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今どきネタ、時々昔話 ~第1回春の別れと新たなスタート~

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初めまして。こんにちは。
RENGO ONLINEでコラムを連載させていただくことになった「落合けい」と申します。
「誰?」って感じですよね。エゴサーチしてもまったく出てきませんから。
どうしてそんな「無名の人が?」…。実は一種の「再雇用」です。

私は、2023年3月号で終刊となった月刊誌「連合」で1990年代半ばから編集&ライティングの仕事をしてきました。月刊連合の記事は、連載コラムや寄稿以外は無記名です。特集の対談、インタビュー、解説記事や集会・イベント報告などは、編集部の担当局員かライターが基本原稿を作成し、担当局(現・連合運動企画局)で確認したのち関係する連合本部各局にも目を通していただき、取材先に確認をお願いした上で、ようやく誌面に流し込まれます。手間ひまはかかりますが、社会的責任のある連合の月刊誌として当然のプロセスです。

月刊誌のスタンスも確立されていました。連合運動の単なる紹介や報告ではなく、連合方針の「上意下達」でもなく、これから議論が必要な運動課題や政策・制度のテーマを、読者(組合役員・組合員)目線で深掘りしていこうというもの。だから、「今こんな問題が起きているよ、考えなくていいの?」と投げかけたり、読者や世間の素朴な疑問を拾い上げてトップリーダーの生きた言葉を引き出そうとしたり、有識者に「こう考えるべきではないか」と助言していただいたり…。いろんな材料を読者に提供した上で、編集部としては「○○といえそうだ」という幅を持たせたスタンスを守ってきました。当然ライターは無記名。編集部は年中ライターを探していましたが、「署名原稿」でなければ執筆しませんと断られることもしばしば。そんなわけで、私はその無記名ライターを長く務めてきました。

●署名原稿を書いてみませんか?

1年半ほど前、情報発信力をより高めていくために、「月刊連合」を終刊し、より深くテーマを掘り下げる「季刊RENGO」と、広くタイムリーに情報発信を行う「RENGO ONLINE」にバージョンアップすることが決まりました。月刊連合の終刊が、自分が60歳になるタイミングと同じだったことに勝手に運命を感じました。今は「65歳までの希望者全員雇用継続」の時代だし、私自身は定年のない個人事業主ですが、月刊連合とともに職業生活に一区切りつけるのもありなかと思いました。

ところが、創刊準備期間がタイトすぎたこともあり、季刊RENGOは月刊連合の制作チームが引き継ぐことになり、私もその一員に残留。さらに、このRENGO ONLINEに「署名原稿を書いてみませんか?」と言われ、驚愕! 無記名ライター一筋20数年の私には恐れ多く、即答できませんでした。

まず、自分に今、書くべきことがあるのか考えてみました。

終刊号の特集で創刊から403号分の頁に目を通し、今の若い世代の読者にも知っておいてほしいテーマを拾い上げました。ただ、5年分を4頁に収めるという無謀な構成で泣く泣く割愛したテーマもたくさんありました。終刊号が出てから、若い方に「月刊連合って、歴史があって、面白い特集や企画がたくさんあったんですね」と声をかけていただきました。毎号、タイトな日程の中で走り続けてきましたが、私に今、書くべきことがあるとすれば、月刊連合編集スタッフとして学んだことを若い世代に伝えることかもしれないと思い至りました。

月刊連合2023年3月号(終刊号)

年月を重ねる中で「昔やったことがある」ことが増えていきましたが、「昔話」は好まれません。なるべくしないように心がけてきました。
でも、昔こんな大きなことがあったのに、今の若い世代は本当に何も知らないんだと驚くことがいくつもあって、改めて伝えておきたいと思うようになりました。
ということで、ここでは、今どきの話題を手がかりにしつつ、それに関する「昔話」を折り込んだコラムを書いていきたいと思います。

●私はこう思う

署名については、最後まで悩みました。ペンネームも考えましたが、本名で行くことにしました。

背中を押してくれたのは、大好きな与良正男さん(毎日新聞専門編集委員)のコラム『熱血!与良政談』です。迷走しがちな日本の政治状況、「これ、どう考えたらいいの?」と思うことは、与良さんが必ずコラムで取り上げてくれて、いつも「私はこう思う」と納得させてくれる。毎週楽しみに読ませていただいただけでなく、月刊連合でインタビューまでお願いしました。その『熱血!与良政談』が今年3月29日に最終回を迎えると知って涙がこぼれましたが、《「私」を多用してきたわけ》と題する最終回の内容が、今の私には心に響きまくる内容でした。

少し引用します。「お気づきの読者も多かっただろうが、このコラムでは「○○と私は思う」をはじめとして、「私」という主語を頻繁に使ってきた。それには理由がある。/とかく新聞は客観性にこだわって「○○と批判を集めそうだ」等々と主語をあいまいにしがちだ。/だが、毎日新聞は他社に先駆けて、かねて記事には取材・執筆した記者の署名を原則的に入れている。ならば堂々と「私はこう思う」と書いた方が、潔いだろうし、書いた本人の責任も、より重くなるのではないか。/そう考えて政治部記者だった頃から、実は通常の解説記事でも「私」を意識的に用いてきたのだ。(中略)最近の国会議論でいえば、「中立性」にこだわるほど、まるでひとごとのようになってしまい、読者の心に響かないと考えたのだ。」

与良さんの新たなご活躍をお祈りしつつ、私も、署名原稿にて、ささやかながら新たなスタートを切ることにします。どうぞよろしくお願いします。

★落合けい(おちあい けい)
元「月刊連合」編集者、現「季刊RENGO」編集者
大学卒業後、会社勤めを経て地域ユニオンの相談員に。担当した倒産争議を支援してくれたベテランオルガナイザーと、当時の月刊連合編集長が知り合いだったというご縁で編集スタッフとなる。


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