果も伴ってきていますので、これが維持できるように引き続きサポートをしていきたいと思います。

Q.(朝日新聞・キタザワ氏)

 もう1点お伺いしたいんですけれども、仁平さんにお伺いしたいんですが、妥結済み組合の賃金改善分の獲得状況なんですけれども、これが昨年68%取っているのに対して今年64%っていう状況ですけれども、このあたり何か、下がっていると見るのかどうか、ちょっとそのあたりの見方について教えていただけますでしょうか。あと理由もあれば教えてください。

A.(仁平総合政策推進局長)

 今、3ページのところの要求状況・妥結進捗状況のところをご覧いただいているんだろうと思っているんですけど、ここは妥結組合のうち、これを4つに分けていまして、賃金改善分要するにベアが取れたところ、それと定昇のみでしか到達できなかったところ、定昇割れになっているところ、それと「確認中」っていうのがあるんですけど、この「確認中」の割合が高いというのが多分1つの理由なんですけど、それは前にも申し上げましたけど賃金制度が整備されていない中小っていうのもそこそこありまして、そういう意味では「ベアと定昇の区別がつかないんです」というところがやはり一定数あるもんですから、それは全部「確認中」に回しています。そういう意味ではこの「確認中」の中身も今回の平均の水準感というか、総額での金額とか率とか見ると、基本的には全部この段階のものは実質的なベア分を含めて取れているって見るべきなんだろうなと思っておりますので、確実に言える話は、定昇のみで終わったところは今のところ11組合しかないっていうことなんだろうと思っています。そういう意味では相当数が実質的な賃上げを取れている、昨年と比べてみると昨年の定昇のみに終わったところが58組合に対して今11組合ということですから、やはり全体の水準が上がっているし、そうした中で実質的な賃金改善取れているところが大半だということなんだと思います。

質疑応答[7]
Q.(日経新聞・ハンザワ氏)

 日経新聞のハンザワと言います。今の表、前の質問の方と同じその表ですね、要求状況・妥結捗状況の中のいわゆる妥結済みのところですね、真ん中あたり、「ヤマ場週より前」「先行組合回答ゾーン」ってありますね、で、「ヤマ場週より前」っていうのが7.6%あって、去年の4.0%より若干上がってると。印象としては、1回目、2回目の交渉とかでもう満額回答出したような企業が多かったんで、それが反映されているという理解でいいのかなと思うんですけども、これが増えた理由をですね、原因っていうのはどういうふうに分析されているのかっていうのと、あと、こういう前倒しで先行してヤマ場より前に前倒しで妥結するってことがいいことなのかどうかですね、その辺の評価をちょっとお聞かせください。

A.(会長)

 はい、ハンザワさんありがとうございます。ご指摘のとおりだと思います。そういう認識でよろしいかと思います。交渉をまあ大手で見ますと2月中旬くらいに要求を提出し、第1回、第2回、週1回ぐらい交渉していると思いますので、そうした中で組合の要求の趣旨そのままの回答が回答指定日前に会社からあったということ、それを組合として受け入れたと、そういうことなんだろうと思います。その割合がやっぱり増えているということだと思います。これについては総括のところで、今後実際どういう交渉でどうだったのかといったことも含めて、それぞれの話を聞いてみないと、なかなか数が増えたからどうのというのはなかなか現段階で言うことはないかと思っています。そういう意味で、情勢の認識とか、今年の賃上げの社会的な意味みたいな話が共有できたことっていうのが、会社が早く回答した背景の1つの要因にはなっているんだろうなという気はしております。

質疑応答[8]
Q.(モリ氏)

 フリーの記者のモリと申します。高水準の賃上げ回答が続いているわけですけども、これが雇用に対してどういう波及効果っていうか、影響があるかってことをお尋ねしたい。要するに、これらは組合のある企業ですからまあ高いでしょうと、今は人手不足もあるし。しかし一方で組合がなくて賃上げもできないような会社も…会社というか事業も結構多いと思うんですね、そうすると、一方で賃上げをやって競争力を一層強める企業と、賃上げもできなくて競争力が劣る企業、先日の日銀の政策転換にもあるように、金利のある世界になると、かなり倒産が出るだろうという早くも予想が出ていますけども、そうするとそこで失業も…要するに劣後する企業が倒産したり廃業したりすることによって失業が生まれると思うんですが、この影響はどうご覧になっているか、今は人手不足が激しいのでマクロで見ればまあ問題ないと言うのか、あるいは違うと見るのか、そのへん芳野会長はどうご覧になっているか、お願いいたします。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。おそらく中小・小規模事業所そして労働組合のないところは、これから交渉、もしくは経営側が今年の賃上げをどうするかということを検討に入ってくるかと思うんですけれども、連合の役割としては労働組合のないところ、中小・小規模事業所をどれだけ底上げができるのかということで2024春季生活闘争は力を入れてきましたので、そういったところを連合としてもしっかりとサポートしていくということなんですが、そのためにはやはり労務費を含めた価格転嫁というものが非常に重要だと思っていますので、それが職場の中にきちっと周知できるように、引き続き構成組織・加盟組合には周知をしていきたいと考えています。まずはそこからだと思います。

Q.(モリ氏)

 すみません、補足してお尋ねしたいんですけども、競争力のない生産性の低い会社がコストを全部価格転嫁すると、これはインフレ要因になると思うんですが、そのへんはどう考えでしょうか。

A.(会長)

 賃上げというのは企業が利益を出してはじめて処遇改善に回っていくと思いますので、繰り返しになってしまいますけれども、やはり労務費含めた価格転嫁というものが今は非常に重要ではないかと思いますので、そこに力を入れていきたいと思います。

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