2022春季生活闘争 第2回回答集計結果記者会見

 

連合記者会見

2022春季生活闘争 第2回回答集計結果記者会見

芳野会長・清水事務局長・仁平総合政策推進局長(2022年3月25日)

芳野会長

 お疲れさまでございます。芳野でございます。対面とオンラインでのご参加をいただきまして誠にありがとうございます。感謝を申し上げたいと思います。集計結果の内容はこのあと仁平総合局長から説明をいたしますので、ここでは私としてのポイントと思うところを手短にお話しさせていただきたいと思います。
 今回第2回として初めて要求状況そして妥結進捗状況を集計いたしました。厳密な比較はできませんけれども、要求組合数が増えている中で妥結の進み具合はほぼ昨年並みとなっておりまして、各組合のご努力、ご尽力を感じている次第でございます。賃金改善分を獲得した組合が半数を超えているのは特筆すべきことだと思っています。中堅中小組合が粘り強い交渉でこの成果を引き出してくださったことに敬意を表したいと思います。これから回答を引き出していく組合においても「人への投資」と月例賃金にこだわってしっかりと交渉をしていただき、賃上げの流れをより広げていけるよう、連合そして構成組織・地方連合会と連携しサポートしていきたいと考えています。

仁平総合政策推進局長

 お手元にプレスリリースをお配りしているのでご覧いただけたらと思います。先週の第1回の集計から本日の第2回の間に、中堅中小組合とか、産業でいきますと交通・運輸の組合などの回答が集計に入ってきているというところでございます。大きな傾向は変わってございません。2ページ目、集計表をご覧いただきたいと思います。一番上が平均の集計表でございます。集計組合数、昨年同時期のものが1,151組合、これに対して今年1,237組合ということです。平均の率、第1回の時から0.01ポイント下がって2.13%ということになっています。その下に賃上げ分が明確に分かる組合の集計がございます。賃金改善獲得の組合、昨年546組合と書いていますけど、今年は711組合であります。前回も申し上げた通り、昨年ベアを取れなかった組合が今年は取った、ただ、取ったけど例えば1,000円に届かないというところもあって平均してみるとこの1,615円ということで、昨年同時期比ではマイナスということになってございます。次が②で個別方式でございます。このうちA方式を見ていただきますと35歳のところで2,310円ということで、賃金改善分をしっかり取れているということは確認できるかと思います。昨年の欄がございませんが、これについては昨年第2回の集計では平均方式のみの公表というふうにしておりましたものですから、そういう次第でございます。なお今回、短時間とか有期・契約の集計もございませんが、これについては第3回の集計の時に発表したいと思っております。本日は付けてございません。3ページ目をご覧いただきたいと思います。会長も触れていただきましたが、進捗状況表でございます。これも昨年この第2回の集計の時点では調査をしておりませんでしたので、今年初めて全体状況を把握するために集計をさせていただき、今年初めての公表ということになります。要求組合に対する昨日時点の進捗度、ちょっと細いのですが、中ほどを見ていただきますと26.6%というところでございます。そのうち妥結組合の中身が賃金改善分獲得、定昇分確保のみ、未達成、確認中ということで区分けをさせていただいておりますが、半数のところで賃金改善を獲得しているというのが特徴になっております。昨年の表は付けてございませんが、3割程度に昨年ですと止まっていたところでございますので、ここまでのところ健闘しているといっていいのかなと思っております。今後の焦点の1つが中小にどれぐらい波及するのかということでございます。次の4ページ目をご覧いただきたいと思います。下のグラフでございますが、2013年以降の第2回の集計時点の推移ということでグラブにしておりますが、全体の率でいきますと2.13%、これは2019年のレベルくらいでございますが、中小のところを見ていただきますとこれ全体の数字だけで見ますと2020年にも届いていないということでありまして、ちょっと解説させていただきますと、今年の特徴の1つがこの産業状況の違いという点にあろうかというふうに思っております。実は製造業だけ見ますと中小でも2019年の同時期を超えているというのが今の実態でありますが、例えば交通・運輸など今回入ってきたところ、コロナ前に戻っておらず例年よりここについては差が大きいということかと思っております。連合中闘(※ 中央闘争委員会)の確認事項の中で「人への投資」と月例賃金にこだわって粘り強く交渉していくということを確認しヤマ場、3月の決着ということで進めておりますが、中小はまさにそういう状況にあるのではないかというふうに捉えております。ウクライナなどの国際情勢などを受けて、原材料・エネルギー価格の高騰の影響とか生産計画の見直しなどを行われているところもありまして、会社としては新年度の事業計画を考えているところもあるでしょうし、組合としては今日集計させていただいているところも含めてですけど、慣習として一発回答のところだけではないものですから、今積み上げ交渉も含めて交渉を粘っているところも、これもまた少なくないだろうというふうに思います。連合の方針としては3月月内決着ということを言っているものですから、今週末、来週の交渉の推移ということを見守っていきたいと思っております。3月末までの結果については4月5日の中小共闘集会とその後の記者会見で公表させていただきたいと思っております。私からは以上です。

質疑応答[1]
Q.(日経新聞・シマモト氏)

 日経新聞のシマモトと申します。芳野会長にお伺いしますけど、先ほど中小の状況について産業の違いがあるという話があったんですけど、今回の2回目の結果を300人未満と300人以上で見ると1回目より差がかなり開いてきていて、300人未満のところは1.96となってその企業間の差が1回目より開いているところについて、どう受け止めているか教えてください。

A.(仁平総合政策推進局長)

 シマモトさん、すいません。私の方からのお答えでもよろしいでしょうか。先ほどもちょっとコメントさせていただいたのですけど、産業による差がやっぱり大きいものですから、定昇の高さも含めて、交通・運輸などでいきますと結構低いところもあったりして、なおかつコロナの影響というのもこれまたあって、そういうところも含めて中小見ていきますとこのような水準になっているということで、楽観的に見ていくわけにはいかないと思いますけど今の実態としてはこんな感じということでございます。

質疑応答[2]
Q.(朝日新聞・フジサキ氏)

 朝日新聞のフジサキです。芳野会長にお伺いできればと思うんですけれども、この間もおっしゃっていたところではあるんですが、やっぱり今回頑張ってかなり皆さんの交渉が進んだということや「人への投資」という理解が進んだっていうふうにおっしゃっていたと思うんですけれども、一方で交渉の始まりの方でオミクロンとか物価高とかですね、不安要素というのも語られてきたかと思います。今回かなり全体としては前向きな方向性が見えているというのは、どういった外的な要因にも後押しがあったかというふうに考えられているか。例えば業績が良いとか、国際的なそういった賃金水準の低さというのが認識されるようになった、新しい資本主義会議が開かれた、物価高がじわじわ個人の消費とかにも不安が与えられているとか、いろんな要素が語られてはいるんですけど、連合としてどういうところがあるというふうに思っているかお聞かせください。

A.(会長)

 はい、ありがとうございます。まず連合としては今回春季生活闘争が始まった時から、まず労働組合があるからこそ要求を出そうということが職場に浸透したということがあるかというふうに思います。ですので、要求組合数増えていますし対象者も増えてきているという中で、やはり昨年よりも今年の方が回復基調にあったということが1つ大きいと思います。そして人材の確保という意味で、人が流出しないように、とりわけ若年層の流出が今問題になっていますので、その意味で「人への投資」を積極的に行っていくということが経営サイドの考え方の1つにあったのではないかなというふうに思います。

質疑応答[3]
Q.(労働ペンクラブ・シカタ氏)

 労働ペンクラブのシカタといいますが、春闘の進捗状況についてお聞きしたいんですけど、要求提出で64%ということで、会長はすべての組合が要求を出そうといわれて、去年より増えているわけですけれど、60%というのは例年並みぐらいではないか…

(司会)シカタさん、すいません。もう少しマイクを口元に近づけて大きめの声でお願いいたします。今たぶんWEBの方にお声が届いていませんので。

…それが第1点です。それから賃金改善の獲得で、これは50.2というのは非常に良い数字だと思いますけれど、昨年なかったということで、去年の場合は28%ぐらいだと思うんですよね、今は50%というところで、これから中小でヤマ場でこれがキープをどうしていくかっていうのが1つの課題になると思いますけれど、各産別でこれまでと違った中小対策をしているようなケースを掴まれていたらちょっと知りたいと思います。僕が聞いたところでは例年よりも地方のオルグを強めていくとか、それからいずれかの共闘に、中小の場合はもう単独じゃできないから、いずれかの共闘に入れていくとか、いろんな工夫をされて、あるいは産別によってはもう親企業が直々に中小の方に文書を持っていくとか、あるんですが、そういう具体的な取り組みで今掴まれていることがあれば、この50%の評価とこれをキープする産別の取り組みが分かっていれば知りたいと思います、よろしく。

A.(仁平総合政策推進局長)

 まず進捗状況のところの、要求の64%の話でしたかね1つは。これについてはまさに今年初めてこの時期にこういう集約をさせていただいたので、直近では昨年でいうと3月末時点のやつとしか比べられないのですけど、その時に7割ぐらいだったかな、68%ということですので、ここについてはこれから要求を出してくるところあると思いますけど、ほぼほぼ同じくらいなのかもしれないなという気はしています。
 あと、そうですね、今後どうやって中小を維持していくのかということと、どういう取り組みなのかということですが、すみません私の方はあまりその辺は産別の取り組みを、シカタさんの方がもしかするとよく取材されていてフォローされているのかもしれませんが、例年よりそういう意味で連合も旗を振り全体でやっていこうということなので、一生懸命オルグも含めて、コロナ禍の中ですけど、丁寧に回ってはいただいているのだろうなという気はしていますけど、ちょっと具体的にここで申し上げられる材料を持ってないので申し訳ございません。

(労働ペンクラブ・シカタ氏)

 各産別とも昨年よりベアは引き上げると、あわせて拡大、組合まで増やすといってもかなり共通した取り組みになってるので、これからどういう経過が出るか注目したいと思います。

質疑応答[4]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 ファクタのミヤジマです。総括にある先行組合が作り出した賃金の流れというのはやはり3月9日のトヨタが労使協調でやはりああいう形になったというのが大きな流れを作ったという評価なんでしょうか。

A.(会長)

 ありがとうございます。そういう評価で良いかと思います。

質疑応答[5]
Q.(NHK・ヨシダ氏)

 NHKのヨシダです。すみません、最初に日経新聞の方がお聞きになっていたことの繰り返しになってしまうかもしれないんですが、今回の賃上げの額、いただいた回答集計の昨年対比のところで見ているんですけれども、総じて1,000人以上の企業については昨年よりも1,000円ぐらい賃上げの額が上がっていると。一方で300人未満のところを見ていますと大体240円ですとか300円ぐらいかなというところが数字として並んでるんですが、ちょっとあのですね、やはりこう、このままだと規模が大きい企業については賃上げ、昨年と比べると1,000円ぐらい上がっているということではあるんですけれども、規模が小さいところはやはり300円ぐらいのところに止まっていて、このままの流れが続くと、賃上げ率はいいんですけれども企業規模間の格差が解消しないのではないかというような印象を受けています。そのあたりの、産業別に違いはあるというお話は仁平さんからも冒頭から伺っているのですが、企業規模間の格差について、ちょっと賃上げといっても企業の規模ごとに、大きな企業は良いけれども中小はちょっとふるってないというところでいかがお考えか、芳野会長にお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

A.(会長)

 今日の集計ではこのような状況ですけれども、これからまた中小が、4月、5月出てくると思いますので、また数字は変わってくるかというふうに思いますが、これ平均で出ていますので、例えば賃上げ額が少ない、去年は要求をしてないけれども今年要求をして賃上げ額が少ないところが出てくるとやはり下に引っ張られるということもありますので、トータル的に見なければならないかなというふうには思っています。

A.(仁平総合政策推進局長)

 芳野会長が言っていただいた通りでありまして、次回ちょっと3月末の決着に向けて引き続き中小やっているところって多いと思いますし、それこそ粘り強い交渉を今しているのではないかということがありますので、そういう結果もちょっと見守りたいなと思います。ちなみに細かいことを言わせていただければ、今回は公表しておりませんけど製造業の中小という意味では割と堅調に推移をしておりまして、そういう意味で、規模、産業、ちょっと丁寧にその違いなども見ていく必要が今回あるのかなという気はしております。

質疑応答[6]
Q.(ロイター・キタムラ氏)

 ロイター・キタムラと申します。よろしくお願い致します。芳野会長にお願いいたします。これももう少し開示が進んでみないと分からないという話になってしまうのかもしれませんけれども、300人未満の会社の賃上げ率は2%台をちょっと割り込んできている状態というこの現状の数字に対して、最近の物価上昇に対して1.96%という数字は十分なものであるとお考えでしょうか。受け止めをお願い致します。

A.(会長)

 現時点ではまだ交渉を一生懸命している加盟組合がありますのでコメントは控えたいと思いますが、やはり現在のこの結果というのは、それぞれの組合が一生懸命交渉して積み上げてきた結果だと思いますので、物価上昇との関係様々見方はあるかと思いますけれども、連合としては評価をしたいというふうに思います。

質疑応答[7]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 ファクタのミヤジマです。数年前までトヨタの対応っていうのはちょっと横へずれているというか違和感があったんですけど、ここへきて結局、政治主導みたいな、官邸主導みたいだったが、今回についてはやはり日本のスーパージャンボのトヨタが賃上げの底上げに貢献して引っ張ると、そういう例って過去に春闘であったんでしょうか。やはりそれは1つの、まだ最後まで分かりませんけど、そこのところどういうふうに評価しておられるのか、スーパージャンボの労使協調が賃上げを底上げしているというふうに、そういうふうに見ておられるんでしょうか。

A.(仁平総合政策推進局長)

 そうですね、私の方からで恐縮ですけど、過去にどうだったかと言われると、その年々によっていろんな特徴があったのだろうなと思いますし、今年もそれぞれのそういう意味では、金属の中でいけば電機は電機なりの交渉もしたし、基幹であれば基幹なりの交渉をたぶんされていて、それが、トヨタが先行して満額を出したということも睨みながら労使で出した答えなのだろうというふうに思っていまして、なので何か、どの時と似ているとか似てないとか、あるいはそれですべてがうまくいったのだとかいう、ちょっとそれだけの要因じゃないと思いますのでちょっとこれも総括の中で皆さんの意見を聞きながら、それこそ苦労された産別の皆さんの状況をちょっと聞いてみないと、どういう交渉をされてここに至ったのかということについては分析をしないといけないなと思っています。

Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 トヨタのアナウンス効果というのはやっぱり圧倒的なんじゃないかと。僕らメディアにいましてね。韓国にサムスンという会社がありますけど、やっぱり「トヨタが」というのが、今回そんなような印象なんですけど、そういう印象を持たれているから芳野さんそうおっしゃったんだと思うんだけど。そういう1つの流れになっていくということはいいことなのかどうかを含めて、どうなんでしょうか。

A.(会長)

 トヨタが出たあとに電機の大手も満額回答という報道が流れて全体的には賃上げに対する機運というのは高まったのではないかというふうに思います。

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