記者会見 2022年9月

 

連合記者会見

記者会見 2022年9月

芳野会長、清水事務局長(2022年9月15日)

連合記者会見全文
芳野会長

 大変お疲れさまでございます。
 今日、第12回中央執行委員会を開催いたしました。後ほど報告にもあるかと思いますが、まずウクライナのカンパの関係です。皆さまからお預かりをしたカンパ金を8月30日に日本ユニセフ協会と国連UNHCR協会に届けてまいりました。先が見通せない状況の中で不安を抱えるウクライナの避難民の方ですとか、子どもたちの希望につながる活用を期待しています。
 また、9月10日11日になりますが、平和根室集会を開催をいたしました。3月にロシア外務省が平和条約交渉を中断するとの声明を出し、今月に入り「ビザなし交流」など政府間合意が破棄されるといったことがあり、北方領土問題は非常に厳しい状況にはありますけれども、連合としては粘り強く運動・発信を続けていきたいと考えております。
 そして次年度の活動計画、予算、決算などについても、10月6日の中央委員会に向けて内容のご確認をいただきました。コロナ禍の動向や物価上昇など、さまざまな点でこれまでとは局面が変化をしていますので、連合は第17期の活動の折り返しを迎えるという中で後半年度に向けて確認をいただいたということです。 最後に、安倍元総理の国葬儀の対応についてご報告をさせていただきたいと思います。少し経過から振り返りたいと思いますが、岸田内閣は7月22日、安倍元総理大臣の国葬儀を9月27日に日本武道館で実施することを閣議決定をいたしました。これに対し実施理由、法的根拠、費用面などの観点から賛否が分かれ、世論調査では反対が賛成を上回っています。この件については記者会見などにおいて、世論が分かれていることを踏まえ、政府に国会での説明責任を果たすことを求める発言をしてまいりました。その後、9月8日に国会で閉会中審査が行われ、岸田総理から一定の説明が行われましたが、その後の動きを見ても国民の間に十分な理解、納得が広がったと言える状況にはないことが続いているかと思います。
 こうした中で9月9日になりますが、政府から連合会長宛てに国葬儀への案内状が届きました。代理出席はできないということです。これを踏まえまして、9月13日になりますが三役会議で対応について協議をいたしました。まず、今回の国葬儀については閉会中審査での政府説明を経てもなお国民の理解が広がったと言える状況にはないということ、そうした中で政府が何の対応も取らず今の形式のままで実施を強行することは受け入れ難く、今からでも国民の理解につながる具体的な対応を取るべきであるとの立場をまずは明確にしたいと思います。
 その上で、今回の政府の判断には問題がある一方で、次に申し上げることも判断要素として考慮する必要があると考えております。まず1点目は、政労使三者構成の一角である労働界に政府から案内が来たことについて、海外から来賓が多く参列する中で労働側代表としての責任をどう果たしていくべきなのかということ、国葬のあり方については整理されるべきですけれども、総理大臣経験者が凶弾に倒れたこと自体に弔意を示すこととは区別する必要があるのではないかということ、立憲民主党・国民民主党の対応についてはそれを念頭に置きながらも連合として主体的に判断する必要があるのではないか、以上の点を踏まえ、極めて難しい、そして苦渋の判断ではありますけれども、国葬儀の決定プロセス、法的根拠自体は問題ではあるという認識を持っておりますが、連合会長として弔意を示すことにおいて出席をせざるを得ないと判断をいたしました。なお、国葬儀の決定プロセス、法制面については、引き続き国会などで議論されるべきであると考えております。加えて、弔意を示すことと安倍政権の政権運営の歴史的な評価・検証は分けて考えられるべきであり、政権に対する評価は評価として、しかるべく研究、議論がなされるべきであることは言うまでもありません。また、どのような形式であれ国民が弔意を強制されると感じることがあってはならないと考えております。関係機関には内心の自由が尊重されるよう適切な対応をあらためて求めたいと考えます。また、三役会議においては、出席することで組合員からネガティブな受け止めも出ることが想定されるとの意見もありました。しかし今ほど申し上げた点を踏まえた結論として、判断に至ったことを申し添えたいと思います。以上、国葬儀の対応についての経過報告といたします。

清水事務局長

 第12回中央執行委員会で主な協議事項として確認をいただいた点について述べます。
1点目は、会長の挨拶にもありましたが、この10月から2023年9月までの第17期の後半年度の運動の推進に関わって、「2023年度の活動計画(案)」について協議をいたしました。なお、この活動計画案については10月6日に開催される第88回中央委員会に議案として提起をされます。
 2点目は、「第26回参議院選挙の取り組みのまとめ」について協議し、お手元に配布した資料の通り確認をされました。なお、連合は本日確認された選挙の取り組みのまとめも踏まえて、来年の第20回統一地方選挙の対応方針について明日以降素案について構成組織・地方連合会への意見照会を行う予定です。今後、来月10月20日の第13回中央執行委員会で案を確認するべく検討を進めてまいります。今回は素案について厳秘の扱いはいたしませんが、まだ素案の段階であり内容も変わり得ることがありますので記事にすることについては慎重にご判断いただきたい。ある意味控えていただきたいというふうに思います。ご理解、ご協力をマスコミ各社の皆さんにもお願いをしたいと思います。(注:この発言については一部修正があります。下記質疑応答[11]をご参照ください)
 3点目は、「連合が優先的に取り組むILO条約」の更新について協議しました。これは今年6月のILOの第110回総会において、これまでの4分野に続く5分野目として追加することが決議されたことを受けて、日本が未批准の第155号職業上の安全及び健康について、連合が優先的に取り組むILO条約に加えることを確認したものです。 また報告事項として、会長の挨拶にもありましたが、4月から6月に行いましたウクライナ救援カンパで集まった約4600万円について、8月30日に芳野会長が人道支援に取り組む日本ユニセフ協会、また国連UNHCR協会を訪問し目録を贈呈してきたことが報告されました。
 最後に確認事項として、2023春季生活闘争に向けて11月1日に中央討論集会を、11月14日に格差是正フォーラムを開催することについて確認をいたしました。
 私からは以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(時事通信・タカハシ氏)

 時事通信のタカハシと申します。よろしくお願いいたします。会長に1問、給与のデジタル化の件でお伺いいたします。いよいよ解禁される見通しとなりますけれども、連合はこれまで労働者の保護、安全性、きちんと受け取れるのかという観点からですね、慎重な姿勢を示されてきたかと思うんですけれども、今回容認するという方向に、姿勢になったかというふうに、こちら受け止めておりますが、そのあたりはどのような点が容認という方向になったのかということと、ただそれでもまだ依然として懸念とか心配な点が残っているかと思うんですけども、改めてどのような点に対して今のところ懸念として残っていらっしゃるのか、会長からお願いいたします。

A.(会長)

 ありがとうございます。まず担当者のほうからお答えさせていただきたいと思います。

A.(冨高総合政策推進局長)

 一昨日の労働条件分科会で対応策が示されました。ただ今ご指摘があったように、さまざまな懸念がある中でこの間、議論が進められてきました。一番懸念してきた点は、賃金の保全が迅速になされるかどうかですが、今回資金保全スキームにおいて100万円のキャップがかかるという対応策が示されたことで、労働者の賃金保全が迅速になされるという点については一定改善が図られたものと思っております。その他の労規則上、労働条件分科会で議論できるものについては、一定程度改善が図られてきたものと考えておりますが、一方で、これは審議会でも何度も申し上げてきたところですが、金融庁所管の1階部分の上に労規則があるという2階建てになっておりますので、その1階部分の監督、厚労省との連携が適切に図られることが前提であり、その点を含めてしっかりと対応していただくことが条件だと考えております。以上です。

質疑応答[2]
Q.(TBSテレビ・ホシ氏)

 TBSテレビのホシと申します。芳野会長にお聞きします。国葬に出席されるとのことですが、すでに連合内でも否定的な声もあるといったような報道もありますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

A.(会長)

 三役会議そして今日の中執のところで考え方を報告させていただいています。構成組織、様々いろいろな考え方を持っているかと思いますので、それはそれとして連合としては受け止めていきたいと思います。また、組合員さんたちがネガティブな感覚を持つのではないかという発言もある一方で、やはりナショナルセンター連合としての役割を果たすということでは出席せざるを得ないという判断について、やむを得ないという意見もありましたので、どちらかというと全体的には連合の立場をご理解いただいたと考えております。

質疑応答[3]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 毎日新聞のトウカイリンです。芳野会長に3点ほどあります。1つまず物価上昇の関係ですね、春闘これからもちろん議論になっていくと思うんですけども、会長自身ですね、9月になって食品関連が大幅な値上げとか、いろんな商品が値上げという状況がありますけれども、会長自身、特に10月にはですね最賃も上がるんですけども、非正規労働者を中心とした低賃金の労働者はこの物価高に非常に苦しんでおられるんですけども、会長自身はそのことをどのように受け止めて、春闘にあたってどういうふうに考えを示そうかというふうに今の時点で思っていらっしゃるのかというのをまず1点を聞かせください。
 それとこれは確認なんですけども、国葬への参加は会長だけでしょうか。事務局長にも、招待状っていうんですかね、なんていうんですかねあれは。

(会長「案内状」)

 案内状か、事務局長には案内状が来ていて一緒に出られるのか、その1点ですね。 それと先ほどの説明の中で、弔意と安倍元総理の政策等は分けて考えなければならないとおっしゃってたんですけども、それを理解した上でお尋ねしますけれども、連合として安倍元総理の行ってきた労働政策に対してどのような評価をされているのか。出席に値するというふうにお考えになって行かれるのかどうかという点も含めてですね、評価は別だということだったので、それとは関係なく行くんですよということかもしれませんけれども、いずれにせよ連合が安倍元総理の労働政策をどのように評価するのかということをお聞かせください。芳野さん自身が今回出席するということを決めた上でですね。
 あとすみません最後に、長々申し訳ない。国葬儀で、中執でも反対意見があったというのは聞いたんですけれども、先ほど会長自らおっしゃったように世論調査でも過半以上が反対を示しているわけですね、そういう中でこの連合の行動が組合員以外の市民に理解されるかどうかという点をどう考えかということをお聞かせください。

A.(会長)

 まず物価と、まあこれから2023春季生活闘争の議論に入っていくわけなんですが、現在担当局のところでヒアリングを行っております。また三役会議でもそれぞれの状況についてお伺いをしているところです。やはり非正規や生活困難な人たちにこの物価の上昇というものが打撃を与えていますので、2023春季生活闘争については、今までの継続という考え方ではなく、今の状況を加味した方針を立てていくということが重要になってくるかというふうに思います。これから議論を深めていきますので、この物価の上昇と合わせてまた2022の時にも公正取引ですとか価値を認め合う社会ということで、中小企業が賃上げしやすい環境をつくっていくということも謳っていますので、そういったことも含めてこれから議論をしていきたいと考えています。
 それから国葬なんですが、連合会長宛てに来ておりまして事務局長宛てには来ておりませんので、私が対象になり私が参列をするということになります。
 それと、繰り返しになりますが、今回の国葬の件と弔意を示すっていうことは分けて今回考えています。その安倍政権の時代の政策については、その都度その都度事務局長談話を発出をしておりますので、その都度評価をしてきたということになります。全体的なことについてはしかるべき機関でしっかり検証していただきたいと思いますし、そういう意向も示していきたいというふうに思います。

A.(事務局長)

 安倍政権の労働政策に関わっては、いわゆる長期の政権の中で賃上げにつながるような、官製春闘などと言われるようなこともありましたが、私たちは基本的には労働者として労使の関係に基づいて賃金交渉するということから言えば政府主導のような形に見えた、ああいった形での賃金引き上げについては、一定の私たちとしての交渉の大事さということを訴えてきたところがございます。その他にも、今も議論が続いて、安倍政権のときの話から議論が続いている部分がありますが、いわゆる労働移動を促進するような形での解雇の金銭解決の問題であるとか、そういったことについて今も議論されていますが、そういった路線を引いてきたところは安倍政権の中にもございますのでそういった意味では私たちと異議するところはたくさんあるということでございます。

A.(会長)

 今日の中央執行委員会でぜひ国葬については欠席をしてほしいというご意見をいただきましたが、連合としては先ほども説明をさせていただいた通り、国葬と弔意については切り分けて考えるということでご理解をお願いしたところです。それから国民の多くが反対を示しているということなんですが、これもまた繰り返しになりますけれども、そこは考えておりますので。あと政府に言いたいのは、この国葬のことで国葬に対する考え方について国民を二分してしまったということと、やはり多くの人が納得していないということについて、政府はそのことをしっかりと受け止めてほしいというふうに思いますし、おそらく案内状が来られた方たちもそれぞれの立場の中で本当に難しい苦渋の決断をした方もいるかというふうに思います。そのことを含めますと、やはりこういったことが、まあ何かの形で次も同じように国民を二分するようなことが繰り返されないようにしていただきたいというふうに思っています。

質疑応答[4]
Q.(フジテレビ・アベ氏)

 フジテレビのアベです。今の国葬に関して関連でお伺いします。立憲民主党と国民民主党で出欠の判断が分かれる中で、今回芳野会長は出席を表明されましたが、今後の三者の関係性について影響があるかないか、お考えをお聞かせください。

A.(会長)

 それぞれの、立憲も国民もそれぞれの判断があるかというふうに思いますので、その判断はその判断として連合として受け止めます。今後の関係性なんですが、何ら問題はないというふうに思っています。

質疑応答[5]
Q.(読売新聞・アベ氏)

 読売新聞のアベです。芳野会長にお伺いします。今の関連で、連合は「苦渋の決断」としながら立場を考えての出席ということでしたけれども、立憲民主党は今日執行部としての欠席というのを決定しました。野党第一党という立場があるわけですけれども、この判断について会長の受け止めをお聞かせください。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。それは立憲の中で様々議論した結果だというふうに思いますので、それはそれとして受け止めるということになるかと思います。

質疑応答[6]
Q.(シカタ氏)

 労働者ジャーナリストのシカタですが、2点お聞きしたいのが1つはその国葬の件と、もう1つは選挙総括です。それで、国葬の件で先ほど会長言われた決定のプロセスと法的根拠についてはまだ問題があると、さらに政府に説明を求めるということですが、具体的にどういうことを考えられているのか。言ってみれば岸田首相はアンサーではもう言ってることばっかりね、要するに憲法に規定が無いけれど内閣でできるとかね、それについて国民は疑問を持っているわけで、会長が言われた決定のプロセスと法的根拠についてはさらに求めるという中身についてお聞きしたいのが1つです。
 それから第1点は、政労使の三者構成の中で、招待状、案内状が来たということで、言ってみればその連合が言っている政労使の三者構成の参加体制というのを非常に重視されていると思うんですけれど、それと国民の過半数が反対している中であえて出席するということは、国民の世論に背を向けていることにもなるわけで、そういう点から見れば、三者構成を維持していくということと国葬に参加するということはまた別に分けて考える余地もあったのではないかと思うんですけれど、これは例えばドイツにしてもヨーロッパにしても、そういう三者構成の中で政府にものを言うときは言うし、拒否するときは拒否するわけで、そういう点ではそういうその政府三者体制だから苦渋の決断と言ったという点ではさらに別の判断があったのか、なかったのか、ということについてお聞きしたいということです。
 あと選挙総括なんですが、これについては連合の集票力が落ちたと、連合の得票数が落ちたということを書いているわけですが、これから見ると何て言うんですかね、その野党の問題であるとか、それから職場の日常活動が不足だったというような記述になっているわけですが、果たしてそれだけで連合の集票力が減ったと言えるのかどうか、もうちょっと深掘りした議論も必要ではないかという感じがするわけですけれど、ここにあるように「「与党を応援したほうがいいという組合員の声もある」という、さりげなく書いてますけど、結局このあたりは言ってみれば連合の政策参加にからむ問題ですから、そのあたりについてもなぜ連合の集票力が低下してきているのかという原因について、職場と政党が悪かったという以外に何かあったらお聞きしたいと思います。

A.(会長)

 まず最初のご質問ですけれども、引き続き国会の中でしっかりと審議をしてほしいということがあるかと思います。
 そして2つ目なんですが、政労使(三者構成)というのが国際標準になっています。ですので、今回のその国葬については海外からの御来賓がたくさん来られるという中で、労働側が出席をしていないということが海外の来賓の方々からどう見られるのかということを考えてます。その上で今回の判断としては、やはり国際標準に則って出席をしていくということにいたしました。

A.(事務局長)

 選挙に関わってはですね、今ご指摘のあったいわゆる150万の得票ということで、過去で見れば最低の票だということになります。ただ選挙ごとによって比例代表の立てている人数も違いますから、単純に150万の形がどうかということについては様々なご意見もあります。ただ連合も700万人の組合員がいますので、そういうことから照らせば、やっぱり今回の数字は深刻に受け止める必要があるということです。1つは組合員にやはり政治活動について十分に伝わりきれてないということについて、それぞれの構成産別だけではなくて、地方連合会を含めて、組合員にあるいは労働者・生活者として私たちの加盟している組合に十分に説明をしていく、そして政治活動が私たちの生活に密接に関わるということについて説明しきれてないのではないのかということが1点ございます。 もう1つは確かに立憲民主党と国民民主党に、6年前の参議院のときには民進党で1本でしたから非常に分かりやすい形での応援ということになりましたが、今回についてはそれぞれの所属している、なぜそこに所属しているのか、あるいはどういう主張なのか含めてですね、なかなか説明が難しい。また地方連合会も対応が難しかったということがあるということです。ですから全体の得票数が落ちたことについては、そういった要因を含めて、私たちとすれば今後ですね地力をしっかりと付けていくことを政党にも求めたいですし、私たちも日頃からの政治活動あるいは様々な取り組みを行っていかなきゃいけないということが1点。現在連合は政治アンケートを、3年に1度いつも取っているんですが、それを展開中であります。そこから出てくる声にも真摯に目を向けてですね、先ほどあったように「与党に入れたほうがいいんではないのか」というようなことも、そういったアンケートの中に出てくるかと思いますので、それに基づいてさらに分析・検討して、来年の統一地方選挙含めて対応していきたいというふうに考えています。

A.(会長)

 補足をすると、今日の中央執行委員会の中でもご指摘のことが意見として出されました。政治だけではなく労働組合の活動についても、全体としては、若い方々、若年層がなかなか参加しなくなってきているという状況の中で、これまでの運動の仕方ではなかなか参画もそうですし、活動が浸透していかないのではないかと。やはり新しい時代が変わってきている中で、新しい運動を作り上げていくということのご発言がありましたので、今17期の折り返し地点ではあるんですが、政治の関係も含めて向こう1年間でその新しい運動とはどういうものなのかということも併せて議論をしていきたいと考えています。

質疑応答[7]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 朝日新聞のサワジです。会長の先ほどのご発言で2点ちょっとよくわからないところがあったので確認したいんですが、1点目が「安倍政権の評価についてはしかるべき機関で行われる」というご趣旨の発言されたと思うんですが、これは連合の中で何かするということですか。この「しかるべき機関」というのはいったい何なのか、1点目の質問です。
 それからこれは私の聞き間違いなのかもしれませんが、何度か「国葬と弔意を切り分ける」という言い方をされてますよね。この意味がよくわからないんですが、国葬には出席するけれども弔意を示したわけではないと、そういうことですか。「切り分ける」という意味がよくわかんないんですけど。

A.(会長)

 まず1点目なんですが、連合としては、先ほど説明したようにその都度評価をしてきているのでそうなんですが、しかるべき評価をしてほしいということを求めていきたいというふうに思います。
 それから、国葬のプロセスですとか法的根拠というものが明確になっていないということがあるので、そのことと弔意は別だという意味です。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 機関を求めるというのはどこに求めていくんですか。安倍政権の評価をする機関は政府に求めるんですか。

A.(会長)

 それはこれからまた国会の審議等が始まってくるかというふうに思いますので、そのときにそういう評価をしてほしいということです。
 何か客観的に、有識者ですとかそういう客観的判断ができるような形で評価をしてほしい、それを求めていくと。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 国会にしてほしいということですか。

A.(事務局長)

 よろしいですか。国会はまさにその国会の議論の中でも、委員会の審議とかもありますから。私たちは、もう1つは連合のシンクタンクもありますが、経済団体も含めていろいろな研究所があったりシンタンクがあったり、すでにいろいろな形で1つの法案についての評価などを出しているところもありますが、一定程度ですね安倍政権の部分についてそういった形でですね、9年なりを振り返るような形でのそういったものをこれからも打ち出してもらう、あるいはさっきありましたように労働政策について評価を一定まとめてもらえたりとか、研究所にもそういったことは要請していきたいと思っています。

質疑応答[8]
Q.(毎日新聞・ヨシナガ氏)

 毎日新聞のヨシナガと申します。よろしくお願いいたします。芳野会長に質問なんですけれども、新しい運動を作り上げていくという話がありました。これ、この1年間ぐらい、今折り返し点ということですけれども、残りの後半でどういう議論になるのかという、だいたい頭の中で出てる、もしくは組合員のほうから出ている、例えばジェンダー平等、女性をもう少し活躍する形、底上げするような形での運動なのかどうか、などなどですね、ちょっとビジョンがありましたら、頭の中でチラッとあることがありましたら教えていただけるとありがたいです。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。もともと私の就任当時から「ジェンダー平等の姿勢を連合運動のすべてに」ということを言ってきていますので、この1年の間ではそういった視点が入ってきているかなと思いますので、さらにそれを加速化させていきたいということなんですが、その意味ではやはりその新しい運動という点では多様性ですとか、労働組合は男性中心になっていますので、もっともっと多くの女性が参画をするだとか、世代も様々な世代の人、既婚、未婚、また多様性ということで、いろんな人たちが関わることによって組織って活性化していくものだと思いますので、私のイメージとしてはそういった方々に参画をしてほしい。で、労働組合の活動ってやはり当事者性、当事者が入ることが一番重要だと思っていますので、幅広くいろんな方々に関わっていただきたいなというイメージを持っています。

質疑応答[9]
Q.(時事通信・キダ氏)

 時事通信のキダと申します。芳野会長に2点お伺いします。本日の中央執行委員会で会長の国葬出席に関して欠席すべきだとの意見が出たということですが、どういった理由から欠席すべきだという意見が出たのか詳しくお聞かせいただければと思います。

A.(事務局長)

 私のほうから、中央執行委員会での意見の様子ということですので。
 2つのご意見がございました。1つは、やっぱり先ほどからもありましたように、公的な決定プロセスに至っていないと、そういうことでは極めて不透明であると、そういうことから国民の理解が得られていないと、そういう流れの中で国葬という、場合によってはそれを強制するような権力的な、そういった感じを受けるところもあると、そういうことで反対を組織としてはしているんだと、そういうことから連合には出席については控えてもらいたいという意見が1つございました。またもう1つは、その国葬への出席ということについては懸念と疑問があると、懸念についてはやはり健全な国会運営というものがされない中で、少なくとも国会で特措法のような形を急遽立ち上げてでも、そういう議論がされないまま閣議決定だけで行われているのは問題であると、そういう懸念がある。そして組合員からの疑問の声としては、そういう形の国葬に参列することというのは本当に正しいのかというような声があるので、そのことについてお伝えをしたいという意見表明があったということです。以上2点がございました。

Q.(時事通信・キダ氏)

 ありがとうございます。もう1点が参院選の総括に関してなのですが、与党に代わって政権を担い得る勢力を求める姿勢を示されていますが、今回の総括を受けて今後どのように国政選挙に臨んでいかれるお考えでしょうか。共産党などとの連携のあり方も含めて、改めてお聞かせいただければと思います。

A.(事務局長)

 連合はですね、いわゆる政治方針の中で二大政党的、政権交代可能な二大政党的なものを目指すと、そして緊張ある国会での議論、与野党が切磋琢磨して、ということをずっと求めてきてますので、そのことに、この参議院選挙の取り組みのまとめの中でも変わらないと、それをあくまで求めていくんだということが1点でございます。それから、いわゆる野党共闘の話は今日も意見もございました。1つにまとまっていくことだとか、候補者を1人に絞っていく、そういった選挙戦術については野党が検討することは重要であるけれども、連合としては共産党を含む野党連携のような、そういった形については与しないというふうに明言してますので、そのことについても今日ご意見はありましたが、確認をさせていただいたところでございます。

質疑応答[10]
Q.(朝日新聞・ミウラ氏)

 朝日新聞のミウラです。3点伺いたいと思います。まず1点目が国葬に関してなんですけれども、組合員に対してネガティブな影響も想定されるというような意見も一部にあったというふうにお話がありましたが、そういった影響に対してどのように対処していく予定なのかというのをまず教えていただきたいというのが1点です。 2点目も国葬に関してなんですが、先ほど政党の動向を見ながら主体的な判断したというようなご説明があったかなというふうに思うんですが、これは政党とのすり合わせだったりとか、そういったものはなかったというふうに理解していいのかというのを確認したいというのが2点目です。
 3点目が、ちょっとまた別の話になってしまうんですが、昨日、いわゆるフリーランス新法、「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」というのが内閣府から示されたかというふうに思います。こちらに関する連合としての評価、受け止めというのを教えていただきたいです。よろしくお願いします。

A.(会長)

 まず1点目の、ネガティブに対するご意見なんですが、もう少し詳細に言うと、この間、決してそうではないですが自民党に寄っていっているという報道がありましたので、今回は政府からの案内状ですけれども、出席することによって、自民党に擦り寄っているという報道がなされたこととダブらせて、さらに寄っていくという判断を取られてしまうのではないかという意味合いだというふうに認識をしているんですが、このことについては連合としての考え方を三役会議でも今日の中執でも説明をしていますので、それを職場の中で改めて説明をしていただくということが対応の1つかと思います。連合の考え方は三役会と今日きちっと説明をしていていますのでそういうことになるかと思います。
 それから、政党とのすり合わせは全くありません。私自身も報道ベースで知っているということです。

A.(事務局長)

 フリーランス新法については、働き方が多様化する中で業務委託であったり請負等、契約の形態が様々あっても労働者性が高い就業者が増えてきていますので、そういった実態を踏まえればそうした就業者が保護されるための政策を検討すべきだというふうに考えています。しかしながらですね、労働関係法令上労働者に係る事案ではないというような形で早急に結論をつけて、関係省庁のみで法制度の方向性を整理しているということについては問題があると思っています。労政審のような公開の場で議論を経ることが必要だと思いますし、パブリックコメントも2週間という短期間で進めようとしているやり方については問題があるというふうに思っています。就業者の実際の声、意見を聞いた上で法律を策定していく必要があるということで、ちょっと今の形では極めて乱暴な進め方であるというのが連合としての捉えであります。連合の調査でも報酬の一方的な減額とか、支払い遅延とか、著しく低い報酬の提示とかトラブルが非常に大きく労働相談でもあります。やはり労働者性をきちっと認めた上で、そういった形でのフリーランス新法になるべきだというふうに現在は捉えています。以上です。

 
質疑応答[11]
Q.(朝日新聞・キハラ氏)

 朝日新聞のキハラです。清水事務局長に1点だけ。冒頭のご発言の中で統一地方選の取り組みに絡んで、まだ内容が変わり得るので報道は慎重にというか控えてほしいという発言ありましたが、ちょっとこれは聞き逃せないんですけど、控えてほしいというのは我々報道の自由があるわけですから、それはこのパブリックな会見で連合側から組織として言われることではないと思います。その点はぜひ取り消してください。それだけです。

A.(事務局長)

 その件はですね、控えてというのは、この間ですね、厳秘という扱い、とりあえず対象者だけということでうちも出した文書がもうその日のうちにネットに載って、文書の様子まで写真に載ったりしてですね、ネットに載っているという状況がありました。これはまあ漏れることは一定あるんでしょうけれども、そういうことを含めて厳秘としませんでしたのでこれから今日も明日以降で皆さん方の目にも多分届くことが何らかの形であろうかと思います。で、そのときに、途中ですので、そこで記事を書かれるのであれば、連合のほうにも、一度もうちは問い合わせがないままよく記事になってることがあって、趣旨とだいぶ違う形で書かれることがあるので、そういったことについてはお問い合わせいただければありがたいなというような意味でお話をしたので、絶対に報道の自由を妨げるという意味ではございませんので、もし何かあれば連合本部に聞いていただいて、記事について、ここのところはどういうことですかっていうのがあれば聞いていただいた上で書いていただくといいかなというふうに思っています。もし報道の自由を奪うような意味に取られたということであればそこについては撤回をいたします。

質疑応答[12]
Q.(日本テレビ・エグチ氏)

 日本テレビのエグチと申します。立憲民主党が先日「ネクストキャビネット」を発足させましたが、これについての評価と政策面などで期待することがあれば教えてください。

A.(会長)

 これから、おそらく政党がそれは考えていることですので、そのことに対して連合が何かということにはならないかと思いますが、これから政策を実行していく上では「ネクストキャビネット」で担当の方がそれぞれやっていくということは細かい活動ができるかと思いますのでそこは評価したいと思いますし、客観的に見たときにそういう役割を担うということは、ある意味ちょっと上から目線になってしまうかもしれませんが、人材育成の視点もあるかと思いますのでそれはいいことではないかなと思います。

A.(事務局長)

 「次の内閣」についてはですね、立憲民主党からも説明を受けたところがございまして、私が受けましたのでそのことで含めてお答えしたいと思います。政策で政権与党と切磋琢磨する、そういった意味で「次の内閣」を設定したということですから、先ほど申し上げた二大政党的な体制を実現するという、逆に言えば強い意志の表れだということで前向きに評価をしたい、評価というか受け止めたいというふうに思っています。また立憲民主党については7月の参議院選挙の前に「ビジョン22」というのを打ち出していますが、それについては連合が目指す社会保障であったり公正な税制、再分配機能等、多様性も含めて非常に内容的にはうちの運動と合うところもたくさんございますので、そういったものが「次の内閣」の中で十分検討され具体的なものとして政策になっていくということであれば期待をしたいなと思っています。また、閣僚という言い方をするとあれかもしれませんが、11人中5人の方が女性が入っていますので、今回は執行部で2人だけになってしまったということを考えるとこの「次の内閣」でそういった形でジェンダー平等を意識されているということも連合としては前向きな形だと思っています。引き続き、そういった制度を含めて連合の政策・制度の実現に向けて連携をしていける部分があればやっていきたいなと思っています。以上です。

質疑応答[13]
Q.(日本経済新聞社・コバヤシ氏)

 日本経済新聞社のコバヤシと申します。先ほどから出ている質問で恐縮なんですけれども、率直に芳野会長に伺いたいんですけれども、今回の参院選について1本化せずに勝ったところもあれば、1本化して敗れたところもあるというふうに総括しているとは思うんですけれども、この点率直にこの参院選の戦い方について簡単にご意見をまずお伺いしたいんですけれども。

A.(会長)

 今回の参議院選の戦い方について、今回、人物重視・候補者本位ということでその候補者・人物に着目をした戦いをしています。私はそこのところはやはりその地域の中での人間関係そして地域が強くならないとなかなか選挙に勝つということが難しいかと思いますので、今回の戦い方については結果は別にして評価をしています。で、これを定着させていく必要性もあるのかなというふうにも思っています。

Q.(日本経済新聞社・コバヤシ氏)

 共産党との関係についてもちょっとお聞きしたくてですね、すみません長くなって、参院選の総括でその野党共闘による候補1本化は絶対ではないというふうに触れていて、その今後の国政選挙まで、国政選挙ではなく地方統一戦までの折り返し地点というお言葉もあったと思うんですけれども、その共産党との選挙での連携について率直にどのようにお考えになっているかお聞かせください。

A.(事務局長)

 先ほど申し上げた通りで、選挙において候補者調整という戦術は様々野党各党で行われる、それは各政党が考えることなので、ただ連合としてはいわゆる野党共闘の中に共産党も含めた形で候補者を1本化してですね、そういう形でやっていくっていうことについては基本的にはそこには与しないことになっていますので、ご質問のことで言えば同じ回答になるかと思います。

Q.(日本経済新聞社・コバヤシ氏)

 会長も同じお考えということでよろしいですか。
 最後に大変申し訳ないんですけれども、今あったように立憲民主党は新しい執行部の下、政府と政府与党とは対決型野党というような立場を取っていて、もう一方で国民民主党というのは解決、対決よりは解決というような姿勢で両者は同じような姿勢ではなくて、見方を変えれば溝があるようには見えると思うんですけれども、この状況に関しても会長は率直にどのようにお考えかお聞かせください。

A.(会長)

 それぞれ政党には政党の考え方があるかと思いますので、それを連合としては受け止めるということになるかと思います。

質疑応答[14]
Q.(朝日新聞・エグチ氏)

 朝日新聞のエグチです。国葬に出られるその判断で、それと別に、政権、岸田首相、それから内閣に、より説明をということと、あと弔意の強制とかがあってはならないという、求めることがあると思うんですけど、これ発信するだけなのか、政府に直接ですね岸田首相なり政府に直接その要請することがこの開催前にあるのかということですね。それはしたほうが効果的だと思うんですけれども、直接政府に伝えるかどうかということなんですけど。

A.(会長)

 今の段階では政府に伝える場というのは設定してないです。

Q.(朝日新聞・エグチ氏)

 この会見での発信など、特に別に他に声明を出すとかそういうこともなくここで発信したことが政府への要望という意味合いですかね。はいわかりました、それだけです。

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