2022春季生活闘争 第3回回答集計結果記者会見

 

連合記者会見

2022春季生活闘争 第3回回答集計結果についての共闘連絡会議合同記者会見

芳野会長、松浦会長代行、金子副会長、酒向副会長、安藤副会長、難波副会長、清水事務局長、村上副事務局長、仁平総合政策推進局長(2022年4月5日)

芳野会長

 大変お疲れさまでございます。2022春季生活闘争第3回回答集計結果に関する記者会見に、対面とオンラインでご参加をいただき誠に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。第1回、3月18日になりますが、第1回に続き5つの部門別共闘連絡会議の代表者にもご出席をいただいております。集計結果の詳細はこのあと仁平総合局長から説明をさせていただきたいと思います。私からはポイントのみ手短にお話をさせていただきたいと思います。
 平均方式の第3回回答集計結果が2%を超えたのは、2019春季生活闘争以来3年ぶりとなります。中小組合300人未満も同様の傾向で、いずれも前回第2回回答集計結果を上回っています。現時点ではコロナ禍前に戻りつつあるという手応えを持ってございます。賃上げ分を見ていただきますと中小組合の健闘ぶりが明らかになりました。率では中小が全体を上回るのはめずらしくありませんけれども、今次闘争では第1回から第3回まですべて額でも上回っているのは特筆すべきことだというふうに考えております。これが妥結進捗状況にも表れており、妥結済み組合のうち賃金改善分を獲得した組合が前回に続いて半数を超えている状況です。
 中堅・中小において、構成組織本部の指導のもと、自らの賃金実態の把握とめざすべき賃金水準、そして「働きの価値に見合った賃金水準」をめざした地道な取り組みを進めてきたことが形となって表れてきているのではないかというふうに考えております。これまで回答を引き出した組合に対して、そのご努力ご尽力に敬意を表すと同時に、これから回答を引き出していく組合に対し、「人への投資」と月例賃金にこだわってしっかりと交渉をしていただき、賃上げの流れをより広げていただけるよう連合として構成組織・地方連合会と連携をし、サポートをしていきたいと考えております。以上でございます。

仁平総合政策推進局長

 連合本部の仁平です。お手元にプレスリリースをご用意しておりますので、こちらをご覧いただきたいと思います。まず全体観の話ですけど、3月25日の第2回集計から4月1日までの間に約1,000組合ほど増えております。昨年の最終集計、これは7月頭の発表でございますけど、ここでの平均方式の集計組合数というのは4,700組合ほどということになりますので、本日段階で約半分程度のところまでは来ているという、そういう感じになります。
 3ページのプレスリリースの方をご覧いただきたいと思います。一番上、平均方式でございますが、全体の平均で2.11%、中小300人未満で2.06%ということでございます。その下に賃上げ分が明確な組合の集計というのがございまして、会長からも申し上げましたが、いわゆるベア分のところ、「賃上げ分」というところを見ていただきますと、全体平均で1,632円・0.53%、これに対して中小300人未満のところで1,781円・0.71%と、額・率ともに今中小が全体を上回っているというのはここを指しております。これまでのところ会長のコメントのとおり、中小組合が健闘しているというふうに言えるのだろうと思っております。
 次4ページでございます。有期・短時間・契約労働者についてでございます。時給のところを見ていただきますと、170組合が回答を引き出して、約26円の時給の引き上げということでございます。正社員の組合員の率に直しますと上回っているということでございます。雇用形態間格差是正の取り組みも一歩前進というふうなことでございます。
 その下に一時金がございます。今年からこの短時間・契約の一時金についても報告をいただいて集計を公表することにしたわけでございますが、初めてなものですから、昨年対比は出来ないということをまず申し上げておきたいと思います。一時金のところ、従来のフルタイム労働者の組合員の一時金は4.94ヶ月・約160万円になっておりますが、一方短時間のところを見ていただきますと、月数にすると0.78ヶ月・約7万円くらいです。契約社員ですと、2.27ヶ月・約43万円ということでございます。これまで一時金についてはパートとか契約社員には支給しないという企業も多くあったわけでありますが、UAゼンセンなど組合の仲間として組合員化をして一時金の要求交渉するようになったこと、加えまして同一労働同一賃金の法改正なども踏まえて、この一時金を支給する企業も増えつつあるのではないかなと、こういう推測をしているわけであります。水準の改善という意味ではこれからの課題もあるのかなと思っております。
 次のページ、5ページでございます。妥結進捗状況でございます。表の一番下のところ、これも会長からすでにコメントいただいておりますが、賃上げの妥結組合のうち半分以上のところで賃金改善分を獲得しているというのがここまでの状況でございます。
 次6ページの方にいっていただきまして、下の方のグラフでございます。2013年以降の第3回集計の率を時系列で並べてみたものでございますけど、今年のところを見ていただきますと、全体と中小とも昨年一昨年を超えて、2018、2019に近い水準ということかと思います。なお、第2回の集計では中小の率が2%を切っていたということでございましたが、そういう意味でこの間の交渉が進む中で挽回してきたということかなということでございます。前回も申し上げましたが、全体としては昨年一昨年を超えているわけですけど、産業業種によって差があるということについても付け加えておきたいと思っております。
 ちょっとページを端折らせていただいて20ページ、初任給のところにいっていただきたいと思います。いろいろ表がたくさん付いておりますが、20ページ初任給の集計です。2022で公表するのは今回が初めてということになりますが、高卒/生産技能職1.41%の引き上げ、隣の21ページになりますけど、大卒の事務技術職も同じく1.41%の引き上げということになってございます。
 次のページでございます。働き方など各種の取り組みについて、件数のみでございますが集約をしております。23ページのところを見ていただきますと、23ページの(4)ですね「60歳以降の高齢期における雇用と処遇に関する取り組み」というのが増えている。次の24ページに入っていただきますと、(4)ですけど、「男性の育休促進の取り組み」などが増えているというあたりが特徴点かなと思っております。私の方から以上です。

金子副会長(金属共闘連絡会議)

 金属共闘連絡会議代表の金子でございます。どうかよろしくお願いいたします。我々の連絡会議では3月16日の集中回答日以降、中堅・中小を中心に精力的にここまで取り組みを進めてまいりました。その結果、3月末までにおいて約半数の組合で回答を引き出しております。これはほぼ例年と同様の解決ピッチということでございます。
 あと賃金を中心に少し受け止め申し上げたいと思うのですが、回答を引き出した組合のうち約7割の組合が賃金改善分を引き出しております。これは、昨年超えはもちろんなのですけれども、コロナ禍前の2019年とほぼ同等の水準に回復しているということであります。この賃上げ額ですね、賃金改善分のところだけになりますが、平均で約1,700円ということであります。金属共闘が全体として取り組みを再開した2014年以降で言いますと、過年度物価上昇が明確にあった2015年を除くと、過去最も高い水準になっております。なお今申し上げたのは改善分のみであって、賃金改善分以外に賃金構造維持分も各組合では取り組みをしております。ちなみにこの賃金構造維持分も含めた回答のあった組合の加重平均値で言うと約6,500円となっておりまして、この水準も2020年の同時期を超えたものになっているということであります。そしてこれを規模別で見ても300人未満の組合においては2014年以降で最も高い賃上げ額となっておりまして、あわせて6年連続で1,000人以上の組合を上回っているということであります。ここまでの賃上げの回答状況を見ますと、賃上げ獲得組合の割合がコロナ禍前の水準に回復をし、そして賃上げ額は全体としてコロナ禍前の獲得水準を上回る状況となっております。これらは、交渉を取り巻く環境が日に日に厳しさを増していく中にあっても、各組合が継続的な賃上げを中心とした「人への投資」にこだわってぎりぎりの交渉を行ってきた中で着実な成果を引き出したことによるものというふうに受け止めております。そして、大手労組が引き出した賃上げの機運が集中回答日以降も中小労組に着実に波及をしておりまして、格差是正の観点からもここ数年の大手を上回る賃上げ獲得の流れが本年も継続しているものというふうに判断をしております。一時金についても6割近い組合が昨年を上回る回答を引き出しておりますし、企業内最賃におきましても積極的に引き上げがはかられておりまして、昨年を上回る数の組合が引き上げを獲得する見通しとなっております。
 こうしたことから今後に向けてになりますが、今後回答を引き出すすべての要求組合においては、これまでの獲得状況を踏まえて、さらに底上げ・格差是正を実現する賃上げを獲得することとし、それを金属共闘全体で支えていきたいと思っております。またこうした取り組みが我々の仲間だけじゃなく全国のすべての働く仲間たちに広がるように今後もしっかり取り組みを進めていきたいと思っております。金属共闘連絡会議として以上になります。

酒向副会長(化学・食品・製造等共闘連絡会議)

 酒向でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私どもの共闘連絡会議の構成産別は7つでございまして、UAゼンセンの製造部門、あとJEC連合、フード連合、ゴム連合、紙パ連合、セラミックス連合、印刷労連の7つになっております。
 化学・食品・製造等全体での集計といたしまして、定昇といわゆる賃上げを合わせた額といたしまして、回答で現在のところ7,094円となっておりまして、昨年を1,200円ほど上回るような水準となっております。それぞれ賃金の上がった幅につきましては少しそれぞれの産別によって多少の差はありますけども、平均して1,200円ほど上がっているという形になっております。特徴といたしましては、それがこれもやっぱり産業や規模によって違いはあるのですけれども、例えばUAゼンセンさんなんかでは前年のその同額以上の賃上げを獲得した組合が全体の127のうち111が前年を上回る額を獲得しているというような状況もありますし、賃金改善の獲得組合数も明らかに増加しておりまして、JEC連合でいきますと18から34、フード連合でいきますと19から43という、獲得組合数が増えていることも今年の大きな特徴になっております。ただ月例賃金の改善にこだわって交渉はしてきたものの、どうしても獲得できなかった組合におきましては一時金の増額とか特別一時金の獲得という形で勝ち取ったところもあるということでございます。今後中小中心にまた交渉がまだまだ続いていくわけではございますが、中小の方は業績が総じて大手よりも少し厳しい状況にはございますけれども、格差是正に向けまして業種内における強い共闘効果を発揮しながら、この先行組合が獲得してきました良い流れを引き続いて続けていけるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 また、有期・短時間・契約等で働く仲間の改善の取り組みにつきましても、時給の引き上げも時給にして20円から30円という形で取り組みを進められておりますし、時給の引き上げだけではなくて正社員への登用や教育機会の均等への取り組みや、一時金を正社員に準じた形で取り扱うというような取り組みも進められております。
 また、企業内最賃の引き上げにつきましても引き続き地道に取り組みが進められておりまして、底上げの取り組みがそれぞれの産別で、少しずつですが、今までなかったところが企業内最低賃金の協定を結んだりとかですね、今であるところもさらに額を引き上げたりということも進められております。
 また働き方の改善につきましても、それぞれ取り組みを進めておりまして、時間外の、いわゆる労働時間の是正につきましても、時間外の割増率の改定や勤務間インターバルの導入、フレックスタイムのコアタイムの短縮や、休日・休暇の増加、リモート環境での勤務実態の適正把握とか、36協定の点検、有給休暇の取得促進などに取り組みを進めております。またその他、定年の引き上げや再雇用制度の賃金の見直しや、中には65歳以降の雇用についての取り組みを進められたところもあるというふうに聞いております。またテレワークの導入や制度の改定、また転勤辞令の、早くもらうというか、転勤辞令の早期化とかですね、あと積み立て年休の上限の引き上げや育児休業の取得促進など様々な取り組みをこの春季生活闘争の中で行っております。
 総じて昨年はコロナの影響を受けて企業業績が厳しかったわけですけれども、総じて業績は改善傾向にあります。一方で直近のエネルギーや原材料価格の高騰やウクライナ情勢に伴う影響がある中で、不透明な中ではございますが、この賃金の引き上げだけではなくて格差是正や総合的な労働条件全般にわたって、明らかに昨年よりも成果が上がってきているというふうに見ております。これから取り組む組合も多くございますので引き続き気を引き締めて取り組んでまいりたいというふうに思っております。以上でございます。

松浦会長代行(流通・サービス・金融共闘連絡会議)

 流通・サービス・金融共闘連絡会議の松浦でございます。実は今朝UAゼンセンは記者会見を同じようにしていますので、そこは簡潔に触れさせていただいて、むしろUAゼンセン以外のところ、この流通・サービス・金融共闘連絡会議では連合全体での未来づくりの春季生活闘争に向けて少しでもやっぱり前向きな情報をみんな出していこうということを確認して参りましたので、せっかくいただいた情報を大切にお伝えしたいというふうに思っています。
 UAゼンセンについては3月中旬の最初のヤマ場を越えた以降もこの流れを引き継いで中堅・中小に至っても昨年対比では大きく超える、ほぼほぼ一昨年というところもクリアできるレベルで進んできております。正社員でおおよそ2.4%前後ぐらいの賃上げですし、パートタイムについては2.6%近い妥結ということになっておりますので、いわゆる正社員をパートの方が上回るという形でのこの連合の結果にも貢献ができているのではないか、そして賃金の引き上げをより明確にやっていくということも一定程度できていると思います。その中で言うとやはり特に厳しい環境に昨年来ありますいわゆる外食関係だとかそういうところも、まだ中小はそんなに出ていませんけれど大手どころではしっかりベアを取ったというところも出てきているというところで、これを今後さらにつなげていくということになろうかと思います。
 それで、共闘内でいくつか情報をいただいております。なかなかこの連合の集計に数字として載せるのが難しいところもあるのですが、定性的なことも含めて申し上げると、生保労連さんは前回3月中旬のときにも状況を申し上げました、その後ということですが、生保さんの場合は比例給の営業職員と固定型の内勤職員とに別れていまして、営業職員については10組合中9組合が収束をしているということで、特にこうした皆さんにはしっかりと業務で結果が出せるような営業支援策、それから賃金改善に関する回答を引き出しているということであります。それから内勤職員については15組合中6組合が収束をしているということでありまして、1つは臨給における水準確保・向上と内勤職員の頑張りに報いるとともに、生活の安定向上およびモチベーション、働きがいの向上に資する回答が引き出されているというところであります。いくつかの生保会社は会社から3%程度やるというような話も出ておりますので、そういったところが、まあ組合の中でまだ数字ということで表してはありませんが、こういった生保労連さんの今の取りまとめになっているのではないかと思います。それから損保労連さんでございますが、前回のときにも業界側からは「人への投資」に積極的に取り組む必要があるという回答が出されているという話がありました。その後、各単組が労使協議を重ねる中、経営からは賃金改善を実施する方向で検討を進める、テレワーク手当の新設・拡充に努めるといった処遇改善につながる発言を複数引き出しているという情報がございました。
 それからホテル・旅行関係のサービス連合さんでございますけれど、ここも少し明るいお話があります。3月下旬以降、順次回答・合意となった加盟組合が増え始め、2年間厳しい状況であったホテル・旅行は、賃金改善、一時金ともに昨年水準を上回る加盟組合が多くなったと。ただ、コロナ前の水準には及んでいないということでありますので、そこまで戻っていないにせよ昨年よりは改善方向に進んでいるという報告をいただいております。
 それからあと具体的には全労金さんからは、いわゆる一部の引き上げということも含めて、月例賃金について14組合中12組合で回答を引き出すことができましたと、一時金を含めた総体で言えば全組合で何らかの改善を勝ち取ることができましたというふうな報告をいただいておるところでございます。
 こうした厳しい業種にあっても少しずつ前向きな情報を出し合って、コロナ後に向けた国内消費の復興に向けて、そして「人への投資」ということに向けて取り組んでまいりたいと思います。以上です。

安藤副会長(インフラ・公益共闘連絡会議)

 インフラ・公益共闘連絡会議の安藤です。よろしくお願いいたします。当部門はインフラ産業など民間で働く仲間と公務で働く仲間が多く結集をしておりまして、現時点ではインフラ産業など民間労組を中心としたご報告になりますことをあらかじめご了承いただきたいというふうに思います。
 まず、幅広い業種業態でございまして、依然コロナ禍の影響が続いている産別もございますし、燃料価格、原材料価格の高騰に加えて、ここへ来てウクライナ情勢などの影響も出てきて、先行き不安が広がっているという状況も出てきているというような中で、そうした経営状況の厳しいところも労使で真摯な交渉によって導き出した結果というふうに私どもは受け止めているところでございます。その上で前回ご説明いたしました大手労組に加えまして、中小組合でも一定の回答引き出しが進んでおりまして、現時点の回答状況について報告させていただきたいと思います。
 まずは賃上げの状況について申し上げていきたいと思いますが、コロナの影響が継続するなど一部については大変厳しい経営環境にある労使もある中で、多くの組合で賃金改善ついて前進がはかられているというふうになっております。月例賃金の引き上げのほかにも、人材確保に向けた初任給改善について引き出した組合もあります。中小企業では多くの組合で昨年を上回る回答を引き出した組合、さらには大手を上回る回答を引き出した組合も報告を受けております。サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配の取り組みにつながる成果が見られているところもございます。有期・短時間・契約等で働く者の処遇改善についても、有期契約社員の賃金改善について正社員と同額を引き出した組織、さらには賃金改善相当分として特別一時金の支給を引き出した組合、有期契約社員も含めた社員全体へ特別一時金支給を引き出した組合というふうに報告を受けております。
 それ以外にも働き方の見直しについて申し上げておきたいと思います。長時間労働の是正といたしまして労働時間縮減の取り組みや年休の日数増などについて前進がはかられた組織があり、とりわけ建設業の組合においては2024年からの労働時間上限規制の適用を見据えた取り組みを進めているというところも見てとれます。その他にも、所定内労働時間の短縮や完全週休2日制の導入というような組合もあるというところでございます。多様な働き方の促進に向けては、育児に関する諸制度の適用対象を拡大した組合、さらには看護休暇を拡大した組合、退職年齢の引き上げをはかった組合、また自己啓発などの理由によって休職から復帰した際に昇給の遅れを緩和させるというようなことを行った組合もあるというふうになっております。
 最後にインフラ公益部門といたしましては、先行組合が引き出した前進的回答を、現時点で交渉を続ける仲間へ、さらには公務関係であります人事院・人事委員会勧告を通じて公務関係で働く仲間へ、そして社会全体に波及させられるように、引き続きそれぞれの構成組織と緊密に連携し取り組みを進めていきたいというふうに思っております。私からは以上になります。ありがとうございました。

難波副会長(交通・運輸共闘連絡会議)

 交通・運輸共闘連絡会議の運輸労連の難波でございます。私から報告申し上げます。やはり陸海空のそれぞれ各産業ということになりますので、コロナ禍の影響がまだまだ続く業種業態です。そういった中での春季生活闘争になりましたので、非常に厳しい交渉が未だに続いているということをまず申し上げたいと思います。
 まず陸上の関係でありますが、人流の部分でいわゆる私鉄とJRということになりますが、いわゆる民鉄につきましては短距離ということもありますので、前年実績より、賃金・臨時給含めて前年実績を上回る回答が引き出せたということです。ただ数字につきましては、4月下旬の私鉄総連の中での会議で明らかにするということでまだ明らかになってないということです。ただ4月4日現在ですが、246組合の統一闘争の組合の中でも215組合が回答を引き出したといった報告を受けています。続いていわゆる長距離を持っているJR関係です。これはJR7社につきましては、本年はすべて定昇を実施すると。加えて申し上げますと、前回でもご報告申し上げたとおりに、JR北海道では21年ぶりのベア500円、JR貨物につきましても1年ぶりの定昇+ベースアップ300円ということで、やはり北海道につきましては21年ぶりということになりますので、道内の他産業との賃金の格差が大きいということでベースアップの実施を行いたいといったようなことがあったというふうに聞いています。ただJR7社のその他5社につきましては、臨時給のまだ具体的な回答が無いということでありますので、継続的に交渉しているといった報告をいただいています。
 続いて全自交、タクシーでありますが、こちらも中小が大半を占めるということでありますので、4月から6月にかけて交渉が行われるということです。ただそういった中でも一部事業者から回答を示されたところもあるのですが、有額回答無しといったような回答になっているということです。こちらオール歩合の賃金体系が多い業種なものですから、春闘交渉で歩合給の賃率引き上げの要求をしますが実現することはほとんどないということです。したがって賃金ではなくて一時金の支給で妥結をするケースが多いといった報告も受けています。ただ、これも、中小交渉の妥結の内容ということで報告いただいたのですが、現状維持で妥結をするけれども雇調金の活用を継続することが条件だと、6月末の雇調金特例の終了と厳格化で、組合員の雇用継続が最重要テーマになっているといった報告を受けたところもあります。
 物流でありますが、物流につきましては人材不足がさらに進んでいくということの中で、「人への投資」ということで賃金引き上げの動きが大手から中小労使の交渉においても推移をしているということで、これは運輸労連の数字でありますけども、大手組合を含む対前年対比で380円、大手を除くような中小でも241円の増額を得ているということです。ただ一時金につきましては、お客様であったり取り扱いの品目によって地域別あるいは業種別、荷種の状況によって濃淡が見られるということであります。
 続いて海でありますが、これ海員組合でありますけれども、こちらは基本給500円のベースアップを得たといった報告をいただきました。
 最後、空でありますが、航空連合です。航空運送では、こちら物流部門の航空貨物需要が旺盛なものですから一時金の満額獲得という報告もあるのですが、いわゆる人流部門、国内国際旅客需要は大きく低迷している関係から経営が非常に厳しいということであります。こういった中で、需要が減っているのですけども業務量が減らないといったことからやはり離職者が増えているということのようです。ただこういった状況を勘案して13労組がベア要求をしまして2組合で有額回答を得ているということですから、企業側としてもいわゆる人の流出に対する対策を打ちたいといったことを主張してきているということであります。あと、JAL、ANAにつきましては、とりわけANAについては賃金カットが3月31日で終了し、すでに4月復元をしています。現在、両組織ともいわゆる一時金の金額が年度内に回答が出なかったということで継続交渉中ということであります。
 今後、中小労使の交渉入りますが、冒頭に申し上げましたように人材不足がさらに進む中で「人への投資」という面で、しっかりとバックアップをしていこうということで今確認をしたところであります。以上であります。

質疑応答[1]
Q.(毎日新聞・トウカイリン氏)

 毎日新聞のトウカイリンです。よろしくお願いします。芳野会長に2つと、あと1つは誰か心当たりのある方というか、すいませんお願いしたいんですけれども。芳野会長にまず2つなんですけれども、1つは今回のここまでの結果についてまあ非常に健闘しているというのは今日の説明でもよくわかったんですけれども、一方でまあ最初というか、岸田首相は3%という数字を挙げて経済界に働きかけとかもやるという形で3%という数字を出してきたんですけれども、そういう数字と比べるとちょっと寂しいのかなと、2.11%っていうのは、という感想も抱くんですけども。もちろん連合はがんばっていないというわけではなくて、その差をどう見ているのかっていうのがまず1点。あともう1つ芳野さんへは、女性の賃金格差について調査とか交渉をやったという組合が50組合ほど増えているんですけれども、ここまでの段階でその結果についてどう思うか。その中で例えば芳野さんが聞いていて面白いなと思う結果があれば教えていただきたい。この2点ですね。
 あともう1つこれは心当たりのある方、わかる方で。さっきの説明でもあったんですが60歳以上の雇用の方の労働条件に対する交渉というのが大きく増えてるんですよね。その要因についてわかる方ちょっと教えていただければと思います。以上3点です。

A.(会長)

 ありがとうございます。まず1点目ですが、前回の記者会見でも申し上げたかもしれませんが、要求の議論から決定し実際に交渉に入るまでの間、やはり経済状況がかなり変化をしてきたということが1つあると思うのですが、その中でも連合がこだわったのはやはり水準の議論、そして「底上げ」「底支え」「格差是正」という視点があって、その上では1回から3回まで、先ほど冒頭の挨拶のところでも触れていますけれども、今回1回から3回まですべて額で中小のところが上回ったということはここは評価に値するというふうに思います。一定程度集計出てきていますが4月5月もまだ中堅中小の交渉が続きますので、連合としては引き続き支援をしていきたいと考えます。じゃあその支援は何かというとやはり情報公開が必要ですので、やはり水準にこだわっていくという点では随時こちらの数字を構成組織の方にお知らせをしていきたいと思います。
 それから女性の賃金格差、男女間賃金格差も今回是正の柱の1つに掲げていました。それで、連合の中にジェンダー平等推進委員会というのがありまして、そこで詳細については今後議論がされていくというふうに思いますので、そこからの報告を待ちたいと思いますが、先ほども仁平局長から少し触れたかもしれませんが、23ページのところで「男女間賃金格差の実態と要因把握・点検、改善へ向けた取り組み」ということで、やはり昨年に比べて要求それから妥結回答のところが増えていますので、様々企業の状況といいますか職場の環境変化あるかと思いますが、取り組みの件数が増えているというところについては評価をしたいというふうに考えています。

A.(仁平総合政策推進局長)

 補足があればまた産別の会長の皆さん方からあると思いますけど。よろしいですか。 60歳以降の雇用の話って、そういう意味では年金と雇用の接続みたいな話からそれこそ十何年前からのお話、前々回の高年齢者雇用安定法の改正の話になってくると思いますけど、組合としては最初に雇用と年金の間を作らないっていうことを、これは最優先課題で取り組んできて、当時で言えば、感覚的な話ですけれども99%は再雇用で、その間やっぱり労働者、60歳以降働く人のモチベーションの話とか含めて労働条件どうするのかっていうのは、この間課題になってきたのだろうと思っておりまして。実は連合で夏に労働条件調査をやっているのですけど、これで数年前くらいからなのですけど徐々に定年延長っていう流れも1つは出来てきて、直近の昨年の夏の段階でいくとこの比率が2割を超えるくらいまで広がってきています。それに合わせて、年金との、60歳前半のところですけど、併用の話も含めてこれが完全に無くなってきているものですから、そこをしっかりやっていくということがやっぱり念頭にあって定年延長、あるいはそれに見合うような実質的な労働条件の改善ということに取り組む組合が多くなったのだろうなと思っています。だから突然今年要求をして回答が出てきたというよりは、この間の積み重ねの中で、制度改正も含めて一定の成果が出てきている。今後もこういう流れというのはさらに加速されるのではないかなというふうに見ております。

質疑応答[2]
Q.(フリー・モリ氏)

 フリーの記者のモリと申します。先ほどの質問とちょっと被るんですけども、3年ぶりに2%超えという評価をされていますけども、これ絶対的な水準としてまだまだ低いのではないかと。要するに世界的に見て劣位にある日本の賃金水準を高めていくにはこれではちょっと足りないんじゃないかと思うんですが、その点を芳野会長はどう考えておられるのか。それから、私はまあ結果的にこれ精いっぱいの結果だと思うんですよね、今の企業の収益力とか見ると。なかなかやっぱり日本の賃金が上がらないのは経営側の経営努力が足りないんじゃないかと、だからそういう点について会長には不満はないのかと。要するに経営者もっとしっかり稼げと、あなた方の収益力高めないから賃金が上がらないんだよっていうお気持ちはないでしょうか。この2点です。

A.(会長)

 ありがとうございます。一般的にいえばまだまだ足りないのではないかということかもしれませんが、やはり加盟組合が要求を出して、そして一生懸命交渉した結果ですので、そのことについて連合本部としては受け止めたいというふうに思いますし評価をしたいというふうに思います。
 それから経営に対してですけれども、別に連合は経営サイドに立つわけではありませんが、やはり今のロシアによるウクライナへの侵攻、原材料費の高騰と、やはり厳しい状況になってきているということで先行きが非常に不透明だということが経営サイドの判断としては大きかったのではないかというふうに思います。やはりこの間もバブルが弾けて以降もやはり様々経済の状況があってどうしても経営としては保守的に内部留保を溜めてきたというところもあるかもしれませんが、今回はそうは言っても全体的に「人への投資」に動いたということは言えるのではないかと思いますので、その点ではそこの部分では評価をしたいというふうに思います。

質疑応答[3]
Q.(共同通信・タカノ氏)

 共同通信のタカノと申します。ちょっと会長にお伺いできればと思うんですけれども、先ほど今春闘では中小の健闘ぶりが特筆すべきことだというようなお話がありましたけれども、その要因として考えられることを、もう少し詳しくお伺いできますでしょうか。

A.(会長)

 詳細は担当者の方がいいかもしれませんが、やはり今回労働組合があるからこそ要求を出し交渉しようということの結果として多くの組合が要求を出し、そして対象人数も先ほどをご報告させていただいたとおり増えていますので、そういう意味では中小も厳しい状況ではある中でしっかりと要求を掲げた結果が出たということだというふうに思います。
 もう1つはやはり全体として価格転嫁の問題が大きいというふうに思っていまして、これはどれだけ今回の春闘に影響を与えたかというのを今後また分析をしていかなければいけないかと思いますが、やはり大手を中心に公正取引についてもしっかりと取り組んでいくということをおっしゃっている経営者もいますし、やはり中小のところもそこのところについてしっかりと取り組んだということが今回の結果にも影響が出ているのではないかという判断を持っています。

A.(仁平総合政策推進局長)

 会長の言ったとおりでございますが、プレスリリースの方でいきますと白丸の段落の一番後ろの方に書いてあるところなのですけど、やっぱり「人への投資」と月例賃金にこだわって、「働きの価値に見合った賃金水準」を意識した交渉ということをちょっと書かせていただいていますけど、いくつかの産別からお聞きをしますと、上げ幅のみならずやはりその地域の中でどれぐらいのポジションにあるのかということを労使でしっかり話しできたところはしっかり取れているということなのだと思います。それと儲かったから賃金を出すとか出さないとかいうよりも、「人への投資」も含めてそこの話をしっかりしたというのは、厳しい中でも中小が前進できた要因の1つなんじゃないかなと、感覚的な話ですけど若干補足でございます。

A.(会長)

 すいません、一言付け加えさせていただくと、やはり中堅中小のところは人手不足の問題もあって人を採用したい、それから離職しないようにというか、そういったことも大きかったというふうに思います。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・ミウラ氏)

 朝日新聞のミウラと申します。芳野会長に伺いたいと思います。先ほどの質問と正直ほとんど被ってしまっているんですけれども、中小企業の健闘ぶりの要因というところで今もちょっとご説明いただきましたけれども、これちょっと気が早いですが来年度以降につなげていくために、今回の教訓と言いますか、良かった点、継続させていくためにどういったことができるのか、そのあたりのお考えをちょっとお聞かせいただければと思います。

A.(会長)

 ありがとうございます。中小中堅まだ4月5月も続きますので最終的なところで評価と課題をまとめていくかというふうに思いますが、要求の段階からも申し上げているとおり春季生活闘争は今年で終わるのではなくて、やはり「未来づくり春闘」も掲げていますので、来年についてもしっかりと要求をまず出す、そして交渉していくということを再度徹底していきたいというふうに思います。

質疑応答[5]
Q.(労働ペンクラブ・シカタ氏)

 シカタですけれども、20ページの初任給についてお聞きしたいんですが、今年の場合は各産別を見てもかなり初任給が、JCMの場合なんかも2,300円くらいで2015年以来最高、もっとさかのぼってもかなり、2300いくらの初任給、18歳ね、かなり上げてるんじゃないかと思うんですけど、1つの特徴だと思うんですけれど、電機の場合も3,000円とかね、これは大手の満額回答以上に18歳のところで上げているわけですよね。ある産別に聞いたら、18歳のところで3,000円ぐらい上げると賃金カーブ上からいけば20歳か21歳ぐらいまでは上げなきゃダメなんだけど、どうもそうなってないんだと。一点突破のところだけ、一点だけパッて上げて他のところに継続してないという、そういう問題もあるというのを聞いているんですけど、言ってみれば会社の方は人材確保で入り口の賃金高くして高く見せたいのは分かりますけど、内部の賃金カーブから見て、ある産別なんかは繋がってない傾向があるという声も聞くんですけど、そのあたりの是正についてどうされるのか、というあたり、むしろ産別に聞いた方がいいと思うんですけど。要するに一点のところは会社の方は優秀な人材が欲しいから高くするけど、内部で繋がってないと聞くんですけど、そのあたりの是正というのか何かあれば、と思います。

A.(金子副会長)

 金属の金子です。ちょっと個別の事情なので分かりませんが、たぶん電機かなというふうに思うんですけれども、初任給を今回かなり引き上がったというのは、先ほど芳野会長もおっしゃったように、やっぱり人材不足、人手不足といったところがありますので、そういった観点から本来の要求原資とは別のところに、初任給というとなると思うんですけれども、経営としてはそこにもやはり引き上げという判断に至ったんだというふうに思います。したがって、その初任給の本年の引き上げとそのカーブのゆがみの是正っていうのは少し期ずれも起こり得るとふうに思いますので、瞬間的には歪むかも知れませんが最終的にはそこは補正されていくものだというふうに思いますし、組合としては今度はそこに対してしっかり原資要求をしていかないといけないというふうに思っておりますで、そう心配していることはないということでご理解いただければと思います。

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