記者会見 2021年1月

 

連合記者会見

1月定例記者会見

神津会長、相原事務局長、石田副事務局長、冨田総合政策推進局長(2021年1月21日)

連合記者会見全文
神津会長

 それぞれWEBでご参加をいただいています。感謝申し上げたいと思います。 今日の中央執行委員会ならびに中央闘争委員会での議事の内容については、すでにデータで送られております。それぞれご覧いただいたかと思います。またポイントのところは後ほど私どもからご説明をさせていただきます。まず国会が、この緊急事態宣言下、開会がされました。国会の法案に関して、現時点で明確になっている内容を基本に連合としてのスタンスこれを今日中央執行委員会で確認をしております。それぞれ内容については、またご覧いただきたいと思います。いずれにしても、本来は私どもが強く主張していたようにPCR検査を、受けたい人がしかるべく受けることができ、症状に応じて医療的な対応が確立されていればこんなことにはならなかったはずだというふうに思いますし、そういう意味でそういう本来の対応がはかられていれば、感染拡大と経済の両立、感染拡大を防止するということと経済の復興の両立は本来成し得たはずなのに、また振り出しに戻るといいますか、とにかく足元はもう医療崩壊が現実のものとして目の前の状況ですから、まずはとにかく感染防止を徹底してやっていくということに尽きるかなと思います。関連する法案の、国会でこれしっかりと与野党で議論がされて、まあ伝え聞く内容ですと、果たしてどうなのかなと、国民感情からしてもいかがなものかなという内容もありますから、そこがしっかりと与党が野党の声を聞いて、民意を反映した形で、ただ一方では大事な内容については速やかに決められていくことが必要なんだろうというふうに思います。
 そして、今日中央闘争委員会でこの春季生活闘争、この中央闘争委委員会としての第2回目の確認事項、これについても詳しくご覧いただきたいと思いますが、とりわけ一昨日経団連から出された経営労働委員会報告、これに対する連合としての見解、すでにお出しをしている内容ですが、改めて中央闘争委員全体で確認をしたところであります。賃上げのモメンタムを維持するということが明確にされていて、したがって2014年以来の流れは大事にしていこうという意志は明確に示されていますが、私の感じていることでいえば、何のためにそれが必要なのか、今私たちのこの日本の経済社会を取り巻く問題、コロナはコロナで大変な危機ですが、すでにそれ以前にあった危機、ここに対しての意識が、率直にいって感じられないと。どうやってこの危機を克服するのかという点について、不十分ではないのかなと、踏み込みが見られないなというのが、私自身も率直に感じているところであります。詳しくは内容を見ていただきたいというふうに思いますが、特に表現として、当該の労働組合の共感と理解が得られにくいのではないか、などという表現がありましたが、これは一言でいえば余計なお世話だということでありますし、そういう次元の見解のみならず、どうも自分のところの事情に閉じているのではないのかという感じがしてなりません。もちろん、これから春季交渉においては、それぞれの置かれた状況、それは企業労使であり、あるいは産業労使であり、それぞれの置かれた状況についてしっかりと課題認識、どうやってこれをいろんな課題乗り越えていくのかということは認識が共有されてしかるべきですが、私ども連合として掲げている旗、さっき申し上げたのは2%という数字に対してですが、これはなんでこういう旗を掲げているのかということでありまして、日本の抱えている状況、格差拡大あるいはその下での平均賃金の20年にわたる低下、世界におけるポジション、世界の先進国においては日本の賃金に比べて今1.4倍、1.5倍ぐらいの開きがありますので、すなわちそのことが経済規模の相対的縮小ということにも直結しているわけで、こういった危機感のもとに私どもとして春季生活闘争の考え方、方針を提起しているのであって、いわば社会全体がどうやって危機を克服していくのか、その時に労使がそれをリードしていかなければならないということについて、もう少し深掘りがなされてしかるべきではないのかなと。経営労働委員会報告も多面的に、様々な切り口でいろんな提起をしています。ただ、経団連の会員企業にとっては非常に有用な情報も盛りだくさんなんでしょうが、考えなければいけないのはこの日本全体の課題克服であって、したがってもっとこのことについて危機感を持っていかなければいけないのではないのかなという感じを率直に持ったところであります。
 私のほうから冒頭以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

相原事務局長

 中央執行委員会ですが、協議事項お手元ございますとおり、通常国会の法案対応の関係を確認いたしております。成立・修正・廃案・その他、目下の予算案中心に、私どもの対応を定めたということになっております。一部、与野党協議などが進んでいる面もありますので、それらも対応として注視をしながら対応していきたいとこのように考えます。あわせて、要求と提言の修正、随時修正し、実践、実現につなげていくということで、経済政策、社会保障政策はじめとして一部修正を今日確認させていただきました。および、衆議院北海道2区補欠選挙の候補者予定の推薦確認、および連合フォーラムの構成員の退会ということで、年末急逝されました羽田雄一郎さんにつきまして、お悔やみを申し上げるとともにその退会を確認したということでございます。

冨田総合政策推進局長

 総合政策推進局の冨田でございます。資料のほうに、本日の第2回中央闘争委員会確認事項を入れさせていただいております。要請の関係で1点記載のところを報告させていただきますと、至近の情勢認識の2つ目に「コロナ禍における雇用・生活対策本部」の取り組みがございます。雇用調整助成金の延長を含め1月18日に厚生労働省に対し要請行動を行ったところであります。あわせて働き方も含めた取引適正化の観点で、サプライチェーンの維持とそれから中小企業に対する支援継続の要請を合わせて1月20日に行っており、そのことも含めて本日確認をしておりますのでご報告とさせていただきます。以上です。

質疑応答[1]
Q.(産経新聞・ヒラオ氏)

 産経新聞ヒラオです。質問ですが、今回の春闘のテーマの中で企業の内部留保の拡大についてどういうふうにお考えでしょうか。経団連の経労委報告の中では、企業の存続や雇用の維持に内部留保が貢献しているというふうな提言が3ページ分ありましたけれども、これを賃上げに活用するべきというふうにはならないのか、経労委に対する連合のリアクションのところでは何もそこに言及がなかったので改めてこれについて確認させてください。

A.(会長)

 これは私の受け止めですが、内部留保というのは一定水準が必要なものだと思います。ただ、問題なのはここ数年もう溜まり過ぎているということで、これはむしろ政府、政権の中枢におられる方からも指摘があるくらいのことだったと思います。端的にいえば、それはその企業の中で、今回のような危機的な状況も含めて、しかるべくお金が使われるということは当然必要だと思います。かつですね、まあ今ヒラオさんからのご質問との関係でいえば、先ほど申し上げたように、日本の経済社会ははもう危機的状況です。ですからそういうところに人への投資がされなければいけない。当然賃上げにも、回っていかなければいけないということだと思います。かつ、これも先ほど申し上げたことにつながりますが、単に、この企業労使だけの問題であっていいのかということです。これだけ各企業、とりわけ大手企業の内部留保が溜まって、400兆くらいといわれています。それは尋常な額ではないわけです。一方で、今そのコロナ対応で、これはもう政府がただでさえ借金財政の上に60兆円も追加で国債発行して、火の車だけどもしかしこれは国費投入せざるを得ない、当然すべきだと思います。ただ、いかにもアンバランスだと思います。これは雇用の問題、私どもとして、しかるべくこの生活保障と職業教育と再就職のマッチング、これパッケージにした雇用のセーフティネットというものが張られるべきだということで、政府も今さまざまな検討が進められています。だいぶ私どもの要請にも応えていただいているというふうに認識をしています。ここらあたりにもっとお金が使われないといけないと思います。したがって、それはもうまさに政労使の使のところにお金がこれだけ溜まっているとすれば、こういった枠組みに財源投入されてしかるべきではないのかなというふうに率直に思います。今雇用もそして賃金も、この日本の危機を脱するためにはしかるべく補強がされなければならないというふうに思いますので、私としてはそういった感じを持っています。

質疑応答[2]
Q.(時事通信・コンドウ氏)

 時事通信のコンドウです。先日、自動車総連が中央委員会で浜口参議院議員を国民民主党に入党させる方針を決めました。その後の調整状況について連合として把握されている事実関係と、この動きが次期衆院選にからんでくるかとも思いますが、その影響をどうご覧になっているか、お願いします。

A.(会長)

 私どもとして知り得ているのは報道されている内容とおりといっていいと思いますし、そこに更に何か詳しい内容があると思っていませんので、参議院比例の候補の考え方については基本的にその当該の出身元の産別の考え方が基本軸になりますから、そのことは私どもとしてしっかりと見守りながら、また注視もしながら連携をしていくということになりますので、今おっしゃっていただいたことの内容からすると、実際に入党するタイミングというのは今後の状況を見極めながらということでもありますから、それも見極めていきたいなと思います。これは参議院の話ですから、そのことが総選挙、これはいつになるかわかりませんが、タイミングの問題も含めて何か関わるということではないというふうに思っています。

質疑応答[3]
Q.(日経新聞・マツイ氏)

 日経新聞マツイです。冒頭会長から、今回のコロナ禍でそれ以前からあった危機が改めて顕在化したというふうな分析があったと思いますが、コロナ前からあったその日本の労働市場の課題としては産業構造の転換に雇用制度の変革というのが追いついていないというふうな側面もあったのではないかと思います。それで、14年以降の春季生活闘争というのは配分というところに議論のフォーカスが当たっていたのではないかなというふうに思いますが、例えば定期昇給のあり方とか、年功的な賃金のそういう仕組みや、そういう制度改革というのをこの機会にもっと労使で議論をされてもいいのではないかなというふうに思います。その辺について会長はどんなふうにお考えになるでしょうか。

A.(会長)

 制度ということでいいますと、非常に立ち遅れているのは雇用の問題で、先程のコロナの状況との関わりも含めてセーフティネットが必要だということをいいましたが、これはコロナの問題云々以前から、私どもとしてはそういう生活保障と職業教育と再就職マッチング、これパッケージのセーフティネットが必要だということはずっと前からいってる話です。こういうものが無いので、ある意味その悪しき硬直的な労働市場です。本来は働く側も前向きに受け止めることのできる労働移動がもっとあってしかるべきだと思います。それが無いので今40歳前後の方々、就職氷河期、とりあえず不安定な形態であっても、有期雇用、契約社員、そういった形に仕事を求めたところ、いつまでたってもそこから抜け出すことができないという方々が大量に生じてしまったということであって、したがって今コロナの状況の中で雇用をどうやって全体で守っていくのかということの中で新しい枠組みが模索されていますので、こういう危機感をバネにして、雇用の制度改革を行っていくべきだと思います。それで、お話にあったところで、賃金なり人事制度ということでいいますと、これはもう個別の労使で、労使でというのはしたがって集団的な労使関係があって、とりわけ連合に集う労使はこれまでも何度もこう工夫を重ねてきていますので、基本はその中でしっかりとこの制度改革もやってきているというふうに思います。むしろ日本全体の中では、先ほども申し上げたのは格差が非常に開いてしまっていて、そういう労働組合がないところの中小企業においては賃金制度がないところも多い。したがって20年間、賃金が上がらない、いわゆる定期昇給、賃金カーブ維持に相当するそういう賃上げすらなかった。したがって実質賃下げが20年間も進んでしまったということですから、まずはそういう基盤的なところの財源がしかるべく回るような仕組みにしていく。日本全体の制度改革ということでいえば、そういうことを志向すべきではないのかなと思います。分配構造の転換ということを、今季の春季生活闘争においても、私どもある意味一番強調しているところなので、このことに応答するような制度改革が望まれるのではないのかなというふうに思います。以上です。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・サトウ氏)

 朝日新聞のサトウです。神津会長の冒頭発言に関連して、経団連のほうが経労委報告をまとめたことを受けて会見をされていらっしゃって、一律の賃上げは難しくて、業績がいい会社はベアも選択肢と、要は上げられるところは上げればいいし、上げられないところを上げなくてもいいというような、そういう話だと思いますが、これに対する会長の受け止めと、冒頭で会長のほうで経労委報告がまあ今一つということでしたが、どの要素、どういうものを、その何でしょう、経労委報告の中では言及すべきだというふうにお考えでしょうか。ちょっと抽象的で申し訳ありませんがよろしくお願いします。

A.(会長)

 今おっしゃったこともそうですけど、冒頭申し上げたように日本全体のこと、雇用、労働、賃金水準、そういうことにもっと目を向けて発言して、あるいは表現していただきたいなということです。今の触れられたその一律のベースアップというのが難しいと、こういうことですが、これについていいますと、あの何も別に今年に限った話じゃなくて毎年経営側のほうはそうおっしゃっていますので、そういうことなのかなということと、私は賃金というのはいわば社会の公共財だと思ってまして、その額に汗して働いている日本全体の労働者、働く者にとってみますと、自分の働いていることの価値に見合った賃金が配分されてしかるべき、ということに今の賃金水準というのは果たして応えているんだろうかということです。私は業種業態あるいは企業産業、横断的に、本来そういうものがもっとしっかりしていないといけないのではないのかなと思います。私は、逆の意味で今のこういう格差が開いた状態で、それで一律的な賃上げということはむしろ、そうではなくて底支えを求めたいと。ですから連合の中だけで見ると、中小企業のベースアップが大企業を上回るとか、あるいは短時間就労いろんなその形態で働いているいわゆる非正規という形で括られる方々の賃金アップ率が正社員のアップ率を上回るというのは、連合の中では実現をここ数年してきているわけです。しかしこれが社会全体のものとなっていないわけです。そうすると、この格差の是正ということが一向に進まないということですから、分配構造を転換して、賃上げにそういう意味で積極性を持ってもらいたいというふうに、むしろ思うわけであります。その一律のということでいえば、そういった感じを私としては思っています。

質疑応答[5]
Q.(共同通信・タケオ氏)

 共同通信のタケオです。2点ほどお伺いしたいと思います。1点目が経団連の経労委報告についてです。今年の経労委報告の中で経団連は労働時間法制の見直しを提言しておりまして、今回のコロナ禍を契機として硬直的な労働時間法制を見直すべきとして、新しい働き方には時間外労働に応じて賃金を払う現行の労働法制というのがなじまないというようなことを打ち出しているんですが、あとはテレワークの部分についても柔軟な働き方に資する労働時間制度の活用が考えられるということで、労働時間管理の部分に指摘を入れていますが、この点まずどのようにお感じでしょうか。

A.(会長)

 先ほどから申し上げている話と通底しますが、日本全体の働く者の立場というのをもう少し考えてもらいたいなと思います。それは経団連の会員企業の労使関係、まあいろいろ課題抱えているところも多々あるでしょうが、ただ世の中全体の中では非常に恵まれた立場だと思います。そういった中で、これまでも労働時間との関わり、いろんな制度上の工夫というのはされていると思います。したがって、それはできる範囲のことを、今の労働法制の中でも十分できるということだと思いますので、何も労働法制全体のタガを外すようなことをする必要は全くなくて、むしろそんなことをしたらただでさえ過労死、過労自殺が依然として後を絶たないこの状況の中で、労働法制のそのタガを外して、労働時間法制のタガを緩めてしまって、さらにそれを悪用する経営者、使用者が出てくるようなそんな温床を作る必要は全くないと思います。そしてテレワークということについても、これも労使間できちんとできるところはいろんなことの手立てを講じていると思います。しかし、そうでないところもいっぱいあるというわけですから、むしろこれについては厚生労働省からもいろんな目安も出されているようですし、連合としても基本的な考え方を整理していますから、そのことに則って、それをそういう労働組合がないところに向けても、模範を示すようなそういう時間管理をしっかりやっていただくということは筋ではないのかなというふうに思います。
 それともう1ついえば、いわゆる管理職の方々は、その労働時間管理の枠外に置かれているけれどもそこでどういう問題が生じているんだろうということは、むしろ私たちとしてはある意味懸念をするところです。まあこれはいわゆる管理監督者ということの、そういう労働法制上の定義と実際の企業における管理職というのは必ずしもミートしていませんし、そういう中で非常に過大な負担を強いられているということがないのかということは、むしろ厳しく見極められるべきではないでしょうか。実際に過労死、過労自殺のケースの中でもそれなりの位置づけの管理職の方々という事例も散見されますので、むしろそのことに対する注意喚起をお願いしたいというふうに思います。

Q.(共同通信・タケオ氏)

 ありがとうございます。あのもう1点お伺いしてもよろしいでしょうか。 今回の春闘を取り巻く環境ですが、厚生労働省のまとめでも、解雇、雇い止めが8万人を超える情勢でして、やはり非正規に影響が大きく出ているという中で、かねてからその非正規の拡大に当たって、これまでも入口規制の議論が十分にされず出口規制に終始してきたという点、ご指摘もされてきたと思うのですが、改めて雇用へのしわ寄せが出ている非正規の規制の強化というのがこれまでも必要だったのではないか、現段階においてどうあるべきかという点についてお聞かせ願いますでしょうか。

A.(会長)

 はい、そこは論点としてはおっしゃる通りだと思いますし、私どもとしても、1つずつ問題を解決していく中で今後そのことも見据えていくべきだと思います。ただ足元は、とにかくその実際に厳しい状況にある方々にどう手を差し伸べていくのかということが問われていると思いますので、これ例えばその休業をした方々への今実際には特例措置がありますので、そういった方々に給付がされるべきなのが実際にはされていないとかいう問題もありますので、実際に今利用できるところの制度の周知徹底であるとか、あるいは実際に失業されてしまった方々には先ほど申し上げた生活保障を含めての雇用のセーフティネット、これも今そこに向かって今いろんな政策立案がされているということですから、少しここは補正予算の中でも一定程度そこに向かっていくような財源も組み込まれているように聞きますので、足元はとにかく今の起きている状況の中で、この厳しい状況にある方々を救うということがまずありきだと思います。それで、ここで得られたいろんな問題、知見も含めてさらに、これがある程度、そういった通常時の法制議論においては連合としてもいろんな観点で検討を加えていくということになると思います。

質疑応答[6]
Q.(共同通信・タケオ氏)

 共同通信タケオです。会長に重ねてお伺いしたいと思います。27日予定されています経団連との懇談会におきまして、連合側としてどのようなメッセージを打ち出していかれるお考えなのかということと、春季生活闘争、各業種間で業績にかなり好調不調の差が激しい中で、労働組合としてこの春季生活闘争をどのような形で存在感を発揮していきたいとお考えでしょうか。お願いいたします。

A.(会長)

 先ほどから申し上げていることのエッセンスを、申し述べていかなければいけないなと思ってまして、その何かというと、すでにあった危機を、どう乗り越えていくのかという過程の中での27日の経団連と連合との協議があるというふうに思っていますので、したがってそこはいろんなことを問題提起がされているけれども、もう少し私どもとして持っている問題意識これを共有していただきたいなということだと思っていまして、20年間蓄積してきた、ある意味その雇用の劣化であるとか、平均賃金の低下であるとか、そのことによって世界全体の中で日本の地位、経済規模含めて低下の一途をたどっている、これをどうやって反転させていくのかということでありますし、そういった広い視点とともに、やはり一人一人の働く者の思いにしっかりと応えていただきたいということでありまして、とりわけこの間エッセンシャルワーカーといわれる方々、この人たちの存在抜きに今日何とかこの今耐えしのいでいるという状況は考えられないわけでありまして、そういった方々が皮肉なことに処遇条件低い方々も少なからずいらっしゃるので、そこは社会全体の課題としても、これはしっかりとクリアしていかなければいけない、そういった問題課題をクリアしていくときに、労使がけん引していかなければいけないのではないのかということを率直に申し述べておきたいと思います。そして確かにコロナの状況の中で、影響が業種業態によってかなり偏在していることは事実であります。ただこれも社会全体でどう乗り越えていくのかということですから、置かれた状況の中でそれぞれが最大限の努力をしていこう、という中で私ども労働側においても議論を重ねながら、そういった厳しい状況にある構成組織、産業別組織からも前向きな発言をいただいて、まさに課題克服、日本の経済社会全体が抱えている課題の克服に向けて、認識合わせ、心合わせを行ってきていますので、そういった観点で経営側もぜひ力を発揮していただきたいということだと思っています。

質疑応答[7]
Q.(朝日新聞・サトウ氏)

 確認ですが、今回27日のトップ会談の前に26日に労使フォーラムがございます。労使フォーラムのほうでも会長登壇されると思いますが、そちらではどのような話されるのでしょうか。今おっしゃったようなお話もされるのでしょうか。こう春季生活闘争をめぐる問題という、そのあたりちょっとすいません教えてください。

A.(会長)

 そのつもりです。時間も限られていますのであまり細かい話をしてもしょうがないと思うので、私どもの掲げている方針自体は既に出ていますし、その下で連合白書、この中でその根拠なども含めて詳しく記載されていますから、当日出席の皆さんにはそういったものも見ていただきながら、しかし全体を覆う問題意識、そこを中心に話をさせていただきたいなというふうに思っています。

Q.(朝日新聞・サトウ氏)

 それじゃあ、その27日はそれを踏まえて直接議論されるということで、その27日のほうについてはあまり前段の説明というものはされずにもう中身の中で議論されていくというイメージでよろしかったでしょうか。

A.(会長)

 いや必ずしもリンクしているわけでもないし、参加する人もむしろ全然違ってきますから、そういう建て付けではないです。ただ、まあそこは同じ問題意識を持って話をしていきたいと思いますし、実際の最初の挨拶の中ではそこを括ってお話をするということになろうかと思いますが、各論のところテーマごとに深掘りをしていくと、27日の朝はそういうことになると思います。

質疑応答[8]
Q.(産経新聞・ヒラオ氏)

 産経ヒラオです。会長が何回もおっしゃっているように、コロナ以前の危機が、日本の経済や日本の社会を覆う課題があったということはわかりますが、今回コロナで会社自身がもう存続できないぎりぎりの線まで来てるという状況の中で、連合側がコロナの克服というところに対してどういうメッセージを出すのかがちょっと弱いような気がするのですが、この点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

A.(会長)

 いやコロナの克服は克服で十分しっかりやるべきです。これは、メッセージが云々といいますが、そこのところ今まで私どもがいってきたことをもっと取り上げてもらいたいなというふうに逆に思います。結局、両方とも通ずるのは、危機感の欠如です。そもそもコロナがこんな状況になったのも、先ほど雇用の問題でもいいましたけど、医療の問題も含めて、その都度その都度、その場しのぎの政策実行しかされてきていないということが今日の危機を生んでいるのです。それで、昨年からもいろんな給付だ、貸し付けだ、それは緊急対応ということで必死になって政府もやっているということはわかりますが、今足元の飲食店に対する支援にしても、規模の大小を全く無視した支援しか考えられてない。それで、早速大企業においても飲食関係のところが悲鳴が上がっていると、これどうするんだということで、後追い後追いになってるわけです。したがって、雇用、賃金の問題についても、結局問題はこういうことになるまで20年間放っておかれたということですから、そこに対して今こういう賃上げの流れということを、ここでストップしたら一体日本の社会というのはどうなるのかと、いうことの危機意識が、私は社会全体も含めて、そしてリードをすべき労使の片方の使用者側に、一体どこまで浸透しているのかなというのは非常に大きな懸念を持っていますので、いや実際にこれはもう本当に潰れそうだっていう会社がまずは企業の存立が第一だというのは、これは別にコロナの問題だけに限ったことじゃありませんから、今までだってそうです。だけどもそれは経営総体として何を基本に考えて、どういう旗を振るのかということが問われているのであって、いたずらにコロナの状況に惑わされて、あるいはそれに便乗して消極的な姿勢を許していいというふうに私はとても思われない、というふうに申し上げておきたいと思います。

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