記者会見 2020年3月

 

連合記者会見

3月定例記者会見

神津会長・相原事務局長・石田副事務局長・冨田総合政策推進局長(2020年3月5日)

連合記者会見全文
神津会長

 世情大変慌ただしい中ですが、今日も大変多くの方にお集まりいただきました。ありがとうございます。中央執行委員会の後の定例記者会見ということでありますが、ご承知のように本日は中央執行委員会、それから中央闘争委員会、持ち回りという形で、あらかじめ議案を構成メンバーに送り、意見をもらい、最終的な確認をしてこの場に臨んできているということであります。
 今日の議案はまた後ほどの説明に詳しくは委ねたいと思いますが、どれも大事な内容でありますが、私の方からは特に大きくは2点、春季生活闘争とそれから新型コロナウイルスの感染拡大阻止に伴う一連の問題について、この2つに絞って触れておきたいと思います。
 これらの2つの点についてはいずれも様々な形で、集会をデジタル集会に切り替えたということでありますとか、あるいは新型コロナウイルスに関わるところでの要請についても都度対応しています。集会は、文字通りデジタルでしたから全くオープンな形でありましたし、要請についてはその後いわゆるぶら下がりということを含めて説明もさせていただいていますので、それぞれについて特に強調しておきたいところを申し上げておきたいと思います。
 まず、春季生活闘争ですが、この後、要求の集計の状況も含めて説明をさせていただくことになろうかと思います。一昨日行いました戦術委員会、これはいわゆる三役メンバーでありますが、これは実際に顔を合わせて開催をしました。一言で言いますと足元のこの新型コロナウイルスの問題がどのように影響を及ぼすのかということ、これは皆さん方も相当注目されて、心配も含めて見ておられると思います。一言でいうと目下のところの交渉状況、そして来週の第1のヤマ場控えての今重要局面にありますが、そういった短期的な問題に左右をされることなく交渉が進んでいるというふうに認識をしています。もちろん結果は来週でありますから、予断を許さないことは事実でありますが、戦術委員会での雰囲気、議論も踏まえて申し上げるならば、これはこれ、それはそれ、というところのけじめをつけながら交渉が行われているというふうに見ています。そのことは、これは要求の段階においても新型コロナウイルス、今日ほどではないにしてもその状況はすでに見えていた訳でありますが、ここ数年の要求動向とほぼ同じような状況を見て取ることは出来るのかなと、これは特に賃上げのところについてであります。またさらに「絶対水準、金額のところにこだわりを持っていこう」、であるとか、あるいは企業内の最低賃金これもしっかりと協定をしていこうというようなことについても、これはまだ把握の途中でありますが一定程度構成組織も受け止めながら交渉を展開しているということではないかと思います。ただ、問題はここからだというふうに思っております。これは、ここ数年「底上げ」だということを強調してきております。そして連合の中で見れば、中小のベアが大手を上回ると、あるいはいわゆる非正規と言われる働き方の方々の時給が正規のベアを上回ると、そういう姿が実際に表れてきていますが、基本的に基盤が厳しいところであればあるほどこの足元の新型コロナウイルスの問題というのは、影響がどのように出てくるのかということは大変気が気でないということは事実だと思います。したがって連合が政策要請をする中においても、これは中小企業に対するサポート、これを徹底してもらいたいということをかなり強調してきています。これは政府がどこまでしっかりと対策を打てるのかということが非常に今後の賃金交渉、あるいはそれをもっと広げていかなければいけないということを我々は強調していますから、そのことに影響を回避する意味でも政府の対策が非常に重たい意味を持つということではないかと思います。加えて、取引慣行の問題です。やはりこういう時だからこそ普段からの取引慣行の問題、これがどう影響してしまうのか、それをどう防ぐのかということが問われるということではないかと思います。したがって、これはもちろん私どももこれまで以上にアピールをしていかなければいけません。働きかけを強めていかなければいけません。そのことを今後の春季生活闘争の、ある意味大きな最大のポイントの1つとしてとらえていく必要があるというふうに思います。
 そして2点目ですが、新型コロナウイルスに関わるところの問題です。これはすでに、先程申し上げたように、皆さん方にも一部報道もしていただいています。26日の段階で政府の方針が出ておりましたし、厚生労働大臣、それから経済産業大臣、国土交通大臣からの要請を経済3団体とともに受けるといった場がありましたので、連合の立場で感染拡大を阻止するという意味で風邪の初期症状であっても休みが取れるようにすること、それはしかし保障がなければいけないということで、いわゆる特別休暇ということで、それはいわゆる非正規という形で働く方々も含めて遜色のないようにしていく必要があるということを、そこに居合わせた経済3団体の皆さんにも、要請するような意味も含めて申し述べてきたところです。一方で、すぐその翌日ですが、安倍総理から小中学校、高等学校、全校休校を求めるという大変ある意味驚くような要請が出されました。それで、そのことに伴っての政策要請、これは昨日朝、官房長官にいたしましたので、詳しい内容はご存じのとおりだと思いますし、また改めてお手元で見ていただければというふうに思います。またご質問もあろうかと思いますので後ほど受けたいと思いますが、いま申し上げたようにいわゆるパート、有期、派遣含めて、世の中で言うところの非正規の方々のみならず、連合もかねてより問題意識を持っています曖昧な雇用、フリーランスという言われ方もされますが、そういった方々含めてしっかりとした国の対応がはかられることがなければならないというふうに思っています。これは申し上げるならば、私ども常々そういったところに対するセーフティネットをしっかりと張らなければいけないということを言い続けてきたということだと思います。これはもう当面国として責任を持って対応していかなければならないと思いますが、振り返りも含めて、平常時から多様な働き方の方々に対するセーフティネットを、社会保険の適用ということはもちろんのこととして、そういったことをしっかりと政策で作らなければいけない、そして労働者性を明確にしていくということが、だからこそ必要だということを改めて今強く感じているということを申し上げまして、私の方からの冒頭の一言とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

相原事務局長

 第6回中央執行委員会ですが、今お手元にございます通り、2020年度の連合の重点政策、その素案を提起しご確認を賜りました。あわせて、仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に向けた条約の早期批准が求められています。その取り組みの提案をご確認賜りました。現在のところ4月29日に予定をしております第91回メーデー中央大会の開催概要その4についてご確認をいただきました。
 あわせて確認事項は1から11までということになっておりますので、それぞれ確認を賜りたいとこのように思っております。
 なお、持ち回りの中央執行委員会は近年では大変珍しいことになっておりまして、2011年の東日本大震災の際には中央執行委員会当日ということもありましたので、近年では持ち回りの開催、中央闘争委員会を含めまして大変珍しい状況ということを申し上げておきたいというふうに思っております。私の方からは以上です。

冨田総合政策推進局長

 続いて私の方から中央闘争委員会の確認事項につきましてご報告させていただきます。緑色の表紙がついた紙とそれからグラフを1つ補足の資料としてお配りをしておりますので、両方お手元にご用意いただければというふうに思います。
 はじめに本日の3月2日の10時段階の要求状況の集計を本日公表しておりますので、その状況につきましてご報告したいと思います。集計自体、プレスリリース自体は4ページからになりますが、6ページまでお進みいただきまして、最初に7ページの3.要求状況についてご覧いただきたいと思います。3月2日10時現在で集計の対象となっている組合は7,267組合、このうち要求を提出した組合が3,421組合で具体的に賃金引き上げを要求した組合は3,124組合となっております。この3,124組合の内、具体的な数字で集計を出来る要求状況につきまして6ページの1.賃金引き上げのところに集計結果を載せてございます。①平均賃金では全体で2,970組合の結果になってございますが、定昇込みの引き上げ額が8,985円、引き上げ率は3.09%となっております。300人未満の中小組合につきましては同じく額で8,141円、率で3.22%となってございます。それから真ん中の段、この内具体的に賃上げが明確に分かる組合の集計でございますが、賃上げ分と書かれたところをご覧いただきたいと思いますが、全体では4,086円、1.42%の引き上げ率、300人未満の中小組合につきましては3,969円、1.58%の引き上げ率となってございます。それからその下、②個別賃金方式でございますが、本年より新たに C方式での集計を追加いたしました。C方式というのは、下に集計ございますが個別銘柄で引き上げ後の水準をいくらにするか要求する方式でございます。こちらには合計数を記載してございませんが、全体では683の組合がこの個別賃金方式に取り組んでいる状況となってございます。さらにこうした個別賃金や賃金表の書き換え、それから企業内最賃や初任給の引き上げなど、様々な賃金の水準に拘って要求した組合数も今回から新たに記載がございますが、今回の結果の中では1,909組合が具体的に賃金の絶対額に拘った要求をしたという結果になってございます。それから7ページの上段③が有期・単時間・契約等の労働者の賃上げでございます。時給では加重平均で賃上げ額としては40.99円、平均時給、参考値でございますが1,047.53円となってございます。月給につきましては加重平均で7,042円、3.31%の引き上げ率となってございます。それから④がこれも今回初めて公表いたしますが、企業内最低賃金協定の要求状況でございます。企業内最低賃金協定につきましては、協定の書き換えを要求した組合の集計となってございますのでご注意いただければというふうに思います。内容につきましては記載のとおりですが、こちらも全体の集計で、取り組んだ組合数につきましては942組合となってございます。こうした要求状況を含めまして、緑の合紙の1ページ目以降に持ち回りで確認をいたしました本日の確認事項を記載してございます。1点のみご紹介させていただきたいのが、2ページ、Ⅳ.のところに今後の進め方がございまして、改めて今次闘争に臨む基本的な態度を3点確認してございますのでそのこともご報告させていただければというふうに思います。私からは以上です。

質疑応答[1]
Q.(読売新聞・ヨシダ氏)

 読売新聞・ヨシダと申します。春季生活闘争についてお伺いしますが、短期的な問題に左右されることなく交渉は進んでいると冒頭会長から発言ありました。今日も少し政府としては新型コロナウイルスの対策の1つとして隔離する政策も打ち出すという報道が出ていたり、相変わらず影響はどんどん広がってきているという中で、クルーズ船を運営する企業の倒産も出てきていたりとか、どんどん経営者の心象というのは、統計で出てないものが多いにしても悪化していることは事実だと思います。それでも短期的な問題に本当に左右されることなく進んでいるのかどうかという、その肌感覚、本当なのかという聞き方も失礼なんですが、伺えますでしょうか。

A.(会長)

 まさに肌感覚なんですが、繰り返しになりますが一昨日、戦術委員会に出席していたメンバーの顔色ですとか、実際にやり取りとか、あるいは一昨日の戦術委員会の確認事項の議論でも、具体的に文言をどういうふうにするのかという議論の中で、むしろそこは、これはこれ、それはそれの冷静な議論状況を反映した表現にすべきだといった内容もありました。第1のヤマ場に向けたところの議論状況はおおむね、全部が全部かどうかわかりませんが、今申し上げたような受け止めにあるということです。しかし、今の例でもおっしゃったように、クルーズ船を運営してた企業が破綻をしたというのは聞いています。要は基盤がしっかりしているところがどうしても第1のヤマ場を編成しているところのグループなものですから、逆にもうそこがこけたら本当に真っ逆さまみたいな話です。そこは労使の自覚としても、こういう時だからこそきちんとした労使交渉にもとづいて結果に結びつけていこうという感情は明確にあると思っています。しかし裏返して言えば、やはり基盤が相対的には少し弱いなというところは、足元のこういった動きの影響を受けやすいということは事実ですから、したがって今後に向けてということで言えばそこは政府も十分に対策を、先手先手を打っていく必要があると、そのことが今後の動向に大きく影響してくるし、左右していくということは間違いなくあるというふうに思っています。

質疑応答[2]
Q.(読売新聞・アマノ氏)

 読売新聞のアマノと言います。よろしくお願い致します。昨年の10月から12月期までのGDPがマイナスになりましたが、政府はこの状況を緩やかな回復基調が今後も続くとしています。この政府の認識をどのように思うかということがまず1点と、こうした状況を景気が悪化しているととらえる政党、いくつかの政党は消費税を含む減税を、大幅な減税を施して経済対策を打つべきだとする、国民民主党例えば10兆円ですとか、れいわ新選組が消費税5%とかということを言ってますが、こうした経済対策を掲げることをどういうふうに思うか教えてください。

A.(会長)

 経済というのは、波がありますので経済学的にもコンドラチェフの波とか何かいろいろあります。それで、しばらく続いた景気の浮揚という、景気というかトータルで見て、連合は格差が開いているということは非常に問題視をしていますが、トータルで見たところの景気の浮揚感というのは、下降局面に入っていくというふうにそこは見ざるを得ないと思います。もともとその米中の貿易摩擦の問題も影を落としていましたから、消費税の反動減というようなことも含めて、10-12月期がそういった数字の現れ方であったと、こういうことだと思いますし、加えてこれは短期対応とはいえ、全世界に広がっている話ですから新型コロナウイルスの影響もこれも1-3月期は間違いなく出てくるということだと思います。したがって、その経済状況について私はそういうことを見通しておくことが必要だというふうに思います。ただ、春季生活闘争の話をもう一度繰り返して言うならば、そもそも20年来積み重なった格差の拡大、あるいはそのことも大きく影響して平均賃金が低下をしてきた、世界の賃金水準に比べて大きく遅れを取ってきました。これをどうやって取り返していくのかということが、この毎年の今の積み重ねですから、これを堅持しなければいけないということもこれも極めて大きな事実であります。これもこけてしまうようであれば、これはもう日本経済は世界の動きよりももっとひどく下降曲線を描いてしまうということは必定だと思います。それと、そういった動向の中で経済対策、減税というようなそういった話もあるようですが、直接お聞きをしている訳でもありませんので詳しくは分かりませんし、したがって直接的に評価をするという訳にはいきませんが、しかし今対応すべきは連合が要請しているようなことを含めて、そこに大きく財源を投入することが喫緊の課題だと思います。税制の問題も、これも社会保障なり教育との関係を含めて、これも先送りが出来る課題ではありません。したがって、税項目全般に亘って将来世代にツケを回さないということを含めて、しっかりと先送りせず政策の実現をはかるべきだと思いますが、それはそういう次元においてしっかりと深掘りをし、具体的な内容を決めていくことが必要ではないかと思います。まず当面は、働く者、生活者の安心感を担保するために、これは相当の財源を投入すべきだということだと思います。

質疑応答[3]
Q.(朝日新聞・ヨシダ氏)

 朝日新聞のヨシダと申します。2点あります。1点目が先程フリーランスのお話がありました。現在の労働法制だとフリーランスをどうやって守ることが出来るのかというところについて、学者等も少し難しいのではないかということも言われている方もいます。どういった対策を施せばこういった危機的な状況の時にフリーランスの方を守れるかということについて会長の見解を伺いたいと思います。
 2点目は、昨日今日と連合で新型コロナウイルスの労働相談を開かれておりました。ここでどういった意見が出てきたか、それに対して神津会長はどのような見解、どういったことを感じられたのかということについて伺えればと思います。

A.(会長)

 まず1点目ですが、ご指摘のようにこれは中々簡単な話ではないと思います。しかし、これは霞が関の官僚の皆さんが知恵を絞って、対策を考えていただきたいと思いますし、間違いなく言えることは当事者が直接的に今回の政府の施策によって影響を受けているということを、何らかの形で申し出ることも必要でしょう。そしてその方々との契約関係を持っている、いわば発注元ですか、本来それは労働者であり使用者であるというのは私どもの認識ですから、そういうことで言えば使用者に当たる方々にどういう影響が出ているのかということを、責任を持って政府に対して申告が出来、それを受け止める、そういう仕組みを作っていくことが必要なのではないのかなと思います。まあ一筋縄ではいかないということだと思いますが、ですから冒頭申し上げたように、平常時からしっかりとどういった対応であればそこは労働者性があるとか、したがって労働者としての保護なり、社会保険の問題もどうカバー出来るのかみたいなことを、しっかりと備えを作っておかないと、こういうことになってしまうということではないのかなというふうに思います。
 それから、労働相談に触れていただきました。ありがとうございます。昨日からはじめて、明日もLINEでの受付ですが、これもものすごく殺到しているということを私もつい先程聞きました。相談の特徴は、連合が要請していることの内容にまさに応答するものかなというふうに思っています。比較的働き方として不安定であるとか、有期あるいはパートといった方々から相当相談が来ているということで象徴していますし、あるいは衛生面も、マスクの着用ですとか、あるいは手洗いとか、それからアルコールでの消毒、そういった備えを持って欲しいのにそれが要請をしても何か全然ピンと来ない経営者がいるというようなことも相談の中にはあるようです。連合としてまさに要請している最中ですから、その声を受け止めてこの要請をしているというようなことの対応でありますとか、あるいは当然労使の中で使用者側がこういうことは対応してなければいけないということについては、そのことを労働組合があるところであれば、その労働組合としっかり相談をして要請をしてもらいたいというような形での対応をはかっているということです。もし補足があればまた後ほど。

A.(事務局長)

 件数、申し上げておきますが、昨日今日で200件、ざっくり200件の問い合わせ、相談に応答させていただきました。ただ着信は1,300件ありますので相当数が対応出来ていません。ただ、今神津会長からあったとおりで、休業補償、安全衛生、雇用関係、中には個人事業主や使用者側からも問い合わせ、ご相談もありまして、大変幅広い中身になっていますから、連合のホームページに分析をして基本的な応答を掲載するなど、幅広い皆さんにご覧いただけるようなかたちにしたいというふうに思いますし、生データで日々の生活の緊迫状況が伝わる中身ですから、与野党に向けて政策対応につなげるように、今後ともつなげていきたいというふうに思います。

質疑応答[4]
Q.(時事通信社・オオツカ氏)

 時事通信社のオオツカです。春季生活闘争の話で、この要求のまとめを見ると基本的に前年から若干下がり気味ということで、これはどうしてなのかという分析を教えてください。 あともう1点、新型コロナウイルスの話が先程もありましたが、結構その今だと観光業ですとか特に悪化してますし、こういった悪化がいろんな自粛モードもしくは政府の要請とかで広がる可能性があるということで、今の段階で例えば3月下旬、もしくはもう少し問題があれば4月になると、さらに業況とかが悪化していることが予想されて、そうするとこの第1弾以降の春季生活闘争ここへの影響が避けられない可能性もありますが、この今後の話についてどのように見ているか教えてください。

A.(会長)

 少し繰り返しになるところはご容赦いただきたいと思いますが、1点目については、私はここ数年の傾向とほぼ同様の要求の水準だと思っています。確かに若干金額としては下がっているということは事実ですが、もし私の言い方でそつがあったら補ってもらえばと思いますが、どこがどうとかいうことの分析というよりも全体観としてはほぼここ数年と同じということのとらえ方ではないかなと思っています。
 2点目ですが、これも繰り返しになりますが、おっしゃるとおりここから先は相当にこれ状況見極めつつ、それに加えてこれは突発対応によるところの問題ですから、政府として十分の対応を求めていきたいと思いますし、ある意味これは中小企業団体とも予定していた内容ですが、協議をします。手に手を取り合って政府に対してしっかりと要求していこうということだと思っています。したがってこれは元々連合としての取り組みも最終集計は7月ということの中で、息の長い取り組みでありますが、これは全体の春季生活闘争の取り組み自体も粘り強くやっていくことが必要だと思います。そういう中で政府の対応が、これはもう日本社会全体にいかに不安を与えず、それを回避していけるかということが問われていますから、そういった動きとともに、この春季生活闘争もしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。

質疑応答[5]
Q.(日本経済新聞社・ハナダ氏)

 日本経済新聞社のハナダと申します。2点お伺いします。まず1点目が最低賃金をめぐるところです。今回、春季生活闘争の構想ではじめて実額の目標を盛り込んだなど重点領域だと思いますが、今日現時点での要求状況をどう評価されているかというところが1点。
 2点目が、先程全体感としては昨年並みとおっしゃいましたが、個別に見ていくと金属労協の中間集計だと若干金額を昨年と比べて8%ほど要求金額が下回っています。一方で今日はUAゼンセンの方ですとパートの賃上げが過去最高を更新していると。結構、業種、製造業やパートとか、業種や雇用形態別に少し明暗というか、濃淡あるのかなと思うのですが、そのあたりの受け止めを教えてください。

A.(会長)

 最低賃金のところは、今回ある意味はじめて力を入れて集計しているというところがありますので、これまでとの対比だとか、あるいは集計自体も正直言って今日時点ということだと思いますので、まだ評価をするには難しいのかなというふうに思います。ただそういう集計を今回かなり本格的にはじめてやってるということを含めて、全体感としてはそのことを、ご指摘のように金額含めてはじめて掲げたということに呼応する、こうしているということの手応えはそれなりにはあると言えるかと思います。
 それから昨年との対比でということで、確かに第1のヤマ場に向けての現段階での集計状況は、トータルで見れば先程申し上げたようなことだと思いますが、業種業態ごとに見ればそういった傾向、まさに触れていただいたようなそういう傾向はあるだろうと思います。ですから、ここ数年の中で、今までまだそこまで行ってなかったというところが従来よりも要求水準を上げてきているということがある中で、全体を平均するとここ数年の傾向とそんなに変わりはないということだろうと思います。

質疑応答[6]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 ファクタのミヤジマです。ここ1週間ぐらいの消費の落ち込みというのは未曽有のものがあると思います。今は確かにレイオフも何もありませんが、3月の下旬ですとか、いわゆる休止工場のレイオフですとか、あるいは雇止めですとか、私は未曽有のことが起こる可能性があるし、そういうことについて、悪い方のシナリオではどれぐらいの危機感を持っているのか、そういう中で迎える春季生活闘争というのは本当にその、これまでしっかり儲けた会社のお金を出させるぐらいの、そういう要求をしませんと、今は大丈夫だと言うけれど、必ずそういう状況が起こるのではないかと私は思いますが、会長の危機感というか、最悪の世界同時不況というようなこともすでにもう世界のメディアで言われている訳ですが、どういう危機感を持っておられるのか、またそれに対して野党は弱いと思っていますが、その辺も含めてどうでしょう。

A.(会長)

 危機感というのはどういうふうに表すものかというのは、その場その場でいろんなことがあるだろうと思いますが、これもまた繰り返しになりますが、要するに第1のヤマ場に向けてというところはそれなりに基盤が、相対的に言えば相当あるところです。ですから、これまでも内部留保がかなり積み重なっているといったお話もしてまいりました。基盤が強いところをこそ、やはり出すべきことは出さなければいけないということは間違いないと思いますので、そこがまず大前提になると思います。ただ相対的に基盤が弱いところというのは、おっしゃる通りここから先は、これは大変なことだと思います。したがってその基盤というのは、まず第1のヤマ場に向けては、個別の労使の話し合いの中で結果を引き出すということでありますし、今後あるいは足元すでに要請していることを含めて言えば、だからこそ雇用保険という仕組みがあるということですし、そこでカバーされない方々がかつてに比べると相当広がってしまっているということも事実ですから、そこはやはり政府がしっかりと、政府あるいはこの日本国という基盤のもとでこういう危機対応をしっかりとはかっていかなければいけないし、これも出すべきは出すということに他ならないということだと思います。

質疑応答[7]
Q.(労働ジャーナル・シカタ氏)

 労働ジャーナルのシカタと言います。2点お聞きします。1点目は、今日の春季生活闘争ではない政治のことに関係してもいいですか。まず春季生活闘争のほう。例のC方式、個別賃金の、これ初めて今年出た方式ですが、具体的に中身というのは構成組織でいけば自動車総連ですか、あるいはJAMなんかが入っているんですか。というのはこの294組合は構成組織がどういう構成組織なのかということと、それからこのC方式で30歳がないというのはどういうことなのか。まあ自動車総連なども30歳で要求してますし、JAMも30歳で要求している訳で、C方式で30歳がゼロというのはどうしてかなというのが知りたいということ。それから、水準ですが、35歳で単純平均で26万円、加重平均で20万円はこれは、定昇が入ったB方式、というのも、この26万円のところは、27万円と、これはA方式B方式オーバーラップする関係なので、このC方式というのはA方式なのかB方式なのか、このあたりが分かれば知らせて欲しいということ。それから、この確認事項のところで1ページの一番下で、個別賃金方式、賃金表の書き換え、自社の賃金水準と連合方針や構成組織方針という形で、最後のところで「賃金水準」にこだわるとありますが、ここでいう賃金表の書き換えです。賃金表の書き換というのは平均賃金の場合も、原資を取れば資格能力に応じて配分する訳で、賃金表の書き換えになる訳です。そういう中で、この個別賃金とそれから賃金表の書き換えをくるめていって、それで「賃金水準の追及」これは今後の数字でも使われる訳ですから、この中身が混同されているような感じもしますが、そのあたりの何がどう違うのかというのを教えて欲しいということ。それから、はじめて採用したC方式ですが、これは今後ここに登録している産別はA方式B方式みたいに、現行水準をきっちり出して、水準の引き上げ幅も出して到達目標もするような意向を持っていることなのか、あるいは連合としてそういう方向、言ってみれば調整されていくのかどうか、このあたりをお聞きしたいと思います。
 政治の話で恐縮ですが、昨日から問題になってる例の新型コロナウイルスの特措法の問題です。これは野党の方は現行の特措法で出来るということを言っているのが多いですが、安倍さんの場合は2月まで遡って遡及させるということを言いながら、野党の方は現行出来ると言い、あえてその新法を作ろうというあたりで、しかも安倍さんの場合は1、2週間の間で早く立法を上げて、それで非常事態宣言を発したいというのは意向も表明されている訳ですが、もしそういう形になればそれは労働運動から見ても、集会結社とか言論について影響が出てくる訳で、そのあたりについて連合としてそういう特措法の改正と、さらに非常事態宣言を首相が言うということについてどう思われているか、たぶん来週の国会頃から大きい争点になっていくと思いますが、もし出来れば会長の見解をお聞きしたいと思います。

A.(会長)

 それでは、その話を先に私のほうでさせてもらって、前半の方は冨田総合局長からお願いしたいと思いますが、おっしゃる通りのところがあると思っていまして、こういう事態ですから速やかな国会審議ということになっていくでしょうが、さはさりながら、これはしっかりと慎重に審議をし、内容を詰めていってもらいたいというふうに思います。元々、民主党政権の時に出来た特措法が想定していた新型インフルエンザと今の新型コロナウイルスで、これは致死率含めて同等の物ということではないと思います。むしろ今すでにある法律の方がかなり致死率が高い強烈なウイルスということを想定して出来たものだと承知してますので、したがってご指摘あったようなところのいわゆる私権制限は、政府が強権を発動出来るということをどこまでこの今の新型コロナウイルスとの対応で認めるのかというのは、やはり慎重な審議を私どもとしては求めたいと思います。あまり短兵急にバタバタと粗雑に決められていい話ではないと思いますので、そこのところは慎重審議を求めておきたいと思います。それで、政府としての姿勢をしっかりと打ち出すということはもちろん必要だと思いますが、一方で私どもが、働く者、生活者として心の底から求めているのは、連合としてすでに要請していた部分でありますので、そこでまず毅然とした姿勢を示してもらいたいと思います。やはり国庫負担含めて、相当の対処をしていただく必要があると思いますから、むしろそこのところを全面に出して政府としての姿勢を示して欲しいなというのが実感です。

A.(冨田総合政策推進局長)

 私の方から集計の内容について。すみません、多岐に渡られたご質問をいただいたので、もし足りなかったらまた後ほどご質問いただければというふうに思います。
 まず、今回のA方式からC方式まで含めて現時点でご報告をいただいている構成組織が非常に複数ございまして、おっしゃられた自動車総連、JAMも入っておりますが、それ以外にも全体では10構成組織ぐらいからご報告をいただいておりますので、それを合算した数字だというふうにご理解いただければというふうに思います。あくまでも構成組織からのご報告を我々は集計をしておりますので、C方式には今回はC方式でのご報告がなかったというふうに受け止めております。もう1点、方式の違いがそれぞれ要求の考え方や産別の要求方針に従って個別賃金に対する要求の考え方がさまざまあるということを事前のヒアリングでお伺いした上で新たにC方式という集計のご報告を作っておりますので、おっしゃられるような、例えば構成組織でこの方式に変えなさいというようなことを連合のほうから直接的に要請するようなことは今の段階では考えてはございません。

Q.(労働ジャーナル・シカタ氏)

 10構成組織と言われましたが、A方式B方式の中で10構成組織いますが、C方式というのはA方式B方式の10構成組織以外に、C方式だけで10構成組織ですか。

A.(冨田総合政策推進局長)

 A・B・C方式、合わせて10構成組織です。

質疑応答[8]
Q.(朝日新聞・コバヤシ氏)

 朝日新聞・コバヤシと申します。昨日、会長が官邸の方を回られて、主に財政出動とか労働方面での申し入れをされたと思いますが、そもそもこういった事態を招いた政府の感染症対策のこれまでの一連の対策についてどう評価されているのかというのをお尋ねしますが、特に水際対策として徐々に入国拒否の範囲を広げていっていますが、今日中国と韓国からの来日の自粛を要請することも政府が決めまして、こういった政府の一連の対応について評価をお願いいたします。

A.(会長)

 評価ということでいうとやはり一連のところをくぐった上でしていく必要があると思うので、あまり断定的に申し上げることは差し控えたいなと思います。ただ、今の時点で確かにクルーズ船の対応が本当に万全だったかというと、これはもう世の中でいろいろ言われているようなことというのは私自身も感じるところはあります。ただ全くこのイレギュラーの形でしたので、そもそも船籍がイギリスでしたか、クルーズ船の運営会社もアメリカということでしたので、もっと一線仕切るような対応というのも有り得たのかもしれませんが、しかし異例の対応の中でその都度その都度ベストということで、その時点で持っている知見によって対応してきたことが今の状況になっているということでもあるので、今の時点で断定的なことはとりあえずこの場では控えておきたいと思っています。

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