記者会見 2020年2月

 

連合記者会見

2月定例記者会見

神津会長・相原事務局長・石田副事務局長・冨田総合政策推進局長(2020年2月20日)

連合記者会見全文
神津会長

 今日も大変多くの方にお集まりいただきました。感謝申し上げたいと思います。
 今日の中央執行委員会、中央闘争委員会ですが、ご承知の通り春季生活闘争に関わる内容、確認事項の確認をしてきました。そことの関係でまずお話を申し上げておきたいと思います。すでに、いわゆる私どもからすると第1のヤマ場に向けてまさに先頭グループが要求提出を続々として交渉に入っているというところであります。交渉状況の詳細のところは把握をしている訳ではありませんが、基本的に連合としての考え方そしてそれぞれの構成組織の方針にもとづいた交渉をそれぞれの単組段階で行っているということだと理解をしています。取り分け、それぞれの産業なり企業の状況についての認識合わせとともに、連合としてこの間ずっと掲げている「底上げ」であり「格差是正」であり「底支え」ということです。連合も方針の中でもすでにそういう分析をしてきておりますが、米中の貿易摩擦はいろいろな動きもあります。しかしながら世界経済に及ぼす影響なり、一般的に企業収益の足元の動向を含めて景況感は必ずしも良いものがある訳ではありません。新型コロナウイルスの影響は、これは少なからず短期的には出てくるところがあるということだと思います。そのことが交渉状況にどういう影響をもたらすかということで、すでにそういう注目のされ方もしているようでありますが、この間、先程申し上げた「底上げ」「格差是正」「底支え」これはもう20年来のデフレ的状況の中で平均賃金を下がってしまっていますので、これは世界の流れから大きく取り残されてしまっている、そういったいわばこの日本が萎みつつあるということに対する危機感を持って、分配構造の転換をはかっていくということを大きく掲げている訳ですから、短期的な変化なり、収益状況については、これは例えば一時金がそのことによって上がり下がりをするという、そういった影響は当然考えなければいけませんが、いま申し上げたその大きい、連合としての考え方にはいささかも揺るぎがないということだと思っています。最終的な第1グループ、第1のヤマ場は3月10日から12日までのゾーンで回答の引き出しはかっていくということでありますし、そこに向けて、そういう第1のヤマ場で連合がターゲットとしている企業の経営者が足元のそんな動きを言い訳にして回答に関わる姿勢を右往左往させるものだとは思っていませんから、そこのところはしっかりと連合の考え方にもとづいて交渉の展開をしていくということだと思っています。
 それから、今触れましたが新型コロナウイルスに関わる話です。すでに一部報道で取り扱っていただいているところもありますが、連合としてやはり一連の大きな動向も見据えながら、人数が多く集まる集会については、これは人命にかかわる問題でもありますので、そこはその形は取らないということを改めて今日中央執行委員会として正式に確認をしております。中央執行委員会議案としてはすでに構成組織や地方連合会にも連絡をしておるところでありますが、改めてその考え方を確認しています。そして労働組合としては、大きい集会を当面控えるということについては、ある種残念なことではありますが、ただ一方では先程来申し上げている「底上げ」「格差是正」「底支え」その考え方をどうやってこの社会に広げていくのかということこそが連合としては問われているのであって、2月3日に皆さん方にも注目し取り上げていただいた向きもありました。感謝申し上げたいと思いますが、労働組合という傘に守られていない方々に集まっていただいて、その方々には相原事務局長を中心にこの連合本部会場そしていわゆる従来のパターンでの決起集会ということについてはよみうりホールでということで、2元中継的な集会を行いました。これは従来になかった取り組みであって、これはまだまだ第一歩です。スタートにしか過ぎませんが、このことをどうやってこれからさらに深めていくのかということに注力したいと思っていますので、3月3日大人数が集まるということはいたしませんが、街頭に出て、むしろアピールをし、SNSを含めて拡散をしていきたいと思っていますので、2月3日の取り組みを引き継いで3月3日はそういったアピールをしていきます。そして、4月6日も、従来ですとこの3月半ばの回答で春季生活闘争も大体の形が見えてくるということですが、今連合の春季生活闘争は全くそういうことではありませんから、3月の半ばも大事です。肝心なことはそこから先だと思っています。4月6日はそのことに向けてこれもアピールを強めていきたいと思っていますので、やり方の詳細はこれからになりますが、是非そういったところにも注目をしていただきたいと思います。
 あと1つ、資料も配られていますが、「ゆにふぁん」は、昨年連合結成30周年ということを機に新しい取り組みではじめています。これもまさに連合としてどうやって社会との繋がり、従来から連合が持っていることをどうやって具体的な力として世の中に発信をしていくのかということの一環だと思っています。「ユニバーサル志縁センター」という、若者の応援で児童養護施設などを卒業し、就学、大学に行くとか、あるいは就労、仕事に就くということで、ハンデを負っているとか、困難を抱えている方が大勢いらっしゃいます。その方々をサポートしているNPOで、またネットワークを持ちながら支援をしているという、「ユニバーサル志縁センター」は、「ゆにふぁん」のクラウドファンディングの第2号に手を挙げてくれました。すでに30万円ほどお金が集まっていますが目標の300万円に向けて、何としても達成をし、そのこととともにこういったNPOを、加藤登紀子さんなり、厚生労働者の元事務次官の村木さんが中心になって力を注いでいます。この取り組みにしっかりと支援していきたいと思ってますので、是非こんなところにも注目いただいて、それこそ少しでも、形は問いませんから取り上げていただければ大変ありがたいというふうに思っています。そのことを申し添えまして私の方からの冒頭の一言といたします。よろしくお願いします。

相原事務局長

 第5回の中央執行委員会です。本冊の議事次第をご覧いただきますとおり、只今神津会長からありましたとおり、新型コロナウイルスの関係について連合の対応を定め、昨日以降展開しているということであります。3月3日の集会につきましてはご案内のとおり中止ということといたしましたが、2次策を持って対応していくということとしたいと思っております。現在のところ、新宿駅、新橋駅、2カ所の街頭アピールを行う予定でありまして、夕刻街に出て私たちの主張、メッセージを多くの皆さんにお届けしたいと、このように考えております。なお、春季生活闘争のこの時期の総決起集会が中止になったのは2005年の明治公園での大雪で会場使用ができなくなった以来ということになっておりまして、2011年3.11の際にはその前に発災前に行っておりましたので2005年以来ということとなります。善処し対応してまいりたいと思います。
 資料2-2では、これも神津会長からありました「アクション4.6」ということで、波及のための取り組みを進めていきます。記者会見、集会、アピールメッセージ、この3点セットをもって多くの広がりを持った取り組みに勢いをつけていきたいと、このように思っているところです。
 なお、今日お手元に本冊子とは別に1枚紙で、一般社団法人日本生産技能労務協会青木会長、および日本労働組合総連合会神津会長の両名の名前で共同宣言をお手元にお届けしてございます。昨日、協会と連合とで意見交換の場を持たせていただき、お手元にあるとおり、目下の、4月から始まります同一労働同一賃金、法改正に向けた対応などについて幅広く、かつ率直な意見交換をさせていただいたところです。両者の共通認識となりましたのは4月1日の法施行目前としても、まだなお、職場段階、現場段階におきましては前進感のある取り組みになっておらないという点などについて幅広く意見交換させていただいたところでありまして、今回の共同宣言は、2010年、2016年に続き3回目の共同宣言、36(サブロク)の長時間労働是正のことを入れると4回目というふうになりますが、法施行を直前に控えた共同宣言として意味あるものとなった、もしくはしていきたいと、このように考えているところです。
 資料2-5、メーデー中央大会ということで、4月29日に開催予定で現在進めております。コロナウイルス対応関連ということでは、3月末までの対応は記し、展開したところでありますが、4月以降のイベントは実施するという方向で準備を進めてまいりたいと、このように思っております。私のほうからは以上です。

冨田総合政策推進局長

 それでは本冊子緑の合紙の後ろに、第3回中央闘争委員会の確認事項を記載させていただいてございます。内容につきましては冒頭の神津会長の挨拶の中にほとんどが含まれておりますのでご確認をいただきたいと思いますが、1点のみ、今ほども事務局長からもありましたが、これとは別に皆さま方に、左肩に別紙と書かれた1枚のA4の紙を配布させていただいております。こちらが「2020春季生活闘争・政策制度 要求実現3.3」の集会に代えて、アピールということで街宣行動を行う内容の詳細でございます。3月3日、最初に新宿駅で17時30分から、そして移動して第2地点の新橋駅では18時30分から街宣行動を行って参りたいというふうに思っておりますので、是非多くの皆さま方にこちらについても注目をいただければというふうに思ってございますのでよろしくお願いしたいと思います。私からは以上です。

質疑応答[1]
Q.(読売新聞・ヨシダ氏)

 読売新聞のヨシダと申します。春季生活闘争に関して2点をお伺いしますが、まず今次闘争の現状での闘いの状況というか、経営側は経団連が積極的な賃上げを促してはいる訳ですが、経済情勢厳しいという中で全体的に今年の交渉の状況がどれぐらい難しそうかという点について触れていただきたいのが1点目と、これとは別にコロナウイルスについて冒頭のご発言の中で、一時金が上がり下がりする影響は考えないといけないということはおっしゃっていましたが、一時金が下がることはある程度許容する姿勢を示しつつも月例の基本給の部分はやはり譲れない、そこを言い訳にはさせないという、そういうおつもりだという理解でよいのでしょうか。

A.(会長)

 後の方のお話を先にさせていただくと、別にコロナウイルスがどうこうということに関わらず、短期的な企業収益にどう連動して、労働条件が決まってくるか、決めていくか、ということでいいますと、一時金というのは私どもからすると一定部分はどうしたって生活にも組み込まれていますので、そこのところは確保を当然しなければいけない。ただ全体で見ると、収益に連動せざるを得ないところがあるというのは、ある意味まあ織り込み済みの考え方だと思っています。一方で賃金、月利については、いわゆる賃下げだとか賃金カットというのも危機的な状況においてはそういったことも、これは労使がとことん理解をする中で起きることもありますが、通常はやはり下方硬直性をもってまさに私どもの生活の安心安定の基礎ということの、この労働条件だと思います。これは基本的に企業活動が持続的な発展をするとか、その下で人材、人への投資をいかに基礎的な部分できちんとやっていくかということとつながっている話だと思いますので、それはデフレ的状況のこの20年の中で非常に停滞してしまったと思いますし、また世の中全体で見れば相当毀損してしまったということだと思います。そこはもう経営サイドにおいてもブレずに、この間2014年から積み上げてきた賃上げの流れというものを崩さずにしっかりとした回答を成果配分として形あるものにしていくということは当然やっていくべき話だと思っています。
 それと目下のところの状況ということでいうと、冒頭申し上げたように具体的にどんな感じかということについては率直にいって私自身は、今材料として持ち合わせているものはありませんので、そこはお互いにしっかりと論点を出し合いながら、理解すべきは理解をしていくという最中にあるのだろうというふうに思っています。

質疑応答[2]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 ファクタのミヤジマです。春闘の指標銘柄のトヨタの労使協議が昨日からはじまって、これまでの労使が向き合うのではなくて労使と社長が三角形で向き合うと、それで社長のほうからいわゆる家族の話し合いがしたいと。私は過去のその労使交渉という意味ではイメージが変わっているのですが、ご覧になったというか、ネットでそれを公開しているのですが、トヨタの影響力は非常に大きいと私は思いますが、神津さんはどんな印象を抱かれていますか。

A.(会長)

 一部報道でも取り上げられているようですから、その内容は拝見しましたが、企業なり企業労使が、いろんなことを模索する中で新しいことをはじめるというのは、そのこと自体はいろいろなところであるのだろうと思います。ただ、それはそれぞれが持つ文化に根ざしているところもありますから、一概にこういうやり方が何か広がるかというと私は全くそう思っていないということだと思っています。それと豊田章男社長が強く言っておられるのは、1つの危機感ということだと思います。これはいわゆる賃金交渉とか労使交渉とかいう次元の問題とはまた少し違うのかなというふうに私は思っていて、私自身も日本の産業の力が総体的に相当落ちているのではないのかなと思っています。賃金の問題を取り上げて日本がしぼんでいるということを申し上げています。人口減少もそうです。そういうことの中で稼ぐ力ということを含めて、将来に向かってきちんと食い扶持が確保されているのだろうか、あるいは本来日本が持っていた技術力というものが将来に渡っても、人間が担うものですから、先ほど申し上げた人への投資ということが本当にきちんとやれてたのかなということを含めて、私自身もそういう意味での危機感は持っています。それは個々の企業なり、個々の労使でそういったことについて認識をしっかり持つということ大事なことだと思います。それと、ただ私はそこのところはしっかりと当該の労使含めて検証はされていると思うのですが、交渉というのは当然その労働側と使用者が労使関係ということでやっていきますので、憲法の28条でも保障されている労働三権、これは労働組合をつくるということとその労働組合が使用者と対等の立場で交渉をするので、労働条件はスト権に裏打ちをされた団体交渉で決めていくということです。今回どういう形の話し合いだったかその中身まではもちろん承知しませんが、議事録はきちんと当然整理されるでしょうから、団体交渉としての意味合いというのはどの部分かということは、きちんと区分も含めて分かるような形に当然されるだろうと思っています。あと、要するに三角ということになると、例えば、いわゆる管理職の立場の人がその3つの中のどれかに入っておられるのかもしれませんが、まあ話をあまり広げ過ぎてはいけないかもしれませんが、先程申し上げたようにあくまでも交渉というのは労使なので、この日本の労働組合のいわゆる組合員の範囲というのは、本来の労働組合法が持っている考え方に比べて実情はかなり狭いです。したがって、管理監督者といわれるところが法律でいうもっと大きいところですが、それが今現実には労働組合、組合員として労使関係で認定されているところは本来のそういう法の考え方からすると相当限定されています。そういうことも含めていいますと、あくまでも交渉というのは、労働側を代表します。使用者を代表します。その間できちんと話し合われるということがないと、それではここに参加している人はどういう立場なのかということが、あやふやなままという訳にはいかないと思いますので、そこのところも含めてそれはきちんと整理されるということだろうと思っています。

Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 危機を乗り越えるには労使一体でやらなくてはいけないというメッセージと同時に、社外に公表し写真付きでやるというのは、私は労使交渉の場をある意味で社長のプレイアップというか、企業広報というのか、それを巧みだというのか、そんなことで労働組合はいいのだろうかという、私もアンビバレントな感じがあります。もしよろしかったら相原さんは、トヨタの労組のOBですが、トヨタというのはこういうことをやるような会社だったと思わないですが、どうなのでしょうか。

A.(事務局長)

 ご指名ですので、連合を代表しての見解はもう神津会長から述べられたとおりです。それを基本メッセージとするということかと思います。協議・交渉のあり方はそれぞれ労使間で決定されて進めていくべきものですが、背景となるものは法律体系も含めて担保されなければならないというのは申し上げるまでもない、今会長がおっしゃった点だというふうに思っています。危機感にもとづく協議交渉が進められることはこれまでも多々あった訳ですが、そのスタイル含めて、どういう形で最終決着されていくのか、これは注意深く見ていきたいと、こんなふうに思っています。

質疑応答[3]
Q.(フリー・モリ氏)

 フリーのモリです。賃金交渉の件ですが、私も日本の賃金は低すぎるので上げるべきだと思います。ただ、今コロナウイルスの状況を見てますと、サービス業とか流通業も非常にインバウンドが減っているので相当の打撃があります。それからサプライチェーンが、中国がああいう状況ですから寸断されてて部品も満足に来ないような状況もあって、3月は相当さらに状況は悪化するのではないかと思います。そうすると、会長その影響というのはどう見ておられるのか、かなり私はもっと厳しくなると思います。そこを跳ね返すには、労働組合としてはどういうことを心がけなければならないのか、その点を少し伺いたいのですが。

A.(会長)

 冒頭を申し上げたことに尽きると思っています。繰り返しになりますが、要するにそういう短期のどうこうという話で回答を考えるというのは、かつてのインフレ時代の春闘で、この年は5000円の回答で、だけどその次の年少し調子が悪いから3000円の回答。そういう動きは確かにかつてあったかもしれませんが、今私ども取り組んでいる春季生活闘争というのはもうコンセプトが全然違いますから。次元の違う話です。したがって、経営者心理としてはいろいろあると思います。それでもってこの間6年間積み上げてきた問題を、積み上げてきたこの動きを止めてしまうようなことというのは、これは非常に愚かなことであって自分で自分の首を絞めるようなことに他ならないと思います。こういう時だからこそ、一方では内部留保が相当たまっている訳で、それは企業経営者からするとこういう状況、時代の中で先行きに対するいろんな不安というものもありながら、積み上がってきたということもあるでしょう。一方では法人税がこの間随分下がってきたというようなこともあるでしょう。だけど、使うべき時にそれ使わないと何のための蓄積かということになりますから。その点は大いに皆様方からも、経営者の姿勢ということに対して厳しい視線を突きつけていただきたいなと、こんなふうに思います。

質疑応答[4]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 朝日新聞のサワジです。少し細い論点なので事務局長でも構わないですが、今日、日本生産技能労務協会との共同宣言が先程配られて説明ありましたが、派遣の同一労働同一賃金については派遣先の均等均衡原則と、一方で労使協定方式という2通りの方式があります。それで、現状どのような状況になっているのか、どちらが多いかということも含めて、その効果も含めて、どういう状況だというふうにご覧になっているのか。

A.(事務局長)

 ありがとうございます。昨日の話し合いの中では労使協定方式が多いというのが共通認識です。私たちも職場に投げかけているのは、しっかりとした労使関係の中でこれを協議すべきだ。といっています。このベースがないとうまくいかないです。ただ一方でその限界もやはりある訳ですから、幅広く訴えかけていく、これ実は先程、この場で取り上げて、「この場で」というのは今日の記者会見の場で、この共同宣言なるものを記者の皆さんにもご提供し、あえて連合の方からもしっかり触れさせてもらいます、というふうに言ったのは、労使協議の中でしっかりやることをベースとし、かつ世論も作っていかないと、4/1からの契約がまだできてないというところも山ほどある訳です。これについては相当の危機感を実は昨日共有したところでして、世論の後押し、取り分け報道の関係の皆さんに対して連合からも明日こういう入口があるのでしっかりやらせてもらいたいけどどうかというと、是非よろしくと、こういうやりとりもあったものですから、この共同宣言なるものも本来であれば内に置いておいてもいいのかもしれませんが、広く皆に発出させていただいたと、こんな点です。

質疑応答[5]
Q.(労働ジャーナル・シカタ氏)

 労働ジャーナルのシカタといいます。今日の中央闘争委員会の確認事項について少しお聞きしたいのですが、3月のヤマ場に向けて組合が回答を引き出すべく交渉配置と分かりますし、それから2ページでは、賃金の相場です。水準の相場形成と社会的波及というのも分かる訳ですが、先行のところは私の感じでは経営側は例年よりも低めでバラけた回答を出してくる可能性もあるのではないかと思います。今日、中央闘争委員会の中で、厳しいというのは一致しているのでしょうけど、そういういってみれば各産別単組が、バラけてくるということについてどうするというような論議があったのか無かったのか、それで、そういうことを想定して連合として今度その3月3日と5日に戦術委員会と中央闘争委員会がありますが、どう横串を通されていくのかというのが第1点です。それからこの、回答を引き出すべくという、今年の場合は回答が上がるか下がるではなく、下がるのを前提にどうしていくかというのが非常に大事だと思います。その場合は各産業別によって、せめて実質賃金は確保していこうではないかとか、あるいは去年の妥結水準を念頭にして頑張ろうではないかというようなこともある訳ですが、連合として、バラける中でせめて横串としてここを守っていくという点では、実質賃金を念頭にとか、あるいは昨年の水準を念頭にとか、こういう横串を通して46単産の意志結集をはかるというのも大事なことではないのかと思っています。そのあたりのことについて、今日意見が出たのか出なかったのかということと、それから3月3日と5日そういう方向として提起されていくのかどうか、2点についてお聞きしたいと思います。

A.(会長)

 今日そういう議論があったか無かったかということでいえば特にありません。それは、何で無いかというと、少しそのバラけるということについて針小棒大に取り上げられている向きがあるというふうに私は思っています。経団連の方からも、一律的なベアということについて、まあ少しそういうことじゃないよねというようないい方も部分的にもあったりしているので、それはそういうことに着目されるのはこれは無理からぬところもあると思いますが、私が長いことこのいわゆる世の中の春季生活闘争というのをずっと見てきて、取り分けかつてのような物価がどんどん上がるから、これは組合があろうが無かろうが率で同じぐらい皆上がるという、そういう時代から大きく変わってきた中で、それは産業ごとにバラけるとかということというのはもう普通に今までありました。ただ私どもが2%プラス2%程度というこれを掲げているのは、やはりマクロの状況というものを頭に置いて私どもは当然考えるし、経営者にもその視点を抜きにして物事を組み立てないでくださいよということなのです。ですから、もうすでに要求の段階で、さはさりながら自分のところの産別としてはこれまでの経緯を踏まえてこういう要求だねと、いうこともありますし、またかつて「賃金改善」という考え方を前面に出した時代もありましたし、ある程度足並みは揃えながら、同じ産業別組織の中で財源投入を求めよう、人への投資を求めよう、だけどその姿形はある程度の違いは認め合おうということの、そういった展開をしたこともかつてありますし、何も今回、なんか今まで全く無かったことが急に持ち上がっていると私は思っていないので、したがって全体はそういう冷静な認識を持っています。もちろんこれ交渉で回答を引き出すのは大変です。それは毎年大変ですから、これを3月の半ばに向けて、大変な交渉を、これは正式の団体交渉も、あるいは事務レベルでのいろいろな折衝も交渉当事者は必死の思いでやっている最中ですから、決して私の立場として楽観をしているなんてことは口が裂けてもいえません。しかし、繰り返しになりますが、これまでこの6年間の積み上げてきたこの流れを止めるようなことは、一切これは許容できないということははっきり申し上げておきたいと思います。

質疑応答[6]
Q.(毎日新聞・ハマナカ氏)

 毎日新聞のハマナカです。政治の話で恐縮ですが、静岡4区で今度補選があるという中で、先日国民民主党が田中健さんの推薦を決められました。それで、この候補者は以前連合推薦を取り消された経緯のある候補ですし、そういった経緯もある中で連合としてどういうふうに見ておられるかというのと、あとは、立憲民主党と国民民主党の調整が少し難航しているようですが、国政で野党と与党の一対一が望ましいというお考えだと思いますが、一本化についての考え方というのを改めてお伺いできますでしょうか。よろしくお願いします。

A.(会長)

 静岡4区の件は基本的に連合静岡としてどう対処するかということですので、本日現在どうかということはまだ承知していません。ただ、ご指摘あったように名前が挙がっている方は元々連合として支えていこうと考えていたにもかかわらず、当時細野さんが民進党を見限って希望の党にいち早く行ってしまった訳です。その動きと連動した動きをされたものですから、連合静岡としては推薦を取り消したという経緯があります。したがって現在国民民主党として擁立する、あるいは立憲民主党としても、その人を支えていこうと、こういった動きになっているとはいえ、やはりそういったかつての経緯がありますので、右から左へすぐ推薦ということにはなっていないというふうに認識しています。ただ一方で、私どもとしては、一般論として、戦える体制に向けて、小選挙区ですから、候補が乱立していい訳がありませんので、そういった政治の状況のその努力は見据えつつ最終判断するということだと思っています。そういった中での連合静岡の判断を私どもとしても見極めていきたいと思っています。
 それから、いわゆる両党の合流ということについては前にも申し上げたかと思いますが、まあ一旦立ち止まっているということが私どもの理解ですから、これは最前から申し上げてきている二大政党的運営が望ましいと、究極的にはそういうふうに思っていますので、そこはしっかりと今後の状況も見ていきたいと思います。ただ、バラバラ感ガタガタ感だけは辞めて欲しいし、お互いの立場を尊重して丁寧に協議をしていてもらいたいなということであります。

質疑応答[7]
Q.(労働新聞・ヒラノ氏)

 労働新聞のヒラノです。先ほど内部留保ということをおっしゃったと思いますが、基幹労連の挨拶の際に、これまであえて触れないようにされてきたということを確かおっしゃっていたと思うのですが、それを転換されて触れるようになってきた背景といいますか、思いといいますか、そういうものがありましたら教えていただけないでしょうか。

A.(会長)

 基幹労連の時というよりも、私はかつての新日鉄労連の時ということのほうが正確だと思います。それはむしろ私どもと考え方を異にする人たちが、かなり声高にいっていた話です。ですから全部内部留保ということの必要性を否定するつもりは今もありません。企業活動、私どもからすると働いている人に対する雇用の責任のある企業として将来に向けての備えということは必要だと思います。ただ足元はあまりにも積み上がり過ぎていることは、私がどうこうという以前にこれは連合としてもここ数年問題指摘していますので、そういうことの中でこれは政府においてすら、そのことにかなり注目した発言も政府与党の関係者からもされているぐらいですから、そこはそういった状況の中で私としても申し上げているということであります。

質疑応答[8]
Q.(日刊工業新聞・ヤギサワ氏)

 日刊工業新聞のヤギサワです。別紙2-2中小、未組織、地域社会へのアクションとありますが、イメージ湧かないので、どんな感じになるのか教えてください。

A.(冨田総合政策推進局長)

 今のところ、3つの取り組みを連動させることで最大の効果を生み出していきたいというふうに考えておりまして、1つがちょうど4月6日の日が3月末までの回答引き出し状況を集計して公表する日に当たっておりますので、その集計の結果を皆様方にご報告するとともにそれまでの交渉状況につきまして記者会見を実施していきたいというふうに考えているのが1点であります。2点目は、その結果を広く社会と共有するためにどういった形にするか、今はまだ検討中ではございますが、集会をもって様々な関係する方との対話も含め、狙いもここを含めてとありますが、これは検討してまいりたいというふうに思ってございます。それから、最後3点目でありますが、ここから、やはり地域の中小企業ですとか、様々なところで交渉が本格化する訳でありますので、要は交渉の場が中央から地域へという形になります。47の地方連合会とも協力しながら様々な形で、これは例えばという形で、ラジオCMというようなものを流していますが、それ以外にも様々なアピールのツールございますので、そこに向けて中小企業の交渉がこれから本格化しているということを広く一般の皆様方にアピールをしてまいりたいというふうに考えてございます。

質疑応答[9]
Q.(朝日新聞・テラモト氏)

 朝日新聞のテラモトとです。れいわ新選組が今週月曜日に次期衆議院議員選挙の1次公認候補7人、首都圏対象の方で発表されました。中には現職議員がいる、立憲民主党の山花さん、国民民党の奥野総一郎さんがいらっしゃる選挙区に擁立しました。与党を利するのではないかという一部指摘もありますが、このれいわ新選組の動きについての受け止めと、さらにもう1点、都知事選候補として山本太郎さんがいいのではないかという声が野党内でも上がっていますが、これに対する受け止めを2点伺えればと思います。神津会長お願いします。

A.(会長)

 私ども一般論としてやはりただでさえ一強政治の状況ですから、野党はしっかりと候補を絞って一本化をして闘うということはずっと求めていますから、そこに至る状況の中でいろんな動きというのは当然あるのだろうと思っています。今時点で今回れいわ新選組として候補を決めたということについて特にそれが良いとか悪いとかいうことはとりあえず差し控えておきたいなと思います。ただ、最終的には政治の世界の方々が、取り分け野党の皆さんが、しっかりと話し合って力を1つに絞るということは求めておきたいなというふうに思います。
 それから、都知事選は、連合東京としてどういうふうに考えていくかということですので、目下のところは小池都知事と非常に良い関係でいろんな政策対話もしていますので、そのことはまあ1つ頭に置いておかなければいけないのだろうと思っています。ただ一方で東京都知事選挙というのは非常に及ぼす影響も大きいですし、それは一自治体の選挙というにはあまりにも大きい選挙だと思います。それは全体の政局の動向なども見極めつつ、これも少し誰が良い悪いというのは取りあえず差し控えた上で、動向は連合本部としても見守りながら、連合東京とのいろいろな連携関係の中でまた判断をしていくということになると思います。

質疑応答[10]
Q.(NHK・マノ氏)

 NHKのマノと申します。新型コロナウイルスの対応に関することで、1点質問と1点確認がそれぞれあります。まず質問が、確認の意味も込めてですが、今後集会の自粛というのが各地域まで広がっていった場合に、どういった工夫を春闘の場でそれぞれにしていって欲しいか、それに関連して先程SNSでの発信といった言及もありましたが、今後の春闘のあり方という意味で従来型にとらわれない何かあり方が求められていると感じていらっしゃるかどうかというところが質問で、あともう1つ確認が、3月3日に開かれる街頭アピールというのは今回中止するような大規模イベントには当たらないというお考えでいらっしゃるのかという点をお願いします。

A.(会長)

 3月3日は集会とは全く趣を異にします。むしろこれを逆手に取ってというと少し表現が妥当かどうかわかりませんが、当初予定していなかった形で街頭に出てアピール行動したいと思っていますので、新宿そして新橋というある意味目立つところでやっていきたいし、その模様をSNSで拡散していきたいなと思っています。そういうことを含めて、まさにおっしゃっていただいたように従来にないパターンで、連合としてはもっともっと模索をしていきたいなというふうに思っています。2月3日はまさにその皮切りだったと思っています。今までのバイアスも含めてあるのは、一部の労使交渉だけが春季生活闘争だということになっては、これ世の中に広がり持たないと、「底上げ」だ「底支え」だ「格差是正」だといっても絵に描いた餅になってしまいますので、この間賃金統計の問題がいろいろと国会でも取り上げられましたが、世の中全体がしっかりと成果配分、分配がされているのかということが大きな疑問として残りますので、そのことに対して一石を投じるというか、一石どころじゃなくて、いくらでも石を放り投げなければいけないということだと思っています。そのことに向けていろんな工夫、模索をしていきたいと思っています。

質疑応答[11]
Q.(共同通信・ナカタ氏)

 共同通信のナカタです。政治分野で伺います。新型コロナも関係しますが、野党が立憲民主党も国民民主党も含めて、政府の新型コロナウイルス対策について厳しい批判をしております。今日、2人目3人目お亡くなりになる方も出ましたが、会長として政府の新型コロナウイルス対策についてどう評価されているかというのが1点と、あと、野党が今国会で追及しています例えば検事長の定年延長問題ですとか、そういった国会への政府の答弁や「桜を見る会」に対する総理の答弁などで厳しい追及を受けておりますが、この間の政府や総理の答弁についてどういうふうに評価されているか、お願いいたします。

A.(会長)

 政府答弁、総理答弁は、いささか疑問を禁じ得ないということが繰り返されていると思います。これはもう世論調査見ても明らかなように、一連のいろんなことの疑惑といいますか、それについてはだいたい7割8割の有権者、国民がおかしいと思っていますから、そのことに対する説明責任が果たされているとは全く思えないということだと思います。
 それから、コロナウイルスの問題は、私自身はあまり専門的な知見も無いので、これははじめてのことであり、取り分けクルーズ船がということについては、これは政府としても必死の対応をはかっている最中だと思いますので、いろんなことがもう少し検証されないと私の立場で評価的なコメントはできないと思っています。ただ、やはり野党は当然政府として遺漏なきを期してるのかということは厳しく追及する立場ですから、それは当然そういうことなんだろうと思っています。

質疑応答[12]
Q.(時事通信・コンドウ氏)

 時事通信のコンドウです。れいわ新選組が1次公認を発表した件で、れいわ新選組は消費税5%への減税も野党共闘の前提に掲げていて、100人規模の擁立を目指すという姿勢を取っていますが、立憲民主党・国民民主党はこの5%減税について、れいわ新選組との協議に応じて一本化をめざすべきかどうかというところについてお考えを伺いたい。
 あと東京都知事選挙について、先程小池都知事と非常に良い関係を築けているというお話ありましたが、都知事再選も連合としては1つの選択肢なのかという現時点でのスタンスを教えてください。

A.(会長)

 後者の方からお答えします。選挙における対応ということでいうと、まだまだこれからですので、あくまでも今地方自治体の長としての小池さんと連合東京とは基本的に良い関係にあるということまでなので、それもしかし検討していく上での大きい要素であることは事実ですが、先程申し上げたように、しかし全体の状況を見ながら最後の判断をしていくということになります。まだ選挙でどうするということについては、いってみれば何もないというふうに申し上げておきたいと思います。
 それから、れいわ新選組として掲げていることについては、もう少し全体の政策をお聞きしないと何ともいい難いのかなと思っていまして、消費税がどうこうとか、5%か、10%なのかということだけで物事判断できるとは思っていません。一言で言えば将来世代にこれ以上ツケを先送りするのはどうかと思いますし、社会保障とか、教育とか、そういうことを含めてこのままで大丈夫なのかということとあわせて考えると、何も消費税だけではなくて所得税、法人税、金融取引税、資産課税など、トータルでどうやって今申し上げた問題をカバーできるのかと、本格的な政策論議が明確になった上でしっかりと野党が結び合うということが必要なのではないのかと、こういうふうに思っています。

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