記者会見 2020年7月

 

連合記者会見

7月定例記者会見

神津会長、相原事務局長、石田副事務局長、冨田総合政策推進局長(2020年7月16日)

連合記者会見全文
神津会長

 大変多くの方にお越しいただきました。ありがとうございます。今日は触れておきたいことがいくつかありますが、まず、中央執行委員会の冒頭で、熊本県をはじめとした豪雨災害で亡くなられた方々に哀悼の意を表し黙とうを捧げたところです。その事はご報告しておきたいと思います。また今、新型コロナウイルス感染症対策の最中でありますから、被災されて避難所におられる方々、大変難しい状況の中で避難生活を送っておられます。改めてお見舞いを申し上げるところであります。連合として何ができるのか、何をやるべきなのかということについて、今日の中央執行委員会の中でも取り扱っているところです。内容はご参照いただきたいと思いますが、こういう状況の中ですので、本部からボランティアを派遣するということは今のところ差し控えております。ただ現地において、当該の地方連合会におけるボランティア編成は今はじまっており、取りわけボランティアが手薄になる平日を中心に対応していくということです。また、寄付や、カンパは昨年30周年を機に枠組みを作りました「ゆにふぁん」、これも活用しながら進めていこうということであります。
 そして議案の関係で、前後いたしますが、今日の中央闘争委員会、これは例年通りの扱いですが、直近の集計を持って、まとめをしておりまして、それにもとづきながら本日をもって中央闘争委員会としては解散を確認しております。必要なことについては連合本部として、中央執行委員会のもとに対応をはかっていくということになりますが、これまたひと夏越えたら秋口から来年に向けての議論ということですので、そのことも念頭に置いてのまとめをしていることをまた注目していただければありがたいと思います。これは、これまでの会見でも申し述べてきましたが、どうも世の中、新型コロナウイルス対策、これに終始していることもあってこの2020年の取り組みも、そのことで影響を受けているという受け止めが流れていますが、私どもとしては端的にいえば、新型コロナウイルス対策がありながらこういった成果になっていると、成果獲得になっているというのは、これはもうそれぞれの組織が、率直にいって相当頑張ったと。対面での交渉が大変当初ままならない中で、しかし交渉の実を上げたというふうに思っています。確かに賃上げ率そのものは昨年よりも鈍化していることは事実ですが、しかし賃上げはされている訳です。鈍化も、これ当初から米中貿易摩擦をはじめ、業種によって少し違いはありますが、その景況そのものが懸念をされていたことの反映が大部分だと思いますので、したがってコロナの影響を受けてこうなったというふうには私自身はまったく思っていないということですし、そして底支え、底上げ、そして格差是正ということのメリハリを明確にしたことですとか、開かれた春季生活闘争にしていこうということは、しっかりと来年につなげていかなければならないというふうに思います。また、賃金の問題について関連して触れておくならば、こういう底上げ、底支え、格差是正、そしてこれはやはり好循環にどうつなげていくのか、デフレ脱却をしていくという、デフレ脱却というのは1年や2年でできませんから、積み重ねの営みの中で、これを継続していかなければならないということで、そこは私どもの春季生活闘争においては継続をしているということです。ただ問題なのはこれをどうやって全国に、日本全体の動きにつなげていかなければいけないのかということです。そういった中で最低賃金というのは極めて重要な要素、位置づけを持っていることは皆さん方ご承知の通りでありまして、目下、中央最低賃金審議会で目安議論、まさに真っ只中ということですが、ご承知の通り、使用者側は凍結などということを主張し、政府の方も今一つピリッとしないということでありますので、中々隔たりは大きいというふうに聞いています。少しこんなことでいいのかというのは率直なところです。いったい好循環論はどこへ行ったんだという話でありまして、それは確かに、我々としては雇用の問題は大事だというのは当たり前の話ですが、しからば何のために57兆円を超える補正を、補正予算、1次補正、2次補正あわせて57兆円を超える国債を発行して、我々の税金をまた使いながら、とにかく事業を支える、中小企業、零細企業も含めて事業を支えて、雇用を守るという、一方でそういうことをやっているのですから、繰り返しになります、好循環に向けた歩みというものをここでストップしては、これはもう、感染症対策も、経済対策も、いったい日本はこの先行きの見通しというものをどう持てるのだと、そういう閉塞感をより際立たせるだけなのではないのかということを、改めて強く申し上げておきたいと思います。
 それから、新型コロナウイルス感染症対策に関わって、これはこの場でも申し上げたかと思いますが、とにかく足元なんとか乗り切って、そして次なる感染対策をしっかりやらないといけないということです。ご承知のように今日も東京都はこれまでにない数字の感染者が出たというふうに聞いておりますが、これは看過できない容易ならざる事態だと思います。一方で、これも前に申し述べておりますが、感染対策と経済対策、これは二項対立ではない。二項対立にしては、3月4月の対応状況、非常にこの全ての国民が、あるいは影響が色濃く出た弱い立場の方々に取って、もうそれは繰り返したくないということです。それはやはりPCR検査、抗原検査を抜本的に拡充して、そして隔離対策もしっかりやると。これも、聞くところでは、陽性ということが明確になった方々を相当程度自宅待機でもいいという形にしているというふうに聞き及びます。それは少し違うのではないのかなと思います。自宅待機といいながら、スーパーマーケットに買い物に行ったりとかいうことがあると、それは症状が見えないということの中で、そういうことがまた感染の増を生んでいるのではないのかなというふうに思います。やはり検査の抜本的な増で、そのことによって働く現場で、働いている人たちが少しでも安心を高めるということがないとこれ立ち行かないということを改めて申し述べておきたいと思います。それからのもう1つの切り口といいますか、中長期の視野を持って、このウイズコロナ…ポストコロナ、ウイズコロナというのはもう同義の言葉だと思います。この新型コロナウイルスと、ある程度の中長期に付き合っていかなければならないということだと思いますから、その下で今回あらわになった問題をどうリカバリーしていくのか、あるいは制度運用の改革につなげていくのかということが問われています。連合として、これを改めて、あの基本は私どもがいっていた「働くことを軸とする安心社会」であるとか、包摂ということを基本に据える理念であるとか、自己責任論から脱却しなければいけないとか、そういうことの延長線上ではありますが、新しい知見が様々ありますから、それらを再編成して政策・理念をしっかりと秋口に向けて作っていくということになります。これもご承知のように、まさに前回の6月18日の中央執行委員会において、立憲民主党の枝野代表、国民民主党の玉木代表に、そのことの重要性を申し上げ、それぞれの党が当然のことながら同じようにその政策を今検討しているということでありますので、三者で相呼応して、この共有するところの考え方を確立していこうということで爾来進めてきておるところです。6月26日に、改めて両代表、両幹事長、そして連合相原事務局長と私と、しっかりとかなり時間をかけて議論をし、まあ相当やはりお互いの考え方は共有、元々されているなと、それをどうやって形に表していくかだなと、まあそういった手応えを私としても感じたところであります。そして一方で、昨日、立憲民主党の福山幹事長から国民民主党の平野幹事長に対して、この両党を解散して新党を立ち上げるといったことの申し入れがあったということであります。このことについては、これはまだそういう意味では両党の議論、まだオンゴーイングの話でありますので、私の立場からあまりそのこと自体にどうこういうことは差し控えたいと思いますが、ただ連合として、今の政治状況を鑑みるに1つの大きな塊、その今の政権にしっかり対峙し得る塊が必要ではないのか、あるいは私たちがめざすのは究極的には二大政党的運営であるということは、もうこれはずっと主張してきた訳ですから、まあそういった立場からは両党が解散をする、解党をするということに向けての非常にその重たい判断に向かっているのだということだと思っています。そして、こういったその協議が進められてきているそのきっかけの1つに先ほど申し上げたポストコロナの社会像、これを共有していこうじゃないかということがあるとすれば、そのことについては前向きに受け止めていきたいなというふうに思っているところです。
 少し長くなりましたが私のほうからは冒頭以上とさせていただきます。よろしくお願い致します。

相原事務局長

 中央執行委員会の関係では、足元の6月の労働相談の関係について集計がまとまりましたので本冊の11ページに記載をさせていただきました。6月単月で見て、昨年が1600件強、本年が2800件強ということで、社会における雇用実態もしくは労働にまつわる相談ごとの大変激増な状況のご報告・共有をしたところです。
 改めて協議事項のほうに行けば、組織拡大プランということで連合の組織を、そして集団的労使関係に入っていただく多くの仲間を迎え入れる運動について「プラン2030」ということで確認をいただきました。具体的に進めてまいります。
 足元の2020年7月豪雨の災害に対しまして、「連合・愛のカンパ」の拠出をさせていただくことで確認を頂戴いたしました。さらには7月災害豪雨の災害に対しましても中々ボランティア対応などが難しい状況にありますが、感染対策などを徹底した上で地元情報に接しながらしっかり対応していきたいと、このように考えているところであります。
 平和行動など、広島・長崎など進んでまいりますが、情報発信に努めて、開催形態を見直しながら進めていきたいと、このように考えております。私のほうからは以上です。

冨田総合政策推進局長

 総合政策推進局長の冨田です。緑の合紙めくっていただいた後ろに本日の中央闘争委員会の確認事項を記載しております。冒頭神津会長からもありましたが、3ページ以降に記載の春季生活闘争のまとめをご確認いただいた後、これをもって本年の中央闘争委員会の解散をあわせて確認をいただいたところでございます。私からは以上です。

質疑応答[1]
Q.(共同通信・フクダ氏)

 共同通信の記者のフクダといいます。よろしくお願いします。中央執行委員会で時期衆議院議員選挙についての基本方針は今日は決定されなかったということでしょうか。

A.(会長)

 はい。まあそのタイミングを見ながらというこということですし、連合では政治センターの中で議論をしていますから、したがって中央執行委員会というのは基本的に議決をする機関ですので、実際にそれはそのタイミングで、見計らってということです。今日の中央執行委員会では扱っていません。
 (記者・そのタイミングというのはその政治的な、合流の協議のことを指している…)
 まあ合流の如何ということよりも、今その秋の解散の感じが非常に濃厚になっているということは私どもも認識はしていますので、したがってそのことも見据えながらということになりますね。ただまだ議論は政治センターでしている最中ですから、具体的にそこが仕上がっていく状況にも鑑みながら、しかし一方では時期を失さずということで考えています。
 (記者・じゃあタイミングを今は見計らって最終的に議決を考えていると)
 そうですね。

質疑応答[2]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 朝日新聞のサワジです。2つあります。1つは明日、厚労省で労働政策対話というものが予定されています。厚生労働省側の労働系の幹部、大臣からずらっと並び、連合側も幹部が出るという、今までにない形の会議ですが、これは一体どういう経緯でこういうものが行われることになったのか。連合側の何か、その例えば政労会見のようなものを求めて、それに対して政府側がこういう形で対応するということになったのか、その経緯を差し支えない範囲で教えてください。
 それと、来年の春闘に向けて、具体的にどうするのかというのはそれぞれ今後の話になると思いますが、その賃上げ以外のところで、ポストコロナ、ウイズコロナの時代の働き方に向けた制度的な何か課題、例えばその通勤手当を廃止するみたいな動きがあったり、テレワークの拡大であるとか、いろんな状況があると思いますが、その辺のこの制度的な課題については現時点ではどんなふうに連合として考えていらっしゃるか、何かあったら教えてください。

A.(会長)

 順不同になりますが、後者についてはまさに先ほど申し上げたアフターコロナの社会像とも大いに関わってくると思いますので、その議論との関わりも含めてこれから具体化していくということになると思います。例えばテレワークなどについてはこれまでも問題意識は持っては来ていますので、これはいよいよ労使間での認識共有というのは大事だなと思いますね。アンケート調査でも、実際にはこれだけの時間働いているけどもな、というような結果も出ていますので、一方ではその満員電車に乗らずに仕事ができるというのはありがたいというのも、これもまた事実あります。それはまた向き不向きもあります。先程、申し上げたように、そういうことを労使できちんと確認して、ルール設定も含めてやっていくということは重要だと思いますので、そのあたりも含めて少し考え方を整理した上で来年の春季生活闘争には臨んでいくということになると思います。
 それから1点目の、その労働政策対話ですが、これは私なりの表現になりますが、両者のニーズが合致してこういう場を持とうということになったと思っています。連合からすると、今サワジさんが触れられたようなこともその1つですが、社会対話というのは基本的にそれはもう先進国政労使では相当程度意識してやってきている話です。連合を結成したということ自体が、そのことの重要性を強く意識して、引き継いでやってきているわけです。それが政権の状況なり考え方によって、多少動きがあることも事実なので、しかし今後のその社会を考えたときに、強化していく必要があるというふうに思っています。政労会見も本格的にしっかりとまたやっていくべきだということもその1つではあります。ただ、そういった意識を一方で連合が持っているのに対して、政府のほうは政府のほうで、それぞれの産業別組織が詳しく知り得ているところの労働の現場が一体どういう状況なのか、これはこれで政府の立場で深くそのことは話を聞きたいというニーズもあって、まあいってみればその両者が合致して、いろいろ持ち方を協議する中で明日の場の実現に至ったというふうに見ていただきたいと思います。

質疑応答[3]
Q.(日本経済新聞・マツイ氏)

 日本経済新聞のマツイと申します。2点お願いします。5月の下旬に緊急事態宣言が解除されて以降、今まで休業を強いられていたような飲食店とか、小売業とかが営業を再開するという動きがあって、そういう意味では経済が正常化に向かいはじめたという側面もあると思います。これによって雇用環境というのが改善しつつあるというふうなお考えでいらっしゃるのかどうか。このホットラインへの相談を見ていると、とてもそういうふうに見えませんが、緊急事態宣言解除以降の雇用情勢について今どんなふうに見ていらっしゃるのか教えてください。これがまず1つ。

A.(会長)

 雇用状況は、依然として予断を許さないということの一語の尽きると思います。休業者の数が4月600万で5月が420万でしたでしょうか。ただそれだけの規模の休業者がまだ依然としてあるということですから、もう一方でいろんな給付についてはご承知のように滞っていますので、それがとにかく一刻も早く届いて欲しいなということですし、影響のある業種も本格的な再開ということにはまだ至っていませんから、まだ相当の注意を要する状況であるということに変わりはないと思っています。

Q.(日本経済新聞・マツイ氏)

 今そのお話の中にも少し出ましたが、休業者がものすごく多いというのがリーマンショックの時と最大の違いだと思います。解雇に至らずに休業の形で雇用維持できている背景には雇用調整助成金の存在があると思いますが、いま非常に要件が緩和されて使いやすくなっていると思います。特例措置が9月に期限が来ます。それ以降の状況が非常に懸念されるところですが、財政的な制約もある中で、延長であったりとか、あるいは雇用調整金の質的な充実であったりとか、そういうことの必要性というのはお感じになりますか。

A.(会長)

 当然状況に応じてということになると思います。今の足元まったくそれは予断を許さないということですから、まあ好転して欲しいというふうにはもちろん思いますが、その状況次第じゃないでしょうか。それはやはりそういった働いている方々が路頭に迷うようなことというのは、もう絶対に回避しなければいけませんから、それは必要があれば当然延長も視野に置くべきだというふうに思います。

Q.(日本経済新聞・マツイ氏)

 もう1つだけお願いします。次の春闘の課題にもなってくるかもしれないんですが、コロナに合わせて主要企業にジョブ型雇用を取り入れる動きが広がっています。職務定義というのを明確にする形で、今まで日本で一般的だったメンバーシップ型からもっと責任範囲というのを明確にするというふうな形で、大きくそちらに転換しつつあると思いますが、この動きについてどのように見ていらっしゃるのかと。

A.(会長)

 まあ一言でいうと少し大げさにとらえ過ぎじゃないですか。あの春季生活闘争の前段の経労委報告の中でも、ジョブ型という言葉が使われていて、しかしよくよく聞いたら要するにIT人材を、しっかりと確保しなければいけないみたいなことなので、それはしっかりと労使で協議もして、いかに年齢が若くてもそういう長けた人材は若いからといって、お金は別にその数千万円規模で雇えばいい話ですから。ただそれは全体の賃金制度の中のごくごく一部の話なのであって、なんか一気にそれがジョブ型に転換するということは有り得ませんし、私は企業経営者の方々ともよく会話しますがまったくそんなことは考えてないと思いますよ。まったくというとそれは極端ないい方かもしれないですが。ただ、それは要するにやることやるべきことをどんどんやればいいんですよ。それで、それはむしろ、一言端的にいえばそのハイブリッド型でそれぞれの良いところちゃんと生かす。間違ってもメンバーシップ型のその機能、しっかりと人を育て、企業としても人を大事にする経営を進めるということを自ら失うなんていうことはあり得ない話なので、したがってまあそういった中で工夫をしながらやっていくと、そういう性格の話だと思っています。

質疑応答[4]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 月刊誌のファクタのミヤジマです。3年前の民主党の分裂という時には神津会長がある意味で当事者であられて煮え湯を飲まされたと、それで実際連合は支持政党を無くされた訳ですね。現在も3期目でトップをやっておられる訳ですが、任期中になんとしても、再結集して欲しいという思いを今神津さんどれくらいお持ちなのか。それで今回、この申し入れにはあえて連合の名前が出てきたというのは当然水面下でいろいろご努力をされておられたと思うのですが、今見ていますとこの申し入れはうまくいかない可能性がかなり高いと思うのですが、連合として、組織というよりも、あの時の汚名を注ぐような意味でも私は神津会長には一歩も二歩もここは前に出て欲しいし背中を押して欲しいと、そういうふうに思っている連合の政治関係の方も多いと思うのですが、もう少し踏み込んで、ラストチャンスだと思います。今回の両党の動きについて、解党そして合併ですから、やはり仲介人じゃないですけど背中を押すというお考えはないでしょうか。

A.(会長)

 まず今ですね、協議を続けながら、昨日からの経緯で、私はうまくいかない可能性が高いとは決して思っていません。そういう意味で、ある意味、やはり関わる方々が相当苦労してここに至っていると思いますので、その苦労が実るということは期待を持って見守っていきたいと思っています。そして、せっかくおっしゃっていただいて何なんですが、別に私の任期中どうこうということは、そういう次元のことでもないと思っていまして、ただおっしゃっていただいたこととの関わりでいいますと、3年前の例の希望の党騒ぎというのは、私は、当時民主党から民進党と名前を変えていましたが、結局幻のマニフェストに終わってしまった訳ですが、その当時の民進党が持っていた理念・政策というのは非常に大事なものだったと思っています。それがああいう政局の混乱で壊されてしまったというふうに思っていますので、先ほど申し上げたように、今三者で共有をしていこうというポストコロナの社会像、まあいうならばその理念・政策がしっかりしてはじめて政治というのは回るということだと思っていますので、3年前に壊れてしまったことが立て直されるということの、それは1つのきっかけになったとすれば、それは本当に前向きに受け止めたいと思いますし、そういう思いの中でしっかりと関わっていきたいというふうに思っています。

質疑応答[5]
Q.(NHK・アンドウ氏)

 NHKのアンドウと申します。今の野党合流に関連して会長にお伺いします。立憲民主党からの提案に対して、先ほど国民の玉木代表が記者会見で、一旦解党して新党をつくるということは評価した上で、党名については、名前を投票とかそういう民主的な手続きで選んだほうがいいのではないかというような話をしています。この党名のあり方とか決め方、これを会長はどう思っているのかというのと、あとそれをいつまでも時間かけていても仕方ないと思うのですが、いつぐらいまでにまとめるべきだというふうに思いますか。

A.(会長)

 今、それもうホヤホヤの話でしょうから、少し細かいニュアンス含めてということになるとわかりませんが、ただ先ほど申し上げたように両党解散というのはこれ極めて重たい判断ですので、それはやはりこれまでのいろんなことを乗り越えていくという、そういう姿勢が見えているのではないのかなと思います。党名については、これはもう本当に努めて当事者の方々が、解決をはかっていく問題だと思いますのでそのことは見守っていきたいと思います。ただ、私どもとして1つの塊が必要だというふうに申し上げているのは、一強政治の弊害というのはもうここまで、これまでに無くといいますか、本当に繰り返されているこういった中で有権者が投票所に足を運んで、自民党・公明党のもう一方に、先ほど二大政党的運営ということを申し上げました、それでいえば自民党の片やに、素直に、投票用紙に記載をするということが求められていると思いますから、そういったことには本当に当事者の方々が真剣に議論検討されて結論を見出していただきたいなというふうに思います。
 時期は、まあそういう意味では、先ほど申し上げたように秋の解散というのが相当濃厚になっているという見方が、まさに当事者の皆さん方にはあるでしょうから、そのことを見据えて決めていく必要があるというふうには、それはもう皆さん思われているというふうに考えます。むしろそこに対して私らがどうこういうことではないなと思っています。

質疑応答[6]
Q.(労働ジャーナル・シカタ氏)

 労働ジャーナルのシカタと申します。会長が今いわれた最低賃金についてお聞きします。まあ隔たりが大きいということはたぶん公労使を含めての隔たりが大きいのではないかと思いますが、その中で目安の論議に出てる第4表で、一般とパートの賃上げ表という感じで、これいつも最低賃金の目安審議の時には経営側がいつもこだわるデータです。それに対して連合としてどういう対応されるのか。もし、第4表がまた生きだすと、まったくこれまでの最低賃金の改訂の逆行になりますので、そのあたりで第4表についての連合の対応というのを聞けたらと思います。来月の中執ではもう見直されてしまってると思いますので、お願いします。

A.(会長)

 私もその第4表の、今年の審議会の中でも提出された内容については冨田総合局長から報告を受けていまして、上がっているということです。しかも苦しい業種だからどうなのかなと心配しているところも明確に上がっています。ですから、先ほど申し上げたように、足元のその雇用対策とごっちゃにしないで、そもそも最低賃金の水準は、これはもう日本は先進国の中で明確に低い訳ですから、そのことがあるからこそ、毎年積み重ねてきているので、なんか実際には賃金が上がっているじゃないかというその内容が出てきて、使用者側がなんか今年はあんまり参考にしないみたいなことというのは、まったくおかしな話だと思います。あまりその時々で都合のいい議論をするのではなくて、その積み重ね、一貫性を持って審議をしながら結論を見出していくべきではないかなと思います。

質疑応答[7]
Q.(日本経済新聞・クロヌマ氏)

 日経新聞のクロヌマと申します。先ほどの両党の合流を巡る交渉のやり方について、会長と、事務局長にもせっかくなのでお伺いしたいんですが、先ほど会長おっしゃったように両党が解党すると重たい判断でありながらなかなかその両党それぞれのトップが別々に会見し、またその紙でお互いの提案をやりあうと、ある種組織の合併とかを考えた時には少し異例の状況なのかなというふうに思うのですが、これまでの組織運営に携わる立場から見て、両党の交渉のやり方、交渉術というかやり方についてどのように見ていらっしゃるのか、思うところがあればお願いします。

A.(会長)

 1つ1つの細かい状況を知っている訳でもないので、なかなかそこについて申し上げることは率直にいって難しいですが、ただ、関わっている方々が相当苦労しながらやっている中での話だと思いますから、そこは本当に見守っていきたいと思います。私は先ほど申し上げたように、まだ即断する段階ではないけども、決して私は悲観をしないで見据えていきたいなというふうに思っています。

A.(事務局長)

 ご指名ですので、ありがとうございます。私が申し上げるまでもなく、今のこの国民の皆さんは、いや有権者の皆さんは、感染症と今の7月豪雨と、そしてご質問にもあった大変厳しい雇用情勢、いわゆる困難が募る毎日から今の日本の政治を見つめているということはこれ確かだと思います。コロナが与える経済社会のインパクトは大変大きいものがありますから、日本の政治の役割は従来以上に際立って大きくなっていると思います。したがって、両党が今後話し合い、協議を進めていかれると思いますが、期待を集める政治集団たり得るか、さらにはその先に政権交代を見据えることができるか、その物語の一歩目を今日からスタートしている訳で、その所作について国民有権者は大変注目して見るべきだし、それを両党は自覚して対処される必要があると、このように思っています。

質疑応答[8]
Q.(読売新聞・ウエノ氏)

 読売新聞のウエノです。再び最低賃金の話に戻りますが、先ほど会長もおっしゃられていた国の支援としては57兆円を超える企業側に投資をされているという一方で、中小企業庁が発表された業況DIとか資金繰りDIとかを見てみると急速に悪化している現状があります。これについては政策がマッチしてないと見ていらっしゃるのか、あるいは企業に行き届いていないと見てらっしゃるのか、その辺の動向はどう見てらっしゃるのか、この57兆円がどう効果が出ていると見てらっしゃるのかというのと、それについては今後政府について要望するところがあれば教えてください。

A.(会長)

 ある意味おっしゃる通りというか、まだ行き届いてないので、57兆円ということで先ほど申し上げましたが、まあしかし予備費の10兆円ということも含んでの話でありますから、かつ制度枠組みを決めたものも今回デジタル政府といっていたが全然繋がってないなっていうのも明るみに出てしまっている訳で、これはもう大変滞っている訳です。したがってそういうまだ最中にあるので、事業者、経営者のほうも、不安心理がまだまだ大きいというのは事実だと思います。したがってそれはそれとして、しかし一刻も早くその安心感を取り戻すべく国は全力を挙げてもらいたいと思いますし、繰り返しなりますが、それはそれでこうやる訳ですから、まあ一方でこれまでの積み重ねをしっかりと継続するということも好循環を断ち切らないということはもう極めてこれ大事なこれも国策だと思いますので、両方しっかりとやっていくべきだというふうに思っています。

質疑応答[9]
Q.(読売新聞・オオツキ氏)

 読売新聞のオオツキです。再び野党合流の話ですが、玉木代表が先ほどの会見で、合流するにあたっては消費税と憲法でお互いの考え方を一致させるべきだというふうにいっています。そういった政策の一致が中途半端な段階で合流するのと、やっぱり合流にあたってはそこの考え方っていうのはきっちりすり合わせるということが不可欠なのかと、そのあたりのお考えをお聞かせいただけたらと思います。

A.(会長)

 私も先ほども申し上げたように細かいニュアンスまで把握できていませんが、必ずしもそれができなければ、その決着できないというようなことではないのではないかなと思います。ただ当然その1つの党になるとすれば、そのことについてはしっかりと考え方を明確にしていく必要があるでしょうから、今後まずはその綱領のところからということですし、そこに言及もしていただいているということのようですし、三者でポストコロナの社会像を共有するということは1つ中心軸に据えてもらいたいなというふうに思っていますので、今人々が、本当にこの状況の中で欲していること、社会の改革を含めて求めていること、それを真ん中に据えつつ、ただまあ国の基本政策に関わる事柄は当然1つの党としてまとめていきながら総選挙に臨んでいくということになるでしょうから、そこは整斉と順を追って固めていくということになるだろうというふうに思っています。

Q.(読売新聞・オオツキ氏)

 関連して、消費税については少し国民民主党さんのほうと今立憲民主党さんのほうでの考え方が結構違って今現状では違っていると思いますが、そこについての考え方、どうあるべきかというか、連合さんとしてはどうでしょう。

A.(会長)

 見かけ違っているように見えるかもしれませんが、ただやはり、これは連合としても消費税というのは逆進性がありますので、そこが痛税感につながってしまっているので、本来は給付付きの税額控除ではないのかという考えをずっと持ってきています。少し言葉が分かりにくいということであれば、その消費税還付制度といういい方もあってもいいのではないかというのは議論をしているくらいです。したがって、そういったことも含めて税制全般の中で、この所得税の累進度がどうかとか、あるいは法人税がどうか、資産課税、金融取引税、そういったところを含めてトータルの中で、税制改革はこれはもう当然必要なことになってくると思うので、それと今の目下の状況の中で何をすべきか、その緊急対策的な考え方、これは当然、これも1つの党になるということであればしっかりと議論をして決めていくということになると思います。

質疑応答[10]
Q.(日本経済新聞・トビタ氏)

 日本経済新聞のトビタと申します。最低賃金のことでお伺いさせてください。賃上げの流れを継続していくということですが、今年のその水準感についてはどの程度をめざしているのかという、何円上げぐらいの相場感みたいなをめざしている目標があれば教えていただきたいのと、もう1つはドイツが来年については相当小幅な上げ方に止めるのですが、コロナの収束が見込まれる再来年にかなり大幅にドンと上げる形を取ることを決定しまして、日本もそういうやり方はあるのかなと、今年は控えめに抑えるけどコロナが落ち着いたあたりでもう1回上げるというのを労使である程度このタイミングで共有するみたいな考え方もあるのかなと思うのですが、そのあたりの考えを教えてください。

A.(会長)

 後者のほうからいきますと、これまさに先ほど話題で取り上げた社会対話です。ドイツは社会対話がもう習熟しているところがあるので、したがって政労使でそういう合意が容易にはかれるということだと思います。ですから、今の政権になって最初の2年間、いわゆる政労使会議というものが持たれて、経済の好循環には賃上げが必要だとということも合意がはかられました。ただ、私はその後ももっと深掘りをすべきではないかなとこう思っていましたが、それが最初の2年で終わってしまったということです。したがってもう今最低賃金審議会の、ある意味丁々発止の現場にもう入っていますので、だからなかなかそういう知恵が働くにはもう難しいのかなというのが率直なところです。
 それと足元の状況の中ではむしろ冨田さんから補足してもらわなければいけませんが、元々のスタートのところでは私はだからこれまでのいわゆる3%といっていたことを、なんか曲げる必要性というのはないというふうに思っていましたし、私自身は今でもそう思っていますので、まあなかなか中身は申し上げづらいとこもあるかもしれませんが、冨田総合局長、少し様子があればお願いします。

A.(冨田総合局長)

 すいません、まず大前提として申し訳ありませんが、中央最低賃金審議会の目安の審議は非公開にさせていただいているということなので、少し議論の内容をここでお話しするのは難しいというふうに思っていますが、隔たりが大きい中ですのでまだ何か水準感みたいな話が出ているかというとそういう状況ではないですので、それらも様子を見ながらこれから議論を詰めていきたいかなというふうに思っています。

質疑応答[11]
Q.(フリー・アズミ氏)

 フリーランスのアズミと申します。よろしくお願いします。先ほど神津会長、野党の合流の問題ですが、関わっている人が相当苦労しながらやっているので評価したいというふうにおっしゃいましたが、実際もって野党2党の支持率結構低くて、国民の側からしたら、果たして頼れる野党なのかといったらそうでもない訳で、実際連合さんも神津さんが結構やっぱり官邸に近いというようなことで、今までの連合の会長と比べて官邸に近いと…
 (会長・私?全然そんなことないですよ)
 それでですね、むしろ野党なんか飛ばして、官邸に直接いうほうがいろいろ労働政策なんかが実現しやすいのではないかというような見方もありまして、野党の存在感というのが今のところすごく低いですが、この野党を与党に対抗する政治勢力として成長させていくためには、むしろ静観したり、あと批判はしないとかというような態度よりも、もっとお尻を叩いていくというような、方向である意味こういうふうなという方向づけではなくて、もっと頑張れというところで、もう少し厳しい態度を示されるほうが、まあいえば当事者としては今のような野党の形で安泰というような、野党は野党なりに今の形で安住しているところがあると思いますので、これを改革していかないといけないというところの極めてその北風を吹かせるという役割は最大支持母体の連合さんの役割ではないかと思うのですが、このあたりいかがでしょうか。

A.(会長)

 お尻を叩くというのは1つの例えだと思いますが、まあお尻バンバン叩くにしてもあんまり人前でそういう姿晒すということではないと思うので、いやまぁ冗談はさておき、私どもが常日頃を送っている熱い思いというのは、それぞれ両党は感じてくれていると思っています。それと、いや官邸に対しても政府与党に対しても、あるいは野党に対しても、これは連合結成以来、あるいはその前身の全民労協、さらにはその前の政策推進労組会議から、働く者の政策を実現するからにはそういったところにはもうしつこく要請をするというのは私どものもうレゾンデートルですから、それを引き継いでやっているだけの話なので、私が官邸に近いとは官邸も全然思っていないでしょうし、まあそう見ていただけるぐらいしつこく要請はしているということかなというふうに受け止めておきたいなと思います。

質疑応答[12]
Q.(産経新聞・チダ氏)

 産経・チダと申します。すいません野党合流について改めてお伺いいたします。先ほども神津会長お答えいただいていますが、今回のその合流協議というのは、消費税ですとか憲法、原子力発電などの具体的な政策ですとか、理念、綱領というのを後回しにして、むしろ次期衆院選に向けた大きい塊をつくっていくべきだというような議論が先行しているような印象を受けています。先ほどのお答えによると同時に進めていくべきだということかもしれませんが、改めてその政党としてまず訴えるべき中身を詰めて、その後にどういう形を作っていくかというのが正攻法かなというふうに思います。こういったその話の進め方について会長どのように考えているか改めてお願いします。

A.(会長)

 先ほどのアズミさんの答えに少し答えられていなかったことも含めて関わりがあるので申し上げると、いやなんでその政党支持率がジリ貧なのかということは、私は、その政策の小さな違いを結果として目立たせることになってしまっているので、やはり有権者からするとそういうことではなくて今の政権運営に対して、むしろ自分たちの考え方としてこういうふうにやればこんなことにはならないんだと、そういうその大きい理念政策を有権者に分かりやすく示すということが大事なので、小さな違いを目立たせるということではなくて大きい塊の理念を目立たせる、そのことに今向かいつつあるんだろうというふうに受け止めていますので、ただ一方で今ご指摘あったような政策というのも当然疎かにすることは許されませんから、しっかりと1つの党になるのであれば、考え方もそれはまた打ち出さなければいけないと思います。

質疑応答[13]
Q.(共同通信・フクダ氏)

 共同通信のフクダです。衆議院議員選挙の基本方針で補足質問ですが、先ほど秋解散の可能性が濃厚だとの見方に言及されましたが、そうだとすれば早くその基本方針を議決する必要があるのかなと思いますが、今日議決見送りになった理由についてちょっと改めて教えてください。

A.(会長)

 いや見送りではなくて、元々今日の中央執行委員会で決めるというふうには考えていませんでした。
 (記者・無かったということですね。じゃあタイミング的には時期を逸さずという先ほどの…)
 そうです。

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