記者会見 2023年10月19日

 

連合記者会見

記者会見

芳野会長、清水事務局長(2023年10月19日)

連合記者会見全文
芳野会長

 大変お疲れ様でございます。本日も定例記者会見にご参加をいただきまして誠にありがとうございます。先月の記者会見でもお話ししましたとおり、本日より時間を少し早めて開催をいたします。記者の皆様のワーク・ライフ・バランスを少しでもお支えできればと思っております。皆様のご理解とご協力をあわせてお願いしたいと思います。そして、今期も連合をたくさんご取材いただけると大変ありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、本日、第1回中央執行委員会を開催し、第18期の取り組みを本格的にスタートいたしました。活動計画もご確認をいただきましたので、向こう2年間精一杯取り組みを進めてまいりたいと思います。中央執行委員会では2024春季生活闘争の基本構想をご確認いただきました。資料にもありますとおり、経済社会のステージ転換を着実に進めるべく、すべての働く人の生活を持続的に向上させるマクロの観点と各産業の底上げ・底支え・格差是正の取り組みを促す観点から前年を上回る賃上げをめざすとして、賃上げ分として3%以上、定昇相当分を含めて5%以上の賃上げを目安とすることを確認いたしました。12月の中央委員会での組織決定をはかってまいりたいと思います。2023春季生活闘争では、長期におよぶデフレからの脱却をはかるターニングポイントとしての闘いと位置づけてきました。その結果、30年ぶりの高水準での賃上げが実現をいたしました。2024闘争では、その流れを確固たるものにしていくため、本格的な反転攻勢に向けたステージ転換の闘いと位置づけてまいります。なお、基本構想の詳細については、先ほど司会者からも案内がありましたとおり、記者会見のあと説明会を開催いたしますので、そちらでご確認いただければ幸いです。
 また、中央執行委員会では2024年度の税制改正対応についても確認しました。明日からはじまる臨時国会では経済対策が焦点の1つとなっています。連合は、日本の抱える構造課題と現下の物価高騰対策には恒久的で実効性ある税制改正が必要との認識を共有しました。特に注力する対策として次の2点に取り組んでまいります。1点目は、効果的・効率的な低所得者への支援策として「給付付き税額控除」の導入です。2点目は、燃料価格高騰への対策として、揮発油税などに上乗せされる「当分の間税率」の廃止です。なお、「当分の間税率」は地方の重要な財源でもありますので、廃止を求めるとともに代替財源の確保にも取り組みます。今後は、来年の通常国会での審議に向けて構成組織・地方連合会と協力して世論喚起に努めるとともに、政策実現に向けて政府・政党に精力的に要請してまいります。以上、簡単ですが冒頭のご挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

清水事務局長

 引き続き事務局長を仰せつかりました清水でございます。よろしくお願いいたします。 いま会長の冒頭ご挨拶あったとおりであります。協議事項として、「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けた2024年度の税制改正に向けた対応について、今会長から挨拶あったとおり確認をさせていただいたところでございます。
 もう1点は、これも会長挨拶にあったとおりで、2024春季生活闘争の基本構想の案についてご協議いただき決定をさせていただきました。これにもとづいて、10月末に春季生活闘争の討論集会を開催して、12月の中央委会に向けての議論を本格化させていくということでございます。
 3点目として、第50回の衆議院選挙に関わる候補予定者の推薦について協議をさせていただきました。今回は8地方連合会から20名の推薦要請が上がりましたので、それについてご協議いただきすべて承認をいただきました。累計として、21地方連合会から70名、今日現在において確認している推薦者の数でございます。
 私からは以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(NHK・ゴトウ氏)

 今回の春闘の基本構想なんですけれども、3%以上・5%以上ということで確認されたということですが、この数字といいますか、例年を上回ることというところだとは思うんですけれども、芳野会長としての思いをお伺いできればと思います。

A.(会長)

 まず、今年2023の春季生活闘争は、まさしく転換点、ターニングポイントということで取り組みを強化してきました。そして、今年2023の取り組みでは業種によって、回復してるところもあれば回復途上のところもあるし、また、見通しがなかなか難しいところもあるということで、業界によって非常に濃淡がある状況でしたので、2023については「程度」で、上もあれば下もあるという設定の中での方針でしたが、2024については、それを上回るということですので「以上」という表現にさせていただきました。そして、これまでも申し上げてきたとおり、春季生活闘争は1年で終わるのではなく持続的に上げていくことが重要だという視点に立って、今回「以上」という方針を立てましたが、まさしく2024は、ステージを転換していく、経済社会のステージの転換ということを申し上げていますので「格差是正」また「底上げ」という視点で、とりわけ中小ですとか、非正規のところの底上げが重要ではないかと思っています。その意味で、今年の結果以上の結果が出るような取り組みを連合としても強化して進めてまいりたいと思っています。

質疑応答[2]
Q.(フリー・モリ氏)

 来年のこの基本構想で、ベア3%以上、定昇を含めて5%以上という構想ですけれども、これ5%未満の要求が単産や単組から出たら、どう対応されるんですか。「以上」ですから、もう下はなしということで考えてよろしいんでしょうか。

A.(会長)

 今の目安としては5%以上を連合としては掲げていますので、これから構成組織また加盟組合で話し合いがはじまるかと思いますが、是非5%以上の目標設定をしていただくことを連合としては期待をしたいと思います。

Q.(フリー・モリ氏)

 もう1つすいません。「以上」って、なんか今年と比べてやや控えめだなと。今年は要求以上の回答が出たり、満額回答がどんどん出たりしたんですから、来年は6%、1ポイント高めて要求しても良かったんじゃないでしょうか。

A.(会長)

 この間の議論の中では、とりわけ中小のところの意見が多く、2023は中小の経営者の皆さんもご理解いただいて、賃上げに協力的だったという結果ですが、2024については「難しいよ」というような議論がもう職場の中では起こっていることもあり、連合としては5%「以上」ですので、良いところはそれこそ6%とか上をめざしていただきたいと思いますし、最低のラインとして5%以上はめざしていただきたいと考えています。

質疑応答[3]
Q.(日刊工業新聞・カンザキ氏)

 今の質問にちょっと続くんですが、中小がなかなか難しいというお話ですが、今日、日商の、商工会議所の小林会頭が、もうすでに中小企業においてはこの5%以上というのは難しいのではないかという発言をしています。こういう声がすでに出ているということは今の話にもつながると思うんですけれども、あわせて中東情勢の先行き等によってはエネルギー価格などがまだ上がっていく可能性があって、マインドとしてはかなり厳しいのではないかと思うんですけれども、このあたりの受け止めをお願いいたします。

A.(会長)

 まさしく先行き不透明感は日々強くなっているのではないかと思います。しかし、私どもとしてはこれからこの目標を組織決定し、そして、その後構成組織・加盟組合が議論を続けていきますので、連合本部としては今後の議論に期待をしていきたいと思います。また、それこそ賃上げも2024で終わるのではありませんので、その先のことも是非考えてほしいと思いますし、2024の交渉の中でも、2023と同じように賃金だけではなく様々な労働条件での交渉もあるかと思いますので、生活闘争という意味合いも含めて全体的な私たちの処遇改善に向けて、これから方針を決定していく中で、そういったことも視野に入れていただきたいと考えてます。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・カタダ氏)

 会長に2点お伺いします。1点目が、「程度」から「以上」というところで、2023を上回るというところでの理由として具体的に実質賃金がマイナスが続いているとか、そういった状況があると思うんですけども、「程度」から「以上」にした理由を改めてちょっと詳しめにお伺いしたいというのが1点目、あと2点目は、ステージ転換をはかるというところで、今後、2023春闘の課題であったり、これから取り組みとして例年と違う取り組みといったことが、ステージ転換をはかるための取り組みとして何か考えてることがあればお願いします。

A.(会長)

 「以上」としたことについてですが、現在、物価高も続いていますし、また今年残念ながら、30年ぶりの高水準であったにも関わらず、それ以上に物価が上がってしまって実質賃金が上がっていないことも踏まえているのが1点、それから、労務費を含めた価格転嫁を実施することによって賃上げが実現でき、そして経済回復に回していきたいという意図もありますので、今回「以上」といたしました。
 例年にない取り組みという視点では、今申し上げた労務費を含めた価格転嫁がどのくらいできるかということが1つの大きなポイントになるのではないかと思っています。このことが少しでも前進すると、おそらく中小のところが賃上げしやすい環境になってくるかと思いますので、この労務費を含めた価格転嫁について積極的な取り組みを行っていきたいと思います。これまでとおりの取り組みではなかなかこれが実現できないと考えておりますので、もちろん今年の2023春季生活闘争の交渉の中で自社の取り組みがどうなってるのかということも組合のサイドから確認をしてくださいとお願いをしてきましたが、なかなかそれだけでは進んでいかないと思いますので、現在担当局とも相談をしていますが、もう少し価格転嫁の取り組みが進むような、何かやり方といいますか、案といいますか、少し提案できる何かを考えていきたいと思います。

質疑応答[5]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 どちらでもいいんですが2点お伺いします。1つが、春闘方針について、これあまり厳密に考えてもしょうがないと思うんですが、この前年を上回るっていうことの意味ですね、3%程度が3%以上と強まったいうことは、「要求」自体を今年よりも上げてくれっていうメッセージなのか、一方で、先ほど会長が今年の「結果」以上っていうふうにおっしゃったので、今年の実績をベースに考えてくれっていうメッセージなのか、あまり厳密なことじゃないと思うんですけど、メッセージとしてはどっちなのかちょっと確認させてください。それが1点目と、あと2点目が、技能実習制度について、昨日、有識者会議が制度の改訂案を提言していて、1年で転籍しやすくするというようなこと提言されていますが、これについて連合としてどういう見解をお持ちなのかお聞かせください。以上、2点お願いします。

A.(会長)

 まず1点目、今年の結果ではなく「要求」としての「以上」というご理解でお願いしたいと思います。

A.(事務局長)

 先週金曜日に「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告、叩き台で出ています。その中で、いわゆる外国人労働の人権にかかわる部分、そのことについて私たちとしては注視をしてきたところでございます。転換ができることについては、これは1つの方策ではあろうかと思いますが、そもそも管理団体の中に1か所しか管理してない団体があったり、転換するにも使用ができない所があったり、それから、転換することによって働く場での、あるいは働く条件が、必ずしも安定した形にならないところが例としてたくさん見受けられますので、そういった管理団体の把握をすると同時に、しっかりと指導ができる、そういった体制が現在十分でないという認識です。そのことが、1年で出来るという制度だけが、先に進むようなことがないように現実の問題点について課題をきちんと拾い上げて対応できるようなところが重要であるということについて、私たちとしては今後も主張してまいりたいと思っております。以上です。

質疑応答[6]
Q.(労ペン・シカタ氏)

 要求の水準についてお聞きしたいんですが、「以上」がついたと言っても消費者物価が今のところ3%前後でずっと推移しているわけですよね。そうすると、3%以上でも、実質は物価に対応する数字ですが、「生活向上分」ですよね、23年の時も3%ですが、実際は「生活向上分」がゼロという水準であったんですが、24の場合も、このままで行ったら生活向上分を入れるのか入れないのか、またどの程度考えられているのかという点をお聞きしたいと思います。

A.(会長)

 これまでの繰り返しになってしまうかもしれませんが、これまでの連合内での機関会議でそれぞれの産業別組織からの実情等を勘案して今回の水準を決定しました。確かに物価上昇しておりますが、5%「以上」という、連合が目標掲げていますのでやはりいいところについてはそれ以上の要求を掲げてほしいと思いますし、そこを起点にした取り組みを強化していくことが今求められているんだろうと思います。

質疑応答[7]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 会長にお願いします。会長の発言の中で、労務費の転嫁ですね、労務費の転嫁を今年24ではやりたいということで、それ本当に中小からそういう声たくさん出てて「原材料費の価格転嫁なんかはなんとか押し込んでも、労務費は本当に厳しいんだ」というのは23春闘でよく聞いた言葉なんですけども、会長なりに、ちょっとイメージつかないんですね、どうやって労務費の転嫁を進めていくのかって、会長なりにもし今の段階で何かアイデアがあるんであれば、どう考えてるのかっていうのが1点と、それと戦術ですね、どうやって戦うのかっていうのはまさにこれからなんでしょうけども、その30年ぶりという23春闘で上げたという、要するに何が成功して上がったのかっていう、もう総括も終わってるでしょうから、何が強みになったのかっていうのを踏まえて24では何を押していくのか、どんなことを考えてるのかっていうのをちょっと具体的に、具体的じゃなくてもいいですけども、お話しいただければと思います。

A.(会長)

 まさしく価格転嫁の取り組みについては現在考え中という段階ですので、もし皆さんから良い案があれば是非ご提案いただきたいと思いますが、担当局と詰めていきたいと思います。また、価格転嫁の取り組みについてはJAMが積極的に行っていますので、JAMの取り組みなども参考にしていきたいと考えてえいます。
 2023については、これは本当に加盟組合の労使が真摯に交渉を行った結果だと思っていますので、加盟組合の役員の皆さんに敬意を表したいと思っています。2024についても、引き続きになりますが、しっかりとした交渉の積み重ねが結果に結びついていくと思いますので、企業内組合である以上、企業がこれからどのように発展をしていくのか、どういう経営計画があるのかということも労働組合サイドとしてしっかりと確認をしながら、その上で発展をしていくことを組合としても協力をし、そして賃上げに結びつけていくことが必要ではないかなと思います。

Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 もう1個だけ。今の要するに「真摯に交渉した結果」っていうのは、まさしく全体として見ればそういう感想になるのかと思うんですけども、そうなるとこれまで真摯に交渉してこなかったのかって話になっちゃうんですよね。23だけ真摯に交渉したわけじゃないと思うんですよ。だから、そういうボヤっとした理由ではなくて、どういうふうに総括してるかですよね、自然と上がっちゃったっていうならそれはそれでそうかなとも思うんですけども、「真摯な交渉が結果」とか言われるとですね、それはこれまでの春闘を見ててもそんなはずはないと思うんですけども、いかがでしょうか。

A.(会長)

 これまでも真摯な交渉は続いてきたと思います。2023については、やはり物価高という中で労働者の生活が逼迫していることと、また、労働力人口不足も相まって、企業側もそういったことの、改善をしていく上での1つが賃上げだったと思いますし、労働組合としても職場の実態等を経営者に理解をしてもらった結果が賃上げに結びついたのではないかと思います。2023とはまさしくそういう取り組みだったのではないかという判断をしています。

質疑応答[8]
Q.(東京新聞・アツミ氏)

 会長に春闘構想の点で1点伺いたいんですが、先ほど実質賃金が下がっているというお話があったと思います。足元で見ても物価上昇率3%をだいぶ超えるような状態でして、実質賃金をプラスに転換するというのはなかなか簡単なことではないと思うんですが、2024年度春闘でもう実質賃金をプラスに転換させるという、そういう考え方で行かれるのか、先ほどからおっしゃってる、先々のことを考える、持続的に考えるっていう話があるので、1回で取り戻すというよりはベアをちゃんと定着して持続的に上がるようにするということに主眼を置くのか、どういう考え方か改めて伺います。

A.(会長)

 まさしくこれから水準が決定されて、構成組織・加盟組合が交渉に入っていきますので、これからのことについてあまり言及、コメントは控えたいと思いますが、賃上げは2023、2024で終わるものではありませんので、毎年毎年持続的に着実に上げていくことが重要ではないかと思います。

Q.(東京新聞・アツミ氏)

 必ずしもその来年度で実質賃金をプラスに転換させねばいけないっていう、そういうお考えではないということでしょうか。

A.(会長)

 これからの状況がどのような見通しになっていくのかが非常に難しい局面で、それこそ今イスラエルとの関係や、非常に不透明感が強い状況が、この先行き不透明という表現がいいのかどうかというのもありますが、そういう状況になっていますので、これからそれも見据えて加盟組合の中でその企業の先行きを見通しながら交渉していくことになるかと思います。その結果が連合としての結果になっていきますので、そこのところは構成組織や加盟組合の動向を注視していきたいと思います。

質疑応答[9]
Q.(共同通信・タカノ氏)

 共同通信のタカノと申します。春闘の件で伺いたいんですけれども、春闘構想案を見ますと企業内最賃と時給の目標は昨年より上がっているかと思うんですけれども、さっき非正規の底支えが重要っていうお話されてましたが、その意味合いについて教えてください。
 あともう1点ですね、先ほど会長が最低ラインとして5%以上だというお話しされてましたけれども、そもそも論なんですが、連合全体として取り組める目標を作る重要性っていうのはどういうところにあるのかお考えを伺えればと思います。お願いします。

A.(事務局長)

 最賃ついて、根本でいえば、中央最賃(審議会)からはじまって地方最賃(審議会)、そして、確かにご指摘のように企業内の最賃について課題があることについては、この間も議論をしてきたところでございますので、これについてこの春闘の討論集会も含めて、また産別や単組の声を踏まえて、私たちとすれば目標的な額も含めて、引き上げていけるような状況になればと思っています。また、昨年度、いわゆる初任給がぐっと上がったり、またそれに伴っての弱年層の給料改定なども行われていますが、その部分の是正しなければいけないような、そういった部分も様々今期の春季生活闘争の中で課題として出てきてることで、それぞれの企業において最賃含めて弱年層の立ち上がり、それからその持続的な部分、それからパートタイマーの方、派遣の皆さん、そういったことも含めて最賃全体が引き上げに向かうような状況に行きたいと思っています。

A.(会長)

 春季生活闘争においては、労働組合があるからこそ会社に要求を出し、そして経営者と議論・交渉ができるということですので、連合としてはすべての組合がまず要求をしっかりと掲げる、5%以上の要求を是非掲げてほしいという期待を持っていますが、要求を掲げきちんと交渉をしていただくことが第一義的にあり、そして連合はどれだけ賃上げについて相場形成ができるかということも非常に重要だと思いますので、相場形成と、そして連合としては2024年の春闘も賃上げの気運をどれだけ高めていくことができるのかということが連合の大きな役割だと思います。加盟組合の皆さんと、そして労働組合のないところで働いてる皆さんの賃金改定にも影響を与えられるように気運の情勢に努めていきたいと思います。

質疑応答[10]
Q.(日経新聞・マツイ氏)

 芳野会長にお願いします。足元の消費者物価上昇率は3%を超えます。2024春闘の構想について、ベア3%以上ということなんですけれども、この水準だとやはり実質賃上げを確保するのは心許ないように思います。先ほど、中小の経営側からこれ以上の賃上げは難しいというような声があるというようなことでしたけど、経営側がそういう心配をするのは仕方がないと思うんですけど、労組の側がそれで要求を抑制するということになると、会長が今おっしゃってる反転攻勢というのも難しいような気がするんですが、その点いかがでしょうか。

A.(会長)

 これから連合の方針も決定され、その後、構成組織・加盟組合がそれぞれ要求を掲げていく状況ですので、連合としては、連合の方針通りの、もしくは方針以上の要求を掲げてほしいと期待を持っています。

質疑応答[11]
Q.(時事通信・ミフネ氏)

 経済対策についてお伺いしたいんですけれども、野党側でも提言まとまってきてまして、国民民主党は消費税の5%の引き下げだとか、所得税の減税、法人税の減税を打ち出してきていて、立憲民主党は減税でなくインボイスの廃止だとか、インフレ手当てといったものを打ち出しています。立憲と国民でかなり方向性が割れた印象ですけども対策をどう見ているかと、与野党でも所得税など減税が議論されているこの議論についてどう見てるか、連合としてどういった経済対策が必要か、芳野会長にお伺いできればと思います。

A.(事務局長)

 まさに明日から臨時国会で各党が様々な経済対策、もちろん政府もそうですが、出していると。そういう中で立憲民主党・国民民主党については、いわゆる賃上げに関わる部分について、それぞれの党で判断をされて、ある意味大胆な打ち出しをされていると思っています。私たちにすれば、財源をしっかりした上での議論で、この間の税収の上ぶれの部分を使ってということで、それぞれ7兆であったり、10兆であったりというような、そういった打ち出しをしていると思っています。いずれを見ても、私たちの賃金の引き上げに関わるところでいうと、いわゆる可処分所得が上がるような形でそれぞれ打ち出しがされているのであろうと思っています。所得税の減税も首相のほうから出て、それについての議論もされていますが、連合とすれば一時的な対策ではなくて、社会保障の全体の税制のあり方も含めて、抜本議論された上で対策されるべきと思っています。先ほどからもありますように実質賃金との関係でいっても単純に私たちの可処分所得が減るようなことがないような、そういった形、また政府が経済対策を打つ、あるいはエネルギーの価格に対する、あるいは物価に対する様々な政策を打つこととこの賃金の引き上げのことが相まって、来年の春においては実質賃金に迫る、あるいはそれを超えるような闘争結果が出てくる、そういったことを期待したいと思っています。

質疑応答[12]
Q.(NHK・タカハシ氏)

 関連するところもあるかと思うんですが、冒頭芳野会長から発言のあった2024年度の税制改正についてなんですが、給付付き税額控除や揮発油税などに上乗せされる「当分の間税率」の廃止、これら2点に注力する狙いと、明日から開会する臨時国会で焦点となる経済対策の望ましいやり方について教えてください。
 もう1点、与党内には所得税の減税を求める声がある中で岸田総理大臣も近く与党の税調に具体的検討を指示するとしていますが、こうした減税の動きをどう見ていらっしゃるかもあわせて教えてください。

A.(事務局長)

 冒頭会長からもありましたが、連合の「公平・連帯・納得」の税制改革、このことは私たちとすれば税制改革で基本ずっと訴えてきていることですし、政策制度にも掲げてるところがあります。今回特に2024年度税制改革については、連合としては誰もが安心して暮らせる社会の実現ということで、1つは低所得者の負担軽減・就労支援につながる形で、いわゆるこの間も訴え続けている給付付き税額控除の仕組みの構築が必要だろうということで、改めてこのことについて連合とすれば訴えていきたいということであります。それから、所得税の減税とかあるいは消費税のことも出てますが、連合とすればその消費税の還付の制度について、あるいは就労支援の給付制度、こういったことを導入することで低所得者の負担軽減につなげる就労支援を具体的に支援する形でそれが有効であろうと考えています。また、燃料価格の高騰対策では、先ほどあった揮発油税などの上乗せされているいわゆる「当分の間」の部分、ここの部分を廃止することによって燃料価格について大幅に引き下がりますし、あるいは立憲民主党も国民民主党もいっているトリガーの発動や、そういったことも含めれば、そういった部分の高騰対策にもつながっていくと考えています。
 所得税の減税については、これもいわゆる一律という考えもありますし、低所得者については3割程度とか様々な声がいろいろ上がっていますが、連合とすれば先ほど申し上げたような抜本的な税制のあり方について議論すべきであって、所得税の減税だけですべてが解決できるとは思っていませんので、各党が出されていく経済対策にもとづいて、臨時国会55日間ですから短い期間ではありますが、十分に国会での議論を踏まえた上で最終的には12月の税制大綱に向かうべきであると思っています。

質疑応答[13]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 この頃、上場企業の社長さんと話してると多くの方がやっぱり初任給を上げたいと。これはもうほとんど皆さんおっしゃって、22、23万を25万にしたら一挙に10%上がるんですけど、先ほど清水さんおっしゃったように、そうすると2年目3年目の人と一緒になったりするから、すると結構労働組合もうるさいからとかですね、そういう話になるわけでね、実は資金的には若い人のお給料上げるのは経営者にとってはそんな難しいことじゃないんですけど、5%全体じゃなくてですね、今の若い人に連合として、初任給を10%上げるとか、そういう発想と言んでしょうか、その初任給問題ってのは僕は今年以降のやっぱり1つの大きなトレンドになる、ユニクロとかアシックスも30万にするそうですから、その初任給の問題っていうのはどういうふうに皆さん考えてるのか、労働組合の立場でですね、これからなる人ですよね、これからなる人に対してどういうふうに連合は取り組んでいこうとするのか伺いたい。

A.(会長)

 おそらくそれぞれの加盟組合は初任給も世間相場がどうなってるのかというのは必ず確認すると思います。2023春闘の時にもかなり初任給を上げたところもありますし、初任給を上げたことによって2年目3年目4年目とそこも是正をかけて賃金カーブを保つこともそれぞれの加組合の中で実施をしてきたかと思います。賃上げを実施するにあたって、どう配分していくのかはそれぞれの労使のところでの話し合いかと思いますが、一般的に言うならば内転原資で回っていくところもあると思います。上の層がいなくなればその分の原資を下の方に持ってくることができますので、それぞれの労使の中で知恵を絞りながら、弱年層を上げていくだとか、自社のカーブをどのように持っていくだとか、そういうことはそれぞれの労使の中で議論していけばいいのではないかなと思います。

質疑応答[14]
Q.(東洋経済・クロサキ氏)

 芳野会長、手前のほうで中小を中心に2023年は賃上げに経営者も協力的だったけれども2024年は難しいという声が上がっているという言葉がありました。ある意味2023年は物価高もまだ一時的だという見方もされていて、この物価高には今年は対応しないと、みたいなところもあったのかなと思うんですけども、大方の予想と反して続いているということで、1回対応すればいいというのではない、本当におっしゃった結構正念場というか、本当にフェーズが変わるような局面かと思うんですが、その一方で物価3%まで行ったものの、この先ちょっと下がるという見通しも出ているわけで、そのあたりの、なんでしょう、局面での交渉のロジックというのはどのようにお考えでしょうか。

A.(会長)

 これから連合の水準にもとづいて構成組織・加盟組合が要求を決定し、交渉に入っていきますので、連合としては、具体的な交渉の中身はそれぞれの労使の中でということになりますが、連合としてはどれだけ気運の醸成ができるかということになるかと思います。2023以上に2024賃上げしやすい環境と取り組みをしてしていきたいと思っています。それぞれの労使交渉の中で、見通しですとか、そこで働いてる人たちの生活水準ですとか、生活の状況なども加味しながら交渉に臨んでほしいなと思います。

質疑応答[15]
Q.(連合通信・ダイモン氏)

 春闘の関係ではないんですけれども、今政府がライドシェア事業の解禁を検討をしようとしているようですけれども、連合としてはどのような対応をしていくのか、確か7、8年ぐらい前に安全・安心が担保されない限りは導入に反対していくというような方針を確認されていますけれども、その方針が今でも生きているのか、この方針で行くのかお聞かせください。

A.(事務局長)

 ライドシェアについては、25年度の大阪関西万博に絡んでも、そこでもこの話は出ていますが、連合の加盟組合であるところのいわゆるハイヤー・タクシー、そういったところの皆さん方の声で言えばライドシェアについては基本的に反対ということで、連合としても先に決めた方針で基本的には反対ということであります。それは安心・安全ということもありますし、そのことで規制緩和の話としっかりとしたインフラの確保、この部分は相反する部分もありますので、簡単にこの部分について広げていくことについては反対というのは基本的な方針は前と変わっていません。以上です。

質疑応答[16]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 先ほど申し上げましたのは、政労使でやって、たぶん初任給を上げましょうと連合さんが旗を振ったら、僕は政治家もたぶん使用者も反対する人ってあんまりいないんだと思うんですよね、だけど結局そこの部分がやっぱり何年かメガバンクでも20何万のところで止まってたり、これは10%上げることは可能性あるんですよね、だからやっぱり連合は今組織の人が減ってるところも含めて若い人を、やっぱりそういうふうな元気づけ方をしないと、5%って言ってもできるできないになりますけど、この初任給のところは私は経営者はできると思うんですよ、お金の資金配分の問題だから、そういうのをやっぱり、それ私は今の今期のトレンドだと思うんですけど初任給っていうのが、その辺は清水さん先ほどおっしゃってたけど、どう思われます、初任給安すぎますよね。

A.(事務局長)

 初任給については確かに2023春季生活闘争で、企業によって、30万円だとか15万円だとか、かなりそういった部分で注目を浴びたところがありますが、連合とすれば底支えをしっかりしていくことが必要だということで、先ほど企業内の最低賃金の話もありましたが、それについてしっかりと交渉した上で、協定を結んでない形が多いのでしっかりとした協定を結ぶこと、また生活を賄う観点として初職に就く際の部分で時給としては1,200円以上というところ、あるいは中小の部分で含めて、実質賃金が把握できない、そういったところについても平均賃金として30万円の5%に相当する1万5,000円この部分のところの賃上げにこだわっていこうという部分で今回も方針としては出しています。また、いわゆる春季生活闘争を踏まえた今年の人事院勧告についても、この臨時国会で給与法案が重要な法案として成立を私たち求めていますが、そこでも高校生について1万2,000円、また大学生に当たる部分も1万円の人事院勧告もありました。こういったところの地道な引き上げをしっかりとやっていくこと、最低賃金も含めてですね、そういったことが初任給の引き上げにもつながっていくと思っています。目立つところだけじゃなくて、足元しっかりした交渉をしっかりやっていく、それから2023は確実に要求を提出した組合の数が増え、また締結をできた、賃上げの実質ができたところの数は増えていますので、今年2024はさらに要求の段階からその組合数を増やし、妥結できる組合を増やしていく、それが連合の大きな目標でもありますから、そういったことを春季生活闘争の討論集会でも各産別・単組の声を上げていきたいと思っています。以上でございます。

質疑応答[17]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 今日の資料の中に最賃に関する欧州調査の詳細な報告が入っているんですけれども、そこで「はじめに」のところで、日本は額面だけどもヨーロッパは相対的な基準を目標にしているであるとか書かれていて、今後その中期目標の設定に向けた議論を深めるってなってるんですが、これはどういう位置付けというか、その目標のあり方自体を、連合としても額面ではなくてヨーロッパのようなものも検討していく、議論していくという、そういうふうに受け止めていいんでしょうか。

A.(事務局長)

 これについては毎年その春季生活闘争の中で賃金要求の指標のパッケージを考える上で最賃のあり方というところも関わってきますので、今回ちょうど見直しが必要だろうと、急激な物価高あるいは最賃のその単価1,004円に上がったところも含めて、この先のことを考える必要がある、政府もそういったことを言っていますので、毎回その賃金要求指標のパッケージを検討するために置いている賃金PTなどでの議論をするためで、今回はヨーロッパなどの状況も含めてどういう形がいいのかを議論することで、今日中執でもそういった報告がありました。まだ中間の報告ですので、正式な報告を経て賃金PTを設置もしますし、来期の春季生活闘争をとりあえずやりますが、その先2025年に向けてのそういった議論になります。今回議論したこと直接は2024の1個先の部分に私たちとすれば対応していくためにこの議論をしていこうということであります。今年来年だけじゃなくて、その次もということで、しっかりとしたエビデンスというか、何を基準に引き上げを求めていくのかを連合としても考えていきたいと、そういうことで今日中間の報告をさせていただきました。また、それについてもこの後の中で担当の仁平局長のほうからも、説明を求めれば答えてもらえる部分があろうかと思います。以上でございます。

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