記者会見 2023年5月

 

連合記者会見

記者会見

芳野会長、清水事務局長、村上副事務局長、仁平総合政策推進局長(2023年5月18日)

連合記者会見全文
芳野会長

 大変お疲れさまでございます。本日も定例記者会見にご参加いただきまして誠にありがとうございます。前回の定例記者会見以降も様々な場面でご取材いただきましたが、特に各地のメーデー大会では多くの記者の皆様にご取材をいただきました。今年のメーデーはコロナ禍前とほぼ同じ規模で開催するところも見られ、東京で開催しましたメーデー中央大会も多くの組合員が参加する姿や、総理大臣も9年ぶりにお越しいただいたこともあり、大きく取り上げていただきました。誠にありがとうございました。
 さて、春季生活闘争につきましては、5月に入っても引き続き高水準の賃金改善が続いています。本日の中央執行委員会では「中間まとめ(案)」をご確認いただき、今次春闘の状況を労使が中長期視点を持って、粘り強く、かつ真摯に交渉した結果であり、未来につながる転換点となり得るものと評価をしております。一方で現在も交渉中の組合もありますので、引き続き連合としてもサポートしてまいりたいというふうに思います。
 また、「働き方に中立的な社会保険制度等のあり方に関する連合としての検討の方向性(素案)について」も提起をいたしました。今後の議論の方向性を示すものであり、結論を得たわけではありませんので、お取り扱いにご留意をいただきたいと思いますが、ここで示した方向性をもとにさらに組織内での議論を進めてまいる予定です。
 統一地方選挙については、現在、結果の取りまとめをしておりますので、前回同様で恐縮ですが詳細なコメントは避けたいというふうに思いますが、全体的な感想としては政党別の地方議員団の構成も変化する結果となったこと、やはり投票率が低下をしていること、無投票となった選挙区も増えたこと、その一方で女性議員の割合が増加し議会によってはパリテを達成しているところもあるなど、変化の兆しも見えましたが、従来から課題とされていたことも改めて明らかになったと感じているところです。
 以上、簡単ですが冒頭の挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

清水事務局長

 それでは第20回中央執行委員会で主な協議事項として確認いただいた点について述べます。
 1点目は、「子ども・子育て支援政策の強化に向けた当面の連合の対応について」ご確認をいただきました。これは、政府が「こども未来戦略会議」を立ち上げるなど、子ども・子育て政策の強化をはかる具体策や、その財源の議論が活発化していることを受けて、子ども・子育てを社会全体で支える仕組みの構築に向けて、連合の考え方を確認したものです。
 2点目は、「第50回衆議院選挙における候補者の推薦手続きについて」ご確認をいただきました。これは、衆議院解散も取り沙汰されている中、次期衆議院総選挙について早期の体制構築が求められることから、候補者の推薦手続きを示し、地方連合会を中心に先行して準備を進めることを確認したものです。なお、第50回衆議院選挙の基本方針案については、今後の諸情勢等を分析しつつ適時提起していくことになります。
 3点目は、冒頭会長からもありましたように、「働き方に中立的な社会保険制度等のあり方に関する連合としての検討の方向性(素案)について」ご確認をいただきました。これは、2019年に策定した連合の社会保障構想(第3次)や、税制改革構想(第4次)、また「政策・制度 要求と提言」などの改定や見直しを行い、制度設計などの具体的な検討を進めるためのものです。この後、連合は、社会保険制度、税制、諸手当等について、良質な雇用の拡大と完全雇用の実現を前提に、就労を阻害せず働き方に中立的な制度の構築をめざしてまいります。
 中央執行委員会終了後に引き続き2023春季生活闘争・第6回中央闘争委員会を開催し「中間まとめ~評価と課題~」などについてご確認をいただきました。この件については担当の仁平総合政策推進局長から説明をさせていただきます。私から以上です。

仁平総合政策推進局長

 緑の合紙の後ろのほうでございますが、まず少し状況だけ先に申し上げます。何点か先週の資料もつけておりまして、後ろのほうに先週発表した第5回集計の資料も付けております。
 19ページ、ご覧いただきますと、進捗状況ですが、もう皆さんご覧いただいていると思いますが、要求提出組合のうち妥結済みのところ3,686組合、進捗でいきますと76.2%で、大体3/4くらいが解決したという状況にございます。次のページ、賃上げ率全体でいくと3.67、中小を取り出しますと3.35で、ほぼ30年ぶりの水準でございます。この中身も今回、さらに詳細に分析をしておりまして、その前のほうを見ていただくと9ページのところに経過報告の一部ですが、第5回集計を500円刻みで、賃上げの額を500円刻みにして横軸にとって、そこに何組合ぐらい引き出したのかということで分布の図を付けております。昨年も付けています。点線のところが昨年、実線が今年です。全体のほうを見ていただきますと、全体として右側にシフトしているということは確認できるですが、今年のもう1つ大きな特徴として幅があるということ、分散が広がっていることは1つの特徴かなと思っております。2万円以上のところから昨年並みのところまで幅がある。それは全体のみならず、中小においても同じような傾向にあるのは1つポイントかなと思っております。もう1つだけ数字のご紹介で、次の10ページですが、パート等の時給の集計においても連合が集計発表して以来最高のものになっているということでございます。
 これらも踏まえまして「中間まとめ(案)」のほうをご説明、ポイントだけさせていただきたいと思っております。また、この後説明会もあるので本当にポイントだけにさせていただきたいと思っておりますが、5-2の資料の3ページ、全体的な評価は会長からもございましたが、真摯に交渉した結果であって、未来につながる転換点となりうるものじゃないかという評価をしているのが全体の評価です。この30年ぶりの水準が実現した要因などについても今年挙げておりまして、人手不足など経済社会情勢の要因ももちろんあったわけですが、それに加えまして1つは社会的な問題意識の共有で賃上げに向けた交渉前段における社会的機運の情勢ということの要因、それと運動面でいきますと連合だけが旗を振ってということではなしに、連合の賃上げ目標の引き上げも含めてそれぞれ産別が受け止めていただいて、まさに厳しい産業状況、回復途上の産業状況にある産別も含めて、これまで以上に積極的な取り組みを行っていただいた結果だろうと、こういう分析をしております。未来につながる転換点となり得るものという評価しましたが、○の3つ目でありますが、それはしっかりとステージの転換をはかっていくためには賃上げの流れを中期的に継続していく、それをもってやはり転換点となったというふうに言えるのではないかと思いますので、そういう意味で「なり得る」という表現させていただきました。そのためにも価格転嫁も含めて賃上げできる環境をいかに作っていくのかということは大きな課題じゃないかということで全体的な受け止め・まとめにしております。次のページでございますが、格差是正のところでございます。ここも全体の率とすれば大手に0.3ポイントほど全体の水準に中小が及ばなかったわけでありますが、それぞれ現場を抱えた産別の担当の皆さん含めて意見交換をする中で、そうした中にあっても中小組合全体としては健闘したとこういう評価でまとめをいたしました。額・率ともこれまでになく高いわけでありますが、先ほど申し上げたように分散の度合いは大きくなっていると。物価の高騰、企業物価の高騰も含めて、十分な価格転嫁ができない中での収益が圧迫されているところも少なくなかった。そうした中でも人材の確保・定着を重視し大手並みの賃上げに踏み切ったところもあるわけですが、一方昨年並みの回答に終止したところもあるという、両面でございます。その背景には経営状況の違いもあるかと思いますが、もう1つはこの賃上げの必要性に対する認識の差なども1つ要因としてあったのではないかと、こういう分析をしております。有期・短時間のところも、先ほども見ていただいた通り、これまでの最大となっております。組合のない企業で働く労働者、残念ながら社会の中で8割以上あります。賃金の底上げに向けて、これはこの今の流れを夏の最賃にもしっかりと結びつけていく必要があるだろうということで確認をしております。あと、物価と賃金の関係が3.でございますが、連合としてこの間下がり続けている実質賃金の長期低落の傾向を反転させることを目標にしてまいりました。ただ、今年だけで十分できたのかというと、ここについては今後の推移も含めて見ていきたいと思っておりますが、足元においても2%弱の物価上昇が見込まれる中で、賃上げ分だけ取り出すと2.14%でございまして、今後の日本の実質賃金の動向なども注視しつつ来年度以降もしっかりと取り組んでいく中で、実質賃金の反転をめざしていく必要があることが総括でございます。
 課題でございますが3点ほど挙げております。1つ目は一度きりの賃上げでは不十分であるということで、中期的に継続していくことの重要性について確認をいたしました。さらに次のページでございますが、規模間・雇用形態間・男女間の格差是正も、よりこだわりを持って取り組んでいかなければいけないだろうということ、あと基盤整備で、取引関係あるいは価格転嫁などについて、もうすでに様々な施策もはじまっているわけでありますが、そういった取り組みも来年に向けては非常に大事な課題で、夏場あるいは年末にかけてしっかりと連合政策課題として取り組んでいくということでございます。あと3つ目でありますけど、2024来年に向けて国際情勢、国内景気とも予断を許さない状況だろうと思っております。そうした中でやはり政労使による問題意識の共有含めて一層重要になっているのではないかと思っておるところでございます。駆け足でございましたが以上でございます。

質疑応答[1]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 何点かあるんですが、1つは、火曜日にあった新資本主義実現会議での示された労働市場改革の指針案についてなんですけれども、会長が官邸にいらっしゃらなかったので改めてお伺いしたいんですが、その連合が出したペーパーを見るとかなり依然として批判的なように受け取ったんですけれども、その今回出された指針案について会長としてはどういうふうに受け止めていらっしゃるのかっていうのを改めて聞かせてください。
 それから先ほど事務局長からも説明があったこの社会保険制度の素案なんですけれども、扱いについて留意してほしいというように会長がおっしゃったんですが、今後これはどういうスケジュール感で組織内で議論をして決定まで行くのかというのを確認させてください。
 それとこの中身なんですが、3号の廃止っていうことが明確に書かれていて、これまでの議論の経緯、ここにも資料付いてますけれども、これだけのはっきりとした方向性を出されたのは、連合として出されたのははじめてなのかどうかっていうのちょっと確認したいんですけれども、で、もし初めてだとするとこれ産別にいろいろ聞くと、ゼンセンさんみたいなところは割とこれに親和的なような気がするんですけれども、一方で製造業などの産別には批判、必ずしもすんなりとこれを受け入れないようなところもあって、実際今日示されている別紙のような中にも懸念というのが示されてますね。で、この辺りはもし初めてだとすると、そういった議論状況にありながらなぜこれを明記されたのかというのを説明していただけるでしょうか。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。まず1点目ですが、官邸には行きませんでしたがWEBで参加をしていました。今回、三位一体労働市場改革の指針が示されたわけですが、その前に三位一体改革市場分科会が開催を1回だけされています。本来であればその分科会での議論というのは、いわゆるその三位一体の労働市場改革の具体策を検討することを目的に設置をされていますので、4月末に開催をされていますが、その開催の中では委員からの意見提起とフリーディスカッションが行われただけで、その指針案に対する具体的な議論がされてなかったと聞いています。本来であれば三位一体労働市場改革分科会の開催趣旨を踏まえれば、指針案に関する必要な議論を行って、その合意形成された案が本会議に示され、そしてそこで丁寧に進めていく必要があるというふうに連合としては受け止めていますが、そのようになっていなかったことは非常に問題ではないかなと思っています。
 あと、全体的にやはり企業内の制度など、企業労使による課題解決を進めていかなければいけない関係について、その方向性を含め現場の労使で検討するという視点が抜け落ちないようにしていかなければいけないということで、そういう視点で今回指摘をさせていただいています。批判的な感じではないと思います。

A.(事務局長)

 社会保険制度のあり方に関する連合としての検討の方向性ですが、今ご指摘があったとおりで、まずはこれを素案として、この間PTの中で協議をしてきました。連合内の委員会、政策委員会やジェンダー平等・多様性推進委員会等の意見も聞きながらこの形まで持ってきているということであります。先ほど別紙のところも指摘をしていただきましたが、それぞれの委員の方から慎重に進めるべきということと、それから女性の活躍というかそれを阻害している部分もあるのではないのかと、そのあたりについて両面で検討してもらいたいということです。連合は、先ほど申し上げた2019年に社会保障の構想(第3次)、それから税制改革構想(第4次)を策定してますが、ちょうどその見直しというか、それの第4次、5次を作る時期に来ていますので、その時にこの問題は関わってくることですし、この間そのいわゆる130万の壁等のことも働き方改革や賃金の引き上げでも出てきましたので、しっかりとPTを開いてということであります。ただ、検討の方向性(素案)としたことは、本来は(案)でまとめていきたかったところもありますが、まだまだ今ご指摘あったとおりで、これまでの各産別が賃金交渉においてもベースアップのところには単純にベースアップの率に行かずに例えば手当てで処遇をしたりとか、いわゆる扶養手当・家族手当そういったこともありますので、そういうふうにこの間連合が春季生活闘争を含めて積み上げてきた賃金体系にも大きく影響することなので丁寧な議論が必要だろうと、また第3号保険者について約800万人の対象の方がいらっしゃいますから、何らかのこの制度を廃止するということであれば800万人の方々の制度設計を作り、そして経過措置等をいろいろ考えると何十年とかかる形になりますから、そういったことでどのぐらいの費用がどの程度かかるのか、廃止の方向にするとすればどういった形になっていくのか、もっとそれは議論が必要だろうということです。連合としてはこの間ですね、これを打ち出したことはございませんけれども、1つこれは中にも資料の3-1のところにも示させていただいてますが、ページで言うと7ページ、1985年に法改正で導入された時から当時の標準モデルに基づいていわゆる男性雇用者と無業の妻からなる世帯と、そこを基本に考えられたことで、女性の年金の、年金保険を確立させて社会的なセーフティネットとしての役割を果たしてきたという指摘がある一方で、当時の一般的な世帯累計を標準モデルとして導入された制度であるにもかかわらず、やっぱり単身共働世帯の増加など情勢の変化、ライフスタイルが変わってきたということで言えば、当時のその形で作ったものについてはもうかなりの齟齬が出てるだろうということで、今回「廃止」というのはちょっとインパクト強い言葉かもしれませんが第3号被保険者の優遇措置に関わって、そのあり方について見直していく、抜本的に見直していくという意味で、それは突き詰めていけば「廃止」ってことなのでこういう表現にしてるというふうにご理解いただければと思います。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 まずその、この素案を成案にするためのスケジュールは現時点ではまだ確定していないと、そういうふうに理解していいですか。

A.(事務局長)

 具体のところ、担当がおりますのでちょっと担当からそこのところは。

A.(佐保総合政策推進局長)※声のみ

 この素案につきましては、青い表紙、確認事項の1ページ資料番号3-1に書いておりますⅢ.今後の取り扱いに書いておりますとおり、今後、社会保障構想、税制改革構想、要求と提言などの点検見直し議論を通じて、制度設計などの具体的な検討を進めるといったものでございまして、なお検討にあたっては別紙の4にもありますが、いろんなご意見頂戴しておりますので、構成組織、地方連合会から寄せられている懸念点などを十分留意して丁寧な合意形成を前提に進めることとしておりまして、先ほど会長から誤解がないようにと言ったのは、これをもって連合で機関決定してこうすると決まったわけではなく、今後検討するための、今後の方向性としたこういうことが考えられると、本当にその働き方に中立的な社会保険制度等を考えていくとこういうことは考えられるのではないかということで示させていただいたものでございますので、今後の議論につきましては丁寧に議論をやっていきたいというふうに考えております。以上です。

Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 念のため、第3号の廃止っていうのを割と明確にこういう形で前に出したのはやっぱりはじめてというふうに理解していいんでしょうか。

A.(佐保総合政策推進局長)※声のみ

 これまで連合としてはいろいろ議論をしてまいりましたが、はじめてでございます。

A.(会長)

 1点目の補足ですが、16日の会議の時に改革の指針案が示されて、連合も含めて委員の皆さんがそれぞれ意見書も含め意見を言ったんですが、終わった時にその案が確認をされたということで、せっかくその日に発言をした意見がどのように反映されるのかというところが非常に不明確なまま終わってしまいましたので、この点についてはまだ引き続き新しい資本主義実現会議が続きますので、連合としては指摘をしていきたいと思います。

質疑応答[2]
Q.(時事通信・タカハシ氏)

 子ども・子育て、少子化対策で3点お伺いします。
 1点目が、資料2-2なんですけども、先ほど清水事務局長からご説明いただきましたけれども、これは今日の中央執行委員会で了承されて「案」が外れだということでよろしいんでしょうか。
 2点目なんですけれども、昨日、こども未来戦略会議が官邸で開かれまして、芳野会長いらっしゃっていたかと思うんですけども、その際に意見書を芳野会長名で提出されています。この内容と今日のこの当面の対応というもの基本的に同じということでよろしいんですか、何か違いとかありますか。

A.(事務局長)

 基本的にはこれに沿ったものでございます。

Q.(時事通信・タカハシ氏)

 3点目、最後です。財源についてのところで、昨日の意見書にも、また今日の対応のところにも税や財政などの見直しなど幅広い財源確保策を検討すべきというふうにされています。会長としてはどのような形が望ましいとお考えでしょうか。また、社会保険料の上乗せについて否定的・消極的なお考えなのかなというふうにちょっと読み取れたんですけども、そういったものについてはどのようにお考えでしょうか。あわせてお願いいたします。

A.(会長)

 社会保険料にはそれぞれ目的があってできていることと思いますので、その目的をもう一度確認をするべきだと思います。子ども・子育てについては幅広く社会全体で支えるということを考えますと、前回の記者会見でも申し上げましたが徴収しやすいところから徴収をするということではなくて、国民から幅広くということであれば税と財源確保策も含めて議論が必要だということです。で、昨日の会議では具体的な案はまだ出てきていませんので、次回以降になるかなと思います。

Q.(時事通信・タカハシ氏)

 関連してたたき台に盛り込めた内容を実現するには歳出削減だけではなかなか厳しいのかなというふうに思うんですけども、その点会長どうお考えかということと、あと大きな負担増とならない範囲で給付策などある程度絞って行うべきというお考えなのか、もしくはある程度国民にも負担増を求めた上で給付策などを充実させるべきだとお考えなのか会長のお考えそのあたり伺えればと思います。

A.(会長)

 私の考えというよりはこれから連合の中で考え方をきちんと詰めていかなければならないかと思いますが、やはり幅広く負担をしていくということが望ましいのではないかと思います。もちろん歳出のところもちゃんと見ていくということです。

質疑応答[3]
Q.(シカタ氏)

 春闘のまとめで、今日はじめて出てきたんでこれについて2点お聞きしたいんですが、1つは会長にお聞きしたいんですが、総括のまとめ方でですね、まとめ方で、これまで連合の総括というのはまず方針に照らしてどうであったかというのがあって、それでも不十分だけどよくやったというね、こういう形のまとめなんですが、今年の場合はのっけから30年ぶりの評価で、それで未来につながるという極めて明るい書き方してるんですけれど、連合の方針は実質賃金のマイナスとそれから海外から遅れた賃金水準の是正とそれから分配構造の歪みですよ。3点の方針に対しての総括というのはほとんどないんですが、なぜこういうまとめ方されたのかというのが1点です。これまで連合春闘を私も長くしてきましたけど、やっぱり方針に照らしてどうであったかはきっちり書かれてるわけで、それが無かったのはなぜこういう書き方になったのかというのが1点お聞きしたいことです。
 それから4ページの3の実質賃金の反転はできたかという、ここの書き方の問題なんですが、結局2.14でなっているという事実で終わって、連合が掲げた実質賃金のマイナスとか目減り賃金阻止というあたりについての、なっている結果について、事実を認めるられるのか、られないのかという点をまずお聞きしたいと思います。もし、そのめざす要求に到達できなかったら、なぜできなかったのか、ここのところもきっちり原因をきっちり究明しないと来年以降の春闘にもつながらないのではないかと思いますし、目減り賃金のままでよかったよかったと言うのでは経営から見ても、連合は目減り賃金でもこんな評価するのかって思われがちですから、ここは厳しく方針に照らしてどうであったのかと、で、30年ぶりの成果を収めたとか、こういうようにしないと経営側から舐められる総括になるんじゃないかと思いますので、この点ちょっとお聞きしたのが1点です。
 それと仁平さんにお聞きしたいのが、19ページ、闘争の進捗状況、この賃金改善の獲得、数ですが、これは58.2で、僕の印象でいけば、4、5年前は30%ぐらいだったと思うんですよ、それが50%、約6割近くになってるってのは非常に大きい成果と思う、何年ぶりの数字かもしわかれば教えてほしいということと、それからあとは連合は今年政労会議含めて中小への波及をとにかく大事にするんだという形でやってきたんですけれど、連合内で見てもまだ4割の方がベアを取ってないというあたりの評価についても、よくやったけれどまだ4割に波及してないというあたりについての実態と評価についてお聞きしたいと思います。

A.(仁平総合政策推進局長)

 会長へのご質問も含めて若干コメントさせていただきたいと思っておりますけど、書きぶりという意味では去年も似たような書きぶりですし、その前も含めてこんなまとめをさせていただいてます。もうシカタさんも重々ご承知だと思っていますが、闘争方針はまず何が書いてあったのかというと基本スタンス3点書いてありました。それは今年「未来づくり春闘」を進化させて、ステージを変えていくんだということを大方針としてこれを書いたので、これについてしっかりと1つ柱として総括をさせていただきました。先頭に、だから書きました。2番目の基本スタンスに書いたのは格差是正と分配構造の転換、これまで2、30年間の歪みをどういうふうに是正していくんだといったことで、格差是正はどれくらい進んだのかという点で記載をさせていただいたと。もう1つ3番目に書いたのは「みんなの春闘」、みんながこの春季生活闘争に参加をし、集団的労使関係を広げていくようなきっかけになったのかといったことを一番大きな柱としては書いてまして、そういう意味でシカタさんがご指摘いただいたのは、さらにその下の段階の要求の考え方とか組み立て方、今年詳細に4つくらいの要素を含めて記載をして、それを個々に判断するのではなくて総合的にそれを勘案して、これくらいの要求を掲げて、それなんでこれまで以上に積極的に要求していこうということで具体的な数字も引き上げる中での取り組みだったということで、まとめ方としてそんなに方針と違う切り口で良いところだけ取ったのかというとそういうことではなくて、事務局としては方針も踏まえつつ今年の意義など大きな観点から捉えさせていただいたということですし、産別の皆さん方との中でもこういうまとめ方にそれほど違和感を持たれていないのではないかなということが1つでございます。
 あわせてその後についても、19ページの進捗のお話でございますが、妥結組合の3,686組合の内訳をここに記載しておりまして、賃金改善分これははっきり言えばベアと定昇、賃金制度があってベアと定昇が区分けができるところでそのベアをどれだけ取れたのか、それが6割近いのは、こういう取り方をしたのが実はここ数年くらいしかなくて、その中では本当に最高の広がりなんだと思ってます。だから30年前と比べてその推移の中でどうかと言われるとなかなかデータがないのですが、これまでの中では大きな広がりなんだと思います。私が注目してるのはその下、じゃあベアと定昇の賃金制度があって区分があるところで、定昇相当分、定昇のみの確保にとどまったのが5.6%、それを割り込んだのが0.1%で、逆に言えば確認中というのは賃金制度がなくなかなか峻別が難しいということなので、ある意味定昇割れをしているところがそれはいつの時代においても一定程度厳しい交渉せざるを得ないところがあるので、95%以外のその5%くらいを除くその他のところについてはきちっと取れているという事は今回評価してもいいのではないかと、こういうふうに考えてます。

Q.(シカタ氏)

 それで結果は実質賃金マイナス春闘になってるわけです。この事実というのは認められますか。

A.(仁平総合政策推進局長)

 ここの中でもそういう意味で方針自体も過年度物価上昇を単独で要素として切り出してそれを要求していくんだという交渉では連合の目標としてそういう観点からやったわけではない。ただ、そういう要素がきちっとあるという事については勘案してやったわけなので、そういう意味でここに記載のとおり賃上げ分だけ取り出せば2.14%にとどまったと、これがやはり今後の実質賃金、賃上げが反映される5月6月分からということになるんだと思うんですが、日本の実質賃金がどうなるのかということはそれなので、非常に注意深く確認をしていきたいと思っておりますし、今年のみならずそういう意味では実質賃金の反転をさせていくんだということが引き続き目標だと思っておりますので、次年度以降もきちっと実質賃金の反転に向けて継続してやっていくということが我々の答えかなと思ってます。

質疑応答[4]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 その上で芳野会長に、男女の賃金格差のことでちょっとお尋ねしたいんです。各単組にそれぞれ調査をしてどういう状況になってるのか把握して取り組むようにという指示があったと思います。で、まあ今春闘すごくその成績良かったっていう中で、会長の耳に入っている形でもいいんですけど、要するにまだまとめにはなってないと思うんで、この好調の中で男女間賃金格差の問題っていうのは企業から顧みられたのか、要するに考えてくれたのか、あるいは考えさせる春闘にできたのか、そこら辺その男女間の賃金格差についての今春闘の取り組みをちょっと会長なりの総括をちょっとお尋ねしたいんですけども。

A.(会長)

 連合のジェンダー平等推進委員会の中でこれから議論をしていくことになるかと思いますので、そこでのヒアリングを待って総括はしていきたいと思います。

Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 印象として、これまで正直言って男女の賃金格差っていうのはお題目に上がってるものの、会長なるまでこれちゃんとやれっていうふうな指示は、ないとは言いませんけども、たぶん力の入れようは違うと思うんですよね。そんな中で、会長も気になってると思うんで、印象で構わないんで、数字でなくて印象に構わないんで、どう思われましたか。

A.(会長)

 期待をしているところです。

質疑応答[5]
Q.(時事通信・キダ氏)

 次期衆議院選挙に関して芳野会長にお尋ねします。先般の千葉5区の補欠選挙などでは立憲民主党と国民民主党がそれぞれ候補を立てて両方とも敗れるという結果になりました。両党の連携を求めている連合の立場として両党に次期衆院選対応で求めたいことをお聞かせください。
 また、国民民主党のほうは、玉木代表が立憲との選挙協力を難しいと発言するなど慎重な立場を示していますが、こうした現状をどう評価されているでしょうか。

A.(会長)

 国民は来週になりますが、立憲とはトップ懇がはじまっています。その中で、これまでも申し上げてきたとおり、地方連合会の現場からは非常にやりづらいということがある中で連合としても、昨日もそうですが、候補者調整をきちっとやってほしいと申し入れしていますので、来週、国民とのトップ懇の中でも同じようにお願いをしていきたいと思います。この間、事務局長のほうで両党の選対の皆さんと意見交換をしていますので、少しそのへんの紹介をしてください。

A.(事務局長)

 連合として、両党の基本衆議院選挙については、候補者を1本に絞ってもらいたいと、このことは明確にこの間もお伝えをしています。両党においては、参議院選挙が昨年終了した時点で、補選が途中ありましたが、次は衆議院選挙ですので当然1本に絞れるところを絞る努力をしていこうということで、まずは現職のいるところについてそれぞれの党の状況を踏まえてそこからやっていきましょうと。もう1つは新たにいわゆる新人というか、両党が新人を立てたいと思ってるところで、そこで結構ぶつかってるところがあったりして、具体に申し上げれば関東の中でいくつかそういったところが出てきているので、そういったところについて調整をできればいいねという思いは私にはあるんですが、去年の参議院選挙終わってから1年以内ぐらいにあるかもしれないねと、その間に何とか調整できればねという形で話したんですが、ここに来て補選の結果であるとか、あるいは統一地方選で野党のいろんな意味での議席数の状況の変化なども伴って、もしかすると早くに衆議院選挙が行われる、そうするとなかなか両党との話を少しずつ進めてきたことが間に合わないかなと、そういう思いはありますが、それでも両選対委員長とは精力的にやって具体に1つでも多く候補者調整ができるように連合としては望んでいるんだとお伝えしてますし、そういった機会を大事に取り組んでいるということで、今の段階でお話ししておける内容かなと思います。以上です。

Q.(時事通信・キダ氏)

 そうなりますと、どちらかの政党の現職の方がいる小選挙区に関しては、もう一方の政党は新人など別の候補は立てないでほしいということなんでしょうか。

A.(事務局長)

 それは選挙区ごとにそれぞれです。この間、先ほど千葉5区の話ありましたけど、千葉5区はお二人立ちましたし、もし7月までに選挙があるとすれば、もう1回すぐの選挙があるわけで、じゃあこのお二人について1本に絞れるかというと、もうやった直後でそれなりの票もそれぞれ取ってますから、そういったことも含めて難しいかもしれません。ただ、1本に絞ればかなりいい勝負になるということで、そのことは両方思ってるので、まあどちらかが決断をいただければ、連合千葉もそういうことで1本になって応援できるということは地方連合会からはそれぞれ声は届いていますので、そんなことを含めて、今たまたまその千葉5区の例を言いましたが、選挙区ごとそれぞれです。ただ、まったく離れてるわけではないので、いろんな調整は、調整というか、話は両党間でもされていると聞いていますし、私からは強くそのことをお願いをしていますので、お答えするとすればそういうことでございます。

質疑応答[6]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 いったん離婚した人にまさにもう1回縁づけるというか、そういう大役をこの間泉さんから言われて、それは芳野会長やはりここは引き受けたということになるのか、それから立憲には90人からの候補のうちですね50人以上は何がしか共産党の票をもらってると言われる人がいるわけですが、これは剥落する可能性があるわけですね。一方、2つがまとまることでやっぱり連合は共産党を切ったということで、やっぱりそれなりにパワーが出るというふうにお考えになっているのか。まさにそれが仲人力になると思うんですが、その辺のお考えをですね、やはり伺いたいんです。

A.(会長)

 連合としては、連合の考え方がはっきりしているので、それを引き続き両党にお伝えをしていくということになるかと思います。その先はやはり政党と候補者の判断になってきますので、何らかの形が出てきたりすると、連合として推薦できるかどうか、応援できるかどうかということもあるかと思いますので、こちらとしては人物重視・候補者本位の人たちを推薦して一緒に戦っていくということになりますので、同じ政党同士やはり調整をしながら戦いやすい環境をめざしていくということになるかと思います。

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